2013年 10月 31日 ( 2 )

POLARSTAR:エルロチニブによる間質性肺疾患のリスク因子

世界肺癌学会から。エルロチニブの興味深い演題です。

Kuwano K, et al.
Investigation of risk factors for developing interstitial lung disease (ILD) and poor prognostic factors for ILD death in Japanese patients with non-small-cell lung cancer (NSCLC): a final analysis of a large-scale erlotinib surveillance study (POLARSTAR)
15th World Conference on Lung Cancer O03.07


概要:
 2007年12月18日から2009年10月までにエルロチニブの投与を受けた日本人の非小細胞肺癌(NSCLC)患者10708人が登録され、9909人のデータが安全性解析に、9663人が有効性解析に利用された。間質性肺疾患(ILD)様のイベントは独立したILD審査委員会によって解析された。
 ILD様イベントを経験した491人の患者うち、審査委員会でILDと確認されたのは429人。エルロチニブによるILD発生率は4.33%だった。3人に1人が死亡した(1.54%)。
 多変量Cox回帰分析の結果、エルロチニブによるILDのリスク因子として、ILD既往(補正ハザード比3.187)、喫煙歴(補正ハザード比2.246)、COPD(補正ハザード比1.860)、呼吸器感染症(補正ハザード比1.550)、PS2~4(補正ハザード比1.431)など。死亡を含めた重篤なアウトカムのリスク因子は、PS2~4(補正オッズ比2.450、95%信頼区間1.405~4.272、p=0.0016)、正常肺50%未満(補正オッズ比3.118、95%信頼区間1.477~6.582、p=0.0029)、蜂巣肺合併間質性肺炎(補正オッズ比6.665、95%信頼区間1.349~32.943、p=0.0200)だった。


by otowelt | 2013-10-31 17:05 | 肺癌・その他腫瘍

汚染メチルプレドニゾロンによる真菌感染症

汚染メチルプレドニゾロンによる真菌感染症_e0156318_22344250.jpg NEJMから、汚染メチルプレドニゾロンによる真菌感染症の論文です。

Rachel M. Smith, et al.
Fungal Infections Associated with Contaminated Methylprednisolone Injections
N Engl J Med 2013; 369:1598-1609


背景:
 慢性疼痛の治療に対しておこなわれる注射に際して真菌感染症はまれな合併症である。2012年9月に、ある調剤薬局から購入された防腐剤無添加メチルプレドニゾロン酢酸エステルの注射に関連した真菌感染症の調査をおこなった。

方法:
 当該薬局からメチルプレドニゾロン酢酸エステル3ロットが回収された。その後に行われた未開封バイアルの調査によって真菌が同定された。その関連が示唆されたメチルプレドニゾロン酢酸エステルに曝露した可能性があるすべての患者に対して、連邦政府、州、地域公衆衛生当局、薬剤を投与した医療機関の従事者が通知をおこなった。標準化症例報告書臨床データを収集し、培養検査、PCR、病理組織検査、免疫組織化学検査によって、分離株・検体中の真菌の存在を調べた。

結果:
 2012年10月19日までに曝露した可能性のある患者13534人の99%以上とコンタクトをとることが出来た。2013年7月1日時点で、20州で報告された感染例は749例、死亡例は61例(8%)だった。感染例153例(20%)の検体でExserohilum rostratumが確認された。追加情報は728例(97%)から得られ、229例(31%)は髄膜炎を発症していた。感染例は、メチルプレドニゾロン酢酸エステルの注射を中央値で1回(1~6 回)投与されていた。感染例の年齢の中央値は64歳(15~97歳)、潜伏期間中央値は47日(0~249回)だった。

結論:
 複数の州に渡る大規模な真菌感染症の集団発生は、罹患率・死亡率が高かった。真菌感染症は、ある単一調剤薬局に端を発した、汚染グルココルチコイドの注射と関連していた。すみやかな公衆衛生対策として、汚染製品の早急な回収、曝露患者への通知、医師への早期情報提供が行われた。


by otowelt | 2013-10-31 00:25 | 感染症全般