2020年 02月 23日 ( 2 )

COVID-19:ARDS 53例の検討

COVID-19:ARDS 53例の検討_e0156318_822360.png 全体の半数がARDSになるって、どういう集団をみているんですかね・・・。入院が必要で、ある程度重症例の管理ができるエリア内、ということでしょうか。
 IDATENのメーリングリストで、ネーザルハイフローやNPPVについては避けたほうがよく、もし装着するにしてもフルPPEで対応すべきとの見解が提示されていました。

Yanli Liu, et al.
Clinical features and progression of acute respiratory distress syndrome in coronavirus disease 2019
medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.17.20024166.


背景:
 SARS-CoV-2感染のアウトブレイクは、COVID-19を世界中に広めた。われわれは、ARDSと診断されたCOVID-19患者の臨床的特徴を報告する。ARDSはベルリン基準を用いた。

方法:
 2020年1月2日~2月1日までに武漢中心医院に入院したCOVID-19患者109人を登録した。患者は2月12日まで追跡された。電子カルテから臨床データを収集した。治療、ARDS進展、またその重症度について調べた。

結果:
 109人の年齢中央値は55歳(IQR 43-66歳、範囲22-94歳)で、59人が男性だった。よくみられた症状は発熱(82.6%)、乾性咳嗽(61.5%)、倦怠感(56.9%)だった。全体の追跡期間中央値は15日(範囲4-30日)である。
 109人のうち、91.7%に両肺の陰影がみられ、28人(25.7%)がネーザルハイフロー治療を受け、31人(28.4%)が死亡し、78人(71.6%)が生存退院した。
 全患者のうち53人(48.6%)がARDSに進展した。非ARDSと比較すると、ARDS患者は高齢(平均年齢61歳 vs 49歳)で、基礎疾患を有している頻度が高かった(糖尿病20.8% vs 1.8%、脳血管疾患11.3% vs 0%、慢性腎臓病15.1% vs 3.6%)。非ARDS群の死亡率は8.9%だったが、ARDS群の死亡率は49.1%と高かった。また、軽症ARDS患者と比較すると、中等症~重症ARDSの死亡率は高かった。
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(文献より引用)
 抗ウイルス薬、全身性ステロイド、免疫グロブリン治療はARDS患者の生存に寄与しなかった。
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(全身性ステロイド治療:文献より引用)

結論:
 COVID-19の死亡率はARDS重症度に応じて上昇する。現行の治療は、これらの患者の生存に寄与するまでにはいたらなかった。





by otowelt | 2020-02-23 12:26 | 感染症全般

COVID-19:好中球/CD-8陽性T細胞比は重症の予測因子

COVID-19:好中球/CD-8陽性T細胞比は重症の予測因子_e0156318_822360.png 重症例ではリンパ球減少が目立つのは既知の知見です。

Jing Liu, et al.
Longitudinal characteristics of lymphocyte responses and cytokine profiles in the peripheral blood of SARS-CoV-2 infected patients
medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.16.20023671


背景:
 COVID-19のリンパ球サブセットとサイトカインプロファイルと疾患重症度との関連性は不明である。

方法: 
 武漢協和医院において、COVID-19患者40人の末梢血検体を採取し、リンパ球サブセットをフローサイトメトリーで解析し、サイトカインプロファイルをイムノアッセイで調べた。
 重症例は、RT-PCRでSARS-CoV-2陽性となったかなjのうち、息切れあるいは呼吸数≧30回/分、酸素飽和度≦93%、P/F比≦300mmHgのうち1つでも満たすものと定義された。

結果:
 40人のCOVID-19患者(15人が男性[37.5%])のうち、13人が重症だった。3人(7.5%)が武漢の海鮮市場に曝露歴があった。全体の年齢中央値は48.7歳だった(重症例は59.7歳)。全体の14人(35%)が基礎疾患を有しており、糖尿病6人(15%)、高血圧6人(15%)などが多かった。重症例の全員、軽症例の85.2%が発熱を訴えた。重症例は、軽症例と比べて喀痰(p=0.032), 筋肉痛 (p=0.041)、悪心(p=0.029)が多かった。
 血液検査では、軽症例と比べて重症例でフィブリノーゲン(p<0.001), D-ダイマー (P=0.008), 総ビリルビン(p=0.007), AST (p<0.001), ALT (p=0.004), LDH (p<0.001), CK (p=0.010), CRP (p=0.006)が有意に高かった。また、重症例はリンパ球数が有意に減少していたが、軽症例では好中球数が上昇していた。重症例では、T細胞、とりわけCD8陽性T細胞の減少と、IL-6、IL-10、IL-2、インターフェロンγの上昇が目立っていた。生存した重症COVID-19患者におけるT細胞数とサイトカインレベルは、軽症例と比べると徐々にではあるが回復していった。
COVID-19:好中球/CD-8陽性T細胞比は重症の予測因子_e0156318_10541584.png
(リンパ球数とCD-8陽性T細胞数:文献より引用)
 好中球/CD-8陽性T細胞比(N8R)は、COVID-19の予後をもっとも強力に予測する因子だった。
COVID-19:好中球/CD-8陽性T細胞比は重症の予測因子_e0156318_10544890.png
(N8R:文献より引用)

結論:
 リンパ球減少と前炎症性サイトカインストームは重症COVID-19患者でよくみられ、疾患重症度と関連していた。N8Rは、重症COVID-19の予後を最も強力に予測した。




by otowelt | 2020-02-23 10:56 | 感染症全般