カテゴリ:抗酸菌感染症( 191 )

QFT-Plus初回陰性の落とし穴?

e0156318_1302985.jpg これは・・・っ!

石井明日菜ら.
クォンティフェロン®TBゴールド検査の判定保留者に対して実施したT- スポット®.TB検査結果からの一考察
Kekkaku Vol. 94, No. 5 : 367-371, 2019


目的:
 QFT-Plus では判定基準から判定保留がなくなるため,検査結果の判断やその後の対応について保健所での混乱が予想される。そこで,埼玉県内の保健所で実施した,法令に基づく接触者健診におけるQFT-3G およびT-SPOT 検査結果を比較検討し,従来の判定保留の対応について考察した。

対象および方法:
 2014 年4 月から2018 年3 月に依頼があった接触者健診の受検者について,初回のQFT-3G検査で判定保留だった者のうち,再検査としてT-SPOT 検査を実施した465 人を対象として,両検査結果を比較した。

結果:
 QFT-3G 検査結果が判定保留だった465 人のうち,342 人がT-SPOT 検査で陰性となったが,59 人は陽性となった。

考察:
 QFT-Plus では判定基準から判定保留がなくなるため,T-SPOT 検査で陽転した59 人はQFT-Plus 導入後,初回のQFT-Plus 検査で陰性と判定され,感染・発病のリスクがある受検者を見落とす危険性がある。従来の判定保留にある場合は,より慎重な総合的判断が重要である。

結論:
 判定基準の変更に伴い,従来の判定保留の対応に関する方針が示されることが望まれる。


by otowelt | 2019-06-11 00:15 | 抗酸菌感染症

NTM診断における気管支鏡の役割

e0156318_2257030.png 着眼点が実臨床的ですごいなと思いました。

角谷拓哉ら.
非結核性抗酸菌感染症疑いの気管支鏡検査で同菌が検出されなかった症例の経過について
日呼吸誌, 8(2): 91-96, 2019


背景:
 NTMに対する気管支鏡検査の有用性は確立しているが,特徴的な画像所見を呈していながら,気管支鏡
検査を行ってもNTM が検出されない症例をしばしば経験する.このような症例が,その後どのような経過をたどるか検討された報告はない。

方法:
 2006~2010 年に聖隷三方原病院呼吸器センターを受診し,胸部CT 画像で結節性陰影,小結節性陰影や分枝状陰影の散布,均等性陰影,空洞性陰影,気管支または細気管支拡張所見のいずれかを呈しNTM症が疑われたが,喀痰検査による診断がつかず,気管支鏡検査を施行した110 例のうち,気管支鏡検査にてNTM症と診断された28例を除き,残り82例のなかで気管支鏡検体の塗抹,PCR,培養検査がすべて陰性かつ,気管支鏡検査後2 年以上の経過が観察可能であった52例を対象として,陰影の推移や症状の変化,排菌の有無を後ろ向きに検討した。

結果:
 全52例のうち症状または画像が悪化した症例は13例,いずれの悪化も認めなかった症例は39例あり,それぞれの背景として年齢は中央値(範囲)で64(26~72)歳/63(39~81)歳,性別は女性が6 例(46%)/28 例(72%),有症状受診例は8 例(62%)/12 例(31%)であり,いずれの悪化も認めなかった症例で女性が多い傾向であった.症状または画像が悪化した症例のなかで症状の悪化は6 例(46%),画像の悪化は12 例(92%),いずれも悪化した症例は5例(38%)であった.6 例(46%)で気管支鏡が再検されており,9 例(69%)で喀痰検査が再検されていた.
 いずれの悪化も認めなかった39 例では,7 例(18%)で気管支鏡が再検され,17 例(44%)で喀痰検査の再検が行われていたが,喀痰検査が再検された2 例より,後にNTM が検出されていた.

結論:
 経過中に症状/画像が不変であった症例ではその後,気管支鏡が再検された症例は少なく明確なことは言えないが,症状/画像が悪化した症例のうち約半数(6/13例,46%)で気管支鏡が再検されており,NTM の検出はなかった.このことから初回に気管支鏡検査を施行し,NTM の検出がなければ,経過中に症状/画像が悪化し気管支鏡を再検してもNTMが検出される可能性は低いかもしれない.喀痰で陽性とならなければNTM症以外の病態を考える必要があるかと思われた.


by otowelt | 2019-04-29 00:42 | 抗酸菌感染症

実臨床におけるLTBIの意義

e0156318_1302985.jpg 学会誌の論文を2連発で紹介しますが、めちゃくちゃ重要な知見です。LTBIやるとやらないの発病率の差がかなり参考になりますね。

松本 健二ら.
接触者健診における二次患者の発生状況とLTBI治療成績
Kekkaku Vol. 94, No. 2 : 21_26, 2019


目的:
 接触者健診における二次患者の発生と潜在性結核感染症(LTBI)治療成績を検討する。

方法:
 2011~2015 年,大阪市保健所が実施した接触者健診のQFT-3G(QFT)陽性例を対象とした。二次患者の発生とLTBI 治療適用の有無を検討し,LTBI 治療適用例は治療成績と発病の有無を検討した。

結果:
 QFT 実施は6486 例でQFT 陽性は871 例。LTBI 治療適用ありは697 例で,治療成績は完了480 例,中断73 例,未治療81 例であった。2 年以内の発病率は完了0.8%,中断2.7%,未治療8.6% であり,治療成績と発病率に有意差が認められた(p<0.01)。LTBI 治療適用なしは174 例で,理由はQFT陽性判明と同時期に発病判明70 例,既感染と診断13 例等であった。二次患者は84 例で,発病を認めなかったQFT 陽性例に比べ,初発患者の咳の期間3 カ月以上と有空洞の割合が有意に高かった(p<0.05)。

結語:
 二次患者は初発患者の感染性が高く,その発見はQFT 陽性判明と同時期が多く,LTBI治療の時機を逸していたが,LTBI 治療完了例では発病率が有意に低かったため早期発見が重要と考えられた。





by otowelt | 2019-04-18 00:09 | 抗酸菌感染症

喀痰以外の検体における結核菌LAMP

e0156318_1302985.jpg 実臨床的な報告です。

吉多仁子ら.
胃液・気管支鏡・胸水などの検体を用いた核酸増幅検査Loopamp 結核菌群検出試薬キット(TB-LAMP)の検討
Kekkaku Vol. 94, No. 2 : 15_20, 2019


目的:
 喀痰以外の検体を用いた核酸増幅検査Loopamp 結核菌群検出試薬キット(TB-LAMP)を検討したので報告する。

対象:
 2014 年8 月から2018 年3 月の間にTB-LAMP を実施した喀痰以外の検体は996 検体。このうちMGIT が結核菌群(結核菌)陽性の胃液29 検体,気管支鏡検体(BAL)10 検体,胸膜組織3 検体,肺組織2 検体,胸水6 検体,腹水2 検体,膿3 検体,耳漏1 検体の計56 検体と,TB-LAMP 陽性・MGIT 陰性の胃液1 検体,胸水2 検体,膿4 検体,肺組織1 検体の計8 検体を対象とした。

結果:
 MGIT 陽性56 検体中のTB-LAMP の陽性率は83.9%(47/56 検体),平均陽性検出時間は18分55秒。塗抹別では塗抹陽性が陽性率100%(12/12検体),平均陽性検出時間は14分51秒。塗抹陰性陽性率は79.5%(35/44 検体),平均陽性検出時間は19 分41 秒。MGIT 培養陰性8 検体の平均陽性検出時間は17 分05 秒で活動性結核と診断された患者からの検体であった。

まとめ:
 TB-LAMPは喀痰以外の検体に対しても有用であることが分かった。





by otowelt | 2019-04-17 00:38 | 抗酸菌感染症

肺kansasii症に対するマクロライド含有レジメンの有効性

e0156318_21415744.jpg 10年くらい後ろ向きにみると、もっと症例集まる病院がたくさんあると思うのですが、誰かやらないんですかね(他力本願)。当院ではカンサシ症に対してはイソニアジド+リファンピシン+エタンブトールを培養陰性から1年継続するレジメンを採用しています。
 なんか自然治癒する例もありそうなんですけど、今の時代、さすがにプラセボ群は設定できないですよね。

Moon SM, et al.
Treatment with a macrolide-containing regimen for Mycobacterium kansasii pulmonary disease.
Respir Med. 2019 Mar;148:37-42.


背景
 Mycobacterium kansasiiは、肺非結核性抗酸菌症に関連した主要な病原菌である。肺M. kansasii症に対する治療として、イソニアジド、リファンピシン、エタンブトールの毎日の内服が推奨されている。イソニアジドの代替としてマクロライド含有レジメンが近年推奨されているが、それを支持するデータは限られている。われわれは、肺M. kansasii症患者においてマクロライド含有レジメン(マクロライド群)とイソニアジド含有レジメン(イソニアジド群)を比較した。

方法:
 2002年1月から2016年12月までに合計49人の患者が同定された。イソニアジド群(24人)およびマクロライド群(25人)が比較された。

結果:
 ベースラインの患者特性は両群同等だった。良好な転帰については、イソニアジド群(19人、79%)、マクロライド群(22人、88%)ともに有意差はなかった(p=0.463)。総治療期間(中央値17.9ヶ月 vs 15.4ヶ月、p=0.712)および菌陰性化までの期間(中央値2.0ヶ月 vs 1.2ヶ月、p=0.838)は両群同等だった。
 非空洞性肺M. kansasii症患者5人において、週3回の間欠的なマクロライド含有レジメンで12ヶ月未満の治療で菌陰性化が達成された。イソニアジド群で1人のみが肺M. kansasii症を再発した。

結論:
 肺M. kansasii症の治療においてマクロライド含有レジメンはイソニアジド含有レジメンと同等の効果である。加えて、マクロライド含有間欠的レジメンも、非空洞性肺M. kansasii症に対して代替治療オプションになりうる。


by otowelt | 2019-03-29 00:25 | 抗酸菌感染症

STREAM試験:リファンピシン耐性結核に対する短期レジメン

e0156318_1302985.jpg 日本ではモキシフロキサシンではなくレボフロキサシンが使用されますが、耐性結核に対する治療が短期化されるためには、いろいろハードルがあります。

Andrew J. Nunn, et al.
A Trial of a Shorter Regimen for Rifampin-Resistant Tuberculosis
NEJM, March 13, 2019, DOI: 10.1056/NEJMoa1811867


背景:
 バングラデシュにおけるコホート研究では、多剤耐性結核患者において2011年WHOが推奨したレジメンよりも短い期間で既存薬の投与により良好な治癒率を示すことができた。

方法:
 われわれは、フルオロキノロンとアミノグリコシドに感受性のあるリファンピシン耐性結核患者における第3相非劣性試験を実施した。患者はランダムに2:1の割合で、高用量モキシフロキサシンを含む短期レジメン(9~11ヶ月)あるいは2011年WHOガイドラインに準拠した長期レジメン(20ヶ月)に割り付けられた。プライマリ効果アウトカムは、132週時点における良好なステータスとされ、132週時点での培養および試験期間中の培養でMycobacterium tuberculosisが陰性で、不良なアウトカム(割り付けレジメンに含まれない2剤以上による治療の開始、許容期間を超える治療の延長、死亡、直近の2つの検体のうち1つで培養陽性、76週以降の受診がない)がないことと定義された。群間差の95%信頼区間の上限値が10%以下の場合、非劣性と判定した。

※高用量モキシフロキサシン、クロファジミン、エタンブトール、ピラジナミドを40週間。これにカナマイシン、イソニアジド、エチオナミドを初期16週間加える。
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( Supplementary Appendixより引用)

結果:
 ランダム化された424人のうち、383人が修正ITT集団に組み入れられた。良好なステータスは、長期レジメン群の79.8%、短期レジメン群の78.8%にみられ、HIV感染で補正した群間差は1.0(95%信頼区間-7.5~9.5)であり、非劣性が示された(非劣性:p=0.02)。また、per-protocol集団においても、短期レジメン群の長期レジメン群に対する非劣性が観察された(補正群間差:-0.7%、95%信頼区間-10.5~9.1、非劣性:p=0.02)。グレード3以上の有害事象は長期レジメン群の45.4%、短期レジメン群の48.2%にみられた。短期レジメン群で、QT間隔または補正QT間隔(Fridericia法)の500msecまでの延長が多く認められたため(11.0% vs.6.4%、p=0.14)、厳重なモニタリングとともに、一部の患者では薬剤調整が実施された。短期レジメン群の8.5%が死亡し、長期レジメン群の6.4%が死亡した。フルオロキノロンあるいはアミノグリコシドに対する耐性獲得はそれぞれ3.3%、2.3%に起こった。

結論:
 フルオロキノロンとアミノグリコシドに感受性のあるリファンピシン耐性結核の患者では、短期レジメンは長期レジメンにプライマリ効果アウトカムが非劣性であり、安全性の観点では同等だった。

by otowelt | 2019-03-28 00:06 | 抗酸菌感染症

空洞を残した肺結核治癒痕は続発性肺アスペルギルス症のリスク

e0156318_1443174.png HIV感染率の高い集団(登録者の50%)を想定しているので、解釈には注意が必要です。

Page I, et al.
Chronic pulmonary aspergillosis commonly complicates treated pulmonary tuberculosis with residual cavitation
Eur Respir J 2019; in press (https://doi.org/10.1183/13993003.01184-2018).


背景:
 慢性肺アスペルギルス症(CPA)は、陳旧性肺結核に合併し、高い5年死亡率を有する。われわれはこの集団におけるCPAの有病率を調べた。

方法:
 肺結核を治療された398人のウガンダ人に対して、臨床的アセスメント、胸部レントゲン写真、アスペルギルス特異IgG抗体を調べた。285人が2年後に胸部CTを含む検査で再評価され、73人がCPAを疑われた。CPAは、アスペルギルス特異IgG抗体が陽性で、CPAの放射線学的特徴を有し、慢性咳嗽や血痰などがある患者で、活動性結核の再発がない場合に診断された。

本研究におけるアスペルギルス診断基準項目:
 ①咳嗽あるいは血痰が1ヶ月以上続く
 ②アスペルギルス特異IgG抗体陽性
 ③GeneXpertで結核菌が陰性
 ④胸部CTで空洞近傍の線維化あるいは真菌球がみられる、あるいは連続した胸部レントゲン写真で空洞が進行(新規空洞あるいは既存空洞が悪化)

結果:
 著者が定義したCPAは、再評価で14人(9.5%)にみられた(95%信頼区間2.8-7.9%)。CPAは胸部レントゲン写真で空洞がみられた患者に有意に観察された(26% vs 0.8%、p<0.001)が、おそらくHIV感染合併患者にはCPAは少なかった(3% vs. 6.7%, p=0.177)。新規のCPA年間発生率は、胸部レントゲン写真で空洞がみられた患者で6.5%、そうでない患者で0.2%だった(p<0.001)。
 胸部レントゲン写真で空洞がなく、胸膜肥厚がみられる場合、CPAの陰性適中率は100%だった(感度100%、特異度78.2%)。アスペルギルス特異IgG抗体上昇、慢性咳嗽あるいは血痰、胸部レントゲン写真における空洞の組み合わせは、CPA診断に対して感度85.7%、特異度99.6%(陽性適中率92.3%、陰性適中率99.3%)だった。

結論:
 胸部レントゲン写真で空洞を残した肺結核治癒にはCPAが高頻度に合併する。胸部レントゲン写真のみでもCPAの除外が可能である。血清学的検査の追加は、妥当な精度でCPAを診断することができる。





by otowelt | 2019-03-22 00:53 | 抗酸菌感染症

認知症合併は肺結核の死亡リスク

e0156318_1302985.jpg 実臨床に即した論文です。

Saiki M, et al.
Coexistence of dementia with smear-positive pulmonary tuberculosis is associated with patient in-hospital mortality
Respiratory Investigation, online 11 February 2019


背景:
 肺結核患者の生存期間に認知症が与える影響は不明である。この研究は、認知症を合併した肺結核患者の院内死亡率に影響を与えるリスク因子を記述しようとしたものである。

方法:
 新規に塗抹陽性で、HIV感染症を伴わない非多剤耐性結核と診断された成人入院患者において、9年におよぶ診療録ベースの後ろ向き研究が実施された。臨床所見、生化学的検査、放射線学的所見、臨床アウトカムが収集された。因子を各グループで比較した。統計学的に有意(p<0.05)な因子は多変量ステップワイズロジスティック回帰モデルに組み込んだ。生存解析は、Kaplan-Meier法によっておこなわれ、log-rank testによって群間比較された。

結果:
 279人の患者(178人が男性、年齢中央値76歳)のうち、認知症は64人(22.9%)にみられた。全体での死亡率は12.2%(279人中34人)だった。認知症を有して生存退院したのは、245人中42(17.1%)であり、認知症を有して死亡したのは34人中22人(64.7%)にのぼった。単変量解析では院内で死亡した患者では認知症の頻度が高かった。多変量ステップワイズロジスティック回帰分析では、認知症は院内死亡の高さと有意に関連していた(オッズ比率3.20、95%信頼区間1.15-8.88、p=0.026)。そのほか、年齢(オッズ比1.07、95%信頼区間1.01-1.13、p=0.0024)、呼吸不全(オッズ比5.63、95%信頼区間1.15-8.88、p<0.001)、ADL(オッズ比2.14、95%信頼区間1.10-4.16、p=0.025)などが有意に関連していた。
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(文献より引用:多変量解析)

 加えてサブグループ生存曲線では、年齢で補正しても、認知症は生存率減少と関連していた(log-rank test, p=0.0007)。
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(文献より引用:Kaplan-Meier曲線)

結論:
 肺結核に合併した認知症は、患者の院内死亡率と関連していた。医療従事者は、塗抹陽性肺結核患者の高い死亡率集団を同定するために認知症に注意すべきである。
 




by otowelt | 2019-03-04 09:24 | 抗酸菌感染症

日本人の多剤耐性結核患者に対するベダキリン併用

e0156318_13203583.jpg 当院の上司のベダキリンについての論文です。

Tsuyuguchi K, et al.
Safety, efficacy, and pharmacokinetics of bedaquiline in Japanese patients with pulmonary multidrug-resistant tuberculosis: An interim analysis of an open-label, phase 2 study
Respiratory Investigation, In press, corrected proof, Available online 7 February 2019


背景:
 ベダキリンは、結核菌の ATP (アデノシン5'-三リン酸)合成酵素を特異的に阻害する新しい作用機序のジアリルキノリンであり、アメリカやEUを含む50ヶ国で成人の多剤耐性肺結核(pMDR-TB)に対して承認されている。

方法:
 この研究は、成人pMDR-TB日本人患者におけるベダキリンの安全性、有効性、薬物動態を評価するため実施した。この研究では、患者は個別のバックグラウンドレジメンにベダキリンを24週間以上併用された(最大48週間)。有効性は、ベダキリン開始から喀痰培養陰性化までの期間とした。

結果:
 治療関連有害イベント(TAEAs)は調査段階で6人中5人(83.3%)に観察された(ベダキリン投与期間+1週間)。1人を超えるTEAEsが観察されたのは、肝機能異常(6人中4人)、感覚異常(6人中3人)、鼻咽頭炎、面皰、悪心(それぞれ6人中2人)だった。QT延長は1人(13.3%)にみられた。治療中断に陥ったTEAEsはなかった。喀痰培養陰性化までの期間は14-15日だった。
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(文献より引用:喀痰培養陰性化までの日数)

 血清ベダキリンCmaxはベダキリン投与から4~6時間で達成され、AUC24hは2週時点で50637~107300 ng*h/mL(5人)で、24週時点で58513~77148 ng*h/mL(2人)だった。

結論:
 24週以上におよぶバックグラウンドレジメンにベダキリンを併用された患者で、あらたな安全性懸念は生じなかった。また喀痰培養陰性化が投与後早期にみられた。少なくとも24週間にわたる多剤レジメンの一部として、ベダキリンの併用が日本人の成人pMDR-TB患者にとって適切な治療法であることを示唆している。


by otowelt | 2019-02-14 00:35 | 抗酸菌感染症

LTBIに対するリファペンチン+イソニアジドの3ヶ月レジメン

e0156318_1302985.jpg HIV感染・非感染がややヘテロな解析ですが、3HPが標準になるとよいですね。ちなみにリファペンチンは日本では使えません。

Hamada Y, et al.
Three-month weekly rifapentine plus isoniazid for tuberculosis preventive treatment: a systematic review
Int J Tuberc Lung Dis. 2018 Dec 1;22(12):1422-1428.


背景:
 結核(TB)の予防的治療を適用しても依然として不十分な状況である。リファンペンチン(RPT)とイソニアジド(INH)の3ヶ月レジメン(3HP)はその規模を容易に拡大できるかもしれない。われわれは、6ヶ月あるいは9ヶ月のINH単独治療と比較した3HPの効果をアセスメントするため、システマティックレビューをおこなった。

方法:
 われわれは、ランダム化比較試験を同定するため、PubMed、Embase、the Web of Science、Cochrane Central Register of Controlled Trialsデータベースを検索した。可能であればランダム効果モデルを用いてデータをプールした。

結果:
 4研究が組み込まれた。そのうち、2研究はHIV共感染における6ヶ月あるいは9ヶ月のINH(6/9H)と3HPを比較したものであり、1研究はHIV陰性成人におけるもの、1研究はHIV陰性優位の小児・思春期患者におけるものである。
 活動性TBのリスクは3HPと6/9Hの間に有意差はなかった(HIV感染成人患者:リスク比0.73、95%信頼区間0.23-2.29、HIV非感染成人患者:リスク比0.44、95%信頼区間0.18-1.07、小児・思春期患者:リスク比0.13、95%信頼区間0.01-2.54)。肝障害のリスクは成人HIV感染患者(相対リスク0.26、95%信頼区間0.12-0.55)、成人HIV非感染患者(相対リスク0.16、95%信頼区間0.10-0.27)のいずれににおいて有意に3HP群のほうが低かった。3HPはすべてのサブグループにおいて高い治療完遂率達成と関連していた。
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(文献より引用)

結論:
 HPはINH単独治療と同等の予防効果を示し、有害事象が低く、完遂率が高かった。3HPは予防治療において規模拡大に大きく寄与しうる。





by otowelt | 2019-02-13 00:15 | 抗酸菌感染症