2013年 05月 08日 ( 2 )

虚脱率50%以上の気胸は喫煙者に多く、外科治療を受ける可能性が高い

虚脱率50%以上の気胸は喫煙者に多く、外科治療を受ける可能性が高い_e0156318_21455116.jpg 興味深いスタディです。

Sayar A, et al.
Size of Pneumothorax can be a New Indication for Surgical Treatment in Primary Spontaneous Pneumothorax: A Prospective Study.
Ann Thorac Cardiovasc Surg. 2013 Apr 20.


目的:
 原発性自然気胸(PSP)の外科的治療は、エアリークが遷延したり気胸が再発する症例に適用される。われわれは外科的治療されたPSP症例において、気胸のサイズの影響について調べた。

方法: 
 2007年から2008年までに181人の入院PSP患者をレトロスペクティブに登録した。気胸の虚脱サイズがKircherとSwartzelの方法(J Am Med Assoc 1954; 155: 24-9.)によって計算された:(A-B)/A × 100。
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 これによってPSP患者を2群に分けた。すなわち、グループA:虚脱率が50%以上、グループB:ごく軽度の虚脱あるいは虚脱率50%未満の中等度例、である。

結果:
 気胸の平均虚脱サイズは、グループAで80.5 ± 10.4%(n = 54、29%)、グループBで39.5 ± 6.5% (n = 127、71%)だった。喫煙歴および喫煙インデックスはグループAで有意に多かった。(それぞれp = 0.02, p <0.001)。
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 55人の患者(29.3%)がエアリーク遷延あるいは同側の再発のため手術を要した。外科的治療を要した患者は有意にグループAで多かった(51.9% vs 19.7%, p <0.001)。エアリークの遷延率および気胸再発は有意にグループAで多かった(それぞれp = 0.007, p = 0.004)。
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 術後合併症や周術期合併症に外科治療を受けた両群で差はみられなかった。

結論:
 気胸のサイズは喫煙歴があったり喫煙インデックスが高い患者で大きい。外科的治療は虚脱率が50%以上である場合に考慮されるべきである。


by otowelt | 2013-05-08 15:07 | 呼吸器その他

Ziehl-Neelsen染色の考案者2:Friedrich Carl Adolf Neelsen

Ziehl-Neelsen染色の考案者2:Friedrich Carl Adolf Neelsen _e0156318_2041968.jpg Friedrich Carl Adolf Neelsenはユーテルゼン牧師館の助祭の息子として1854年3月に生まれました。Neelsenはライプツィヒ大学で医学を学び、22歳で医師の資格を得ました。その後、ライプツィヒ大学病理学講座でErnest Wagnerに師事し、病理学の研鑽を積みました。1878年にライプツィヒ大学からロストック大学へ場所を移し、1884年に30歳の若さでロストック大学の病理学講座の准教授となりました。

 1883年に結核菌の論文の中で、自身がかねてから個人的に使用していた染色法について記載しています。これが21世紀にまでZiehl-Neelsen染色として名を残すことになるとは、彼も思いもしなかったことでしょう。
 
 Neelsenはもともと細菌学にそこまで精通していたわけではなく、どちらかといえば解剖学に長けていたそうです。年間700以上の解剖をおこなった時期もありました。

 晩年(といってもまだ30代でしたが)は当時病理の世界では有名だったドレスデン工科大学で医学チーフとして働きました。

 1894年、妻と3歳の息子を残して40歳という若さでその生涯をドレスデンで終えたとされています。奇しくもその原因は、結核であったと言われています。1898年の44歳が没年であるという報告もありますが、インターネット上でも記載が分かれており、正確な没年の明記は避けます。

 なお、教科書に「ニールセン」と書いてあることもあるのですが、Neelsenの発音は「ニールセン」ではなく、「ネルゼン」あるいは「ネールゼン」が正しい発音です。


<音楽と医学>
モーツァルトの死因は毒殺だったのか?
ラフマニノフはMarfan症候群ではなかったのかもしれない
ショパンの死因は結核ではなかったかもしれない
ベートーヴェンの難聴と肝硬変の原因はワインの飲みすぎによる鉛中毒
ブラームスは外科医ビルロートの親友だった

<偉人たち>
Ziehl-Neelsen染色の考案者1:Franz Ziehl
Ziehl-Neelsen染色の考案者2:Friedrich Carl Adolf Neelsen
Boerhaave症候群の提唱者:Herman Boerhaave
Pancoast腫瘍の提唱者:Henry Pancoast
Clara細胞の発見者:Max Clara
サコマノ法の考案者:Geno Saccomanno
Mendelson症候群の提唱者:Curtis Lester Mendelson
Hoover徴候の提唱者:Charles Franklin Hoover
Gram染色の発見者:Hans Christian Joachim Gram




by otowelt | 2013-05-08 00:24 | コラム:医学と偉人