2014年 12月 19日 ( 3 )

クリスマスBMJ:病院の待合室にはなぜ古い雑誌しか置いていないのか

 「古い雑誌は生き残った雑誌である」。そういうことです。それにしても1日1冊消える待合室ってどんなんやねん、と思ってしまいます。患者さんがこっそり持って帰ってるんでしょうけど。
 昨年のチョコレートの論文に似た感じですね。

病棟に置いたチョコレートの生存期間中央値は51分

Bruce Arroll, et al.
An exploration of the basis for patient complaints about the oldness of magazines in practice waiting rooms: cohort study
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g7262 (Published 11 December 2014)


目的:
 病院の待ち合い室にある雑誌のほとんどが古いという患者からの不満の根本を調査すること。

デザイン:
 コホート研究

セッティング:
 ニュージーランドのオークランドにおける一般診療待合室

対象:
 待ち合いにある山積みされた87冊の雑誌。非ゴシップ誌:タイム誌やエコノミスト誌、オーストラリア女性ウィークリー、ナショナルジオグラフィック、BBCヒストリーなど。ゴシップ誌:訴訟をおそれがあり明記しない。
 ゴシップは、表紙に5つ以上の有名人の写真が載っているものと定義され、10以上の写真が載っているものはもっともゴシップ性が高い雑誌と定義した。

介入:
 雑誌の裏表紙に番号を振り、待合室の雑誌の3つの山に置き、週に2回モニタリングする。

アウトカム:
 発刊2ヶ月以内の雑誌と発刊3~12ヶ月の雑誌について、雑誌全消失率を比較する。またゴシップ誌の消失率と非ゴシップ誌の消失率を比較。

結果:
 87の雑誌のうち82で表紙に日付が確認され、47は2ヶ月以内の新しい雑誌だった。新しい雑誌47のうち28(60%)、古い雑誌35のうち10(29%)が消失していた(P=0.002)。
 31日後、87のうち41(47%, 95%信頼区間37-58%)が消失。これは1日に1冊以上の雑誌が消失している計算になる。ゴシップ誌は27のうち26(96%)が消失したが、非ゴシップ誌(タイム誌やエコノミスト誌)は19のうちは1つも消失しなかった(P<0.001)。
クリスマスBMJ:病院の待合室にはなぜ古い雑誌しか置いていないのか_e0156318_23394919.jpg
(文献より引用)

結論:
 病院の待合室には、主に古い雑誌が置かれている。この現象は古い雑誌が供給されているというよりも、新しい雑誌が消失していることと関連しているのではないだろうか。ゴシップ誌は非ゴシップ誌よりも消失しやすい傾向がある。コストの観点からは、古い非ゴシップ誌を待合室に供給することをおすすめする。


by otowelt | 2014-12-19 17:25 | その他

クリスマスBMJ:アイス・バケツ・チャレンジは世界的著名人に中等度の感染性を有する

 あまり意識したことはなかったのですが、ホーマー・シンプソンって原子力保安検査官だったんですね。

Michael Y Ni, et al.
Transmissibility of the Ice Bucket Challenge among globally influential celebrities: retrospective cohort study
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g7185 (Published 16 December 2014)


目的:
 世界中の著名人で流行しているアイス・バケツ・チャレンジ(下記参照)の実態・リスク因子を同定すること。

・アイス・バケツ・チャレンジ(Wikipediaより)
 筋萎縮性側索硬化症 (ALS) の研究を支援するため、バケツに入った氷水を頭からかぶるか、またはアメリカALS協会(英語版)に寄付をする運動。2014年にアメリカ合衆国で始まり、フェイスブックなどのソーシャルメディアや、動画共有サイトのユーチューブなどを通して社会現象化し、他国にも広まっている。参加者の中には各界の著名人や政治家も含まれており、寄付金の増加やALSの認知度向上に貢献している。
クリスマスBMJ:アイス・バケツ・チャレンジは世界的著名人に中等度の感染性を有する_e0156318_8303835.jpg
(Wikipediaより使用)

デザイン:
 レトロスペクティブコホート研究

セッティング:
 ソーシャルメディア(YouTube, Facebook, Twitter, Instagram)

対象:
 デイヴィッド・ベッカム、クリスティアーノ・ロナウド、ベネディクト・カンバーバッチ、ステファン・ホーキング、マーク・ザッカーバーグ、オプラ・ウィンフリー、ホーマー・シンプソン(アニメキャラクター)、カーミット(セサミストリートに出てくるカエル)が当該症例として設定。また、そのほか著名なアイス・バケツ・チャレンジャーに接触し、5リレーまで追跡し合計99人をコホートに登録した。

アウトカム:
 Basic reproductive number(R0)。ある集団にある感染症を有する患者が入ってきたとき、1人が平均何人にうつすかをあらわす指標。R0が1未満であれば感染はなくなり、R0が1なら常に同じ数の感染者が維持され、R0が1を超えれば感染は拡大する。

結果:
 われわれの調査の結果、平均R0は1.43だった(95%信頼区間1.23-1.65)。また、次のバケツ・リレー受諾までのインターバルは平均2.1日(中央値1日)だった。ホーマー・シンプソンとカーミットはテレビキャラクターであり、そのパーソナリティがよくわからなかったため、回帰モデルには組み込まなかった。参加者の純資産(常用対数)の高さは、バケツ・リレーの伝播と相関していた(オッズ比1.63、95%信頼区間1.06-2.50)。
クリスマスBMJ:アイス・バケツ・チャレンジは世界的著名人に中等度の感染性を有する_e0156318_8524439.jpg
(文献より引用)

 ただし、Facebookの「いいね!」の数や、ツイッターのフォロワーの数とは関連性はなかった。
 R0はパンデミックA/H1N1 2009インフルエンザウイルスと同等の感染性を有することがわかり、MERSコロナウイルスよりは高い感染性を有していた。麻疹や天然痘ほどの感染力はなかった。
 本研究では重篤な合併症はなかったが、過去にアイス・バケツ・チャレンジによって頭部外傷などの有害事象が報告されており、死亡した例も存在する。

結論:
 アイス・バケツ・チャレンジは世界的著名人の集団において中等度の感染性を有し、パンデミックA/H1N1 2009インフルエンザウイルスと同等の範疇である。純資産の多い著名人に広まりやすい傾向にあり、社会的な影響を反映している側面もあるだろう。


by otowelt | 2014-12-19 09:26 | その他

クリスマスBMJ:子供向けアニメ映画では主要キャラクターの死亡リスクが高い

 確かに子供向けアニメ映画ではよく死にます。特に戦闘モノの映画なんかでは。

Ian Colman, et al.
CARTOONS KILL: casualties in animated recreational theater in an objective observational new study of kids’ introduction to loss of life
BMJ 2014; 349 doi: http://dx.doi.org/10.1136/bmj.g7184 (Published 16 December 2014)


目的:
 子供向けのアニメ映画と成人向けの映画において、主要キャラクターのスクリーン上の死亡リスクについて検証する。

デザイン:
 最初のスクリーン上の死亡までの時間を、Kaplan-Meier法で比較解析。

セッティング:
 著者のテレビ。ポップコーンの有無は問わない。

参加者:
 45の子供向けアニメ映画と90の成人向け映画の主要キャラクター。

アウトカム:
 最初にスクリーンで死亡がみられるまでの時間。

結果:
 子供向けアニメ映画の死亡原因として多かったのは、アニマルアタック(動物による)11.1%、落下11.1%だった。成人向け映画では銃による死亡が14.4%と多かった。
 子供向けアニメ映画の主要キャラクターは、成人向けものもと比較して死亡リスクが有意に高かった(ハザード比2.52, 95%信頼区間1.30 to 4.90)。また、主要キャラクターのスクリーン上の殺人行為についても成人映画よりも子供映画の方がリスクが高かった(ハザード比2.78, 95%信頼区間1.02 to 7.58)。
クリスマスBMJ:子供向けアニメ映画では主要キャラクターの死亡リスクが高い_e0156318_17235335.jpg
(文献より引用)

結論:
 無害と思われがちな映画だが、実は子供向けアニメ映画では死亡・殺人がありふれている。


by otowelt | 2014-12-19 01:11 | その他