COVID-19:COVID-19と酸素療法

COVID-19:COVID-19と酸素療法_e0156318_230117.png 鼻カニューレが意外とリスキーかもしれませんね。

Martina Ferioli,et al.
Protecting healthcare workers from SARS-CoV-2 infection: practical indications.
European Respiratory Review 2020 29: 200068; DOI: 10.1183/16000617.0068-2020


 COVID-19は、飛沫を介して空中に飛散する。感染率は一般的なインフルエンザよりも高いとされており、医療従事者は、特に酸素カニューレやNIVなどの呼吸装置を使用する場合、感染リスクが高くなる。
 45°傾斜した病院ベッドに座っている70kgの成人男性シミュレーターを用いて、陰圧室で行われたSARS-CoV-2の飛散に関するデータは表のようになった。

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表. 酸素デバイスごとの飛散

 口鼻マスクを介したCPAPと、エアクッションのあるヘルメットを介したNIVがもっとも飛散リスクが低かった。

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図. 高流量鼻カニューレ時

 高流量鼻カニューレ装着時には、サージカルマスクを患者の口に装着することで飛散を減らすことが可能かもしれない。


# by otowelt | 2020-04-09 10:19 | 呼吸器その他

本の紹介:そのエビデンス、妥当ですか?

 タイトルの文字数に限りがあり、省略させていただきました。スイマセン。
 さて、献本ありがとうございます。結論から書きましょう。小児科医・プライマリ・ケア医は全員買うべし。これは、近年まれに見る完成度の医学書です。感動すら覚えるクオリティ。間違いなく、医学書史に残る神本です。

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発売日:2020年4月14日
単行本 : 231 ページ
価格 : 3,400円 (税抜)
出版社 : 金芳堂
著者 : 大久保 祐輔先生 (著), 榊原 裕史先生(監修)

本の紹介:そのエビデンス、妥当ですか? _e0156318_13141310.jpgAmazonから予約/購入する

 著者の大久保先生のことは、風のウワサで何となく知っていました。とはいえ、私は小児科医ではなく呼吸器内科医ですから、たくさん論文を読んでいる疫学に詳しい先生、という印象でした。
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 しかし、この本をペラペラめくり始めて、自分の井の中の蛙っぷりを痛感しました。何者ですか、この先生、エビデンスの怪物じゃないか。町内の運動会のリレーで、ウサイン・ボルトが出てくるらしいというウワサを聞いてワクワク待機していたら、超サイヤ人孫悟空が出てきたくらいびっくりしました。走っているのが見えない!(自分でも何を書いているのかよくわからない)
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 私が初めて書いた書籍は、シーニュ社から出版した「『寄り道』呼吸器診療」という本でした。普段から実臨床で感じる疑問を、エビデンスから紐解きながら解決する、そういう類の本です。大久保先生の本は、そのコンセプトと近いものですが、クオリティの高さに嫉妬するレベルでした。これをどうやって書き上げたのか、と思うくらい精緻かつ洗練された内容。一言一言に、エビデンスが裏付けされている。そしてコラムには、論文を読む上で必要な知識やノウハウが惜しみなく書かれている。全体的に、医学書10冊分くらいの内容と満足度がある。
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 繰り返しますが、これは、医学書史に残る神本です。
 もう一度書きます、神本です。





# by otowelt | 2020-04-08 22:20 | その他

「ねころんで読める呼吸のすべて」が2万部突破!

 「ねころんで読める呼吸のすべて ナース・研修医のためのやさしい呼吸器診療とケア」という過去に出版した書籍が、先日累計2万部を突破しました。

 今読んでも賞味期限切れの項目がほとんどないので、読んでいない人は是非どうぞ!

「ねころんで読める呼吸のすべて」が2万部突破!_e0156318_17383435.jpg
発売日 : 2015年6月22日
価格 : 2,000 円 (税別)
出版社 : メディカ出版
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科)

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「ねころんで読める呼吸のすべて」が2万部突破!_e0156318_13141310.jpgメディカ出版から購入する


「ねころんで読める呼吸のすべて」が2万部突破!_e0156318_2254561.jpg






# by otowelt | 2020-04-08 00:34 | 呼吸器その他

出生早期の抗菌薬曝露は喘息リスクの上昇と関連

出生早期の抗菌薬曝露は喘息リスクの上昇と関連_e0156318_22565520.png 既知の知見ですが、双子レジストリを用いた研究です。

Slob EMA, et al.
Early-life antibiotic use and risk of asthma and eczema: results of a discordant twin study.
Eur Respir J. 2020 Mar 5. pii: 1902021. doi: 10.1183/13993003.02021-2019.


背景:
 出生早期の抗菌薬使用はアトピー疾患の発展に関連しているが、その疫学は不透明である。これを解明するため、われわれはdiscordant twinデザインを使用して、遺伝的および環境的交絡を制御した。

discordant twin: 1絨毛膜性,2絨毛膜性双胎にかかわらず両児の推定児体重差〔discordant rate :(大きい児の体重-小さい児の体重)÷大きい児の体重×100〕が一定以上のものがdiscordant twin。

方法:
 われわれはオランダ双子レジストリ(NTR:34352人)から3-10歳の双子を登録した後ろ向きコホート試験、9歳時点のスウェーデンの複製試験(CATSS:7906人)をおこなった。抗菌薬使用は0-2歳時のものが記録された。医師から診断された喘息および湿疹は、両親によって3-12歳のときに報告された。

結果:
 早期の抗菌薬曝露は、喘息リスクの上昇(NTRオッズ比1.34 95%信頼区間1.28-1.41; CATSSオッズ比1.45 95%信頼区間1.34-1.56)、湿疹リスクの上昇(NTRオッズ比1.08 95%信頼区間1.03-1.13; CATSSオッズ比 1.07 95%信頼区間1.01-1.14) と関連していた(アンマッチ解析)。一卵性および二卵性の双生児比較解析では、喘息については同等だったが(NTRオッズ比1.54 95%信頼区間 1.20-1.98、CATSSオッズ比2.00 95%信頼区間1.28-3.13)、湿疹については両コホートで相反する結果だった(NTRオッズ比0.99 95%信頼区間0.80-1.25、CATSSオッズ比1.67 95%信頼区間1.12-2.49)。喘息リスクは、呼吸器感染症に対して抗菌薬を用いた場合リスクが高かったが(CATSSオッズ比1.45 95%信頼区間1.34-1.56)、尿路/皮膚感染症に用いた場合には有意ではなかった(CATSS オッズ比1.02 95%信頼区間0.88-1.17)。

結論:
 出生早期に、特に呼吸器感染症に対して抗菌薬に曝露されることで、喘息のリスクが高くなるかもしれない。この結果では、早期の抗菌薬使用と湿疹の関係が家族的および遺伝的要因によって交絡されているかどうかは解明できなかった。


# by otowelt | 2020-04-06 00:07 | 気管支喘息・COPD

COVID-19:死亡85例の臨床的検討

COVID-19:死亡85例の臨床的検討_e0156318_230117.png いくつか報告がありますが、好酸球低値・リンパ球低値はもしかすると予後予測因子かもしれませんね。

Du Y, et al.
Clinical Features of 85 Fatal Cases of COVID-19 from Wuhan: A Retrospective Observational Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Apr 3. doi: 10.1164/rccm.202003-0543OC.


背景:
 世界におけるCOVID-19の死亡は2万1000人を超えた(ちなみに2020年4月5日時点では6万4000人を超えている)。死亡のリスク因子は、高齢者と併存症とされているが、正確には定義されていない。

目的:
 武漢の2病院においてCOVID-19で致死的だった85人の臨床的特徴を報告すること。

方法:
 2020年1月9日~2月15日までにCOVID-19で死亡した85人の診療録をレビューした。既往歴、曝露歴、併存症、症状、検査所見、胸部CT所見、臨床マネジメントが収集された。

結果:
 年齢中央値は65.8歳で、72.9%が男性だった。よくみられた症状は発熱78人(91.8%)、息切れ50人(58.8%)、倦怠感50人(58.8%)、呼吸困難60人(70.6%)だった。高血圧、糖尿病、冠動脈疾患はもっともよくみられた併存症だった。特筆すべきこととして、81.2%が入院時好酸球数が極めて低かった。合併症としては呼吸不全80人(94.1%)、ショック69人(81.2%)、ARDS63人(74.1%)、不整脈51人(60%)がみられた。77人(90.6%)が抗菌薬治療を受けており、抗ウイルス薬は78人(91.8%)、ステロイドは65人(76.5%)が投与されていた。38人(44.7%)が免疫グロブリン静注、33人(38.8%)がインターフェロンα2b治療を受けていた。

結論:
 このCOVID-19の85例の検討では、致死的な症例のほとんどは50歳を超える男性で、慢性疾患を有していた。ほとんどの患者は多臓器不全で死亡していた。息切れの早期発症は、COVID-19増悪の検知に有用かもしれない。好酸球低値は予後不良と関連するかもしれない。


# by otowelt | 2020-04-05 17:40 | 感染症全般

本の紹介:高齢者のための高血圧診療

 献本ありがとうございます。名郷直樹先生著、岩田健太郎先生監修・著の「高齢者のための高血圧診療」という本です。シリーズ3作目でしょうか。

本の紹介:高齢者のための高血圧診療_e0156318_8104288.png

発売日:2020年3月23日
単行本 : 224 ページ
価格 : 3,850円 (税込)
出版社 : 丸善出版
著者 : 名郷直樹先生著、岩田健太郎先生監修・著

本の紹介:高齢者のための高血圧診療_e0156318_13141310.jpgAmazonから予約/購入する

 通読して感じたことは、こりゃあ「高血圧という窓を通してみて哲学の本」だということです。最近、良い意味で裏切られる本が増えてきています。嬉しいことです。
 
 この本には、いわゆるマニュアル本のように、アムロジピン5mgウンタラカンタラ・・・、副作用にはコレを気を付けてウンタラカンタラ・・・・という内容は出てきません。高齢者の高血圧診療をどう向き合うか、彼らの何が問題なのか、そしてなぜ血圧をそもそも毎日測るのか、など、医学書としての視点は異彩を放っています。

 医師が高血圧の診療をどうやって学ぼうか、というための本ではなくて、普段から高齢者の高血圧を診ている多くの医師が脱皮する上でのパラダイムシフト、そういう本です。
本の紹介:高齢者のための高血圧診療_e0156318_825332.jpg


 後半に名郷先生と岩田先生と対談が掲載されているのですが、高血圧の話はどこにいったの!というくらい、老い、人生、そして死について、深い議論がなされています。200ページ余りの本で、この深みに到達できたことは読者としては驚くばかりです。


# by otowelt | 2020-04-04 00:08 | その他

COVID-19:併存症が多いほどアウトカムは不良になる

COVID-19:併存症が多いほどアウトカムは不良になる_e0156318_230117.png 既知の知見ではありますが、ERJに掲載されたのは呼吸器内科医としてはなんとなく嬉しい。

Guan WJ, et al.
Comorbidity and its impact on 1590 patients with Covid-19 in China: A Nationwide Analysis.
Eur Respir J. 2020 Mar 26. pii: 2000547. doi: 10.1183/13993003.00547-2020.


背景:
 COVID-19のアウトブレイクは世界的に拡大している。

目的:
 併存症ステータスで層別化し、COVID-19患者の重篤な有害アウトカムのリスクを評価すること。

方法:
 われわれは、2019年12月11日~2020年1月31日まで、中国本土の31の省/自治区/地方自治体における、575病院のCOVID-19患者1590人のデータを解析した。ICU入室あるいは侵襲性人工呼吸管理あるいは死亡で構成される複合エンドポイントを設定した。複合エンドポイントのリスクを、併存症の存在や数によって比較した。

結果:
 平均年齢は48.9歳で、686人(42.7%)は女性だった。この集団の重症例は16.0%だった。131人(8.2%)の患者が複合エンドポイントを満たした。399人 (25.1%)が少なくとも1つの併存症を有していた。よくみられた併存症は、高血圧16.9%、糖尿病8.2%だった。COPD患者は1.5%だった。130人(8.2%)は2つ以上の併存症を有していた。
 2つ以上の併存症を有している患者は、重症例に多くみられた(重症例40.0% vs 非重症例29.4%)。2つ以上の併存症を有している患者は、高齢で(平均年齢66.2歳)、息切れを呈しやすかった(55.4%)。
 年齢と喫煙歴で補正すると、COPD(ハザード比2.681、95%信頼区間1.424-5.048)、糖尿病(ハザード比1.59、95%信頼区間1.03-2.45)、高血圧(ハザード比1.58、95%信頼区間1.07-2.32)、悪性腫瘍(ハザード比3.50、95%信頼区間1.60-7.64)は複合エンドポイントにいたるリスク因子だった。少なくとも1つの併存症を有している患者のハザード比は1.79(95%信頼区間1.16-2.77)、2つ以上の併存症を有している患者のハザード比は2.59(95%信頼区間1.61-4.17)だった。
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(文献より引用)

結論:
 COVID-19患者において、併存症の存在は、併存症がない患者と比べて臨床アウトカムを悪化させた。併存症が多い患者では、さらに臨床アウトカムが不良だった。


# by otowelt | 2020-04-03 21:44 | 感染症全般

メタアナリシス:UIP・NSIPの放射線学的・臨床的特徴

メタアナリシス:UIP・NSIPの放射線学的・臨床的特徴_e0156318_22381567.png 患者背景はともかくとして、画像パターンについては事前に規定しているので「そりゃそうなるわ」と思ってしまうのですが・・・。

Ebner L, et al.
Meta-analysis of the radiological and clinical features of Usual Interstitial Pneumonia (UIP) and Nonspecific Interstitial Pneumonia (NSIP).
PLoS One. 2020 Jan 13;15(1):e0226084.


目的:
 NSIPとUIPを鑑別する、特異的なCTパターンと臨床的特徴を同定するためのメタアナリシスを実施すること。

方法:
 PubMed/Medline、EmbaseデータベースでUIPおよびNSIPの胸部CTパターンを報告している研究を抽出した。組織学的に確認された診断と間質性肺疾患(ILD)ボードによるコンセンサス診断を含む研究のみが本解析に含まれた。放射線学的パターンと患者背景が抽出された。ランダム効果メタアナリシスにより、オッズ比と連続データの平均差を調べた。

結果:
 794の研究結果のうち、33文献2318人の患者が適格基準を満たした。これらの研究のうち12がNSIP(338人)およびUIP(447人)を含んでいた。
 UIP患者と比較して、NSIP患者は有意に若く(NSIP:年齢中央値54.8歳、UIP:年齢中央値59.7歳、平均差-4.4、p=0.001、95%信頼区間-6.97~-1.77)、男性に少なく(NSIP:中央値52.8%、UIP:中央値73.6%、オッズ比0.32、p<0.001、95%信頼区間0.17-0.60)、喫煙者に少なかった(NSIP:中央値55.1%, UIP:中央値73.9%; オッズ比0.42; p = 0.005; 95%信頼区間0.23-0.77)。
 UIP患者と比較して、NSIP患者の胸部CT所見は、蜂巣肺パターンが少なく(NSIP:中央値28.9%、UIP:中央値73.4%、オッズ比0.07、p<0.001、95%信頼区間0.02-0.30)、末梢優位でなく(NSIP:中央値41.8%, UIP:中央値83.3%; オッズ比 0.21; p<0.001; 95%信頼区間0.11-0.38)、胸膜直下がよりスペアされていた(NSIP:中央値40.7%, UIP:中央値4.3%; オッズ比16.3; p = 0.005; 95%信頼区間2.28-117)。
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(胸膜直下スペア:文献より引用)

結論:
 末梢優位の蜂巣肺は、UIP診断と有意に関連していた。NSIPパターンは、UIPパターンより胸膜直下がスペアされていた。UIPパターンは高齢男性、喫煙者に多く、NSIPは若年集団に多かった。





# by otowelt | 2020-04-03 00:20 | びまん性肺疾患