2018年 08月 27日 ( 1 )

ヨーロッパにおけるIPF管理の変遷

e0156318_7331272.jpg Respiratory Researchに批判的な目を持っているわけではありませんが、データ収集にバラつきはあれどもう少し上のジャーナルを目指せたのではないのかと思います。

Guenther A, et al.
The European IPF registry (eurIPFreg): baseline characteristics and survival of patients with idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Research201819:141,https://doi.org/10.1186/s12931-018-0845-5


背景:
 2009年からヨーロッパのIPF患者はeurlIPFregに登録されており、ここから疫学的データやtranslational researchの生体材料が提供されている。

方法:
 レジストリーデータは、患者および主治医のベースライン・追跡時質問票に基づいており、1700のパラメータで構成されている。このレジストリの中期~長期的な目的は、IPFのフェノタイプ、トリガー因子、増悪条件、地域的・環境的特徴、疾患動態、マネジメントについて理解するための情報を提供することである。

結果:
 2009年11月から2016年10月までに合計2090人の患者がレジストリに登録されたが、1083人は間質性肺疾患疑いどまりであった。IPFと確定診断されたのは525人だった。IPF患者の平均年齢は68.1歳であり、進行性の呼吸困難(90.1%)、疲労(69.2%)、乾性咳嗽(53.2%)で受診することが多かった。cracklesは95.5%の患者に聴取され、ばち指は30.8%にみられた。IPF患者のうち、18.64%がIPFおよびびまん性肺疾患の家族歴を有していた。外科的肺生検は2009年に32%実施されていたが、2016年には8%にまで減少しており、これはおそらくクライオバイオプシーの普及による。気管支肺胞洗浄が行われた263人の所見は、好中球分画上昇(14±15.7%)、好酸球分画上(5.4±8.5%)、リンパ球分画正常(9.8±10.7%)、マクロファージ分画減少(71.2±20.1%)だった。
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(文献より引用:IPF患者の診断手技)

 eurlIPFregに登録された時点で、%努力性肺活量は68.4±22.6%であり、%DLCOは42.1±17.8%だった。135人のIPF患者が長期酸素療法を受け、平均流量は鼻カニューレ2L/分だった。135人のうち、18人が4L/分を超える流量だった。肺高血圧症は16.8%にみられた。6分間歩行距離のは平均388±122mだった。
 ステロイド、免疫抑制剤、N-アセチルシステインは2009年以降減少しており、かわりに抗線維化薬が用いられている。これにより生存が改善している(p = 0.001)。抗線維化薬を使用している患者では生存期間中央値は123.1ヶ月、使用していない患者は68.3ヶ月だった。
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(文献より引用:IPFの治療)
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(文献より引用:Kaplan-Meier曲線)

結論:
 ヨーロッパのIPF患者のベースライン特性、診断、マネジメントの変化、アウトカムについて報告した。



by otowelt | 2018-08-27 00:37 | びまん性肺疾患