GALATHEA試験・TERRANOVA試験:COPDに対するベンラリズマブは無効

e0156318_1312221.png COPDの中でも好酸球性フェノタイプにファセンラ®が効かないという報告です。


Criner GJ, et al.
Benralizumab for the Prevention of COPD Exacerbations.
N Engl J Med. 2019 Sep 12;381(11):1023-1034.


背景:
 中等症~最重症のCOPD患者の増悪予防における、インターロイキン-5受容体αモノクローナル抗体ベンラリズマブの有効性と安全性は明らかにされていない。

方法:
 登録されたCOPD患者は、40~85歳の中等症~重症のものと定義された。
 GALATHEA試験およびTERRANOVA試験において、COPDガイドラインに基づく吸入療法を行っているにもかかわらず増悪を繰り返すCOPD患者を(好酸球数数が≧220/mm3:<220/mm3が2:1の割合)登録した。登録患者は、ベンラリズマブ(GALATHEA試験において30mgまたは100mg、TERRANOVA試験において10mgまたは30mgまたは100mg)を8週間ごと(初回3回は4週ごと)に投与する群と、プラセボを投与する群にランダムに割り付けた(56週間)。プライマリエンドポイントは、ベンラリズマブによる治療効果とし、ベースラインの血中好酸球数が220/mm3以上の患者における56週時の年間COPD増悪率比(ベンラリズマブ群 vs プラセボ群)と定義した。また、安全性についても評価した。

結果:
 GALATHEA試験において、COPD年間増悪率(推定値)は、ベンラリズマブ30mg群1.19回/年(95%信頼区間1.04-1.36)、ベンラリズマブ100mg群1.03回/年(95%信頼区間0.90-1.19)、プラセボ群1.24 回/年(95%信頼区間1.08-1.42)だった(プラセボ群と比較した率比:30mg群0.96、P=0.65、100mg 群0.83、P=0.05)。
 TERRANOVA試験において、COPD年間増悪率(推定値)は、ベンラリズマブ10mg群0.99 回/年(95%信頼区間0.87-1.13)、30mg群1.21回/年(95%信頼区間1.08-1.37)、100mg群1.09 回/年(95%信頼区間0.96-1.23)、プラセボ群1.17回/年(95%信頼区間1.04-1.32)であった(プラセボ群と比較した率比:10mg群0.85、P=0.06、30mg群1.04、P=0.66、100mg群0.93、P=0.40)。
 両試験とも、56週時点においてベンラリズマブのいずれの用量群も、プラセボ群と比較した年間COPD増悪率比は有意差に達しなかった。
 有害事象のタイプと頻度は、ベンラリズマブ群とプラセボ群で同様だった。

結論:
 中等症~最重症のCOPDにおいて、中等度または重度のCOPD増悪を繰り返す、血中好酸球数が 220/mm3以上の患者に対するベンラリズマブの上乗せによっても、プラセボよりCOPD年間増悪率が低くなることはなかった。






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# by otowelt | 2019-09-17 00:20 | 気管支喘息・COPD

肺癌サバイバーは心血管系疾患リスクが高い

e0156318_10535567.png 以前から言われている知見の1つです。これはどの癌腫でも似た報告がありますね。

Yoon DW, et al.
Increased risk of coronary heart disease and stroke in lung cancer survivors: A Korean nationwide study of 20,458 patients.
Lung Cancer. 2019 Aug 24;136:115-121.


目的:
 肺癌治療の進歩により、肺癌サバイバーは増えた。心血管系疾患(CVD)は非癌死亡の主要な原因の1つとされており、CVDマネジメントは癌サバイバーシップケアの重要な点である。しかしながら、肺癌手術を受けた肺癌サバイバーにおける心血管系リスクのデータは不足している。われわれは、肺癌サバイバーと一般非癌集団の間のCVD発症を比較した。

方法:
 韓国国内健康保険サービスデータベースを用いて、2007年~2013年で20458人の肺癌手術を受けた患者を抽出した。アウトカム変数は、冠動脈性心疾患(CHD)、心筋梗塞(MI)、虚血性脳卒中(IS)、死亡とした。アウトカムは2016年まで追跡された。

結果:
 20458人の肺癌手術を受けた患者と、27321人の非癌コントロール患者を比較した。肺癌サバイバーは、すべての心血管系疾患リスク上昇(補正ハザード比1.27, 95%信頼区間1.19-1.36), CHDリスク上昇(補正ハザード比1.26, 95%信頼区間1.16-1.36)、ISリスク上昇(補正ハザード比1.22, 95%信頼区間1.07-1.39)と関連していた。
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(すべての心血管系疾患リスク:文献より引用)

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(CHDおよびISリスク:文献より引用)

 化学療法および放射線治療は心血管系イベントリスク上昇、CHDリスク上昇、MIリスク上昇と関連していた。1年間および3年間まで心血管系イベントがなかった肺癌サバイバーのいずれにおいても、非癌集団と比較すると心血管系イベントリスク上昇は高かった。

結論:
 一般非癌集団と比較すると、肺癌サバイバーはCHD、ISリスクが高かった。そのため、肺癌サバイバーにおいて、とりわけ化学療法や放射線治療を受ける場合には、心血管系リスクを注意深く評価する必要がある。



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# by otowelt | 2019-09-15 00:41 | 肺癌・その他腫瘍

呼吸器疾患があると鍼治療後の気胸リスクが高くなる

e0156318_1627308.png 思ったより頻度が低いですね。ものすごく稀です。
 当院にもまれに、鍼治療後の気胸患者さんが来院されます。問い合わせても「鍼治療とは関係ありません」と言われることが多いのが残念です。

Lin SK, et al.
Incidence of iatrogenic pneumothorax following acupuncture treatments in Taiwan.
Acupunct Med. 2019 Aug 21:acupmed2018011697.

背景:
 気胸は鍼治療におけるまれな合併症であるが、そのリスク因子はよくわかっていない。

目的:
 この研究は、台湾における国内健康保険研究データベースにおける100万人のサンプルコホートを用いて、鍼治療後に入院を要する気胸を起こした頻度を調べたものである。

方法:
 1997年から2012年の間に当該コホートを用いて調べた。患者は、性別、保険金額、合併症、居住地域、鍼治療を受けた数によって層別化された。ロジスティック回帰分析によって気胸リスクを推定した。

結果:
 鍼治療後7日後までの情報が得られた、41万1734人における540万7378回の鍼治療がコホートから同定された。医原性気胸の発生は100万回の鍼治療あたり0.87で、解剖学的にリスクが高い部位の鍼治療では100万回の鍼治療あたり1.75だった。多変量ロジスティック回帰分析によれば、呼吸器手術歴(補正オッズ比7.85、95%信頼区間3.49-9.25)、慢性気管支炎(補正オッズ比2.61、95%信頼区間1.03-6.87)、気腫(補正オッズ比4.87、95%信頼区間1.03-7.96)、肺炎(補正オッズ比2.09、95%信頼区間1.44-2.72)、結核(補正オッズ比3.65、95%信頼区間1.39-9.56)、肺癌(補正オッズ比3.85、95%信頼区間1.53-9.73)が鍼治療後の気胸リスクを上昇させた。女性よりも男性のほうが気胸リスクは高かった(補正オッズ比3.41、95%信頼区間1.36-8.57)。治療回数は気胸リスク上昇とは関連していなかった。

結論:
 慢性気管支炎、気腫、結核、肺癌、肺炎、呼吸器手術既往などの呼吸器疾患の病歴がある患者は鍼治療後の気胸リスクが上昇した。



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# by otowelt | 2019-09-13 00:11 | 呼吸器その他

胸膜プラークは肺癌のリスクを上昇させない

e0156318_1553490.png トップジャーナルで塵肺の論文が出るとテンションが上がります。滅多にない出来事なので。

Brims FJ, et al.
Pleural Plaques and the Risk of Lung Cancer in Asbestos-exposed Subjects.
Am J Respir Crit Care Med. 2019 Aug 21. doi: 10.1164/rccm.201901-0096OC.


背景:
 石綿への曝露は、その曝露用量に依存して肺癌リスクを上昇させる。肺癌と胸膜プラークとの関連については議論の余地がある。

目的:
 胸膜プラークと肺癌リスクの関連を調べること。

方法:
 被験者は2コホートから集められた。①クロシドライト(青石綿)鉱山、製粉労働者、ウィッテヌーム住民、②混合石綿繊維、混合石綿従事職コホート。全被験者は1990年から毎年胸部レントゲン写真、低線量CT(LDCT)で評価され、国内がんおよび死亡レジストリとリンクされアウトカムを調べた。年齢で補正したCox回帰を用いて、性別、喫煙歴、石綿曝露、石綿肺および胸膜プラークの有無ごとに肺癌のハザード比を推定した。

※ウィッテヌームは石綿生産で有名な町だった。
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結果:
 4240人の追跡時平均年齢は65.4歳で、3486人(82.0%)が男性だった。1315人(31.0%)が胸膜プラークを有しており、1353人(32.0%)に放射線学的な石綿肺がみられた。3042人(71.7%)が既喫煙者で平均喫煙歴は33pack-yearsだった。
 200人に肺癌が発症した。肺癌のリスクは累積喫煙歴、石綿曝露歴が高いほど、また石綿肺があると高くなった。胸膜プラークは、肺癌のリスクを上昇させなかった(コホート①ハザード比1.03, 95%信頼区間0.64-1.67, p=0.89; コホート②ハザード比0.75, 95%信頼区間0.45-1.25, p=0.28)。

結論:
 胸部画像検査において胸膜プラークがあっても、それがその後の肺癌リスクを上昇させるわけではない。石綿曝露量や強度が異なる2コホートで同様の結論だった。





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# by otowelt | 2019-09-12 00:24 | 肺癌・その他腫瘍

AJRCCMでのやりとり:外科的肺生検とクライオバイオプシー

e0156318_1543237.jpg AJRCCMで「IPF診断における外科的肺生検とクライオバイオプシー」について議論が交わされています。

参考記事:クライオバイオプシーと外科的肺生検の病理医による一致率は不良

クライオバイオプシーがダメという論調ではなくて、サンプリングエラーをどこまで考えるかという話です。

Romagnoliらの文章を引用します。

「In conclusion, if one considers TBLC as “the baby”, we suggest that the bathwater is dirty and requires a paradigm change. (中略) If we can “clean-up” the bathwater via robust pathological markers that render the probability of diagnosis independent of biopsy size, the baby will be much more comfortable.」

(Romagnoli, et al. Cryobiopsy Compared with Surgical Lung Biopsy in ILD: Reply to Maldonado et al., Froidure et al., Bendstrup et al., Agarwal et al., Richeldi et al., Rajchgot et al., and Quadrelli et al. AJRCCM, August 23, 2019 as DOI: https://doi.org/10.1164/rccm.201906-1252LE)



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# by otowelt | 2019-09-11 09:05 | びまん性肺疾患