カテゴリ:抗酸菌感染症( 179 )

肺MAC症に対する長期治療の副作用出現頻度と時期

e0156318_10555091.png 単施設なので参考程度ではありますが、啓蒙的な研究だと思います。エタンブトール眼毒性の頻度は報告によってバラつきがありますが、長期に使用するほどリスクは上がります。とはいえ、論文ベースだと「眼科から指摘されてやめた」という疑い例が多いので、真の視神経症の頻度は不明です。さすがに30日以内の眼毒性はノイズでしょう。

Kamii Y, et al.
Adverse reactions associated with long-term drug administration in Mycobacterium avium complex lung disease
The International Journal of Tuberculosis and Lung Disease, Volume 22, Number 12,DOI: https://doi.org/10.5588/ijtld.18.0171


セッティング:
 肺非結核性抗酸菌症(NTM-LD)の患者数は世界的に増加している。肺Mycobacterium avium complex症(MAC-LD)はNTM-LDの90%にのぼる。MAC-LDは長期治療を要するが、薬剤長期投与による副反応についてはまだよくわかっていない。

目的:
 MAC-LDに対する薬剤の長期投与の副反応を評価すること。

デザイン:
 われわれは単施設において2010年7月から2015年6月までに2剤以上の薬剤を投与された364人の診療録を後ろ向きにレビューした。

結果:
 登録患者の年齢中央値は70歳(範囲17-96歳)で、293人(80.5%)が女性だった。97%の患者がリファンピシン、エタンブトール、クラリスロマイシンの併用レジメンを用いていた。
 副反応の頻度と副反応が出現するまでの期間の中央値は以下の通りだった。

 ・肝機能障害:18.5%、55日 
 ・白血球減少:20.0%、41日
 ・血小板減少:28.6%、61.5日
 ・皮膚反応:9.3%、30日
 ・眼毒性:7.7%、278日
 ・血清クレアチニン上昇:12.4%、430.5日

 
 眼毒性は、22人が視力障害、2人が視野欠損、1人が色覚異常だった。96%の患者が眼科からの指摘によるエタンブトールを中止した。25人中13人(52.0%)の眼毒性はエタンブトール終了後軽快した。
 多変量解析では、リファンピシンの使用が血小板減少(オッズ比1.43、95%信頼区間1.06-1.93)、エタンブトールの使用が血清クレアチニン上昇(オッズ比1.19、95%信頼区間1.01-1.41)と独立して関連していた。

結論:
 多くの主要な副反応は治療開始3ヶ月以内に起こる。ほとんどの患者は、肝保護治療、ヒスタミン受容体拮抗薬、減感作によって治療が継続できたが、眼毒性は治療開始1年は経過をみるべきである。




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by otowelt | 2019-01-13 00:24 | 抗酸菌感染症

Mycobacteroides abscessus complex感染症のerm(41) sequevarと臨床的特徴

e0156318_10555091.png C28 sequevarの存在は、Mycobacteroides abscessusの中でもクラリスロマイシンの有効性と関連しています。この遺伝子型は10~20%ほど存在すると考えられていますが、本研究では8.8%でした。市中病院でT28かC28か調べることは困難です。

Morimoto K, et al.
Clinico-microbiological analysis of 121 patients with pulmonary Mycobacteroides abscessus complex disease in Japan - An NTM-JRC study with RIT.
Respir Med. 2018 Dec;145:14-20.


背景:
 日本のようなMycobacteroides abscessus complex (MABC) 感染症の頻度が低い地域において、MABCの臨床的側面と微生物学的エビデンスを評価するための包括的解析はこれまで行われなかった。

目的:
 この研究は、MABCの臨床病理学的特性、すなわち臨床に関連したerm(41) sequevar、フェノタイプ(コロニー形態およびMIC)、ジェノタイプを明らかにすることを目的としている。

方法:
 2004年から2014年までの間、日本において合計121人のMABC患者(68人:M. abscessus subsp. abscessus、53人:M. abscessus subsp. massiliense)がこの後ろ向き臨床生物学的研究に組み込まれた。

結果:
 約30%のMABC患者が過去に非結核性抗酸菌(NTM)症の既往を有していた。さらに、患者の24.8%はMABCと診断された後もそのほかのNTM感染を合併していた。M. abscessusグループの患者の10%未満がerm(41)にT28C(C28)を有していた。M. massiliense のほうがM. abscessusよりも高い菌陰性化だった(それぞれ72.4%、34.8%, p = 0.002)一方で、再発についてはM. massiliense のほうが比較的多かったが統計学的に有意ではなかった(31.0% vs 21.7%、p=0.37)。追跡期間中の死亡は、M. abscessusで15人(22.1%)、M. massiliense で2人(3.8%)だった。
e0156318_9158100.png
(文献より引用)

 M. abscessusの患者において、治療反応性が良好だった患者は、治療抵抗性だった患者と比べて3日目のクラリスロマイシンのMICが有意に低かった(MIC中央値; 0.75 μg/ml vs 2.0 μg/ml, p = 0.03)。

 コロニー形態は、M. abscessusがrough:47.8%、smooth:28.4%、mixed:20.9%で、M. massiliense がrough:42.3%、smooth:28.8%、mixed:19.2%だった。臨床表現型とVNTRジェノタイプの間に有意な相関性はなかった。
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(文献より引用)

結論:
 MABC感染症において、他のNTMの既往や共存が比較的よくみられるため、これらの知見を注意深く臨床行動に適用すべきである。M. abscessusの早期クラリスロマイシン耐性とerm(41)機能の評価は、治療戦略を改善させるために重要である。





by otowelt | 2018-12-20 00:27 | 抗酸菌感染症

空洞性病変の存在と2ヶ月後の塗抹陽性の組み合わせは肺結核再発のリスク

e0156318_1302985.jpg 既知の知見ですが、結核病学会ではあまり「2ヶ月後の菌陽性」というのは重要視されなくなるかもしれません(塗抹と培養の違いはありますが)。個人的にはリスク高そうなら長めに飲もうか、というスタンスでよいと思っています。

Romanowski K, et al.
Predicting tuberculosis relapse in patients treated with the standard 6-month regimen: an individual patient data meta-analysis.
Thorax. 2018 Nov 12. pii: thoraxjnl-2017-211120. doi: 10.1136/thoraxjnl-2017-211120.


背景:
 結核(TB)の再燃は、結核患者および同プログラムにとって世界的に大きな足枷となっている。われわれは、WHOの標準6ヶ月レジメンで治療された患者のTB再発に関連した臨床的および微生物学的を同定し、再発アウトカムを予測する各々の因子の精度を評価することを目的とした。

方法:
 標準治療を受けた患者における治療アウトカムを報告したランダム化比較試験を同定するため、システマティックレビューをおこなった。筆者にコンタクトをとり、患者レベルデータ(IPD)を共有してもらうようはたらきかけた。ランダム切片ロジスティック回帰モデルおよびROC曲線を用いて1段階IPDメタアナリシスをおこない、関連する因子の予測パフォーマンスを評価した。

結果:
 IPDデータは12研究のうち3研究から得られた。1189人の治療を完遂した肺TBのうち、67人(5.6%)が再発した。多重予測解析において、ベースラインに空洞性病変があり2ヶ月時点で塗抹陽性の場合、再発のオッズ比は上昇し(オッズ比2.3、95%信頼区間1.3-4.2)、再発リスクは10%となった。多重予測モデルの曲線下面積を比較したとき、低リスクおよび高リスクの鑑別能は大きくなく、年齢、性別、HIVステータスを考慮した参照モデルと同等だった。

結論:
 予測能は悪かったが、とりわけ医療リソースが限られた状況においては、空洞性病変の存在と2ヶ月時点での塗抹陽性ステータスの組み合わせは、再発リスクにある個人を同定する上で現在最も有用なマーカーかもしれない。これらの因子の組み合わせが、実臨床において別治療を要することを裏付けるかどうかを検証するために、さらなる研究が必要である。





by otowelt | 2018-12-18 00:43 | 抗酸菌感染症

日本の肺NTM症の疫学

e0156318_10555091.png APSRでNTMの疫学について、結構話題になったと伺いました。ICD-10と処方履歴から抽出した肺NTM症であるため、微生物学的な定義とどのくらいマッチしているかは判断が難しいです(おそらく本研究のほうが過小になるはずですが)。

Izumi K, et al.
Epidemiology of Adults and Children Treated for Nontuberculous Mycobacterial Pulmonary Disease in Japan.
Ann Am Thorac Soc. 2018 Oct 19. doi: 10.1513/AnnalsATS.201806-366OC.


背景:
 肺非結核性抗酸菌症(NTM-PD)の疫学的ステータスは、日本を含む主要国でもまだ不透明である。

目的:
 日本国内における発症と罹患を算出し、患者特性や地理的差異を記述すること。

方法:
 この横断研究において、われわれは2009年から2014年までの日本国内データベースからNTM-PDに対するレセプトデータを抽出し解析した。NTM-PD患者は、少なくとも1回NTM-PDに関連したICD-10コード対象と抗菌薬併用処方のレセプトにより同定した。われわれは、2011年のNTM-PDの発症数と罹患数を、性別、年齢グループ、地理地域、合併症評価に応じて算出した。

結果:
 2011年のNTM-PDの発症と罹患はそれぞれ11,304人(10万人年あたり8.6人、95%信頼区間8.5-8.8人)、37,063人(10万人年あたり29.0人、95%信頼区間28.7-29.3人)だった。発症例の平均年齢は69.3±12.3歳で、69.6%が女性だった。50歳を超える年齢層では男女ともに発症率が急峻に増加し、80歳を超える年齢層を除くと全年齢層で女性優位だった。男性患者は高齢での発症率が高いという特徴があり、年齢とともに合併症も急激に増えた。もっともよくみられた合併症は女性では気管支拡張症で、男性ではCOPDだった。日本の最南の島である沖縄を除いて、南西地域のほとんどで高い発症率が観察された。

結論:
 本研究では、治療歴に基づいてNTM-PD症例を保守的に定義しているにもかかわらず、世界的に高い発症率と罹患率を有することが明らかになった。合併症を伴う長期罹病により、高い罹患率となったのだろう。高齢者と女性で特に高いNTM-PDリスクがみられたが、合併症のある高齢男性ではより注意が必要である。地理的差異をもたらす因子を調べるため、さらなる研究が必要である。





by otowelt | 2018-12-17 00:47 | 抗酸菌感染症

PredART試験:ステロイドは結核のIRISを防げるか?

e0156318_1302985.jpg 個人的には初期悪化に対してはステロイドを使ってもよいと思っています。長い期間でもないですし・・・。

Meintjes G, et al.
Prednisone for the Prevention of Paradoxical Tuberculosis-Associated IRIS.
N Engl J Med. 2018 Nov 15;379(20):1915-1925.

背景:
 結核を有するHIV感染患者の抗レトロウイルス治療の早期開始は、CD4陽性細胞数が少ない患者では死亡率を減らすが、結核関連免疫再構築炎症症候群(IRIS)のリスクを増加させる。

方法:
 われわれはランダム化二重盲検プラセボ対照試験によって、予防的プレドニゾンがリスクの高い患者において安全に結核関連IRIを減らすことができるかどうか調べた。ART開始から30日以内に結核治療がおこなわれたHIV感染者を組み入れた(過去にARTを受けていないものとする)。また、CD4陽性細胞数が100/μL以下のものを対象とした。患者はプレドニゾン(40mg/日を14日間、その後20mg/日を14日間)あるいはプラセボ(同様の錠剤レジメン)を投与される群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは、ART開始から12週間以内の結核関連IRISとした。
 IRISの診断はINSHIコンセンサス症例定義(Lancet Infect Dis. 2008 Aug; 8(8): 516–523.)に基づいて同定した。
 リファンピシン耐性結核、コントロール不良糖尿病、直近1週間以内のステロイド使用、肝機能障害例などは除外された。

結果:
 240人が登録された。年齢中央値は36歳(IQR30-42歳)、60%が男性、73%が微生物学的に結核と診断され、CD4陽性細胞数中央値は49/μL(IQR24-86)だった。HIV type1 RNAウイルス量は5.5log10コピー/mL(IQR5.2-5.9)だった。120人ずつがそれぞれの群に割り付けられたが、18人は追跡不能となった。
 INSHI基準を満たした結核関連IRISは、プレドニゾン群の39人(32.5%)、プラセボ群の56人(46.7%)にだった(相対リスク0.70、95%信頼区間0.51-0.96、p=0.03)。IRIS持続期間は両群同等だった(49日 vs 35日)。結核関連IRISの治療のために、プレドニゾン群の16人(13.3%)、プラセボ群の34人(28.3%)にオープンラベルのステロイドが用いられた(相対リスク0.47、95%信頼区間0.27-0.81)。84日における累積IRIS罹患率はプラセボ群よりプレドニゾン群のほうが低かった(ハザード比0.61、95%信頼区間0.41-0.92)。
 プレドニゾン群の5人、プラセボ群の4人が死亡した(p=1.00)。重症感染症(AIDS含)はプレドニゾン群の11人、プラセボ群の18人にみられた(p=0.23)。Kaposi肉腫がプラセボ群の1例にみられた。

結論:
 ART開始後初期4週間のプレドニゾンは、HIV感染者における結核関連IRISの頻度をプラセボと比較して低下させる。



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by otowelt | 2018-12-11 00:59 | 抗酸菌感染症

肺結核の空洞は栄養不良および高度炎症と関連

e0156318_1302985.jpg JA愛知厚生連海南病院からの報告です。

Nakao M, et al.
Immunonutritional status and pulmonary cavitation in patients with tuberculosis: A revisit with an assessment of neutrophil/lymphocyte ratio
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.08.007


背景:
 いくつかの報告では、結核患者の罹患や死亡において免疫学的および栄養学的な重要性が記述されている。この研究の目的は、肺結核の患者において、肺の空洞と免疫栄養学的ステータスの関連性を評価することである。免疫栄養学的ステータスは、好中球/リンパ球比(NLR)や予後的栄養インデックス(PNI)といったパラメータによってアセスメントした。

方法:
 われわれは、2008年4月から2016年3月までに、海南病院で細菌性肺炎を合併していない培養陽性活動性肺結核患者と診断された患者137人を後ろ向きに解析した。血清アルブミン、リンパ球、NLR、PNI、血小板/リンパ球比(PLR)、BMI、肺の空洞が評価された。

結果:
 合計77人の男性および60人の女性(年齢中央値75歳、範囲16-94歳)が研究に組み込まれた。66人の患者が喫煙歴を有しており、55人が呼吸器症状を呈し、44人が何も症状がなかった。症状発生から60日を超えて医療機関を受診したペイシェント・ディレイ(受診遅れ)は25人に観察された。単変量解析では、高NRL(≧5)、高PLR(≧200)、血清アルブミン低値(<3g/dL)、好中球高値(>6000/mm3)、リンパ球低値(<1000/mm3)は肺の空洞と関連していた。多変量解析では、高NLRおよび血清アルブミン低値が肺の空洞と関連していた(性別と喫煙歴で補正したモデルでは、それぞれ補正オッズ比3.05[95%信頼区間1.25-7.44]、0.37[95%信頼区間0.15-0.88])。
e0156318_23144129.png
(文献より引用)

結論:
 栄養不良および炎症の重症度の増加は、結核患者における肺の空洞と関連しているかもしれない。本研究の知見を確かなものにするため、さらなる研究が望まれる。

※アブストラクトでは異なる人数が記載されているが、解析されたのは男性77人、女性60人であったため、修正して記載。





by otowelt | 2018-11-09 00:24 | 抗酸菌感染症

第4世代QFTと既存IGRAの比較

e0156318_1302985.jpg 日本から、QFTの「判定保留」がなくなります。

福島喜代康ら.
活動性肺結核における新規QuantiFERON® TBゴールドプラスと既存IGRAsの比較検討
Kekkaku Vol. 93, No. 10 : 517-523, 2018


目的:
 活動性肺結核における新規QFT-Plus の有用性をQFT-3G,T-SPOT と直接比較検討した。

対象・方法:
 対象は活動性肺結核患者77 例(平均年齢79.9 歳)(A群)。80 歳未満(B群),80 歳以上(C群),末梢血CD4 値200/μL未満(D 群),CD4 値200/μL以上(E 群)の計5 群での感度を比較した。

結果:
 A 群:QFT-Plus(93.5%),QFT-3G(90.9%)はT-SPOT(74.0%)に比し有意(各々p=0.001,p=0.006)に高かった。C 群:QFT-Plus(93.0%)とQFT-3G(89.5%)はT-SPOT(71.9%)より有意(各々p=0.003,p=0.018)に高かった。E 群:QFT-Plus とQFT-3Gは同じ感度98.1% でT-SPOT(77.8%)より有意(各p=0.001)に高かった。[TB2 値-TB1 値]は正方向にシフトしていた。

考察・結語:
 IGRAの感度はCD4 値が大きく影響し加齢とともにCD4 値も有意に減少し各IGRAの感度も低下した。QFT-Plusは高リスク群を含む全ての活動性肺結核の診断補助に有用である。





by otowelt | 2018-10-23 00:41 | 抗酸菌感染症

CONVERT試験:治療抵抗性肺MAC症に対するアミカシン吸入の有効性

e0156318_10555091.png 肺MAC症のマイルストーンとなる研究です。

Griffith DE, et al.
Amikacin Liposome Inhalation Suspension for Treatment-Refractory Lung Disease Caused by Mycobacterium avium Complex (CONVERT): A Prospective, Open-Label, Randomized Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Sep 14. doi: 10.1164/rccm.201807-1318OC


背景:
 MACに感染した治療抵抗性非結核性抗酸菌症の患者における治療オプションの改善が望まれている。

目的:
 通常のガイドラインに基づいた治療(GBT)にアミカシンリポソーム吸入懸濁液(ALIS)を加えた場合の、効果と安全性を評価すること。

方法:
 アミカシン感受性肺MAC症で6ヶ月以上のGBTで培養陽性が持続している成人NTM症患者を登録し、2:1にALIS+GBTあるいはGBT単独のいずれかにランダムに割り付けた。1日1回590mgのALISがネブライザー吸入で投与された。プライマリエンドポイントは、培養陰性化(6ヶ月目までの喀痰中MAC培養3回連続陰性化)とした。

結果:
 登録されたのは、224人のALIS+GBT群、112人のGBT単独群で、平均年齢は64.7歳、69.3%が女性だった。62.5%の患者が気管支拡張症、14.3%の患者がCOPD、11.9%がその両方を持っていた。224人のALIS+GBT群のうち、65人(29.0%)が喀痰陰性化を達成し、GBT単独群の112人中10人(8.9%)が喀痰陰性化を達成した(オッズ比4.22、95%信頼区間2.08-8.57、p<0.001)。呼吸器系の副作用(嗄声、咳嗽、呼吸困難)はALIS+GBT群の87.4%にみられ、GBT単独群50.0%よりも多かった。重篤な治療関連有害事象は、ALIS+GBT群の20.2%、GBT単独群の17.9%にみられた。

結論:
 治療抵抗性肺MAC症に対するGBTに、ALISを上乗せすることで6ヶ月目までの喀痰陰性化率は改善した。





by otowelt | 2018-09-27 00:08 | 抗酸菌感染症

LTBIに対する4ヶ月リファンピシンと9ヶ月イソニアジドのランダム化比較試験

e0156318_1302985.jpg 今後は4Rが主流になりますかね。

Dick Menzies, et al.
Four Months of Rifampin or Nine Months of Isoniazid for Latent Tuberculosis in Adults
N Engl J Med 2018; 379:440-453


背景:
 LTBIに対する9ヶ月のイソニアジドによって、活動性結核の発症を予防することができる。しかしながら、当該レジメンはアドヒアランスが不良であり毒性も無視できない。

方法:
 このオープンラベル試験は9ヶ国で実施され、LTBIの成人をランダムに4ヶ月のリファンピシン(4R)あるいは9ヶ月のイソニアジド(9H)に割り付けランダム化から28ヶ月後の活動性結核発症を予防できるかどうか比較した。非劣性および潜在的優越性が調べられた。セカンダリアウトカムは臨床的に活動性結核と診断されること、Grade 3-5の有害事象、治療レジメン完遂、とした。アウトカムは独立したレビューパネルで判断された。
 結核の診断は、臨床的に複数の医師がそうであろうと判断するclinically diagnosed tuberculosisと、微生物学的に確定されたconfirmed tuberculosisの2つ設定した。

結果:
 3443人のリファンピシン群で、臨床的に活動性結核を発症したと考えられたのは4人で、7732人年の追跡発症も4人だった。3416人のイソニアジド群でも同様に、これらは4人、5人だった。両群の発症率の差は、confirmed tuberculosisの場合、100人年に換算するとリファンピシン群―イソニアジド群で0.01人未満となった(95%信頼区間―0.14~0.16)。clinically diagnosed tuberculosisの場合、100人年に換算すると差は0.01人未満となった(95%信頼区間-0.23~0.22)。95%信頼区間の上限は、事前に規定した非劣性マージンである0.75%ポイントを下回っていたため、リファンピシンレジメンはイソニアジドレジメンより優れているわけではなかった。
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(文献より引用)

 治療完遂率の差は15.1%ポイント(95%信頼区間12.7-17.4)リファンピシンのほうが高かった。
 ランダム化から146日以内の有害事象について、リファンピシン群は優位にGrade 3-5の有害事象が少なかった(率差−1.1%ポイント、95%信頼区間−1.9 to −0.4)。肝障害についても同様の結果だった。
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(文献より引用)

結論:
 LTBIにおける4ヶ月のリファンピシンレジメンは9ヶ月のイソニアジドレジメンと比べて非劣性であり、治療完遂率と安全性ともに良好であった。






by otowelt | 2018-08-03 00:21 | 抗酸菌感染症

結核と喫煙の関連

e0156318_1302985.jpg 結核診療医ならば誰しも興味があるところですね。

山内 祐子ら.
結核患者の喫煙習慣と結核発病・治療後の変化
Kekkaku Vol. 93, No. 1 : 11-16, 2018


目的・対象・方法:
 2010 年から2014 年に全国11 都府県36 保健所に新たに登録された20 歳以上の結核患者1,909人について,治療開始時,治療終了時の喫煙習慣について問診をして観察した。

結果:
 治療開始時,結核患者は一般人口に比して男では全年齢で,女では40~59 歳で有意に喫煙する者の割合(喫煙率)が高かった。一般人口に年齢構成を調整した喫煙率は男で一般の1.19 倍,女で1.23 倍であった。患者の喫煙率は生活困窮者(生活保護受給者あるいは60 歳未満で無職)で有意に高かった。喫煙の結核発病に対する相対危険度を2.0 と仮定した場合,日本の結核発病に対する集団寄与危険割合は男29%,女で11% となる。結核診断時に喫煙していた者のうち378 人中,治療終了時点で130 人(34.4%)が禁煙(禁煙率)したが,204 人(54.0%)は以前と同様に喫煙継続,残り44 人(11.6%)は喫煙量を減らしたものの喫煙は継続していた。禁煙率は男33.8%,女38.0% で有意差はない。年齢別にみると高齢ほど有意に禁煙率は高かった。生活困窮者の禁煙率は26.4% で,他の36.3%より低かったが,差は有意ではなかった。

結論:
 喫煙の結核に対する影響が明らかになっている中で,患者の禁煙の支援には今後さらに積極的,具体的に取り組むことが重要であろう。



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by otowelt | 2018-08-02 00:45 | 抗酸菌感染症