2020年 02月 28日 ( 4 )

COVID-19:ウミフェノビルはSARS-CoV-2曝露後予防効果がある

COVID-19:ウミフェノビルはSARS-CoV-2曝露後予防効果がある_e0156318_17185130.png これは、本当ならすごいですね。

Jinnong,Zhang, et al.
Potential of Arbidol for Post-exposure Prophylaxis of COVID-19 Transmission
chinaXiv:202002.00065


背景:
 SARS-CoV-2患者から医療従事者または家族への感染は、注意しなければならないアウトレブイクの兆候である。臨床プラクティスとin vitroの研究に基づいて、ウミフェノビル(arbidol)を使用した曝露後予防(PEP)が、COVID-19感染者に曝露した個人の感染の減少に寄与するのではないかと仮説を立てた。

方法:
 2020年1月1日から1月16日まで、リアルタイムRT-PCRと胸部CTによりSARS-CoV-2感染が確認された患者に曝露した家族・医療従事者を対象に、後ろ向き症例対照研究を実施した。曝露後24日目に、人口統計情報、曝露勤務地、曝露後予防情報、症状を収集した。PEPと家庭内接触者・医療従事者の感染の関係を分析した。

結果:
 27人の家族、124人の医療従事者がCOVID-19患者に曝露していた。年齢、性別に群間差はなかった。ウミフェノビルあるいはオセルタミビルのPEPをおこなった家族・医療従事者のデータに基づいたロジスティック回帰では、ウミフェノビルのPEPはCOVID-19の発症を強く予防する効果があった(家族:オッズ比0.011 , 95%信頼区間0.001-0.125, P=0.0003、医療従事者:オッズ比0.049, 95%信頼区間0.003-0.717, P= 0.0276)。反面、オセルタミビルはCOVID-19感染症の増加と関連していた(オッズ比20.446, 95%信頼区間1.407-297.143, P= 0.0271)。

結論:
 われわれの研究によると、ウミフェノビルは医療従事者や家族に対するSARS-CoV-2の感染リスクを減らす。このPEPについてはさらなる研究が望まれる。





by otowelt | 2020-02-28 22:35 | 感染症全般

COVID-19:ダイヤモンドプリンセス号における基本再生産数

COVID-19:ダイヤモンドプリンセス号における基本再生産数_e0156318_17185130.png どういうつながりでこの論文が中国から出たんでしょうね。

Zhang S, et al.
Estimation of the reproductive number of Novel Coronavirus (COVID-19) and the probable outbreak size on the Diamond Princess cruise ship: A data-driven analysis.
Int J Infect Dis. 2020 Feb 22. pii: S1201-9712(20)30091-6. doi: 10.1016/j.ijid.2020.02.033.


背景:
 2020年2月16日までにダイヤモンドプリンセス号でCOVID-19に感染した症例は355人報告されている。早期のアウトブレイクの基本再生産数(R0)を推定することが重要である。

方法:
 これまでの発症間隔をガンマ分布に照らしてR0を推定した。クルーズ船内での1日の新規発症例を予測した。

結果:
 ダイヤモンドプリンセス船内のCOVID-19初期発生段階でのR0の最大尤度推定値は2.28であった。ブートストラップ法で推定したR0の95%信頼区間中央値は2.06-2.52だった。この値に照らし合わせて計算すると、10日間の新規症例数は徐々に増加して194人(156-235)となり、累積症例数は10日目に1514人(1384-1656)に達した。ただし、R0が25%低下すると累積症例数は1081人(981-1177)、R0が50%低下すると758人(697-817)に減少すると推計された。

結論:
 クルーズ船ダイヤモンドプリンセス船内における早期の段階でのCOVID-19のR0の95%信頼区間中央値は2.28(2,06-2.52)だった。将来的な発症やアウトブレイクサイズはR0の変化に依存している。厳密な感染管理と制御が行われない限り、この調査結果はCOVID-19がダイヤモンドプリンセス船内でより大きなアウトブレイクを引き起こす可能性を示している。





by otowelt | 2020-02-28 21:15 | 感染症全般

COVID-19:SARS-CoV-2のPCR陰性化後陽転

COVID-19:SARS-CoV-2のPCR陰性化後陽転_e0156318_17185130.png 今、話題のやつですね。MERSでも長く排出されることがあったので、ありえるとは思います。それが感染性を持つかどうかがネックですね。

Lan Lan, et al.
Positive RT-PCR Test Results in Patients Recovered From COVID-19
JAMA. Published online February 27, 2020. doi:10.1001/jama.2020.2783


背景:
 過去のCOVID-19に関する研究は、主に感染が確認された患者の疫学的、臨床的、放射線学的特徴に焦点を当てていた。

方法:
 2020年1月1日から2020年2月15日まで、1人の入院患者とCOVID-19で自宅で隔離された3人の患者(すべての医療関係者)は、中国武漢にある武漢大学中南病院で治療され、職場に復帰してよいかの判断のためにリアルタイムRT-PCRで評価された。退院あるいは検疫中止については、以下の5基準を満たす必要があった。(1)正常常温が3日以上続く、(2)呼吸器症状が軽快、(3)胸部CTでの急性の陰影がほぼ改善、(4)少なくとも1日あけた2回連続のRT-PCR陰性。
 RT-PCR検査は、咽頭スワブで採取された。RT-PCRキットは中国CDCによって推奨されたものを使用した。報告された全てのRT-PCRについては、同じ技師が行い同じキットが使用された。インターナルコントロール(PCR阻害の有無を判別するために使用)とネガティブコントロールの両方が、検査の各バッチでルーチンにおこなわれた。
 患者背景、検査所見、放射線学的特徴が電子カルテから収集された。病状が回復した後、患者およびその家族と直接連絡をとり、RT-PCRのための咽頭スワブを受けるために病院に来るよう依頼した。

結果:
 医療従事者4人全員が、業務を通じてSARS-CoV-2に曝露された。そのうち2人は男性だった。年齢範囲は30〜36歳だった。3人の患者において、発熱、咳嗽、またはその両方が発症時にみられた。1人の患者は、初期は無症候性であったが、感染した患者に暴露したため胸部CT検査を受けた。全患者のRT-PCR検査結果は陽性で、胸部CT画像ではすりガラス陰影、または混合すりガラス陰影や浸潤影がみられた。疾患重症度は軽度~中等度だった。
 抗ウイルス薬(オセルタミビル75mgを12時間ごとに経口投与)が4人の患者に投与された。3人の患者は全員、臨床症状とCT画像所見が軽減した。4人目の患者のCT画像ではわずかな斑状のすりガラス陰影がみられた。4人の患者全員が2回連続でRT-PCR陰性を確認された。症状の発現から回復までの期間は12〜32日間だった。
 退院または検疫中止後、患者は自宅で検疫プロトコルを5日間継続するように求められた。RT-PCRは5~13日後に再検査されたが、全て陽転化していた。全患者は、さらに次の4〜5日間に3回のRT-PCR検査を繰り返したが、やはり全例陽性だった。別のメーカーのキットを使用して追加のRT-PCRテストを実施したが、結果は全患者で陽性だった。患者は無症状のままで、胸部CT所見は以前の画像からの変化を示さなかった。この間、呼吸器症状のある人との接触は報告されていない。家族は誰も感染していなかった。

ディスカッション:
 中国で退院または検疫中止の基準(臨床症状と放射線学的異常がなく、2回のRT-PCR陰性を確認)を満たしたCOVID-19の4人の患者は、5〜13日後にRT-PCRが陽転化した。これらの知見は、回復した患者の少なくとも一部がまだウイルスキャリアである可能性を示唆している。家族は感染していなかったが、今回報告された患者はすべて医療従事者であり、検疫中には特段の配慮をしていた。このため、退院または検疫中止基準を再評価する必要がある。過去の研究で示唆されたように、偽陰性のRT-PCRだった可能性は残るものの、2連続陰性であることに加え臨床的特徴および胸部CT所見から全例退院または検疫中止は妥当であった。




by otowelt | 2020-02-28 15:41 | 感染症全般

COVID-19:死亡例82例の臨床的検討

COVID-19:死亡例82例の臨床的検討_e0156318_17185130.png 死亡例をまとめた報告は初めてです。プレプリントですが。

Bicheng Zhang, et al.
Clinical characteristics of 82 death cases with COVID-19
medRxiv preprint doi: https://doi.org/10.1101/2020.02.26.20028191


背景:
 中国武漢で発生したSARS-CoV-2による肺炎は世界中に広がっている。われわれは、単施設におけるCOVID-19の死亡者82例についての臨床的特徴を報告する。

方法:
 SARS-CoV-2感染が確認された82の死亡例に関する臨床データを、事前に設計された標準化されたデータ収集フォームに従って、武漢地方病院の電子カルテ記録から取得した。

結果:
 全例武漢の住民であった。入院時、そのほとんどが重症であった。死亡した65.9%が男性であり、死亡者の80.5%が60歳以上だった(年齢中央値は72.5歳)。死亡例の76.8%に基礎疾患があった。高血圧56.1%、心疾患20.7%、糖尿病18.3%、脳血管疾患12.2%、癌7.3%と続いた。呼吸不全は死亡の主たる原因だった(69.5%)。敗血症/多臓器不全が20.8%、心不全が14.6%、腎不全が3.7%にみられた。
COVID-19:死亡例82例の臨床的検討_e0156318_12163977.png
(82人の背景:文献より引用)

 入院時、リンパ球減少が89.2%に、好中球増多が74.3%に、血小板減少が24.3%にみられた。ほとんどの患者は好中球/リンパ球比率が5を超えていた(94.5%)。CRP上昇は100%、LDH上昇は93.2%、D-ダイマー上昇が97.1%にみられた。IL-6は全例上昇していた。
 症状発現から死亡までの期間の中央値は15日(IQR11-20日)だった。興味深いことに、症状発現から死亡までの期間と有意な関連があったのは、血清AST・ALTだった。

結論:
 基礎疾患のある高齢者はSARS-CoV-2に感染すると、重症になりやすく死亡しやすい。主たる死因はCOVID-19による呼吸不全であるが、ウイルスそのもののサイトカインストームにより深刻な臓器傷害が引き起こされることも起因しているかもしれない。




by otowelt | 2020-02-28 12:18 | 感染症全般