2019年 11月 14日 ( 2 )

GRAVITAS試験:胸水を排液するとき、陰圧をかけるか・かけないか

e0156318_10322082.jpg 胸水穿刺(ドレナージ)するときに、ポタポタと重力にまかせて胸水を落としきるか、手動で陰圧をかけながら引っ張るかを比較した貴重な研究です。
 これを立案した人、マジパネェです。これですよ、これ!こういうのが“実臨床的”ってもんです!
 
Lentz RJ, et al.
The Impact of Gravity versus Suction-driven Therapeutic Thoracentesis on Pressure-related Complications: the GRAVITAS Multicenter Randomized Controlled Trial.
Chest. 2019 Nov 8. pii: S0012-3692(19)34190-X. doi: 10.1016/j.chest.2019.10.025.


背景:
 胸腔穿刺は、積極的な吸引あるいは自然な重力によるドレナージによっておこなわれる。われわれは、重力による自然なドレナージが、積極的な陰圧吸引と比べて胸部不快感、再膨張性肺水腫、気胸などの陰圧関連合併症を予防できるかどうかを検証した。

方法:
 これは、500mL以上の胸水貯留が想定される18歳以上の患者を、1:1の割合で、積極的吸引と自然なドレナージのいずれかに割り付けた前向き多施設共同単盲検ランダム化比較試験である。処置前後、処置中、100mmのVASにより胸部不快感を評価した(0mm:大丈夫、100mm:不快)。胸腔穿刺は、完全に排液された場合、または持続的に胸部不快感を訴える場合、難治性の咳嗽があった場合、その他の合併症があった場合には中止された。プライマリアウトカムは、処置後5分の胸部不快感とした。セカンダリアウトカムは、処置後48時間の不快感と呼吸困難とした。
 使用カテーテル: 8F over-needle-style catheter (Safe-T-Centesis, BD, Franklin Lakes, NJ, USA or Arrow-Clarke Pleura-Seal, Teleflex, Morrisville, NC, USA)

結果:
 142人の患者がランダム化され、140人が最終解析に組み込まれた。積極的吸引群の15人 (24%)、自然ドレナージ群の 11人(14%)が悪性胸水だった。全体の約半数が外来ベースで処置がおこなわれた。
 プライマリアウトカムには有意差はなかった(平均VASスコア差5.3mm、95%信頼区間-2.4 ~ 13.0, p=0.17)。セカンダリアウトカムである不快感と呼吸困難にも差はなかった。両群のドレナージ量に差はなかった(積極的吸引群1264 ± 724 mL vs 自然ドレナージ群1165 ± 543 mL, 平均差99 mL, 95%信頼区間-113 to 310, p=0.89)。処置にかかった時間は、自然流出群のほうが長かった(平均差7.4分、95%信頼区間10.2~4.6分、p<0.001)。再膨張性肺水腫などの重篤な合併症は報告されなかったが、積極的吸引群の1人に気胸が起こった(吸引圧とは無縁と思われる)。
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(VAS:文献より引用)

結論:
 胸水を抜く場合、積極的吸引と重力による自然ドレナージのいずれも安全に実施でき、胸部不快感や呼吸困難も同水準だった。ただ、積極的に陰圧をかけて吸引したほうが処置時間は短い。



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by otowelt | 2019-11-14 16:54 | 呼吸器その他

HOT1302試験:間質性肺疾患合併進行NSCLCに対するカルボプラチン+nab-パクリタキセル

e0156318_8124310.jpg 小規模ですが、そもそもエビデンスが少ない領域なので、参考になるデータですね。
 OSのKaplan-Meier曲線の最後は見たくないですが・・・。

Asahina H, et al.
A prospective phase II study of carboplatin and nab-paclitaxel in patients with advanced non-small cell lung cancer and concomitant interstitial lung disease (HOT1302).
Lung Cancer. 2019 Sep 30;138:65-71.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)と間質性肺疾患(ILD)を合併した患者は、ILD急性増悪のリスクから多くの抗癌剤治療が選択肢から外れる。この前向き研究において、ILD合併進行NSCLC患者におけるカルボプラチン+nab-パクリタキセルの効果と安全性を検証した。

患者および方法:
 登録患者は、ILDを合併した未治療進行NSCLCである。患者は、カルボプラチン(AUC6)とnab-パクリタキセル(100mg/m2)の治療を3週ごとに4~6サイクル受けた。プライマリエンドポントは客観的奏効率(ORR)とし、セカンダリエンドポイントに毒性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が含まれた。

結果:
 2014年4月から2017年9月までに、36人の患者が登録された。男性は26人(72.2%)だった。16人(44.4%)は腺癌、15人(41.7%)が扁平上皮癌、5人(13.9%)がその他の非小細胞肺癌だった。病期IVは半数の18人だった。
 抗癌剤投与サイクル中央値は4(範囲1-6)だった。ORRは55.6%(95%信頼区間39.6-70.5)だった。PFS中央値は5.3ヶ月(95%信頼区間3.9-8.2)、OS中央値は15.4ヶ月(95%信頼区間9.4-18.7)だった。扁平上皮癌の患者は非小細胞癌の患者よりもORR(66.7%[95%信頼区間41.7-84.8] vs. 47.6%[95%信頼区間28.3-67.6]、P = 0.254)、PFS中央値(8.2ヶ月[95%信頼区間4.0-10.2] vs. 4.1ヶ月[95%信頼区間3.3-5.4] 、ハザード比0.60 [95%信頼区間0.30-1.20]; P = 0.15)、OS中央値(16.8ヶ月[95%信頼区間9.8-未到達] vs. 11.9ヶ月[95%信頼区間7.3-17.4] 、ハザード比0.56 [95%信頼区間0.24-1.28]; P = 0.17)が良好だった。2人(5.6%)の患者がグレード2以上の肺臓炎を起こし、1人(2.8%)が死亡した。
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(文献より引用:有効性)
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(文献より引用:Kaplan-Meier曲線)

結論:
カルボプラチン+nab-パクリタキセルは、ILD合併進行NSCLCの患者に対して良好な効果と忍容性を有する。



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by otowelt | 2019-11-14 00:34 | 肺癌・その他腫瘍