カテゴリ:気管支喘息・COPD( 473 )

IMPACT試験:COPDにおけるトリプル吸入療法は中等症あるいは重症COPD増悪を抑制

e0156318_1051535.jpg ATSでも発表される予定のIMPACT試験、Trelegy®エリプタのエビデンスです。日本でも数年以内に発売されるでしょう。
 トラフ1秒量のイメージとして、50mL以上は上乗せされる印象です。
 ICSが入ると、軽症とはいえ肺炎がやはりネックになりそうです。
 IMPACT試験ではICS/LABAがLAMA/LANAよりもCOPD増悪アウトカムに対して優れていたとされていますが、FLAME試験ではLAMA/LABAの方が優れていました。この理由として、FLAME試験ではintrinsicにICS/LABAが必要だった人が除外されてしまっており、ICS/LABAの有効性が下方修正されていたのではないかとのことです。

David A. Lipson, et al.
Once-Daily Single-Inhaler Triple versus Dual Therapy in Patients with COPD
NEJM DOI: 10.1056/NEJMoa1713901


背景:
 COPDにおけるトリプル吸入療法(ICS、LAMA、LABA)の2剤使用と比較した臨床的利益は不透明である。

方法:
 10355人のCOPD患者を含むランダム化比較試験において、52週間の1日1回フルチカゾンフランカルボン酸(ICS)100μg+ウメクリジニウム(LAMA)62.5μg+ビランテロール(LABA)25μgのトリプル吸入療法を受けた群と、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロールあるいはウメクリジニウム+ビランテロールの2剤治療を受けた群比較した。いずれにレジメンもエリプタで吸入した。プライマリアウトカムは、治療中の中等症あるいは重症のCOPD増悪年間発生率とした。

結果:
 中等症あるいは重症のCOPD増悪はトリプル吸入療法群で0.91/年、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロール群で1.07/年だった(率比0.85、95%信頼区間0.80-0.90、15%差、p<0.001)。ウメクリジニウム+ビランテロール群では1.21/年だった(率比0.75、95%信頼区間0.70-0.81、25%差、P<0.001)。
 入院を要する重症増悪の年間発生はトリプル吸入療法群で0.13であり、ウメクリジニウム+ビランテロール群で0.19(率比0.66、95%信頼区間0.56-0.78、34%差、p<0.001)だった。
e0156318_1027579.png
(中等症~重症COPD増悪:文献より引用)

 ウメクリジニウム+ビランテロール群と比較すると、肺炎はICSを使用した群で多かった。臨床医の診断した肺炎のリスクについても、ウメクリジニウム+ビランテロール群と比較するとトリプル吸入療法群の方が高かった (ハザード比1.53; 95%信頼区間1.22-1.92; P<0.001)。
e0156318_10344583.jpg

(肺炎の頻度:文献より引用)

結論:
 フルチカゾンフランカルボン酸+ウメクリジニウム+ビランテロールは、フルチカゾンフランカルボン酸+ビランテロールあるいはウメクリジニウム+ビランテロールと比較すると、中等症あるいは重症COPD増悪の頻度を低下させた。トリプル吸入療法は、ウメクリジニウム+ビランテロールと比較すると、COPDによる入院の頻度も低下させた。


by otowelt | 2018-04-22 00:09 | 気管支喘息・COPD

COPDに対する太極拳は呼吸リハビリテーションと同等以上の効果

e0156318_23131240.jpg 太極拳と聞くと、どうしても医学的アウトカム改善には寄与しないだろうという先入観がはたらいてしまうので、凝り固まった考えをどうにかしないとだめですね。
 メタアナリシスでも有効とされています。

参照:メタアナリシス:COPDに対する太極拳は運動耐容能やQOLを改善

Michael I. Polkey, et al.
Tai Chi and Pulmonary Rehabilitation Compared for Treatment-Naive Patients With COPD
CHEST DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.01.053

背景:
 COPDにおいて呼吸リハビリテーションは機能的ステータスを改善するが、実施には特殊なスキルを要する。太極拳は、精神的治療と身体的運動の組み合わせで特段の準備を要さない、中国から世界に広まっているスポーツである。われわれは、太極拳が呼吸リハビリテーションと同等の効果(SGRQスコア±4点以内の差)にあると仮説を立てた。
 
方法:
 120人の気管支拡張薬を使用したことがないCOPD患者(平均1秒量1.11±0.42L[予測値の43.6%])を登録した。インダカテロール150μg1日1回を開始した2週間後に、通常の呼吸リハビリテーション(週3回)あるいは太極拳(週5回)を12週間おこなう群にランダムに割り付けた。プライマリエンドポイントは、運動介入からのSGRQスコアの変化とした。介入終了から12週間後のアウトカムも評価した。

結果:
 SGRQスコアの介入群間差は、-0.48点(95%信頼区間―3.6~2.6、p=0.76)で臨床的に意義のある差はなかった。介入終了12週間後、SGRQスコアの群間差は4.5点(95%信頼区間1.9~7.0、p<0.001)で太極拳のほうが望ましい結果だった。この効果は6分間歩行距離にも観察されたが、1秒量には観察されなかった。
e0156318_1002530.jpg
(文献より引用)

結論:
 COPDにおける太極拳は呼吸リハビリテーションと同等のSGRQスコア改善効果を示した。介入終了から12週間が経過すると、太極拳の方が臨床的に有意なSGRQスコア改善効果を示した。太極拳は呼吸リハビリテーションの代替として適切である。

感想:
 週3回と週5回ではかなり差があるように思うのですが、どうでしょう。論文に動画が5つもアップされており、ものすごい筆者のバイアスが入っていそうな印象が・・・。シャム太極拳なんてできないので、評価が難しいところです。
e0156318_1053181.jpg
(文献ビデオより引用)

 果たして、インダカテロール治療は必要だったのでしょうか。GOLD3期のCOPDに対して運動療法だけというわけにはいかないんでしょうね。


by otowelt | 2018-04-19 00:43 | 気管支喘息・COPD

DYNAGITO試験:スピオルト®とスピリーバ®のCOPD増悪の比較

e0156318_1633480.jpg TOviTO試験の一部であるDYNAGITO試験の結果がLancet Respiratory Medicineに掲載されました。
 想定する集団は、GOLD重症度分類のBとDが半々くらいです。%1秒量は44%あたりなのでIII期の“コントロールしにくい層”をイメージします。40%の患者さんが吸入ステロイド薬を使われているので、結構増悪頻度が多かったのでしょうね。
 アウトカムイベントはスピオルト®群45.1%、スピリーバ®群44.3%でまず差はないと言ってよいと思うので、論文の結論の書き方には賛成です。ベーリンガーインゲルハイムのプレスリリースはかなりポジティブな記載のようですが。

Peter M A Calverley, et al.
Tiotropium and olodaterol in the prevention of chronic obstructive pulmonary disease exacerbations (DYNAGITO): a double-blind, randomised, parallel-group, active-controlled trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30102-4


背景:
 長時間作用性気管支拡張薬は、COPD増悪の頻度を減らす目的で推奨されている。しかし、長時間作用性抗コリン薬チオトロピウムと長時間作用性β刺激薬オロダテロールの併用が、チオトロピウム単独と比較して増悪率を減少させるかどうかは分かっていない。

方法:
 52週間の二重盲検ランダム化並行群間試験で、増悪歴のあるCOPD患者が1:1にチオトロピウム/オロダテロール 5/5μgあるいはチオトロピウム5μg1日1回の吸入に割り付けられた。吸入ステロイド薬を処方されている患者は、同薬を継続した。治療内容は患者、研究者にマスクされた上で解析された。プライマリエンドポイントは中等症および重症COPD増悪とした。すべてのランダム化された患者が解析対象となった(プロトコル違反は除外対象)。

結果:
 51ヶ国818施設から9009人の患者がスクリーニングされた。7880人の患者を2015年1月22日~2016年3月7日まで登録した(平均年齢66.4±8.5歳、5626人[71%]が男性、平均%1秒量は44.5±27.7%)。日本からも461人が登録された。合計3939人が合剤群、3941人がチオトロピウム群に割り付けられた。
 中等症および重症の増悪は、合剤群の方が低かったが(率比0.93, 99%信頼区間0.85–1.02; p=0.0498、95%信頼区間0.87–1.00)、1%有意水準は満たさなかった。全身性ステロイドを要する中等症および重症の増悪の発現率は20%低下した(p=0.0068)。また、全身性ステロイドと抗菌薬の併用治療を要する増悪の発現率は9%低下した(p=0.0447)。
e0156318_9214629.png
(文献より引用)

e0156318_9253873.png
(文献より引用)

 有害事象を報告した患者は両群同等だった。

結論:
 チオトロピウムとオロダテロールの併用は、チオトロピウム単独と比べて想定よりも増悪率を減らさなかった。


by otowelt | 2018-04-12 00:00 | 気管支喘息・COPD

メタアナリシス:喘息に対するLAMA上乗せの効果

e0156318_1637713.jpg LAMA上乗せのイメージとして、プラセボと比較した「困った発作」の予防効果は、NNT30~50くらいの位置付けです。私の目がおかしいのでしょうか、本文中の絶対リスク差の数値がおかしい気がします。

Sobieraj DM, et al.
Association of Inhaled Corticosteroids and Long-Acting Muscarinic Antagonists With Asthma Control in Patients With Uncontrolled, Persistent Asthma: A Systematic Review and Meta-analysis.
JAMA. 2018 Mar 19. doi: 10.1001/jama.2018.2757. [Epub ahead of print]


背景:
 長時間作用性抗コリン薬(LAMA)は、遷延性喘息患者のマネジメントにおいて吸入ステロイド薬(ICS)に補助的な位置付けで使用されている。

目的:
 コントロール不良の遷延性喘息患者に対してICSおよびICS+LABAに対してLAMAあるいはプラセボを上乗せする効果を、システマティックレビューおよびメタアナリシスによって調べた。

データベース:
 MEDLINE, EMBASE, Cochraneデータベース、clinical trial registriesから抽出。

試験:
 2人のレビュアーによって、ICSおよびICS+LABAに対するLAMAあるいはプラセボの上乗せ効果を検証したランダム化比較試験あるいは観察研究。

データ抽出:
 ランダム効果モデルによるメタアナリアシスをおこない、リスク比、リスク差、平均差を算出した。引用文献のスクリーニング、データ抽象化、リスク評価、エビデンスの強さの評価は、2人の独立したレビュアーによって行われた。

アウトカム:
 喘息発作

結果:
 1326の研究が同定され、そのうち15のランダム化比較試験(患者数7122人)が解析に組み込まれた。ほとんどの試験が、ICS+LAMA vs ICS+プラセボ、またはICS+LAMA vs ICS+LABAを比較したものだった。
 プラセボと比較して、LAMAのICSに対する上乗せ効果は全身性ステロイドを要する喘息発作リスクを有意に軽減した(リスク比0.67 [95%信頼区間0.48 to 0.92])。
e0156318_8555973.png
(文献より引用)

 ICS+LABAと比較すると、LAMA上乗せは発作リスクの有意な改善とは関連していなかった(リスク比0.87 [95%信頼区間 0.53 to 1.42])。トリプル吸入療法は、ICS+LABAと比較して発作リスクの改善とは有意に関連していなかった(リスク比0.84 [95%信頼区間0.57 to 1.22])。

結論:
 このシステマティックレビューおよびメタアナリシスによれば、プラセボと比較するとLAMAをICSに上乗せで用いることは喘息発作のリスク軽減につながったが、LABAと比べて医学的利益はなかった。また、ICS+LABAからトリプル吸入療法にしても、喘息発作のリスク軽減には寄与しなかった。


by otowelt | 2018-04-11 00:07 | 気管支喘息・COPD

システマティックレビュー:喘息に対するロフルミラスト

e0156318_1637713.jpg ものすごく使いにくくなったRespirologyのウェブサイト。どうにかしてほしい。
 ロフルミラストは副作用が多いので、吸入薬でコントロールできる喘息患者さんに使う意義はないと思います。

Jian Luo, et al.
Efficacy and safety of phosphodiesterase 4 inhibitors in patients with asthma: A systematic review and meta‐analysis
Respirology, https://doi.org/10.1111/resp.13276

背景:
 ホスホジエステラーゼ4阻害薬は、COPDにおける気道炎症を改善させる新規薬剤である。ただし、喘息に対する適応については議論の余地があり、結論は出ていない。

方法:
 「ホスホジエステラーゼ4阻害薬」あるいは「ロフロミラスト」と、「喘息」というキーワードで1946年~2016年までの文献の包括的検索をおこなった。肺機能アウトカム、気道過敏性、喘息コントロール、発作、有害事象について報告したプラセボ対照試験を組み入れた。ランダムあるいは固定効果モデルを用いて、2治療群間のオッズ比と平均差を算出した。

結果:
 17研究がシステマティックレビューに組み込まれ、14研究をメタアナリシスした。背景の予測1秒量に異質性がみられたが、アウトカムについて異質性は観察されなかった。ロフルミラスト(500μg)は1秒量(平均差0.05L、95%信頼区間0.01-0.09、p=0.01)、ピークフロー、喘息コントロール、発作を有意に改善したが、メサコリンに対する気道過敏性はまちまちな結果であった。ホスホジエステラーゼ4阻害薬の使用は、頭痛(オッズ比3.99、95%信頼区間1.65-9.66、p=0.002)、悪心(オッズ比5.53、95%信頼区間1.38-22.17、p=0.02)などの有害事象が多かった。
e0156318_11333351.png
(文献より引用)

結論:
 軽症喘息患者において、経口ホスホジエステラーゼ4阻害薬は吸入気管支拡張薬の代替治療として考慮されてもよいかもしれない。


by otowelt | 2018-04-09 00:21 | 気管支喘息・COPD

メタアナリシス:SMART療法は喘息発作のリスクを減少

 このメタアナリシスに組み込まれている論文を個別に見ていると、少し気になるところがあります。
 Atienzaらの研究は、シムビコート®SMART療法 vs シムビコート®+テルブタリンの比較です。発作前に同じ吸入薬を連続で吸った方がよいという結果ですが、①そもそもテルブタリンよりもホルモテロールの方が発作抑制効果が強い、②テルブタリンのアドヒアランスが不良である(DPI+pMDIを両方使いこなせる人は確かに少ない)、③発作時に吸入ステロイド薬を追加的に吸うことにメリットがある、という3通りの解釈ができます。Rabeらの研究はテルブタリンではなくサルブタモールが比較対照です。Papiらの研究にいたっては、そもそもがベクロメタゾン+ホルモテロールの研究なのでシムビコート®のSMART療法を評価したものではありません。ゆえに、切り口は「用量ごと」ではなく「成分ごと」に評価するのが理想だと思います。使用しているICS/LABAやSABAに統一性がない場合、本当に妥当な解析と言えるのでしょうか。
 SMART療法がホルモテロールの恩恵を受けているのか、追加ICSの恩恵(AMD療法的な意味)を受けているのか定かではありませんが、サルメテロール以降に登場しているLABAの立ち上がり時間や作用時間をみていると、他のICS/LABAでもSMART療法が適用されてもよいのではと感じます。
 SMART療法を武器にして保険適用をとっているアストラゼネカの戦略はたいしたものです。ただ、シムビコート®の薬価をどうにかしてくれないと医師としては処方しにくいです。
 論文中に「出版バイアスの検定にプール解析が水準に達していなかった」と記載されていますが、さすがに明らかな出版バイアスがありますよね。

Sobieraj DM, et al.
Association of Inhaled Corticosteroids and Long-Acting β-Agonists as Controller and Quick Relief Therapy With Exacerbations and Symptom Control in Persistent Asthma: A Systematic Review and Meta-analysis.
JAMA. 2018 Mar 19. doi: 10.1001/jama.2018.2769. [Epub ahead of print]


背景:
 持続型喘息のマネジメントにおける潜在的治療レジメンとして吸入長時間作用性β刺激薬(LABA)
を用いたSMART療法がある。

目的:
 このシステマティックレビューおよびメタアナリシスでは、持続型喘息患者におけるSMART療法の効果を調べることである。

データ:
 MEDLINE、EMBASE、Cochraneデータベースなどを用いて2016年8月までの文献を抽出したあ(最終アップデート2017年11月28日)。2人のレビュアーが、SMART療法と吸入ステロイド薬(ICS)・ICS/LABAのコントロール治療+SABAによる発作時治療を比較したランダム化比較試験あるいは観察研究を抽出した。研究は5歳以上の患者をあつかった持続型喘息のものとした。ランダム効果モデルを用いてメタアナリシスをおこない、リスク比、リスク差、平均差をそれぞれ95%信頼区間とともに算出した。
 アウトカムは喘息発作とした。

結果:
 16のランダム化比較試験、22748人の患者が解析され、そのうちブデソニドとホルモテロールのDPIを用いたSMART療法を評価したのは15研究だった。12歳以上の患者22524人(平均年齢42歳、14634人[65%]が女性)において、SMART療法は同量ICS/LABAと比較して全身性ステロイド投与を要する喘息発作のリスクを軽減した(リスク比0.68[95%信頼区間0.58~0.80]、リスク差-6.4%[95%信頼区間―10.2~-2.6%])。また高用量ICS/LABAと比較してもリスク軽減が示された(リスク比0.77 [95%信頼区間0.60~0.98]; リスク差-2.8% [95%信頼区間-5.2%~-0.3%])。SMART療法の同様のリスク軽減効果は対ICSでも示された。
 なお、SMART療法はICS/LABAと比較して軽度の発作リスクを軽減しなかった(リスク比0.94[95%信頼区間-0.16~0.07]、リスク差-2.7%[95%信頼区間―5.2~-0.3%])。また、総死亡、ACQ-5、肺機能に対しても有意な効果はみられなかった。
e0156318_85953.png
(文献より引用)

 
 4歳から11歳の患者341人(年齢中央値8歳、69人[31%]が女性)では、SMART療法は高用量ICSと比較して喘息発作のリスクを減少させた(リスク比0.55 [95%信頼区間0.32~0.94]; リスク差-12.0% [95%信頼区間-22.5%~-1.5%])。これは、同用量ICS/LABAと比較しても同等だった(リスク比0.38 [95%信頼区間0.23~0.63]; リスク差-23.2% [95%信頼区間-33.6%~-12.1%])。

結論:
 持続型喘息患者のメタアナリシスにおいて、SMART療法は、その他のコントロール治療+SABAによる発作時治療と比べて喘息発作のリスクを減少させた。4~11歳の患者におけるエビデンスは限定的である。


by otowelt | 2018-04-05 00:48 | 気管支喘息・COPD

STELLAIR試験:好酸球数の高低を問わず成人重症喘息にオマリズマブが有効

e0156318_1637713.jpg ヌーカラ®とファセンラ®の登場によって混沌として参りました。

Humbert M, et al.
Omalizumab effectiveness in patients with severe allergic asthma according to blood eosinophil count: the STELLAIR study.
Eur Respir J. 2018 Mar 15. pii: 1702523. doi: 10.1183/13993003.02523-2017. [Epub ahead of print]


背景:
 オマリズマブは重症喘息の治療に用いられている抗IgEモノクローナル抗体である。STELLAIR試験の目的は、オマリズマブの効果予測指標として治療前好酸球数の重要性を調べることである。

方法:
 2015年12月~2016年9月まで、オマリズマブで治療された重症喘息の診療記録データを用いてフランスで後ろ向き研究が実施された。オマリズマブ反応性は、3基準設けた。①主治医評価、②年間発作率40%以上の減少、③両アウトカムの複合。

結果:
 オマリズマブ治療前好酸球数で層別化して治療奏効率を調べた。オマリズマブで治療を受けた872人の患者(723人が成人で、149人が6-17歳)が78人の医師によって登録された。治療前好酸球数が300/μL以上の患者は成人で52.1%、6-17歳で73.8%だった。主治医評価では、前者の67.2%、後者の77.2%がレスポンダーで、年間発作減少率40%以上を達成したのはそれぞれ71.1%、78.5%だった。成人では、奏効の複合基準を満たしたのは好酸球数300/μL以上の患者377人のうち58.4%(95%信頼区間53.2-63.4)、それ以下の患者346人のうち58.1%(95%信頼区間52.7-63.4)だった。

結果:
 この研究によれば好酸球数が300/μL以上の重症喘息の大部分にオマリズマブが有効であることが示された。また、好酸球数が低くても高くても成人患者には同治療が有効である。


by otowelt | 2018-04-02 00:00 | 気管支喘息・COPD

COPD患者ではフレイルが多い

e0156318_1633480.jpg 予想通りの結論です。

Alessandra Marengoni, et al.
The relationship between chronic obstructive pulmonary disease and frailty: a systematic review and meta-analysis of observational studies
CHEST DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.02.014


背景:
 フレイルは高齢者によくみられ、加齢に伴って身体的な筋力や精神的な活力が低下している虚弱化状態である。フレイルは、COPDなどの複数の慢性疾患の予後や治療アプローチに変化を与える。フレイルとCOPDの関連性はまだよくわかっていない。

目的:
 システマティックレビューおよびメタナアリシスにおいて、COPDとフレイル・プレフレイルの関連性を調べた。

方法:
 電子データベースから2002年1月以降の文献を調べ、2人の独立した研究者が文献の質を評価した。

結果:
 27研究(23つが横断研究、3つが縦断研究、1つが両方)が同定された。COPD患者におけるプレフレイルの状態は56%にみられた(95%信頼区間52-60%、I2=80%)。フレイルの状態は20%にみられた(85%信頼区間15-24%、I2=94.4%)。COPDのある人は、フレイルのリスクが高かった(オッズ比1.97、95%信頼区間1.53-2.53、I2=0%)。

結論:
 COPDではフレイルおよびプレフレイルの状態が多い。高齢者COPDではフレイルのリスクが倍増する。


by otowelt | 2018-03-21 00:04 | 気管支喘息・COPD

小児ウイルス性喘鳴に対するマグネシウム静注は無効

e0156318_1154073.png 成人喘息に対しても有効性が疑問視されています(Respirology. 2016 May;21(4):668-73. )。

重症喘息発作に硫酸マグネシウムの静注は効く?

Pruikkonen H, et al.
Intravenous magnesium sulfate for acute wheezing in young children: a randomised double-blind trial.
Eur Respir J. 2018 Feb 7;51(2). pii: 1701579.


背景:
 硫酸マグネシウムは、比較的成人に近い小児の喘息発作に効果的と言われているが、4歳未満の小児における重症ウイルス性喘鳴に対する効果は検証されていない。

方法:
 この研究では、生後4ヶ月~4歳までの61人の小児を登録した。適格基準は、初期サルブタモール治療が無効だったRDAI6点以上の重度のウイルス性喘鳴がある児とした。患児は、20分かけて硫酸マグネシウム40mg/kgの点滴あるいは生理食塩水の点滴を投与される群にランダムに割り付けられた。プライマリアウトカムは、RDAIスコアのベースラインからの変化とした。

結果:
 RDAIスコアの平均変化は、マグネシウム群で4.7±2.6点、プラセボ群で4.2±4.2点の変化だった(群間差0.5, 95%信頼区間-1.3 to 2.3, p=0.594)。

結論:
 重症ウイルス性喘鳴の小児に対する硫酸マグネシウムは無効である。


by otowelt | 2018-03-15 00:42 | 気管支喘息・COPD

STICS試験:小児に対するICS5倍戦略は重度の喘息発作の発生を減らさない

e0156318_1637713.jpg 小児に対する身長の懸念をあまり前面に出さないでほしいです。それを差し引いてもあまりある恩恵を受けているからです。


Daniel J. Jackso, et al.
Quintupling Inhaled Glucocorticoids to Prevent Childhood Asthma Exacerbations
N Engl J Med 2018; 378:891-901


背景:
 喘息は吸入ステロイド薬(ICS)などの喘息管理薬を定期的に使用していても、発作を起こす頻度が高い。臨床医は通常、喘息コントロール悪化の初期徴候があった場合、その期間にICSを増量する。しかし、小児におけるこの戦略の安全性と有効性に関するデータは限定的である。

方法:
 この研究では、軽症~中等症の持続型喘息で、過去 1 年間に全身性ステロイドで治療した喘息発作を1回以上起こしている5~11歳の小児254人を対象に検討した。低用量ICS(フルチカゾンプロピオン酸エステル44μg/吸入・1回2吸入1日2回)による維持療法を合計48週間適用したあと、同ICS量を継続する群(低用量群)と、喘息コントロール悪化の初期徴候がみられた期間(イエローゾーン)に5倍量(フルチカゾン 220μg/吸入・1回2吸入1日2回)を7日間吸入する群(高用量群)にランダムに割り付けた。治療は二重盲検下で行われた。全身ステロイド治療を要した重度の喘息発作の発生率をプライマリアウトカムとした。

結果:
 全身ステロイド治療を要した重度の喘息発作の発生率について、治療群間で有意差はなかった(高用量群0.48回/年 vs 低用量群0.37回/年、相対的比率1.3、95%信頼区間0.8-2.1、P=0.30)。初回発作までの期間、治療失敗率、喘息症状スコア、イエローゾーンでのアルブテロール使用にも、群間差はなかった。ステロイド総曝露量は高用量群のほうが低用量群よりも16%多かった。高用量群と低用量群の身長の伸びの差は-0.23 cm/年であった(P=0.06)。

結論:
 ICSを毎日使用している軽症~中等症の持続型喘息の小児において、喘息コントロール悪化の初期徴候を観察される期間にステロイドを5倍に増量しても、重度の喘息発作の発生率は低下しなかった。また、小児においては身長の伸びの減少と関連する可能性がある。


by otowelt | 2018-03-13 00:51 | 気管支喘息・COPD