2015年 09月 25日 ( 2 )

本の紹介:非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス

 今月、「非器質性・心因性疾患を身体診察で診断するためのエビデンス」(上田剛士)という本が出版されました。この本は、前作の「高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス」のシリーズもののようです。上田先生の書いた本なので、間違いなく完成度は高い。



 著者の上田剛士先生(洛和会丸太町病院 救急総合診療科)は、私が洛和会音羽病院で初期研修医をしていた頃の指導医の1人でした。総合診療科は、私にとって神のような医師がたくさんいました。大リーガー医として来ていたローレンス・ティアニー医師が「アメイジングな病院だ」と驚嘆していたのを覚えています。『ゴッドハンド輝』でいえば、ヴァルハラのような診療科でした。

 そんなヴァルハラの一角を担っていた上田先生は、まさに歩くステッドマンとも言っても過言ではない存在でした。あらゆる検査の感度・特異度がスラスラ出てくるだけではありません。その知識に裏付けされた身体所見のとり方を目の当たりにしたとき、この病院の研修医になってよかったと感激すらしたものです。それでいて腹立たしいくらいイケメンということもあって、病棟のナースからも人気が高かった。人気が高かった。もう一度言いましょう、人気が高かった。・・・・・・・いえいえ、「チクショウコノヤロウ」、「オレダッテモテタイノニ」などとは一度たりとも思いませんでしたよ。女性研修医には優しい言葉で懇切丁寧な教育がなされ、そして男性研修医のケツにはケリが

 上田先生の著書の強みは、タイトルにすべて「エビデンス」という言葉を入れているところです。これって執筆者にとっては結構プレッシャーだと思います。自分でハードルを上げているワケですから・・・。前作の「高齢者診療で身体診察を強力な武器にするためのエビデンス」、前々作の「ジェネラリストのための内科診断リファレンス:エビデンスに基づく究極の診断学をめざして」も鼻血が出るほどオススメです。

 

by otowelt | 2015-09-25 12:30 | その他

紫外線殺菌技術による結核菌伝播の予防

紫外線殺菌技術による結核菌伝播の予防_e0156318_15305325.jpg 個人的に興味深かった文献です。

Matsie Mphaphlele, et al.
Institutional Tuberculosis Transmission. Controlled Trial of Upper Room Ultraviolet Air Disinfection: A Basis for New Dosing Guidelines
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine, Vol. 192, No. 4 (2015), pp. 477-484.


背景:
 菌の伝播は世界的な結核の流行を広げており、特に人が集まる地域ではそれが起こりやすい。世界的には自然換気が感染を防ぐ手段として用いられるが、本質的に信頼性が乏しく寒冷地域において限界があるだろう。空気を撹拌した紫外線殺菌技術によって結核菌の伝播を減少させる効果があることが示されているが、エビデンスに基づく紫外線量のガイドラインが必要とされている。

目的:
 実際の病院において、空気を撹拌した紫外線殺菌技術による結核菌の伝播が有効かどうか調べ、またその量についてガイドラインを提案する。

方法:
 合計7ヶ月以上にわたって、90匹のモルモットを6床の結核病棟の非殺菌空気を吸わせ、他方の90匹を紫外線殺菌技術による空気を吸わせた。
紫外線殺菌技術による結核菌伝播の予防_e0156318_15324421.jpg
(文献より引用:Figure2A)

結果:
 モルモットのツベルクリン反応陽転化(6mm超)を比較した。紫外線による殺菌技術を用いなかった場合のツベルクリン陽転化のハザード比は4.9(95%信頼区間2.8-8.6)であった。殺菌効果は約80%と推定された。

結論:
 空気中の紫外線殺菌技術は、結核菌の伝播を減少させる上で効果的であると考えられる。これらのデータから、室内全体で15–20 mW/m3の紫外線量、平均紫外線線量率(UV fluence rate)は5–7 μW/cm2と計算された。


by otowelt | 2015-09-25 00:14 | 抗酸菌感染症