2014年 05月 18日 ( 8 )

ATS2014:STATCOPE試験:スタチンはCOPD急性増悪を減少させない

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 スタチンと閉塞性肺疾患の関連についてはいくつか報告がありますが、臨床的に意義のある効果が期待できるのか個人的にも半信半疑です。演題に登場していたZocorというのはシンバスタチンのことです。

A19
G.J. Criner, et al.
Prospective Randomized Placebo-Controlled Trial Of SimvaSTATin In The Prevention Of COPD Exacerbations (STATCOPE)
[Publication Page: A6563]


背景:
 複数のレトロスペクティブ試験ではスタチンはCOPD急性増悪率を減少させ、入院率や呼吸機能の減少を抑制することができると考えられている。しかしながら、1つの単施設研究をのぞくとすべての研究はレトロスペクティブに実施されたものである。われわれは、スタチンがCOPDの急性増悪にもたらす効果をプロスペクティブに検討した。

方法:
 STATCOPE試験は、プロスペクティブに実施された多施設共同ランダム化比較試験である。この試験では、1日1回40mgのシンバスタチンとプラセボを比較したものである。STATCOPE試験は元来1200人の患者を登録する計画であったが、治療効果の達成がみられないと判断し中断された。
 登録患者は40~80歳で、1秒量が80%未満、1秒率が70%未満、喫煙歴は10pack-years超と規定された。また、過去1年に救急受診や入院歴がないCOPD患者とした。

結果:
 885人COPD患者が登録された(平均年齢62.3±8.4歳、44%が女性)。患者はランダムにシンバスタチンあるいはプラセボに割り付けられた。
 COPD急性増悪率はシンバスタチンおよびプラセボ群で同等であった(1.36% vs. 1.34%, P=0.54)。初回の増悪までの日数についても同等であった(224日 vs. 245日)。
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結論:
 シンバスタチン40mg1日1回の使用はCOPD急性増悪の頻度を減少させる効果はないと考えられる。


by otowelt | 2014-05-18 23:33 | 気管支喘息・COPD

ATS2014:アメリカにおけるARDSの死亡率の変遷

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ARDSによる死亡率の移り変わりを報告したレトロスペクティブコホート試験の結果です。

A25
S. Annangi, et al.
Acute Respiratory Distress Syndrome Related Mortality In United States From 1999 to 2010
[Publication Number: A1160]


概要:
 われわれはアメリカにおけるARDS関連死亡率についてレトロスペクティブコホート試験を組み、1999年から2010年までの変遷を調べた。ARDSはICD-10コードを用いて抽出した。
 本コホートでは129211人が同定された。死亡時平均年齢は64.5歳であり、51.3%が男性だった。試験期間中における年齢調整ARDS関連死亡率は、1999年の10万人あたり5.1人(95%信頼区間5.1 to 5.0)から、2010年の2.8人(95%信頼区間2.9 to 2.8)まで減少していた。アフリカン・アメリカンの男性では死亡率が高く、10万人あたり5.2人(95%信頼区間5.3 to 5.1)であったが、他の人種の女性では低く2.4人 (95%信頼区間2.5 to 2.3)だった。
 ARDSによる直接的死亡が16.6%、悪性腫瘍による死亡が12.2%、肺炎による死亡が12.1%、敗血症による死亡が6.9%だった。
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(Abstractより引用)
 1999年から2010年にかけて、ARDSに関連する死亡率は全体で45%減少したと言える。


by otowelt | 2014-05-18 23:12 | 集中治療

ATS2014:possible UIPの臨床的特徴

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possible UIPについてまとめた珍しい報告です。

A39
W.-I. Choi, et al.
Clinical Characteristics And Outcomes In Patients With Possible Usual Interstitial Pneumonia
[Publication Number: A1442]


背景:
 胸部HRCTによって診断されるpossible UIPパターンは間質性肺炎患者の少数存在するが、臨床的特徴やアウトカムについてはほとんどわかっていない。近年のガイドラインではpossible UIPの診断精度を上げるために外科的肺生検を推奨している。この研究では、possible UIPの患者の臨床的特徴および生存期間について調べた。

方法:
 このレトロスペクティブコホート研究では62人のpossible UIP患者および544人のIPF患者を登録した。われわれは、possible UIPパターンとUIPパターンの患者の臨床的特徴とアウトカムを比較した。Kaplan-Meyer生存曲線によってIPFとpossible UIP患者の生存期間を解析した。

結果:
 両群ともに患者背景に差はみられなかった。肺癌合併の頻度も同等であった。呼吸機能検査も両群ともに差はみられなかった。しかしながら、拡散能についてはUIPパターンの方がpossible UIPパターンよりも低かった(p < 0.01)。また、possible UIPの患者はUIPパターンの患者よりも生存期間が長かった(P = 0.04)。

結論:
 possible UIPの患者は拡散能を除いてUIPパターンの患者と同等の臨床的特徴を有する。possible UIPの患者はIPF/UIPの患者よりも生存期間が長かった。


by otowelt | 2014-05-18 23:12 | びまん性肺疾患

ATS2014:敗血症患者および患者家族に対しては十分な説明を

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A24
V. Kundel, et al.
Assessing Sepsis Survivor And Family Knowledge And Attitudes Regarding Sepsis Outcomes
[Publication Number: A1142]


概要:
 敗血症でICUに入室した患者において、患者および患者家族に対する説明がどの程度行われているのかよくわかっていない。本研究では124人の敗血症患者あるいはその家族を解析対照とした。われわれは患者および家族に敗血症についていくつか質問を行った。
 124人のうち、69人(55.6%)が生存者であり、54人(43.5%)が患者家族であった。全参加者の71%が女性だった。81人(65.3%)が敗血症と言われたのは主治医あるいは看護師からが最初であり、37.9%がわかりやすい手法であったとしている。わずか14人(11.3%)のみが長期的な合併症について言及されていた。
 医療従事者から患者および患者家族に対する敗血症の十分な説明がなされているとは言い難く、特に長期的なアウトカムについてはほとんど知らされていない。
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(Abstractより引用)


by otowelt | 2014-05-18 22:51 | 集中治療

ATS2014:ALI/ARDSに対する早期NIPPVの使用は挿管を回避できるが死亡率の改善なし

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 ALI/ARDSに対してNIPPVを早期に使用することで挿管は回避できるかもしれないが、全体的な死亡率の軽減効果はないとする報告です。

A26
J. Luo, et al.
Can Noninvasive Positive Pressure Ventilation Prevent Endotracheal Intubation In Acute Lung Injury/Acute Respiratory Distress Syndrome: A Meta-Analysis
[Publication Number: A1176]


目的:
 ALI/ARDSに対する非侵襲性陽圧換気(NIPPV)が挿管を回避でき死亡率を減少させることができるかどうか調べる。

方法:
 Pubmed, Ovid Medline, Ovid Embase, Ovid Central Cochrane Controlled Trials Register (CCTR)、Chinese National Knowledge Infrastructure (CNKI)からランダム化比較試験を抽出し、メタアナリシスをおこなった。

結果:
 6試験がメタアナリシスに組み込まれ、227人の患者が解析された。患者はNIPPV使用あるいは通常の酸素療法の2群に分けられた(NIPPV:115人、通常の酸素療法:112人)。挿管率における統計学的な異質性は観察されなかった(Ι2=43%, χ2=8.82, Ρ=0.12)。ICU死亡率についても同様であったが、院内死亡率については異質性がみられた(Ι2=61%, χ2=5.12, Ρ=0.08)。
 挿管率は0.60 (95%信頼区間0.41-0.89)であり、ICU死亡率は0.76 (95%信頼区間0.52-1.12)だった。2群の間で挿管率に有意な差がみられたが(Ζ=2.53, Ρ=0.01)、ICU死亡率については差はなかった(Ζ=1.40, Ρ=0.16)。
 2つの研究のみがALI/ARDSの原因について肺内・肺外について論じていた。

結論:
 ALI/ARDSの早期にNIPPVを用することで挿管率を減らすことができるかもしれないが、死亡率については改善させなかった。


by otowelt | 2014-05-18 21:45 | 集中治療

ATS2014:IPFに対するピルフェニドンの効果予測にCCL-18が有用

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A38
F. Bonella, et al.
Serum CCL-18 May Predict The Short-Term Response To Pirfenidone In Idiopathic Pulmonary Fibrosis
[Publication Number: A1421]


背景:
 ピルフェニドンは特発性肺線維症(IPF)に対する治療薬であり、努力性肺活量の減少を抑制する効果があるとされている。これまでの研究で、血清CCL-18は間質性肺疾患に有用なバイオマーカーであり、努力性肺活量やDLCOの変化、IPFの生存期間と相関していることが知られている。この研究において、血清CCL-18がピルフェニドンの効果を予測することができるか検証した。

患者および方法:
 ピルフェニドンで治療された70人のIPF患者を2008年から2013年まで抽出した。CCL-18はELISAによって測定された。血清LDHも比較対照のバイオマーカーとして採取した。CCL-18と呼吸機能検査の変化を6ヶ月目、12ヶ月目に評価した。努力性肺活量が予測値で5%以上、DLCOが予測値で10%以上減少しないこと、症状の悪化がないこと、新しい放射線学的所見が出現しないことを“反応あり(responder)”と定義した。

結果:
 ピルフェニドンの平均内服期間は12.5ヶ月であった。6ヶ月未満の内服期間であった患者は本研究から除外した。血清CCL-18のベースライン平均値は127±82 ng/mlであった。ベースラインのCCL-18と努力性肺活量あるいはDLCOには関連性はみられなかった。12ヶ月時点におけるCCL-18と努力性肺活量の減少には関連性がみられた(r=0.67, p=0.042)が、6ヶ月時点では有意ではなかった。
 ベースラインにおけるCCL-18のカットオフ値を136 ng/mlとすると、血清CCL-18は6ヶ月時点でのピルフェニドンに対する非反応性(nonresponder)を感度75%、特異度70%で予測できた(p=0.04)。また、カットオフ値を167 ng/mlに設定すると、12ヶ月時点でのピルフェニドンに対する非反応性(nonresponder)を感度80%、特異度87.5%で予測できた(p= 0.002)。ロジスティック回帰分析によれば、血清CCL-18の両カットオオフ値は6ヶ月および12ヶ月時点での反応性を年齢、性別、ベースラインの努力性肺活量、CLDO、PaO2とは独立して予測することができた(オッズ比4.8, p=0.001、オッズ比14, p=0.011)。加えて、CCL-18は生存期間と相関がみられたがLDHにはみられなかった(long rank p=0.036)。

結論:
 血清CCL-18はIPF患者のピルフェニドンに対する反応性を予測する独立したバイオマーカーと考えられる。


by otowelt | 2014-05-18 20:53 | びまん性肺疾患

ATS2014:頻呼吸、低酸素血症、低GCSではNPPV失敗の可能性が高い

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 救急部におけるNPPV使用についての報告です。極度の低酸素血症の患者は最初からIPPVでもよいのではと論じています。

A25
L. Vieira, et al.
Noninvasive Ventilation In Emergency Department: Predictors Of Success Or Failure [Publication Number: A1180]


背景:
 非侵襲性陽圧換気(NPPV)の利点は侵襲性換気を回避することができるという点である。また、NPPVは急性呼吸不全の一部の患者において在院日数の軽減、コスト削減に有用とされている。救急部において適切なNPPVの導入ができれば、挿管を回避できるだけでなくICU入室を回避しコスト削減や合併症・死亡率の軽減に役立つであろう。

目的:
 救急部においてNPPVが適応となった急性呼吸不全の症例を解析し、NPPVの成否を分けた因子について調べること。

方法:
 本研究はプロスペクティブに症例を解析したもので、EPAPを5~10cmH2Oに設定、IPAPは1回換気量が6ml/kgとなるよう設定した。SpO2を90%以上に維持するようFiO2を設定。
 アウトカムはNPPV開始48時間以内の挿管とした。

結果:
 635人の患者が登録された。38.7%は急性肺水腫、24.5%はCOPD急性増悪、15.3%は肺炎、12.4%は気管支喘息、9.1%はその他の原因によってNPPVが導入された。装着期間は8.2±3.6時間だった。
 635人のうち、88.4%がNPPV成功と判断された。頻呼吸、80%未満のSpO2、GCSが低い場合には挿管にいたる頻度が高かった。

結論:
 救急部において、NPPVは安全かつ効果的な治療法である。ただし、頻呼吸、80%未満のSpO2、GCSが低い場合には挿管にいたる頻度が高かった。

by otowelt | 2014-05-18 20:19 | 集中治療

ATS2014:若年喫煙気管支喘息患者におけるバレニクリンの有効性

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A22
C.G. Westergaard, et al.
The Effect Of Varenicline On Smoking Cessation In A Group Of Young Asthma Patients [Publication Number: A1091]


背景:
 タバコの使用は長期的な疾病罹患や死亡の原因となりうる。気管支喘息のある患者において、喫煙の頻度は低くなく、その結果治療効果の不良や喘息症状の悪化をもたらす。バレニクリンは禁煙に効果的な薬剤であり、COPDだけでなく一般人に対しても有効であるとされている。この研究の目的は、若年喫煙気管支喘息患者におけるバレニクリンの有効性を検証することである。

方法:
 このランダム化プラセボ対照二重盲検試験において52人の現喫煙気管支喘息患者を登録した。喫煙は1日10本以上および10パック・年以上とした。
 登録患者はバレニクリンおよびプラセボにランダムに割り付けられた。すべての患者は禁煙コースに参加するものとした。平均パック・年は15.6(10~25)であった。喫煙ステータス、CO濃度、喘息症状スコア、一般健康質的スコア(15D)、メサコリン吸入試験のデータが0週目、6週目、24週目に抽出された。

結果:
 バレニクリン群において、69%の患者が治療終了時(12週目)に禁煙を達成したが、プラセボ群では36%であった(p=0.017, ITT解析)。24週目に高い喫煙再発が観察された(19% vs 16%、有意差なし)。
 症状スコアはバレニクリン群およびプラセボ群のいずれにおいても治療6週後、12週後に改善がみられた。また、バレニクリン群において一般健康質的スコアの改善が観察された(p=0.019)。

結論:
 若年喫煙気管支喘息患者において、バレニクリンは禁煙に効果的であると考えられる。


by otowelt | 2014-05-18 16:27 | 気管支喘息・COPD