2012年 12月 07日 ( 2 )

ベンゾジアゼピンは市中肺炎の発症・死亡リスクを上昇

ベンゾジアゼピンは市中肺炎の発症・死亡リスクを上昇_e0156318_13183343.jpg誤嚥リスクが高そうな高齢者の患者さんにベンゾジアゼピンをどんどん使おうとはさすがに思いませんが。

Eneanya Obiora,et al.
The impact of benzodiazepines on occurrence of pneumonia and mortality from pneumonia: a nested case-control and survival analysis in a population-based cohort
Thorax doi:10.1136/thoraxjnl-2012-202374


目的:
 ベンゾジアゼピンは、敗血症や重症患者における感染のリスク、死亡リスクの増加と関連していると考えられている。そこで、われわれはベンゾジアゼピンの使用が肺炎の死亡にどのくらい影響を与えるか調べた。

方法:
 29697人のコントロール群と4964人の市中肺炎の患者によるコホート内症例対照研究が、イギリスプライマリケア患者データベース(2001年~2002年)を用いて行われ、ベンゾジアゼピンと肺炎の関連性についてロジスティック回帰による解析をおこなった。市中肺炎4964例におけるベンゾジアゼピンの死亡率への影響を同定するためにCox回帰分析が用いられた。結果は補正オッズ比、補正ハザード比、95%信頼区間で提示した。

結果:
 ベンゾジアゼピンの曝露は市中肺炎のリスクを増加させた(OR 1.54, 95% CI 1.42 to 1.67)。ジアゼパム(セルシン®、ホリゾン®)、ロラゼパム(ワイパックス®)、テマゼパム(レストリル®)、ゾピクロン(アモバン®、ゾピクール®)が市中肺炎の発症リスクを増加させたが、クロルジアゼポキシド(バランス®、コントール®)は増加させなかった。
 それぞれの補正オッズ比については、ジアゼパム1.49 (95%CI 1.34 to 1.65)、ロラゼパム1.65 (95%CI 1.24 to 2.20)、テマゼパム1.43(95%CI1.29 to 1.59)、ゾピクロン1.98 (95%CI 1.49 to 2.64)、クロルジアゼポキシド1.19 (95%CI 0.88 to 1.62)。
 また、ベンゾジアゼピンは市中肺炎と診断された患者において、30日死亡率(HR 1.22 (95% CI 1.06 to 1.39))を増加させた。 現在のベンゾジアゼピン使用(HR1.35 (95%CI 1.10 to 1.64))、最近のベンゾジアゼピン(HR1.36 (95%CI1.04 to 1.79))も30日死亡率に寄与した。
 また、ベンゾジアゼピンは長期死亡率(HR 1.32 (95% CI 1.19 to 1.47))を増加させた。現在の使用、最近の使用、過去の使用すべてにおいて有意なハザード比上昇がみられた。
 ジアゼパム、クロルジアゼポキシド、ロラゼパム、テマゼパムは長期死亡に影響を与えた。
ベンゾジアゼピンは市中肺炎の発症・死亡リスクを上昇_e0156318_1222126.jpg
Discussion:
 過去の報告では、GABA受容体の抑制により免疫細胞の機能低下が示唆されている(Anesthesiology 2011:A765.)。例えば集中治療領域におけるミダゾラムは、非GABA系の鎮静薬と比較すると二次性感染症のリスク上昇が示唆されているが(JAMA 2009;301:489–99.)、感染自体には差はみられなかったという別の報告もある(JAMA 2012;307:1151–60.)。
 この論文における選択バイアスの可能性は拭い去れない上、‘急性下気道感染症’(ALRTI)の疾患コードが組み込まれており、厳密に肺炎リスクと関連しているかどうかは定かではない。しかしながら、臨床的に肺炎であろうと推定される疾患スペクトラムのリスク上昇と考えてよいだろう。

結論:
 ベンゾジアゼピンは市中肺炎による死亡リスクを上昇させる。この仮説は、ベンゾジアゼインの安全性プロファイルに対するさらなる臨床試験の必要性を促すものである。

by otowelt | 2012-12-07 12:31 | 感染症全般

EGFR-TKI投与による非小細胞肺癌の増悪後、EGFR-TKIにアリムタを併用することで良好な結果

良好な結果につながった可能性としてチミジル酸シンターゼのダウンレギュレーションが考えられます。

Yoshimura, Naruo, et al.
Prospective Assessment of Continuation of Erlotinib or Gefitinib in Patients with Acquired Resistance to Erlotinib or Gefitinib Followed by the Addition of Pemetrexed
Journal of Thoracic Oncology: 29 November 2012 doi: 10.1097/JTO.0b013e3182762bfb


背景:
 EGFR遺伝子変異のある非小細胞肺癌の患者にはゲフィチニブあるいはエルロチニブが効果を発揮する。しかしながら多くの場合、EGFR-TKIの治療の後に増悪する。われわれは、増悪がみられた患者に対してEGFR-TKIにペメトレキセドを併用することの効果と安全性を検証した。

方法:
 EGFR遺伝子変異があるIIIB/IV期の非小細胞肺癌でゲフィチニブあるいはエルロチニブ治療中に増悪がみられた患者に対して、EGFR-TKI投与下でペメトレキセドを併用した。ペメトレキセドは1日目に500mg/m2投与した。EGFR-TKIは2日目から16日目に投与した。増悪がみられるまでこれを3週ごとに繰り返した。プライマリエンドポイントは疾患制御率とした。

結果:
 2010年2月から2011年4月までに、27人の患者がこのスタディに登録した。14人がexon19のdeletion(E746-A750)、11人がexon 21の変異(L858R)であった。2人のEGFRステータスは不明であった。
 治療サイクル数中央値は6サイクルであった。全奏効率(CR+PR)は25.9%(95%CI 9.4%-42.4%)で、疾患制御率(CR+PR+SD)は77.8%であった(95%CI 62.1%-93.5%)。
EGFR-TKI投与による非小細胞肺癌の増悪後、EGFR-TKIにアリムタを併用することで良好な結果_e0156318_1383354.jpg
 Grade 3/4の血液毒性は、好中球減少(22.2%)、白血球減少(14.8%)、貧血(7.4%)がみられた。Grade4の非血液毒性は観察されなかった。主要なGrade3の非血液毒性は、食欲不振(14.8%)、感染(14.8%)、疲労感(11.1%)であった。
 無増悪生存期間中央値は7.0ヶ月であり、生存期間中央値は11.4ヶ月であった。治療関連死は観察されなかった。
EGFR-TKI投与による非小細胞肺癌の増悪後、EGFR-TKIにアリムタを併用することで良好な結果_e0156318_1302892.jpg
結論:
 EGFR-TKI投与中の増悪後に、ペメトレキセドを併用することで良好な治療反応性と忍容性が得られた。

by otowelt | 2012-12-07 00:45 | 肺癌・その他腫瘍