2020年 02月 26日 ( 4 )

COVID-19:武漢産科病棟における妊婦・新生児のSARS-CoV-2検査

COVID-19:武漢産科病棟における妊婦・新生児のSARS-CoV-2検査_e0156318_1013880.png プレプリントのFigureには胸部CTが供覧されていますが、結構シビアな肺炎でびっくりしました。武漢の産科病棟は大変だったろうと思います。
 同様の報告が、武漢大学中南病院からLancetに投稿されましたね。

Weiyong Liu, et al.
Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) During Pregnancy: A Case Series.
Preprints 2020, 2020020373


背景:
 COVID-19は新しいウイルス感染症であり、妊婦の感染リスク増加については不明である。ウイルス性肺炎は、母体死亡の重要な間接的原因である。SARS-CoV-2が妊娠中に与える影響はほとんど分かっていない。

目的:
 妊娠中、または出生児のCOVID-19の臨床的特徴を記述する。また、母児に垂直感染しるうのかどうかも記述をこころみた。

デザイン:
 中国武漢にある、華中科技大学付属同済病院の産科病棟において2020年2月2日~2月5日に17人に妊娠後期妊婦が入院したが、そのうち3人がCOVID-19に感染していた。
 患者背景、臨床データ、検査データ、放射線学的プロファイルを収集した。SARS-CoV-2の検査は口腔咽頭スワブ、胎盤、膣分泌物、母乳で実施した。また新生児からは、口腔咽頭スワブ、臍帯血、血清から検体を採取した。

結果:
 このケースシリーズは、これまでに最も徹底的にウイルス学的評価を実施している。入院中の母子の2者において長い臨床的な観察を含めている。妊娠後期にSARS-CoV-2に感染した3人の妊婦の臨床経過とアウトカムを記述した。3人のうち2人は妊娠後期に帝王切開を受けた。全患者の周産期経過は順調だった。垂直感染または出産中に感染した新生児はいなかった。

結論:
 本ケースシリーズによると、子宮内の垂直感染リスクを支持するエビデンスはない。妊婦と新生児の双方において、周産期アウトカムには影響がなかった。




by otowelt | 2020-02-26 20:13 | 感染症全般

COVID-19:武漢の死亡率が高い原因

COVID-19:武漢の死亡率が高い原因_e0156318_1013880.png 重要な考察です。Lancet Global Healthは、実は普段ほとんど読んでいません。

Yunpeng Ji, et al.
Potential association between COVID-19 mortality and health-care resource availability
Lancet Global Health, DOI:https://doi.org/10.1016/S2214-109X(20)30068-1


概要:
 進行しているCOVID-19の流行は、制御手段を講じているにもかかわらず、壊滅的な状況である。流行は、中国湖北省の武漢で発生し、湖北省のさまざまな地域や中国全土に急速に広がった。中国CDCが記録したように、2020年2月16日までに、COVID-19の確定例70641人と、死亡者1772人が報告されており、平均死亡率は約2.5%である。ただし、これらのデータの詳細な分析では、死亡率は武漢(> 3%)、湖北省の異なる地域(平均で約2.9%)、中国の他省(平均約0.7%)となっている。これは、アウトブレイクの震源地周辺での感染数の急速な増加に関連している可能性が高いと仮定される。中国の他の省と比較して、医療資源が不足し湖北省の患者転帰に悪影響を及ぼしている。
COVID-19:武漢の死亡率が高い原因_e0156318_849184.png
(湖北省と他の省の比較:文献より引用)
 
 ヘルスケアの平均レベルが中国全土で同等であると仮定すると、人口集団に起因する感染数の増加が、ヘルスケアの負担の間接的指標とみなすことができる。COVID-19の発生に対する死亡率のプロット(アウトブレイク以降の確認された症例累積数[10000人あたり])は、有意に正の相関を示し、死亡率が医療負担と相関していることを示唆している。
COVID-19:武漢の死亡率が高い原因_e0156318_8533893.png
(患者数と死亡率:文献より引用)

 現実的には、中国の医療資源の利用・アクセスにはかなり地域差がある。このような格差により、浙江省(1171例中死亡者0人)や広東省(1322例中死亡者4人[0.3%])などの発達した南東沿岸地域の死亡率が低かったのだろう。
 中国政府は、アウトブレイク震源地で医薬品に関連する物流上のハードルを認識しており、速やかな流通、大規模かつ強力な医療派遣、新しい地域医療施設の建設を国をあげて取り組んでいる。これらの対策は、流行を制御し、最前線の医療従事者を保護し、重症患者の転帰を緩和するために不可欠である。
 死亡率と医療資源のアクセスの潜在的関連性を知ることは、この流行に苛まれている中国の他地域が準備をする上で役立つかもしれない。また重要なことに、COVID-19はすでに北アフリカの1ヶ国を含む世界の29ヶ国に影響を及ぼしているため、中国のこの状況を知ることは、他の資源の限られた地域でのCOVID-19発生に備える上で役立つかもしれない。




by otowelt | 2020-02-26 04:42 | 感染症全般

COVID-19:80例の胸部CT所見と臨床所見との相関

COVID-19:80例の胸部CT所見と臨床所見との相関_e0156318_1013880.png 似たような報告が増えてきました・・・。病院が違う、雑誌が違う、で今のところバンバンアクセプトされている感じですね。

・参考記事:COVID-19:肺炎の胸部CTの経時的所見
・参考記事:COVID-19:肺炎63例の胸部HRCT所見
・参考記事:COVID-19:81例の胸部CT所見の推移

Wu J, et al.
Chest CT Findings in Patients with Corona Virus Disease 2019 and its Relationship with Clinical Features.
Invest Radiol. 2020 Feb 21. doi: 10.1097/RLI.0000000000000670.


目的:
 COVID-19と診断された患者の胸部CT写真を評価し、臨床的特徴との関連性を評価すること。

方法:
 2020年1月~2月にCOVID-19と武漢外の当院で診断された80人の患者が対象である。胸部CT写真と臨床データが収集され、その関連性が解析された。

結果:
 合計80人のCOVID-19患者が登録された(52%が男性、平均年齢44±11歳)。
 80人中58人(73%)が咳嗽を、80人中61人(76%)が発熱を有していた。
 よくみられた胸部CT所見(発症から7±4日後に撮影)は、GGO(80人中73人、91%)、浸潤影(80人中50人、63%)、小葉間隔壁肥厚(80人中47人、59%)だった。crazy paving signは80人中23人(29%)、spider web signは80人中20人(25%)にみられた。
COVID-19:80例の胸部CT所見と臨床所見との相関_e0156318_21452783.png
(胸部CT所見:文献より引用)

 ほとんどの病変は多発性で、異常がみられた平均区域数は12±6だった。陰影がもっともよくみられたのは、右下葉(80人中69人、86%)、続いて右下葉外側肺底区(80人中64人、80%)、左下葉後背側(80人中61人、76%)、左下葉後肺底区(80人中65人、81%)だった。
 平均肺炎症インデックス(PII)は34±20%だった。PII値と、リンパ球数、単球数、CRP、プロカルシトニン、症状発現からの期間、体温は有意に相関していた(p<0.05)。

結論:
 COVID-19のよくみられる胸部CT所見は、両肺の多発性GGO、浸潤影、小葉間隔壁肥厚であり、胸膜直下に分布しやすい。肺の炎症と主要症状・検査所見は有意に相関していた。




by otowelt | 2020-02-26 02:58 | 感染症全般

COVID-19:便中SARS-CoV-2陽性は鼻咽頭スワブ検体よりも遷延する

COVID-19:便中SARS-CoV-2陽性は鼻咽頭スワブ検体よりも遷延する_e0156318_1013880.png 便中に排出されていたとしても、それが実臨床で主な感染経路となるリスクは高くないと思います。下痢でシャーシャーなら話は変わるかもしれませんが。COVID-19における下痢はまれです。

・参考記事:COVID-19:患者の半数で便中SARS-CoV-2が陽性

Yilin Hu, et al.
SARS-CoV-2 May Persist in Digestive Tract Longer than Respiratory Tract.
Preprints 2020, 2020020354


概要:
 COVID-19は世界中に拡大している。この感染症は呼吸器系を侵すが、便中にウイルスRNAが排出される症例が報告されている。これが潜在的な感染経路になる可能性も示唆されている。このケースシリーズでは、3人のCOVID-19患者(消化器症状はなし)に対して、鼻咽頭・肛門スワブをおこなったところ、呼吸器系のスワブが陰性化しているにもかかわらず、肛門スワブ陽性が遷延していた。
COVID-19:便中SARS-CoV-2陽性は鼻咽頭スワブ検体よりも遷延する_e0156318_16293334.png
(3例の肛門スワブの経過:文献より引用)




by otowelt | 2020-02-26 00:25 | 感染症全般