2020年 02月 20日 ( 4 )

COVID-19:初期診断において胸部CTはRT-PCRよりも感度がよい

COVID-19:初期診断において胸部CTはRT-PCRよりも感度がよい_e0156318_2252711.png 温州医科大学から、先日の日本放射線科専門医会・医会の勧告とはやや対極的な論文がRadiologyに掲載されました。

■日本放射線科専門医会・医会の勧告:
新型コロナウイルス肺炎(COVID-19)に対するCT検査については慎重な対応を

 難しいのは、撮影時に放射線科の技師さんや、環境表面の消毒がうまくできていないと、その他の患者さんへの無用なリスクを与えることです。

Yicheng Fang, et al.
Sensitivity of Chest CT for COVID-19: Comparison to RT-PCR
Radiology, Published Online:Feb 19 2020https://doi.org/10.1148/radiol.2020200432


背景:
 COVID-19に対して単純胸部CTが早期診断に有用と考えらているが、現時点でもRT-PCRが診断の標準に位置づけられている。この研究の目的は、COVID-19の初期患者において、胸部CTとRT-PCRの感度を比較することである。

方法:
 台州恩沢医療中心において、2020年1月19日から2020年2月4日までに、①武漢やその他流行地域に渡航歴がある、またはその地域の有症状渡航者と濃厚接触がある、②原因不明の発熱や呼吸器症状がある、を満たす患者に胸部CTとRT-PCRをおこなった。RT-PCRが陰性の患者では1日以上あけて再検をこころみた。これらの患者のうち、RT-PCRと単純胸部CT(5mmスライス厚)の検査間隔が3日以内の患者を登録した。典型的な画像所見について記録された。また、胸部CTおよびRT-PCRによるCOVID-19の診断の同定率を比較した。

結果:
 51人(29人が男性、22人が女性)が組み込まれ、年齢中央値は45歳だった(IQR 39-55歳)。全員咽頭スワブ(45人)あるいは喀痰検体(6人)でCOVID-19と診断された。初発症状から胸部CT撮影までの平均期間は3±3日、初発症状からRT-PCR実施までの平均期間は3±3日だった。51人中36人が初回RT-PCRでCOVID-19と診断された。51人中12人は2回のRT-PCRによってCOVID-19と診断がついた。2人は3回の検査を要し、1人は4回検査を要した。
 51人中50人(98%)に胸部CT異常がみられた(1人は正常CTだった)。異常がみられた50人のうち、36人(72%)が典型的なCOVID-19の陰影だった(末梢優位、胸膜直下のGGO)。
 初回診断率は、胸部CT98%(95%信頼区間90-100%) vs RT-PCR71%(95%信頼区間56-83%)だった(p<.001)。

結論:
 このケースシリーズによれば、胸部CTの感度はRT-PCRよりも高かった(98% vs 71%, p<.001)。RT-PCR陰性であっても疑わしい場合にはスクリーニングのためには胸部CTの撮影が望ましい。





by otowelt | 2020-02-20 13:10 | 感染症全般

COVID-19:肺炎63例の胸部HRCT所見

COVID-19:肺炎63例の胸部HRCT所見_e0156318_2252711.png 華中科技大学から、かなりまとまった症例数の画像の論文です。

Yueying Pan, et al.
Initial CT findings and temporal changes in patients with the novel coronavirus pneumonia (2019-nCoV): a study of 63 patients in Wuhan, China
European Radiology, https://doi.org/10.1007/s00330-020-06731-x


目的:
 この研究の目的は、新型コロナウイルス肺炎の画像的特徴を観察することである。

方法:
 2019年12月30日~2020年1月31日までに63人のCOVID-19確定例が同定された。胸部HRCTがおこなわれた。罹患葉数、すりガラス結節、斑状/点状GGO、斑状浸潤影、線維性索状影、不整形結節などのCT所見が記録された。加えて、これらの患者の経過を追跡した。

結果: 
 63人の胸部CT画像が得られた。男女比は33:30だった。平均年齢は44.9±15.2歳だった。陰影がみられた平均葉数は3.3±1.8だった。19人(30.2%)が1葉のみ、5人(7.9%)が2葉、4人(6.3%)が3葉、7人(11.1%)が4葉、28人(44.4%)が6葉に陰影がみられた。
 54人(84.7%)の患者が斑状/点状GGO、14人(22.2%)がすりガラス結節、12人(19.0%)が斑状浸潤影、11人(17.5%)が線維性索状影、8人(12.7%)が不整形結節を呈していた。
COVID-19:肺炎63例の胸部HRCT所見_e0156318_12361156.png
(画像的特徴:文献より引用)

 54人(85.7%)の患者の陰影は進行した。単一GGOの増大、浸潤影化、索状科影の増大、結節の増大などがみられた。

結論:
 SARS-CoV-2による肺炎の画像変化は速やかである。また、同肺炎の症状は多様である。典型的なウイルス性肺炎の画像変化といくつかの特異的な所見が観察された。





by otowelt | 2020-02-20 12:40 | 感染症全般

COVID-19:濃厚接触者8274人の解析による共感染の存在

COVID-19:濃厚接触者8274人の解析による共感染の存在_e0156318_2252711.png 濃厚接触者の規模がすごいですね。プレプリントで、ちょっぴり文章も粗くて、ガガガっと書き上げた感じ。よく分からなかったところがチラホラありました。

Ming Wang, et al.
Clinical diagnosis of 8274 samples with 2019-novel coronavirus in Wuhan
medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.12.20022327


背景:
 SARS-CoV-2アウトブレイクは大量に検体が届くため各病院の検査科を逼迫する事態となった。検体の種類、解釈、対応標準などを確立しなければならない。本研究では、同ウイルスおよび共感染の検査について評価した。

方法:
 武漢大学人民医院を2020年1月20日から2月9日までに受診した濃厚接触者8274人に対して行われた蛍光プローブ法定量PCRのデータを用いた。検査を受けた人の年齢中央値は47歳(範囲32-62歳)で、男性が37%だった。鼻咽頭検体を全員から採取し、63人(年齢中央値62歳、65.1%が男性)からは同日の喀痰検体も採取した。また、613人(年齢中央値51歳、49.5%が男性)については、13種類の疑わしい呼吸器感染症病原体についても検査し、そのうち316人(年齢中央値56歳、男性51.6%)については同時にSARS-CoV-2を検査した。

結果:
 8274人のうち、2745人(33.2%)がSARS-CoV-2感染を有していた。5277人(63.8%)は陰性だった。残りの252人は、2つの同ウイルス遺伝子のうち片方しか検出されなかったので不確定となった。片方が陽性となった16人の患者が再検査をおこない、14人が陽性、2人は陰性だった。核タンパクおよびオープンリーディングフレーム(ORF1ab)の陽性率は34.7%、34.7%だった。前者のみが陽性だったのが1.5%、後者のみが陽性だったのが1.5%だった。
 複数回検体を採取された316人のうち、104人がSARS-CoV-2陽性で、3人が別のコロナウイルスの共感染、2人がインフルエンザAの共感染、2人がライノウイルスの共感染、1人がインフルエンザA H3N2の共感染を有していた。残りSARS-CoV-2陰性の212人は、インフルエンザA11人、インフルエンザA H3N2 11人、ライノウイルス10人、RSウイルス7人、インフルエンザB6人、メタニューモウイルス4人、別のコロナウイルス2人の感染を有していた。
COVID-19:濃厚接触者8274人の解析による共感染の存在_e0156318_1039385.png
(その他ウイルス感染:文献より引用)

結論:
 SARS-CoV-2に感染した患者の5.8%と、感染していない患者の18.4%が他の病原体検査が陽性だった。共感染を治療し、迅速なスクリーニングを実施して、患者の二次感染を回避することが重要である。




by otowelt | 2020-02-20 10:41 | 感染症全般

COVID-19:癌患者のCOVID-19は重症イベントリスクが高い

COVID-19:癌患者のCOVID-19は重症イベントリスクが高い_e0156318_2252711.png 言うまでもなく、癌患者さんはハイリスク群ですね。

Liang W, et al.
Cancer patients in SARS-CoV-2 infection: a nationwide analysis in China.
Lancet Oncol. 2020 Feb 14. pii: S1470-2045(20)30096-6. doi: 10.1016/S1470-2045(20)30096-6.


概要:
 2020年1月31日までに、575施設からCOVID-19患者2007人のデータを収取した。全員PCR確定例だった。診療記録不備などで417人を除外した。
 残った1590人のCOVID-19患者のうち18人(1%:95%信頼区間0.61-1.65)が癌の既往を有していた。これは中国全体の有病率と比べて多かった。18人の癌種は、肺癌が最も多く(5人、28%)、過去1ヶ月に化学療法や外科手術などの癌治療を受けていたのは16人中4人(25%)だった(2人は治療歴不明)。残りの12人(25%)は初回の外科切除後のサバイバーであった。
 癌のない患者と比較すると、癌患者は高齢で(平均年齢63.1±12.1歳 vs 48.7±16.2歳)、喫煙歴が多く(22% vs 7%)、呼吸困難が多かった(47% vs 23%)。また、ベースラインの胸部CT所見が重症になりやすかった(94% vs 71%)。両群に性別やその他基礎疾患の差はなかった。
 癌患者のCOVID-19は、重症になる頻度が高かった(39% vs 8%, p=0.0003)。過去1ヶ月に癌治療をうけている集団ではさらに重症イベントのリスクが高かった(75%)。年齢、喫煙歴やその他合併症といったリスク因子で補正したロジスティック回帰によるこれらのオッズ比は5.34(95%信頼区間1.80-16.18、p=0.0026)だった。
 癌患者において年齢は重症イベントのリスク因子だった(オッズ比1.43、95%信頼区間0.97-2.12、p=0.072)。肺癌についてはリスク上昇には寄与しなかった(p=0.294)。重症イベント進展する時間依存性ハザード比を求めるためCox回帰モデルを用いると、癌患者は、癌のない患者と比べてより速やかに悪化することが分かった(重症イベントまでの期間中央値13日[IQR 6-15] vs 43日[IQR 20-未到達]、p<0.0001、ハザード比3.56、95%信頼区間1.65-7.69)。
COVID-19:癌患者のCOVID-19は重症イベントリスクが高い_e0156318_9432167.png
(文献より引用)




by otowelt | 2020-02-20 09:52 | 感染症全般