2018年 10月 16日 ( 1 )

ROBERT試験:COPDに対するロフルミラストは気道粘膜の好酸球遊走を抑制する

e0156318_9531936.png 思ったより下痢が少ないんですね。1年くらいの観察で、下痢のNNHは確か15くらいだった気がします。

Rabe KF, et al.
Anti-inflammatory effects of roflumilast in chronic obstructive pulmonary disease (ROBERT): a 16-week, randomised, placebo-controlled trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30331-X


背景:
 選択的ホスホジエステラーゼ4阻害剤であるロフルミラストの臨床的効果はよく確立されているが、薬剤の有効性のもととなる抗炎症性機序についてはほとんど分かっていない。ROBERT試験の目的は、中等症から重症のCOPDおよび慢性気管支炎患者における気管支粘膜の炎症からロフルミラストの抗炎症作用をアセスメントすることである。

背景:
 ROBERT試験は、5ヶ国18施設で行われたランダム化プラセボ対照二重盲検試験である。登録患者は、慢性湿性咳嗽を2回にわたって過去1年3ヶ月以上訴えているCOPDを有する40~80歳である。患者は気管支拡張後の予測1秒量が30~80%で、気管支拡張後の予測1秒率が70%以下であることとした。患者は、コンピュータ化された中央ランダム化システムによってロフルミラスト500μg1日1回群あるいはプラセボ群に1:1の割合で16週間ランダム化割り付けされる前に6週間の挿入期間(run-in period)を経た。両群ともに気管支拡張治療(吸入ステロイドは許可されなかった)に加えられる形とした。ランダム化は、長時間作用性β刺激薬の併用の有無で層別化された。被験者と研究者はともに割り付けについて盲検化された。ロフルミラストおよびプラセボは同一の黄色い三角形の錠剤として配布された。気道炎症は、気管支生検検体および誘発喀痰検体における炎症細胞の定量でアセスメントした。プライマリエンドポイントは、ITT集団におけるランダム化から16週間までの気管支生検の粘膜下のCD8炎症性細胞数の変化とした。セカンダリエンドポイントとして、好酸球を含むそのほかの炎症性マーカーの細胞数の変化もみた。

結果:
 2012年1月4日から2016年2月11日まで、158人の患者がランダムに割り付けられた。79人がロフルミラスト群、79人がプラセボ群に割り付けられた。16週時点で、気管支粘膜下のCD8細胞数の変化は、ロフルミラスト群とプラセボ群で有意な差はなかった(治療比率1.03 [95%信頼区間0.82–1.30]; p=0.79)。しかしながら、プラセボ群と比較すると、ロフルミラスト群では16週時点での気管支生検検体の好酸球の有意な減少と関連していた(治療比0.53 [95%信頼区間0.34–0.82]; p=0.0046)。誘発喀痰においても、プラセボ群と比較してロフルミラスト群で好酸球細胞数の絶対値(p=0.0042)および分画(p=0.0086)の有意な減少が観察されたが、末梢血好酸球数には影響を与えなかった。そのほか、気管支粘膜の炎症細胞で有意なロフルミラストの効果を示したものはなかった。もっともよくみられた(すなわち、5%を超える患者)中等症の有害事象は、COPDの悪化(ロフルミラスト群3人[4%] vs プラセボ群7人[9%])、咳嗽(ロフルミラスト群6人[8%] vs プラセボ群4人[5%])、下痢(ロフルミラスト群4人[5%] vs プラセボ群3人[4%])、鼻咽頭炎(ロフルミラスト群3人[4%] vs プラセボ群5人[6%])だった。COPDの悪化を含む重度の有害事象イベントは、ロフルミラスト群4人(5%)、プラセボ群2人(3%)にみられた。本研究において死亡例はなかった。重篤な有害事象はロフルミラスト群の8人(10%)、プラセボ群の5人(6%)にみられた。

結論:
 ロフルミラストの16週間治療は、プラセボと比較した気管支粘膜下のCD8細胞数に影響を与えなかった。しかしながら、気管支生検検体や誘発喀痰において好酸球数の有意な減少がみられ、COPDにおけるロフルミラストは、肺の好酸球に対する影響を介して効果を与えている仮説が示唆される。





by otowelt | 2018-10-16 00:54 | 気管支喘息・COPD