2018年 04月 05日 ( 1 )

メタアナリシス:SMART療法は喘息発作のリスクを減少

 このメタアナリシスに組み込まれている論文を個別に見ていると、少し気になるところがあります。
 Atienzaらの研究は、シムビコート®SMART療法 vs シムビコート®+テルブタリンの比較です。発作前に同じ吸入薬を連続で吸った方がよいという結果ですが、①そもそもテルブタリンよりもホルモテロールの方が発作抑制効果が強い、②テルブタリンのアドヒアランスが不良である(DPI+pMDIを両方使いこなせる人は確かに少ない)、③発作時に吸入ステロイド薬を追加的に吸うことにメリットがある、という3通りの解釈ができます。Rabeらの研究はテルブタリンではなくサルブタモールが比較対照です。Papiらの研究にいたっては、そもそもがベクロメタゾン+ホルモテロールの研究なのでシムビコート®のSMART療法を評価したものではありません。ゆえに、切り口は「用量ごと」ではなく「成分ごと」に評価するのが理想だと思います。使用しているICS/LABAやSABAに統一性がない場合、本当に妥当な解析と言えるのでしょうか。
 SMART療法がホルモテロールの恩恵を受けているのか、追加ICSの恩恵(AMD療法的な意味)を受けているのか定かではありませんが、サルメテロール以降に登場しているLABAの立ち上がり時間や作用時間をみていると、他のICS/LABAでもSMART療法が適用されてもよいのではと感じます。
 SMART療法を武器にして保険適用をとっているアストラゼネカの戦略はたいしたものです。ただ、シムビコート®の薬価をどうにかしてくれないと医師としては処方しにくいです。
 論文中に「出版バイアスの検定にプール解析が水準に達していなかった」と記載されていますが、さすがに明らかな出版バイアスがありますよね。

Sobieraj DM, et al.
Association of Inhaled Corticosteroids and Long-Acting β-Agonists as Controller and Quick Relief Therapy With Exacerbations and Symptom Control in Persistent Asthma: A Systematic Review and Meta-analysis.
JAMA. 2018 Mar 19. doi: 10.1001/jama.2018.2769. [Epub ahead of print]


背景:
 持続型喘息のマネジメントにおける潜在的治療レジメンとして吸入長時間作用性β刺激薬(LABA)
を用いたSMART療法がある。

目的:
 このシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、持続型喘息患者におけるSMART療法の効果を調べることである。

データ:
 MEDLINE、EMBASE、Cochraneデータベースなどを用いて2016年8月までの文献を抽出したあ(最終アップデート2017年11月28日)。2人のレビュアーが、SMART療法と吸入ステロイド薬(ICS)・ICS/LABAのコントロール治療+SABAによる発作時治療を比較したランダム化比較試験あるいは観察研究を抽出した。研究は5歳以上の患者をあつかった持続型喘息のものとした。ランダム効果モデルを用いてメタアナリシスをおこない、リスク比、リスク差、平均差をそれぞれ95%信頼区間とともに算出した。
 アウトカムは喘息発作とした。

結果:
 16のランダム化比較試験、22748人の患者が解析され、そのうちブデソニドとホルモテロールのDPIを用いたSMART療法を評価したのは15研究だった。12歳以上の患者22524人(平均年齢42歳、14634人[65%]が女性)において、SMART療法は同量ICS/LABAと比較して全身性ステロイド投与を要する喘息発作のリスクを軽減した(リスク比0.68[95%信頼区間0.58~0.80]、リスク差-6.4%[95%信頼区間―10.2~-2.6%])。また高用量ICS/LABAと比較してもリスク軽減が示された(リスク比0.77 [95%信頼区間0.60~0.98]; リスク差-2.8% [95%信頼区間-5.2%~-0.3%])。SMART療法の同様のリスク軽減効果は対ICSでも示された。
 なお、SMART療法はICS/LABAと比較して軽度の発作リスクを軽減しなかった(リスク比0.94[95%信頼区間-0.16~0.07]、リスク差-2.7%[95%信頼区間―5.2~-0.3%])。また、総死亡、ACQ-5、肺機能に対しても有意な効果はみられなかった。
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(文献より引用)

 
 4歳から11歳の患者341人(年齢中央値8歳、69人[31%]が女性)では、SMART療法は高用量ICSと比較して喘息発作のリスクを減少させた(リスク比0.55 [95%信頼区間0.32~0.94]; リスク差-12.0% [95%信頼区間-22.5%~-1.5%])。これは、同用量ICS/LABAと比較しても同等だった(リスク比0.38 [95%信頼区間0.23~0.63]; リスク差-23.2% [95%信頼区間-33.6%~-12.1%])。

結論:
 持続型喘息患者のメタアナリシスにおいて、SMART療法は、その他のコントロール治療+SABAによる発作時治療と比べて喘息発作のリスクを減少させた。4~11歳の患者におけるエビデンスは限定的である。


by otowelt | 2018-04-05 00:48 | 気管支喘息・COPD