2013年 05月 21日 ( 7 )

ATS2013:胸水中プロカルシトニンの有用性

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A. Das, et al.
Diagnostic Value Of Pleural Fluid Procalcitonin (PCT)
ATS 2013, May 21, 2013, Poster Discussion


概要:
 76人の胸水患者を登録し、18人の胸水が感染性だと判明した。これらの胸水中生化学パラメータを測定し、プロカルシトニンが診断パフォーマンスに寄与するかどうか検証した。胸水中プロカルシトニンは有意に感染性胸水で高かった(p=0.0008)。鑑別に最も有用な胸水中のプロカルシトニンのカットオフ値は0.9ng/dlで、この場合感度61.1% (95%CI 0.55-0.98)、特異度96.6% (95%CI 0.78-0.95)、陽性適中率84.6% (95%CI 0.36-0.83)、陰性適中率88.6% (95%CI 0.88-0.99)だった。
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by otowelt | 2013-05-21 23:44 | 感染症全般

ATS2013:特発性肺線維症におけるPINPOINT治療の有効性

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P.N. Chhajed, et al.
Outcome Of Combined Pirfenidone, Proton Pump Inhibitor And N-Acetylcystein (PINPOINT) In IPF: Preliminary Results
ATS 2013, May 21, 2013, Poster Discussion


目的:
 ピルフェニドン、N-アセチルシステイン、プロトンポンプ阻害薬(PPI)は特発性肺線維症(IPF)に有用であるとされてきた。しかしながらこれらを併用して用いる治療(PINPOINT治療)はこれまで検証されたことがない。われわれはIPFにおけるPINPOINT治療の忍容性とアウトカムを調べた。

方法:
 54人のIPF患者を登録した。そのうち30人はPINPOINT治療を診断時から開始した(グループA)、残りの24人はすでにIPFの診断がついており他の治療を受けた状態からPINPOINT治療を開始した(グループB)。ピルフェニドンは200mg1日3回の治療から開始し、最大用量を1800mgと規定した。パントプラゾール/エソメプラゾールは1日40mgから開始、N-アセチルシステインは1日1800mgから開始した。プレドニゾロンを内服している患者は漸減するようにした。IPF急性増悪は過去の報告に準じた(AJRCCM 2007;176(7):636. )。

結果:
 症状発現から診断まで平均期間は8.6ヶ月だった。PINPOINT治療において肝機能障害をきたした患者はいなかった。
 グループAの30人は平均年齢64歳(男14人、女16人)、ベースラインの平均SpO2は95%、一秒量1.44L、努力性肺活量1.56Lだった。6人の患者は在宅酸素療法を受け、1人はBiPAP治療を受けていた。平均ピルフェニドン用量は17mg/kg/日で、平均値は1009mgだった。副作用は6人に観察された(皮膚症状3人、消化器症状4人、睡眠障害1人、灼熱感1人)。ピルフェニドンは6人(20%)が副作用のため中止した。5人(17%)の患者がIPF急性増悪をきたした。4人(13%)は死亡した。PINPOINT治療の中央投与期間は3ヶ月(1~60ヶ月)であった。
 グループBは平均年齢が61歳(男6人、女18人)で、ベースラインの平均SpO2は93%、一秒量1.21L、努力性肺活量1.32Lだった。5人の患者は在宅酸素療法を受けており、2人がBiPAP治療を受けていた。平均ピルフェニドン用量18mg/kg/日で、平均値は950mgだった。副作用は5人にみられた(消化器症状2人、皮膚症状2人、動作緩慢1人)。ピルフェニドンは4人(16%)が副作用のため中止した。6人(25%)の患者がIPF急性増悪をきたし6人(25%)が死亡した。PINPOINT治療の中央投与期間は13ヶ月(4~61ヶ月)であった。

結論:
 IPFにおけるPINPOINT治療は忍容性がある。早期からPINPOINT治療を導入することでIPF急性増悪を減少させることができるかもしれない。


by otowelt | 2013-05-21 21:48 | びまん性肺疾患

ATS2013:インターロイキン6と肺癌の関連

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インターロイキン6と肺癌の関係について口演で2つ発表されていました。肺癌の患者さんの腫瘍組織や血清中で、有意にインターロイキンの過剰発現がみられ、進行期であるほどに発現が増えるとされています。

M. Caetano, et al.
Pharmacologic Targeting Of Interleukin 6 As A Therapeutic Strategy For Lung Cancer
ATS 2013, May 19,Mini Symposium


 このグループは過去に、COPD様の病態を作り出したK-ras遺伝子変異マウスモデルにおいて、インターロイキン6とその下流にあるSTAT3の過剰発現を報告しています。K-ras遺伝子変異のあるCOPD患者において、肺癌の予防的戦略としてインターロイキン6が標的となるのではないかと述べられました。

B.J. Jenkins, et al.
Deregulated Interleukin-6 Signaling Suppresses Lung Tumourigenesis In Mice Induced By Nicotine-derived Nitrosamine Ketone
ATS 2013, May 19,Mini Symposium


 Nicotine-derived Nitrosamine Ketone(NNK)誘発性肺癌においては、上記で述べたSTAT3ではなく、IL-6/gp130を介したPI3K/AktやMapk経路の活性化が発癌に関与しているのではないかと報告されました。



by otowelt | 2013-05-21 21:47 | 肺癌・その他腫瘍

ATS 2013:COPD患者の身体活動レベルを増進させるための歩数計プログラム

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歩数計を使った健康増進プログラムが有効のようです。


F. Pitta, et al.
Long-Term Effects Of A Program To Promote Physical Activity Using Pedometers In Smokers
ATS 2013, May 21, Mini Symposium


概要:
 喫煙者における1年間の歩数計を使ったプログラムをおこなった。49人の喫煙者で呼吸機能障害が無い者が登録された。23人が男性であり、26人が女性だった。年齢中央値は51歳、BMI中央値は25、喫煙本数中央値は1日20本だった。1年間のプログラムで6分間歩行距離、喫煙習慣、QOL、不安症状、抑うつ、歩数が評価された。その結果、1日あたりの歩数、6分間歩行距離は介入によって有意に増加(前 vs 後: 9126 [5807-11103] vs 10413 [8322-12378]), 6俯瞰歩行距離 (546[501-607]m, 82[76-87]% 予測値 vs 604[540-646]m, 88[81-97]%予測値)。不安症状や抑うつも軽減した。この効果は長期間持続した。さらに喫煙本数も減少した。このプログラムによって14%が禁煙を達成できた。



L. Mendoza, et al.
Effect Of A Program Of Physical Activity Enhancement Using Pedometers In Patients With Chronic Obstructive Pulmonary Disease
ATS 2013,May 19, Thematic Poster Session.


背景:
 身体活動レべルはCOPD患者で減少し、死亡リスクの観点から悪影響をもたらすと考えられている。歩数計は世界的に広く用いられているが、COPDに対する効果については不明である。

目的:
 COPD患者の身体活動レベルに対する歩数計の効果を検証する。

方法:
 55人のCOPD患者をランダムに3ヶ月の1日ごとの歩数を測定し身体活動増進をはかる歩数計プログラムと通常のケアの2群に割り付けた。6分間歩行試験、改訂MRCスケール、SGRQ、COPDアセスメントテスト(CAT)を用いて評価をおこなった。加えてCOPD急性増悪のエピソードも記録した。

結果:
 69%の患者は男性で平均年齢は68歳だった。平均一秒率は55%で、平均一秒量予測値は63%だった。介入群(29人)とコントロール群(26人)に患者背景に差はみられなかった。試験による1日あたりの平均歩数の変化は介入群で有意に多かった(増加:2906歩 vs 310歩, p = 0.016)。さらに、SGRQも有意に差がみられた(減少9.65点 vs 0.05点, p = 0.048)。COPD急性増悪の頻度は介入群で優位に少なかった(1人あたり0.1 vs 0.6, p = 0.002)。
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結論:
 身体活動を増進させるプログラムは、平均歩数やQOLを改善させ、ひいてはCOPD急性増悪を減少させる効果をもつ可能性が示唆される。


by otowelt | 2013-05-21 12:37 | 気管支喘息・COPD

ATS2013:重度の気腫に対する気管支鏡的肺容積減量コイル(LVRC)は短期的・長期的にも有効

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肺容積減量コイルの発表を2つ紹介します。



 発表の中で「このように低侵襲である治療法は、COPDという世界でも罹患者が多い疾患には早急に適応されるべきである」とランス大学病院呼吸器内科のGaetan Deslee教授は述べました。

G. Deslee, et al.
Lung Volume Reduction Coil (LVRC) Sustained Treatment Effectiveness In Heterogeneous And Homogenous Emphysema
ATS 2013, May 20, Poster Discussion


概要:
 肺容積減量コイル:Lung Volume Reduction Coil (LVRC, PneumRx Inc.)は気管支鏡的におこなえる重症気腫性病変に対するデバイスである。3つのヨーロッパの多施設においてこの効果と安全性について検討した。109人の患者(平均年齢61歳)を登録し、LVRCによる治療を両肺に実施し6ヶ月および12ヶ月後のパラメータを検証した。281の手技において2081のLVRCが留置された(平均1葉あたり9.5)。重篤な有害事象は30日の時点で、13人のCOPD急性増悪(6%)、1人の血痰(0.5%)、9人の肺炎(5%)、9人の気胸(4%)が観察されたが、死亡や呼吸不全などの重篤なものは観察されなかった。6ヶ月後、12ヶ月後の効果については以下の通りであった。一秒量の上昇を維持:+15.4%、+15.2%、残気量軽減を維持:-10%、-10.3%、6分間歩行距離の上昇を維持: +47.5m、+53.6m、QOLの改善を維持(SGRQ):-10.9点、-11.4点(すべてp<0.0001、12ヶ月後の一秒量のみp<0.0004)。


イタリアからの同様の発表がありました。こちらは少し症例数、コイル手技ともに数が少ない報告です。

M. Bezzi, et al.
First Results Of The Italian National Registry For The Endoscopic Treatment Of Pulmonary Emphysema By Lung Volume Reduction Coils
ATS 2013, May 20, Poster Discussion


概要:
 20ヶ月にわたる期間で32手技(287コイル)を26人の患者でおこなった(ベースライン一秒量[予測値]23.9 ± 7.5%、残気量[予測値]236.9±48%、全肺気量[予測値]128.9±20%)。20人の患者が一側の治療(19人が上葉、1人が下葉)、6人が両側上葉の治療を受けた。平均手技時間は41分だった。26人中23人が軽度の血痰を最初の1週間で経験しており、2人が重篤な喀血を呈した。その他、気胸1人、肺炎4人、COPD急性増悪6人、胸痛2人などが観察された。治療後1ヶ月で、残気量[予測値]の有意な軽減(ベースライン236.9±48% vs 治療後214.5±60%, p=0.01)がみられたが、全肺気量[予測値]に変化はなかった(ベースライン128.9±20% vs 治療後125.3±19%)。そのほか、6分間歩行距離(ベースライン241±76 m vs 治療後280±92 m, p= 0,03)、一秒量[予測値](ベースライン23.9±7.5% vs 治療後27.9±9%, p=0,003)も改善した。治療3ヶ月後の14人の解析では、一秒量や残気量がベースラインに戻りつつあるような傾向にあったが、6分間歩行距離は維持していた。


by otowelt | 2013-05-21 09:20 | 気管支鏡

ATS2013:特発性肺線維症の総死亡率を検証する試験は実現不可能かもしれない

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とても大事な検証だと思います。

T.E. King, et al.
All-Cause Mortality (ACM) Rate In Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF): Implications For The Design And Execution Of Mortality Trials
ATS 2013, May 20, 2013, Mini Symposium


背景:
 この10年、かつてないほど特発性肺線維症(IPF)の治療を扱ったランダム化比較試験が実施されてきた。IPFの薬剤がいくつかの国々で承認されるにあたり、努力性肺活量(FVC)は第III相臨床試験において標準的なプライマリエンドポイントとして扱われてきた。しかしながら、近年は総死亡率をプライマリエンドポイントとして組み込むべきではないかという議論が起こっている。

方法:
 ピルフェニドンの効果を評価するためのCAPACITY試験あるいはインターフェロンγ1bの効果を評価するためのINSPIRE試験でプラセボに割り付けられた全ての患者を登録した。

結果:
 622人の患者を解析に入れた。年齢中央値は67歳で、%FVCおよび%DLCOはそれぞれ71.8、45.6だった。総死亡率は1年で6.6%、2年で13.7%だった。およそ20%の死亡がIPFとは関連していなかった。治療による生存への利益を証明するため、たとえば死亡率のハザード比で0.75を達成するためには、合計508人の総死亡イベントが必要になる。3年以上の長期試験で最大5年のフォローアップを要する場合、2862人の患者が必要となる。最近の第III相試験の経費から計上すると、これにはおよそ2億5000万ドルが必要になる。
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結論:
 軽度から中等度の呼吸機能障害を有するIPF患者における総死亡は比較的少なくい上、5分の1の死亡はIPFとは関連していない。必要なサンプルサイズ、試験期間を考慮すると、総死亡率を検証する試験のコストは膨大になるだろう。この解析には極度に進行したIPF患者は含まれていないが、そうなると治療そのものが効果をもたらすか否かの判定が困難になるだろう。ゆえに、IPFの患者において死亡率を検証する試験は費用がかかる上に実現不可能だろう。


by otowelt | 2013-05-21 02:55 | びまん性肺疾患

ATS2013:特発性肺胞蛋白症における全肺洗浄は吸入GM-CSF治療よりも再発リスクが高い

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M.E. Wylam, et al.
Inhaled Granulocyte-Macrophage Colony-Stimulating Factor Versus Whole Lung Lavage In Pulmonary Alveolar Proteinosis
ATS 2013, May 20, 2013,Thematic Poster Session


背景:
 特発性肺胞蛋白症(iPAP)はGM-CSF抗体の形成に特徴づけられた肺疾患である。全肺洗浄に対する吸入GM-CSF治療の比較効果についてはまだよくわかっていない。このレトロスペクティブコホート試験ではiPAP患者に対してこの比較をおこなった。

方法:
 ミネソタ州のメイヨークリニックにおける21歳以上のiPAP患者を1990年1月から2011年8月まで同定した。患者背景、臨床データ、放射線学的データ、呼吸機能データ、特異的治療内容、治療反応性を抽出した。Cox回帰モデルによって、全肺洗浄後あるいは吸入GM-CSF治療後の疾患再発について比較した。

結果:
 55人の患者がiPAPと診断され、平均年齢は42.8 ± 11.7歳だった。28人の患者が全肺洗浄を受け、15人の患者が吸入GM-CSF治療単独、1人の患者がGM-CSF皮下注、10人の患者は全肺洗浄と吸入GM-CSF治療を併用した。1人の患者は特異的治療を受けなかった。
 ベースラインの患者特性は、全肺洗浄単独群と吸入GM-CSF治療単独群で有意差はおおむねみられなかった(DLCOのみ前者が低かった)。再発率はGM-CSF治療群で47%で、全肺洗浄群で65%だった。初回再発までの中央期間は全肺洗浄群で0.8年(0.4-2.8年)、吸入GM-CSF治療群で2.2年(0.8-5.8年)だったが、統計学的に有意差は確認されなかった(P=0.31)。Cox回帰分析により診断時年齢、性別、疾患重症度スコアで調整した場合、吸入GM-CSF治療と比較すると全肺洗浄は高い疾患再発率と関連していた(ハザード比3.26, 95%信頼区間 1.04-12.43)。

結論:
 吸入GM-CSF治療と比較すると、全肺洗浄は再発リスクが高く早期に再発がみられる傾向にあった。


by otowelt | 2013-05-21 01:00 | びまん性肺疾患