2013年 05月 20日 ( 13 )

ATS2013:マシテンタンは肺高血圧症の死亡・入院リスクを減少

ATS2013:マシテンタンは肺高血圧症の死亡・入院リスクを減少_e0156318_1115897.jpg


マシテンタンの別の試験では、FVCのプライマリ評価項目に差がみられなかったとしています。
Raghu G, et al. Eur Respir J. 2013 May 16. [Epub ahead of print] Macitentan for the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis: the randomised controlled MUSIC trial. Eur Respir J. 2013 May 16. [Epub ahead of print]

以下、今回の発表です。

R.N. Channick, et al.
Macitentan Reduces PAH-Related Hospitalizations: Results From The Randomized Controlled SERAPHIN Trial
ATS 2013, May 20, 2013, Mini Symposium


背景:
 マシテンタンは、新しいエンドセリン受容体拮抗薬であり、肺高血圧症(PAH)において死亡リスクを有意に減少させることがSERAPHIN(Study with an Endothelin Receptor Antagonist in Pulmonary arterial Hypertension to Improve cliNical outcome)試験によって明らかになった。
 PAHによる入院リスクに対する効果に関してこの試験で評価された。
 
方法: 
 SERAPHIN試験は、国際二重盲検プラセボ対照試験であり、1日1回のマシテンタン3mg、10mg、プラセボの3群に1:1:1にランダムに割り付けされたものである。患者は12歳以上のWHO機能クラスII-IVのPAH患者とした。治療終了時までのPAHによる死亡あるいは入院までの期間がKaplan-Meier解析で調べられた。

結果:
 742人の患者のうち76%が女性、年齢中央値は45歳(12-85歳)であった。ほとんどの患者がWHOのクラスII(52%)およびIII(46%)であった。治療期間中央値は2年を超えた。PAHによる死亡あるいは入院リスクはプラセボと比較してマシテンタン3mg群で33%のリスク減少(P=0.0146)、10mg群で50%のリスク減少(P<0.0001)と関連。PAHによる入院リスクはマシテンタン3mg群で39%のリスク減少、10mg群で50%のリスク減少と関連していた(P=0.0001)。
ATS2013:マシテンタンは肺高血圧症の死亡・入院リスクを減少_e0156318_1717810.jpg

 プラセボ群の33% (n=82)、マシテンタン3mg群の24% (n=59)、マシテンタン10mg群の21% (n=50)の患者が少なくともPAHで1回の入院をし、プラセボと比較して1年ごとのPAH関連の入院率および入院日数はマシテンタン3mg群でそれぞれ43% (P=0.0068)、33% (P=0.2707)の減少、マシテンタン10mg群でそれぞれ55% (P=0.0002)、52% (P=0.0416)の減少がみられた。
ATS2013:マシテンタンは肺高血圧症の死亡・入院リスクを減少_e0156318_1726129.jpg

結論:
 マシテンタンはPAHによる死亡あるいは入院リスクを減少させ、PAH関連入院エピソードや入院日数の減少と関連していた。


by otowelt | 2013-05-20 23:54 | 呼吸器その他

ATS2013:特発性肺線維症の臨床試験における肺活量と臨床的エンドポイントの解離

ATS2013:特発性肺線維症の臨床試験における肺活量と臨床的エンドポイントの解離_e0156318_1115897.jpg


オーラルセッションからの演題です。肺活量に変化があまりないのに、臨床的アウトカムに差が出たという解離について述べた報告です。

F.J. Martinez, et al.
Discrepancy Between Changes In FVC And Disease Progression In Two Prospective Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF) Therapeutic Trials
ATS 2013, May 20, 2013, Mini Symposium


背景:
 特発性肺線維症(IPF)の第III相試験のプライマリエンドポイントの選択は非常に議論が分かれるところである。エンドポイントに関しては様々な意見があり、臨床的に重要なエンドポイント(死亡率、入院率、症状・健康ステータス、あるいはこれらの組み合わせ)(AJRCCM 2012; 185:1044-8)あるいは生理学的に置き換えられるもの、あるいはその他の代用評価項目など多くの意見がある(AJRCCM 2012; 186:712-5)。努力性肺活量(FVC)の変化を比較した2つのIPFnetからの治療に関する臨床試験からの解析をおこなった。

方法:
 ワーファリンとプラセボに割り付けたACE-IPF試験(Am J Respir Crit Care Med. 2012 Jul 1;186(1):88-95.)では、プライマリエンドポイントは総死亡までの期間、非選択的非出血性入院あるいはFVCの10%の減少としている。35歳から85歳までのIPF患者でFVC≥50%かつDLCO≥30%である軽症から中等症を対象とした、アザチオプリン/プレドニゾン/N-アセチルシステインあるいはマッチしたプラセボを比較したPANTHER-IPF試験(N Engl J Med. 2012 May 24;366(21):1968-77.)では、60週におよぶFVCの変化をプライマリエンドポイントとした。時間事象曲線(time-to-event curves)はKaplan-Merier法を用いた。ハザード比と95%信頼区間はCox回帰モデルを用いた。繰り返し測定値に関する混合効果モデルがFVCの変化の類推に使用された。

結果:
 どちらの試験も、治療とプラセボ間の重篤な有害事象における不均衡のためデータ安全性モニタリング委員会によって早期に中断された。ACE-IPF試験では、死亡あるいは入院までの期間に治療群とプラセボ群で有意な不均衡がみられた(HR 2.12, p=0.02)(パネルA)。しかしながら、FVC変化には両群に差はみられなかった(パネルB)。平均フォローアップ期間は24週間だった。PANTHER-IPF試験でも同様に、治療群とプラセボの間に死亡あるいは入院において治療群とプラセボ群で有意な不均衡がみられた(HR 3.74, p<0.001) (パネルC)が、FVCの変化には両群に差はみられなかった(パネルD)。平均フォローアップ期間は32週間だった。
ATS2013:特発性肺線維症の臨床試験における肺活量と臨床的エンドポイントの解離_e0156318_20502655.jpg

結論:
 これら2試験では、治療群とプラセボ群に臨床的に有意なエンドポイントに有意差がみられたにもかかわらず、FVCには差がみられなかった。


by otowelt | 2013-05-20 23:47 | びまん性肺疾患

ATS2013:リファンピシンの妥当な用量は?

ATS2013:リファンピシンの妥当な用量は?_e0156318_1115897.jpg


M.J. Boeree, et al.
What Is The Right Dose Of Rifampin? A Dose Escalating Study
ATS 2013, May 20, 2013,Thematic Poster Session


背景:
リファンピンは1971年に導入された。10mg/kgの用量は主にコスト、効果、毒性に基づいて決定された。最大耐用量(MTD)試験については過去に実施されたことはない。現在、リファンピンの用量を増加させることで治療期間を有意に減らすことができるのではないかとマウスの実験で示唆されている。本試験のプライマリエンドポイントはMTDを調べ、リファンピンの“最適な”用量を決定することである。

方法:
 われわれは14日間のMTD試験を肺結核患者で未治療例の成人におこなった。リファンピンは10mg/kg、20 mg/kg、25 mg/kg、30 mg/kg、35 mg/kgを初日から7日目に使用し、その効果と安全性を検証した。身体所見、バイタルサイン、副反応、心電図検査、血液検査、尿検査が行われた。治療は全てDOTSで行なわれた。リファンピンの血清薬理学的動態が7日目、14日目に調べられた。14日目以降は通常の結核治療が行なわれた。

結果:
 5用量の評価がおこなわれた。われわれは68人の患者で163の副作用イベントを報告した。グレード1だった120のイベントのうち、102はおそらくリファンピンによるもの、8はリファンピンによるものと判断された。グレード2は19人、グレード3は3人にみられた。グレード3の副作用には高カリウム血症1例、トランスアミナーゼ上昇2例が含まれた。7日目の平均AUC0-24は10mg/kg で26.3 h・mg/L、20 mg/kgで112.6h・mg/L、25 mg/kgで134.5 h・mg/L、30 mg/kgで189.4h・mg/Lだった。平均Cmaxは同様にそれぞれ7.4 mg/L、21.6 mg/L、25.1 mg/L、33.1 mg/Lだった。

結論:
 リファンピンを35mg/kgまで増量しても安全で忍容性は高いと考えられる。そのためわれわれは35mg/kgの用量を複数アームによる多段階デザインで臨床試験をおこなうこととしている。


by otowelt | 2013-05-20 23:18 | 抗酸菌感染症

ATS2013:関節リウマチによる間質性肺疾患の急性増悪のリスク因子

ATS2013:関節リウマチによる間質性肺疾患の急性増悪のリスク因子_e0156318_1115897.jpg


H. Hozumi, et al.
Incidence And Risk Factors Of Acute Exacerbation In Rheumatoid Arthritis-Associated Interstitial Lung Disease
ATS 2013, May 20, 2013,Thematic Poster Session


背景:
 近年、呼吸器疾患の急性増悪は特発性肺線維症だけでなくほかの間質性肺疾患でも認知されている。たとえば関節リウマチによる間質性肺疾患(RA-ILD)でもそうである。

目的:
 RA-ILDの患者における急性増悪の頻度とリスク因子を検証すること。

方法:
 われわれは日本の浜松大学病院において、1995年から2012年までの間レトロスペクティブに51人連続したRA-ILD患者を同定した。患者の臨床データを抽出し、解析した。急性増悪は2007年のIPF-net軒順位基づいて診断された。全生存および急性増悪の頻度がKaplan-Meier法およびlog-rank testによって解析された。Cox比例ハザード回帰分析によって生存ステータスと急性増悪の発症との関連因子を同定した。

結果:
 RA-ILD患者の中央年齢は62歳で、観察期間中央値は8.5年であった。11人(22%)が急性増悪を起こした。5年急性増悪発症率はUIPパターンで33%、非UIPパターンで3%だった(the log-rank test, p=0.018)。単変量解析ではILD診断時の年齢が高い場合(ハザード比1.11; P = 0.01)、HRCTでのUIPパターン(ハザード比 1.95; P = 0.03)、メトトレキサートによる治療(ハザード比 3.04; P = 0.001)がリスク因子であった。UIPパターンの5年生存率は70%で、非UIPパターンは97%だった(the log-rank test, p=0.04)。生存に対して、単変量解析では急性増悪はアウトカム不良の予測因子だった(ハザード比 2.47; P = 0.003)。

結論:
RA-ILD患者ではILD診断時に高齢であること、HRCTのUIPパターン、メトトレキサートによる治療は急性増悪発症のリスク因子である。RA-ILDの急性増悪は生存の予後不良因子である。


by otowelt | 2013-05-20 23:15 | びまん性肺疾患

ATS2013:クライオプローブにおける診断能

ATS2013:クライオプローブにおける診断能_e0156318_1115897.jpg


ERSでもATSでもここ1,2年必ず発表されているテーマです。少なくとも2つの演題が発表されていました。2つ目の試験はなんだか評価項目が曖昧な気がしますが。

ERS2012:気管支鏡cryoprobeでびまん性肺疾患の診断が可能に
クライオプローブによる経気管支肺生検は、鉗子による経気管支肺生検と同等の安全性

V. Pajares, et al.
Diagnostic Yield Of Transbronchial Cryobiopsy In Diffuse Lung Disease: A Randomised Trial,
ATS 2013, May 20, 2013,Thematic Poster Session


概要:
 クライオプローブによるびまん性肺疾患の診断能を通常の気管支鏡の鉗子と比較したランダム化比較試験である。75人のびまん性肺疾患患者に対して経気管支肺生検をおこない、ランダムにクライオプローブと通常鉗子に割り付けた。盲検化された2人の病理医によって組織診断がおこなわれ、合議によって確定診断をつけた。組織の大きさは平均±標準偏差でクライオプローブ14.9 ± 10.9 mm2、通常鉗子で3.2 ± 4.1 mm2だった(p < 0.001)。手技にかかった時間は両群とも同等であったが、VASスケールではややクライオプローブのほうが忍容性は高かった。クライオプローブのほうが通常鉗子による生検よりも病理学的診断がつきやすかった(73.7% vs 32.4%, p < 0.001)。出血は湯統計学的に有意差はなかったものの、クライオプローブのほうが多かった(59.5% vs 35.1%)。気胸はクラオプローブのほうがやや多かった(7.9% vs 5.4%)。
ATS2013:クライオプローブにおける診断能_e0156318_2124519.jpg


S. Barril,, et al.
Is Transbronchial Lung Biopsy Using Cryoprobes Useful In The Management Of Diffuse Lung Disease?,
ATS 2013, May 20, 2013,Thematic Poster Session


概要:
 本試験はびまん性肺疾患の診断において通常鉗子とクライオプローブ(Erbokryo® CA, Ref: 20426-032)を比較したランダム化比較試験である。生検は”有用”であるかどうか臨床的に判定され、臨床的介入としては薬剤処方、診断による治療中止、アレルゲンやその他の有害なものからの回避の3種類に分けられた。クライオプローブによるTBLBが有用であったと思われる患者は60.5%であり、通常鉗子(29.7%)より頻度が高かった(p = 0.011)。



by otowelt | 2013-05-20 21:21 | 気管支鏡

ATS2013:睡眠呼吸障害とAlzheimer病に発症の因果関係があるかもしれない

ATS2013:睡眠呼吸障害とAlzheimer病に発症の因果関係があるかもしれない_e0156318_1115897.jpg


海外のメディアで注目を集めたポスター演題です。筆頭演者のRicardo S. Osorio医師は、「これはまさにニワトリか卵かという問題」と述べていました。

R.S. Osorio, et al.
Sleep-Disordered Breathing, Aging And Risk For Alzheimer's Disease In Cognitively Normal Subjects
ATS 2013, May 19, Poster Discussion


背景:
 これまでの臨床試験で、睡眠呼吸障害(SDB)はAlzheimer病(AD)の発症と関連しているのではないかと示唆されている。現時点でのエビデンスでは、発症前段階のADを脳脊髄駅(CSF)バイオマーカーやPET,MRIなどで同定することができるかもしれないとされている。
 認知機能が正常なSDBを有する高齢者患者において、既知のバイオマーカーを測定した。(例:CSF Aβ42の減少、CSF P-TauあるいはT-Tau増加、領域特異的脳内グルコース低代謝、脳アミロイド沈着の増加、海馬容積減少など)

方法:
 68人の患者(平均年齢71.4±5.6歳)に対して臨床的検査、神経生理学的試験、2夜の在宅SDBモニタリング、少なくとも1回のAD診断手技(CSF Aβ42, P-TauおよびT-Tau、FDG-PET、PiB-PET、MRI)がおこなわれた。SDBは4%の酸素飽和度低下イベントを伴うAHIによって分類した。正常AHI4%は5未満で、軽症SDBを5-15、中等症~重症SDBを15超とした。

結果:
 68人の患者のうち、18人(26.5%)が正常呼吸であり、33人(48.5%)が軽症SDB、17人(25%)が中等症~重症SDBだった。中等症~重症SDBの高BMIを除いて、SDBのグループで神経生理学的あるいは臨床的差異はみられなかった。
 BMI25未満のSDB患者では、グルコース低代謝が内側側頭葉で観察され(F= 18.00; p=0.00; )、外側側頭葉(F=4.68; p=0.04)や後帯状皮質(F=9.18; p=0.00)でも観察された。過体重の患者では内側側頭葉のみでグルコースの低代謝が観察された(F=9.21; p=0.00)。
 ADの特異的バイオマーカーは、BMI25未満の患者においてのみ変化がみられた:CSF P-Tauの増加(F=5.83; p=0.02)、ADが際立つ領域でのグルコース低代謝(AD-mask: F=4.48; p=.05)。
ATS2013:睡眠呼吸障害とAlzheimer病に発症の因果関係があるかもしれない_e0156318_2113231.jpg

結論:
 肥満のない認知的に正常な高齢者において、SDBとADのいくつかのバイオマーカーの関連がみられた。これはすなわち、SDBがADのリスクであることを示唆するものである。しかしこの報告は、SDBあるいはADのどちらが原因であり結果であるかという点についての答えは提示していない。


by otowelt | 2013-05-20 21:08 | 呼吸器その他

ATS2013:CTガイド下生検による気胸に対する対側吸引法

ATS2013:CTガイド下生検による気胸に対する対側吸引法_e0156318_1115897.jpg


O.I. Talkar, et al.
Opposite Side Aspiration In Resistant Pneumothorax After CT-Guided Lung Biopsy- Complementary Role After Simple Needle Aspiration
ATS 2013, May 19,Thematic Poster Session


概要:
 気胸はCTガイド下肺生検の最もよくみられる合併症であり、12~53%に発症すると報告されている。そのうち、胸腔ドレーンを留置する頻度は1~15%とされている。そして、CTガイド下生検時の気胸に対する用手的吸引による方法についてはまとまった報告はない。
 単純吸引が失敗した患者において、CTガイド下生検を受けた部位を上にして気胸腔を吸引され、CTガイド下生検体位・部位と逆側に行うこの方法を対側吸引法:Opposite Side Aspiration(OSA)と命名した。
 登録患者は71人の連続した生検患者であり、合計73回の検体が採取された。45人が男性で26人が女性、平均年齢は67.8歳だった。2人が複数回の生検を受けた。病変の平均サイズは38mmであった。無症状の気胸患者、わずかな気胸患者において単純吸引を施行した。OSAは単純吸引がうまくいかなかった場合に用いられた。結果的に単純吸引が失敗した38%の患者でOSAが用いられた。単純吸引がうまくいかなかった患者のうち、OSAは29%で成功した。
 胸腔ドレーンの留置や院内死亡リスクを減らすために、単純吸引を補填する意味でもOSAは有用な方法であると考えられる。


by otowelt | 2013-05-20 08:22 | 呼吸器その他

ATS2013:大きな道路の近くに住む小児ほど呼吸器感染症を起こしやすい

ATS2013:大きな道路の近くに住む小児ほど呼吸器感染症を起こしやすい_e0156318_1115897.jpg


ATS2013:大きな道路の近くに住む小児ほど呼吸器感染症を起こしやすい_e0156318_11145436.jpg幹線道路からの距離は、腎機能やインスリン抵抗性にも関与されていると最近報告されています(J Epidemiol Community Health doi:10.1136/jech-2012-202307、Diabetologia
DOI 10.1007/s00125-013-2925-x )。

M.B. Rice, et al.
Exposure To Traffic And Early Life Respiratory Infection: A Cohort Study
ATS 2013, May 19, 2013, Mini Symposium


背景:
 症例対象研究および救急部の研究では、交通関連の汚染曝露はヒトに早期の呼吸器感染症をもたらすと考えられている。地域情報システム(GIS)を使用して、家からの距離と主要道路の近接性を調べ、ボストン地区で3歳までに発生した呼吸器感染のリスクとの関連性を調べた。

方法:
 1999年から2002年までの間、Viva計画において1271の母子のペアを登録した。われわれは主要道路からの距離をGISによって計算した。呼吸器感染症は、児の出生から3歳までの間に主治医が診断した肺炎、細気管支炎、クループ、他の呼吸器感染症とした。われわれはロジスティック回帰モデルを使用し、主要道路からの距離と呼吸器感染症のオッズ比を調べた。分類は過去の試験に基づいて、主要道路からの距離を100m未満、100m~200m、200m~1000m、1000m超の4分類とした。

結果:
 上記1271のペアのうち、主要道路から88 (6.4%)が100m未満、90 (6.5%)が100m~200m、464 (33.7%)が200m~1000m、735 (53.4%)が1000m超の場所に住んでいた。3歳までに3678人の児(53.3%)が少なくとも1回の呼吸器感染症に罹患していた。年齢、出生体重、母の教育レベル、家庭収入、近隣の収入ステータス、母乳育児かどうか、12歳未満の他の子供がいるかどうか、出生季節といった点を補正し、ロジスティック回帰モデルを用いたところ、呼吸器感染症のリスクは主要道路から1000m超に居住している場合と比較して、100m未満の居住の場合1.74 (95%信頼区間1.02-2.96)、100m~200mの場合1.49 (95%信頼区間0.85-2.61)、200m~1000mの場合0.90 (95%信頼区間0.68-1.18)だった(Ptrend=0.078)。

結論:
 主要道路から100m未満のところに住んでいる新生児・乳児は呼吸器感染症を3歳までに発症するリスクが高い。


by otowelt | 2013-05-20 03:58 | 気管支喘息・COPD

ATS2013:非結核性抗酸菌症に対するリネゾリドの使用

ATS2013:非結核性抗酸菌症に対するリネゾリドの使用_e0156318_1115897.jpg


もう少し微生物学的データが欲しかったですが、NTMの菌に対する効果はかなり長期的に観察しないと判定できないので、どうしてもこういった臨床試験になってしまうようです。

K.L. Winthrop, et al.
Linezolid In The Treatment Of Nontuberculous Mycobacterial Disease
ATS 2013, May 19, 2013, Thematic Poster Session


背景:
 非結核性抗酸菌症(NTM)は重篤な慢性の肺感染症あるいは肺外感染症を引き起こし、多剤併用治療を要する。リネゾリドは多剤耐性結核に対して有効であると報告されているが、NTMの治療に対してはその有用性を評価したデータは乏しい。

方法:
5つの北アメリカのNTM治療センターからレトロスペクティブにNTM患者を抽出した。いずれの施設でも、多剤併用治療としてリネゾリド治療を受けたNTM患者を抽出し、その臨床経過とアウトカムを調べた。

結果:
 われわれはリネゾリドを使用した71人のNTM患者を登録した。83.1%が女性、白人が81.7%で、年齢中央値は61歳(11~88歳)だった。97%が肺NTMであり、菌はMycobacterium abscessus (60.6%), Mycobacterium avium complex (MAC) (23.9%), Mycobacterium chelonae (2.8%)だった。リネゾリドに対して感受性を検査された患者は21人(29.6%)であった[M. abscessus (71.4%), M. chelonae (9.5%), Mycobacterium simiae (9.5%)]。感受性のあったものは13人(61.9%)だった。合併基礎疾患は気管支拡張症例(63.4%)、COPD(21.1%)、自己免疫疾患(9.5%)だった。リネゾリドは主にマクロライドとの併用(81.7%)、アミノグリコシドとの併用(43.7%)、フルオロキノロンとの併用(32.4%)で使用された。48人(67.6%)は毎日ビタミンB6を投与されていた[50mg (77.1%), 100mg (12.5%), <50mg daily (10%)]。リネゾリド使用期間中央値は24.1週(0.1 – 202.9週)で、80.3%が1日600mg使用していた。26人(38.0%)がリネゾリドによる副作用を経験した。内訳は、末梢神経障害46.5%、貧血18.2%、消化器症状15.2%、その他12.1%、血小板減少9.1%だった。ビタミンB6の投与の有無でも血球減少の頻度は同等だったが、末梢神経障害は有意に軽減できた。71人の患者のうち、放射線学的データは33人から抽出可能で、そのうち11人(33.3%)は改善がみられ、13人(39.4%)が不変、9人(27.8%)が悪化した。

結論:
 NTMに対してリネゾリドは忍容性があるが、副作用はビタミンB6を併用していても3分の1の患者で起こりうる。


by otowelt | 2013-05-20 03:58 | 抗酸菌感染症

ATS2013:線維化を伴う肺サルコイドーシスの急性増悪は、気管支拡張症や抗TNF治療を受けている患者に多い

ATS2013:線維化を伴う肺サルコイドーシスの急性増悪は、気管支拡張症や抗TNF治療を受けている患者に多い_e0156318_1115897.jpg


R.P. Baughman, et al.
Acute Exacerbations In Fibrotic Pulmonary Sarcoidosis
ATS 2013, May 19, 2013, Thematic Poster Session


背景:
 肺サルコイドーシス患者は急性増悪をきたしうるとされている。サルコイドーシスのどの病期であっても起こりうるが、線維化のあるサルコイドーシス患者では致死率が高い。肺サルコイドーシス患者の急性増悪を理解するため、われわれはシンシナティ大学サルコイドーシスクリニックの患者で検証した。

方法:
 129人の肺の線維化を伴うサルコイドーシス患者を登録した。ステロイドや抗菌薬治療を必要とする肺サルコイドーシスの急性増悪(AEPS)エピソード、年齢、人種、性別、呼吸機能、サルコイドーシスの全身性治療、HRCTデータを抽出した。

結果:
 94人(73%)の患者が2回以上のAEPSを経験し、回数の中央値は3回(0~8回)だった。HRCTで気管支拡張症がある患者は、その回数が非気管支拡張症と比較して高かった(3回[0-6回] vs 2回[0-8回], p<0.0001)。 AEPSと年齢、努力性肺活量、一秒量、一秒率、血清IgE値と関連はなかった。さらに、AEPSの回数は人種、性別、喫煙歴、プレドニゾン使用、メトトレキサート使用、その他細胞毒性のある薬剤の使用とは関連していなかった。TNFモノクローナル抗体治療を受けている患者は、よりAEPSの回数が多かった(3.5回[1-6回] vs 3回[0-8回], p=0.0364)。

結論:
 AEPSは線維化のあるサルコイドーシス患者では起こりうる病態である。このエピソードは基礎に気管支拡張症がある場合に起こりやすいが、人種、性別、年齢、喫煙歴とは関連していなかった。抗TNF治療を受けている患者はAEPSを起こしやすい。


by otowelt | 2013-05-20 03:13 | サルコイドーシス