カテゴリ:気管支喘息・COPD( 592 )

仮想現実(VR)を用いた呼吸リハビリテーションプログラムの有効性

仮想現実(VR)を用いた呼吸リハビリテーションプログラムの有効性_e0156318_23193016.png IJCOPDにしては珍しいジャンルの論文ですね。

Rutkowski S, et al.
Virtual Reality Rehabilitation in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease: A Randomized Controlled Trial.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2020 Jan 13;15:117-124.


目的:
 この研究で、COPD患者の入院ベースでの非没入型仮想現実(VR)トレーニングを用いたリハビリテーションプログラムを、従来の呼吸リハビリテーションプログラムを比較した。この研究の目的は、①VRと運動トレーニング(ET)の両方を備えたリハビリテーションが、ETと同等の利益をもたらすかどうか、②ETではなくVRトレーニングを特徴とするリハビリテーションが同等の利益をもたらすかどうか、をみることである。

患者および方法:
 この研究では、COPD患者106人に対して2週間の高強度リハビリを週5回おこなった。3群にランダム化され、34人の患者が持久力ETを含む従来の呼吸リハビリテーションプログラムに参加し、38人の患者が持久力ETとVR(ET+VR)の両方を含む従来の呼吸リハビリテーションに参加し、34人の患者がVRトレーニングを含む呼吸リハビリテーションプログラムに参加した(持久力ETは含まない)。VRトレーニングにXbox360®およびKinect®Adventuresソフトウェアが用いられた。プライマリアウトカムは、Senior Fitness Testの変化とした。線形混合効果モデルを使用して解析された。

結果:
 ETおよびET+VRの比較では、ET+VRはETよりもArm Curl (p<0.003), Chair stand(p<0.008), Back scratch(p<0.002), Chair sit and reach (p<0.001), Up and go (p<0.000), 6分間歩行試験(p<0.011)が良好だった。一方、ETとVRを比較すると、VRはETよりもArm Curl (p<0.000), Chair stand (p<0.001), 6分間歩行試験(p<0.031).が良好だった。

結論:
 VRトレーニングを用いた呼吸リハビリテーションプログラムは、COPD患者に対する利益がある。


by otowelt | 2020-02-14 00:01 | 気管支喘息・COPD

ネットワークメタアナリシス:喘息増悪に対する生物学的製剤の比較

ネットワークメタアナリシス:喘息増悪に対する生物学的製剤の比較_e0156318_22305171.png 細かい使い分けについてはエキスパートオピニオンがありますが、基本的には総じて横並びといった感じでしょうか。

Ramonell RP, et al.
Effect of Anti-IL5, Anti-IL5R, Anti-IL13 Therapy on Asthma Exacerbations: A Network Meta-analysis.
Lung. 2020 Jan 1. doi: 10.1007/s00408-019-00310-8.


背景:
 過去10年間、重症喘息に対するいくつかの新治療法が利用可能となった。しかし、特定の患者集団における使用をガイドするデータはほとんどない。

目的:
 重症好酸球性喘息患者における喘息増悪を予防する上で、FDA承認のモノクローナル抗体製剤の効果を比較するためにネットワークメタアナリシスを実施した。

方法:
 喘息増悪の予防におけるベンラリズマブ、デュピルマブ、メポリズマブ、レズリズマブの有効性を研究したランダム化比較試験について、PubMedおよびOvidを用いて2019年7月まで検索された。重症好酸球性喘息患者(好酸球絶対数250/μL以上と定義)データが有効な研究を用いた。喘息の年間増悪率(治療中)が算出され、log率比に変換された。Rによる頻度論的方法ネットワークメタアナリシスを用いて直接および間接治療推定(薬物間の差)が解析され、Pスコアに基づいて治療がランク付けされた。

結果:
 全体で9つの研究が最終的な解析対象となった。ネットワークメタアナリシスによると、全薬剤はプラセボよりも喘息増悪予防に有効で、薬剤間の差は観察されなかった。P-スコア(0.83)に基づくと、デュピルマブが喘息増悪のlog率比を減少させる効果がもっとも大きかった。
ネットワークメタアナリシス:喘息増悪に対する生物学的製剤の比較_e0156318_22281225.png
(感度分析:文献より引用)

結論:
 ベンラリズマブ、デュピルマブ、メポリズマブ、レスリズマブはすべて好酸球性喘息患者の喘息増悪の減少と関連しており、薬剤間の有意な差は観察されなかった。




by otowelt | 2020-02-12 00:06 | 気管支喘息・COPD

SABINAプログラムコホート:SABA過剰使用は喘息増悪リスクや死亡率上昇と関連

SABINAプログラムコホート:SABA過剰使用は喘息増悪リスクや死亡率上昇と関連_e0156318_82080.png 「保険で持っておきたいの・・・」という患者さんは結構いらっしゃるので、年2缶はザラにありそうですが・・・。

Nwaru B, et al.
Overuse of short-acting β2-agonists in asthma is associated with increased risk of exacerbation and mortality: A nationwide cohort study of the global SABINA programme.
Eur Respir J. 2020 Jan 16. pii: 1901872. doi: 10.1183/13993003.01872-2019.


背景:
 短時間作用性β2刺激薬(SABA)の過剰使用は、喘息コントロール不良・健康アウトカム不良を示唆する。喘息の増悪と死亡率に対するSABA使用のリスク因子と影響に対する現代の人口ベースのデータは不足しており、世界的なSABINA(SABA use IN Asthma)プログラムを開始している。

方法:
 スウェーデン国内登録のリンクデータにより、2006年~2014年に閉塞性肺疾患に対して2回以上処方された12~45歳の喘息患者が登録された。SABA過剰使用は、1年にSABAが2缶を超えて処方されたものと定義された。SABAは、年あたり3-5缶、6-10缶、11缶以上の処方で3群に分けられた。Cox回帰により、SABA使用と増悪(入院や経口ステロイドを要するもの)および死亡率の関連が調べられた。

結果:
 365324人の喘息患者(平均年齢27.6歳、55%が女性)が解析に組み込まれ、平均追跡期間は85.4ヶ月だった。約30%にSABA過剰使用がみられた(21%が年あたり3-5缶、7%が6-10缶、2%が11缶以上)。SABAの過剰使用は、年2缶以下のSABA処方と比較して、喘息増悪のリスクを上昇させた(3-5缶:ハザード比1.26; 95%信頼区間1.24-1.28; 6-10缶:ハザード比1.44; 95%信頼区間1.41-1.46、11缶以上:ハザード比1.77、95%信頼区間1.72-1.83) 。また、年2缶以下のSABA処方と比較して、SABA過剰使用は死亡リスクも上昇させた(2564人の死亡が確認)(3-5缶:ハザード比1.26; 95%信頼区間1.14-1.39、 6-10缶:ハザード比1.67; 95%信頼区間1.49-1.87、11缶以上:ハザード比2.35, 95%信頼区間2.02-2.72)。
SABINAプログラムコホート:SABA過剰使用は喘息増悪リスクや死亡率上昇と関連_e0156318_8354045.png
(喘息増悪リスク:文献より引用)

結論:
 スウェーデンの喘息患者の3分の1が、年あたり3本以上SABAを使用していた。SABA過剰使用は、増悪リスクや死亡率の上昇と関連していた。これらの知見は、SABA使用モニタリングが喘息管理を改善する上で重要であることを強調している。




by otowelt | 2020-02-10 00:56 | 気管支喘息・COPD

血清好酸球数はCOPD急性増悪の予測バイオマーカー

血清好酸球数はCOPD急性増悪の予測バイオマーカー_e0156318_1764121.png 過去にいろいろなコホートで研究されている内容ですね。

Wu HX, et al.
Peripheral Blood Eosinophil as a Biomarker in Outcomes of Acute Exacerbation of Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Dec 24;14:3003-3015.


目的:
 COPDの治療効果とフェノタイプに好酸球値が相関するというエビデンスが蓄積されている。この研究は、COPD急性増悪患者における好酸球値と臨床アウトカムの関連性を明らかにすることを目的とした。
 
方法:
 3つの教育病院において、前向き多施設共同観察コホート研究が実施された。患者は、四分位(0、0.7、2.55)および血中好酸球数絶対値(0、0.05×109/L、0.17×109/ L)に応じて低値→高値に4グループ化された。

結果:
 研究には493人のCOPD急性増悪患者が登録された。
 パーセンタイルで分けられた集団において、グループ1(最も低い群)は、グループ4(最も高い群)と比較して有意に入院期間が長く(12日 vs 10日、p=0.005)、非侵襲性換気を適用されやすく(29.5% vs 23.6%、p=0.007)、心不全が多かった(48.4% vs 28.5%、p=0.001)。また、グループ1は、グループ3・4と比較して、呼吸不全や心肺疾患の合併率が高かった(54.8% vs 34.8%, p = 0.002; 54.8% vs 35%, p = 0.003)。
 絶対値で分類した場合、グループ1はグループ3と比較して非侵襲性換気を適用されやすく(41.1% vs 21.7%, p=0.001)、グループ3・4と比較して心不全が多く(48.1% vs 30.2%, p = 0.003; 48.1% vs 30.4%, p = 0.005)、呼吸不全が多く(50.8% vs 32.2%, p = 0.004; 50.8% vs 34.1%, p = 0.008)、心肺疾患合併率が高かった(51.9% vs 34.1%, p = 0.004; 51.9% vs 33%, p = 0.003)。
 絶対値で分類した場合入院期間に有意差がみられたが(p=0.002)、一対比較では有意ではなかった。ICU入室および死亡率は、2つのコホートで異なり、一対比較で差はなかった。

結論:
 血清好酸球値が低い患者では臨床アウトカムが不良であった。好酸球値は、COPD急性増悪を予測するバイオマーカーになるかもしれない。




by otowelt | 2020-01-31 00:39 | 気管支喘息・COPD

吸入ステロイドは気管気管支軟化症と関連

吸入ステロイドは気管気管支軟化症と関連_e0156318_1537473.png コントロール群をマッチした方法があまりよくわかりませんでした。本文中に「ランダムに選択した」と書かれていましたが、選択バイアスは大丈夫でしょうか。

VarunShah, et al.
Association between Inhaled Corticosteroids and Tracheobronchomalacia.
CHEST, https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.12.023


目的:
 われわれの研究の目的はICS使用と気管気管支軟化症(TBM)の関連を調べることである。

方法:
 われわれは、TBMの有無を問わず、喘息とCOPD患者を後ろ向きに解析した。TBM患者は、胸部CT、軟性気管支鏡検査により診断された(呼吸時に50%以上気管気管支径が短くなることと定義)。患者は、少なくとも3ヶ月間ICS治療を受けていた場合、ICS使用者と判断された。単純ロジスティック回帰モデルを用いて、TBMステータスと提起された各因子の関連を調べた。多変量ロジスティック回帰モデルを用いて、TBMとステロイド使用の関連を調べた。
 18歳未満の症例や先天性気管気管支軟化症の症例は除外された。

結果:
 合計463人の患者が登録された。COPD患者が153人、喘息患者が310人だった。
 多変量解析によると、高用量ステロイド使用の患者は、ステロイドを使用していない患者と比べてTBMのリスクが3.5倍高かった(オッズ比3.5, 95%信頼区間1.4 to 8.5; p=0.007)。年齢(p<0.0001), 胃食道逆流症(GERD)(p<0.0001), LAMA使用 (p<0.0001)もTBMと関連していた。また、喘息と比較してCOPDのほうがTBMが多かった(p=0.002)。
 ICS使用者では、低用量ICS使用者と比較して、高用量ICS使用者はTBMのリスクが2.9倍高かった(オッズ比2.9, 95%信頼区間1.2 to 7.1; p=0.02)。年齢(p=0.003), GERD (p=0.002), LAMA使用 (p=0.004), ICSのタイプ(p=0.04), ICS使用期間(p<0.0001) はすべてTBMと関連していた。
吸入ステロイドは気管気管支軟化症と関連_e0156318_15341556.png
(文献より改変引用:多変量解析)

結論:
 高用量ICS使用者、長期ICS使用者ではTBMのリスク上昇と関連していた。前向きランダム化比較試験によってこの関連性を精査する必要がある。


by otowelt | 2020-01-26 00:03 | 気管支喘息・COPD

COPD急性増悪に対するPEP治療デバイス(Acapella Choice)は入院期間を短縮させる

COPD急性増悪に対するPEP治療デバイス(Acapella Choice)は入院期間を短縮させる_e0156318_16173294.png COPD急性増悪に対するAcapella choiceの臨床試験です。AcapellaについてはYouTubeにたくさん動画が転がっています。

・YouTube:Acapella | An introduction to Physiology and Vibratory PEP Therapy

Milan S, et al.
Positive Expiratory Pressure Therapy With And Without Oscillation And Hospital Length Of Stay For Acute Exacerbation Of Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Nov 20;14:2553-2561.


背景:
 COPD急性増悪の薬物マネジメントはよく確立されている。われわれの研究は、 振動メカニズム(OM)を併用あるいは併用していないPEP(positive expiratory pressure)治療デバイスを通常ケアの加えることで、COPD急性増悪患者の在院日数を減少できるかどうか調べることを目的とした。

方法:
 2研究が実施され、今回報告された。試験1:COPD急性増悪と喀痰で入院した患者を、PEP治療 vs 振動PEP(OPEP)治療を前向きに比較した(OPEP治療:Acapella Choice, Smiths Medical, Minneapolis)。試験2:年齢、性別、入院季節で2:1にマッチさせた群を比較対照とした後ろ向きコホート研究で、PEP±OMと通常ケアを比較した。

結果:
 前向き試験(試験1:91人)では、入院期間中央値はOPEP群3.2日(95%信頼区間3.0-4.3)、PEP群4.8日(95%信頼区間3.9-6.1)だった(p=0.16)。試験1に登録された前向き試験データと後向きコホートを比較した補正モデルでは(試験2:182人)、入院期間中央値は4.2日(95%信頼区間3.8-5.1)vs 5.2日(95%信頼区間4.4-6.0)だった(p=0.04)。
COPD急性増悪に対するPEP治療デバイス(Acapella Choice)は入院期間を短縮させる_e0156318_1692323.png
(Kaplan-Meier曲線:文献より引用)

結論:
 通常ケアにPEPデバイスを用いたケアにより、COPD急性増悪の入院期間を減らすことができるかもしれない。PEP治療にOMコンポーネントを加えることで、さらに入院期間を減らすことができるが、包括的多施設共同ランダム化比較試験が必要である。


by otowelt | 2020-01-23 00:53 | 気管支喘息・COPD

COPDにおけるICS/LABAはどれが最良か?

COPDにおけるICS/LABAはどれが最良か?_e0156318_17471513.png シムビコート®、Fostair®がアドエア®よりもCOPDに適しているというエビデンスになりそうです。ジェネリックが登場したので、個人的にはシムビコート®はブデホル®にスイッチしています。

Ting-Yu Chang, et al.
Comparative Safety and Effectiveness of Inhaled Corticosteroids and Long-Acting β2 Agonist Combinations in Patients with Chronic Obstructive Pulmonary Disease
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.12.006


背景:
 COPD患者では、吸入ステロイド(ICS)の薬剤間の肺炎リスク差は、特にベクロメタゾン含有の場合、議論の余地がある。この研究は、COPD患者におけるICS/長時間作用性β2刺激薬(LABA)併用のリスクとベネフィットのプロファイルを比較することである。

方法:
 2009年~2015年において台湾の国民健康保険請求データを使用した後ろ向きコホート研究を実施し、新規にICS/LABAを使用したCOPD患者を含めた。傾向スコアマッチとCox回帰モデルを用いて、異なるICS/LABA使用による重症肺炎と急性増悪のハザード比を推定した。

結果:
 42393人のICS/LABA新規使用者が同定され、フルチカゾンプロピオン酸エステル/サルメテロール(FLU/SAL)DPIが7182人、ブデソニド/ホルモテロール(BUD/FOR) DPIが9587人だった。BUD/FOR DPIおよびベクロメタゾン/ホルモテロール(BEC/FOR)の定用量噴霧(MDI)は、FLU/SALのDPI・MDIと比較して、重症肺炎(BUD/FOR ハザード比0.83 [95%信頼区間0.70-0.98], BEC/FOR ハザード比0.69 [95%信頼区間0.58-0.81]) 、重症増悪(BUD/FOR ハザード比0.88 [95%信頼区間0.78-0.99], BEC/FOR ハザード比0.90 [95%信頼区間0.84-0.96])のリスクが低かった。平均一日ICS用量で補正すると、BUD/FOR DPI使用者は重症肺炎のリスクが依然として低かった(18%)が、BEC/FOR MDI使用者では有意ではなかった。この結果は、事前に指定されたサブグループのほとんどにおいて、すべての感度分析で一貫していた。
COPDにおけるICS/LABAはどれが最良か?_e0156318_1863130.png
(重症肺炎と重症急性増悪のリスク:文献より改変引用)

 FLU/SAL MDIの1日平均用量が500μgを超える高用量群では、重症肺炎のリスクが低用量群よりも66%高かった(補正ハザード比1.66、95%信頼区間1.03-2.70)。BEC/FORの1日平均用量が200-400μgの中用量群では、重症亜飛円のリスクが低用量群よりも38%高かった(補正ハザード比1.38、95%信頼区間1.08-1.81)。

結論:
 この研究は、COPD患者におけるICS/LABAの組み合わせの安全性・有効性の結果に関する既存のエビデンスを補強するものであり、臨床的治療の決定に適用できるかもしれない。




by otowelt | 2020-01-17 00:24 | 気管支喘息・COPD

COSYCONET試験:安定期COPDにおける高感度トロポニンIは死亡リスク因子

COSYCONET試験:安定期COPDにおける高感度トロポニンIは死亡リスク因子_e0156318_13312058.png かなり気合の入った多施設共同研究ですね。

Waschki B, et al.
High-sensitivity troponin I and all-cause mortality in patients with stable COPD: An analysis of the COSYCONET study
European Respiratory Journal 2019; DOI: 10.1183/13993003.01314-2019


背景:
 COPDは世界的に主要な死因であり、かなりの人が心血管疾患で死亡している。高感度トロポニンI(hs-TnI)は、死亡リスクが高いCOPD患者の特定に役立つ可能性がある。安定期COPDの集団において、関連する心血管リスク因子および一般的な心血管疾患を考慮したうえで、現行のCOPD評価より精度が高く総死亡率を予測するためにhs-TnIが有用かどうかを調べた。。

方法:
 多施設共同研究COSYCONET試験では、全病期の安定期COPD患者2085人において、呼吸器系・心血管系マーカーとともにhs-TnIが測定された。プライマリアウトカムは追跡3年間の総死亡とした。

結果:
 hs-TnIは2020人(96.9%)の患者で検出可能であった。hs-TnI濃度中央値は3.8 ng/L (IQR, 2.5‒6.6 ng/L)であり、1.8%の患者が99パーセンタイルである27ng/Lを上回っていた。気流閉塞、呼吸困難グレード、運動耐容能、重症増悪歴、従来報告されている心血管系リスク因子であるeGFR・ABI・NT-proBNP・心血管系疾患の既往で補正したCox回帰分析では、hs-TnIは総死亡の有意な予測因子であった(連続変数:log hs-TnIに対するハザード比1.28 [95%信頼区間1.01‒1.62]、カットオフ値6 ng/L (ハザード比1.63 [95%信頼区間1.10‒2.42])。

結論:
 安定期COPD患者において、hs-TnIはこれまで確立されていたCOPD死亡予測因子を超える強い死亡予測能を有することが分かった。また、さまざまな心血管系リスク因子とは独立して認められる知見であった。




by otowelt | 2020-01-16 00:30 | 気管支喘息・COPD

IMPACT試験の日本人サブグループ解析

IMPACT試験の日本人サブグループ解析_e0156318_1051535.jpg IMPACT試験の日本人サブグループ解析の結果です。いろいろ迷いましたが、記事にします。
 元のIMPACT試験の記事はこちら。

IMPACT試験:COPDにおけるトリプル吸入療法は中等症あるいは重症COPD増悪を抑制

Kato M, et al.
The IMPACT Study - Single Inhaler Triple Therapy (FF/UMEC/VI) Versus FF/VI And UMEC/VI In Patients With COPD: Efficacy And Safety In A Japanese Population.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Dec 6;14:2849-2861.


目的:
 有症状COPDおよび増悪歴のある患者に対して、単一吸入デバイスによるフルチカゾンフランカルボン酸/ウメクリジニウム/ビランテロール(FF/UMEC/VI)のトリプル吸入療法は、FF/VIあるいはUMEC/VIのダブル吸入療法と比較して、中等症/重症の増悪率を減らし肺機能と健康ステータスを改善させることがIMPACT試験で示された。この有効性と安全性を登録日本人患者で解析した。

患者および方法:
 IMPACT試験は、52週間の1日1回FF100μg+UMEC62.5μg+VI25μgのトリプル吸入療法を受けた群と、FF/VIあるいはUMEC/VIのダブル吸入療法を受けた群を比較した、ランダム化二重盲検比較試験である。患者は40歳以上の有症状COPD患者で、過去1年に1回以上の中等症/重症増悪を経験しているものとした。プライマリアウトカムは、治療中の中等症/重症のCOPD増悪年間発生率とした。そのほか、初回中等症/重症増悪までの期間、ベースラインから52週目までの1秒量、気管支拡張後1秒量、SGRQスコア、CATスコアの変化量をエンドポイントに組み入れた。安全性も解析された。

結果:
 日本人サブグループは、IMPACT ITT集団の4%(10355人中378人)だった。日本人サブグループにおいて、FF/UMEC/VIは中等症/重症の年間増悪発生率をFF/VIより15%(95%信頼区間-20~40)、UMEC/VIより36%(95%信頼区間6~57)減少させた。FF/UMEC/VIは、中等症/重症増悪リスク(初回までの期間)、肺機能、健康ステータスについてもダブル吸入療法より改善させた。これらの結果は、IMPACT ITT集団と同様のものであった。新たな安全性懸念はみられなかった。肺炎発症頻度はFF/UMEC/VIとFF/VIのほうがUMEC/VIよりも高かった。

結論:
 これらの結果は、有症状COPDで過去1年に増悪歴のある日本人患者に対してFF/UMEC/VIはFF/VIあるいはUMEC/VIの併用療法よりも医学的利益があることを示している。





by otowelt | 2020-01-14 00:08 | 気管支喘息・COPD

北海道COPDコホート研究:血清α-1アンチトリプシン濃度が高いCOPD患者は予後不良

北海道COPDコホート研究:血清α-1アンチトリプシン濃度が高いCOPD患者は予後不良_e0156318_23473448.png もしやと思って測定するα-1アンチトリプシン。高値の場合、COPDの予後が不良かもしれません。

Takei N, et al.
Serum Alpha-1 Antitrypsin Levels and the Clinical Course of Chronic Obstructive Pulmonary Disease.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Dec 10;14:2885-2893.


目的:
 α-1アンチトリプシン欠損はCOPD発症に関連しているが、血清α-1アンチトリプシンレベルの増加は炎症に反応して起こる。COPDの臨床経過におけるα-1アンチトリプシンレベルの影響は不明だった。10年間の前向きコホート研究のデータに基づいて、血清α-1アンチトリプシンレベルとCOPD患者の臨床経過の関連を調査した。

患者および方法:
 われわれは、北海道COPDコホート研究に登録され、α-1アンチトリプシン欠損の基準に合致しなかった278人のCOPD患者を解析した。 278人のうち、GOLD 1期が26%、GOLD 2期が45%、GOLD 3期が24%、GOLD 4期が5%だった。
 ベースラインでの血清α-1アンチトリプシンレベルの四分位数に基づき、被験者を3つのグループに分けた:低値群 (<116 mg/dL, n = 66); 中値群(116~141 mg/dL, n = 145); 高値群(>141 mg/dL, n = 67)。1秒量の年間変化およびCOPD増悪イベントが初期5年間モニターされ、死亡率が10年間追跡された。

結果:
 ベースラインにおいて、高値群はBMIが低く、胸部CTの気腫スコアが高く、拡散能が低く、血清の急性相タンパクレベルが高く、好中球数が多かった。縦断的解析では、高値群は、1秒量の年間減少が急速で10年死亡率が高かったが、血清α-1アンチトリプシンレベルと初回増悪までの期間に関連はみられなかった。
北海道COPDコホート研究:血清α-1アンチトリプシン濃度が高いCOPD患者は予後不良_e0156318_2343084.png
(Kaplan-Meier曲線:文献より引用)

結論:
 COPD患者における血清α-1アンチトリプシンレベルの高さは、全身性炎症ステータスの悪化と10年死亡率の高さと関連していた。




by otowelt | 2020-01-13 00:24 | 気管支喘息・COPD