カテゴリ:気管支喘息・COPD( 508 )

GOLD2019総括、および好酸球数とCOPD増悪の関連

 先日、GOLD2019を読み終わった。お風呂に入りながら、また、子供を寝かしつけながら読んだのですが、2~3時間かかってしまいました。まだまだ英語を読むのはヘタクソのようです。
 GOLD2019で強調されたのは、まずは初期治療について理解してもらい、ICSを使う集団を規定したことです。これで、よほどのことがなければ初期治療でICS/LABAが入らないことになります。これまでのガイドラインでは、重症度A~Dでは合剤に関する初期治療選択肢まで示されていましたが、今回初めて「初期治療」と「フォローアップ治療」の2アルゴリズムに分け、あくまでGOLDはステップアップを推奨する立場にしました。後者に関しては「呼吸困難優位タイプ」と「増悪優位タイプ」の2フローがあります。増悪優位の場合にICSを使ってもよいかもしれませんが、末梢血好酸球が高いほど効果があります。
e0156318_9273713.png
(GOLD2019より改変引用)
e0156318_9274668.png
(GOLD2019より改変引用)

 IJCOPDでFORWARD試験とDransfieldの反復試験の統合解析が報告されていたので、読んでみました。

Siddiqui SH, et al.
Blood eosinophils: a biomarker of COPD exacerbation reduction with inhaled corticosteroids.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018 Nov 6;13:3669-3676.


背景:
 現行のエビデンスによれば、血中好酸球数は吸入ステロイド薬(ICS)に対する患者反応性と関連していることが支持されている。われわれは、FORWARD試験データおよびDransfieldらの反復2試験の事後予測モデルリングを立案し、ベースラインの好酸球数とCOPD患者の増悪や肺機能に及ぼすICSの影響を調べた。

方法:
 この研究では、ICS/吸入長時間作用性β2刺激薬(LABA)併用とLABA単剤を比較した。それぞれの研究データを用いて、COPD増悪率、気管支拡張薬投与前1秒量、SGRQスコア(これはFORWARD試験のみのデータ)に対する解析において、連続変数として好酸球数を適用した(FORWARD試験:0-1,000/µL、Dransfieldらの試験:0-993/µL)。

結果:
 すべての研究において、LABA単剤と比較するとICS/LABAは好酸球数を問わずCOPD増悪を減少させた。ベースラインの末梢血好酸球数が上昇するほどその減少は大きかった。FORWARD試験では、好酸球数0~1,000/μLのとき、ICS/LABA群の年間増悪率は0.78-0.83回/年で、LABA単独群の年間増悪率は0.81-1.54回/年だった。Dransfieldらの研究では、好酸球数0~993/μLのとき、ICS/LABA群の年間増悪率は0.56-1.75回/年で、LABA単独群の年間増悪率は0.81-1.54回/年だった。FORWARD試験では、ICS治療を受けた患者で1秒量の変化は好酸球数と関連しておらず、Dransfieldらの研究では、高い好酸球数の場合に1秒量の治療利益が増加するという結果が得られた。FORWARD試験で好酸球数が67/μL以上の患者では、ICS/LABAはLABA単剤と比較するとSGRQ総スコアの大きな改善と関連していた。

結論:
 COPD患者において、末梢血好酸球数高値は、増悪抑制という観点ではICSの臨床的利益の向上と関連していた。さらなる前向き研究において、治療推奨バイオマーカーとしての末梢血好酸球の必要性を調べる必要があるだろう。





by otowelt | 2018-12-01 00:13 | 気管支喘息・COPD

ネットワークメタアナリシス:ICSに併用する各LABAに差はない

e0156318_1637713.jpg 当然と言えば当然の結果です。

Tang Y, et al.
The efficacy and safety of different long-acting β2-agonists combined with inhaled glucocorticoid regimens in patients with asthma: a network meta-analysis.
J Asthma. 2018 Oct 25:1-13. doi: 10.1080/02770903.2018.1531991. [Epub ahead of print]


目的:
 喘息患者において、現行の吸入ステロイド(ICS)と異なる長時間作用性β2刺激(LABA)の併用レジメンの維持治療の効果と安全性を同定すること。

方法:
 PubMed、Cochrane Library、Embaseデータベースにおいて2017年1月までの妥当な研究を包括的に調べた後、ネットワークメタアナリシス(NMA)を実施した。喘息患者においてICSと併用したLABAを比較したランダム化比較試験を選択した。

結果:
 17試験が解析に組み込まれ、10,961人および7治療レジメンが登録された。われわれのNMAでは、中等症あるいは重症の増悪に関して、薬剤間に統計学的有意差はみられなかった。副作用についても、研究間に有意差はなかった。さらに、6試験の結果では無症状日数に関しても薬剤間に統計学的有意差はなかった。異質性と不一致のアウトカム解析でも、レジメン間に差はなかった。

結論:
 われわれの知見によれば、中等症あるいは重症の増悪、副作用、無症状日数に関して、ICSに併用した異なるLABAの間に統計学的有意差はなかった。





by otowelt | 2018-11-30 00:48 | 気管支喘息・COPD

気温変動は喘息における気道炎症を悪化させる

e0156318_1637713.jpg マウスを用いた研究です。

Du C, et al.
Repeated exposure to temperature variation exacerbates airway inflammation through TRPA1 in a mouse model of asthma.
Respirology. 2018 Nov 15. doi: 10.1111/resp.13433. [Epub ahead of print]


背景および目的:
 疫学研究によれば、環境温は喘息の基礎トリガーや潜在的原因の1つとされている。この研究の目的は、BALB/cマウスの実験モデルを用いて、温度によって誘発された気道炎症の影響を調べることである。

方法:
 マウスは異なる気温条件に置かれ(26℃安定、26℃/18℃のサイクル、26℃/10℃のサイクル)、21日間の間オボアルブミン(OVA)による感作と投与を受けた。選択的TRP(transient receptor potential)A1チャネルブロッカーであるHC030031が、“喘息”気道におけるTRPA1のメカニズムを調べるために用いられた。最終OVA投与後、in vivoにおける肺機能が測定され、気管支肺胞洗浄液(BALF)と肺炎症が解析された。

結果:
 気温の変化は、特に大きく変動する場合(16℃)、OVA誘発マウスでは気道炎症が増悪し、血清総IgEおよびIgG1が上昇し、BALF中の炎症性細胞とサイトカインが上昇した。極度の寒さと気温の変化に繰り返し暴露させることで気道過敏性(AHR)が悪化するかどうか組織病理学的変化を解析し肺機能の変化を調べた。大きな気温変動(26℃/10℃サイクル)の存在は、免疫組織化学的にTRPA1発現に有意なアップレギュレーションを起こした。また、HCO30031の投与は、TRPA1発現を想定通り阻害し、喘息様の病理学的特徴を減少させた。

結論:
 気温の変動に繰り返し暴露させることで、実験的な“喘息”およびTRPA1を介在した気温依存性の炎症性変化が増悪した。





by otowelt | 2018-11-29 00:23 | 気管支喘息・COPD

BORA試験:ファセンラ®の長期安全性

e0156318_17331245.png ファセンラ®の長期安全性についての報告です。

Busse WW, et al.
Long-term safety and efficacy of benralizumab in patients with severe, uncontrolled asthma: 1-year results from the BORA phase 3 extension trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30406-5


背景:
 ベンラリズマブは喘息患者において増悪を安全に減らし肺機能を改善させることが示されている、抗IL-5受容体α鎖モノクローナル抗体製剤である。われわれは、重症コントロール不良好酸球性喘息に対するベンラリズマブの長期的な安全性と有効性をアセスメントした。

方法:
 われわれはランダム化二重盲検並行群間第3相拡大試験を24か国447施設で実施した。適格患者はSIROCCO試験あるいはCALIMA試験を完遂し、ベンラリズマブ30mg4種ごとあるいは8週ごとを継続しているものとした。この研究でプラセボ群だった患者は、相互ウェブベースシステムを用いて再度1:1にランダム化され、ベンラリズマブ30mg4週ごとあるいは8週ごと(後者は最初の3回は4週ごとと規定)のいずれかに割り付けられた。成人患者(18歳以上)では治療は56週間継続され、青年期患者(12~17歳)は108週間継続された。プライマリエンドポイントは、成人患者では68週間まで、青年期患者では56週間までの、ベンラリズマブの2用量レジメンの安全性と忍容性である(治療後の追跡外来も含む)。このエンドポイントは、BORA試験で少なくとも試験薬を1回投与されたSIROCCO試験およびCALIMA試験の経験者でその他の研究に継続登録されていない患者における、最大の解析対象集団でアセスメントされた。

結果:
 2014年11月19日から2016年7月6日までに1926人の患者が登録され、SIROCCO試験あるいはCALIMA試験における633人がベンラリズマブ4週ごと、639人がベンラリズマブ8週ごとに割り付けられた。残る654人はこれらの研究でプラセボ群であり、再度ランダムにベンラリズマブ4週ごと(320人)あるいは8週ごと(334人)に割り付けられた。ベンラリズマブを4週ごとに投与された783人(265人が新規割り付け)およびベンラリズマブを8週ごとに投与された793人(281人が新規割り付け)が、最大の解析対象集団に組み込まれた。
 ベースライン時の血中好酸球数が300/μL以上の患者の74%は、投与2年目のBORA試験実施期間中に喘息増悪を起こさず、呼吸機能および喘息コントロールの改善が維持された。
e0156318_17335372.png
(文献より引用)

 もっともよくみられた有害事象は、ウイルス性上気道感染症(14~16%)で、喘息の悪化(3~4%)、肺炎(1%未満~1%)、細菌感染症による肺炎(0-1%)と続いた。BORA試験のあいだ、治療中断にいたったような治療関連有害イベント、重篤な有害イベント、有害イベントを起こした患者比率は、もともとベンラリズマブ群に割り付けられた患者、プラセボ群に割り付けられた患者、いずれのベンラリズマブ治療レジメンの患者においても同等だった。SIROCCO試験あるいはCALIMA試験(71-75%:ベンラリズマブ群のみ)とBORA試験(65-71%)の間で、有害イベントを起こした患者比率は同等で、治療中断にいたった有害イベントがあった患者比率も同等だった(SIROCCO試験あるいはCALIMA試験:2% vs BORA試験2-3%)。
結論:
 2年間のベンラリズマブの安全性の結果は、初年度に観察された安全性知見が2年目まで続いたことを示している。長期的好酸球の枯渇による新たな有害事象は起こらず、2年目のその他の有害イベント、日和見感染症についても同等だった。

資金提供:
 アストラゼネカ株式会社および協和発酵キリン株式会社。





by otowelt | 2018-11-28 00:55 | 気管支喘息・COPD

安定期COPD患者における血清エンドカン

e0156318_135223100.jpg いわゆる、ESM-1ですね。

Pihtili A, et al.
Serum endocan levels in patients with stable COPD.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2018 Oct 15;13:3367-3372.


背景:
 エンドカンと呼ばれる内皮細胞特異的分子-1は、デルマタン硫酸プロテオグリカンであり、肺の肺胞壁や腎臓の内皮に発現している。高いエンドカンレベルは内皮機能障害や炎症と関連している。われわれは、エンドカンは全身性炎症および内皮機能障害によりCOPDでも高くなると仮説を立てた。われわれは、安定期COPD患者のエンドカン発現を調べた。

材料および方法:
 本研究にはCOPD患者と健常者が組み入れられた。COPD患者はGOLD2017基準に基づいて分類された。背景、BMI、喫煙歴、合併症が記録された。COPD患者および健常者のエンドカンレベルが比較された。

結果:
 合計88人(47人が安定期COPD患者、41人が健常者)が評価された。エンドカンレベルは、健常者群と比較して有意にCOPD患者で上昇していた(860.1±259.8 vs 647.3±316.9 pg/mL, P=0.001)。GOLD COPDカテゴリーとエンドカンレベルには関連性はなかった。エンドカンレベルは低酸素血症があるCOPD患者と低酸素血症がないCOPD患者では同等だった。

結論:
 安定期COPD患者では血清エンドカンレベルが上昇する。エンドカンとCOPDの関係をより理解するためにさらなる研究がおこなわれるべきである。




[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

科学的認知症診療5Lessons [ 小田陽彦 ]
価格:3240円(税込、送料無料) (2018/11/2時点)



by otowelt | 2018-11-26 00:13 | 気管支喘息・COPD

小児における%1秒量とFeNOの変化量は将来の喘息アウトカムリスクを予測

e0156318_1637713.jpg FeNOの測定機器を置いている施設はまだ少ないみたいですね。

Fielding S, et al.
Change in FEV1 and FeNO measurements as predictors of future asthma outcomes in children.
Chest. 2018 Oct 22. pii: S0012-3692(18)32590-X. doi: 10.1016/j.chest.2018.10.009. [Epub ahead of print]


背景:
 スパイロメトリーと呼気一酸化窒素濃度(FeNO)を繰り返し測定することは、小児喘息マネジメントの一環として推奨されているが、こうした推奨の根拠となるエビデンスは少ない。われわれは、スパイロメトリー指標の減少あるいはFeNOの増加が将来の喘息アウトカム不良を予測するのではないかと仮説を立てた。

方法:
 1段階法による個別患者情報メタアナリシスでは、FeNOを喘息治療のガイドに用いて、スパイロメトリー指標も測定された7つのランダム化比較試験データを用いた。ベースラインおよび3ヶ月時の%1秒量およびFeNOの%変化量と、ベースラインから3~6ヶ月における喘息コントロール不良および喘息増悪を関連づけて調べた。

結果:
 1112人の小児(平均年齢12.6歳、平均%1秒量94%)からデータが得られた。ベースラインから3ヶ月時の%1秒量が10%減少すると、ベースラインから6ヶ月後の喘息増悪のオッズ比が28%上昇し(95%信頼区間3-58)、喘息コントロール不良のオッズ比が21%上昇した(95%信頼区間1-45)。ベースラインから3ヶ月時のFeNOが50%上昇すると、ベースラインから6ヶ月後の喘息コントロール不良のオッズ比が11%上昇した(95%信頼区間0-16)。ベースラインのFeNOおよび%1秒量は3ヶ月時の喘息アウトカムとは関連していなかった。

結論:
 典型的には"正常”範囲にある%1秒量でも繰り返し測定することで、小児における将来の喘息アウトカムに臨床リスクアセスメントを加えることができる。FeNOの大きな変化はアウトカムリスクの小さな変化と関連していたため、繰り返しFeNOを測定する役割ははっきりしない。


by otowelt | 2018-11-20 00:40 | 気管支喘息・COPD

実臨床集団における妥当なFeNOカットオフ値について

e0156318_1637713.jpg 日本では35ppbがカットオフ値として用いられることがガイドラインで推奨されています。

Jeppegaard M, et al.
Validation of ATS clinical practice guideline cut-points for FeNO in asthma.
Respir Med. 2018 Nov;144:22-29.


背景:
 アメリカ胸部学会(ATS)は、喘息における好酸球(EOS)性気道炎症をモニターするために呼気一酸化窒素濃度(FeNO)を測定することを支持しているが、実臨床集団における妥当なカットポイント提唱が必要とされている。

目的:
 喘息患者の実臨床において、ATSによって支持された妥当なFeNOカットポイントの妥当性を喀痰EOS数に関連づけて調べること。

方法:
 全患者は、連続して喘息の専門家による12ヶ月アセスメントに紹介され、FeNOおよび誘発喀痰が検査された。12ヶ月後に再び検査された。喀痰EOSカットオフ≧3%に対する陽性適中率(PPV)および陰性適中率(NPV)が計算された。FeNOの変化は、ATS基準に従って定義された(FeNO<50ppbのときは、>20%あるいは10ppbの変化)。

結果:
 144人の成人喘息患者が調査された(59%が女性)。ベースラインでFeNOが低かったのは(<25ppb)94人(65%)で、FeNOが25~50ppbだったのは34人(24%)、高FeNO(>50ppb)だったのは16人(11%)だった。FeNO>25ppbおよび>50ppbがEOS≧3%を予測するPPVはそれぞれ45%、77%だった。NPVはそれぞれ88%、83%だった。>50ppbをカットオフに設定すると、感度は70%から37%へ減少した。FeNOの有意な減少は、喀痰EOSの減少と関連していた(p = 0.01)。

結論:
 この知見は、喘息における好酸球性気道炎症をモニターするためのATSによるFeNOカットポイントの妥当性を支持するものである。しかしながら、実臨床集団では、 大部分の患者がFeNO濃度が中間的な位置にあるため、ATSのFeNOカットポイントを臨床適用する上で制限があるかもしれない。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

呼吸器内科実践NAVI “近中”の極意 [ 林 清二 ]
価格:4860円(税込、送料無料) (2018/5/22時点)



by otowelt | 2018-11-19 00:08 | 気管支喘息・COPD

INHALATOR試験:COPD患者のブリーズヘラーとレスピマットの選択

e0156318_1633480.jpg ブラジルの研究です。

Oliveira MVC, et al.
Evaluation of the preference, satisfaction and correct use of Breezhaler® and Respimat® inhalers in patients with chronic obstructive pulmonary disease - INHALATOR study.
Respir Med. 2018 Nov;144:61-67.


背景:
 INHALATOR試験は、軽症あるいは中等症COPD患者の単剤治療として、市販されているスピリーバ®あるいはオンブレス®を毎日使用している患者における、ブリーズヘラー®およびレスピマット®適正使用、満足度、好みを評価するための、ランダム化多施設共同オープンラベルクロスオーバー試験である。それぞれ7日間で2期間実施された。

方法:
 少なくとも10pack-yearの喫煙歴がある40歳以上の患者が研究に組み入れられた。プライマリエンドポイントは、薬剤リーフレット情報を読んだ後の治療初日の適正使用率で、訓練を受けた監督評価者のもと評価された。治療終了時に、吸入薬使用が再評価され、満足度についての質問票回答を完遂した。試験終了時には、患者の吸入デバイスの好みもアセスメントされた。

結果:
 スクリーニング失敗による除外ののち、140人の患者がランダム化された。136人が少なくとも1回のブリーズヘラー®、135人がレスピマット®を吸入した。治療開始時、吸入薬の適正使用率はブリーズヘラー®40.4%(95%信頼区間32.2%-48.7%)、レスピマット®36.3% (95%信頼区間28.2%-44.4%)だった(p = 0.451)。7日後、その頻度はそれぞれ68.9% (95%信頼区間61.1%-76.7%)、60.4% (95%信頼区間52.2%-68.7%)になった(p = 0.077)。
e0156318_2258352.jpg
(文献から引用)

 試験終了時、どちらの吸入薬がよいかを問われると、半分以上の患者(57.1%)がブリーズヘラー®を選択し、30.1%がレスピマット®を、12.8%はいずれのデバイスも選ばなかった。
e0156318_2259056.jpg
(文献から引用)

結論:
 この研究では、ブラジルにおけるCOPD患者は、レスピマット®よりもブリーズヘラー®を好んだ。

※この研究ではOnbrizeという商品名。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

呼吸器内科実践NAVI “近中”の極意 [ 林 清二 ]
価格:4860円(税込、送料無料) (2018/5/22時点)



by otowelt | 2018-11-16 00:38 | 気管支喘息・COPD

COPDに対する初期治療でICS/LABAを用いるべき条件

e0156318_1633480.jpg ACOの基準には当てはまらないけれど、喘息コンポーネントを持ったCOPD患者さんというのは存在するので、それほど目新しい知見ではないと思います。

Samy Suissa, et al.
Comparative effectiveness of LABA-ICS versus LAMA as initial treatment in COPD targeted by blood eosinophils: a population-based cohort study
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30368-0


背景:
 長時間作用性β2刺激薬(LABA)および長時間作用性抗コリン薬(LAMA)は、COPDの初期治療として推奨されており、ほぼすべてのLABAは吸入ステロイド(ICS)との固定併用製剤(LABA-ICS)が提供されている。われわれは、リアルワールドセッティングにおいて、潜在的なICSの有効性バイオマーカーである血中好酸球に応じたLABA-ICSの初期治療の有効性と安全性をLAMAと比較した。

方法:
 この集団ベースコホート研究において、われわれは2002年~2015年の間、イギリス臨床プラクティス研究データリンクから登録された55歳以上のCOPD患者で、LAMAあるいはLABA-ICSで治療を開始されたコホートを同定した。同じ日に両気管支拡張薬を開始された患者は除外された。すべての患者はコホート登録前に少なくとも1年の病歴があって、血中好酸球濃度を登録前に測定しており、気管支拡張薬を最初に処方された日をもって登録開始とした。LAMAを開始された患者は、LABA-ICSを開始された患者と高次元傾向スコアに基づいてマッチされた。患者は1年間追跡され、中等症あるいは重症COPD増悪および重症肺炎の発生が観察された。好酸球濃度を2レベル設定し感度解析をおこない、現在の喘息や過去のCOPD増悪既往によって層別化した。

結果:
 2002年1月1日から2015年12月31日までに、コホート内で53万9643人のLABAあるいはLAMAが処方され、そのうち18500人がLABA-ICS、13870人がLAMAされた。傾向スコア分析に12366人のLAMA群(主にチオトロピウム)と12366人のLABA-ICS群が組み入れられた。COPD増悪のハザード比はLAMA群と比較するとLABA-ICS群で0.95(95%信頼区間0.90-1.01)だった。好酸球比率が白血球の2%未満の患者ではハザード比は1.03(95%信頼区間0.93-1.13)、好酸球比率が2-4%の患者ではハザード比は1.00(95%信頼区間0.93-1.13)となった。好酸球比率が4%を超える患者では、ハザード比は0.79(95%信頼区間0.70-0.88)だった。肺炎の頻度はLABA-ICS開始で増加し(ハザード比1.37、95%信頼区間1.17-1.60)、これは好酸球濃度がどの場合であっても同等だった。感度解析でもこれらの知見と一致していた。

結論:
 リアルワールドにおける観察研究では、COPDの初期治療にLABA-ICS吸入を用いることは、LAMAと比較して好酸球比率が高い例(>4%)、好酸球数が高い例(>300/μL)、そしておそらく増悪の頻度が高い例においてより効果的に作用することが示された。ICS成分に関連した肺炎の増加のため、LAMAで開始することは血中好酸球比率が4%未満の患者に適用すべきと考えられる。


[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

呼吸器内科実践NAVI “近中”の極意 [ 林 清二 ]
価格:4860円(税込、送料無料) (2018/5/22時点)



by otowelt | 2018-11-02 00:53 | 気管支喘息・COPD

TWICS試験:吸入ステロイドを使用しているCOPD患者に対する低用量テオフィリンはCOPD増悪を減らさない

e0156318_1633480.jpg 日本ではキサンチン誘導体はまだ「効果がある」という風潮ですが、海外では逆風です。

Devereux G, et al.
Effect of Theophylline as Adjunct to Inhaled Corticosteroids on Exacerbations in Patients With COPD. A Randomized Clinical Trial
JAMA. 2018;320(15):1548-1559.


背景:
 COPDは世界的に主要な健康問題であり、テオフィリンが広く用いられている。臨床前研究では、テオフィリンの血清濃度が低いこと(1-5mg/L)が、COPDにおけるステロイドの抗炎症作用を高めることが示されている。

目的:
 COPDにおける吸入ステロイドに低用量テオフィリンを加えることの効果を検証する。


デザイン、状況、被験者:
 このTWICS研究は、2014年2月6日から2016年8月31日までCOPD患者を登録した実践的二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験である。最終追跡は2017年8月31日である。被験者は、過去1年で少なくとも2回の増悪(抗菌薬、経口ステロイド、あるいはその両方)を経験し、吸入ステロイドを用いている、1秒率(1秒量/努力性肺活量)が0.7未満の患者である。この研究には、121のイギリスの一次・二次医療施設から1578人の被験者が登録された。
 
介入:
 被験者は、血清濃度が1-5mg/L(理想体重および喫煙ステータスで定義)になるよう低用量テオフィリン(200mg1日1回あるいは1日2回)を受ける群(791人)あるいはプラセボ群(787人)にランダムに割り付けられた。

主要アウトカム:
 1年の治療期間中、抗菌薬、経口ステロイド、あるいはその両方を要した、患者報告による中等症あるいは重症増悪の数。

結果:
 解析された1567人の被験者のうち、平均(標準偏差)年齢は68.4(8.4)歳で、54%(843人)が男性だった。プライマリアウトカムは1536人(98%)でデータ評価が有効だった(テオフィリン群772人、プラセボ群764人)。合計3430の増悪があった:テオフィリン群1727人(平均2.24[95%信頼区間2.10~2.38]増悪/年)、プラセボ群1703人(平均2.23[95%信頼区間2.09~2.37]増悪/年);非補正平均差0.01 (95%信頼区間−0.19~0.21)、補正罹患率比0.99 (95%信頼区間0.91~1.08)。テオフィリン群およびプラセボ群における重篤な有害事象イベントには、循環器系2.4% vs 3.4%、消化器系2.7% vs 1.3%、悪心(10.9% vs 7.9%)および頭痛(9.0% vs 7.9%)などの副反応が含まれた。

結論と関連性:
 増悪のリスクが高い吸入ステロイド治療を受けている成人COPD患者では、低用量テオフィリンを加えることは、プラセボと比較して1年間のCOPD増悪の数を減らさなかった。この知見は、COPD増悪を予防するために吸入ステロイドに低用量テオフィリンを補助的に用いることを支持しない。





by otowelt | 2018-10-31 00:33 | 気管支喘息・COPD