2012年 05月 25日 ( 7 )

ATS 2012:ALK陽性腺癌患者にEGFR、MET遺伝子変異を合併することがある

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J.M. Boland, et al.
MET And EGFR Mutations Identified In ALK Rearranged Pulmonary Adenocarcinoma: Molecular Analysis Of 25 ALK-Positive Cases
ATS 2012


背景および方法:
 肺腺癌患者の5%の症例においてALK再構成がみられるとされており、クリゾチニブが治療選択肢として近年注目を集めている。われわれは、ALK陽性患者における他の遺伝子変異の合併例を検索した。
 FISHによりALK再構成がみられた25症例において、他の遺伝子の合併がいないかを調べた。10の遺伝子:EGFR, KRAS, BRAF, ERBB2, JAK2, AKT1, AKT2, KIT, MET、PIK3CAを検索。遺伝子シークエンスにより陽性結果を確定させた。

結果:
 25人のALK陽性症例のうち5人(20%)に追加で遺伝子異常がみつかった。1人は(4% of ALK+ cases)はEGFR del L747-S752であり、他の4人(16% of ALK+ cases)はMET遺伝子変異でそのうち2人がMET N375S、残りの2人がMET R988Cであった。他の遺伝子変異合併はみられなかった。

結論:
 ALK陽性腺癌患者においてMETやEGFRの遺伝子変異を合併する症例がみられたが、KRAS, BRAF, ERBB2, JAK2, AKT1, AKT2, KIT,PIK3CAについては確認されなかった。EGFRよりもMET変異の方が多かった。ALK陽性患者にMET遺伝子変異を共存するような場合の治療戦略を考慮する上で、さらなる研究が必要であろう。
 この報告は、ALK阻害薬の耐性がいずれ出現した時に役立つ報告となるだろう。

by otowelt | 2012-05-25 18:11 | 肺癌・その他腫瘍

ATS 2012:間欠的鎮静中断によってICU入室患者のアウトカムは有意差みられず

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S. Mehta, et al.
SLEAP: A Multicenter Randomized Trial Of Daily Awakening In Critically Ill Patients Being Managed With A Sedation Protocol
ATS 2012,


背景:
 集中治療領域におけるプロトコール化された鎮静と鎮静を日中に一旦中断する手法は、いずれも人工呼吸器装着期間やICU在室期間を減らすとされている。このスタディの目的は、これらの鎮静法を組み合わせた場合に人工呼吸器装着期間をプロトコール化鎮静に比べて改善することができるかどうか検証するものである。

方法:
 このプロスペクティブランダム化非盲検多施設共同試験は、内科的・外科的患者においてオピオイドの静脈内投与and/orベンゾジアゼピンが投与された患者をプロトコール化鎮静単独と、プロトコール化鎮静と日中の間欠的な鎮静中断を組み合わせた群に割りつけた。登録された全患者は、さまざまな専門チームによって定められた看護師主体のプロトコールによって鎮静がおこなわれた。時間ごとにSedation Agitation Scale (SAS)あるいはRichmond Agitation Sedation Score (RASS)によって鎮静の深さが確認され、薬物治療SAS 3~4、RASS 0~-3となるよう看護師によって調節された。
 併用手法群に割りつけられた患者は、毎朝鎮静薬投与を中断された。両群ともに毎日SBTをおこなわれた。ITT解析が用いられた。

結果:
 2008年1月から2011年7月までカナダおよびアメリカにおける16施設420人の患者が登録された。207人がプロトコール化鎮静単独群、213人が併用群に割りつけられた。ベースラインの患者特性は両群とも同等であった。およそ80%が内科的疾患であり残りは外科手術・外傷患者であった。最も多かった疾患は肺炎(20.5%)で、次に多かったのは敗血症(18.1%)であった。
 抜管成功までの日数、ICU在室日数、死亡率について両群に差はみられなかった。気管チューブの位置異常の頻度、胃管トラブル、その他のデバイスの抜去について両群とも同等のアウトカムであった。
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結論:
 間欠的な鎮静中断による集中治療管理は、人工呼吸器装着期間やその他のアウトカムに影響を与えなかった。

by otowelt | 2012-05-25 16:07 | 集中治療

ATS 2012:ICU治療アウトカムに退院バイアスは影響を与える

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L.A. Reineck, et al.
Bias In Quality Measurement Resulting From In-Hospital Mortality As An ICU Quality Measure
ATS 2012, Session B15, May 21, Abstract 30009


背景:
 The National Quality Forumは、近年ICU患者におけるアウトカム指標として院内死亡を是認した。しかしながら、急性期ケア施設を退院した後は院内死亡率アセスメントに影響が出てしまう。というのも、ケアの質うんぬんよりも退院パターンによって左右されてしまう可能性があるからである(入院治療のアウトカムをはかる上では妥当ではない可能性がある)。

方法:
 2008年the Pennsylvania Health Care Cost Containment Council (PHC4) のICU退院記録をもとにして、われわれはレトロスペクティブコホート試験を計画した。われわれは非一般急性ケア病院やICU50床未満の病院については除外した。標準化病院特異的リスク調整院内死亡率、同30日死亡率について疾患重症度を調整したヒエラルキー回帰モデルによって計算した。われわれは”退院バイアス”を30日死亡率から院内死亡率を減じたものと定義した。線形回帰により退院バイアスと病院特性とを比較した。

結果:
 最終的に34932人の患者が128の病院で解析された。平均リスク調整病院特異的院内死亡率と同30日死亡率はそれぞれ10.4+1.2%、13.2+1.6%であった。平均病院特異的退院バイアスは2.8+1.2% (i.e. the average hospital's risk-adjusted mortality improved by 2.8% due to discharge bias)であり、その幅は-1.4% から6.2%であった。
 総じて、退院バイアスは小さい病院や非教育病院において高い傾向がみられた。

by otowelt | 2012-05-25 12:27 | 集中治療

ATS 2012:気管支粘膜におけるサーファクタント蛋白減少がCOPD急性増悪に関与

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I. Berim, et al.
Relationship Of Bronchoalveolar Lavage Levels Of Surfactant Proteins A And D In COPD To Exacerbation Susceptibility, Severity Of Airflow Obstruction And Current Tobacco Smoke Exposure
ATS 2012, May 20, A1008


背景:
 SP-AとSP-Dは肺の免疫応答システムを反映するタンパクである。気道感染は、COPD急性増悪を惹起すると考えられており、われわれはSP-AとSP-Dの減少がCOPD急性増悪の感受性を増加させているのではないかと仮説づけた。

方法:
 20人の健康な非喫煙コントロールと、112人の安定したCOPD患者において、気管・気管支肺胞洗浄をおこない12ヶ月の間、急性増悪エピソードとともにフォローアップをおこなった。SP-AとSP-DはELISA法で測定した。

結果:
 112人のCOPD患者のうち、33人が1度以上の急性増悪エピソードを経験した。この間、残りの79人はそのエピソードはなかった。急性増悪患者において、有意にBALのSP-Aレベルが非増悪患者や健康コントロールに比べて低い傾向にあった(median 2691 vs 3847.5, 4484.5, respectively)。

結論:
 気管支粘膜のSP-Aレベルの低下が急性増悪のリスクとなっている可能性が示唆される。

by otowelt | 2012-05-25 12:25 | 気管支喘息・COPD

ATS 2012:サルコイドーシス関連肺高血圧症のおけるボセンタンの有用性

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R.P. Baughman, et al.
Bosentan For Sarcoidosis Associated Pulmonary Arterial Hypertension (BoSAPAH): A Double Blind, Placebo Controlled Trial
ATS 2012,


背景:
 サルコイドーシス関連肺高血圧:Sarcoidosis associated pulmonary hypertension (SAPH)は、死亡率を上昇させるとされている。ボセンタンは、SAPHに小規模のケースシリーズで有効性が示唆されている。

目的:
 ボセンタンとプラセボをランダム化二重盲検プラセボ対照試験において比較する。

方法:
 これはSAPHと右心カテーテル検査により診断された患者における多施設共同臨床試験である。肺血管作動性の薬剤を使用されている患者は登録されていない。適格基準は、右心カテーテルによる肺動脈平均圧が>25 mm Hg、肺毛細血管楔入圧< 18mmHg、2度の6分間歩行距離で<10%の誤差であるサルコイドーシス患者とした。患者はランダムにボセンタンとプラセボに2:1に割りつけられた。ボセンタンは62.5mgを1日2回4週間投与とした。もし状態が安定しておれば、ボセンタンの用量を125mg1日2回まで増加し12週間投与も可とした。治療開始16週間後における右心カテーテル検査と6分間歩行試験をおこない、解析した。

結果:
 43人の患者がこのスタディに登録された。4人が薬剤を投与されなかった。ボセンタンを投与された25人のうち2人が8週までに治療をストップした。16週目において、23人が6分間歩行試験をおこない、21人が右心カテーテル検査をおこなった。14人がプラセボ投与群であったが、2人が8週までに中断している。16週目において、12人が6分間歩行試験をおこない、9人が右心カテーテルを受けた。
 ボセンタン群の平均肺動脈圧は、0週目36+ 7.0 → 16周目32+ 8.8 であり、プラセボ群は30+ 4.2 → 31+ 6.3 。肺血管抵抗は、ボセンタン群で6.1+ 2.97 → 4.4+ 2.03と改善。

結論:
 サルコイドーシス関連肺高血圧症の患者におけるボセンタン投与は、16週間後において6分間歩行距離は有意差がみられないものの肺動脈圧の改善がみられた。

by otowelt | 2012-05-25 11:58 | びまん性肺疾患

ATS 2012:胸水中プロカルシトニンは肺炎随伴性胸水診断に有用かもしれない

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胸水中○○、というのは結構スタディが組みやすい上、予想通りのアウトカムになることが多い。

S.H. Lee, et al.
Diagnostic Value Of Procalcitonin In Differentiating Parapneumonic Effusion From Tuberculous Pleurisy Or Malignant Effusion
ATS 2012,


方法:
 60人の患者:肺炎随伴性胸水(n = 18);結核性胸膜炎(n = 25);悪性胸水(n = 17)において、胸水中プロカルシトニンおよび血清のプロカルシトニンを検査した。

結果:
 胸水中プロカルシトニンは肺炎随伴性胸水において、結核および悪性と比較すると有意に高かった(p < 0.001)。血清プロカルシトニンを用いた肺炎随伴性胸水診断の場合カットオフ値0.07 ng/mLで感度83.3%、特異度71.0%であった。胸水中プロカルシトニンのカットオフ値0.06 ng/mLで、感度83.3%、特異度69.1%であった。血清プロカルシトニンの方が診断精度は胸水より高く、ROC下面積は血清0.842、胸水0.784であった(p = 0.005)。

結論:
 血清および胸水中のプロカルシトニンはいずれも肺炎随伴性胸水と結核性胸膜炎、悪性胸水を鑑別する上で有用であると思われる。

by otowelt | 2012-05-25 11:36 | 感染症全般

ATS 2012:COPD患者におけるブデソニドの肺炎上昇リスクはなし

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D. Sin, D, et al.
An Update On The Risk Of Pneumonia Related To Budesonide Use In COPD: Pooled Analysis
ATS 2012, Session B41, May 21 ,Abstract 2945


背景: 
 COPDのける吸入ステロイド薬が肺炎リスクを増加させるのではないかと考えられている。しかしながら、2009年におけるわれわれの7試験でのメタアナリシスにおいて、ブデソニドを使用するCOPD患者で肺炎リスクは上昇しないことと報告した。

目的:
 最近の大規模試験を追加し、8つの試験データを解析した。

方法:
 8試験は、試験期間が最低6ヶ月以上であり、ブデソニド単剤もしくはブデソニド/ホルモテロール配合剤を使用するCOPD患者群と、コントロール群として吸入ステロイド薬を使用しない患者群とを比較検討した二重盲検試験である。有害事象、重篤有害事象をフォローアップした。最低3ヵ月ごとの肺炎の発症状況を記録。

結果:
 ブデソニドの吸入量は1日当たり320μgから1280μg。全例FEV1/ FVC<0.7のCOPD患者で、1試験を除くと、喫煙歴は≥10pack・yearsであった。患者8260人のうち4616人がブデソニド群(単剤または配合剤)、3644人がコントロール群に割り付けられた。患者背景に2群間の差はみられなかった。
 ブデソニド群とコントロール群との間に、12ヶ月間の治療期間中有害事象として発生した肺炎リスクに有意差はみられなかった(ブデソニド群3.9%、コントロール群3.3%)。ブデソニド群の肺炎発症のハザード比は1.12(95% CI: 0.89-1.42)で、重症有害事象として発生した肺炎のハザード比は1.01(95% CI: 0.72 – 1.42)であった。肺炎発生までの期間は、2群間に差はみられなかった(有害事象p=0.30、重篤有害事象p=0.926)。
 ブデソニドとホルモテロール配合剤を使用した3試験を解析すると、高用量群と低用量群の間においても肺炎リスクは変わらなかった。

結論:
 8試験によるメタアナリシスによれば、ブデソニドによってCOPD患者の肺炎リスクは上昇しない。

by otowelt | 2012-05-25 07:06 | 気管支喘息・COPD