2012年 05月 17日 ( 2 )

コーヒー摂取と死亡は逆相関する

コーヒー消費量と死亡との大規模コホート試験の結果がNEJMに掲載されていた。

コーヒーと死亡との関連についての論文といえば、日本におけるMiyagi Cohort Studyが記憶に新しい。
Sugiyama K, et al. Coffee consumption and mortality due to all causes, cardiovascular disease, and cancer in Japanese women. J Nutr 2010; 140:1007-13.

Neal D. Freedman, et al.
Association of Coffee Drinking with Total and Cause-Specific Mortality
N Engl J Med 2012; 366:1891-1904May 17, 2012


背景:
 コーヒーは、もっとも広く消費されている飲料の1つであるが、コーヒー消費量と死亡リスクとの関連についてはよくわかっていない。

方法:
 われわれは、コーヒーの摂取とそれによる総死亡と特異的死亡について229119人の男性と173141人の女性(ベースラインで50歳から71歳)を調べた(National Institutes of Health–AARP Diet and Health Study)。
 参加者は6つの州(カリフォルニア、フロリダ、ルイジアナ、ニュージャージー、ノースカロライナ、ペンシルヴァニア)と2つのメトロポリタンエリア(アトランタ、デトロイト)に居住する住民で、参加者のうち、癌、心疾患、脳卒中のある人は除外した。ベースラインにおいて一度、コーヒー摂取量を調べた(566401人がアンケートに全て答えた。アンケートの不備、コーヒー摂取量の記載漏れ、基礎疾患の存在などから15760人が除外されている)。

結果:
 1995年~2008年のフォローアップにおいて、5148760人年で、男性33732人、女性18784人が死亡した。年齢補正モデルでは、死亡リスクは、コーヒー飲料者で増加していた。しかしながら、コーヒー飲料者は喫煙率が高く、喫煙状況や他の寄与因子による補正後は、有意にコーヒー飲料と死亡率との間に逆相関が確認された。コーヒー飲料を非コーヒー飲料と比較した場合の補正ハザード比は、以下の通りであった。

・男性の場合
 1杯/日未満 0.99 (95% confidence interval [CI], 0.95 to 1.04)
 1杯/日 0.94(95% CI, 0.90 to 0.99)
 2~3杯/日 0.90 (95% CI, 0.86 to 0.93)
 4~5杯/日 0.88 (95% CI, 0.84 to 0.93)
 6杯/日以上 0.90 (95% CI,0.85 to 0.96)(P<0.001 for trend)
・女性の場合
 1杯/日未満 1.01 (95% CI, 0.96 to 1.07)
 1杯/日 0.95 (95% CI, 0.90 to 1.01)
 2~3杯/日 0.87 (95% CI, 0.83 to 0.92)
 4~5杯/日 0.84(95% CI, 0.79 to 0.90)
 6杯/日以上 0.85 (95% CI, 0.78 to 0.93) (P<0.001 for trend)

 原因特異的死亡において有意差がみられたものの、癌による死亡との逆相関は確認されなかった。
※この試験において登録された特異的死亡は以下の疾患
cancer (ICD-9, 140–239; ICD-10, C00–C97 and D00–D48), heart disease (ICD-9, 390–398, 401–404, 410–429, and 440–448; ICD-10, I00–I13,I20–I51, and I70–I78), respiratory disease (e.g., pneumonia, influenza, chronic obstructive pulmonary
disease, and associated conditions) (ICD-9, 480–487 and 490–496; ICD-10, J10–J18 and J40–J47), stroke (ICD-9, 430–438; ICD-10, I60–I69), injuries and accidents (e.g., accident, suicide, and homicide) (ICD-9, 800–978; ICD-10, V01–X59, Y85–Y86, U03, X60–X84, Y87.0, U01–U02, X85–Y09, Y35, Y87.1, and Y89.0), diabetes (ICD-9, 250; ICD-10, E10–E14), infections (e.g., tuberculosis, septicemia, and other infectious and parasitic diseases) (ICD-9, 001–139; ICD-10, A00–B99)
 サブグループ解析において、非喫煙者やベースラインにおいてvery good to excellent healthの参加者でも同等の結果が得られた。

結論:
 大規模プロスペクティブ試験において、コーヒー摂取量は、総死亡・原因特異的死亡との逆相関がみられた。

by otowelt | 2012-05-17 08:00 | 内科一般

サージカルマスクを肺結核患者が装着することで結核菌伝播が減少する

 結核菌というのは、飛抹核(微小な水滴がついている状態)が蒸発した後、気道の線毛やら粘液をすっ飛ばして肺胞にまで到達することが問題になる。サージカルマスクでも散布を防げるのは明白といえば明白である。
 たまに、結核疑いで紹介された患者さん本人がN95マスクをつけて、家族さんがサージカルマスクをつけて来ることがある。

Ashwin S. Dharmadhikari, et al.
Surgical Face Masks Worn by Patients with Multidrug-Resistant Tuberculosis
Impact on Infectivity of Air on a Hospital Ward
Am J Respir Crit Care Med Vol 185, Iss. 10, pp 1104–1109, May 15, 2012


背景:
 薬剤耐性結核の院内の伝播は、医療スタッフや患者の健康をおびやかす。結核患者におけるサージカルフェイスマスクは、伝播を減らすことができると信じられているが、厳密に調べられてきたわけではない。

目的:
 われわれは、多剤耐性肺結核の患者にサージカルフェイスマスクを装着してもらい、その効果について検証することとした。

方法:
 3ヵ月以上、17人の南アフリカの多剤耐性結核病棟に入院した多剤耐性肺結核の患者にフェイスマスク(Green ear-loop face masks)を1日おきに装着してもらった。
 マスクは食事中、睡眠時あるいは午前7時から午後7時までの間脱衣してもよいようにした。病棟の空気は2つのチャンバーに排出され、90匹ずつの病棟の空気を吸入する無菌モルモット((National Health Laboratories Services, South Africa)を配置した。
 すなわち、12時間ごとにマスク装着時病棟の空気を吸入するモルモット群、マスク非装着時病棟の空気を吸入するモルモット群の2群に分けられることになる。
 効果の評価については、モルモットの感染の違いとした。

結果:
 全てのモルモットにおいて、介入前にツベルクリンテストが陰性であることを確認している。コントロール群(マスク非装着群)の90匹のモルモットのうち69匹が感染した(76.6%; 95%CI, 68–85%)。それに対して、マスク装着群では90匹中36匹であった(40%; 95% CI,31–51%)。感染モルモットは全員ツベルクリン反応陽性であった。
 これにより、マスクの使用によって56%の結核菌伝播リスク減少がみられたことになる(95% CI, 33–70.5%)。

結論:
 サージカルフェイスマスクは多剤耐性結核患者において、結核菌伝播を有意に減らすことができる。

by otowelt | 2012-05-17 06:44 | 抗酸菌感染症