2012年 12月 03日 ( 2 )

メタアナリシス:ファーストライン白金製剤ベースの化学療法にベバシズマブを加えることでOS、PFSの改善

 アバスチンのメタアナリシスです。トータルのOS延長と捉えるには早計かもしれません。OSの95%信頼区間上限が0.99なので、かなりきわどい結果です。サブセット解析での腺癌、体重減少が軽度である患者群には有効であろうと考えられますが、新しい第II/III相試験が1つ出るたびにメタアナリシスをすぐに行う研究者がおられるので(たとえばJO19907)、メタアナリシス=揺るぎないものという神話に振り回されないように気を付けないといけません。
 そういった意味では、単一のよく練られた第III相試験の方が信頼性が高いようにすら思うことがあります。

Soria JC, et al.
Systematic review and meta-analysis of randomised, phase II/III trials adding bevacizumab to platinum-based chemotherapy as first-line treatment in patients with advanced non-small-cell lung cancer.
Ann Oncol. 2012 Nov 23. [Epub ahead of print]


背景:
 これまでの試験で、非小細胞肺癌(NSCLC)のベバシズマブの効果と安全性が示されている。

方法:
 手術不能局所進行NSCLC、再発あるいは転移性NSCLCに対する、白金製剤ベースのファーストライン化学療法におけるベバシズマブ上乗せ効果を比較したランダム化比較試験のメタアナリシスを施行した。
 ハザード比(HR)、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)、有害事象におけるオッズ比(OR)を算出した。χ2検定によって治療効果、予後予測因子、患者背景の相互作用を評価した。

結果:
 第II/III相試験において、2194人の患者データ(1313人:ベバシズマブ、881人:コントロール)が抽出された(試験は第II相:AVF-0757g, JO19907, 第III相:ECOG 4599, AVAiL)。
 化学療法単独と比べて、ベバシズマブは有意にOS(HR 0.90; 95%CI0.81, 0.99; P = 0.03)およびPFSを延長(0.72; 95% CI 0.66, 0.79;P<0.001)。ベバシズマブは他の組織型よりも腺癌に有意にOSへの効果が高くみられた(P = 0.02)。
メタアナリシス:ファーストライン白金製剤ベースの化学療法にベバシズマブを加えることでOS、PFSの改善_e0156318_1245333.jpg
(上:OS、下:PFS)
 
 サブセットでの腺癌、体重減少が5%以下と軽度である患者はこの恩恵を大きく受けた。
メタアナリシス:ファーストライン白金製剤ベースの化学療法にベバシズマブを加えることでOS、PFSの改善_e0156318_18112594.jpg
 ベバシズマブはgrade 3以上の蛋白尿、高血圧、出血性イベント、好中球減少、発熱性好中球減少症と関連していた。
 出版バイアスについての記載がほとんどない。

結論:
 進行NSCLCにおいて、ファーストラインの白金製剤ベースの化学療法にベバシズマブを加えることで有意にOSおよびPFSが延長する。

by otowelt | 2012-12-03 20:33 | 肺癌・その他腫瘍

膿性痰に基づくCOPD急性増悪の抗菌薬戦略の妥当性

以前、喀痰の色と細菌感染症の関連についてご紹介しました。この報告によれば、緑色や黄色の喀痰は細菌感染の可能性が高いという結果でした。

・喀痰の色が緑色か黄色であれば細菌培養の陽性率が高い
膿性痰に基づくCOPD急性増悪の抗菌薬戦略の妥当性_e0156318_1911216.jpg
今月のERJから、喀痰の膿性とCOPD急性増悪に関連する報告がありました。Anthonisenの分類でも項目の1つとして挙げられているので、呼吸器科医にとっても重要な所見だろうと思います。

Nestor Soler, et al. Sputum purulence-guided antibiotic use in hospitalised patients with exacerbations of COPD
ERJ December 1, 2012 vol. 40 no. 6 1344-1353


背景:
 入院を要するCOPD急性増悪の患者において、喀痰の膿性は下気道の細菌感染に関連している。われわれは、プロスペクティブ非ランダム化パイロット試験を組み、喀痰膿性度による抗菌薬治療戦略を計画した。これによって、膿性度とバイオマーカーの関連性を検証した。

方法:
 スペインのバルセロナ大学病院で施行。COPD急性増悪の入院患者において、抗菌薬の使用は喀痰膿性である(黄色あるいは緑色)患者に限定した。膿性でない患者は抗菌薬を使用しなかった。
 プライマリエンドポイトを入院中の治療失敗率とした。セカンダリエンドポイントは、短期および長期アウトカムパラメータとした。

結果:
 73人の患者を登録したところ、34人が非膿性の喀痰であった。定義上、Anthonisenの増悪分類に両群で差がみられた。治療失敗の基準を満たした割合に有意差はみられなかった(9% vs 10% 、p=0.51)。入院時の血清CRPは有意に膿性群の方が高かった(11.6 vs 5.3、p=0.006)。3日目のCRPも同様に膿性群で高値であった(2.7 vs 1.2, p=0.01)。血清プロカルシトニンは両群とも同等であった。
膿性痰に基づくCOPD急性増悪の抗菌薬戦略の妥当性_e0156318_1002611.jpg
 短期アウトカムに差はみられなかった。180日時点での急性増悪率については膿性群の方が高かった。長期アウトカムとしての呼吸機能に両群に差はみられなかった。

結論:
 これらの結果は、COPD急性増悪における抗菌薬を膿性痰に基づく戦略とするランダム化試験の仮説を支持するものである。血清CRPは、細菌性気管支感染症の存在診断に有用であると考えられる。

by otowelt | 2012-12-03 00:37 | 気管支喘息・COPD