2018年 03月 12日 ( 1 )

喘息コントロールが悪化し始めたときにICSを4倍にすると重度の喘息発作が減る

e0156318_1637713.jpg 小児のSTICS試験の結果と同時に発表されています。
 よくよく読むと、登録基準がほとんど軽発作に近い状況なので、短期的にプレドニゾロンを内服して発作を解除してもよいようにも感じます。新しい概念のようにも見えますが、過去にAMD(Adjustable Maintenance Dosing:用量調節投与)療法と称して何度か登場しているものに近いです。SMART療法もそうですが、「less is more」がもてはやされるのは事実です。

Tricia McKeever, et al.
Quadrupling Inhaled Glucocorticoid Dose to Abort Asthma Exacerbations
N Engl J Med 2018; 378:902-910


背景:
 喘息患者は発作におびやかされ、それによって死にいたることもある。われわれは、成人および思春期の喘息患者を対象に、喘息コントロールが悪化し始めたときに吸入ステロイド薬(ICS)を一時的に4倍に増量するなどの患者自己管理計画により、重度の喘息発作の発生率が低下するという概念を検証した。

※喘息コントロールが悪化し始めたとき:①リリーバーの使用回数が普段よりも増えている、②喘息のせいで夜眠りにくい、③ピークフローが自己ベストの80%を下回っている

方法:
 他治療との併用の有無を問わず喘息に対してICS治療を受けており、過去12ヶ月に発作を1回以上起こしてた成人および思春期の喘息患者を対象に、非盲検ランダム化試験をおこなった。ICSを4倍に増量することを含んだ自己管理計画(4倍量群)を、増量を行わない自己管理計画(非4倍量群)と比較した。プライマリアウトカムは初回の重度の喘息発作での期間とし、全身性ステロイドを要する発作または予定外受診と定義した。SMART療法を従来から用いている患者は除外された。

※4倍量群では、喘息症状が落ち着く、ピークフロー値が正常に復する、最大用量にして14日が経過すれば、いったん通常量に戻すこととしている。
※ICS/LABAを用いている患者は、基本的にICSを上乗せすることで対応する(表)。
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(文献より引用)

結果:
 ランダム化した1922人のうち、1871人を解析対象とした。全体の3割がICS単独吸入で、それ以外はICS/LABAなどの合剤だった。ICS成分はフルチカゾン、ベクロメタゾン、ブデソニドがそれぞれ3~4割ずつとバランスがとれていた。
 ランダム化後の1年間で重度の喘息発作を起こした患者は、4倍量群では420人(45%)だったのに対し、非4倍量群では484人(52%)だった。初回の重度の喘息増悪までの期間の補正ハザード比は0.81だった(95%信頼区間0.71-0.92、P=0.002)。有害事象はICSの局所作用がほとんどで、4倍量群の方が頻度が高かった。

結論:
 成人および思春期の喘息患者を対象とした試験において、喘息コントロールが悪化し始めたときにICSを一時的に4倍に増量するという自己管理計画は、ICSを増量しない場合と比べて重度の喘息発作の発生率を低下させた。


by otowelt | 2018-03-12 00:02 | 気管支喘息・COPD