2020年 02月 13日 ( 2 )

COVID-19:1099例の臨床的特徴

COVID-19:1099例の臨床的特徴_e0156318_2252711.png ※2月28日にmedRxivからNEJMに掲載されました(追記は赤字)。

Guan W, et al.
Clinical Characteristics of Coronavirus Disease 2019 in China.
NEJM, February 28, 2020, DOI: 10.1056/NEJMoa2002032


背景:
 2019年12月以降、COVID-19が武漢から中国各地へと拡大した。われわれは、これらの症例の臨床的特徴を記述することをこころみた。

方法:
 われわれは30省552病院から、2020年1月29日までの1099人のPCR確定COVID-19の症例データを抽出した(武漢市金銀潭医院が組み入れ数最多:132例)。プライマリ複合エンドポイントは、ICU入室、人工呼吸器装着、死亡のいずれかとした。

結果:
 年齢中央値は47.0歳で、41.9%が女性だった。1.9%が野生動物との直接接触があり、31.3%が武漢渡航歴を有し、72.3%が武漢の人と濃厚接触歴を有していた。
 発熱(入院時43.8%、入院中88.7%)、咳嗽(67.8%)がもっともよくみられた症状で、下痢は3.8%とまれだった。潜伏期間中央値は4日(範囲2~7日)だった。
 入院時、926人が非重症、173人が重症に分類された。年齢は2群で有意な差がみられ(平均差7.0歳、95%信頼区間4.4~9.6)、基礎疾患は重症例のほうが多かった(38.2% vs 22.5%,P<0.001)。
 入院時の画像検査で、56.4%に胸部CT上典型的なGGOがみられた。17.9%は胸部レントゲン写真やCT写真で肺炎像が確認できなかった。重症例は、非重症例と比較して、画像所見ではなく症状+RT-PCRで診断されることが多かった(23.87% vs 5.20%, P<0.001)。リンパ球減少が83.2%の患者にみられた。
 プライマリ複合エンドポイントがあったのは67人(6.1%)だった。55人(5.0%)はICUに入室し、酸素療法を受けたのは38.0%、挿管・人工呼吸器管理を要したのは2.3%だった。15人(1.36%)が死亡した。重症例で非侵襲性換気を受けたのは32.37%、非重症例では0%、挿管人工呼吸管理を受けたのはそれぞれ13.87%、0%だった。
 抗菌薬治療は58.0%、オセルタミビル治療は35.8%の患者が受けていた。全身性ステロイド治療は全体の18.6%が投与されていた(重症例44.5% vs 非重症例13.7%、p<0.001)。ECMOを使用したのは全体で5人(0.5%)だった。
COVID-19:1099例の臨床的特徴_e0156318_1238172.png
(治療とアウトカム:文献より引用)

 多変量競合リスクモデルによると、重症肺炎の存在は、ICU入室、人工呼吸器装着、死亡の独立したリスク因子だった(部分分布ハザード比9.80; 95%信頼区間4.06~23.67)。白血球4000/mm3超(同ハザード比4.01、95%信頼区間1.53~10.55)、胸部レントゲン写真における間質性陰影(同ハザード比4.31、95%信頼区間1.73~10.75)もリスク因子だった。(NEJM発刊時はこの文章は削除されている)

結論:
 初期2ヶ月のアウトブレイクのあいだ、COVID-19はすみやかに中国へ広がった。患者は発熱を訴えるが、多くは放射線学的な異常を同定できなかった。





by otowelt | 2020-02-13 07:47 | 呼吸器その他

2019-nCoV肺炎137例の後ろ向き検討(三次病院)

2019-nCoV肺炎137例の後ろ向き検討(三次病院)_e0156318_2252711.png 疾患名はCOVID-19、ウイルス名はSARS-CoV-2になりました。ややこしい・・・。Facebookで岩田健太郎先生にコメントをいただいたのですが、COVID-19自体が病名となると肺炎のことをどう表記すればよいのかちょっと悩みますね。SARS-CoV-2肺炎と書くと「SARSじゃねぇよ!」というツッコミが出てきそうで。(汗)
 さて、先週末に紹介した138例とほぼ同じ症例数の後ろ向き検討ですが、こちらの武漢の研究は死亡率11.7%とかなり高い死亡率の集団です。

・参考記事:2019-nCoV肺炎138例の後ろ向き検討

Kui L, et al.
Clinical characteristics of novel coronavirus cases in tertiary hospitals in Hubei Province.
Chin Med J (Engl). 2020 Feb 7. doi: 10.1097/CM9.0000000000000744.


背景:
 2019-nCoVは、中国の湖北省、武漢においてアウトブレイクした2020年1月に同定されたウイルス感染症である。この研究の目的は、その疫学、臨床的特徴、治療レジメン、予後について記述することである。

方法:
 2019年12月30日から2020年1月24日までに湖北省の9つの三次病院の呼吸器内科に入院した2019-nCoV肺炎の臨床データ(一般ステータス、臨床症状、検査データ、画像データ、治療レジメン)を収集した。

結果:
 137人(61歳が男性、76人が女性、年齢20-83歳、平均年齢55±16歳、武漢出身50.4%)のうちだれも武漢の海鮮市場の曝露歴はなかった。
 主要な初期症状は発熱(81.8%)、咳嗽(48.2%)、筋肉痛あるいは疲労(32.1%)が多く、頭痛(9.5%)、下痢(8.0%)などは頻度が低かった。呼吸困難は19%にみられた。
 80%近くの患者が白血球数が正常ないしは減少しており、72.3%にリンパ球減少がみられた。
 肺病変は全例で観察され、胸部CTでは多葉にわたる陰影がみられた。浸潤影あるいは索状影にすりガラス陰影を合併するケースも多かった。
 効果的な薬剤はなかったが、症状緩和と呼吸補助がおこなわれた。免疫グロブリンが重症患者に投与された。全身性ステロイドが用いられた患者もいたが、効果はみられなかった。早期からの呼吸補助は、回復を早め、予後を改善した。
2019-nCoV肺炎137例の後ろ向き検討(三次病院)_e0156318_22392417.png
(治療内容:文献より引用)

 死亡のリスクとして、年齢、基礎疾患、症状発現から呼吸困難までの時間が挙げられた。

結論:
 ほとんどの2019-nCoV肺炎には初期症状として発熱がみられ、多くが典型的なウイルス性肺炎の画像所見を呈していた。中年および高齢の基礎疾患が存在すると呼吸不全に陥りやすく、予後が不良になるかもしれない。




by otowelt | 2020-02-13 00:07 | 感染症全般