IPFに対するリゾホスファチジン酸受容体1アンタゴニストは努力性肺活量減少率を緩和

e0156318_10574046.jpg 肝障害がネックになりそうですね。努力性肺活量に対するインパクトは26週間で90mLとやや期待ができますが。
 ただ、1日2回投与群の登録患者さんのばらつきが大きそうで、患者特性で肺機能の中央は同水準にありますが、低肺機能の方がおおく1日2回投与群に組み入れられている印象です。

Scott M. Palmer, et al.
A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase 2 Trial of BMS-986020, a Lysophosphatidic Acid Receptor Antagonist for the Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.08.1058


背景:
特発性肺線維症(IPF)は、不可逆的な肺機能の減少をきたす。リゾホスファチジン酸受容体1(LPA1)経路は、IPFの疫学に関与している。IPF患者に対して、高親和性LPA1アンタゴニストBMS-986020の安全性と有効性をプラセボと比較する第2相試験を解析した。

方法:
 IM136003試験は第2相他施設共同並行群間プラセボ対象ランダム化比較試験である。IPFの成人(%努力性肺活量:45-90%、%DLCO:30-80%)が登録され、ランダムにプラセボあるいはBMS-986020(1日1回あるいは1日2回)に26週間割り付けられた。プライマリエンドポイントは、ベースラインから26週目までの努力性肺活量の変化率とした。

結果:
 143人がランダム化され、108人が26週間の用量相を完遂した。35人が完遂できずに治療を中断した。ベースラインの患者特性は両群ともに同等だった(プラセボ群47人、600mg1日1回群48人、600mg1日2回群48人)。BMS-986020を1日2回投与された患者は、プラセボよりも有意に努力性肺活量の減少率が低かった(−0.042 L [95%信頼区間−0.106 ~ −0.022] vs (−0.134 L [95%信頼区間−0.201 ~ −0.068]; P=.049)。用量に関連した肝酵素の上昇がBMS-986020の2群両方にみられた。非盲検化になったあとにBMS-096020群で胆嚢炎が3例みられたために、本試験は早期中止となった。
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(文献より引用:努力性肺活量)

結論:
 BMS-986020 600mg1日2回26週間の治療はプラセボと比較して努力性肺活量の減少率を有意に緩和させた。BMS-986020は2用量群のいずれにおいても肝酵素の上昇と関連していた。





# by otowelt | 2018-09-19 00:36 | びまん性肺疾患

本の紹介:Dr.イワケンのねころんで読める英語論文

 「ねころんで読める」シリーズはナースから医師まで幅広く読める、エンターテイメント性あふれる医学書です。藤井昌子先生の画力が面白さを倍増させてくれるので、買って損はないモノばかりです。そんなシリーズに、あの岩田健太郎先生が満を持して登場です。「ねころんで読める英語論文」。
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発売日:2018年9月19日
単行本 : 148ページ
価格 : 3,300円 (税別)
出版社 : メディカ出版
著者 : 岩田健太郎先生

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する

 岩田健太郎先生は英語がペラペラだと思うのですが、私はMy name is Yu Kurahara, I'm 36 years old. くらいしか話せません。フィリピン人の英語教師とスカイプで話をしていた息子にも「お父さん発音下手くそ」と揶揄される始末です。

 私が尊敬するとある医師は、英語の発音はイマイチなのですが、海外の学会で堂々と話されます。なぜそんなに自信溢れる発表ができるのかと聞いたところ、「別に英語の発音なんてどうでもいいんや。度胸さえあれば何とか通じる」という返事が返ってきました。これは、『世界の果てまでイッテQ!』の出川イングリッシュと同じ論理で、彼は「滝」のことを「ドドドドウォーター」、「観覧車」のことを「クルクルボックス」と呼びました。それでも外国人と良好なコミュニケーションがとれていた。

 この本は、「そんなんでも構わんからとりあえず度胸をつけろ」と勇気をくれます。本の後半にもビビらないことが大事だと書かれています。至極同感できます。
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 皆さんは、英語論文のAbstractをどこから読んでいますか?別に最初から読んでも間違いではないのですが、効率的に情報を得るためにはConclusionsから読むのがよい。Backgroundは読み手によっては不要な情報です。そして、論文の全体を読むときは、Abstractを手元に置きつつ対比させながら読んでいくスタイルがよい。こういうコツってなかなか医療従事者の中で継承されていきません。誰も教えてくれないし、教えようともしない。私も英語論文を読み始めて何年か経ってようやく分かってきたレベルです。

 無数の医学論文に目を通してきた岩田先生が「読むノウハウ」を一冊に濃縮させて書いておられるわけですから、今の若手医療従事者って心底羨ましいなぁと思います。研修医の頃にこういう本があれば、私ももうちょっとたくさん論文を読めていただろうに。英語論文って、最初はみんな苦労しますよね。通過儀礼みたいな感じで、しんどい。それを「ねころんで」体得できるのならば、これほどありがたいことはありません。





# by otowelt | 2018-09-17 00:37 | 呼吸器その他

COPDに対するRPL554の追加的効果

e0156318_1633480.jpg COPDの専門家の間では、RPL554はかなり注目されている吸入薬の1つです。

Dave Singh, et al.
The short term bronchodilator effects of the dual PDE3 and PDE4 inhibitor RPL554 in COPD
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.01074-2018


背景:
 150mLを超える気道可逆性を有するCOPD患者において、他の気管支拡張薬と併用した場合のRPL554(ホスホジエステラーゼ3および4阻害薬)の短期気管支拡張効果を検証すること。

方法:
 Study 1:6アームのプラセボ対照クロスオーバー試験(36人)でRPL554 6mg、サルブタモール200μg、イプラトロピウム40μg、RPL554+サルブタモール、RPL554+イプラトロピウム、プラセボの効果を比較。
 Study 2:③アームのプラセボ対照クロスオーバー試験(30人)で、チオトロピウム18μgに、RPL554(1.5mgあるいは6mg)あるいはプラセボを加えた効果を比較(3日間)。

結果:
 Study 1:プラセボと比較したピーク1秒量は、RPL554、イプラトロピウム、サルブタモールは同等だった(平均223mL, 199mL, 187mL)。またピーク1秒量の上乗せの効果は、RPL554+イプラトロピウム vs イプラトロピウム(平均差94mL、p<0.0001)、RPL554+サルブタモール vs サルブタモール(平均差108mL、p<0.0001)だった。
 Study 2:RPL554はプラセボと比較してピーク1秒量を増加させた。平均1秒量(0-12h)上昇は、RPL554 6mg群だけでプラセボと差がみられた(平均差65mL、p=0.0009)。
 いずれの研究においても肺容量および気道コンダクタンスはRPL554を併用することが改善がみられた。

結論:
 通常の気管支拡張薬に加えてRPL554を併用することで、追加的な気管支拡張効果と過膨張抑制効果が観察された。



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# by otowelt | 2018-09-14 00:39 | 気管支喘息・COPD

燃焼式たばこと加熱式たばこの尿中物質比較

e0156318_14441648.jpg 個人レベルでは、燃焼式たばこを吸うよりは長期的にはマシだという立場は変えていません。もちろん、禁煙するのが一番ですが。
 たばこの敷居が低くなり(ゲートウェイ効果)、周囲の若者に悪影響を与える土壌を作るという批判はまっとうだと思いますし、賛成です。
 いずれにしても、現時点でリスク低減たばこ製品(MRTP: Modified Risk Tobacco Product)として認められていないのが加熱式たばこ。

Gale N, et al.
Changes in Biomarkers of Exposure on Switching From a Conventional Cigarette to Tobacco Heating Products: A Randomized, Controlled Study in Healthy Japanese Subjects.
Nicotine Tob Res. 2018 Jun 15. doi: 10.1093/ntr/nty104. [Epub ahead of print]


背景:
 喫煙は呼吸器疾患、心血管疾患、がんを含むあらゆるヒトの疾患の原因となっている。これはたばこの煙に含まれる様々な毒性物質が原因である。たばこからリスク低減たばこ製品(MRTP: Modified Risk Tobacco Product) にスイッチすることは、たばこによるリスクを減らす潜在的意義があることが支持されている。

方法:
 これは、通常の燃焼式たばこから加熱式たばこ(glo, iQOS)にスイッチすることによって、特定の物質の暴露がどのように変化するかしらべたものである。180人の日本人喫煙者が2日間燃焼式たばこを吸うベースライン期間を設けられ、それに引き続く5日間、喫煙を継続する群、gloにスイッチする群、iQOSにスイッチする群、禁煙する群にランダムに割り付けられた。ベースラインあるいはランダム化24時間後の尿検査が行われた。一酸化炭素は呼気で計測された。

尿中測定物質:
・total nicotine equivalents(TNeq; nicotine, cotinine, 3-hydroxycotinine, and their glucuronide conjugates)
・total 4-(methylnitrosamino)-1-(3-pyridyl)-1-butanol(NNAL)
・total N-nitrosonornicotine (NNN); 3-hydroxypropylmercapturic acid (3-HPMA)
・3-hydroxy-1-methylpropylmercapturic acid (HMPMA)
・S-phenylmercapturic acid (S-PMA)
・monohydroxybutenyl-mercapturic acid (MHBMA)
・2-cyanoethylmercapturic acid(CEMA)
・4-aminobiphenyl (4-ABP)
・o-toluidine (o-Tol)
・2-aminonaphthalene(2-AN)
・1-hydroxypyrene (1-OHP)
・2-hydroxyethylmercapturic acid (HEMA)
・N-acetyl-S-(2-carbamoylethyl)cysteine(AAMA)
・N-acetyl-S-(2-hydroxy-2-carbamoylethyl)cysteine(GAMA)

結果:
 スイッチしてから5日後、尿中のニコチンを含む物質および呼気一酸化炭素は燃焼式たばこと比較してそれ以外の群で有意に減少していた(p<0.05)。多くの場合、gloと禁煙群で同等の減少を示した。
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(文献より引用)

結論:
 5日間のgloあるいはiQOSの使用は、従来の燃焼式たばこと比較して毒性物質の暴露を減少させた。



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# by otowelt | 2018-09-13 00:04 | 呼吸器その他

肺癌はCPFE急性増悪のリスク

e0156318_16573847.png 想定通りの結果と言えそうですね。

Oh Jee Youn, et al.
Presence of lung cancer and high gender, age, and physiology score as predictors of acute exacerbation in combined pulmonary fibrosis and emphysema: A retrospective study
Medicine: August 2018 - Volume 97 - Issue 31 -p e11683


背景:
 CPFEの患者は急性増悪のため頻繁に病院を受診する。しかしながら、CPFE急性増悪についてはいまだ報告が少ない。そこで、われわれはCPFE患者の急性増悪を予測する因子を調べた。

方法:
 後ろ向きに韓国大学九老病院の12年間の診療録をレビューした。胸部CTにおいてCPFEと診断された患者を選択した。入院を要する呼吸困難の悪化と新たに出現した胸部画像所見を急速悪化と定義した。急性増悪は、呼吸器感染症やその他原因が同定できない肺浸潤影を呈する急速悪化と定義した。われわれは、CPFE患者の年齢、性別、喫煙歴・喫煙量、BMI、既往歴、肺機能検査、性別、年齢、GAPスコア、肺癌の存在について調べた。

結果:
 227人のCPFE患者のうち、108人が急速悪化、31人が急性増悪を経験した。急速悪化のもっともよくみられた原因は感染症(60人、55.6%)だった。肺癌(ハザード比3.274、95%信頼区間1.072-1.918、p=0.02)は急性増悪の有意な予測因子だった。肺癌の存在とCPFE急性増悪は有意な死亡予測因子だった。

結論:
 肺癌を合併したCPFE患者、GAPスコアの高いCPFE患者では急性増悪に注意が必要である。



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# by otowelt | 2018-09-12 00:45 | びまん性肺疾患