2014年 05月 20日 ( 9 )

ATS2014:呼吸困難感は死亡リスクを上昇させる

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 Pesola医師は会場で「Dyspnea may be a sign of lung disease, heart disease, or a number of other potentially life-threatening conditions」と述べています。

G.R. Pesola, et al.
Dyspnea As A Predictor Of All-Cause Mortality In Rural Bangladesh: A Population-Based Prospective Study


背景:
 呼吸困難感がその後の死亡リスクを上昇させるかもしれない。

方法:
 2000年から2002年までの間に11756人の患者(18~75歳)を登録し、12年間フォローアップした。呼吸困難感については登録時に質問票を用いて聞いた。呼吸困難感とその後の死亡の関連についてCox比例ハザード回帰モデルを用いてハザード比および95%信頼区間を算出した。補正因子としては、年齢、性別、喫煙歴など。

結果:
 12年間で782人が死亡した。ベースラインにおいて呼吸困難感がある患者はそうでない患者と比較して死亡リスクが上昇した(ハザード比2.73、95%信頼区間2.27 – 3.28)。年齢、性別、教育、血圧、BMI、喫煙歴、飲料水のヒ素濃度で補正したところ、それでもハザード比は高かった(ハザード比2.10、95%信頼区間1.74 – 2.52)。

結論:
 呼吸困難感のある人はそうでない人と比べて死亡リスクが2倍高い。


by otowelt | 2014-05-20 17:18 | 呼吸器その他

ATS2014:ウェブサイト介入はCOPD患者の運動療法に良好な効果

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 ウェブサイト介入を行うことで1日あたり779歩の運度量を増やせる可能性があるようです。

M.L. Moy, et al.
An Internet-Mediated, Pedometer-Based Walking Program Improves HRQL In Veterans With COPD


背景:
 COPD患者は身体活動性が低く、健康関連QOL(HRQL)も低い。身体活動性を向上させる介入をおこなえば、HRQLが改善するかもしれない。

目的:
 インターネットを通した歩数計を用いた歩行介入をCOPD患者において実施した。この効果を検証する。

方法:
 238人のCOPD患者を登録し、2:1の割合にウェブサイト介入群(ウェブサイト介入+オムロン歩数計)、歩数計単独群の2群に割り付けた。SGRQスコアがベースラインおよび4か月時にとられた。ウェブサイト介入群はウェブサイトにおいて個々のゴールを設定しフィードバック、教育をおこなった。参加者は1週間に最低1回は歩数をアップロードするよう義務づけられた。

結果:
 平均年齢は67±9歳で、94%が男性だった。221人の参加者がSGRQのスコアリングを完遂した。
 その結果、ベースラインについては両群とも差はみられなかったものの、ウェブサイト介入群ではその後有意にSGRQ-TSの改善がみられた(53% vs. 39%, P=0.05)。また歩数計単独群と比較すると、4か月時点でウェブサイト介入群の方が1日あたり779歩たくさん歩いていた(P=0.005)。

結論:
 インターネットを介した歩数計を用いた運動介入はCOPD患者のHRQLを改善させる。


by otowelt | 2014-05-20 16:14 | 気管支喘息・COPD

ATS2014:ACROSS試験:アセトアミノフェンは重症敗血症において血清クレアチニン値を軽減

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D.R. Janz, et al.
Randomized Trial Of Acetaminophen For The Reduction Of Oxidative Injury In Patients With Severe Sepsis (ACROSS)
[Publication Page: A6568]


背景:
 潜在的なオキシダントである血清cell-free hemoglobin(CFH)の上昇は成人敗血症のアウトカム不良と関連していると言われている。観察研究においてアセトアミノフェンは敗血症患者の臨床アウトカム改善に寄与するのではないかと示唆されている。われわれは、重症敗血症でCFHが同定できた患者においてアセトアミノフェンがプラセボと比較して酸化傷害を減少させることができるかどうか検証した。

方法:
 われわれは、成人重症敗血症においてアセトアミノフェン1g6時間ごとあるいはプラセボを3日間投与する第II相ランダム化二重盲検プラセボ対照試験をおこなった。アセトアミノフェンを投与されている患者や急性・慢性肝疾患患者は除外した。プライマリアウトカムは酸化傷害の指標としての血清F2-イソプロスタン値とした。セカンダリアウトアムは血清クレアチニン値や院内死亡率とした。

結果:
 合計40人の患者がランダムに割り付けられた。試験薬を両群とも同じ数だけ服用した。
 その結果、アセトアミノフェンは有意にF2-イソプロスタン値が減少し(2日目:24.9 pg/mL, IQR 22-37 vs. 41.2 pg/mL, IQR 27.1-67.3, p = 0.022)、クレアチニン値が低かった(3日目:1.0 mg/dL, IQR 0.6–1.4 vs. 1.3 mg/dL, IQR 0.83 – 2.0, p = 0.039)。
 院内死亡率(アセトアミノフェン5.6% vs. プラセボ18.2%, p = 0.355)や有害事象(AST or ALT >400)(アセトアミノフェン9.5% vs. プラセボ4.3%, p = 0.599)については差はみられなかった。
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(Abstractより引用)

結論:
 成人の重症敗血症で血清CFHが同定できた患者では、アセトアミノフェン治療は酸化傷害の軽減や腎機能の改善をもたらす。


by otowelt | 2014-05-20 15:46 | 集中治療

ATS2014:EBUS気管支鏡施行時の鎮静プロトコール

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B22
H. Bedi, et al.
Pulmonologist-Directed Propofol Infusion Targeting Moderate Sedation For EBUS-Bronchoscopy: A Feasibility Report
[Publication Number: A2516]


概要:
 EBUSを用いた気管支鏡検査に際して、鎮静薬をどのようにコントロールすればよいのかというプロトコールを提示したポスター発表がありました。実用的であり、興味深いです。
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(Abstractより引用)


by otowelt | 2014-05-20 14:28 | 気管支鏡

ATS2014:IGNITE統合解析・・・ウルティブロ®はプラセボ、チオトロピウムと比較して呼吸機能を改善

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 COPDの治療未介入の患者さんに対して、いきなりウルティブロ®を使用することには現時点では私は賛成できません。

B104
J.A. Wedzicha, et al.
Once-Daily QVA149 Improves Lung Function And Health Status In COPD Treatment Naïve Patients: A Pooled Analysis Of ARISE, ENLIGHTEN, SHINE And SPARK Studies
[Publication Number: A3760]


背景:
 現在のGOLDが推奨する中等症以上(B-D)のCOPDの治療には、1つ以上の長時間作用型気管支拡張薬が含まれている。われわれは、ウルティブロ®(QVA149)(グリコピロニウム臭化物/インダカテロールマレイン酸塩)の呼吸機能や健康ステータスにおける効果をプラセボおよびチオトロピウムと比較した。

方法:
 患者はこれまでに治療を受けたことがないCOPD患者とした。データはCOPDにおけるランダム化比較試験のうち、ARISE試験、ENLIGHTEN試験、SHINE試験、SPARK試験から抽出した。これらIGNITE臨床試験プログラムの4試験のデータを統合解析した。
 効果は投与前1秒量(投与15分前、45分前の1秒量の平均)、投与後1秒量(同投与30分後、1時間後の平均)とした。健康ステータス(SGRQスコア)はARISE試験、SHINE試験、SPARK試験から抽出した。

結果:
 886の治療未介入患者がQVA149(276人)、インダカテロール(103人)、グリコピロニウム(221人)、チオトロピウム(197人)、プラセボ(89人)に割り付けられた。これらの患者において、3ヶ月および6ヶ月時点においてQVA149はプラセボやチオトロピウムと比較して投与前1秒量を有意に改善した(p<0.001)。また、QVA149は投与後1秒量をも改善させ、これはday1から6ヶ月時点まで継続した(p<0.001)。
 QVA149 (n=225)はSGRQスコアについてもプラセボ(n=62)およびチオトロピウム(n=197)より改善した。
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(Abstractより引用)

結論:
 COPD治療未介入の患者において、QVA149はプラセボやチオトロピウムと比較して臨床的にも統計学的にも呼吸機能を改善させた。また、QVA149は健康ステータス(SGRQスコア)も改善させた。


by otowelt | 2014-05-20 12:05 | 気管支喘息・COPD

ATS2014:新しい手技・・・EBUS-MF(微小鉗子)を用いた生検

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G.B. Chun, et al.
If The Tissue Sampler Fits: Initial Experience With EBUS Guided Miniforceps Biopsy
[Publication Number: A2507]


概要:
 EBUS-TBNAでは針を穿刺しますが、このEBUS-MF(EBUS guided miniforceps biopsy)では微小鉗子を用いてリンパ節を直接つかむことができます。TBNAの場合、針で刺して吸引するのですが、気道上皮や軟骨が針に入ってしまうと思うような検体が採取できないというデメリットがあります。
 EBUS-MFがコマーシャルベースで実用化されれば素晴らしいと思います。
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(Abstractより引用)


by otowelt | 2014-05-20 09:07 | 気管支鏡

ATS2014:IPFに対するアセチルシステインはプラセボと差なし

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 PANTHER-IPF試験のその後です。サンディエゴでもNEJMでも大々的に報告されました。

PANTHER-IPF試験・・・IPFにおけるプレドニゾン、アザチオプリン、N-アセチルシステイン併用は死亡率を増加させる

 これによってIPFに対するアセチルシステインの期待も薄れてしまいましたね。

F.J. Martinez, et al.
A Double Blind, Placebo-Controlled, Randomized Trial Of N-Acetylcysteine In Idiopathic Pulmonary Fibrosis
[Publication Page: A6601]


The Idiopathic Pulmonary Fibrosis Clinical Research Network
Randomized Trial of Acetylcysteine in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
DOI: 10.1056/NEJMoa1401739


背景:
 アセチルシステインは特発性肺線維症(IPF)の効果的治療薬とされているが、プラセボ対照試験のデータが不足している。

方法:
 二重盲検プラセボ対照比較試験において、われわれはランダムに軽症~中等症のIPF患者を、プレドニゾン+アザチオプリン+アセチルシステイン、アセチルシステイン単独、プラセボに割り付けた。この試験は、3剤併用群における安全性の懸念から早期中止された。しかし、その後2治療群の比較は続けられた(アセチルシステインvsプラセボ)。
 133人がアセチルシステイン群、131人の患者がプラセボ群に登録された。プライマリエンドポイントは60週にわたる努力性肺活量の変化とした。

結果:
 60週時点において、両群で努力性肺活量の変化には有意な差はみられなかった(−0.18L、−0.19L; P=0.77)。加えて、アセチルシステイン群とプラセボ群での死亡率にも差はなかった(4.9% vs. 2.5%, P=0.30)。急性増悪の頻度も同等であった(2.3% in each group, P>0.99)。

結論:
 プラセボと比較して、IPFに対するアセチルシステインには努力性肺活量の減少を抑制する有意な効果はないと考えられる。


by otowelt | 2014-05-20 07:02 | びまん性肺疾患

ATS2014:INPULSIS試験:ニンテダニブはIPF患者において努力性肺活量の減少を有意に抑制

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 サンディエゴで報告されたIPFに対するニンテダニブの結果についてはNEJMにも大々的に発表されました。

L. Richeldi, et al.
Efficacy And Safety Of Nintedanib In Patients With Idiopathic Pulmonary Fibrosis: Results Of Two 52-Week, Phase III, Randomized, Placebo-Controlled Trials (INPULSIS™)
[Publication Page: A6603]


Efficacy and Safety of Nintedanib in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
DOI: 10.1056/NEJMoa1402584


背景:
 ニンテダニブはチロシンキナーゼ阻害薬であり、VEGFR、PDGFR、FGFRに特異的に作用し、特発性肺線維症(IPF)の治療薬として期待されている。第II相試験であるTOMORROW試験に引き続き、第III相試験である多国共同ランダム化プラセボ対照並行群間試験であるINPULSIS1試験およびINPULSIS2試験によってニンテダニブの安全性と効果を検証した。

方法:
 40歳以上でランダム化から5年以内にIPFと診断され、胸部HRCTをスクリーニングの12ヶ月以内に受けた患者を24か国から登録した。患者は努力性肺活量50%以上、DLCOが予測値の30~79%とした。患者は3:2の割合でニンテダニブ150mg1日2回あるいはプラセボに52週にわたって割り付けられた。プライマリエンドポイントは1年の努力性肺活量変化(mL/年)とした。セカンダリエンドポイントはベースラインから52週までSGRQスコアの変化および初回の急性増悪までの期間とした。

結果:
 INPULSIS-1試験では513人、INPULSIS-2試験では548人が登録された。ベースラインの患者特性は両治療群に差はみられなかった。
 プライマリエンドポイントである1年の努力性肺活量変化は有意にニンテダニブ群で減少がみられた。 INPULSIS-1試験:-114.7 vs. -239.9 mL/年(95%信頼区間77.7-172.8)、INPULSIS-2試験:-113.6 vs. -207.3 mL/年(95%信頼区間44.8-142.7)。
 セカンダリエンドポイントについてはINPULSIS-2試験で有意なSGRQスコアの減少、急性増悪のリスクの減少がみられた。ただし、INPULSIS-1試験においてはセカンダリエンドポイントは達成されなかった。
 努力性肺活量の絶対値の減少が5%以内であった患者の割合についてもニンテダニブはプラセボよりも多かった(INPULSIS-1: 52.8% vs. 38.2%, オッズ比1.85、95%信頼区間1.28-2.66 、INPULSIS-2: 53.2% vs. 39.3%, オッズ比1.79、95%信頼区間1.26-2.55 )。
 もっともよくみられたニンテダニブの有害事象は下痢であり、INPULSIS-1試験で61.5% vs. 18.6%、INPULSIS-2試験で63.2% vs. 18.3%(いずれもプラセボと比較)。トランスアミナーゼの上昇はINPULSIS-1試験、INPULSIS-2試験でそれぞれ4.9%、5.2%だった。

結論:
 IPFに対するニンテダニブ150mg1日2回の効果を検証した2つの第III相試験により、努力性肺活量の減少を有意に抑制する効果によりIPFの進行を緩和できるものと考えられた。


by otowelt | 2014-05-20 06:46 | びまん性肺疾患

ATS2014:重症喘息に対する経口ステロイドの弊害

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 イギリス呼吸器学会のレジストリーを使用した、かなり大規模な報告です。STEP4の気管支喘息の場合、経口ステロイドを使わざるを得ない患者さんがいらっしゃいますが、呼吸器内科医としてはできれば使用したくないものです。

J. Sweeney, et al.
Regular Oral Corticosteroid Use Increases The Risk Of Steroid Related Morbidity In Refractory Asthma Compared To Frequent Rescue Courses - Data From The British Thoracic Society (BTS) Difficult Asthma Registry
[Publication Page: A2426]


背景:
 毎日の経口ステロイドは難治性喘息に対して効果的であるが、副作用が懸念されることは言うまでもない。喘息に限らず副作用派遣絵されるが、難治性再発性喘息の患者におけるデータは不足している。われわれはBTS難治性喘息レジストリーにおいて、重症喘息の患者において毎日のステロイド使用とレスキュー使用を副作用の観点で比較した。

結果:
 771人の重症喘息患者(平均年齢50±15歳、65%が女性、90%が白人)を登録した。このうち443人が高用量吸入ステロイド薬(ブデソニド相当量中央値2000μg[1600-2000μg])と経口ステロイド薬の内服(プレドニゾロン相当量中央値15mg[10-20mg])、レスキューのステロイド使用をおこなっていた。328人は高用量ステロイド(ブデソニド相当量中央値2000μg[1000-2000μg])を使用していたが経口ステロイドを定期には使用しておらず、レスキューとしてプレドニゾロンを使用していた。
 糖尿病、高血圧、肥満、高コレステロール血症、気分障害などのステロイド関連合併症については前者の方が多かった。
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(Abstractより引用)

結論:
 重症喘息患者において、維持療法として経口ステロイドを用いている患者はレスキュー使用の場合と比較して有意にステロイド合併症が多かった。


by otowelt | 2014-05-20 00:15 | 気管支喘息・COPD