INHALATOR試験:COPD患者のブリーズヘラーとレスピマットの選択

e0156318_1633480.jpg ブラジルの研究です。

Oliveira MVC, et al.
Evaluation of the preference, satisfaction and correct use of Breezhaler® and Respimat® inhalers in patients with chronic obstructive pulmonary disease - INHALATOR study.
Respir Med. 2018 Nov;144:61-67.


背景:
 INHALATOR試験は、軽症あるいは中等症COPD患者の単剤治療として、市販されているスピリーバ®あるいはオンブレス®を毎日使用している患者における、ブリーズヘラー®およびレスピマット®適正使用、満足度、好みを評価するための、ランダム化多施設共同オープンラベルクロスオーバー試験である。それぞれ7日間で2期間実施された。

方法:
 少なくとも10pack-yearの喫煙歴がある40歳以上の患者が研究に組み入れられた。プライマリエンドポイントは、薬剤リーフレット情報を読んだ後の治療初日の適正使用率で、訓練を受けた監督評価者のもと評価された。治療終了時に、吸入薬使用が再評価され、満足度についての質問票回答を完遂した。試験終了時には、患者の吸入デバイスの好みもアセスメントされた。

結果:
 スクリーニング失敗による除外ののち、140人の患者がランダム化された。136人が少なくとも1回のブリーズヘラー®、135人がレスピマット®を吸入した。治療開始時、吸入薬の適正使用率はブリーズヘラー®40.4%(95%信頼区間32.2%-48.7%)、レスピマット®36.3% (95%信頼区間28.2%-44.4%)だった(p = 0.451)。7日後、その頻度はそれぞれ68.9% (95%信頼区間61.1%-76.7%)、60.4% (95%信頼区間52.2%-68.7%)になった(p = 0.077)。
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(文献から引用)

 試験終了時、どちらの吸入薬がよいかを問われると、半分以上の患者(57.1%)がブリーズヘラー®を選択し、30.1%がレスピマット®を、12.8%はいずれのデバイスも選ばなかった。
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(文献から引用)

結論:
 この研究では、ブラジルにおけるCOPD患者は、レスピマット®よりもブリーズヘラー®を好んだ。

※この研究ではOnbrizeという商品名。


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# by otowelt | 2018-11-16 00:38 | 気管支喘息・COPD

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の免疫学的検査を満たす慢性肺アスペルギルス症患者は多い

e0156318_16301050.jpg ここでいうABPAの必要基準とは、コレスポンディングオーサーのAgarwal教授が提唱している、ISHAM基準の2項目です。

Sehgal IS, et al.
Is There an Overlap in Immune Response Between Allergic Bronchopulmonary and Chronic Pulmonary Aspergillosis?
J Allergy Clin Immunol Pract. 2018 Sep 8. pii: S2213-2198(18)30571-3.


背景:
 慢性肺アスペルギルス症(CPA)およびアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は、肺におけるアスペルギルス属に対する2表現型をあらわしていると推定されている。

目的:
 CPAと診断された症例において、ABPAの診断に用いられる免疫学的検査がオーバーラップしているかどうかを調査すること。

方法:
 CPAの連続患者において、われわれはABPAの診断に用いられる免疫学的検査(Aspergillus fumigatus特異IgE抗体>0.35kUA/L、総IgE≧500IU/mL、好酸球数≧500/μL)あるいは必要基準(A. fumigatus特異IgE抗体>0.35kUA/Lおよび総IgE≧500IU/mL)が陽性となった患者の頻度を算出した。

結果:
 合計269人のCPA患者(53.5%が男性、平均年齢44.3±14.7歳)が登録された。もっともよくみられた基礎疾患は、陳旧性肺結核だった(230人、85.5%)。93人(34.6%)の患者が総IgE≧500IU/mLであり、A. fumigatus特異IgE抗体>0.35kUA/Lとなったのは112人(41.6%)だった。13人(4.8%)がABPAの免疫学的基準をすべて満たし、59人(21.9%)が必要基準を満たした。必要基準を満たした患者は、満たさなかった患者と比べると、有意に好酸球数が高く(P ≤ 0.0001)、アスペルギルス抗原に対する即時型皮膚反応が大きく(必要基準を満たさないその他のCPA vs 必要基準を満たしたCPA:9.8 ± 13.9 vs 13.9 ± 14.9 mm, P= 0.048)、A. fumigatus特異IgG抗体が高く(99.3 ± 61.9 vs 122 ± 66.6 mgA/L, P = 0.015)、真菌球の数が多かった(0.9 ± 0.7 [範囲0-3] vs 1.1 ± 0.9 [範囲0-4], P = 0.026)。

結論:
 CPA患者の約5%がABPAの診断に用いられる免疫学的検査のすべてに陽性で、22%がABPAの必要基準を満たした。これらの患者が異なるマネジメントプロトコルを必要とするかどうかを判断するには、さらなる研究を要するだろう。





# by otowelt | 2018-11-15 00:08 | 呼吸器その他

致死的な急性好酸球性肺炎では牽引性気管支拡張がみられる

e0156318_1872356.jpg AEPは数えるほどしか診たことがないので、勉強になります。

Takei R, et al.
Traction bronchiectasis on high-resolution computed tomography may predict fatal acute eosinophilic pneumonia
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.09.005

背景:
 急性好酸球性肺炎(AEP)のほとんどの患者は、急速に改善する。しかしながら、AEPのいくつかの例は致死的になる。この研究の目的は、AEPが致死的アウトカムになる臨床的、放射線学的、病理学的特な特徴を決定し、予後不良因子を同定することである。

方法:
 日本にあるわれわれの施設で、2005年7月から2013年7月までにAEPと診断された全患者の診療録を後ろ向きに同定した。

結果:
 試験期間中にAEPと診断された41人のうち4人が死亡した。死亡した患者は全員男性で、3人が特発性、1人が薬剤関連だった。気管支肺胞洗浄中の好酸球分画の中央値は59%だった。薬剤関連AEPだった患者で剖検がおこなわれ、病理学的に好酸球浸潤を伴うびまん性肺胞傷害がみられた。致死的AEPとなった4人において、胸部高分解能CTでびまん性のすりガラス吸収域および牽引性気管支拡張(TBE)が同定された。TBEは6人(特発性AEPの5人、薬剤関連AEPの1人)に観察され、これらの患者の67%が死亡している。喫煙関連AEPの患者は誰もTBEを有していなかった。これらの患者は治療反応性がよく、生存していた。

結論:
 治療に反応しなかった致死的AEP患者の特徴を観察した。致死例では全例にTBEが観察され、予後不良と関連していた。



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# by otowelt | 2018-11-14 00:47 | びまん性肺疾患

肺高血圧症患者に対する気管支鏡は安全に実施できる

e0156318_9511053.jpg 肺高血圧症があると、積極的な生検を躊躇してしまう傾向があるのは事実です。

Ishikawa T, et al.
Safety of diagnostic flexible bronchoscopy in patients with echocardiographic evidence of pulmonary hypertension
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.08.009

背景:
 肺高血圧症(PH)の存在と抗凝固薬の治療は、気管支鏡処置に関連した出血/血行動態上の合併症リスクを上昇させる。この研究の目的は、PHの患者における診断的軟性気管支鏡(FB)の安全性を評価することである。

方法:
 日本の単施設において、2004年から2016年に診断的FBを適用された、心臓超音波に基づくPH(右室拡張期圧[RVSP]>40mmHg)がある患者の診療録を用いた後ろ向きレビューが実施された。同時期にFBをおこなわれたPHを支持する臨床的所見のない患者がペアワイズマッチコントロール群として登録された。マッチングに用いられた因子は、年齢、性別、おこなわれた処置である。

結果:
 全体で、45人のPH群、90人のコントロール群患者が登録された。PH群の6人(13%)が重症PH(RVSP>61mmHg)を有していた。鉗子生検および経気管支針吸引が、PH群の62%、13%、コントロール群の58%、13%に実施された。FB中の出血の頻度は、両群で差がなかった(18% 対 16%; p = 0.742)。FB後2時間に記録されたバイタルサインについても、両群で差はなかった。不整脈やFB処置に関連した死亡のエピソードはなかった。

結論:
 本データによれば、診断的FBは心臓超音波によるPHを有する患者において、安全に実施できると考えられる。



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# by otowelt | 2018-11-13 00:20 | 気管支鏡

本の紹介:科学的認知症診療 5Lessons

 怪物的な医学書に出合いました。認知症の分野には明るくありませんが、おそらく現時点でこの領域随一の医学書であることは間違いないでしょう。まえがきにある「最新の臨床研究や系統的レビュー、すなわち科学的根拠を紹介することに徹しました。」という言葉は、自信に満ち溢れており、頼もしい。

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発売日:2018年10月5日
単行本 : 226ページ
価格 : 3,000円 (税別)
出版社 : シーニュ
著者: 小田 陽彦 先生

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する

 最初の項目のタイトルは「認知症という疾患は存在しない」です。「え?」と思いますよね。読んでみて下さい、その理由が分かります。そこから先は、雪崩のごとく読み進めていきました。自分の浅はかさが恥ずかしくなるくらい、1つ1つのフレーズが心に響きました。
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 私の目を惹きつけたのは、まえがきで宣言されていた、エビデンスの数々。よくもまぁここまで臨床研究をご存知だなというくらい、膨大なデータの洪水。そして、1ページに1回は登場するであろう認知症診療に対する深い洞察。豊富な経験があってこその、ズッシリと重みある言葉たち。数えきれないくらいガツンとパンチをもらったので、一部抜粋して紹介します。

 「この人はアルツハイマー病、と臨床診断すると、その病名が終末期まで独り歩きする傾向がありますが、臨床診断は症状から病理診断を予想する行為に過ぎないという事実を医師自身が認識しておく必要があります。」

 「外してはいけない大原則は、告知は技術的に不可能、という点です。認知症性疾患の確定診断は病理診断でなされますが、現行の臨床診断基準は不完全で、しばしば病理診断と一致しないことがわかっています。」

 「認知症診療はしばしば難しいですが、難しくさせている原因の1つは医療者側の知識不足であり、ある当事者の言葉を借りるならば人災という側面もあることは否定できないと思います。」
 
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 「アリセプト®やメマリー®ってぶっちゃけエビデンスどうなの?」と思っている内科医は多いと思いますが、認知症に関するこうした疑問のほぼ全てを、科学的根拠でもってこの本が解決してくれるはずです。

 全体的に、余白がものすごく狭い。シーニュならではのこだわりでしょう。226ページですが、おそらく一般的な医学書350ページぶんくらいの内容はあるでしょう。ちょっと藤本社長、3,000円っていくらなんでも安すぎないですか?

 認知症の患者さんを診ることがある、すべての医師が持っておくべき一冊です。とりわけ、総合診療科畑の人たちにとっては、最高のリファレンスブックとなるでしょう。自信をもってオススメできます。




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# by otowelt | 2018-11-10 00:33 | 内科一般