PRM-151拡大試験:IPFに対する次世代治療薬の長期安全性と有用性

e0156318_14441648.jpg パンチは弱めの数値ですが、期待しています。

<参考記事>
・IPFに対する遺伝子組み換え型ヒトペントラキシン2は肺機能低下を抑制

GaneshRaghu, et al.
Long-term treatment with recombinant human pentraxin 2 protein in patients with idiopathic pulmonary fibrosis: an open-label extension study
The Lancet Respiratory Medicine Available online 20 May 2019

背景:
 組み換え型ヒトペントラキシン2であるPRM-151で治療された特発性肺線維症(IPF)患者は、28週間におよぶ第2相二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験において、有意に%努力性肺活量(FVC)を減少させ、6分間歩行距離(6MWD)を安定させた(JAMA. 2018 Jun 12;319(22):2299-2307.:上記リンクで記事解説)。ここで、76週におよぶオープンラベル拡大試験の結果を報告する。

方法:
 PRM-151-202試験期間である28週間の二重盲検期間を完遂した患者は、オープンラベル拡大試験に登録された。PRM-151群だった患者は治療を継続し、プラセボ群だった患者はPRM-151にクロスオーバーした。28週サイクルでPRM-151を投与された患者は、初回の週にday1,3,5にローディング用量として10mg/kgを60分で投与され、4週ごとに1回の10mg/kgを点滴を受けた。主要な目的は、PRM-151の長期安全性の検証であり、オープンラベル拡大試験に登録された患者を76週まで追跡した。探索的に有効性解析をおこない、ベースラインからの%FVC、%6MWD変化が調べられた。
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(文献より引用)

結果:
 二重盲検試験を完遂した116人のうち、111人がオープンラベル拡大試験にすすんだ(76人がPRM-151群由来、37人がプラセボ群由来)。111人のうち84人(76%)がIPF治療(ピルフェニドン55人、ニンテダニブ29人)と併用していた。IPF増悪が4人(4%)、IPF進行が4人(4%)、胸痛が2人(2%)にみられ、重篤な有害事象は21人(19%)に観察され、そのうちIPF増とIPF進行が2人ずつだった。
 長期的なPRM-151の有効性が観察され、継続群ではFVC減少、6MWD減少の抑制が引き続き観察されていた(-3.6%/年、-10.5m/年)。拡大試験でPRM-151を開始した集団でも、プラセボ時期と比較して両アウトカムの悪化を抑制することが示された。
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(文献より引用)

結論:
 長期PRM-151は、忍容性があり%FVCおよび6MWDの減少を抑制する効果がある。IPF患者に対する大規模なPRM-151臨床試験を実施することを支持するものである。



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# by otowelt | 2019-05-26 00:04 | びまん性肺疾患

Novel START試験:シムビコート®頓用は軽症喘息に最適な選択肢?

e0156318_9473145.png 重症喘息に対する治療にばかり目が向くなか、軽症喘息にしぼった実臨床的な臨床試験です。来月のドクターズアイで解説したいと思います。ATS2019ニュースではうっかりSMART療法と書きましたが、厳密にはSMART療法の「M」がベースラインにないので、違いますね。

Richard Beasley, et al.
Controlled Trial of Budesonide–Formoterol as Needed for Mild Asthma
NEJM, May 19, 2019, DOI: 10.1056/NEJMoa1901963


背景:
 二重盲検プラセボ対照試験において、必要時頓用のブデソニド/ホルモテロールは短時間作用性β2刺激薬よりも重症増悪のリスクを減らし、またブデソニド維持療法+SABA頓用と同等のリスクであることが示されている。実診療をより反映するように設計された臨床試験からデータが得られれば有益であろう。

方法:
 われわれは軽症喘息の成人における52週間のランダム化オープンラベル並行群間比較試験を実施した。患者はランダムに3群治療のうちの1つに割り付けられた:サルブタモール(文献ではアルブテロールと記載)(100μg2吸入[pMDI])(サルブタモール群)、ブデソニド(200μg1吸入1日2回[タービュヘイラー])(ブデソニド維持群)、ブデソニド/ホルモテロール(200μg/6μg必要時1吸入頓用)(ブデソニド/ホルモテロール群)。吸入デバイスを電子的に監視し、薬物使用を測定した。プライマリアウトカムは年間喘息増悪率とした。

結果:
 解析にはランダム化された675人のうち668人が含まれた。年間増悪率は、サルブタモール群よりもブデソニド/ホルモテロール群の方が低く(絶対率0.195 vs 0.400、相対率0.49、95%信頼区間0.33-0.72、p<0.001)、ブデソニド維持群とは有意差はなかった(絶対率0.195 vs 0.175、相対率1.12、95%信頼区間0.70-1.79、p=0.65)。重症増悪数はブデソニド/ホルモテロール群のほうがサルブタモール群(9 vs 23, 相対リスク0.40、95%信頼区間0.18-0.86)、ブデソニド維持群(9 vs 21, 相対リスク0.44、95%信頼区間0.20-0.96)よりも低かった。平均(±標準偏差)吸入ブデソニド用量はブデソニド/ホルモテロール群で107±109μg/日、ブデソニド維持群で222±113μg/日だった。有害事象については、過去の臨床試験や実臨床において報告されている頻度やタイプと一致していた。

結論:
 軽症喘息の成人患者を含むオープンラベル試験において、ブデソニド/ホルモテロール頓用使用はサルブタモール頓用使用よりも喘息増悪予防に優れていた。



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# by otowelt | 2019-05-25 00:48 | 気管支喘息・COPD

SENSCIS試験:全身性強皮症間質性肺疾患に対するニンテダニブ

e0156318_14441648.jpg ATS速報ニュースでも流しましたが、強皮症ILDに対するオフェブ®の論文です。ATSでも盛り上がりを見せました。

Oliver Distler, et al.
Nintedanib for Systemic Sclerosis–Associated Interstitial Lung Disease
NEJM, May 20, 2019 DOI: 10.1056/NEJMoa1903076


背景:
 間質性肺疾患(ILD)は全身性強皮症(SSc)ではよくみられる表現型であり、SSc関連死亡の主たる原因である。チロシンキナーゼ阻害剤であるニンテダニブは、SScおよびILDの臨床前モデルにおいて抗線維化・抗炎症作用をもたらすことが示されている。

方法:
 われわれはランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施し、SSc関連ILDの患者におけるニンテダニブの有効性と安全性を検証した。過去7年以内に初回非Raynaud現象および最低10%の肺の線維化がある高分解能CTを呈するSScを有する患者を1:1の割合でニンテダニブ150mg1日2回経口投与あるいはプラセボにランダムに割り付けた。ベースラインの肺機能については、%DLCO30~89%、%FVCは40%を必要条件とした。肺高血圧症合併例は除外された。
 プライマリエンドポイントは努力性肺活量(FVC)の年間減少率とし、52週間にわたって調査された。キーセカンダリエンドポイントは、ベースラインから52週までの修正Rodnan皮膚スコア(mRSS)およびSGRQスコアのベースラインからの絶対変化とした。mRSSのMCIDははっきりとしたエビデンスはないが、3-4点あたりではないかと考えられている(Arthritis Res Ther 2019;21:23-23.)。

結果:
 576人が少なくともニンテダニブあるいはプラセボを1回投与された。51.9%がびまん型全身性強皮症であり、48.4%がベースラインにミコフェノール酸を投与されていた。女性のほうが多く、ニンテダニブ群76.7%、プラセボ群73.6%だった。年齢はニンテダニブ群54.6±11.8歳、プラセボ群53.4±12.6歳だった。約半数がdiffuse cutaneous SScだった。ベースラインの%FVCは、ニンテダニブ群72.4±16.8%、プラセボ群72.7±16.6%だった。ベースラインの%DLCOは、ニンテダニブ群52.9±5.1%、プラセボ群53.2±15.1%だった。
 プライマリエンドポイント解析では、補正FVC年間減少はニンテダニブ群-52.4mL/年、プラセボ群-93.3mL/年だった(差41.0mL/年、95%信頼区間2.9-79.0、p=0.04)。欠損データに対する多重代入による感度分析では、プライマリエンドポイント達成P値は0.06から0.10の範囲だった。ベースラインから52週までのmRSSトータルスコアおよびSGRQスコアの変化は統計学的に有意差はなかった(それぞれ-0.21,95%信頼区間-0.94~0.53、p=0.58、1.69、95%信頼区間-0.73~4.12)。下痢がもっともよくみられた副作用イベントであり、ニンテダニブ群の75.7%、プラセボ群の31.6%にみられた。

結論:
 SSc-ILD患者において、ニンテダニブはプラセボよりも年間FVC減少率を減少させるが、その他の表現型に対するニンテニブの利益は臨床的には認められない。この試験におけるニンテダニブの副作用イベントプロファイルは、特発性肺線維症患者で観察されたものと同等で、下痢を含む消化器系の副作用イベントがプラセボよりニンテダニブにおいてよくみられた。




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# by otowelt | 2019-05-24 00:28 | びまん性肺疾患

SIENA試験:喀痰好酸球比率が低い喘息患者では吸入ステロイドは効果に乏しい

e0156318_9473145.png 小児持ち越し喘息例は基本的に2型炎症が多いと思っている呼吸器内科医にとって、衝撃的な結果ではあります。

Stephen C. Lazarus, et al.
Mometasone or Tiotropium in Mild Asthma with a Low Sputum Eosinophil Level
NEJM, DOI: 10.1056/NEJMoa1814917


背景:
 多くの軽症持続型喘息患者において、喀痰中好酸球比率は2%未満(低好酸球値)である。これらの患者に対する適切な治療は不明である。

方法:
 この42週におよぶ二重盲検クロスオーバー試験において、われわれは12歳以上の軽症持続型喘息患者295人を登録し、モメタゾン(吸入ステロイド)、チオトロピウム(長時間作用性抗コリン薬)、プラセボのいずれかに割り付けた。患者は喀痰中好酸球比率に応じて層別化された(2%未満あるいは2%以上)。プライマリアウトカムは、事前に規定した喘息コントロールが試験薬のいずれかとプラセボで差があった、喀痰中好酸球比率が低い患者における、プラセボと比較したモメタゾンの反応性およびプラセボと比較したチオトロピウムの反応性である。治療失敗、喘息コントロール日数、1秒量を組み込んだ階層的な複合アウトカムに応じて効果が定められ、両側検定でp値が0.025未満の場合に統計学的に有意とした。セカンダリアウトカムは、喀痰中好酸球比率高値の患者と低値の患者における結果の比較である。

結果:
 患者のち58人(20%)が12~18歳と若年層であった。全体で、73%の患者(221人)が喀痰中好酸球比率低値とみなされた。221人の平均年齢は31.2±13.8歳で、男性は34%だった。喀痰中好酸球比率高値群の患者の平均年齢は31.1±14.2歳で、男性は47%だった。喘息罹患歴は前者が19.2±10.2年、後者が20.0±12.2年で、初発年齢はおおむね7~8歳の小児喘息持ち越し例であった。気道可逆性は喀痰中好酸球比率低値群で9.6±7.1%、高値群で12.7±8.5%だった。ACT中央値は両群ともに21点だった。
 好酸球比率低値だった患者のうち59%が試験薬とプラセボで喘息コントロールに差がみられた。しかしながら、プラセボと比較してモメタゾンあるいはチオトロピウムの反応性に有意差はなかった。喀痰中好酸球比率低値群で効果に差があった患者において、モメタゾンに対して効果が高かった患者(57%、95%信頼区間48-66)とプラセボに対して効果が高かった患者(43%、95%信頼区間34-52)に有意差はなかった(p=0.14)。また、チオトロピウムに対して効果が高かった患者(60%、95%信頼区間51-68%)とプラセボに対して効果が高かった患者(40%、95%信頼区間32-49)にも有意差はなかった(p=0.029)。喀痰好酸球比率高値の患者において、モメタゾンの効果が高かった患者はプラセボよりも有意に高かったが(74% vs 26%)、チオトロピウムとプラセボの間には有意差はなかった(57% vs 43%)。
 有害事象はほとんどみられず、喀痰中好酸球比率低値群と高値群でも有意差は観察されなかった。

結論:
 喀痰中好酸球比率が低い軽症持続型喘息患者のほとんどが、プラセボと比較してモメタゾンやチオトロピウムに有意な効果を示さなかった。これらのデータは、喀痰中好酸球比率が低い患者における吸入ステロイドとその他治療を比較する臨床試験を要することを意味する。



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# by otowelt | 2019-05-23 00:05 | 気管支喘息・COPD

ATS2019速報ニュース配信中

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# by otowelt | 2019-05-20 00:10 | 呼吸器その他