カテゴリ:気管支喘息・COPD( 573 )

メタアナリシス:安定期COPDに対する長期低用量マクロライドは増悪リスクを減らす

e0156318_1312221.png 個人的にはあまり使いたくないなと思います。DPBのエビデンスもあってか、エリスロシンは呼吸器内科ではやや濫用されがちです。
 アジスロマイシンのエビデンスが蓄積されつつありますが、先日喘息に対して用いることで耐性菌が増加するという報告がオーストラリアの研究グループからありました(Am J Respir Crit Care Med. 2019 Aug 1;200(3):309-317.)。

Cao Y, et al.
Effects of long-term macrolide therapy at low doses in stable COPD.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Jun 12;14:1289-1298.


背景:
 COPDは現在世界で4番目に多い致命的疾患であり、そして2020年までに3位に上昇すると予想されている。頻繁な急性増悪は死亡率の増加をもたらす。COPD増悪の予防におけるマクロライドの予防的使用について提案があるが、どの標的集団に用いるか、治療レジメン、用量など、取り組むべき課題がまだある。

目的:
 探索的メタアナリシスを通して、安定期COPDにおける長期低用量マクロライド療法の効果を評価すること。

方法:
 2019年5月28日までのシステマティックな文献検索をPubMed, Embase, Cochraneデータベースでおこなった。COPDの予防的長期低用量マクロライド(エリスロマイシン、アジスロマイシン、クラリスロマイシン)について報告したランダム化比較試験が適格となった。

結果:
 本研究には10の臨床試験が登録された。合計1521人のマクロライド治療群患者と1418人のプラセボ群患者が解析対象となった。治療期間は3~12ヶ月だった。10試験のうち3試験が非盲検下でおこなわれたものだった。
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(登録試験:文献より引用)

 マクロライドを投与された患者はプラセボを投与された患者よりもCOPD増悪の相対リスクが23%低かった(P<0.01)。初回増悪までの期間の中央値は、マクロライドを投与された患者のほうがプラセボを投与された患者よりも効果的に延長した(p<0.01)。
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(COPD増悪:文献より引用)

 サブグループ解析では、エリスロマイシンがより有効であり、高齢者はマクロライドに対する反応性が低いことが示された。

結論:
 長期低用量マクロライドは、COPDの急性増悪の頻度を有意に減少させることができる。治療は忍容性があり、有害反応が少ないが、高齢者には向かない。この治療レジメンは、急性増悪や死亡のリスクが高いであろうGOLD CあるいはDの患者に推奨される。12ヶ月以上継続すべきかどうかについてはさらなる議論が必要である。






by otowelt | 2019-08-11 00:06 | 気管支喘息・COPD

鼻炎・喘息の悪化と抑うつの関連

e0156318_9473145.png いろいろ間に交絡因子はありそうですが。

Grosso A, et al.
Depression is associated with poor control of symptoms in asthma and rhinitis: A population-based study.
Respir Med. 2019 Jun 30;155:6-12.


背景:
 多くの研究が、喘息/鼻炎とうつ病との関連性を強調してきたが、これらの疾患のどの特性がうつ病のリスクと関連しているかは依然として不明である。イタリアの一般集団を用いた代表的なサンプルにおいて、うつ病と、喘息または鼻炎の関連性を調査することを目的とした。

方法:
 イタリアの多施設共同集団ベースマルチケースコントロール研究であるGEIRD研究からデータを集めた。2227人(21-86歳、女性50%)が標準化されたインタビュー、皮膚プリックテスト、肺機能検査を受けた。現在喘息を有する症例(528人)、喘息のない鼻炎症例(972人)、コントロール症例(727人)に分けられた。患者健康調査票(PHQ-2)からの特異的な2質問が、抑うつ気分とアンヘドニアの同定に用いられ、大うつ病性障害の代替とした。

結果:
 うつ病の頻度は、喘息患者の16.7%、鼻炎患者の11.9%、コントロール患者の5.1%だった。喘息と鼻炎のいずれにおいても、うつ病のある患者は呼吸器関連QOLが悪く、疾患関連症状は非うつ病の集団よりも多かった。喘息において、うつ病は疾患コントロール不良と関連していた。鼻炎においては、うつ病は疾患関連のADL制限、症状増悪、呼吸器系薬剤の処方と関連していた。抑うつのある鼻炎症例は、アトピー性が少なかった。

結論:
 非アトピー性の患者における鼻炎の悪化や、喘息のコントロール不良は、一般集団における抑うつ気分の存在と強く関連していた。



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by otowelt | 2019-08-06 00:43 | 気管支喘息・COPD

喘息患者は自殺リスクが高い

e0156318_9473145.png どのような疾患であっても、有意なリスク上昇はあると思って診療をしています。

Zhang Y,et al.
Suicidality among patients with asthma: A systematic review and meta-analysis.
J Affect Disord. 2019 Jun 30;256:594-603. doi: 10.1016/j.jad.2019.06.031.


背景:
 喘息は複数の精神的合併症と関連している。しかしながら、喘息と自殺の関連はよく分かっていない。

方法:
 電子データベースから、2019年1月25日までの信頼できる研究を抽出した。希死念慮、自殺企図、死亡を喘息患者と非喘息患者で比較した研究を含めた。ランダム効果モデルを使用して推定値を算出し、含まれている研究の質をNewcastle-Ottawa Scaleで評価した。

結果:
 28の研究、275万9841人の喘息患者、1629万362人の非喘息コントロール者のデータがプールされ解析された。プールデータでは、喘息患者は希死念慮(オッズ比1.52; 95%信頼区間1.37-1.70), 自殺企図(オッズ比1.60; 95%信頼区間1.33-1.92)、自殺死亡(オッズ比1.31; 95%信頼区間1.11-1.55)のリスクが高かった。特筆すべきこととして、思春期の喘息患者は、非喘息コントロール者よりも自殺死亡リスクが2倍高かった(オッズ比2.14; 95%信頼区間1.61-2.83)。

リミテーション:
 本研究のリミテーションとして、研究デザインの多様性と高い異質性が挙げられる。

結論:
 喘息患者は、希死念慮、自殺企図、自殺による死亡のリスクが著しく増加している。臨床医は、喘息患者の自殺のリスク増加にもっと注意を払い、これら希死念慮や行動をスクリーニングし、必要に応じて適切なメンタルヘルスへ紹介するべきである。



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by otowelt | 2019-08-02 00:52 | 気管支喘息・COPD

気道可逆性検査はCOPDと喘息の鑑別には役に立たない?

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Christer Janson, et al.
Bronchodilator reversibility in asthma and COPD: Findings from three large population studies
European Respiratory Journal 2019; DOI: 10.1183/13993003.00561-2019


背景:
 気道可逆性(BDR)試験は、閉塞性気道疾患の診断法として用いられている。この研究の目的は、喘息およびCOPDの被験者においてBDRを測定する異なる方法を比較すること、またBDRが症状負担やフェノタイプ特性にどの程度関連しているかを調べることである。

方法:
 3つの大規模国際集団研究において、16歳以上の35,628人にサルブタモール200μg吸入前および15分後に1秒量(FEV1)および努力性肺活量(FVC)が測定された。被験者は3群に分類された:現在の喘息(2833人)、COPD(1146人)、気道疾患なし(31,649人)。呼気フロー(FEV1上昇)に関しては3基準、肺容量(FVC上昇)に関しても3基準を用いて定義した。

結果:
 FEV1が12%以上かつ200mL改善した気道可逆性がある頻度は、喘息で17.3%、COPDで18.4%だった。一方で気道疾患のない被験者では5.1%だった。喘息では気道可逆性がwheezes(オッズ比1.36、95%信頼区間1.04-1.79)、アトピー(オッズ比1.36、95%信頼区間1.04-1.79)と関連していた。一方、COPDにおいてFeNOが上昇している場合、気管支拡張薬投与前のFEV1で補正しても、呼気フローないし肺容量関連の気道可逆性のいずれもが症状の悪化、増悪、健康ステータスと関連していなかった。
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(文献より引用)

結論:
 喘息と同じようにCOPDの被験者においても、少なくとも気道可逆性はよくみらえる現象である。これはすなわち、集団ベース研究において喘息とCOPDを鑑別する上で気道可逆性の測定に限界があることを示唆する。しかしながら、喘息においては気道可逆性はフェノタイプマーカーになるかもしれない。


by otowelt | 2019-07-23 00:05 | 気管支喘息・COPD

II型急性呼吸不全のCOPD患者に対するネーザルハイフローとNPPVの比較

e0156318_1633480.jpg II型呼吸不全に対するネーザルハイフローについては、エビデンスは確かに少ないですが、問題ないと思っています。

(参考記事)
慢性II型呼吸不全に対するネーザルハイフローと非侵襲性換気の比較
・COPD増悪時のネーザルハイフローと通常酸素カニューレの比較

Sun J, et al.
High flow nasal cannula oxygen therapy versus non-invasive ventilation for chronic obstructive pulmonary disease with acute-moderate hypercapnic respiratory failure: an observational cohort study.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 Jun 5;14:1229-1237.


背景:
 急性低酸素性呼吸不全(ARF)に対するハイフロー鼻カニューラ(HFNC)酸素療法は、頻繁に適用されつつある。しかしながら、高炭酸ガス血症のあるARFに対する支持的なエビデンスは不足している。

方法:
 2016年4月~2018年3月までにICUにおいて、中等症の高炭酸ガス血症のARF(pH7.25-7.35、PaCO2>50mmHg)患者で、HFNCあるいは非侵襲性換気(NIV)を受けたものを対象とした。エンドポイントは治療失敗(挿管、あるいはHFNC→NIV、NIV→HFNCなどの治療変更)、28日死亡率とした。

結果:
 82人のCOPD患者(HFNC群の39人、NIV群の43人)が登録された。平均年齢は71.8±8.2歳で、54人(65.9%)が男性だった。HFNC群39人中11人(28.2%)、NIV群43人中17人(39.5%)が治療失敗に陥った(p=0.268)。28日死亡率にも群間差はなかった(HFNC群15.4% vs NIV群14%、p=0.824)。治療開始24時間のあいだ、ナースによる気道ケア介入の数はNIV群よりHFNC群のほうが有意に少なく、デバイス適合期間はHFNC群のほうが有意に長かった(p<0.05)。皮膚損傷は、NIV群で多かった(20.9% vs 5.1%、p<0.05)。
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(文献より引用)

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(文献より引用)

結論:
 高炭酸ガス血症のある中等症ARFのCOPD患者において、NIV使用と比較してHFNC使用は治療失敗を減らさなかった。一方で、ナースによるケア介入や皮膚損傷エピソードはHFNC群のほうが少なかった。


by otowelt | 2019-07-18 00:25 | 気管支喘息・COPD

COPDにおける吸入ステロイドは骨折と関連しているか?

e0156318_23175684.jpg 結局わからんということです。

Caramori G, et al.
Long-term use of inhaled glucocorticoids in patients with stable chronic obstructive pulmonary disease and risk of bone fractures: a narrative review of the literature.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 May 23;14:1085-1097.


背景:
 COPD患者は、一般集団より骨粗鬆症の頻度が高い。この骨粗鬆症リスクは、COPDマネジメントに長時間作用性気管支拡張薬との併用が支持されている吸入ステロイド(ICS)によって上昇するかもしれないが、骨密度(BMD)の減少とも関連しているかもしれない。

方法:
 われわれは、骨折とICS治療の関連についてさらなる知見を示すべく、少なくとも12ヶ月のICS vs プラセボ治療を観察したランダム化比較試験(RCT)のナラティブレビューを実施した。
 
結果:
 2017年10月16日までに、17のRCTが同定された。研究で使用されたICSは、ブデソニド(6研究)、フルチカゾンプロピオン酸エステル(5研究)、モメタゾンフランカルボン酸エステル(3研究)、ベクロメタゾンジプロピオン酸エステル(1研究)、トリアムシノロンアセトニド(1研究)、フルチカゾンフランカルボン酸エステル(1研究)である。骨折データを有していた6つのRCTにおける骨折数に、ICSとプラセボ間の有意差はなかった。いくつかの研究のサブグループにおいてBMDデータが得られたが、ベースラインのBMDデータは稀だった。これらのデータが観察されたものをみても、BMDに影響を与えることが分かっている因子によって層別化されているわけではなかった。たとえば喫煙や身体活動性といった、BMDと骨折を減らすリスク因子についても、ほとんど報告はなかった。さらに、「骨折」という標準的な用語の定義はどの研究でも採用されていなかった。

結論:
 われわれのレビューでは、安定期COPDにおける長期ICS使用と骨折頻度の正確な関連性は不明だった。しかしながら、この関連性を調べるための将来的なRCTの基盤を形成する上でいくつかの因子を特定できた。



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by otowelt | 2019-07-11 00:09 | 気管支喘息・COPD

女性のCOPD患者のマネジメント水準は高い

e0156318_23175684.jpg 2型糖尿病などでも指摘されていますが、女性患者さんのほうが綿密に来院される印象があります。

Åberg J, et al.
Sex-related differences in management of Swedish patients with a clinical diagnosis of chronic obstructive pulmonary disease.
Int J Chron Obstruct Pulmon Dis. 2019 May 7;14:961-969.


目的:
 COPDの女性はより症状が強く、増悪が多く、健康ステータススコアが低く、併存症が多い。しかしながら、性別によってCOPD管理に差があるのかどうかは不明である。この研究の目的は、COPD患者のケアにおいて性差があるかどうか調べることである。

患者および方法:
 スウェーデン中央部におけるプライマリケアおよびセカンダリケア施設で、COPDと医師に診断された1329人が組み込まれた。データは患者質問票から得て、そこには患者背景やCOPDケアにおけるデータが含まれた。解析はクロス集計、カイ二乗検定、多変量ロジスティック回帰を用いた。従属変数としてCOPDマネジメントにおける複数項目、独立変数として女性を用い、年齢、過去のCOPD増悪既往、CAT、呼吸困難のレベル(mMRCスケール)、併存症、自己申告の中等症/重症病態、教育水準、BMIで補正した。

結果:
 女性はトリプル吸入治療を受けやすかった(オッズ比1.86、95%信頼区間1.38-2.51)。また、どのような形であれ維持治療を受けやすく(オッズ比1.82、95%信頼区間1.31-2.55)、病気休暇をとりやすく(オッズ比2.16、95%信頼区間1.19-3.93)、禁煙治療サポートを受けやすく(オッズ比1.80、95%信頼区間1.18-2.75)、肺炎球菌ワクチンを受けている頻度が高かった(オッズ比1.82、95%信頼区間1.37-2.43)。これらは年齢、疾患重症度、その他の潜在的交絡因子とは独立していた。
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(文献より引用)

結論:
 COPDマネジメントは性別によって差があり、女性は男性よりアクティブに管理されやすいことが明らかとなった。これが、患者関連因子やケア関連因子によるものかどうかは不明である。



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by otowelt | 2019-07-10 00:54 | 気管支喘息・COPD

氷点下の寒気で誘発される咳嗽は喘息と関連

e0156318_9473145.png 寒気による咳嗽は、咳喘息や喘息などの気道過敏性を強く示唆することがすでに示されています。

Koskela HO, et al.
Subfreezing air as a cough trigger and multiple triggers are strongly associated with the presence of asthma in chronic cough.
Respir Med. 2019 May 11;153:26-30. doi: 10.1016/j.rmed.2019.05.004.


背景:
 慢性咳嗽の管理は、咳の原因として背景にどのような障害があるかを認識することが肝要です。特定の咳嗽誘発がその背景にある障害と関連しているかどうかはわかっていない。

方法:
 これはフィンランドの2つの町で行われたサービス業に従事する人におけるe-mailを用いた研究である。質問票には12の誘発因子が含まれた。現在喘息がある人は、喘息と医師に診断されていたり、喘鳴があったりする場合と定義された。慢性副鼻腔炎は、鼻閉あるいは鼻汁のいずれかがあり、顔面痛/圧痛や嗅覚の減退/消失が3ヶ月を超えて存在する場合に定義された。胃食道逆流症は、胸やけや逆流症状が過去3ヶ月の間、週1回以上みられるものと定義された。特発性咳嗽は、これらいずれにも該当しないものと定義された。

結果:
 少なくとも8週間以上の咳嗽を現在有する421の被験者が登録された。氷点下の寒気は、現在の喘息の補正オッズ比上昇と関連しする咳嗽誘発因子だった(補正オッズ比7.27、95%信頼区間4.09-12.9、p<0.001)。咳嗽誘発因子数がもっとも多かったのは喘息で、慢性副鼻腔炎、胃食道逆流症、特発性咳嗽と続いた(それぞれ7.05 [95%信頼区間6.14-7.96], 4.94 [95%信頼区間4.35-5.54], 4.60 [95%信頼区間3.77-5.43], 3.44 [95%信頼区間3.02-3.86], p < 0.001)。5つ以上の咳嗽誘発因子を有している場合、現在の喘息と有意に関連していた(補正オッズ比7.49、95%信頼区間3.96-14.2, p < 0.001)。いずれの咳嗽誘発因子も有さない場合、特発性咳嗽の頻度が上昇した(補正オッズ比2.71、95%信頼区間1.54-4.77, p = 0.001)。

結論:
 氷点下の寒気やその他複数の因子は、慢性咳嗽の患者における現在の喘息と強く関連していた。ずれの誘発因子もない場合、特発性咳嗽の頻度が上昇した。



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by otowelt | 2019-07-09 00:09 | 気管支喘息・COPD

プライマリ・ケアにおけるACOの有病率とは?

e0156318_1121988.png 欧米はとにもかくにも肥満COPDが多いので、日本とは同じように解釈できないのが難点です。COPDからみた場合も、喘息からみた場合も、「だいたい多くて2割くらい」というイメージでよいです。

Krishnan JA, et al.
Prevalence and Characteristics of Asthma-COPD Overlap in Routine Primary Care Practices.
Ann Am Thorac Soc. 2019 Jun 4. doi: 10.1513/AnnalsATS.201809-607OC.


背景:
 成人は、喘息とCOPDの両方の特徴を有する可能性があり、最近では喘息とCOPDのオーバーラップ(ACO)として認識されている。プライマリ・ケアではACOに関する情報が不足している。

目的:
 1) 現在喘息、COPD、またはその両方と診断されている患者のうち、プライマリ・ケアにおけるACO患者の有病率を調べ、その特徴を説明する。
 2)3つの集団の間でACOの有病率と特徴を比較する。

方法:
 Respiratory Effectiveness Group (REG)は、United Kingdom's Optimum Patient Care Research Database (OPCRD)において、40歳以上で2年の間に2回以上のプライマリ・ケア外来を受診した患者の横断研究を実施した。
 患者は診断コードに基づいて3集団から1つに分類された。すなわち、(A)COPD単独、(B)喘息とCOPDの両方、(C)喘息単独である。ACOは、以下の基準を満たすものとした。(1) 40歳以上、 (2) 現在あるいは既往喫煙者、(3) 気管支拡張後の気流制限 (1秒率<70%)、(4) 気道可逆性検査で陽性:%1秒量≥12%、1秒量≥200。

結果:
 2165人の内訳は、COPD単独1015人、喘息とCOPDの両方395人、喘息単独755人だった。この集団におけるACOの有病率は20%だった(95%信頼区間18-23%)。ACO患者の平均年齢は70±11歳で、60%が男性で、73%が既喫煙者だった(残りは現喫煙者)。全体の66%が過体重あるいは肥満だった。併存症はACO患者ではよくみられ、糖尿病(53%)、心血管系疾患(36%)、高血圧症(30%)、湿疹(23%)、鼻炎(21%)だった。ACOの有病率は、COPD単独あるいは喘息単独と診断されている患者よりも、喘息とCOPDの両方を診断されている患者で高かった(32% vs COPD単独20%[p<0.001]、喘息単独14%[p<0.001])。ACOの背景および臨床的特徴は、3集団の間で異なりをみせていた。

結論:
 プライマリ・ケアの現場で、COPD、喘息、あるいはその両方を有する患者の5人に1人がREG ACOワーキンググループ基準に基づくACOを満たすと考えられる。3集団のあいだでACOの有病率や特徴は異なっていた。





by otowelt | 2019-07-02 00:36 | 気管支喘息・COPD

ベンラリズマブの安全性

e0156318_9473145.png AEとして報告される喘息の頻度が下がるのは分かりますが、結構このあたりグレーなんですよね。喘息増悪を起こしたときにAEとして報告するかどうか問題。

Liu W, et al.
Adverse events of benralizumab in moderate to severe eosinophilic asthma: A meta-analysis.
Medicine (Baltimore). 2019 May;98(22):e15868.

背景:
 ベンラリズマブはヒト化抗IL-5受容体αモノクローナル抗体で、好酸球を直接・迅速に枯渇させ、中等症~重症好酸球性喘息において、有意に喘息増悪を減らし肺機能を改善させることが示されている。しかしながら、ベンラリズマブの有害事象(AE)とこれらAEの包括的解析に関する論議は満足におこなわれていない。この研究は、ランダム化比較試験におけるAEの頻度を調べることである。

方法:
 中等症~重症好酸球喘息患者におけるベンラリズマブとプラセボを比較したランダム化比較試験をEmbase, Pubmed, Cochraneデータベースにおいて調べた。アウトカムは観察期間中のAEの頻度である。

結果:
 この研究では、8つのランダム化比較試験が解析された。ベンラリズマブで治療された患者は、プラセボと比較してAE(リスク比0.94; 95%信頼区間0.90-0.98)、重篤なAE(SAE)(リスク比0.82; 95%信頼区間0.68-0.98), 喘息増悪(リスク比0.72, 95%信頼区間0.61-0.85), 気管支炎(リスク比0.76, 95%信頼区間0.59-0.96)、副鼻腔炎(リスク比0.64, 95%信頼区間0.48-0.85)のリスクが低かったが、頭痛(リスク比1.42, 95%信頼区間1.07-1.87)、発熱(リスク比2.26, 95%信頼区間1.32-3.87)のリスクは高かった。死亡、過敏症、注射部位反応、鼻咽頭炎、鼻炎、上気道感染症、インフルエンザ、咳嗽、悪心、腰痛、関節痛の頻度は増加させなかった。

結論:
 ベンラリズマブはSAE、喘息増悪、気管支炎、副鼻腔炎のリスクを減少させたが、頭痛と発熱のリスクを悪化させた。他のAEに関してはプラセボと同等だった。ベンラリズマブはおおむね安全に使用できるが、長期使用におけるAEに対する警戒は欠かせない。



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by otowelt | 2019-07-01 00:12 | 気管支喘息・COPD