2012年 07月 17日 ( 2 )

HIV感染予防薬としてのツルバダをFDAが承認

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賛否両論があったものの、今年5月頃に話題になったツルバダのPrEPについて、このたびFDAが承認した。


●米当局、エイズ予防薬を世界で初めて承認
http://www.nikkei.com/article/DGXNASGM1701R_X10C12A7EB2000/
 米食品医薬品局(FDA)は16日、既存のエイズ治療薬「ツルバダ」を、感染を防ぐための予防薬としても承認した。開発したカリフォルニア州のギリアド・サイエンシズ社によると、エイズ予防薬の承認は世界初。
 エイズの死者は治療薬の普及により減少しているが、米国では感染者数が年間5万人増加している。FDAのハンバーグ局長は「エイズとの戦いで、重要な節目となる」との声明を発表した。
 ツルバダは日本でもエイズ治療薬として販売されているが、ギリアド社によると、米国以外で予防薬としての申請はしていない。
 予防薬としての利用は、パートナーがエイズウイルス(HIV)感染者の場合など、感染リスクの高い人が対象。毎日の服用が必要で、年間約1万4千ドル(約110万円)かかるという。
 FDAによると、一方がHIV感染者のカップルを対象とした調査の結果、非感染者がツルバダを毎日服用した場合に、HIVに感染する危険が4分の1に減った。(日本経済新聞)

●米FDA、HIV感染予防薬を世界で初めて承認
http://www.afpbb.com/article/life-culture/health/2889803/9259569?ctm_campaign=txt_topics
 米食品医薬品局(FDA)は16日、米カリフォルニア(California)州に本社を置く製薬会社ギリアド・サイエンシズ(Gilead Sciences)が開発した抗レトロウイルス薬「ツルバダ(Truvada)」を、エイズウイルス(HIV)への感染を予防する薬として世界で初めて承認した。
 ツルバダは2004年にHIV感染者用の治療薬として承認を受けているが、健康な成人向けの暴露前感染予防薬(PrEP)としても今回新たに承認された。
 男性同性愛者や異性愛カップルを対象にした臨床試験でツルバダがHIV感染のリスクを軽減することが示されたことを受け、FDAの諮問委員会が5月にHIV感染予防約として承認するよう勧告していた。
 エイズ専門家の中にはHIVに対する強力な対抗手段になると歓迎する人がいる一方、医療従事者からは予防薬の登場により感染リスクの高い性行為が増えるのではないかと懸念する声も上がっている。
 また、この薬を服用するには年間1万4000ドル(約110万円)の費用が掛かると推定されており、多くの人には手が届かないとみられている。
 FDAはセーフセックス、リスク軽減のカウンセリング、定期的なHIV検査といった他の予防法を含む包括的なHIV予防策の一部としてツルバダを使用すべきだと勧告している。(AFP BBニュース)

●米当局がエイズ予防薬を初めて承認、「重要な節目」に
http://jp.reuters.com/article/worldNews/idJPTYE86G05C20120717
 米食品医薬品局(FDA)は、ギリアド・サイエンシズ(GILD.O: 株価, 企業情報, レポート)のエイズ治療薬「ツルバダ」について、感染リスクの高い人向けのエイズ予防薬としても初めて承認した。
 ギリアドによると、予防薬としての利用は、HIVに感染したパートナーと性交渉を持つ可能性がある場合など、感染リスクの高い人が対象。ツルバダは抗HIV薬2種類を1つの錠剤にしたもので、現在、他の抗レトロウイルス薬と組み合わせて、12才以上のHIV感染者の治療に用いられている。
 ツルバダを予防薬として使用する場合は、安全な性行為や感染リスク削減のためのカウンセリング、定期的なHIV検査とともに毎日服用することになる。
 FDAのマーガレット・ハンバーグ局長は「エイズとの戦いで今日の承認は重要な節目となる」と述べた。同局長によると、米国では毎年、HIV感染者数が約5万人増えているという。 
 2010年に発表された報告書では、ツルバダを毎日服用した男性同性愛者のHIV感染率は44%低くなったことが明らかになっている。
 ただ、今回の承認が人々に誤った安心感を与え、コンドームの使用率が下がり危険な性行為が増えるなどと懸念する声もある。
 承認の一環としてFDAはツルバダの警告ラベル表示を強化し、医師に対して同薬の処方前と、服用中は最低3カ月に1回の頻度で服用する人がHIVに感染していないか検査するよう徹底させる。(ロイター)

●Truvada approved by FDA as first HIV-prevention pill
http://www.cbsnews.com/8301-504763_162-57473116-10391704/truvada-approved-by-fda-as-first-hiv-prevention-pill/
Truvada has been approved by the Food and Drug Administration as the first pill to prevent HIV.
 Gilead Sciences' Truvada has been taken by people over 12 with human immunodeficiency virus in conjunction with other antiretroviral drugs since it was first approved by the FDA in 2004. The new approval applies in combination with safer sex practices for preventative use in healthy individuals who are at a high risk for HIV or who may have sex with HIV-positive partners.
 "Today's approval marks an important milestone in our fight against HIV," FDA Commissioner Dr. Margaret A. Hamburg said in a press release. "Every year, about 50,000 U.S. adults and adolescents are diagnosed with HIV infection, despite the availability of prevention methods and strategies to educate, test, and care for people living with the disease. New treatments as well as prevention methods are needed to fight the HIV epidemic in this country."
 In the announcement, the FDA strongly recommended against Truvada's use to prevent disease transmission in individuals who may already have HIV.
 The most common side effects reported with Truvada were diarrhea, nausea, abdominal pain, headache and weight loss. Serious side effects were uncommon.
 In May, a panel of expert advisers who make recommendations to the FDA voted to back Truvada's use for HIV prevention in healthy, high-risk individuals but the FDA was not bound to accept the panel's recommendation. The experts at the time questioned the drug's effectiveness for females, who have shown much lower rates of protection in the research.
 Research showing Truvada may prevent HIV transmission first arose in 2010, when a government study found it cut infection risk in healthy gay and bisexual men by 42 percent, when accompanied by condoms and STD counseling. Another study found the pill may reduce HIV risk by 75 percent among heterosexual couples in which one partner is infected with the virus. Some doctors had already been prescribing Truvada off-label for HIV prevention.
 Following the FDA advisory panel's initial recommendation in May, some HIV advocates hailed the announcement as "nearing a watershed moment in our fight against HIV."(CBS News)

by otowelt | 2012-07-17 17:50 | 感染症全般

肺炎球菌性化膿性筋炎

肺炎球菌性化膿性筋炎_e0156318_11284958.jpg肺炎球菌性化膿性筋炎の話題。

Rebecca J. Zadroga, et al.
Pneumococcal Pyomyositis: Report of 2 Cases and Review of the Literature
Clin Infect Dis. (2012) doi: 10.1093/cid/cis424


背景:
 Staphylococcus aureus, Streptococcus pyogenesなどは化膿性筋炎の最たる病原微生物であるが、Streptococcus pneumoniaeは、pyomyositis:化膿性筋炎の原因としてはまれである。1972年に報告されてから(Journal of neurosurgery 1977; 47:755–60.)、いくつか成人および小児での報告はみられるものの、この肺炎球菌性化膿性筋炎が、宿主の免疫ステータスによって臨床的表現型が異なるのかどうか定かではない。

方法:
 われわれは2人の肺炎球菌性化膿性筋炎患者を報告し、これまでの全症例のレビューをおこなうことで、健常者とリスク宿主との間の臨床的特性を比較した。

症例1
 47歳のAfrican Americanの男性は、4週間続く左肩の鈍痛を自覚していた。彼は20年前にHodgkin lymphomaと診断され、マントル照射と脾摘を受けている。入院4か月前に肺炎球菌ワクチンを接種していたものの、S. pneumoniae type 19Aの菌血症を伴う肺炎と診断された。抗菌薬治療によって軽快したものの、悪性リンパ腫が再発した。その後R-CHOPを施行し、化学療法中に自己免疫性溶血性貧血を発症。化学療法は断念し、高用量のステロイド治療に切り替えられた。入院4週間前に左肩の疼痛が悪化、この前に何度か同様の主訴で診察されているものの、発熱もなく身体所見も特に異常はみられなかった。CTガイド下生検によって、筋肉内にS. pneumoniae type 19Aの膿瘍が同定された。診断後、cephalexin 1g1日3回経口投与を6週間続けた。その後再発なく経過している。

症例2
 妄想型統合失調症、アルコール依存症、HCV感染症(未治療:HCV load, 3780000copies/mL)のある52歳のホームレス男性が発熱と右膝の腫脹を主訴に来院。彼は11日前に膝に鈍的外傷を受けており、その頃から膝が腫れているとのことであった。38.8℃で白血球は17800/mm3であった。膝関節液からS. pneumoniaeが検出された。血液培養は陰性であった。右膝周囲から皮下組織・筋肉にかけて広範囲に膿瘍がみられ、これらからもS. pneumoniaeが検出された。彼は外科的ドレナージを要し、ceftriaxone 1g1日1回点滴静注を2週間続け、その後1週間のモキシフロキサシン経口投与をおこなった。治療後、コンタクトがとれなくなった。

結果:
 合計35症例の肺炎球菌性化膿性筋炎が報告されており、11人は生来健康であった患者、24人がリスク因子を持つ患者であった。リスクは、Advisory Committee on Immunization Practices (ACIP)に基づいて以下の因子を含むものとした:65歳以上あるいは2歳未満、慢性心疾患、慢性肺疾患、糖尿病、髄液ろう、人工内耳、アルコール依存、慢性肝疾患、喫煙者、鎌状赤血球症およびヘモグロビン症、無脾、HIV感染症、慢性腎疾患、白血病、悪性リンパ腫、悪性疾患、免疫抑制剤使用(ステロイド含)、臓器移植患者、多発性骨髄腫。
 患者の3分の2が、先行する気道症状あるいは髄膜炎を有していた。リスク宿主は、筋感染症状の発生とその診断に長いインターバルをもつ傾向にあり、症状顕在化時に播種性であるリスクが有意に高かった。リスク因子のある患者のうち79%がドレナージを受けていたが、これは生来健康であった患者でも同等の比率であった。病態が複雑となった患者の頻度は有意にリスクのある患者群で多かった(p=0.04)(これは、死亡、臓器不全、続発性感染症、複数のデブリードマン、遷延するdeformity(機能不全、変形)と定義)。
肺炎球菌性化膿性筋炎_e0156318_1117933.jpg

結論:
 1人の死亡を除くと、抗菌薬および外科的治療によって総じて生存予後は良好であった。しかしながら、リスクのある患者においては症状が複雑になることを予測しておく必要がある。

by otowelt | 2012-07-17 06:58 | 感染症全般