カテゴリ:抗酸菌感染症( 171 )

LTBIに対する4ヶ月リファンピシンと9ヶ月イソニアジドのランダム化比較試験

e0156318_1302985.jpg 今後は4Rが主流になりますかね。

Dick Menzies, et al.
Four Months of Rifampin or Nine Months of Isoniazid for Latent Tuberculosis in Adults
N Engl J Med 2018; 379:440-453


背景:
 LTBIに対する9ヶ月のイソニアジドによって、活動性結核の発症を予防することができる。しかしながら、当該レジメンはアドヒアランスが不良であり毒性も無視できない。

方法:
 このオープンラベル試験は9ヶ国で実施され、LTBIの成人をランダムに4ヶ月のリファンピシン(4R)あるいは9ヶ月のイソニアジド(9H)に割り付けランダム化から28ヶ月後の活動性結核発症を予防できるかどうか比較した。非劣性および潜在的優越性が調べられた。セカンダリアウトカムは臨床的に活動性結核と診断されること、Grade 3-5の有害事象、治療レジメン完遂、とした。アウトカムは独立したレビューパネルで判断された。
 結核の診断は、臨床的に複数の医師がそうであろうと判断するclinically diagnosed tuberculosisと、微生物学的に確定されたconfirmed tuberculosisの2つ設定した。

結果:
 3443人のリファンピシン群で、臨床的に活動性結核を発症したと考えられたのは4人で、7732人年の追跡発症も4人だった。3416人のイソニアジド群でも同様に、これらは4人、5人だった。両群の発症率の差は、confirmed tuberculosisの場合、100人年に換算するとリファンピシン群―イソニアジド群で0.01人未満となった(95%信頼区間―0.14~0.16)。clinically diagnosed tuberculosisの場合、100人年に換算すると差は0.01人未満となった(95%信頼区間-0.23~0.22)。95%信頼区間の上限は、事前に規定した非劣性マージンである0.75%ポイントを下回っていたため、リファンピシンレジメンはイソニアジドレジメンより優れているわけではなかった。
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(文献より引用)

 治療完遂率の差は15.1%ポイント(95%信頼区間12.7-17.4)リファンピシンのほうが高かった。
 ランダム化から146日以内の有害事象について、リファンピシン群は優位にGrade 3-5の有害事象が少なかった(率差−1.1%ポイント、95%信頼区間−1.9 to −0.4)。肝障害についても同様の結果だった。
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(文献より引用)

結論:
 LTBIにおける4ヶ月のリファンピシンレジメンは9ヶ月のイソニアジドレジメンと比べて非劣性であり、治療完遂率と安全性ともに良好であった。






by otowelt | 2018-08-03 00:21 | 抗酸菌感染症

結核と喫煙の関連

e0156318_1302985.jpg 結核診療医ならば誰しも興味があるところですね。

山内 祐子ら.
結核患者の喫煙習慣と結核発病・治療後の変化
Kekkaku Vol. 93, No. 1 : 11-16, 2018


目的・対象・方法:
 2010 年から2014 年に全国11 都府県36 保健所に新たに登録された20 歳以上の結核患者1,909人について,治療開始時,治療終了時の喫煙習慣について問診をして観察した。

結果:
 治療開始時,結核患者は一般人口に比して男では全年齢で,女では40~59 歳で有意に喫煙する者の割合(喫煙率)が高かった。一般人口に年齢構成を調整した喫煙率は男で一般の1.19 倍,女で1.23 倍であった。患者の喫煙率は生活困窮者(生活保護受給者あるいは60 歳未満で無職)で有意に高かった。喫煙の結核発病に対する相対危険度を2.0 と仮定した場合,日本の結核発病に対する集団寄与危険割合は男29%,女で11% となる。結核診断時に喫煙していた者のうち378 人中,治療終了時点で130 人(34.4%)が禁煙(禁煙率)したが,204 人(54.0%)は以前と同様に喫煙継続,残り44 人(11.6%)は喫煙量を減らしたものの喫煙は継続していた。禁煙率は男33.8%,女38.0% で有意差はない。年齢別にみると高齢ほど有意に禁煙率は高かった。生活困窮者の禁煙率は26.4% で,他の36.3%より低かったが,差は有意ではなかった。

結論:
 喫煙の結核に対する影響が明らかになっている中で,患者の禁煙の支援には今後さらに積極的,具体的に取り組むことが重要であろう。



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by otowelt | 2018-08-02 00:45 | 抗酸菌感染症

非結核性抗酸菌症に対する外科的手術は喀痰陰性化率向上に寄与する

e0156318_10555091.png 外科的手術の適応はそれでもしっかり検討すべきだと思います。限局している例がもっともやりやすいですね。

María Luisa Aznar, et al.
Adjuvant lung resection in the management of nontuberculous mycobacterial lung infection: A retrospective matched cohort study
Respiratory Medicine, DOI: https://doi.org/10.1016/j.rmed.2018.07.003


背景および目的:
 肺非結核性抗酸菌症(NTM-PD)患者に対する肺切除は、治療薬による長期コントロールに失敗したときに適用される治療である。しかしながら、その他の治療と比較したデータや長期アウトカムデータは不足している。われわれは、コントロール患者と比較したNTM-PDの肺切除の適応とアウトカムを調べた。

方法:
 外科的治療を受けた患者を後ろ向きに27人同定した。年齢、性別、NTM菌種、放射線学的パターンを1:1でマッチさせた抗菌薬治療のみの患者を設定した。

結果: 
 外科的治療群では、年齢中央値は55歳(IQR 49-61歳)で、74.1%が女性だった。18人がMycobacterium avium complexで、9人が M. xenopiだった。手術内容は、肺全摘が8人、葉切除が20人、区域切除が1人、葉+区域切除が1人だった。外科手術後の合併症は6人(20%)に起こり、2人はARDSで、1人は気管支瘻、1人は心タンポナーデ、2人は膿胸だった。合併症は、内科的治療にかかわらず進行する疾患患者において頻繁にみられた(オッズ比10, p = 0.025)。1年以上追跡すると、外科的治療群では21人(87.5%)が喀痰陰性化がみられ、非外科的治療群の11人(45.8%)と比べると有意に多かった(率比2.36, 95%信頼区間1.37–4.03, p = 0.002)。

結論:
 肺切除を受けたNTM-PD患者は、喀痰陰性化を達成しやすい。長期的な抗菌薬投与もやめることができるかもしれない。





by otowelt | 2018-07-30 00:57 | 抗酸菌感染症

結核性胸膜炎に対するプレドニゾロン併用治療はその後の後遺症を軽減

e0156318_9552565.jpg 結核の胸水には基本的に手を出さなくてよいというのがセオリーですが、興味深い報告ですね。

Sun F, et al.
Adjunctive use of prednisolone in the treatment of free-flowing tuberculous pleural effusion: A retrospective cohort study.
Respir Med. 2018 Jun;139:86-90.


背景:
 抗結核薬治療のステロイド治療の併用は、結核性胸膜炎(TPE)の患者において利益があるとされているが、ルーチンで用いることのデータは不足している。TPEはfree-flowing typeとloculated typeに分類した。われわれは、free-flowing typeのTPEに対するプレドニゾロン併用が機能的後遺症、胸膜肥厚、胸膜癒着に与える効果を評価した。

方法:
 これは、2013年1月~2016年12月に実施された後ろ向きコホート研究である(ChiCTR-ORC-16009267)。TPEと診断された全患者は、標準的4剤併用療法で治療され、胸水は完全に排液された。われわれは、レントゲン上の後遺症(胸膜肥厚>2mm、胸膜癒着、CP angle>90°)あるいは拘束性機能障害(1秒量/予測1秒量あるいは全肺気量/予測全肺気量<80%)の複合アウトカムをステロイド使用群と非使用群で比較した。

結果:
 135人が登録され、56人がプレドニゾロン併用治療を受け、79人が併用治療を受けなかった。レントゲン上の後遺症あるいは拘束性機能障害の後遺症の複合アウトカムは、プレドニゾロン併用治療群の方が有意に少なかった(51.8% vs. 75.9%; 率比2.83, 95%信頼区間1.27-6.31, P = 0.011)。重篤な合併症はみられなかった。

結論:
 HIV陰性のfree-flowing typeのTPE患者に対して、プレドニゾロン併用治療はレントゲン上の後遺症あるいは拘束性機能障害の後遺症の複合アウトカムの発症を減らした。



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by otowelt | 2018-06-20 00:57 | 抗酸菌感染症

Mycobacterium kansasii症の臨床的特徴

e0156318_21415744.jpg カンサシ症のまとまった報告はほとんどないのが現状です。

Zofia Bakuła, et al.
Clinical, radiological and molecular features of Mycobacterium kansasii pulmonary disease
Respiratory Medicine,DOI: https://doi.org/10.1016/j.rmed.2018.05.007


背景:
 肺Mycobacterium kansasii(カンサシ)症の人口動態的、臨床的、検査的特徴はよくわかっておらず、小規模なコホートの報告に基づいた見解ばかりである。この研究の目的は、カンサシ症の臨床的特徴を評価し、その詳細を記述することである。

方法:
 後ろ向きレビューにより、少なくとも1回の培養でカンサシが検出された患者を2000~2015年で抽出した。患者はATS/IDSA基準によって診断された。

結果:
 105人(63人:女性、42人:男性、平均年齢64.6±17.8歳)が登録された。これらのうち、86人(81.9%)がカンサシ症と診断された。カンサシ症の症例は、86人中43人(50%)が線維空洞型であった。191人がジェノタイプを検索され、全例がI型のカンサシであった。





by otowelt | 2018-06-07 00:15 | 抗酸菌感染症

肺非結核性抗酸菌症と肺アスペルギルス症の合併例の臨床的検討

e0156318_13334416.jpg  なにげにセカンドオーサーは私です。筆頭著者の内藤先生は、短期間で当院でたくさん論文を書いていかれた、秀才です。

Naitou M, et al.
Prognosis of chronic pulmonary aspergillosis in patients with pulmonary non-tuberculous mycobacterial disease
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.04.002


背景:
 肺非結核性抗酸菌症(PNTM)は、慢性肺アスペルギルス症(CPA)のリスク因子として知られている。しかしながら、この関連について焦点を当てた研究はほとんどない。この研究では、PNTM患者におけるCPAの臨床経過と予後予測因子を調べた。

方法:
 近畿中央胸部疾患センターにおいて2010~2015年に62人のPNTMの既往があるCPA患者を登録した。合併症、起因菌、放射線学的所見、アウトカムを調べた。

結果:
 患者の年齢中央値は69.5歳で、追跡機関中央値は4.2年だった。よくみられた基礎疾患は、PNTMとCPAを除くと陳旧性肺結核、COPD、間質性肺炎だった。もっとも多かったNTMはMycobacterium avium complex(MAC)だった(37人:59.7%)。M. kansasiiは20人(32.3%)だった。1年生存率は83%で、5年生存率は61%だった。CPA診断時の全身性ステロイドの使用(ハザード比3.32、95%信頼区間1.23-9.51、p=0.00177)、CRP上昇(5mg/dL以上)(ハザード比8.96、95%信頼区間2.15-62.9、p=0.0014)は総死亡リスクを上昇させた。

結論:
 肺MAC症および肺カンサシ症などのPNTMはCPAになりやすい。PNTMの治療経過は総死亡とは関連していなかったが、全身性ステロイドの使用やCRP高値は予後不良であり、PNTM患者ではCPAの早期診断が望ましい。





by otowelt | 2018-05-30 00:34 | 抗酸菌感染症

南アフリカにおけるデラマニドの効果と安全性

e0156318_9552565.jpg デルティバ®は個人的にはまだ1例にしか使用経験がありません。心電図のフォローアップが大変です。

Erika Mohr, et al.
Delamanid for Rifampicin–Resistant Tuberculosis: A Retrospective Study from South Africa
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.00017-2018


背景:
 とりわけ、HIV陽性の患者においてデラマニドの投与経験は限られている。われわれは、南アフリカにおいてデラマニドの早期の効果と安全性を調べた。

方法:
 これは、2015年11月から2017年8月までにデラマニド含有レジメンを投与された患者の後ろ向きコホート研究である。12ヶ月時の中間解析において、2ヶ月および6ヶ月までの喀痰陰性化率、重篤な有害事象、QT時間が報告された。

結果:
 103人の患者がデラマニドを開始した。79人(77%)がHIV陽性だった。主なデラマニド適応は、セカンドライン抗結核薬に忍容性がなかったことであった(58人、56%)。46人の患者が12ヶ月のフォローアップを受け、28人(61%)が良好なアウトカムだった(治癒、治療完遂、培養陰性化)。47人の患者がデラマニド開始時に喀痰塗抹が陽性であり、31人中16人(52%)が2ヶ月以内、31人中25人(81%)が6ヶ月以内に喀痰陰性化を達成した。67人重篤な有害事象が29人(28%)に報告された。4回のQT延長(500msec超)が2人(2%)にみられ、1例では治療中止となった。しかしながら、不整脈の発生はなかった。

結論:
 HIV陽性患者が多い大規模コホート研究では、リファンピシン耐性結核に対するデラマニド治療は早期に良好な治療反応性を達成し、忍容性も良かった。デラマニドは、特に通常のレジメンが適用できない場合に有効な選択肢である。



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by otowelt | 2018-05-16 00:41 | 抗酸菌感染症

IPDメタアナリシス:イソニアジド耐性結核に対する異なる治療レジメンの比較

e0156318_9552565.jpg 現時点では、イソニアジド耐性結核は、6REZ+3REなどのレジメンを用いております。

Fregonese F, et al.
Comparison of different treatments for isoniazid-resistant tuberculosis: an individual patient data meta-analysis.
Lancet Respir Med. 2018 Apr;6(4):265-275.


背景:
 イソニアジド耐性かつリファンピシン感受性(INH-R)結核はもっともよくみられるタイプの耐性結核であり、治療失敗、再発、ファーストライン抗結核薬治療によるリファンピシンの耐性獲得と関連している。この研究の目的は、リファンピシン・エタンブトール・ピラジナミド(REZ);フルオロキノロン+6ヶ月以上のREZ;ストレプトマイシン+REZの治療を受けたINH-R肺結核における治療成功率、死亡率、リファンピシンの耐性獲得について調べることである。

方法:
 INH-R結核患者で、ランダム化比較試験であれば登録患者数を問わず、コホート研究であれば少なくとも20人の患者数が含まれる研究を選択した。2人のレビュアーによって研究が抽出された(2005年4月1日~2016年2月10日)。傾向スコアマッチロジスティック回帰による個別患者情報(IPD)メタアナリシスをおこない、補正オッズ比を類推し、治療成功、治療中の死亡、リファンピシンの耐性獲得のリスク差を算出した。アウトカムは、異なる治療レジメンごとに調べた(6ヶ月以下のREZ vs 6ヶ月超のREZ比較;フルオロキノロン+6ヶ月以上のREZ vs 6ヶ月以上のREZ;ストレプトマイシン+6ヶ月のRE+1~3ヶ月のZ vs 6ヶ月以上のREZ)。

結果:
 IPDは57のコホート研究および17のランダム化比較試験で得られ、8089人のINH-R結核が登録された。6424人の33データセットのうち、解析対象レジメンを受けた3923人のデータを23研究から用いた。REZ(H耐性なのでHREZも容認)の6ヶ月レジメンと比較して、治療期間を8~9ヶ月に延長してもアウトカムは同等だった。ゆえに、6ヶ月以上の(H)REZをその他の比較に用いた。フルオロキノロンを6ヶ月以上の(H)REZに加えることは、治療成功のオッズ比上昇と関連していた(補正オッズ比2.8、95%信頼区間1.1-7.3)。しかし、死亡率(補正オッズ比0.7、95%信頼区間0.4-1.1)やリファンピシンの耐性獲得(補正オッズ比0.1、95%信頼区間0.0-1.2)には影響を与えなかった。6ヶ月以上の(H)REZと比較して、通常の再治療レジメン(2ヶ月のストレプトマイシン、3ヶ月のZ、8ヶ月のHRE)は治療成功の悪化と有意に関連していた(補正オッズ比0.4、95%信頼区間0.2-0.7)。すべてのアウトカムにおいてエビデンスの質は低かった。

結論:
 INH-R結核患者において、少なくとも6ヶ月のREZレジメンと比較すると、フルオロキノロンを加えることは治療成功率の上昇と関連していた。一方で、ストレプトマイシンを加えることは治療成功率の減少と関連していたが、エビデンスの質は極めて低かった。


by otowelt | 2018-05-09 00:57 | 抗酸菌感染症

システマティックレビュー:肺MAC症の微生物学アウトカム

e0156318_13334416.jpg 現時点での総括に有効な報告ですね。  

Diel R, et al.
Microbiologic Outcome of Interventions Against Mycobacterium avium Complex Pulmonary Disease: A Systematic Review.
Chest. 2018 Apr;153(4):888-921.


目的:
 MACによる肺疾患は世界的に増えている。われわれは、現行のマクロライド治療レジメンを評価するため、微生物学的アウトカムを報告した研究のシステマティックレビューをおこなった。

方法:
 2017年4月までの文献を電子データベースで検索した。ランダム化比較試験のバイアスリスクのアセスメントにはCochraneツールを用いた。

結果:
 42研究2748人の患者が登録された。18研究は後ろ向きチャートレビューであり、18研究は前向き研究で、6研究がランダム化比較試験だった。治療後の微生物学的再発を差し引くと、マクロライド含有レジメンによる喀痰陰性化の加重平均は52.3%だった(95%信頼区間44.7-59.9%)。ATSの推奨する3剤併用レジメンを用いると、治療成功率は61.4%(95%信頼区間49.7-72.5%)で、治療既往がなく感受性MACに対して少なくとも1年の治療を行うことでこの頻度は65.7%まで上昇した(95%信頼区間53.3-77.4%)。6つのランダム化比較試験のうち、5研究でバイアスリスクは低かった。しかしながら、非ランダム化比較試験においては、治療非完遂例やアウトカムのパラメータ不一致などによって相互比較が困難であった。

結論:
 現行、肺MAC症患者における治療アウトカムのランダム化比較試験は不足している。マクロライド感受性MACに対してATS推奨レジメンを長期に用いることは、他のマクロライドベースの治療よりも優れている。治療成功や、再感染と再発のジェノタイプによる鑑別について、定義を標準化することが治療レジメンの適切な評価に役立つだろう。


by otowelt | 2018-05-05 00:56 | 抗酸菌感染症

緑膿菌感染合併肺MAC症の臨床的特徴

e0156318_13334416.jpg 気管支拡張症がシビアな患者さんだと両感染症を合併することがよくありますね。

本間千絵ら.
緑膿菌感染合併肺Mycobacterium avium complex 症患者の臨床的特徴の検討
Kekkaku Vol. 93, No. 2 : 101-107, 2018


目的:
 緑膿菌感染合併肺Mycobacterium avium complex(MAC)症の臨床的特徴を明らかにするため,後方視的に非緑膿菌感染合併肺MAC 症患者と比較検討を行った。

対象と方法:
 2012 年度から2015 年度までに当院に初診し,肺MAC 症と診断された患者322 人のうち緑膿菌感染合併患者41 人(12.7%)を対象とし,後方視的に非緑膿菌合併患者と臨床像を比較検討した。

結果:
 緑膿菌感染合併肺MAC 症患者は非合併肺MAC 症患者と比べ,統計的に有意に,より低いBody Mass Index(18.7±2.9,p<0.05),CT における病変がより広範囲(p<0.05)で,他一般細菌の同時検出が多くみられた(68.3%,p<0.05)。年齢(71.3±7.9),CT における下葉への拡がり(86.5%)やMAC 抗体陽性率(82.6%),他非結核性抗酸菌の検出(14.6%),クラリスロマイシン耐性(2 人,13.3%),死亡率(3 人,7.3%)について有意差はみられなかったが,緑膿菌感染合併肺MAC 症患者に多い傾向がみられた。

考察:
 肺MAC 症に緑膿菌感染を合併する場合,空洞の有無よりも病変の拡がりおよび,より低いBodyMass Index が関連した。緑膿菌感染合併肺MAC 症患者は一般細菌との混合感染,他非結核性抗酸菌の同時検出がより高頻度に認められ,緑膿菌検出は複数菌の混合感染の指標になる可能性,また予後もより悪い可能性が示唆された。


by otowelt | 2018-04-24 00:20 | 抗酸菌感染症