カテゴリ:気管支喘息・COPD( 568 )

TRIMARAN試験・TRIGGER試験:コントロール不良喘息におけるトリプル吸入療法

e0156318_9473145.png 喘息に対するトリプル吸入療法の大規模臨床試験。Chiesiの資金提供を受けているため、COPDではTRILOGY試験が兄弟分になりますね。
 TRIGGER試験のほうは、スピリーバ®も比較対照に加えた3群比較です。
 ベクロメタゾン/ホルモテロール/グリコピロニウムは、海外でTrimbow®という商品名で発売されています。日本には入ってこないでしょう。

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写真. Trimbow®

Virchow JC, et al.
Single inhaler extrafine triple therapy in uncontrolled asthma (TRIMARAN and TRIGGER): two double-blind, parallel-group, randomised, controlled phase 3 trials.
Lancet. 2019 Sep 30. pii: S0140-6736(19)32215-9. doi: 10.1016/S0140-6736(19)32215-9.


背景:
 これまで、喘息に対するトリプル吸入治療の効果はほとんど検証されてこなかった。そこで、われわれは、単一吸入デバイスを用いたベクロメタゾンプロピオン酸エステル(BDP)、ホルモテロールフマル酸塩(FF)、グリコピロニウム(G)の吸入を、BDP+FFのダブル吸入療法と比較した研究を報告する。

方法:
 2つの並行群間二重盲検ランダム化比較第3相試験(TRIMARAN試験、TRIGGER試験)を実施し、TRIMARAN試験では16ヶ国171施設から、TRIGGER試験では17か国221施設から患者を登録した。登録患者は18~75歳のコントロール不良成人患者で、過去1年に1回以上の増悪を起こしているものとした。登録から2週間、TRIMARAN試験では中用量BDP/FF 100/6μg、TRIGGER試験では高用量BDP/FF 200/6μgを用いられ、その後盲検下でランダムにBDP/FF/G群あるいはBDP/FF群に割り付けられた。
 TRIMARAN試験では、患者は1:1の割合で52週間のBDP/FF/G(100/6/10µg)2吸入1日2回あるいはBDP/FF(100/6μg)2吸入1日2回のいずれかの群に割り付けられた。TRIGGER試験では、2:2:1の割合で52週間のBDP/FF/G(200/6/10µg)2吸入1日2回、BFP/FF(200/6μg)2吸入1日2回、BFP/FF(200/6μg)2吸入1日2回+チオトロピウム2.5μg2吸入1日1回の3群のいずれかの群に割り付けられた。
 両試験のいずれにおいても、複合プライマリエンドポイントは、26週時点での吸入前1秒量および52週のあいだの重度増悪とした。
 試験薬を1回でも用いられた患者は安全性解析がおこなわれた。

結果:
 2016年2月17日から2018年5月17日までに、TRIMARAN試験に1155人が登録された(BDP/FF/G群579人、BDP/FF群576人)。2016年4月6日から2018年5月28日までに、TRIGGER試験に1437人が登録された(BDP/FF/G群573人、BDP/FF群576人、BDP/FF+チオトロピウム群:288人)。
 BDP/FF群と比較して、26週時点での吸入前1秒量はBDP/FF/G群のほうが有意に高かった(TRIMARA試験:57mL[95%信頼区間15-99]、p=0.008、TRIGGER試験:73mL[95%信頼区間26-120], p=0.0025)。また、中等度および重度の増悪についてはTRIMARAN試験で15%(率比0.85、95%信頼区間0.73-0.99, p=0.033)、TRIGGER試験で12%(率比0.88、95%信頼区間0.75-1.03, p=0.11)減少した。
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(トラフ1秒量:文献より引用)

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(年間増悪率:文献より引用)

 治療に関連した重篤な有害事象はTRIMARAN試験のBDP/FF/G群で4人、TRIGGER試験のBDP/FF/G群で1人、BDP/FF群で2人観察された。死亡にいたったのは、TRIMARAN試験のBDP/FF/G群で3人、TRIGGER試験のBDP/FF/G群の1人、BDP/FF群の1人だった。いずれも治療とは関連のない死亡だった。

結論:
 コントロール不良喘息において、ICS/LABAにLAMAを追加することで、肺機能の改善と増悪の減少がみられた。


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by otowelt | 2019-10-11 01:40 | 気管支喘息・COPD

LIBERTY NP SINUS試験:鼻ポリープ合併重症鼻副鼻腔炎に対するデュピルマブ

e0156318_13451472.png デュピルマブのLIBERTY NP SINUS試験2つです。

・参考記事:LIBERTY ASTHMA QUEST研究:コントロール不良喘息に対するデュピルマブの有効性
・参考記事:LIBERTY ASTHMA VENTURE研究:ステロイド依存性喘息に対するデュピルマブの有効性

Bachert C, et al.
Efficacy and safety of dupilumab in patients with severe chronic rhinosinusitis with nasal polyps (LIBERTY NP SINUS-24 and LIBERTY NP SINUS-52): results from two multicentre, randomised, double-blind, placebo-controlled, parallel-group phase 3 trials.
Lancet. 2019 Sep 19. pii: S0140-6736(19)31881-1. doi: 10.1016/S0140-6736(19)31881-1.


背景:
 鼻ポリープを伴う慢性鼻副鼻腔炎(CRSwNP)の患者は、一般的に強い症状を有し、健康関連QOLが悪化しており、しばしば全身性ステロイド使用や外科手術を要する。デュピルマブは、2型炎症のキードライバーとなっているIL-4とIL-13を阻害する完全ヒト化モノクローナル抗体であり、アトピー性皮膚炎と喘息に適用される。今回の2研究において、われわれは、全身性ステロイドや外科手術、またその両方を用いたことがあるCRSwNP患者に対するデュピルマブの効果と安全性を検証した。

方法:
 LIBERTY NP SINUS-24試験およびLIBERTY NP SINUS-52試験は、多施設共同ランダム化プラセボ対照比較試験であり、重症CRSwNP患者において、通常ケアに加えてデュピルマブを追加したものである。SINUS-24試験は13ヶ国67施設、SINUS-52試験は14ヶ国117施設で実施された。適格患者は18歳以上の両側CRSwNP患者で、経鼻ステロイド薬、全身性ステロイド、鼻副鼻腔手術を適用されても症状があるものとした。
 SINUS-24試験の患者は、ランダムにデュピルマブ皮下300mgあるいはプラセボを2週ごとに24週まで投与する群にランダムに割り付けられた。SINUS-52試験の患者は、ランダムにデュピルマブ皮下300mg2週ごと52週まで、デュピアルマブ皮下300mg2週ごと24週まで投与しその後4週ごと24週間、あるいはプラセボを2週ごとに52週まで、の3群にランダムに割り付けられた。ランダム化は、スクリーニング時の喘息やNSAIDs過敏喘息(アスピリン喘息:AERD)、また外科手術歴、国によっておこなわれた。喘息合併非合併例のいずれもが組み込まれた。
 複合エンドポイントは、ベースラインから24週までの鼻ポリープスコア(NPS)変化、鼻汁あるいは鼻閉の変化、副鼻腔Lund-Mackay CTスコアとし、ITT集団で解析された。

結果:
 2016年12月5日~2017年8月3日まで、SINUS-24試験に276人(デュピルマブ群143人、プラセボ群133人)が登録された。2016年11月28日~2017年8月28日までに、SINUS-52試験に448人(デュピルマブ2週ごと群150人、デュピルマブ2週ごと→4週ごと群145人、プラセボ群153人)が登録された。全体を通して、男性が60%、女性が40%だった。平均BMIは27.93、平均鼻ポリープ罹患期間は11.01年だった。全体の63%が1回以上の鼻副鼻腔手術を受けた経験があり、3回以上受けたことがあるのは15%だった。過去2年間で全身性ステロイド投与を受けたことあったのは、全体の74%だった。59%に喘息を合併していた。
 両試験において、デュピルマブは複合エンドポイントを達成した。24週時点において、デュピルマブ治療群とプラセボ群のNPS最小二乗平均差は、SINUS-24試験で-2.06(95%信頼区間-2.43 to -1.69; p<0.0001)、SINUS-52試験で-1.80 (-2.10 to -1.51; p<0.0001)だった。鼻汁あるいは鼻閉スコアの差はSINUS-24試験で-0.89点(95%信頼区間-1.07 to -0.71; p<0.0001)、SINUS-52試験で-0.87 (95%信頼区間-1.03 to -0.71; p<0.0001)だった。Lund-Mackay CTスコアの差は、SINUS-24試験で-7.44点(95%信頼区間-8.35 to -6.53; p<0.0001)、SINUS-52試験で-5.13点(95%信頼区間-5.80 to -4.46; p<0.0001)だった。
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(文献より引用)

 もっともよくみられた副作用は、鼻咽頭炎、鼻ポリープ悪化、喘息悪化、頭痛、鼻出血、注射部位反応などだったが、プラセボ群のほうが多かった。

結論:
 重症CRSwNPの成人患者において、デュピルマブは鼻ポリープのサイズを縮小させ、副鼻腔の陰影を改善させ、症状重症度を低減させ、忍容性にも問題ない。これらの知見は、治療オプションが限られた重症CRSwNP患者に対して、通常ケアにデュピルマブを追加する医学的利益を支持するものである。


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by otowelt | 2019-10-07 00:16 | 気管支喘息・COPD

2019年10月薬価改定:LAMA/LABA/ICS

2019年10月薬価改定で、LAMA/LABA/ICSは値上がりしました。

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by otowelt | 2019-10-05 03:46 | 気管支喘息・COPD

2019年10月薬価改定:LAMA/LABA

2019年10月薬価改定で、LAMA/LABAはすべて値下がりしました。

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by otowelt | 2019-10-05 02:38 | 気管支喘息・COPD

2019年10月薬価改定:LABA

2019年10月薬価改定で、LABAはすべて値下がりしました。

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by otowelt | 2019-10-05 02:31 | 気管支喘息・COPD

2019年10月薬価改定:LAMA

2019年10月薬価改定で、LAMAはすべて値下がりしました。

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by otowelt | 2019-10-05 02:28 | 気管支喘息・COPD

2019年10月薬価改定:ICS/LABA

 2019年10月の薬価改定により、アドエア・シムビコートは値上がり(赤)、レルベア・フルティフォームは値下がりしました(緑)。

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by otowelt | 2019-10-05 00:19 | 気管支喘息・COPD

β2受容体ジェノタイプはCOPD重症増悪に影響を与える

e0156318_10352341.png ADRB2は喘息でも検討されていますね。

Ingebrigtsen TS, et al.
β2-Adrenergic genotypes and risk of severe exacerbations in COPD: a prospective cohort study.
Thorax. 2019 Sep 3. pii: thoraxjnl-2018-212340. doi: 10.1136/thoraxjnl-2018-212340.


背景:
 COPD増悪に対する個々の感受性は、遺伝的因子によって左右される。しかしながら、この変動性についてはまだよくわかっていない。われわれは、β2アドレナリン受容体のジェノタイプである、Gly16Arg (rs1042713, c.46G>A)およびGln27Glu (rs1042714, c.79C>G)がCOPDにおける重症増悪のリスクに影響を与えるのではないかと仮説を立てた。

方法:
 Copenhagen General Population Study96762人から、ジェノタイピングが可能だったCOPD患者5262人を抽出した(1秒率<70%、%1秒量<80%、>40歳、喘息がない患者を対象)。重症増悪は、5年追跡(平均3.4年)のあいだに起こった、COPDによる急性入院と定義された。Copenhagen City Heart StudyにおいてCOPDと診断された923人を複製解析群として用いた。

結果:
 5262人のうち461人に重症増悪が記録された。16Glyホモ接合型と比較して、16Gly/Argヘテロ接合型における重症増悪のハザード比は1.62(95%信頼区間1.30-2.03、p=0.00002)で、16Gly/Argホモ接合型では1.41(95%信頼区間1.04-1.91、p=0.03)だった。同様に、27Gluホモ接合型と比較して、27Gln/Glu接合型におけるハザード比は1.35(95%信頼区間1.03-1.76、p=0.03)、27Glnホモ接合型におけるハザード比は1.49(95%信頼区間1.12-1.98、p=0.006)だった。Copenhagen City Heart Studyにおいても同様の傾向がみられた。
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(COPD増悪率:文献より引用)

 27Glnホモ接合型単独のあいだでは、16Glyホモ接合型と比較すると16Gly/Argヘテロ接合型のハザード比が5.20(95%信頼区間1.81-14.9、p=0.02)、16Argホモ接合型のハザード比が4.03(95%信頼区間1.40-11.6、p=0.01)だった。
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(27Glnホモ接合型における増悪:文献より引用)

結論:
 よくみられるβ2アドレナリン受容体のジェノタイプは、rs1042713における16Argアレルを介して、COPD重症増悪のリスクに影響を与える。



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by otowelt | 2019-09-27 00:18 | 気管支喘息・COPD

レスピマットのYouTube動画の質と問題点

e0156318_9104522.png レスピマットは4回試し打ちが必要ですが、忘れる人が多い印象です。

Eudaley ST, et al.
YouTube as a Guide for Respimat® Soft Mist™ Inhaler Technique.
J Pharm Pract. 2019 Jun 23:897190019853988.


背景:
 消費者は健康管理にこれまで以上に関わっており、その多くは健康情報にインターネットを利用している。YouTubeは、健康教育動画における便利かつ広大な情報源である。製薬会社、医療機関、医療従事者などが、YouTubeなどのサイトでレスピマットソフトミスト吸入器デバイスの使用方法を説明したビデオを投稿している。ゆえに、内容と質を見直すことは、最善の情報が提供するうえで重要である。

目的:
 レスピマット吸入器の吸入手技についてのYouTube動画の内容と質を調べること。

方法:
 2018年5月16日に「Respimat inhaler」という用語を用いてYouTube動画を検索した。最初にヒットした手技に関する英語35動画を対象とした。スケールや添付文書/説明文を用いて、動画の質を評価した。

結果:
 35の動画をレビューしたところ、動画時間の中央値は2分50秒だった(IQR 1分23秒~4分22秒)。対象となる視聴者は、97%(n = 34)のビデオを視聴していた。動画投稿元の70%(n = 24)は専門団体だった。ほとんど(74%、n = 24)が質スコアの最高点である5点だった。省略されたステップには、廃棄日に関すること(74%)、噴霧が見えるまでの試し打ち(49%)、咽頭後部に吸入器を向けること(43%)があった。

結論:
 患者が吸入薬から最適な結果を得るためには、適切な技術が非常に重要である。レスピマット吸入手技のデモンストレーションのためにYouTubeを通じて多数の動画が利用できるが、いくつか重要なステップが省略されていた。繰り返し患者教育動画を提供し、信頼できるオンライン情報源を強化する必要がある。






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by otowelt | 2019-09-26 00:40 | 気管支喘息・COPD

GOLD AのCOPDに対する定期吸入治療の効果

e0156318_1312221.png 個人的には、禁煙+運動+食事でどうにかなる集団だと思っていて、少なくとも短時間作用性吸入薬はいらないと考えています。LAMAをどうするかは悩ましいところで、もし全員にこれをやってしまうと、とんでもない医療費になってしまいます。

Cho J, et al.
Outcome of Regular Inhaled Treatment in GOLD A Chronic Obstructive Pulmonary Disease Patients.
Respiration. 2019 Aug 28:1-9. doi: 10.1159/000495756.


背景:
 GOLD 2017によれば、グループAのCOPDに対する定期的な気管支拡張治療が推奨されている。

目的:
 この研究の目的は、グループAのCOPD患者に対する定期的な吸入治療が、増悪や症状を含む健康アウトカムを改善させるかどうか評価することである。

方法:
 われわれは2つの韓国の前向き研究において患者を登録した。適格基準は、mMRCが2未満、SGRQ COPDスコアが25未満、過去1年に1回以上の増悪や入院を経験していないCOPD患者とした。増悪率と症状の変化が解析された。

結果:
 傾向スコアマッチにより、定期的に吸入治療を受けている患者とそうでない患者で107人のペア患者を設定し、平均それぞれ2.6年、3.1年追跡した。COPD増悪率は、吸入治療を受けている患者とそうでない患者では有意差はなかった (罹患率比1.24 [95%信頼区間0.68 ~ 2.25])。6ヶ月および12ヶ月後のSGRQ COPD合計スコアについては有意差がみられ、吸入治療群のほうが良好だった(平均差-4.7 [95%信頼区間-7.9 ~ -1.6]、-4.8 [95%信頼区間-7.9 ~-1.7])。12ヶ月間の解析において、長時間作用性気管支拡張薬の定期吸入は、非吸入と比べてSGRQ COPDスコアの有意な改善と関連していた(平均群間差-5.0 [95%信頼区間-8.6 ~ -1.4])。

結論:
 GOLDグループAのCOPD患者に対する定期的吸入治療は、症状改善と関連しているが、増悪率の減少には寄与しない。






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by otowelt | 2019-09-20 00:04 | 気管支喘息・COPD