2012年 10月 18日 ( 2 )

TOPICAL試験:エルロチニブ開始から28日以内の皮疹はOS延長

TOPICAL試験:エルロチニブ開始から28日以内の皮疹はOS延長_e0156318_11294571.jpg呼吸器内科医の皆さんはご存じと思いますが、BR.21試験で発疹のGradeが上がれば上がるほど生存期間の中央値は延長することが示されています。これを再確認するような論文がLancet Oncologyから出ました。28日以内以降皮疹が出なければ逆に生存に不利益であるという内容もインパクトが強いものです。

Siow Ming Lee, et al.
First-line erlotinib in patients with advanced non-small-cell lung cancer unsuitable for chemotherapy (TOPICAL): a double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial
The Lancet Oncology, Early Online Publication, 16 October 2012


背景:
 進行非小細胞肺癌(NSCLC)の多くの患者は、パフォーマンス・ステータスが不良であるか合併症があるために日々のケアを受けているだけである。われわれは、エルロチニブがこれらの患者の臨床アウトカムを改善させるかどうか調べた。

方法:
 TOPICAL試験は、ランダム化プラセボ対照第III相二重盲検試験であり、イギリス78の施設でおこなわれた。適格基準は、新規診断で病理学的にNSCLCであると診断された病期IIIあるいはIVの患者で、化学療法投与歴、脳転移症状がないもの、パフォーマンス・ステータスが2以上あるいは合併症の存在から化学療法の適応に無いと判断されたものとした。また、患者は予後が少なくとも8週を見込めるものとした。
 患者はランダムに1:1にプラセボ群とエルロチニブ群(150㎎/日)に割り付けられた。薬剤は、増悪がみられるか毒性が容認できないと判断されるまで続けられた。研究者、臨床医、患者はどちらの群に登録されたかわからないようにした。
 プライマリエンドポイントは、全生存期間(OS)とした。ITT解析がおこなわれ、サブグループ解析では治療開始28日以内のエルロチニブによる皮疹を含めた。

結果:
 2005年4月14日から2009年4月1日までの間、われわれはランダムに350人の患者をエルロチニブ群に、320人の患者をプラセボ群に割り付けた。2011年3月31日までフォローアップを続けた。657人が死亡し、OS中央値は両群に差はみられなかった(エルロチニブ 3.7ヶ月, 95% CI 3.2—4.2, vs プラセボ 3.6 months, 3.2—3.9; 非補正ハザード比[HR] 0.94, 95% CI 0.81—1.10, p=0.46)。エルロチニブ群の59%の患者(302人中178人)が1ヶ月時の皮疹の解析が可能であり、この皮疹についてはOSの独立因子であった。投与1ヶ月以内の皮疹が出た患者は、プラセボ群と比較してOSがよかった(HR 0.76, 95% CI 0.63—0.92, p=0.0058)。プラセボ群と比較すると、皮疹が1ヶ月以内にみられなかった患者はOSが不良であった(HR 1.30, 1.05—1.61, p=0.017)。Grade 3あるいは4の下痢はエルロチニブ群によくみられた(8% [28 of 334] vs 1% [four of 313], p=0.0001)。同様に、高度の皮疹(23% [79 of 334] vs 2% [five of 313], p<0·0001)もエルロチニブ群に多かった。そのほかの有害事象については両群で有意差はみられなかった。

結論:
 化学療法の適応にないと判断されたNSCLC患者ではエルロチニブ投与が可能である。投与開始から28日以内に皮疹が起こればエルロチニブの継続に妥当性があるが、一方で28日をこえても皮疹が出ない場合は生存に不利益があるためエルロチニブを続けるべきではないかもしれない。

by otowelt | 2012-10-18 11:30 | 肺癌・その他腫瘍

デング熱における経口ステロイドは合併症予防に効果なし

最近輸入感染症に罹患した患者さんの診断が遅れたため、個人的に勉強している領域だったので非常にタイムリーな論文でした。

Dong T. H. Tam,et al.
Effects of Short-Course Oral Corticosteroid Therapy in Early Dengue Infection in Vietnamese Patients: A Randomized, Placebo-Controlled Trial
Clinical Infectious Diseases 2012;55(9):1216–24


背景:
 デング熱の患者は血液量減少性ショック、血小板減少、出血を含む重篤な合併症を起こしうる。早期のステロイド治療が、こういった合併症を起こすことを予防できるかもしれないとされているが、ウイルス排泄を長期化させる恐れがある。まだ一定の見解はないのが現状である(Journal of Infection 2001;42:104―15.)。

方法:
 われわれは、ベトナムのホーチミンにおいて5-20歳の患者で発熱72時間以下であるデング熱の患者に対して、低用量経口ステロイド(0.5 mg/kg)あるいは高用量経口ステロイド(2 mg/kg)を3日間投与するランダム化プラセボ対照試験を実施した。これによって、ステロイド使用がウイルス血症の際にどのような潜在的弊害をもたらすか検証した。
 ただし、体重20kg未満、すでにデング熱の合併症を発症している患者、既往歴に重篤な合併症がある患者などは除外された。
 デング熱の合併症として認識されているものに加え、われわれはウイルス血症の経時的観察のAUC、ウイルス血症が陰性化するまでの日数、デングウイルス非構造タンパク1ステータスに焦点を当てた。

結果:
 2009年8月から2011年1月までの間、396人がスクリーニングされ、結果的に225人の参加者が1-3の治療群に割り付けられた。ベースラインの臨床的特徴については3群とも同等であった。全患者は全快し、有害事象はまれであった。ステロイド投与患者は高血糖がみられたが(P = .07, trend test)、どの治療群においても臨床的、血液学的、ウイルス学的エンドポイントに相関がみられなかった。
デング熱における経口ステロイドは合併症予防に効果なし_e0156318_0245239.jpg
結論:
 経口プレドニゾロンを早期デング熱患者に用いても、ウイルス血症の延長や有害事象に関連はみられなかった。効果を解析するには至らなかったものの、ショックやその他の合併症の軽減も観察されなかった。

by otowelt | 2012-10-18 05:46 | 感染症全般