長期酸素療法のアドヒアランスに影響する因子

e0156318_10273519.png 個人的には、どれだけ患者さんと話ができるかにかかっていると信じています。

Moy ML, et al.
Characteristics at the time of oxygen initiation associated with its adherence: Findings from the COPD Long-term Oxygen Treatment Trial.
Respir Med. 2019 Feb 13. pii: S0954-6111(19)30040-X.

背景:
 COPDにおける長期酸素療法(LTOT)のアドヒアランスに関連した特性は不透明である。

目的:
 アドヒアランスに関連した酸素開始時期の患者特性を調べた。

方法:
 LTOT試験に組み入れられた359人のCOPD患者の二次解析を実施した。被験者は、研究登録時のベースラインの酸素飽和度低下パターンに基づいて、持続的(214人)あるいは間欠的(145人)酸素投与を行われた。初回酸素処方の時点で、被験者は準備意識、自信、そして酸素を用いる重要性について0〜10の尺度で評価した(0 =全然だめ、10 =大丈夫)。追跡期間中、自己申告によって1日あたりの平均酸素使用時間(アドヒアランス)を患者は報告した。アドヒアランスは、短期間(0〜30日)、中期間(9〜12ヶ月)、長期間(13ヶ月目から最後の追跡調査まで)の間隔で平均化した。多変量ロジスティック回帰モデルによって、それぞれの間隔期間における高アドヒアランス(持続群で1日16時間以上、間欠群で1日8時間以上)に関連した特性をさぐった。

結果:
 被験者の準備意識、自信、酸素を用いる重要性は、短期および中期的なアドヒアランスと関連していた。ベースラインで準備意識が高いと、短期的なアドヒアランスは高いオッズ比を示した(持続群:オッズ比1.21、95%信頼区間1.05-1.40、間欠群:オッズ比1.94、95%信頼区間1.45-2.59)。両群において、中期的な高いアドヒアランスは、長期的な高いアドヒアランスと関連していた(持続群:オッズ比12.49、95%信頼区間4.90-31.79、間欠群:オッズ比38.08、95%信頼区間6.96-208.20)。

結論:
 LTOT開始の準備意識、自信、使用の重要性、早期の高いアドヒアランスは、長期酸素治療アドヒアランスと有意に関連していた。



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# by otowelt | 2019-03-20 00:08 | 気管支喘息・COPD

肥満と肺塞栓の関連

e0156318_135030100.jpg 既知の見解でもあります。

Movahed MR, et al.
Obesity is strongly and independently associated with a higher prevalence of pulmonary embolism.
Respir Investig. 2019 Feb 12. pii: S2212-5345(18)30282-X. doi: 10.1016/j.resinv.2019.01.003.


背景:
 肥満は多くの心血管系のリスク因子と関連している。この研究では、肥満と肺塞栓の独立した関連性について調べた。

方法:
 われわれは、国内入院データベースからICD-9コードを用いて肥満と肺塞栓を抽出した。われわれは10年離れた2つの独立した集団サンプルを選択するために、ランダムに1992年と2002年のデータベースを選んだ。単変量および多変量解析をもちいて、肥満と肺塞栓の関連を調べた。

結果:
 1992年のデータベースには合計619万5744人の患者が含まれた。肥満は9万3568人にみられ、肺塞栓は肥満患者の0.7%にみられ、非肥満のコントロール群では0.3%だった(オッズ比2.32、95%信頼区間2.2-2.4、p<0.0001)。
 2002年のデータベースには合計29万9010人の肥満患者が含まれた。肺塞栓は肥満患者の0.9%にみられ、非肥満のコントロール群では0.4%だった(オッズ比2.36、95%信頼区間2.19-2.41、p<0.0001)。年齢、その他リスク因子で補正すると、肥満は肺塞栓と強く関連していた(1992年:オッズ比2.1、95%信頼区間2.0-2.3、p<0.0001、2002年:オッズ比2.2、95%信頼区間2.1-2.3、p<0.0001)。

結論:
 肥満は大規模入院患者データベースを用いて、どの年でも肺塞栓と関連していた。この10年におよぶ関連は、肥満が心臓呼吸器系へ悪影響をおよぼすことを示唆する。





# by otowelt | 2019-03-19 00:30 | 呼吸器その他

気管支鏡に関する国内調査結果:2016年

e0156318_9511053.jpg
Horinouchi H, et al.
Current status of diagnostic and therapeutic bronchoscopy in Japan: 2016 national survey of bronchoscopy.
Respir Investig. 2019 Feb 6. pii: S2212-5345(18)30230-2.


気管支鏡処置に関するアンケート調査の結果を報告した論文です。2010年にも行われたことがありますが、今回2016年のデータを公開しています。本アンケートに回答したのは、200~500床以上の大きめの病院がほとんどでした。

・外来気管支鏡
 外来で気管支鏡をおこなうことが減りました。2010年には19.5%の施設がほぼ外来で実施していたものが、現在は6.8%と入院志向になりつつあります。これは安全面の懸念や入院稼働率の問題など、理由はいろいろあると思います。当院は基本的に全例入院でおこなっております。

・モダリティ
 気管支鏡ナビゲーションシステムが導入されているのは41.7%とかなり多く、ここ数年で大きく飛躍した分野の1つではないでしょうか。VincentとBF-NAVIが2台巨頭のようです。

・気管支鏡処置関連
 45.2%に予防的抗菌薬が処方されているのが解せませんでした(ほとんどが処置終了後内服)。個人的にはよほどの例を除けば不要と思っています。
 49.0%がルーチンの静脈麻酔を用いていることがわかりました。そのうち76.9%がミダゾラムです。当院もミダゾラムを用いていますが、まだ全例ルーチンではありません。アトロピンの使用はもっと少ないかと思いましたが、まだルーチンで8.8%も用いられているそうです。さすがにエビデンスと逆行していますね。
 経鼻気管支鏡をルーチンにおこなっているのは3.2%で、まだまだこちらは普及していませんね。当院も経口でおこなうことがほとんどです。
 気管支鏡中の酸素投与をルーチンで行っているのは39.2%でした。当院ではSpO2モニタを測定し、問題なければ非投与でおこなっています。ただし、気管支肺胞洗浄を行う場合、基本的に酸素を吸入していただいています。
 気管支鏡後レントゲンをルーチンで撮影しているのは43.5%、選択症例におこなっているのは40.2%でした。当院では生検をおこなった症例には全例実施していますが、観察目的の場合には処置後撮影しておりません。
 


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# by otowelt | 2019-03-18 15:31 | 気管支鏡

嚢胞性線維症の喀血入院を減らすための全身性抗線維素溶解薬

e0156318_10495259.jpg 日本では定番のトランサミン®。

Hanny Al-Samkari, et al.
Antifibrinolytic Agents for Hemoptysis Management in Adults with Cystic Fibrosis
Chest, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.02.010


背景:
 喀血は嚢胞性線維症(CF)患者における罹患・死亡の主要原因である。抗線維素溶解薬は、出血性障害・状態にはばひろく有効性が示されている。われわれは、CFにおける喀血マネジメントに抗線維素溶解薬を使用する検討をおこなった。入院および外来で使用する臨床治療案を提示し、実施前後の出血による入院率について報告した。

方法:
 治療案にしたがって全身性抗線維素溶解薬を54ヶ月にわたって使用されたすべての成人CFが解析された。収集されたデータには、患者背景、ベースラインのCF関連特性、出血および治療パラメータが含まれた。年間の喀血による入院率を適用前後で比較し、有効性が評価された。

結果:
 全身性抗線維素溶解薬を用いられた72の喀血エピソードが合計21人のCF患者で解析された。エピソードの3分の2が中等量あるいは大量喀血だった。喀血は中央値2日で止血が得られた。外来治療は、登録後の年間喀血入院率の50%減少と関連しており(2.44入院/年 vs 1.23入院/年、P = 0.0024)、これは他の管理による変化とは独立していた。抗線維素溶解薬の忍容性は良好だった。同部位に血栓の既往がある患者1人に、中心静脈カテーテル関連の上肢深部静脈血栓がみられた。

結論:
 CF患者における全身性抗線維素溶解薬治療案は、入院の減少と関連していた。重篤な有害事象は観察されなかった。CF患者において全身性抗線維素溶解薬を用いる利益を判断するために、さらなる研究が必要である。





# by otowelt | 2019-03-15 00:43 | 呼吸器その他

イギリスにおけるCOPDの吸入薬処方の変遷

e0156318_1633480.jpg イギリスは吸入薬界ではかなり“早熟”と呼ばれる国です。

Bloom C, et al.
Changes in COPD inhaler prescriptions in the United Kingdom, 2000 to 2016.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Jan 22;14:279-287.


背景:
 過去20年間にわたり、吸入薬の臨床試験が爆発的に増加し、また国内外のガイドラインが更新され、COPDの薬物治療管理に大きな変化をもたらした。われわれは、イギリスにおける処方例の経時的変化、およびそれらに影響を及ぼした可能性があるいくつかの要因について説明しようとこころみた。

患者および方法:
 COPD患者は、2000年~2016年にイギリスプライマリケアにおける国内の代表的な電子医療診療録から特定された(Clinical Practice Research Datalink)。処方データは、3つの維持吸入治療クラスに分類して記述された。すなわち、吸入ステロイド(ICS)、吸入長時間作用性β刺激薬(LABA)、吸入長時間作用性抗コリン薬(LAMA)、およびそれらの併用であるLABA-ICS2剤、LAMA-LABA2剤、LAMA-ICS-LAMA3剤である。2016年に、6つの異なる治療レジメンで患者特性の違いをみた。

結果:
 COPD患者が同定され、187588人の吸入薬の一般処方、および169511人の吸入薬の初回処方(その年でCOPDに対して初めて処方された)があった。2002年から、LAMAは人気が高まっており、ICS単独は逆のトレンドになっている。トリプル吸入療法の処方は、LAMA-LABA処方が増えた2014年からファーストライン治療として急速に普及している。2014年までに、全COPD患者の41%がトリプル吸入療法を維持されており、13%がLAMA単独による維持だった。2016年の患者特性を調べると、トリプル吸入療法を受けている患者は、より重度の病態であることが多かったが、トリプル吸入療法を受けている患者の3分の1は軽度にとどまった。
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(文献より引用:COPDの初回維持治療吸入薬の変遷)

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(文献より引用:COPDの全吸入薬の変遷)

結論:
 英国の処方内容は国内ガイドラインと一致していないものの、大規模臨床試験や最新の国際ガイドラインからのエビデンスとは一致しているように思える。トリプル吸入療法は急増しており、データによればこの傾向は初期マネジメントですでに逆転し始めている。 



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# by otowelt | 2019-03-14 00:53 | 気管支喘息・COPD