2012年 07月 15日 ( 2 )

テトラスパニンCD151の欠失により肺線維症を発症

テトラスパニンCD151ノックアウトマウスにおける大阪大学の研究。

Kazuyuki Tsujino, et al.
Tetraspanin CD151 Protects against Pulmonary Fibrosis by Maintaining Epithelial Integrity
Am. J. Respir. Crit. Care Med. July 15, 2012 vol. 186 no. 2 170-180


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は原因がはっきりしていない治療選択肢の少ない慢性肺疾患である。テトラスパニンは多くの疾患に関与するとされているが、線維化における役割はよくわかっていない。
 テトラスパニンCD151は、インテグリンなどの接着分子を細胞膜上の微小領域に配置することで細胞機能を調節する膜4回貫通型蛋白ファミリーであり、ヒトにおいてCD9, CD81, CD63を含めて現時点では34種類報告されている。

目的:
 テトラスパニンCD151の肺線維症における役割を明らかにする。

方法:
 CD151ノックアウトマウスにおいて、組織学的、生化学的、生理学的解析がおこなわれ、野生型マウスとCD9ノックアウトマウスと比較された。さらなる機構的な解析がin vitro, in vivoでおこなわれ、IPF患者からのサンプルにおいてもおこなわれた。

結果:
 マイクロアレイ試験において結合組織疾患に関連する遺伝子がCD151ノックアウトマウス肺において豊富に検出されたが、CD9ノックアウトマウスでは検出されなかった。これに合致するように、CD151ノックアウトマウスは、自然発生的に年齢に応じて肺の線維化が起こった。CD151欠失は肺線維芽細胞機能に影響を与えないが、基底膜において接着力が弱まることによって上皮整合性が減退することがわかった(肺上皮細胞の基底膜への接着が弱まることが肺線維症発症の原因であると示唆された)。CD151欠失肺胞上皮細胞は、p-Smad2活性化を伴う平滑筋型αアクチン(α-SMA)発現の増加によって、肺の線維化変化をもたらすものと推察される。
 CD151ノックアウトマウス肺における上皮の整合性の消失は経気道的ブレオマイシン曝露によって悪化し、死亡の増加を伴う重篤な肺線維化をきたした。IPF患者においてCD151陽性肺胞上皮細胞の数が減少していることもわれわれは突き止めた。

結論:
 CD151は、肺胞上皮細胞の機能を保つ上で重要な役割と果たす。CD151欠失は肺線維化をもたらし、上皮の基底膜との接着を弱める。CD151は線維化において防御的な役割と果たしており、これは線維化疾患における治療ターゲットとして有力なタンパクとなるかもしれない。

by otowelt | 2012-07-15 22:22 | びまん性肺疾患

EGFR-TKI と殺細胞性抗癌剤の併用

肺癌でEGFR-TKIと殺細胞性抗癌剤を併用することもあるので。

平野聡ら
EGFR-TKI による既治療肺腺癌に対するEGFR-TKI と殺細胞性抗癌剤による併用療法の効果
癌と化学療法 2012年 39巻2号p. 213 –219


目的:
 EGFR-TKI による既治療肺腺癌に対してEGFR-TKI と殺細胞性抗癌剤による併用療法の効果を検討する。

方法:
 2008 年5 月〜2010 年12 月にEGFR-TKI と殺細胞性抗癌剤の併用療法が行われた肺腺癌8 例について奏効率,病勢制御率,無増悪生存期間,治療成功期間,全生存期間について後方視的に検討した。

結果:
 EGFR 遺伝子の検索を行った7 例のうちEGFR 遺伝子変異を有していた症例は6 例,なし1 例であった。前治療数の中央値は5 レジメンであり,全症例がgefitinib,erlotinib のいずれもの治療歴を有していた。8 例のうちSD 6 例(うち3 例は血液毒性で後に継続困難),PD 2 例で病勢制御率は75%,治療成功期間中央値は42 日,無増悪生存期間は84 日,併用療法開始後の生存期間中央値は495 日であった。

結論:
 EGFR-TKI と殺細胞性抗癌剤の併用療法は症例によっては有用な治療法の選択肢の一つとなり得ると考えられた。

by otowelt | 2012-07-15 11:12 | 肺癌・その他腫瘍