2012年 10月 10日 ( 2 )

上葉優位の気腫は、呼吸機能低下がはやい

上葉優位の気腫は、呼吸機能低下がはやい_e0156318_23175684.jpg COPD患者さんで、上葉優位か下葉優位になる要素が何なのか、厳密には解明されていません。教科書的には単純に換気血流比によるものと考えられていますが(Chest 1982; 82: 483–487.)、ある研究では、2酵素におけるポリモルフィズムが解毒に関与しておりこれが上下の差として寄与しているのではないかともされています(Am J Respir Crit Care Med 2007; 176: 42–48.)。

Firdaus A.A., et al.
Computed tomography-quantified emphysema distribution is associated with lung function decline
ERJ October 1, 2012 vol. 40 no. 4 844-850


背景:
 肺内の気腫の分布はCOPD患者にみられるが、しかしながら胸部CTの気腫定量評価(上葉/下葉)が、重喫煙(既往も含む)の患者において呼吸機能の減少と関連しているかどうかよくわかっていない。

方法:
 University Medical Center Utrecht (Utrecht, the Netherlands)で施行。
 the Dutch–Belgian Lung Cancer Screening Trial (NELSON)試験に参加した587人の男性で胸部CTと呼吸機能検査をおこない、中央フォローアップ期間2.9年(IQR 2.8-3.0)後に再検査をおこなった。肺は解剖学的肺葉に基づいて自動的に分離解析された。気腫の重症度は、自動的に肺葉ごとに定量化され、15パーセンタイル(Perc15)を用いた評価とした。気腫の分布とFEV1/FVC、FEV1、FVCの減少を関連づけるため、線形混合モデルが使用された。

結果:
 平均年齢±SDは、60.2±5.4歳で、平均ベースラインFEV1/FVCは71.6±9.0%、全平均Perc15は-908.5±20.9 HUであった。喫煙歴は平均で41.2±18.7 pack-yrsであり、登録時に305人(50.1%)が喫煙歴のある患者で、304人(49.9%)が現喫煙者であった。上葉優位気腫のある参加者は、下葉優位気腫のある場合と比較すると、フォローアップ後は低いFEV1/FVC, FEV1、FVCであった(p=0.001)。
上葉優位の気腫は、呼吸機能低下がはやい_e0156318_2315672.jpg
結論: 
 CT定量化による重喫煙者の上葉優位の気腫性病変は、下葉優位の気腫性病変と比較してはやい呼吸機能悪化がみられる。

by otowelt | 2012-10-10 23:24 | 気管支喘息・COPD

気管支拡張症における気道細菌量は、気道炎症、全身性炎症、気管支拡張症増悪と相関

気管支拡張症における気道細菌量は、気道炎症、全身性炎症、気管支拡張症増悪と相関_e0156318_2246178.jpg 嚢胞性線維症やびまん性汎細気管支炎と違って、通常の気管支拡張症患者さんでは抗菌薬による予防的効果についてはあまりスタディされていないのが現状です。マクロライドについてはいくつかスタディがあります(Eur Respir J 1999; 13:361.、Respir Med 2008; 102:1494.)。

James D. Chalmers, et al.
Short- and Long-Term Antibiotic Treatment Reduces Airway and Systemic Inflammation in Non–Cystic Fibrosis Bronchiectasis
Am. J. Respir. Crit. Care Med. October 1, 2012 vol. 186 no. 7 657-665


背景:
 気管支拡張症における負のサイクル仮説(vicious cycle hypothesis )は、細菌のコロナイゼーションが気道炎症をもたらし肺にダメージを与えるという議論をもたらしている。この仮説を理論的に拡張すれば、急性あるいは慢性の抗菌薬治療が気道炎症や臨床アウトカムを改善させるという見方ができる。しかしながら、この仮説を非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者で裏付けるデータは少ない。

目的:
 非嚢胞性線維症の気管支拡張症患者において、急性あるいは慢性の抗菌薬治療が、気道炎症や臨床アウトカムを改善させるかどうか検証する。

方法:
 細菌量と気道炎症、全身性炎症との関連性を385人の患者において調べた。15人の病状が安定した患者、34人の気管支拡張症増悪患者が静注抗菌薬で治療された。長期抗菌薬治療については、12ヶ月のゲンタマイシンネブライザー治療を受けた患者からの検体を使用した。

結果:
 病状が安定した患者において、気道細菌量と気道炎症マーカーに相関がみられた(P < 0.0001 for all analyses)。高い細菌量では、高い血清ICAM-1、E-セレクチン、VCAM-1が観察された(P < 0.05 above bacterial load ≥1 × 107 cfu/ml)。病状が安定した患者では、気道細菌量と引き続く気管支拡張症増悪(OR 1.20; 95% CI 1.11–1.29; P < 0.0001)、重度の増悪(OR 1.11; 95% CI 1.01–1.21; P = 0.02)と関連していた。短期および長期抗菌薬治療は、気道細菌量の減少、気道炎症、全身性炎症の軽減と関連していた。

結論:
 非嚢胞性線維症の気管支拡張症のける気道細菌量の多さは、気道炎症、全身性炎症、気管支拡張症増悪と関連していた。短期および長期の抗菌薬治療は、気道および全身性炎症マーカーの減少に寄与していた。

by otowelt | 2012-10-10 22:54 | 感染症全般