2012年 12月 16日 ( 3 )

クリスマスBMJ:訓練されたビーグル犬はClostridium difficileのにおいがわかる

毎度おなじみクリスマスBMJ。犬の動画つきで最高にかわいい論文です。

Christmas BMJ 2012
Marije K Bomers, et al.
Using a dog’s superior olfactory sensitivity to identify Clostridium difficile in stools and patients: proof of principle study
BMJ2012;345doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e7396(Published 13 December 2012)


目的:
 犬の嗅覚が便検体や院内の患者におけるClostridium difficileの同定に有用かどうかを検証する。

デザイン:症例対照研究

セッティング:2つの大きなオランダ教育病院

理念:
 2歳のビーグル犬をC.difficileのにおいを同定するよう訓練し、300人の患者(30人のC.difficile感染者と270人ノコントロール)でテストした。

介入:
 ビーグル犬は訓練者に寄り添って病棟内を案内され、登録された患者が感染者かどうかは犬および訓練者に対して盲検下された。
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 犬は、C.difficile感染者を同定した場合に「おすわり」あるいは「まて(ふせ)」をおこなうよう訓練された。
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主要アウトカム:
 便検体や患者のC.difficile感染の同定におけるビーグル犬の嗅覚の感度と特異度。

結果:
 便検体においてC.difficile感染を同定するための犬の感度と特異度は、いずれも100%であった(95%信頼区間91%-100%)。ラウンドでの同定中、患者に対して犬はC.difficile感染者30症例中25例(感度83%, 95%信頼区間65%-94%)、コントロール患者270症例中265例で正しく同定できた(特異度98%,95%信頼区間95%-99%)。
 患者病態と犬の嗅覚の結果が不一致であった症例については、以下の状況が観察された。
・犬が床のプラスチックのカップに気を取られてボーっとしていた
・塩素のにおいが邪魔をした
・ある患者2人がベッドをチェンジしていたため、どっちが真の感染者かわからず、ベッドの間をウロウロしていた
・陰性患者であり、このスタディの協力を拒否していたが、どういうわけか犬がエキサイトして部屋に突撃してしまい、なおかつその患者のそばに座ってしまった

ディスカッション:
 犬は、浮遊しているC.difficileを嗅覚で同定できる可能性がある。これは迅速診断において非常に有用と考えられる。しかし、個室に移動した感染患者に接したときに個室であるがゆえにいつもと違うふるまいを訓練者および犬にもたらした可能性は否定できない。また、今回の検証は1人の訓練者と1匹の犬で行われており、他の訓練者や犬で同等の結果がもたらされるかどうか不明である。 

結論:
 訓練された犬は、C.difficile感染の便検体および患者において高い感度と特異度で識別できる嗅覚を有する。

by otowelt | 2012-12-16 09:28 | その他

クリスマスBMJ:オリンピックのメダリストは一般市民より2.8年長生きする

毎度おなじみクリスマスBMJです。

Christmas  BMJ 2012
Philip M Clarke, et al.
Survival of the fittest: retrospective cohort study of the longevity of Olympic medallists in the modern era
BMJ2012;345doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.e8308(Published 13 December 2012)


目的:
 オリンピックのメダリストが一般的市民と比較して長生きなのかどうか検証する。

デザイン:
 レトロスペクティブコホート試験で、The OlyMADMen データベースより抽出した。The OlyMADMenデータベースは118442人のアスリートの情報(27の夏季、21の冬季オリンピック参加者:1896年のアテネから2010年のバンクーバーまで)が有用であった。

セッティングおよび参加者:
 15174人のオリンピックアスリートで1896年から2010年までにメダルを獲得した人が、9グループ(アメリカ、ドイツ、北欧、ロシア、イギリス、フランス、イタリア、カナダ、オーストラリア・ニュージーランド)から集積された。メダリストは国、年齢、性別、出生年度によって調整された一般市民とマッチされた。

主要アウトカム:相対条件つき生存

結果:
 メダリストはメダル獲得後30年の生存が一般市民に比べて有意に長かった(相対条件つき生存1.08, 95%信頼区間1.07 to 1.10)。メダリストはコントロール群と比べて平均2.8年長生きであった。9グループ中8グループにおいてメダリストは生存的利益が有意にみられた。
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 金メダル、銀メダル、銅メダルそれぞれでも同様の生存的利益がみられた。持久系のスポーツや持久系混合スポーツのメダリストは、パワースポーツよりもメダル獲得後30年の生存期間はより長かった(相対条件つき生存 1.13;95%信頼区間1.09-1.17、1.11;1.09-1.13 vs 1.05;1.01-1.08)。
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結論:
 オリンピックのメダリストは、国やメダルの種類、スポーツの種類を問わず一般市民よりも長生きである。このスタディはこの理由について解明するものではないが、遺伝的因子、身体的活動、健康ライフスタイル、経済的に裕福であること、国際的なスポーツの栄光によるステータスといった点が関与している可能性がある。

by otowelt | 2012-12-16 06:41 | その他

肺炎球菌性肺炎の胸部CT所見は区域性の肺実質性陰影が主体

レトロスペクティブでマッチ数(インフルエンザ桿菌性肺炎)が少ないのですが、個人的にはこういった論文は好きです。

Attiya Haroon, et al.
Pulmonary Computed Tomography Findings in 39 Cases of Streptococcus pneumoniae Pneumonia
Intern Med 51: 3343-3349, 2012


目的:
 このスタディの目的は、肺炎球菌性肺炎の胸部CT所見としてのコンソリデーションとスリガラス陰影の分布を記載することである。加えて、他の肺内の異常所見についても報告した。

方法:
 2008年11月から2010年1月までの間、われわれはレトロスペクティブに胸部CTを39人の肺炎球菌性肺炎の患者に施行した。インフルエンザ桿菌の8人の患者も比較のために組み込んだ。
 発熱、湿性咳嗽、CRP上昇を伴う白血球上昇がみられた19人の女性と28人の男性が組み込まれた。

結果:
 肺炎球菌性肺炎の患者の胸部CT所見は、コンソリデーション56.4%、スリガラス陰影71.7%、小葉間網状陰影69.2%、小葉中心性結節影53.8%、小葉間隔壁肥厚46.6%、気管支壁肥厚46.6%、リンパ節腫大10.2%、胸水10.2%であった。区域性分布は非区域性分布よりも多かった(65.7% vs 35.9%)。異常所見は14人で両側性、25人で片側性にみられた。左右ともに有意に下葉病変が多かった。一方、インフルエンザ桿菌性肺炎の8人の患者では、7人が非区域性分布のみであった。
肺炎球菌性肺炎の胸部CT所見は区域性の肺実質性陰影が主体_e0156318_0391544.jpg
結論:
 肺炎球菌性肺炎では、区域性の分布を呈する肺実質の異常が主体である。

by otowelt | 2012-12-16 00:43 | 感染症全般