2013年 05月 19日 ( 21 )

ATS2013:中等度の気管支喘息に対するチオトロピウム吸入は吸入ステロイド薬への上乗せ効果がある

ATS2013:中等度の気管支喘息に対するチオトロピウム吸入は吸入ステロイド薬への上乗せ効果がある_e0156318_1115897.jpg


逆風の中でのチオトロピウム・レスピマット®の演題です。メインはあくまで吸入ステロイド薬に対する上乗せ効果についてです。

K.M. Beeh, et al.
Tiotropium In Asthma: A Dose-Finding Study In Adult Patients With Moderate Persistent Asthma,
ATS 2013, May 19, 2013, Thematic Poster Session


背景:
 912人の患者を組み込んだ1年におよぶ長時間作用型抗コリン薬・チオトロピウム(レスピマット® 5μg)の臨床試験では、吸入ステロイド薬(ICS)および長時間作用型β2刺激薬を使用しても軽快しない症状持続型の重度の気管支喘息に対して有意に重度発作を減らし呼吸機能を改善させた。この試験では、中等量のICSにチオトロピウムを上乗せすることの効果と安全性を検証した。

方法:
 この第II相二重盲検ランダム化プラセボ対照クロスオーバー試験では、登録喘息患者をランダムに4週間の治療に割り付けた。治療は、チオトロピウム(レスピマット製剤)3用量(1.25μg、2.5μg、5μg)、プラセボとした。プライマリ効果エンドポイントはFEV1peak(0~3h)とし、セカンダリエンドポイントはFVCpeak(0~3h)、トラフFVCpeak(0~3h)、FEV1曲線下面積(FEV1AUC(0~3h))、トラフFEV1とした。

結果:
 149人の患者がランダム化され、141人が試験を終えた。平均年齢は49.3歳で、平均の気管支拡張薬吸入前のFEV1は2.236Lだった。チオトロピウム3用量すべてにおいて統計学的に有意なプラセボとのFEV1peak(0~3h)の差がみられた(p<0.0001)。最も効果がみられたのは5μgの用量だった。セカンダリエンドポイントの呼吸機能の解析でもプライマリエンドポイントと一致する結果が得られた。FVC反応の著明な改善がチオトロピウム群で確認された。
ATS2013:中等度の気管支喘息に対するチオトロピウム吸入は吸入ステロイド薬への上乗せ効果がある_e0156318_12552987.jpg

 全ての治療において忍容性は問題なかった。全体での副作用についても治療群すべてで同等であった。最もよく見られた副作用は、喘息発作、鼻咽頭炎だった。

結論:
 チオトロピウムは、中等度の遷延性気管支喘息患者においてICSに上乗せが可能な、効果的で安全な気管支拡張薬である。最も効果がみられたのは、チオトロピウム・レスピマット®5μgの用量である。


by otowelt | 2013-05-19 23:53 | 気管支喘息・COPD

ATS2013:間質性肺疾患の診断に外科的肺生検が不要な症例

ATS2013:間質性肺疾患の診断に外科的肺生検が不要な症例_e0156318_1115897.jpg


J. Votava, et al.
Utility Of Transbronchial Biopsy Versus Surgical Lung Biopsy In The Diagnosis Of Patients With Suspected Idiopathic Interstitial Pneumonia
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


概要:
 間質性肺疾患(ILD)患者における外科的肺生検は侵襲性が大きく、すべての患者では行えない。われわれは、臨床所見や胸部HRCTデータと経気管支肺生検(TBB)を組み合わせることで外科的肺生検に遜色のない診断が可能になるのではないかと仮説を立てた。レトロスペクティブに33人のILD患者を登録し、年齢、性別、臨床症状、既往歴、喫煙歴、粉塵曝露歴、ILDの家族歴、陽性身体所見、呼吸機能検査、血液検査データなどを抽出した。3人の臨床医と2人の放射線科医と1人の病理医がHRCTとTBB/外科的肺生検データを検証した。全登録患者のうち10人は外科的肺生検が不要と考えられ、TBBとHRCTで十分診断が可能であった。

→ 外科的肺生検の必要性(遵守しなければならないという価値観)がまだまだ大きい可能性が示唆され、妥当な診断を得てなおかつ侵襲性を低くする方法を模索するべきだと述べられた。


by otowelt | 2013-05-19 23:49 | びまん性肺疾患

ATS2013:安静時動脈血酸素飽和度の変化は特発性肺線維症の予後予測因子である

ATS2013:安静時動脈血酸素飽和度の変化は特発性肺線維症の予後予測因子である_e0156318_1115897.jpg



M.R. Soares, et al.
The Value Of Oxygen Saturation In Monitoring The Idiopathic Pulmonary Fibrosis
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 努力性肺活量やDLCOの変化は、特発性肺線維症(IPF)の予後予測因子である。動脈血液ガス分析の変化はあまりあてにならないと考えられている。しかし動脈血酸素飽和度は広く使用されてものの、IPFの予後予測因子としての評価はなされたことがない。

目的:
 IPF患者において安静時および労作後の動脈血酸素飽和度を測定し、これらの変化を予後と相関させて解析すること。

方法:
 IPFは外科的肺生検でUIPパターンがあるものあるいはHRCTで蜂巣肺があるものを登録した。労作後の動脈血酸素飽和度については、6分間歩行試験あるいは階段昇降試験をおこなって採血した。 最初の評価から4~18ヶ月後に繰り返しこれらの評価をおこなった。

結果:
 132人の患者が登録された。33(25%)が外科的肺生検で診断された。平均年齢は69±8歳であった。登録時の努力性肺活量は予測値の76 ± 16%であった。93人(70%)が男性で90人(68%)が喫煙者あるいは既往喫煙者だった。フォローアップ期間中央値は32.5ヶ月(4~174ヶ月)だった。反復して検査がおこなわれたのは中央値で初回評価から7.6ヶ月後だった。生存期間中央値は57ヶ月で、65人が死亡した。
 初回安静時動脈血酸素飽和度は93.8 ± 3.4%で、フォローアップ時には92.3 ± 4.4% (paired t = 5.81, p<0.001)と低下していた。同様に初回労作後動脈血酸素飽和度は86.6 ± 6.5%で、フォローアップ時には84.6 ± 7.0% (paired t = 4.74, p<0.001)と低下していた。
 ベースラインから努力性肺活量が10%以上減少した36人は、減少しなかった患者96人と比較して生存期間が短かった(中央値45ヶ月 vs 63ヶ月、log rank = 4.70, p = 0.03)。Cox回帰分析では安静時動脈血酸素飽和度の低下は生存と関連しており(χ2 = 5.07, p = 0.035)、労作後の動脈血酸素飽和度の低下は関連していなかった(χ2 = 0.99, p = 0.32)。いくつかのカットオフ値を設定して解析したところ、安静時動脈血酸素飽和度が3%以上低下する場合に予後に与える影響が最も大きかった。安静時動脈血酸素飽和度が3%以上低下した45人の患者では生存期間中央値は27ヶ月(95% CI 14-40ヶ月)で、3%以上低下がなかった87人では66ヶ月(95% CI 44-80ヶ月)だった(χ2 = 10.45, p = 0.001)。

結論:
 IPF患者における安静時の動脈血酸素飽和度の変化は有意な予後予測因子である。特に3%以上の減少は予後不良である。


by otowelt | 2013-05-19 23:47 | びまん性肺疾患

ATS2013:クロファジミン含有レジメンは多剤耐性結核に有効

ATS2013:クロファジミン含有レジメンは多剤耐性結核に有効_e0156318_1115897.jpg


クロファジミンはリネゾリドやアモキシシリン/クラブラン酸と同じサードラインに位置づけられている抗結核薬です。

S. Tang, et al.
Clofazimine For The Treatment Of Multidrug-Resistant Tuberculosis: Multicenter, Randomized Controlled Study,
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


目的:
 多剤耐性結核(MDRTB)に対するクロファジミンの効果と安全性を検証する。

方法:
 われわれは喀痰培養陽性のMDRTB患者92人を登録した。患者はランダムにクロファジジミン治療群(46人)とコントロール群(46人)に割り付けられた。全ての患者はMDRTB診断時に喀痰塗抹陽性であった。いずれの群の患者もこれまで使用した薬剤プロファイルや結核菌の感受性にあわせて治療レジメンを選んだ。クロファジミン群は、このレジメンにさらに1日1回100mgのクロファジミンを21ヶ月にわたり追加した。

結果:
 いずれの群においても患者は副作用やその他の理由で治療を中断した。21ヶ月時点で喀痰培養陰性率はクロファジミン群で74.41%(43人中32人)、コントロール群で58.13%(43人中25人)だった(P <0.05)。病変の吸収率はクロファジミン群で81.39%(43人中35人)、コントロール群で60.46%(43人中26人)だった(P <0.05)。クロファジミン群のうち、39人は空洞性変化が初期の胸部CTでみられ、コントロール群では38人に空洞がみられた。治療開始21ヶ月時点での空洞閉鎖あるいは減少率はクロファジミン群で71.79%(39人中28人)、コントロール群で57.89%(38人中22人)だった(P <0.05)。皮膚の副作用はクロファジミン群の40人に観察された。肝機能障害や消化器症状などのほかの副作用は両群とも同等であった。

結論:
 MDRTBに対してクロファジミンを用いることは有意に臨床症状や病巣の改善、喀痰培養陰性化を助長する。



by otowelt | 2013-05-19 23:46 | 抗酸菌感染症

ATS2013:関節リウマチによる間質性肺疾患では機能的減衰とMMP-7上昇がみられる

ATS2013:関節リウマチによる間質性肺疾患では機能的減衰とMMP-7上昇がみられる_e0156318_1115897.jpg


T.J. Doyle, et al.
Functional Impact And Biomarkers Of Interstitial Lung Disease In Rheumatoid Arthritis
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景: 
 関節リウマチ患者(RA)の約10%がRA関連間質性肺疾患(RA-ILD)を有し、胸部CTでは無症候性のILDはRAの3分の1にみられるとされている。RA-ILDは、放射線学的にも病理学的にも特発性肺線維症(IPF)と類似している。この試験では、RA-ILDにおける機能的パラメータおよび血清MMP-7の潜在的役割を評価する。

結果:
 1145人のBRASS試験に登録された患者のうち、91人を本試験に組み込んだ。12人がRA-ILDで、34人が無症候性RA-ID、38人はILDが明らかではない者だった。RA-ILD患者は年齢が高く(65 vs. 53歳, p=0.0037)、重喫煙者であり(19 vs. 9 pack-year-history)、咳嗽(58% vs. 21%, p=0.027)および呼吸困難感 (67% vs. 21%, p=0.010)が多かった。また、1秒量(78% vs. 92%), 努力性肺活量(77% vs. 94%), DLCO (52% vs. 77%), 6分間歩行距離 (1451 vs. 1715 meters)は少ない傾向にあり、MMP7は増加していた (3174 vs. 1302)。同様に、無症候性RA-ILD患者でもMMP7は高値であった。
ATS2013:関節リウマチによる間質性肺疾患では機能的減衰とMMP-7上昇がみられる_e0156318_1144396.jpg

結論:
 RA-ILDは機能的減衰とMMP7の上昇に関連している。


by otowelt | 2013-05-19 23:42 | びまん性肺疾患

ATS2013:長期血液透析患者の市中肺炎は医療ケア関連肺炎として扱わなくてよい?

ATS2013:長期血液透析患者の市中肺炎は医療ケア関連肺炎として扱わなくてよい?_e0156318_1115897.jpg


S.B. Smith, et al.
Etiology Of Pneumonia In Hemodialysis Patients: Preliminary Results From The Centers For Disease Control And Prevention Etiology Of Pneumonia In The Community (EPIC) Study
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 ATS/IDSAの2005年の肺炎ガイドラインでは長期血液透析(CHD)患者を医療ケア関連肺炎(healthcare-associated pneumonia:HCAP)のリスク因子としており、MRSAや耐性グラム陰性桿菌を含めた広域スペクトラム抗菌薬治療を推奨している。しかしながら、CHDをHCAPのリスク因子として位置づけているにもかかわらず、地域に住むCHD患者の肺炎の疫学についてはほとんど情報がない。CDCのEPIC試験に組み込まれたCHD患者を評価し、この集団における市中肺炎の疫学の特徴を記した。

方法:
 臨床的および放射線学的に市中肺炎と診断されたシカゴおよびナッシュビルの5病院の救急部を受診した成人の血液培養、喀痰培養、LegionellaのPCR、尿中肺炎球菌抗原・レジオネラ抗原、呼吸器系感染性のあるウイルス・非定型細菌の鼻咽頭スワブPCRのデータを抽出した。EPIC試験の患者のうち、主要なHCAPのリスク因子を有さないCHDを要する成人が本解析対象となった。

結果:
 2010年1月から2012年6月までの間、2386人のうち96人(4%)が本試験に登録されたCHDの成人患者であった。 5人の患者は胸部レントゲン上浸潤影がなかったため、残りの91人を解析に組み込んだ。非CHDの市中肺炎患者と同様に、病原菌は12人(13%)に、病原ウイルスは18人(20%)に同定された。MRSA以外の耐性菌は確認されず、非CHD患者。1人は細菌およびウイルス両方が同定された(肺炎球菌+ライノウイルス)。HCAPのガイドラインベースの抗菌薬治療は49人のCHD患者(54%)で用いられ、9人(10%)はMRSAをカバーしていた。市中肺炎のガイドラインベースの抗菌薬治療は12人のCHD患者(13%)のみで使用されていた。

結論:
 CHD以外にHCAPのリスク因子を有さない成人市中肺炎の大規模試験コホートで、MRSA以外の耐性菌は同定されなかった。この集団において通常の市中肺炎治療を超えてグラム陰性菌カバーまで行う必要性は乏しいのではないだろうか。しかしながら、MRSAのカバーについては議論の余地がある。


by otowelt | 2013-05-19 23:41 | 感染症全般

ATS2013:入院を要する肺炎のアジスロマイシンは循環器系副作用をやや上昇させるが総死亡率は低下させる

近年、マクロライドと循環器系のリスクが話題になっています。NEJMやBMJでも報告がありましたね。
・Ray WA, et al. Azithromycin and the risk of cardiovascular death. N Engl J Med. 2012 May 17;366(20):1881-90.
・Schembri S, et al. Cardiovascular events after clarithromycin use in lower respiratory tract infections: analysis of two prospective cohort studies. BMJ. 2013 Mar 20;346:f1235. doi: 10.1136/bmj.f1235.


以下、今回のATSでの報告です。

ATS2013:入院を要する肺炎のアジスロマイシンは循環器系副作用をやや上昇させるが総死亡率は低下させる_e0156318_1115897.jpg


E.M. Mortensen, et al.
Azithromycin Is Associated With Increased Cardiac Events But Lower Mortality For Patients Hospitalized With Pneumonia
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 ガイドラインでは、入院を要する肺炎患者の初期治療にアジスロマイシンを含むマクロライドの使用を推奨しているが、近年の研究ではアジスロマイシンが心血管イベントを増加させるのではないかと考えられている。このスタディの目的は、アジスロマイシンの使用が総死亡率と心血管イベントに与える影響を検証することである。

方法:
 われわれはレトロスペクティブにDepartment of Veterans Affairs (VA)入院データを用いて試験をおこなった。このデータベースによって64歳以上の入院を要する肺炎患者を抽出した(2002年~2007年)。われわれは、抗菌薬をガイドラインに合致して使用している症例のみを登録し、入院から90日フォローアップした。アウトカムは総死亡率、不整脈イベント、うっ血性心不全、心筋梗塞、その他心疾患イベントとした。既知の交絡因子の影響をコントロールするために傾向スコアを用いた。

結果:
 20689人のアジスロマイシン使用群に対して、20689人の非使用群をそれにマッチさせた。
90日死亡率は有意にアジスロマイシン群で低かったが(オッズ比0.84, 95%信頼区間0.80-0.88)、心疾患イベント(オッズ比1.04, 95%信頼区間1.01-1.07)、うっ血性心不全(オッズ比1.04, 95%信頼区間1.01-1.08)、不整脈(オッズ比1.05, 95%信頼区間1.005-1.09)は有意に上昇した。しかし心筋梗塞のリスクは上昇させなかった(オッズ比1.11, 95% CI, 0.98-1.25)。

結論:
 入院を要する肺炎患者において、アジスロマイシンは総死亡率を有意に低下させるものの心血管イベントをやや増加させた。われわれの試験では、現在のアジスロマイシンを用いた抗菌薬併用治療を推奨するガイドラインを支持する立場としたい。



by otowelt | 2013-05-19 23:38 | 感染症全般

ATS2013:特発性器質化肺炎は肺胞腔内にフィブリン沈着が高度である場合に再発しやすい

ATS2013:特発性器質化肺炎は肺胞腔内にフィブリン沈着が高度である場合に再発しやすい_e0156318_1115897.jpg


ATS2013:特発性器質化肺炎は肺胞腔内にフィブリン沈着が高度である場合に再発しやすい_e0156318_11382390.jpgCOPの再発に関する非常に興味深い報告です。

R.L. Kradin, et al.
Intralveolar Fibrin Predicts Clinical Relapse In Patients With Cryptogenic Organziing Pneumonia
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 特発性器質化肺炎(COP)はステロイドに反応性のあるよく経験する間質性肺炎である。しかしながら、COP患者の中にはステロイド抵抗性であったりステロイド漸減中に再発する症例も存在する。

方法:
 われわれは、初期6ヶ月に再発することを予測できるかもしれない因子を同定するべく、COP患者の臨床的、放射線学的、病理学的特徴を調べた。
 マサチューセッツ総合病院病理部において診断された86人の器質化肺炎患者を登録した。このうち、膠原病によるもの、薬剤によるもの、その他何らかの原因が示唆されるものは除外した。レトロスペクティブに28人の患者について、臨床的データ、呼吸機能検査、放射線学的特徴、ステロイド治療後の再発の有無などを調べた。生検検体ではリンタングステン酸・ヘマトキシリン(PTAH)染色によってフィブリンの沈着の有無が形態計測学的に解析された。硝子膜形成がみられる検体は除外した。

結果:
 肺胞腔内にフィブリン沈着が高度(多数のフィブリン沈着領域がある、あるいは生検検体内に0.2cmを超えるフィブリン領域がある)である場合、沈着が少ない場合と比較すると臨床的にCOPの再発が多かった (p=0.027)。この所見は、COPの再発に対する感度75% (95%CI 36-96)、特異度75% (95% CI 51-90)、陽性適中率55%、陰性適中率88%だった。年齢、性別、喫煙歴、合併疾患、酸素飽和度では再発の予測は差がみられなかった。フィブリンが高度沈着しているCOP患者では、1秒量およびDLCOが低下していた(p=0.04)。放射線学的に再発が確認されたすべての患者では肺領域の3つにコンソリデーションがみられ、一方で1~2の肺領域に再発した患者は一人もいなかった。

結論:
 COPに対するステロイド治療後の再発は、フィブリン沈着が肺胞腔内に高度に沈着する例に多くみられる。COPにおけるフィブリンの存在は微小血管障害を示唆するもので、間質性肺疾患の急性増悪と同様に予後不良因子として有用かもしれない。生検検体の中にフィブリンが多く沈着しているCOPの症例では、ステロイドの漸減はゆるやかに行う方がいいかもしれない。


by otowelt | 2013-05-19 23:37 | びまん性肺疾患

ATS2013:リンパ脈管リンパ筋腫症において血清VEGF-D値は疾患重症度や乳び胸と関連

ATS2013:リンパ脈管リンパ筋腫症において血清VEGF-D値は疾患重症度や乳び胸と関連_e0156318_1115897.jpg



K. Ando, et al.
Vascular Endothelial Growth Factor-D In Serum And Chylous Effusion Of Patients With Lymphangioleiomyomatosis
ATS 2013, May 19, 2013, Thematic Poster Session


背景:
 リンパ脈管筋腫症(LAM)は、妊娠可能年齢な女性に起こる稀な進行性の嚢胞性肺疾患である。血清VEGF-DはLAMと他の嚢胞性肺疾患を鑑別できる有用なマーカーであり、その診断カットオフ値は800や1239pg/mlと報告されている。

方法:
われわれは病理学的に診断されたLAMの患者158人(孤発性145人、結節性硬化症関連13人)においてVEGF-Dを測定した。また11人の乳び胸のLAM患者において胸水中のVEGF-Dを測定した。LAM患者はグループA:血清VEGF-Dが800pg/ml超(117人)、グループB:血清VEGF-Dが800pg/ml未満(41人)、グループC:肺LAM単独(94人)、グループD:乳び胸合併LAM(29人)、グループE:肺外LAM(乳び胸を伴わない)(35人)に分類された。

結果:
 平均血清VEGF-D値は2,468 pg/ml (range 260 – 16,800)であり中央値は1,619 pg/mlだった。LAM患者の26%はVEGF-D値が800 pg/ml以下であり、41%が1239 pg/ml以下だった。グループAはグループBよりも有意に乳び胸合併および肺外LAM合併が多かった(24.3% vs. 2.4%, p = 0.002 and 44.4% vs. 7.3%, p<0.001)。またグループAはグループBよりもDLCOが低く(49.7% predicted vs. 63.9%, p = 0.001)、気胸は少なかった(43.6% vs. 78%, p<0.001)。グループCおよびDではDCLOは血清VEGF-Dと相関していなかった(Group C, r = -0.254, p = 0.020 and Group D, r = -0.383, p = 0.071)。グループDでは血清VEGF-Dは有意に他のグループよりも高く、乳び胸のVEGF-Dも高値であった。

結論:
 LAM患者におけるVEGF-D値は疾患重症度と関連しており、乳び胸では高値を示す。


by otowelt | 2013-05-19 23:36 | びまん性肺疾患

ATS2013:慢性サルコイドーシスに対してウステキヌマブおよびゴリムマブはプラセボと比べても効果が乏しい

ATS2013:慢性サルコイドーシスに対してウステキヌマブおよびゴリムマブはプラセボと比べても効果が乏しい_e0156318_1115897.jpg



ATS2013:慢性サルコイドーシスに対してウステキヌマブおよびゴリムマブはプラセボと比べても効果が乏しい_e0156318_11333269.jpgウステキヌマブとゴリムマブに関するポスター発表が2つありました。どちらも同じグループからの発表です。

M.A. Judson, et al.
Safety And Efficacy Of Treatment With Ustekinumab Or Golimumab In Patients With Chronic Sarcoidosis
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session

R.P. Baughman, et al.
Efficacy Of Treatment With Ustekinumab Or Golimumab In Patients With Chronic Skin Sarcoidosis,
ATS 2013, May 19, 2013, Poster Discussion Session


背景:
 サルコイドーシスは、インターロイキン12やTNF-αなどの前炎症性サイトカインを分泌する非乾酪性肉芽腫によって特徴づけられる原因不明の全身性の肉芽腫性疾患である。75%の患者で肺に病変がみられ、後遺症を残すことなく多くの患者が寛解するが、およそ30%は慢性サルコイドーシスとなる。ウステキヌマブ(ステラーラ®)およびゴリムマブ(シンポニー®)は、それぞれインターロキン12p40およびTNF-αに作用するヒトモノクローナル抗体であり、慢性期の徴候や症状を軽減させる可能性が期待されている。

方法:
 ステロイドなどの薬物治療をおこなっても症状が持続する慢性肺サルコイドーシス患者132人、慢性皮膚サルコイドーシス患者58人を本試験に登録した。これらの患者を、ウステキヌマブあるいはゴリムマブあるいはプラセボにランダムに割り付けた。登録された患者はステロイドを16~28週間の間で漸減していくよう規定された。プライマリエンドポントは%予測努力性肺活量の変化、6分間歩行距離、St George’s Respiratory Questionnaire (SGRQ)、28週時のSkin Physician Global Assessment (SPGA) 反応性がみられた患者割合とした。

結果:
 16週時で、統計学的に有意ではないがベースラインからの%予測努力性肺活量の差が観察された:ウステキヌマブ(−0.15, p=0.13)、ゴリムマブ(1.15, p=0.54)、プラセボ(2.02)。28週時にも、統計学的に有意差はみられなかった。SPGA反応性はゴリムマブ治療によってプラセボより多くみられた(53% vs 30%)。両治療群ともにプラセボよりステロイド漸減量が多く達成できた。
 28週を通して、有害事象に3群間差はみられなかった。

結論:
 ウステキヌマブおよびゴリムマブは忍容性があるが、いずれも本試験では肺サルコイドーシスに効果はみられなかった。しかしながら、ゴリムマブはある程度皮膚サルコイドーシスに効果がある可能性が示唆された。


by otowelt | 2013-05-19 23:35 | サルコイドーシス