2018年 05月 09日 ( 1 )

IPDメタアナリシス:イソニアジド耐性結核に対する異なる治療レジメンの比較

e0156318_9552565.jpg 現時点では、イソニアジド耐性結核は、6REZ+3REなどのレジメンを用いております。

Fregonese F, et al.
Comparison of different treatments for isoniazid-resistant tuberculosis: an individual patient data meta-analysis.
Lancet Respir Med. 2018 Apr;6(4):265-275.


背景:
 イソニアジド耐性かつリファンピシン感受性(INH-R)結核はもっともよくみられるタイプの耐性結核であり、治療失敗、再発、ファーストライン抗結核薬治療によるリファンピシンの耐性獲得と関連している。この研究の目的は、リファンピシン・エタンブトール・ピラジナミド(REZ);フルオロキノロン+6ヶ月以上のREZ;ストレプトマイシン+REZの治療を受けたINH-R肺結核における治療成功率、死亡率、リファンピシンの耐性獲得について調べることである。

方法:
 INH-R結核患者で、ランダム化比較試験であれば登録患者数を問わず、コホート研究であれば少なくとも20人の患者数が含まれる研究を選択した。2人のレビュアーによって研究が抽出された(2005年4月1日~2016年2月10日)。傾向スコアマッチロジスティック回帰による個別患者情報(IPD)メタアナリシスをおこない、補正オッズ比を類推し、治療成功、治療中の死亡、リファンピシンの耐性獲得のリスク差を算出した。アウトカムは、異なる治療レジメンごとに調べた(6ヶ月以下のREZ vs 6ヶ月超のREZ比較;フルオロキノロン+6ヶ月以上のREZ vs 6ヶ月以上のREZ;ストレプトマイシン+6ヶ月のRE+1~3ヶ月のZ vs 6ヶ月以上のREZ)。

結果:
 IPDは57のコホート研究および17のランダム化比較試験で得られ、8089人のINH-R結核が登録された。6424人の33データセットのうち、解析対象レジメンを受けた3923人のデータを23研究から用いた。REZ(H耐性なのでHREZも容認)の6ヶ月レジメンと比較して、治療期間を8~9ヶ月に延長してもアウトカムは同等だった。ゆえに、6ヶ月以上の(H)REZをその他の比較に用いた。フルオロキノロンを6ヶ月以上の(H)REZに加えることは、治療成功のオッズ比上昇と関連していた(補正オッズ比2.8、95%信頼区間1.1-7.3)。しかし、死亡率(補正オッズ比0.7、95%信頼区間0.4-1.1)やリファンピシンの耐性獲得(補正オッズ比0.1、95%信頼区間0.0-1.2)には影響を与えなかった。6ヶ月以上の(H)REZと比較して、通常の再治療レジメン(2ヶ月のストレプトマイシン、3ヶ月のZ、8ヶ月のHRE)は治療成功の悪化と有意に関連していた(補正オッズ比0.4、95%信頼区間0.2-0.7)。すべてのアウトカムにおいてエビデンスの質は低かった。

結論:
 INH-R結核患者において、少なくとも6ヶ月のREZレジメンと比較すると、フルオロキノロンを加えることは治療成功率の上昇と関連していた。一方で、ストレプトマイシンを加えることは治療成功率の減少と関連していたが、エビデンスの質は極めて低かった。


by otowelt | 2018-05-09 00:57 | 抗酸菌感染症