2014年 05月 21日 ( 5 )

ATS2014:非結核性抗酸菌症に対する吸入アミカシン療法

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K.N. Olivier, et al.
A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study Of Liposomal Amikacin For Inhalation (Arikace®) In Patients With Recalcitrant Nontuberculous Mycobacterial Lung Disease
[Publication Number: A4126]


 NTMに対する吸入リポソーマルアミカシン療法を評価したランダム化プラセボ対照試験です。SNSを使って現地の情報を集めていますが、現時点ではまだ結果は分かっていません。


J.L. Benwill, et al.
Inhaled Amikacin For The Treatment Of Pulmonary Mycobacterium avium Complex (MAC) Infection
[Publication Number: A4112]


概要:
 非結核性抗酸菌症(NTM)に対する吸入抗菌薬の使用において、その量、頻度、副作用、効果についてのデータは不足している。肺MAC症に対して2010年から2013年に吸入アミカシンを投与された患者の薬剤歴を抽出した。患者はアミカシン500mgを1日1回~3回投与されていた。合計41人の患者が同定された。年齢は12歳から89歳までで、平均年齢は64.6歳だった。ほとんどが気管支拡張症と結節影を有する女性であった。29%(41人中12人)が空洞を有しており、71%(41人中29人)が結節影を有していた。11人(27%)が通常の経口化学療法と吸入アミカシンを開始されていた。また、30人(73%)は通常の化学療法が失敗したあとに吸入アミカシンが用いられていた。本レジストリーのMAC株はアミカシンに対しては感受性ないし低感受性であった。通常の治療に失敗した群では、23%がクラリスロマイシン耐性であった。1回あたりあの用量500mgという設定はおそらく忍容性のあるものであるが、将来的に比較試験を行うべきであることは言うまでもない。


by otowelt | 2014-05-21 20:23 | 抗酸菌感染症

ATS2014:EBUS専用気管支鏡は経鼻挿入でも大丈夫!

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 EBUS専用の気管支鏡は結構太いです。なので、いくら鎮静をかけて安全だと言われても鼻が痛くなるのでは・・・・。

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A. Delage, et al.
Comparison Of Oral And Nasal Bronchoscope Insertion For Endobronchial Ultrasound: A Randomized Trial
[Publication Number: A4383]


背景:
 縦隔リンパ節診断におけるEBUSは安全かつ有効な手技である。しかし、鼻からルーチンに挿入する操作についての検討はなされたことがない。われわれは、EBUSを経口あるいは経鼻で挿入する操作にランダムに割り付け、患者の症状・満足度や診断能について調べた。

方法:
 われわれの施設でEBUSを施行された患者が連続して登録された。インフォームドコンセントは全患者から得た。手技はミダゾラムおよびフェンタニルを用いた鎮静下で行われた。患者は1:1で経鼻あるいは経口でランダムに気管支鏡が挿入されされた。また経鼻挿入ができない患者は経口で実施した。EBUS手技の特性、合併症などが記録された。処置2時間後、患者は10点のスケールによって症状や満足度について調査された。

結果:
 2012年12月から2013年6月までに220人の患者が登録された。204人の患者(104人が経鼻、100人が経口)の解析が可能であった。経鼻挿入に割り付けられた患者のうち、75.6%が実際に挿入可能であった。患者背景等については両群ともに差はみられなかった。経鼻挿入した患者のうち1人が軽度の鼻出血を呈した。患者の症状や満足度について両群ともに差はみられなかった。また、診断能(57.7 vs 62.7%, p=0.41)や適切な検体が採取できたかどうか(94.5 vs 96.3%, p=0.51)についても同等の結果であった。

結論:
 EBUSは経鼻でも経口でも安全に実施でき、診断能も問題なかった。


by otowelt | 2014-05-21 07:41 | 気管支鏡

ATS2014:気管支拡張症に対する吸入抗菌薬のシステマティックレビュー

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 日本でもトービィが発売されていますが、現時点では嚢胞性線維症の患者さんにしか使用できません。

L. Zhang, et al.
Efficacy And Safety Of Inhaled Antibiotics In Patients With Non-Cystic Fibrosis Bronchiectasis: A Systematic Review
[Publication Page: A5109]


目的:
 このシステマティックレビューでは、嚢胞性線維症ではない気管支拡張症に対する吸入抗菌薬の効果と安全性を調べた。

方法:
 Cochrane Central Register of Controlled Trials (Issue 1, 2011)を用いて文献を抽出した。われわれは、吸入抗菌薬とプラセボあるいはその他のモダリティを比較したランダム化比較試験を同定した。2人の著者が独立して検索し、データ抽出をおこないバイアスリスクをアセスメントした。

結果:
 われわれは6試験300人の成人患者を解析した。すべての患者はCTで気管支拡張症が同定されており、喀痰の細菌培養は陽性であった。ゲンタマイシン、トブラマイシン、セフタジジムが3日~12ヶ月と幅広く使用されていた。急性増悪に対して経口シプロフロキサシンに吸入トブラマイシンを加えた1つの研究では効果がないと報告していた。
 安定している患者において、吸入抗菌薬は短期的であっても長期的であっても喀痰の細菌量の減少と臨床症状の改善がみられた。6~12ヶ月の長期使用はさらに急性増悪や入院のリスクを減少させた。気管支攣縮はもっともよくみられた副作用であった(5試験、相対リスク5.91、95%信頼区間2.43~14.36)。しかしながら、副作用による治療中断はコントロール群と同等であった(5試験,相対リスク1.10, 95%信頼区間0.45~2.7)。

結論:
 限定的なエビデンスではあるが、非嚢胞性線維症の気管支拡張症の患者の安定期に吸入抗菌薬を用いることで、喀痰の細菌量や減少、臨床症状の改善、急性増悪や入院リスクの減少をもたらすことができるかもしれない。


by otowelt | 2014-05-21 07:21 | 呼吸器その他

ATS2014:動脈穿刺時の疼痛は針の太さのせいではない、患者の不安によるもの

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 「針を刺すときの痛みは針の太さのせいじゃない」という臨床に直結した論文です。これは動脈穿刺に限ったことではないと思います。
 胸腔穿刺の場合、キシロカインを用いた局所麻酔時に胸膜を貫通する際痛みを感じるわけですから、1回穿刺の場合には局所麻酔は不要ではないかと個人的に考えています。もちろん胸腔ドレナージみたいな侵襲的処置は必須でしょうが。

C101
M. Patout, et al.
Pain And Anxiety During Arterial Puncture: A Randomized Controlled Trial On Needle Size
[Publication Number: A5132]


背景:
 血液ガス分析の際の動脈穿刺は痛い手技である。リドカインを皮下に注射することで痛みを軽減できるが、これは滅多に行われない。

目的:
 この研究の目的は、25G針による動脈穿刺が23G針と比較して痛みを減らすことができるかどうか解析することである。

方法:
 これはプロスペクティブ二重盲検単施設研究である。動脈穿刺を受ける患者はランダムに23G針群と25G針群に割り付けられた。VASによって患者に痛みや不安について尋ねた。

結果:
 200人の連続患者が登録された。23Gは25Gと痛みの度合いが同程度であった(6.63mm [0 – 19] vs 5.21mm [0 – 18.49]、p= 0.527)。痛みを感じる瞬間はそれぞれの針で異なっていた。たとえば、23G針の場合、25Gと比較して挿入時の痛みが強かった(p= 0.0476)。動脈穿刺の初回の失敗率については両群に差はなかった(p= 0.1944)。また、25G針の穿刺の方が穿刺時間が長かった(42秒 [35 – 55] vs 33秒 [24.5 – 35]、p= 0.002)。穿刺時間と患者の痛みの間に関連性はなかった(p= 0.4196)。
 動脈穿刺前の不安レベルと患者が感じる痛みに相関がみられた(r: 0.369、p < 0.0001)。

結論:
 25Gによる動脈穿刺は疼痛を減らすためには有効ではない。患者の不安が動脈穿刺時の疼痛と関連している。


by otowelt | 2014-05-21 05:34 | 呼吸器その他

ATS2014:血清MMP-7の増加はIPFの死亡リスクを上昇させる

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 シンポジウムでたびたび登場しているRichardsらの報告というのは、Am J Respir Crit Care Med. 2012 Jan 1;185(1):67-76. のことです。

C14
D.W. Ruhrmund, et al.
Matrix Metalloproteinase (MMP)-7 Predicts Mortality In Idiopathic Pulmonary Fibrosis (IPF), [Publication Page: A3924]



背景:
 IPFは進行性に呼吸機能を障害する慢性疾患であり、その死には呼吸不全が最も関与する。しかしながら、IPFの臨床経過は多様であり、臨床および生理学的パラメータに基づく予測モデルにより死亡リスクを類推してきた。近年の研究では、分子および遺伝子マーカーによってIPFの死亡を予測できることが示唆されている。その1つがMMP(matrix metalloproteinase)-7である。Richardsらは血清MMP-7濃度の増加が死亡リスクの上昇と関連していることを報告している。この研究は、ランダム化比較試験の大規模患者コホートにおいて血清MMP-7が死亡リスクの予測に与える影響を調べたものである。

方法:
 INSPIRE試験において、ベースラインの血清サンプルが583人の患者から採取された(うち392人はその後インターフェロンγ治療を受けている)。血清MMP-7はELISAによって測定された。MMP-7と総死亡との関連がCox比例ハザードモデルを用いて検討された(年齢、性別、努力性肺活量、DLCO、6分間歩行距離で補正)。

結果:
 INSPIRE試験の患者集団から採取された血清MMP-7値は様々な値をとった(中央値7.6 ng/mL, 範囲0.9-30.5 ng/mL)。最も高い三分位のMMP-7(≥9.5 ng/mL)は、最も低い三分位のMMP-7の集団よりも有意に高い死亡率であった(36/195 [18.5%] vs. 44/388 [11.3%]; 非補正ハザード比=1.80, p=0.009)。補正後もMMP-7は有意に患者コホートにおける生存に関連していた(ハザード比=1.56, p=0.054)。

結論:
 血清MMP-7の増加は、IPFにおける死亡リスクを上昇させる。


by otowelt | 2014-05-21 04:49 | びまん性肺疾患