2019年 03月 04日 ( 1 )

認知症合併は肺結核の死亡リスク

e0156318_1302985.jpg 実臨床に即した論文です。

Saiki M, et al.
Coexistence of dementia with smear-positive pulmonary tuberculosis is associated with patient in-hospital mortality
Respiratory Investigation, online 11 February 2019


背景:
 肺結核患者の生存期間に認知症が与える影響は不明である。この研究は、認知症を合併した肺結核患者の院内死亡率に影響を与えるリスク因子を記述しようとしたものである。

方法:
 新規に塗抹陽性で、HIV感染症を伴わない非多剤耐性結核と診断された成人入院患者において、9年におよぶ診療録ベースの後ろ向き研究が実施された。臨床所見、生化学的検査、放射線学的所見、臨床アウトカムが収集された。因子を各グループで比較した。統計学的に有意(p<0.05)な因子は多変量ステップワイズロジスティック回帰モデルに組み込んだ。生存解析は、Kaplan-Meier法によっておこなわれ、log-rank testによって群間比較された。

結果:
 279人の患者(178人が男性、年齢中央値76歳)のうち、認知症は64人(22.9%)にみられた。全体での死亡率は12.2%(279人中34人)だった。認知症を有して生存退院したのは、245人中42(17.1%)であり、認知症を有して死亡したのは34人中22人(64.7%)にのぼった。単変量解析では院内で死亡した患者では認知症の頻度が高かった。多変量ステップワイズロジスティック回帰分析では、認知症は院内死亡の高さと有意に関連していた(オッズ比率3.20、95%信頼区間1.15-8.88、p=0.026)。そのほか、年齢(オッズ比1.07、95%信頼区間1.01-1.13、p=0.0024)、呼吸不全(オッズ比5.63、95%信頼区間1.15-8.88、p<0.001)、ADL(オッズ比2.14、95%信頼区間1.10-4.16、p=0.025)などが有意に関連していた。
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(文献より引用:多変量解析)

 加えてサブグループ生存曲線では、年齢で補正しても、認知症は生存率減少と関連していた(log-rank test, p=0.0007)。
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(文献より引用:Kaplan-Meier曲線)

結論:
 肺結核に合併した認知症は、患者の院内死亡率と関連していた。医療従事者は、塗抹陽性肺結核患者の高い死亡率集団を同定するために認知症に注意すべきである。
 




by otowelt | 2019-03-04 09:24 | 抗酸菌感染症