カテゴリ:気管支喘息・COPD( 480 )

REALサーベイ:COPDの吸入薬アドヒアランス

e0156318_1633480.jpg ノバルティスファーマ寄りの論文ですが、ビデオよりデモンストレーションの方がよいというのは納得の結果です。

Price D, et al.
Factors associated with appropriate inhaler use in patients with COPD - lessons from the REAL survey.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018, 26;13:695-702.


背景:
 吸入薬のアドヒアランス不良および吸入薬の不適切使用は、COPD患者のマネジメントに大きな障壁となる。医療従事者はアドヒアランスを維持するためや適切な吸入薬使用を教育するために重要な役割を担っている。しかしながら、多くの患者は適切な吸入薬トレーニングを受けておらず、技術チェックも受けたことがない。

方法:
 このREALサーベイでは、COPD維持治療に対して販売されている吸入薬の適切使用、吸入手技、アドヒアランスなど23の質問を電話でおこなった。

結果:
 2016年1月4日~2016年2月日までサーベイが実施された。合計764人の軽症~超重症COPD患者が登録された。平均年齢は56±9.8歳である。使用吸入薬の内訳は、ブリーズヘラー186人、エリプタ191人、ジェヌエア194人、レスピマット201人だった。患者申告アドヒアランスは、高齢者と比べると若年者の方が有意に不良だった(p=0.020)。患者の83%は、対人におけるデモンストレーションは「とても役立つ」と答えた。患者の好むトレーニング方法は以下の通りだった、デモンストレーション83%、ビデオ58%、使用説明51%、リーフレット34%。29%の患者は少なくとも2年の間に医療従事者から吸入手技のチェックを受けていなかった。チェックを受けた患者は、受けていない患者よりもアドヒアランスが良好だった(p=0.020)。ブリーズヘラーを用いた患者のほとんどは、吸入できているという実感が良好と回答しており、これはジェヌエア、エリプタ、レスピマットよりも頻度が高かった。最終30日のアドヒアランスはブリーズヘラーが最も高かった。
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(文献より引用:患者の好むトレーニング方法)

結論:
 COPDの維持治療において正しく吸入薬を用いることが重要だが、患者の年齢などを考慮して適切な手法を選ぶべきである。対人的なデモンストレーションがもっとも好ましい。




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by otowelt | 2018-06-21 00:16 | 気管支喘息・COPD

貧血はCOPDの長期死亡率を上昇させる

e0156318_1633480.jpg 当院は合併症のあるCOPD患者さんが多く、貧血がないほうが珍しいように思います。

Park SC, et al.
Hemoglobin and mortality in patients with COPD: a nationwide population-based cohort study.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018 May 16;13:1599-1605. doi: 10.2147/COPD.S159249. eCollection 2018.


目的:
 過去の研究では貧血がCOPD患者の死亡率を上昇させることが示されている。しかしながら、一般集団におけるCOPD死亡率を増加と関連するかどうかはよく分かっていない。この研究の目的は、大規模集団データベースを用いて貧血がCOPDの長期死亡率と関連しているかどうか調べることである。

患者および方法:
 National Health Insurance Service-Health Screening Cohortを用いて、ヘモグロビン値が判明しているCOPD患者を登録した。2003~2013年においてヘモグロビン値とCOPD患者の死亡率の関連を解析した。

結果:
 7114人のCOPD患者が同定された。平均年齢は65.0±9.3歳で、62.9%が男性だった。貧血は469人(6.6%)に観察された。全体で、死亡率は貧血がある群で46.5%、ない群で32.1%だった(p<0.001)。貧血の死亡率に対するハザード比は1.31(95%信頼区間1.11-1.54)であった。貧血のある患者では、ヘモグロビン値は死亡率とよく相関していた。
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(文献より引用:ヘモグロビン値ごとの生存曲線)

結論:
 貧血はCOPDの長期死亡率を上昇させ、軽度の貧血であっても有意なリスク増加と関連していた。



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by otowelt | 2018-06-15 00:15 | 気管支喘息・COPD

LIBERATE研究:heterogeneous emphysemaに対するZephyr®の12ヶ月アウトカム

e0156318_14441648.jpg ATS2018で発表されていた演題です。TRANSFORM研究からまた一歩先へ。ただ、やはり合併症の問題がつきまといます。

Gerard J Criner, et al.
A Multicenter RCT of Zephyr® Endobronchial Valve Treatment in Heterogeneous Emphysema (LIBERATE)
AJRCCM, https://doi.org/10.1164/rccm.201803-0590OC


背景:
 これは12ヶ月までのZyphyr®気管支内バルブ(EBV®)治療の効果と安全性を調べた初めての多施設共同ランダム化比較試験である。

目的:
 側副換気が少ないあるいは全くないheterogeneous emphysemaに対するZephyr EBVの効果と安全性を評価すること。

方法:
 患者は2:1にEBV、通常ケア群にランダム化された(24施設)。12ヶ月のプライマリアウトカムは、EBVと通常ケア群の気管支拡張後1秒量のベースラインからの変化の差15%以上の達成とした。セカンダリアウトカムとして6分間歩行距離、SGRQスコアなどが設定された。

結果:
 190人のうち、128人がEBV、62人が通常ケア群にランダム化された。12ヶ月時点で、47.7%のEBV群患者、16.8%の通常ケア群患者が1秒量底上げ15%以上を達成した(p<0.001)。12ヶ月時点での両群の差は1秒量106mL(p<0.001)、6分間歩行距離+39.31m(p=0.002)、SGRQスコア-7.05点(p=0.004)と臨床的に有意であった(MCIDを上回る)。気胸がもっともよくみられた重篤な合併症であった(26.6%)。これにより、EBV群の4人が死亡した。
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(文献より引用)

結論:
 肺機能、運動耐容能、呼吸困難、QOLの観点から、側副換気が少ないあるいは全くないheterogeneous emphysemaに対するZephyr EBVは臨床的に利益がある。



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by otowelt | 2018-06-10 00:20 | 気管支喘息・COPD

SUNSET研究:トリプル吸入療法からICS/LABAへのステップダウンは安全だが、好酸球数が多い場合は注意

e0156318_1633480.jpg ATS2018の初日で発表されていた内容です。

Kenneth R Chapman, et al.
Long-term Triple Therapy De-escalation to Indacaterol/Glycopyrronium in COPD Patients (SUNSET): a Randomized, Double-Blind, Triple-Dummy Clinical Trial
AJRCCM, https://doi.org/10.1164/rccm.201803-0405OC


背景:
 頻回な増悪はないものの長期トリプル吸入療法をおこなっている患者からICSをウィズドローした研究はない。

目的:
 長期にトリプル吸入療法が導入されているCOPD患者で、頻回に増悪がない患者にしぼってインダカテロール/グリコピロニウムの2剤併用にde-escalationする戦略の効果と安全性を検証した。 

方法:
 これは26週のランダム化二重盲検試験で、トリプル吸入療法からインダカテロール/グリコピロニウム(110/50μg)にスイッチした場合、あるいはトリプル吸入療法(サルメテロール/フルチカゾン+チオトロピウム)を継続した場合を比較したものである。COPDは中等症~重症とし、頻回な増悪がみられないものを対象とした。プライマリエンドポイントは、ベースラインからのトラフ1秒量変化が非劣性であることとした。中等症あるいは重症の増悪をセカンダリエンドポイントに規定した。

結果:
 527人の患者がインダカテロール/グリコピロニウム群、526人がトリプル吸入療法継続群に割り付けられた。ICSウィズドローによるトラフ1秒量変化-26mLだった(95%信頼区間―53~+1mL)(非劣性マージン-50mL)。年間の中等症あるいは重症のCOPD増悪率は、治療群感で差はなかった。ベースラインの好酸球が300/μL以上のケースでは、ICSウィズドローによる肺機能減少が大きく、増悪リスクも高かった。有害事象はどの群も同等だった。

結論:
 頻回に増悪がみられないCOPD患者でトリプル吸入療法が適用されている場合、インダカテロール/グリコピロニウムにde-escalationすることは、わずかに肺機能減少をもたらすが増悪をきたすほどの悪影響はない。ただし、ベースラインの好酸球数が多い患者では、トリプル吸入療法を継続した方がよいだろう。



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by otowelt | 2018-05-28 00:28 | 気管支喘息・COPD

LIBERTY ASTHMA VENTURE研究:ステロイド依存性喘息に対するデュピルマブの有効性

e0156318_13451472.png ATS2018で発表された注目演題の1つです。デュピクセント®は将来的に喘息適応をとるでしょう。デュピクセント®を投与すると一時的に好酸球が増える患者さんがいるそうで、この理由として論文中に「デュピルマブはIL-4およびIL-13によるエオタキシン産生を阻害することにより、組織へ好酸球が移行することをブロックするため」と書かれています。

Rabe KF, et al
Efficacy and Safety of Dupilumab in Glucocorticoid-Dependent Severe Asthma
NEJM, May 21, 2018, DOI: 10.1056/NEJMoa1804093


背景:
 デュピルマブは、IL-4およびIL-13のシグナルを阻害するヒト抗IL-4抗体受容体αモノクローナル抗体である。重症喘息患者において、喘息コントロールを維持したまま経口ステロイドを減量する効果があるかどうかは定かではない。

方法:
 210人の経口ステロイド治療を受けている喘息患者がランダムに追加的デュピルマブ(300mg)あるいはプラセボを2週ごとに24週まで投与される群に割り付けられた。ランダム化前にステロイド用量調整期間3~10週間をもうけた。ステロイド量はランダム化から4~20週で漸減するよう調整し、その後4週間は維持期として継続した。
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(文献より引用:Supplementary Appendix Figure S1)

 プライマリエンドポイントは、24週時点でのステロイド量の減少率(%)とした。セカンダリエンドポイントとして、24週時点での最低50%のステロイド減量が達成できた患者の比率および5mg/day(プレドニゾロン換算)未満に減量できた患者の比率を設定した。また、重度の増悪率および気管支拡張前1秒量が解析された。

結果:
 デュピルマブ群におけるステロイド量減量は-70.1%で、プラセボ群の-41.9%よりも大きかった(p<0.001)。少なくとも50%の減量ができたのはそれぞれ80%、50%で、5mg/day未満に減量できたのはそれぞれ69%、33%だった。また全体でデュピルマブ群の48%、プラセボ群の25%が経口ステロイド使用を中止できた。プラセボ群を含め全体的にステロド量の減量ができたものの
、デュピルマブ治療は重度の増悪率をプラセボ群よりも59%減じた(95%信頼区間37-74%)。また、1秒量も220mL高かった(95%信頼区間0.09-0.34)。注射部位反応はデュピルマブ群のほうがプラセボ群より多かった(9% vs 4%)。3000 cells/mm3を超える一時的な好酸球増多はデュピルマブ群の方が多かった(14% vs 1%)
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(文献より引用:プライマリエンドポイント)

結論:
 ステロイド依存性の重症喘息患者において、デュピルマブ治療は、経口ステロイド投与量や重症の増悪率を減少させ、1秒量を増加させる効果がある。デュピルマブで治療された患者の約7人に1人に一時的な好酸球増多がみられた。



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by otowelt | 2018-05-25 00:01 | 気管支喘息・COPD

LIBERTY ASTHMA QUEST研究:コントロール不良喘息に対するデュピルマブの有効性

e0156318_13451472.png デュピクセント®のLIBERTY ASTHMA QUEST研究です。VENTURE研究と同じく、こちらでも好酸球増多がみられているので、この現象は覚えておきましょう。

Mario Castro, et al.
Dupilumab Efficacy and Safety in Moderate-to-Severe Uncontrolled Asthma
NEJM, May 21, 2018, DOI: 10.1056/NEJMoa1804092


背景:
 デュピルマブは、IL-4およびIL-13のシグナルを阻害するヒト抗IL-4抗体受容体αモノクローナル抗体である。われわれは、コントロール不良の喘息患者に対する効果と安全性を検証した。

方法:
 われわれは12歳以上のコントロール不良喘息患者1902人を、2:2:1:1の割合で、既存治療に200mgデュピルマブあるいは300mgのデュピルマブを2週ごとに投与する上乗せ群と、それぞれのマッチプラセボ群(200mgと300mgで注入量が異なるためプラセボを2群設定)にランダムに割り付けた(52週間)。プライマリエンドポイントは、全集団における重度の喘息増悪の年間発生率およびベースラインから12週時点の気管支拡張前1秒量の絶対変化とした。セカンダリエンドポイントは、血清好酸球数が300/mm3以上の患者群における増悪率および1秒量とした。喘息コントロールおよびデュピルマブの安全性が解析された。

結果:
 重度の喘息増悪の年間発生率は、200mgデュピルマブ群に割り付けられた患者では0.46(95%信頼区間0.39-0.53)で、同マッチプラセボ群では0.87(95%信頼区間0.72-1.05)だった(47.7%減、p<0.001)。300mgデュピルマブ群でも同様の結果だった。
 12週時点での1秒量は、200mgデュピルマブ群で320mL改善した(マッチプラセボ群+140mL、p<0.001)。これについても300mgデュピルマブ群でも同様の結果だった。
 血清好酸球数300/mm3以上の患者では、重度の喘息増悪の年間発生率は200mgデュピルマブ群で0.37(95%信頼区間0.29-0.48)だった(マッチプラセボ群1.08[95%信頼区間0.85-1.38]、65.8%減)。これについても300mgデュピルマブ群でも同様の結果だった。
 介入開始から52人(4.1%)にデュピルマブ投与による好酸球増多がみられた。

結論:
 デュピルマブを投与された喘息患者では、プラセボよりも重度の喘息増悪が少なく、肺機能や喘息コントロールも良好だった。ベースラインの血清好酸球数が多い患者ではその恩恵が大きかった。デュピルマブによる好酸球増多が一定の患者にみられた。

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by otowelt | 2018-05-24 20:46 | 気管支喘息・COPD

重症COPDは好酸球数が多いと肺炎リスクが高い

e0156318_1633480.jpg あまり実感したことはありませんが・・・。好酸球数が多いCOPDというのは、本当にCOPDなのかという哲学的な問答も出てくる。

Signe Vedel-Krogh, et al.
Blood eosinophil count and risk of pneumonia hospitalisations in individuals with COPD
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.00120-2018


背景:
 COPDにおける血中好酸球数は、増悪の頻度とステロイド反応性の高さに関連しているとされているが、頻回な増悪とICS使用は肺炎のリスクを高める。われわれは、重症COPDの患者では血中好酸球数が肺炎リスクと関連しているという仮説を立てた。

方法:
 Copenhagen General Population Studyから7180人のCOPD患者が登録され、643人が%1秒量50%未満だった。追跡期間中に、退院時診断名が肺炎とついているものを記録した。

結果:
 COPD患者のうち%1秒量が50%未満の患者のうち、0.34×109/Lの好酸球数にカットオフ値を設定すると、それより高い群は低い群と比較して肺炎の多変量補正罹患率比が2.17だった(95%信頼区間1.31–3.58)(性別、年齢、喫煙歴、BMI、教育水準、%1秒量で補正)。過去の肺炎歴、炎症性バイオマーカー(CRP、白血球数、フィブリノーゲン)、ICS使用でさらに補正すると1.81(95%信頼区間1.11-2.94)だった。臨床的にCOPDと診断された人(直近の増悪、10pack-years以上の喫煙歴、%1秒量<70%)では、同リスクは4.52(95%信頼区間2.11-9.72)だった。肺炎リスクは、%1秒量50%以上の症例では好酸球数によって差はみられなかった。

結論:
 COPDで%1秒量50%未満の場合、血中好酸球数0.34×109/L以上の群では肺炎による入院リスクが高かった。



by otowelt | 2018-04-26 00:35 | 気管支喘息・COPD

IMPACT試験:COPDにおけるトリプル吸入療法は中等症あるいは重症COPD増悪を抑制

e0156318_1051535.jpg ATSでも発表される予定のIMPACT試験、Trelegy®エリプタのエビデンスです。日本でも数年以内に発売されるでしょう。
 トラフ1秒量のイメージとして、50mL以上は上乗せされる印象です。
 ICSが入ると、軽症とはいえ肺炎がやはりネックになりそうです。
 IMPACT試験ではICS/LABAがLAMA/LABAよりもCOPD増悪アウトカムが優れていたとされていますが、FLAME試験ではLAMA/LABAの方が優れていました。この理由として、FLAME試験ではintrinsicにICS/LABAが必要だった人が除外されてしまっており、ICS/LABAの有効性が下方修正されていたのではないかとのことです。

David A. Lipson, et al.
Once-Daily Single-Inhaler Triple versus Dual Therapy in Patients with COPD
NEJM DOI: 10.1056/NEJMoa1713901


背景:
 COPDにおけるトリプル吸入療法(ICS、LAMA、LABA)の2剤使用と比較した臨床的利益は不透明である。

方法:
 10355人のCOPD患者を含むランダム化比較試験において、52週間の1日1回フルチカゾンフランカルボン酸(ICS)100μg+ウメクリジニウム(LAMA)62.5μg+ビランテロール(LABA)25μgのトリプル吸入療法を受けた群と、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロールあるいはウメクリジニウム+ビランテロールの2剤治療を受けた群比較した。いずれにレジメンもエリプタで吸入した。プライマリアウトカムは、治療中の中等症あるいは重症のCOPD増悪年間発生率とした。

結果:
 中等症あるいは重症のCOPD増悪はトリプル吸入療法群で0.91/年、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロール群で1.07/年だった(率比0.85、95%信頼区間0.80-0.90、15%差、p<0.001)。ウメクリジニウム+ビランテロール群では1.21/年だった(率比0.75、95%信頼区間0.70-0.81、25%差、P<0.001)。
 入院を要する重症増悪の年間発生はトリプル吸入療法群で0.13であり、ウメクリジニウム+ビランテロール群で0.19(率比0.66、95%信頼区間0.56-0.78、34%差、p<0.001)だった。
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(中等症~重症COPD増悪:文献より引用)

 ウメクリジニウム+ビランテロール群と比較すると、肺炎はICSを使用した群で多かった。臨床医の診断した肺炎のリスクについても、ウメクリジニウム+ビランテロール群と比較するとトリプル吸入療法群の方が高かった (ハザード比1.53; 95%信頼区間1.22-1.92; P<0.001)。
e0156318_10344583.jpg

(肺炎の頻度:文献より引用)

結論:
 フルチカゾンフランカルボン酸+ウメクリジニウム+ビランテロールは、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロールあるいはウメクリジニウム+ビランテロールと比較すると、中等症あるいは重症COPD増悪の頻度を低下させた。トリプル吸入療法は、ウメクリジニウム+ビランテロールと比較すると、COPDによる入院の頻度も低下させた。


by otowelt | 2018-04-22 00:09 | 気管支喘息・COPD

COPDに対する太極拳は呼吸リハビリテーションと同等以上の効果

e0156318_23131240.jpg 太極拳と聞くと、どうしても医学的アウトカム改善には寄与しないだろうという先入観がはたらいてしまうので、凝り固まった考えをどうにかしないとだめですね。
 メタアナリシスでも有効とされています。

参照:メタアナリシス:COPDに対する太極拳は運動耐容能やQOLを改善

Michael I. Polkey, et al.
Tai Chi and Pulmonary Rehabilitation Compared for Treatment-Naive Patients With COPD
CHEST DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.01.053

背景:
 COPDにおいて呼吸リハビリテーションは機能的ステータスを改善するが、実施には特殊なスキルを要する。太極拳は、精神的治療と身体的運動の組み合わせで特段の準備を要さない、中国から世界に広まっているスポーツである。われわれは、太極拳が呼吸リハビリテーションと同等の効果(SGRQスコア±4点以内の差)にあると仮説を立てた。
 
方法:
 120人の気管支拡張薬を使用したことがないCOPD患者(平均1秒量1.11±0.42L[予測値の43.6%])を登録した。インダカテロール150μg1日1回を開始した2週間後に、通常の呼吸リハビリテーション(週3回)あるいは太極拳(週5回)を12週間おこなう群にランダムに割り付けた。プライマリエンドポイントは、運動介入からのSGRQスコアの変化とした。介入終了から12週間後のアウトカムも評価した。

結果:
 SGRQスコアの介入群間差は、-0.48点(95%信頼区間―3.6~2.6、p=0.76)で臨床的に意義のある差はなかった。介入終了12週間後、SGRQスコアの群間差は4.5点(95%信頼区間1.9~7.0、p<0.001)で太極拳のほうが望ましい結果だった。この効果は6分間歩行距離にも観察されたが、1秒量には観察されなかった。
e0156318_1002530.jpg
(文献より引用)

結論:
 COPDにおける太極拳は呼吸リハビリテーションと同等のSGRQスコア改善効果を示した。介入終了から12週間が経過すると、太極拳の方が臨床的に有意なSGRQスコア改善効果を示した。太極拳は呼吸リハビリテーションの代替として適切である。

感想:
 週3回と週5回ではかなり差があるように思うのですが、どうでしょう。論文に動画が5つもアップされており、ものすごい筆者のバイアスが入っていそうな印象が・・・。シャム太極拳なんてできないので、評価が難しいところです。
e0156318_1053181.jpg
(文献ビデオより引用)

 果たして、インダカテロール治療は必要だったのでしょうか。GOLD3期のCOPDに対して運動療法だけというわけにはいかないんでしょうね。


by otowelt | 2018-04-19 00:43 | 気管支喘息・COPD

DYNAGITO試験:スピオルト®とスピリーバ®のCOPD増悪の比較

e0156318_1633480.jpg TOviTO試験の一部であるDYNAGITO試験の結果がLancet Respiratory Medicineに掲載されました。
 想定する集団は、GOLD重症度分類のBとDが半々くらいです。%1秒量は44%あたりなのでIII期の“コントロールしにくい層”をイメージします。40%の患者さんが吸入ステロイド薬を使われているので、結構増悪頻度が多かったのでしょうね。
 アウトカムイベントはスピオルト®群45.1%、スピリーバ®群44.3%でまず差はないと言ってよいと思うので、論文の結論の書き方には賛成です。ベーリンガーインゲルハイムのプレスリリースはかなりポジティブな記載のようですが。

Peter M A Calverley, et al.
Tiotropium and olodaterol in the prevention of chronic obstructive pulmonary disease exacerbations (DYNAGITO): a double-blind, randomised, parallel-group, active-controlled trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30102-4


背景:
 長時間作用性気管支拡張薬は、COPD増悪の頻度を減らす目的で推奨されている。しかし、長時間作用性抗コリン薬チオトロピウムと長時間作用性β刺激薬オロダテロールの併用が、チオトロピウム単独と比較して増悪率を減少させるかどうかは分かっていない。

方法:
 52週間の二重盲検ランダム化並行群間試験で、増悪歴のあるCOPD患者が1:1にチオトロピウム/オロダテロール 5/5μgあるいはチオトロピウム5μg1日1回の吸入に割り付けられた。吸入ステロイド薬を処方されている患者は、同薬を継続した。治療内容は患者、研究者にマスクされた上で解析された。プライマリエンドポイントは中等症および重症COPD増悪とした。すべてのランダム化された患者が解析対象となった(プロトコル違反は除外対象)。

結果:
 51ヶ国818施設から9009人の患者がスクリーニングされた。7880人の患者を2015年1月22日~2016年3月7日まで登録した(平均年齢66.4±8.5歳、5626人[71%]が男性、平均%1秒量は44.5±27.7%)。日本からも461人が登録された。合計3939人が合剤群、3941人がチオトロピウム群に割り付けられた。
 中等症および重症の増悪は、合剤群の方が低かったが(率比0.93, 99%信頼区間0.85–1.02; p=0.0498、95%信頼区間0.87–1.00)、1%有意水準は満たさなかった。全身性ステロイドを要する中等症および重症の増悪の発現率は20%低下した(p=0.0068)。また、全身性ステロイドと抗菌薬の併用治療を要する増悪の発現率は9%低下した(p=0.0447)。
e0156318_9214629.png
(文献より引用)

e0156318_9253873.png
(文献より引用)

 有害事象を報告した患者は両群同等だった。

結論:
 チオトロピウムとオロダテロールの併用は、チオトロピウム単独と比べて想定よりも増悪率を減らさなかった。


by otowelt | 2018-04-12 00:00 | 気管支喘息・COPD