HOmeVentレジストリ:COPD患者における高炭酸ガス血症の頻度

e0156318_1633480.jpg だいたい全体の2割程度ということですね。個人的にはもうちょっと少ないと思っています。

Dreher M, et al.
Prevalence Of Chronic Hypercapnia In Severe Chronic Obstructive Pulmonary Disease: Data From The HOmeVent Registry.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Oct 18;14:2377-2384.


背景:
 非侵襲性換気(NIV)は、慢性II型呼吸不全のCOPD患者の生存とQOLを改善させることが示されている。しかしながら、慢性高炭酸ガス血症を有するCOPD患者の頻度はよくわかっておらず、どのような患者に多いかも不透明である。HOmeVentレジストリは、外来COPD患者において慢性高炭酸ガス血症の頻度を調べ、それを予測する因子を評価するために開始された。

方法:
 HOmeVentは、GOLD stage 3あるいは4のCOPD患者を含む多施設共同前向き観察研究である。ルーチンの外来業務から適格患者を登録した。血液ガス分析、肺機能検査、QOLアセスメントがおこなわれた。
 急性増悪例は除外された。

結果:
 ドイツの10の外来クリニックから231人のCOPD患者が登録された(GOLD stage 3が135人[58%]、GOLD stage 4が96人[42%])。21%が在宅酸素療法を受けていた。
 全体で58人(25%)がPaCO2≧45mmHgだった。そのうち、20人(9%)がPaCO2≧50mmHgだった。GOLD stage 4のほうがstage 3よりも高炭酸ガス血症を有する頻度が高かった。BMI高値、努力性肺活量低値、重炭酸値高値は、高炭酸ガス血症をよく予測した。NIVを受けている患者は、全体の6%で、高炭酸ガス血症のある患者の22%だった。PaCO2レベルはQOLに影響を与えなかった。
e0156318_2325189.png
(高炭酸ガス血症の予測因子:文献より引用)

結論:
 GOLD stage 3および4のCOPD患者において、高炭酸ガス血症の頻度を知ることで、長期在宅NIV治療が適用されるべき症例を同定できるかもしれない。




# by otowelt | 2019-11-22 00:57 | 気管支喘息・COPD

本の紹介:ブラッシュアップ敗血症

 有名な先生なので、もちろん名前は存じ上げていましたが、献本いただけるとは思いもせず!ありがとうございます。

e0156318_12511132.png

発売日:2019年10月3日
単行本 : 216ページ
価格 : 3,520円 (税込)
出版社 : 中外医学社
著者 : 近藤 豊先生

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する
 
 改めて近藤先生の経歴を見てみると、ーーこう書くと失礼かもしれませんがーー、敗血症の申し子のような先生だなと思いました。救急の現場とアカデミアの両方をとことん追究し、現在にいたります。
 敗血症は、理論的な部分が難しく、ガイドラインもなかなかハードルが高いです。よくぞ、ここまで噛み砕いて書かれたなと感動しました。

e0156318_12594917.jpg
 ときおり出てくるリサーチクエスチョンに自ら答える形で、現在わかっているエビデンスを丁寧に解説されています。そして、文中に何度か登場する言葉ですが、敗血症診療の「まだわかっていない」「正解がない」部分を踏まえた上で、筆者なりの考え方が書かれています。

e0156318_130067.jpg
 新しい敗血症治療についても触れられており、救急・ICUをローテートする研修医と臨床バリバリの中堅医師に満足できる仕上がりになっています。読み物としての完成度は極めて高いと思います。

 後半のAIのくだり、面白かったです。AIが登場すると、おそらく画像診断などデータベース化されている業種は加速度的に淘汰がすすむと思いますが、救急だけでなく、私のいる急性期呼吸器領域ではこれからどうなっていくでしょうか。

 まえがきに書かれている言葉が心に染みます。「筆者は救急医として働いている間は挑戦することを止めない」。うーん、私は現在何に挑戦できているだろうか。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ブラッシュアップ敗血症 [ 近藤豊 ]
価格:3520円(税込、送料無料) (2019/11/19時点)



■「呼吸器内科医」はm3を応援しています!新規登録で3,000円相当ポイント進呈!
e0156318_8184968.png

# by otowelt | 2019-11-20 00:47 | その他

メタアナリシス:胸膜クライオバイオプイシーの診断精度

e0156318_16292292.jpg 肺野のTBLBと違って、胸腔鏡でごっそり取れやすいので、敢えてクライオにしなくても・・・という結論です。びまん性肺疾患の分野では1検体あたりの大きさが問われますが、胸膜疾患ではそこまで配慮しなくてもよさそうです。

Shafiq M, et al.
Pleural Cryobiopsy - A Systematic Review and Meta-Analysis.
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.09.023


背景:
 外科的あるいは内科的胸腔鏡下胸膜生検は、現在の胸膜生検のゴールドスタンダードであり、高い診断率を誇るが完璧とは言えない。クライオバイオプシーは、組織検体量が多く、深達度が深く観察でき、組織の挫滅アーティファクトが減少できる。しかしながら、その診断能は不透明であり、安全面についても懸念が残る。われわれは、システマティックレビューとメタアナリシスをおこなった。

方法:
 われわれは、胸膜生検のパフォーマンスを評価した研究をMEDLINE, EMBASE, Google Scholarから抽出し、QUADAS-2を用いて質を評価した。逆分散重み付けにより、診断能のメタアナリアシスをおこなった。検体の特徴や処置に関連した合併症についてもレビューした。

結果:
 7つの観察研究から586の胸膜生検が登録された(クライオバイオプシー311検体、胸腔鏡下鉗子生検275検体)。1つ以外のすべての研究が、semi-rigid胸腔鏡を用いていた。メタナアナリシスでは、クライオバイオプシーの診断能は96.5%、胸腔鏡下鉗子生検では93.1%だった(オッズ比1.61 、95%信頼区間0.71–3.66、I2=16%)。中等症から重症の出血例はクライオバイオプシ―群で観察されなかった。funnel plotでは出版バイアスは有意でなかった。
e0156318_16234196.png
(診断精度:文献より引用)

結論:
 均一な観察研究データに基づいた解析では、胸膜クライオバイオプシーは安全だが、胸腔鏡下鉗子生検と比較して診断能を上昇させるものではない。適切な検出力による多施設共同ランダム化比較試験が望まれる。







■「呼吸器内科医」はm3を応援しています!新規登録で3,000円相当ポイント進呈!
e0156318_8184968.png

# by otowelt | 2019-11-19 00:16 | 呼吸器その他

IPFにおける肺結核の臨床的特徴

e0156318_9552565.jpg 当院でも時に経験しますが、なかなか発見が難しいです。個人的には10~20例ほど経験したことがあり、ステロイドが継続的に入っているケースが多かったです。

Lee YH, et al.
Clinical and radiological features of pulmonary tuberculosis in patients with idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Investigation, https://doi.org/10.1016/j.resinv.2019.08.001


背景:
 特発性肺線維症(IPF)患者における肺結核の放射線学的および臨床的特徴に関するデータは限られている。そのため、この研究ではIPF患者における肺結核の臨床的・放射線学的特徴を調べることを目的とした。

方法:
 韓国の慶北大学校病院において、IPF患者、非IPF患者の両集団で肺結核の臨床的・放射線学的因子を後ろ向きに比較した(2001年1月から2017年9月にIPFと診断された症例)。胸部CT所見について、IPF+結核患者と非IPF+肺非結核性抗酸菌症患者の2群で比較した。

結果:
 609人のIPF患者のうち、28人(4.6%)が肺結核と診断された。IPFの肺結核患者では、偶発的に放射線学的異常を指摘されるという経緯が最も多く、IPF診断時に半数が同定された。そのほかは、IPFの経過中に肺結核を発症することが多かった。IPF診断から肺結核発症までの期間中央値は1.5ヶ月だった。IPF診断後に肺結核と診断された13人のうち、6人(46.1%)がステロイドあるいは免疫抑制剤治療中に肺結核を発症した。
 IPFの肺結核の治療成功率は、非IPFの肺結核より有意に低かった。結核菌の薬剤感受性には、IPF-非IPF間で差はなかった。
 胸部CT写真は、IPFの肺結核患者では、非IPFの肺結核患者よりも、既存の結核病巣の再活性化の頻度が低かった。IPFの肺結核患者では、小葉中心性結節が少なく、コンソリデーション主体の陰影が多かった。IPFの肺結核患者とIPFの肺非結核性抗酸菌症患者では、画像所見は同様だった。コンソリデーションは、蜂巣肺にオーバーラップして存在することが多かった。
e0156318_1363695.png
(IPFの肺結核患者と非IPFの肺結核患者の画像所見の違い:文献より引用)

結論:
 IPF患者における肺結核は、偶発的に胸部画像異常を指摘されて発見されることが多い。画像所見は通常とは異なり、アウトカムも不良である。





# by otowelt | 2019-11-18 00:52 | 抗酸菌感染症

ラーメン店舗数が多い都道府県では脳卒中死亡率が高い

e0156318_15564137.png SNSで少し話題になっていたので読んでみました。
 ラーメンの種類や系統までの解析はしていないので、何ラーメンが危ないのかという議論は難しいかもしれません。

Matsuzono K, et al.
Ramen restaurant prevalence is associated with stroke mortality in Japan: an ecological study
Nutr J 18, 53 (2019) doi:10.1186/s12937-019-0482-y


背景:
 脳卒中と栄養の関係が近年調査されてきた。しかし、日本における食事と脳卒中の関係は明らかにされていない。われわれは、ラーメンの消費と脳卒中の死亡率に関連があると仮説を立てた。それを検証すべく、日本の都道府県におけるラーメン店の数と脳卒中死亡率との関連を調査した。

方法:
 ピアソンの相関係数を用いて、4種類のレストラン(ラーメン、ファストフード、フレンチまたはイタリアン、うどんまたはそば)のそれぞれの店舗数と、各都道府県の年齢・性別を調整した脳卒中死亡率との関連を評価した。また、コントロールとして、急性心筋梗塞と各レストランとの相関関係も調査した。日本で発表された2017年の国民保険データの動向から、各都道府県の年齢・性別を調整した脳卒中死亡率と急性心筋梗塞死亡率を取得した。各都道府県の各レストラン店舗数に関するデータは、NTTのデータベースから取得した。

結果:
 その他のタイプのレストランでは有意差はなかったが、ラーメン店に関しては男女ともに地域脳卒中死亡率と有意に相関していた(r> 0.5)。東北地方と九州南部の脳卒中死亡率が高かった。近畿地方では脳卒中死亡率が低かった。また、ラーメン店舗数と心筋梗塞の死亡率の間には関連はなかった。
e0156318_15421772.png
(各都道府県の脳卒中とラーメン店舗)

e0156318_15472242.png
(文献より引用)

結論:
 日本では、都道府県のラーメン店の数は、脳卒中死亡率と有意な相関がある。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ブラッシュアップ敗血症[本/雑誌] / 近藤豊/著
価格:3520円(税込、送料別) (2019/11/15時点)



■「呼吸器内科医」はm3を応援しています!新規登録で3,000円相当ポイント進呈!
e0156318_8184968.png

# by otowelt | 2019-11-17 00:22 | 内科一般