2019年 04月 29日 ( 1 )

NTM診断における気管支鏡の役割

e0156318_2257030.png 着眼点が実臨床的ですごいなと思いました。

角谷拓哉ら.
非結核性抗酸菌感染症疑いの気管支鏡検査で同菌が検出されなかった症例の経過について
日呼吸誌, 8(2): 91-96, 2019


背景:
 NTMに対する気管支鏡検査の有用性は確立しているが,特徴的な画像所見を呈していながら,気管支鏡
検査を行ってもNTM が検出されない症例をしばしば経験する.このような症例が,その後どのような経過をたどるか検討された報告はない。

方法:
 2006~2010 年に聖隷三方原病院呼吸器センターを受診し,胸部CT 画像で結節性陰影,小結節性陰影や分枝状陰影の散布,均等性陰影,空洞性陰影,気管支または細気管支拡張所見のいずれかを呈しNTM症が疑われたが,喀痰検査による診断がつかず,気管支鏡検査を施行した110 例のうち,気管支鏡検査にてNTM症と診断された28例を除き,残り82例のなかで気管支鏡検体の塗抹,PCR,培養検査がすべて陰性かつ,気管支鏡検査後2 年以上の経過が観察可能であった52例を対象として,陰影の推移や症状の変化,排菌の有無を後ろ向きに検討した。

結果:
 全52例のうち症状または画像が悪化した症例は13例,いずれの悪化も認めなかった症例は39例あり,それぞれの背景として年齢は中央値(範囲)で64(26~72)歳/63(39~81)歳,性別は女性が6 例(46%)/28 例(72%),有症状受診例は8 例(62%)/12 例(31%)であり,いずれの悪化も認めなかった症例で女性が多い傾向であった.症状または画像が悪化した症例のなかで症状の悪化は6 例(46%),画像の悪化は12 例(92%),いずれも悪化した症例は5例(38%)であった.6 例(46%)で気管支鏡が再検されており,9 例(69%)で喀痰検査が再検されていた.
 いずれの悪化も認めなかった39 例では,7 例(18%)で気管支鏡が再検され,17 例(44%)で喀痰検査の再検が行われていたが,喀痰検査が再検された2 例より,後にNTM が検出されていた.

結論:
 経過中に症状/画像が不変であった症例ではその後,気管支鏡が再検された症例は少なく明確なことは言えないが,症状/画像が悪化した症例のうち約半数(6/13例,46%)で気管支鏡が再検されており,NTM の検出はなかった.このことから初回に気管支鏡検査を施行し,NTM の検出がなければ,経過中に症状/画像が悪化し気管支鏡を再検してもNTMが検出される可能性は低いかもしれない.喀痰で陽性とならなければNTM症以外の病態を考える必要があるかと思われた.


by otowelt | 2019-04-29 00:42 | 抗酸菌感染症