2018年 07月 25日 ( 1 )

IPF治療ガイドライン2018

e0156318_10505999.png 日本ではすでにガイドラインとして刊行されていますが、対外的な論文としてはこちらが正式なものになります。印象として、吸入NACを少し過剰評価しているように感じられます。もちろん有効であることが真実かもしれませんが、厳格な研究のみを抽出すべきではないでしょうか。

Honma S, et al.
Japanese guideline for the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.03.003


クリニカルクエスチョン
1. IPF患者はステロイド単独治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者に対してステロイド単独治療をおこなわないよう強く推奨する。


2. IPF患者はステロイドと免疫抑制剤の併用治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者に対してステロイドと免疫抑制剤の併用治療をおこなわないよう強く推奨する。


 欧米でのエビデンスや、日本で行われた低用量ステロイドとシクロスポリンAの併用療法が無効であったという報告(Respir Investig 2015;53:288–95.)に基づいての推奨です。


3. IPF患者は吸入N-アセチルシステイン単独療法を受けるべきか?
 慢性期にあるほとんどのIPF患者に対して吸入N-アセチルシステイン単独療法をおこなわないことを支持するが、少数の患者では妥当な治療オプションかもしれない。


 NACは「推奨しない」とはなりませんでしたが、これに関しては日本独自の見解のように思います。当ガイドラインでは小規模な臨床試験しか紹介されていません。


4. IPF患者はピルフェニドン治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者はピルフェニドン治療を受けることを支持する。


5. IPF患者はニンテダニブ治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者はニンテダニブ治療を受けることを支持する。


6. IPF患者はピルフェニドンと吸入N-アセチルシステインの併用療法を受けるべきか?
 慢性期にあるほとんどのIPF患者に対してピルフェニドンと吸入N-アセチルシステインの併用療法をおこなわないことを支持するが、少数の患者では妥当な治療オプションかもしれない。 


 これについても単施設後ろ向き研究が根拠となっており、日本独自の見解のようにも見えます。


7. IPF患者はピルフェニドンとニンテダニブの併用療法を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者に対するピルフェニドンとニンテダニブの併用療法は、現時点では推奨の判定を差し控える。


 まだ妥当なエビデンスはありません。忍容性についての検討(Am J Respir Crit Care Med. 2018 Feb 1;197(3):356-363.)は済んでいますので、前向き臨床試験の結果が待たれます。


8. 低酸素血症を有するIPF患者は酸素療法を受けるべきか?
 慢性期にある低酸素血症を有するIPF患者は酸素療法を受けることを推奨する。



9. IPF患者は呼吸リハビリテーションを受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者は呼吸リハビリテーションを受けることを支持する。



10. IPF急性増悪の患者はパルス療法を含むステロイド治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は、パルス療法を含むステロイド治療を受けるべきであることを支持する。


 ご存知の通り、これには妥当な臨床試験はないのが現状です。


11. IPF急性増悪の患者は免疫抑制剤治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は免疫抑制剤治療を受けるべきであることを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。


 有効とする後ろ向き研究(Intern Med 2011;50:189–95.、Eur Respir J 2011;38:1487–9.)がいくつかある程度で、有効なエビデンスはないと考えてよいでしょう。


12. IPF急性増悪の患者は好中球エラスターゼ治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は好中球エラスターゼ治療を受けるべきでないことを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。



13. IPF急性増悪の患者はPMX治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者はPMX治療を受けるべきでないことを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。



14. IPF急性増悪の患者は遺伝子組換えトロンボモジュリン治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は遺伝子組換えトロンボモジュリン治療を受けるべきでないことを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。



15. IPFおよび他の間質性肺炎に合併した肺癌に対して外科的治療は推奨されるか?
 IPFあるいは他の間質性肺炎に合併した肺癌に対する外科的治療を支持する。



16. IPFおよび他の間質性肺炎に合併した肺癌の術後急性増悪に対する予防投薬は推奨されるか?
 IPFあるいは他の間質性肺炎に合併した肺癌の術後急性増悪に対する予防投薬をおこなわないことを推奨する(抗線維化薬を除く)。


 ピルフェニドンについては術後の急性増悪を予防できる可能性がありますが(Ann Thorac Surg. 2016 ;102(6):1905-1910.)、やはりこれもエビデンス不足です。


17. IPFおよび他の間質性肺炎に合併した肺癌に対して化学療法をおこなうことは推奨されるか?
 IPFあるいは他の間質性肺炎に合併した肺癌に対して化学療法をおこなうべきであると支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。






by otowelt | 2018-07-25 00:57 | びまん性肺疾患