2018年 10月 11日 ( 1 )

DACCORD試験:リアルワールドにおけるトリプル吸入療法

e0156318_1633480.jpg どうなんでしょう。リアルワールドにおける解釈と、大規模臨床試験における輝かしいデータの差異。

Buhl R, et al.
Dual bronchodilation vs triple therapy in the "real-life" COPD DACCORD study.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018 Aug 24;13:2557-2568.


背景:
 COPDにおいて、長時間作用性β2刺激薬に長時間作用性抗コリン薬を併用したダブル気管支拡張療法と、それに吸入ステロイドを加えたトリプル吸入療法の2療法を“リアルワールド”で評価した観察研究はない。

材料および方法:
 DACCORD試験は、COPDに対する維持治療の開始あるいは維持治療の変更について、治療クラス間・クラス内で追跡した非介入観察研究である。研究の非介入性により、治療開始や治療変更はDACCORD試験登録前の主治医の裁量にゆだねられざるを得ない。われわれは、2つの患者群(ダブル吸入療法 vs トリプル吸入療法)において疾患進行を比較するため、マッチドペア分析をおこなった(各群1046人)。

結果:
 1年にわたり、患者背景および疾患特性によって2群のサブグループにマッチされたが、トリプル吸入療法よりもダブル吸入療法を受けている患者のほうが増悪は少なかった(15.5% vs 26.6%、p<0.001)。また、ベースラインから1年後のCATスコア改善の平均は、ダブル吸入療法を受けている患者のほうが良好だった(平均±標準偏差:-2.9±5.8 vs -1.4±5.5、P<0.001)。前治療による層別化解析では、登録後もトリプル吸入療法を継続している患者群のうち、すでにトリプル吸入療法を受けていたサブグループが最も高い増悪率だった。単剤治療からダブル吸入療法への変更は、CATスコア改善にもっとも寄与した。

結論:
 この“リアルワールド”のCOPDコホートでは、登録前6ヶ月以内にはほとんどの患者が増悪を経験しておらず、増悪や健康ステータスという観点からは、トリプル吸入療法はダブル吸入療法と比べてアウトカムを改善しなかったようである。われわれの解析は、前治療が潜在的に臨床試験結果に影響を与えることを示しており、比較試験でさえもその解釈の際には注意を払うべきである。





by otowelt | 2018-10-11 00:57 | 気管支喘息・COPD