カテゴリ:レクチャー( 93 )

気管支サーモプラスティのエビデンス:ショートレクチャー

e0156318_23102871.png 今日はショートレクチャーです。

 気管支サーモプラスティは薬物治療では対応できない重症喘息患者に対して用いられる気管支鏡を用いたインターベンションです。肥厚した気道平滑筋に熱エネルギーを与えることによって、気道収縮を抑制するのが狙いです。標的気管支内でバスケットを開き、65℃の通電を10秒おこなう、という作業を繰り返すのですが、一度に全気管支をおこなうこととはできず、3週間以上の間隔をあけて合計3回、入院して実施する必要があります。5年の追跡において、喘息増悪の減少、症状の改善、救急外来受診の減少などの効果がみられており(表)、一度治療を受ければ、長期間恩恵を受ける可能性があります。
e0156318_1129868.png

 治療数時間後に、施術部位周辺の気道狭窄や喘鳴を生じやすいです。胸部画像上、同部位に浸潤影を形成することも多いです。これは熱損傷による必然的な経過であり、通常1週間以内に軽快します7)

 気管支サーモプラスティは計3回の入院で約130万円の医療費がかかります。麻酔費用や入院費用もあわせると、3割負担の場合、50万円近くかかります。ゆえに、1ヶ月に2回、翌月に1回といったプランで2ヶ月のあいだに計3回治療を受けるのがベストな選択です。


(参考文献)
1) Cox G, et al. Asthma control during the year after bronchial thermoplasty. N Engl J Med. 2007 Mar 29;356(13):1327-37.
2) Thomson NC, et al. Long-term (5 year) safety of bronchial thermoplasty: Asthma Intervention Research (AIR) trial. BMC Pulm Med. 2011 Feb 11;11:8.
3) Pavord ID, et al. Safety and efficacy of bronchial thermoplasty in symptomatic, severe asthma. Am J Respir Crit Care Med. 2007 Dec 15;176(12):1185-91.
4) Castro M, et al. Effectiveness and safety of bronchial thermoplasty in the treatment of severe asthma: a multicenter, randomized, double-blind, sham-controlled clinical trial. Am J Respir Crit Care Med. 2010 Jan 15;181(2):116-24.
5) Castro M, et al. Persistence of effectiveness of bronchial thermoplasty in patients with severe asthma. Ann Allergy Asthma Immunol. 2011 Jul;107(1):65-70.
6) Chupp G, et al. Long-term outcomes of bronchial thermoplasty in subjects with severe asthma: a comparison of 3-year follow-up results from two prospective multicentre studies. Eur Respir J. 2017 Aug 31;50(2). pii: 1700017. doi: 10.1183/13993003.00017-2017.
7)Iikura M, et al. Bronchial thermoplasty for severe uncontrolled asthma in Japan. Allergol Int. 2018 Apr;67(2):273-275.





by otowelt | 2019-08-03 00:26 | レクチャー

抗結核薬の副作用の実際

e0156318_1302985.jpg・はじめに
 ここでは、もっともよく使われる抗結核薬であるイソニアジド(INH)、リファンピシン(RFP)、エタンブトール(EB)、ピラジナミド(PZA)の4剤の副作用について記載します。それぞれ副作用があるので、患者さんに1つ1つ説明することが望ましいのですが、まれな副作用まで説明していると日が暮れてしまいます。ゆえに、頻度が高く代表的なものを伝えることが望ましいと思います。

・皮疹
 実臨床で一番多いのは皮疹です。これはどの製剤でも起こりえるため、原因薬剤の同定が難しいです。あまりにも皮疹が重症の場合、いったん休薬することになりますが、軽度のものであればステロイド含有軟膏や保湿で対応することが多いです。
 また、どの薬剤にもみられるやっかいな副作用として肝障害も重要です。多くがPZAやINHによるものですが、ときにビリルビン上昇を伴うRFPの肝障害もあるため注意が必要です。定期的に採血する意義は肝障害の早期発見にあります。

・INH
 成書には代表的なINHの副作用として末梢神経障害が挙げられていますが、個人的にINHを投与していて末梢神経障害に難渋した経験はほとんどありません。ただ、アルコール多飲者、高齢者、妊婦などビタミンB6を欠乏しやすい患者に対してはピリドキシンの補充は必要でしょう。ちなみに、INHで頻度が高い副作用は、やはり肝障害です。40~69歳の患者における潜在性結核感染症に対するINH単剤使用例において、ASTあるいはALTが500IU/L以上になる頻度は4~6%とされています1)

・RFP
 RFPの代表的な副作用も肝障害とされていますが、頻度が高いのは嘔気などの消化器症状です。あまりにも症状が強いときは、いったん休薬するか、朝・昼・夕に分割するなどの工夫をしてリトライしたいところです。RFPの肝障害は胆汁うっ滞型の重症のものが多いため、早期発見に努めるべきです。また、RFP内服中は体液、特に尿が赤色になることは知っておきたいです。視界がオレンジ色のように見えると訴えて来院した患者にEBの副作用を疑ったことがありますが、実は長く装着していたコンタクトレンズがリファンピシン色に着色していたという事例を経験したことがあります。

・EB
 EBの視力障害については、現在日本で用いられているような用量であればほとんど問題ないとされていますが、用量依存性に起こりうるため、維持期治療がINHとEBの2剤になっているようなケースでは注意が必要です(その場合、EBを1年以上継続することが多いため)。網膜疾患がある場合にはできるだけEBの処方を避けているが、緑内障があるからといって全例EBを使わないというのは過度な懸念です。EBを内服して3日程度で目がぼやけると訴える人も多いですが、基本的に内服数ヶ月以降に起こる副作用であり、「視力障害が起こるかもしれない」という医療者側からの情報提供が患者心理に影響している可能性が高そうです。

・PZA
 PZAでもっとも懸念されるのはやはり肝障害です。投与早期からトランスアミナーゼの急激な増加がみられることがあり、投与患者の10%程度にみられるため注意が必要です2)。治療初期にトランスアミナーゼの上昇があれば、たいがいPZAです。
 また、PZAは内服すればほぼ必発で尿酸値が上昇します。しばしば10 mg/dLを超えて上昇します。この薬剤性高尿酸血症は痛風を起こすリスクが極端に高くなるわけではありませんが、高尿酸血症をもともと有する患者には用いないほうがよいです。個人的には12mg/dLを超えてくるケースではベンズブロマロンを用いています。アロプリノールは痛風発作を起こした事例が報告されており、避けたほうがよいとされています。
 


(参考文献)
1) 結核療法研究協議会内科会. 日本における潜在性結核感染症治療の状況、続報. 結核. 2018;93(11-12):585-9.
2)Shu CC, et al. Hepatotoxicity due to first-line anti-tuberculosis drugs: a five-year experience in a Taiwan medical centre. Int J Tuberc Lung Dis. 2013 Jul;17(7):934-9.




[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

医療者のための結核の知識 第5版 [ 四元 秀毅 ]
価格:3672円(税込、送料無料) (2019/6/26時点)



by otowelt | 2019-07-20 00:50 | レクチャー

さらば、難しいPubMedよ! その4

6.質の高い論文を探す方法
 前回の続きです。ここで、定期的スクリーニングから話題が離れます。My NCBIで定期的スクリーニングの仕組みが構築できた人は、ここから先の話は読まなくてよろしい。最初にも書いたように、私は定期的スクリーニングして持続的に医学論文を読んでいくことが何より重要であると考えており、ゲリラ的にスポット検索をすることはほとんどありません。

 若手医師の皆さんは、抄読会や勉強会で何か1つ論文を選ばないといけないことがあるでしょう。その場合どうやって調べていますか。え?「呼吸器内科医」というブログでテキトーによさそうなのを選んでいる?よし、お小遣いをあげよう!!・・・まぁ、このブログがそうした使い方をされているのも存じ上げていますが、それは裏技ということで、横に置いておきましょう。

 中堅医師の方々も、雑誌の原稿や総説を書くときに質の高い論文をリファレンスに入れないといけないことがあるでしょう。UpToDateやコクランレビューから選ぶのも手ですが、ここではPubMedを用いて、ゲリラ的に質の高い論文を探す方法を紹介したいと思います。
e0156318_13533191.png
 使うのは「Clinical Queries」です。PubMedトップページの真ん中やや下にあります。「Clinical Queries」の詳しいメカニズムは割愛しますが、独自のフィルター設定がされており、エビデンスの高い文献を得ることができます。遺伝医学の段を使うことはありませんが、左2つの臨床試験、システマティックレビューは時系列に質の高い文献が表示されるので、オススメです。
e0156318_1474099.png

 たとえば「気胸」というタイトルがついた論文について抄読会で使えそうなモノはないかと探してみると、さっそくトップのところに面白そうな論文がヒットしていますね。


・Walker SP, et al. Recurrence rates in primary spontaneous pneumothorax: a systematic review and meta-analysis. Eur Respir J. 2018 Sep 6;52(3). pii: 1800864.
・Ramouz A, et al. Randomized controlled trial on the comparison of chest tube drainage and needle aspiration in the treatment of primary spontaneous pneumothorax. Pak J Med Sci. 2018 Nov-Dec;34(6):1369-1374.


 というわけで、ゲリラ的に文献を探すには、こういう手法もあります。ただしかし、これだと定期スクリーニングができないので、「普段から文献を読むクセ」を身に付けることはできません。

 私が研修医にいつも伝えていることは、「My NCBIを愛でよ」ということです。とにかく自分が登録したたくさんの検索式をたくさん保管して、自分だけのMy NCBIを作ってみてください。




[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

Dr.倉原の 呼吸にまつわる数字のはなし ナース・研修医のための
価格:2160円(税込、送料無料) (2019/1/10時点)



by otowelt | 2019-02-15 00:42 | レクチャー

さらば、難しいPubMedよ! その3

4.便利な検索タグだけ理解しておく
 検索式は、前回書いたように検索画面の右下に表示されているものを使えばよいのですが、自分で式をタイプしなければならないこともあります。その中で、知っておくと便利なタグを紹介しましょう。

■[jo]
 ジェイオーです。これはジャーナルの名前のことです。たとえば、「N Engl J Med[jo]」と検索欄に打ち込むと、かの有名なNew England Journal of Medicineのみが検索できるのです。ただ、このタグには注意が必要でして、たとえば「Lancet[jo]」と入力すると、Lancetシリーズのすべての論文が検索されてしまうのです。オリジナルのLancetのみを検索したい場合は「"Lancet"[jo] 」と入力してください。” ”で囲うことで、ジャーナルの名前はここからここまでと決めることができるのです。

■[title]
 これ、結構重宝します。たとえば、気胸の論文って、文献のタイトルに必ず「pneumothorax」が入っているもんです。気胸の診断や治療について述べた論文のクセして、タイトルに「pneumothorax」が入っていないワケがない。そのため、「pneumothorax[title]」と検索すると、「文献タイトルにpneumothoraxが含まれているすべての文献」を検索できるのです。検索疾患が決まっているときは、このタグはかなりオススメです。肺癌の論文もタイトルに必ず「lung cancer」が入っているので、[title]タグはかなり有効です。

■AND
 検索欄でスペースにすると、勝手にANDになります。たとえば「COPD asthma」と両方のワードを入れると、PubMedが勝手に「COPD AND asthma」に切り替えてくれます。これは、COPDとasthmaの両方の情報を含む文献を探す、という意味です。検索式を勉強する際、同列に「OR」「NOT」も出てきますが、基本的に「AND」だけでよいと思います。だって、2つのキーワードの両情報を含んだ文献を探していることが多いでしょう?どちらか一方だけ含む論文を探すすことなんてそうそうありません。

■AND hasabstract
 私はどのような検索においても、最後にこの「hasabstract」を入れます。これは、アブストラクトがある文献、すなわち原著論文やレビューなどある程度以上の論文を絞り込めるわけです。症例報告がほとんど除外されるため、ルーチンでこのタグを入れておいてもよいと思います

※ただし、前回書いたように、CHEST誌は症例報告にアブストラクトをつけてくるようになりました。

■[pt]
 このタグは、論文をゲリラ的に探すのに役立ちます。文献の種類を特定するためのタグです。たとえばランダム化比較試験を検索したいときは「Randomized Controlled Trial[pt]」、メタアナリシスを検索したいときは「Meta-analysis[pt]」と入力すればよいです。

 これらのタグは基本的にPubMed検索画面の左のほうにチェックボックスがあるので、それを使ってもよいです。ただ、いちいちこれを広げてチェックしながら検索するのが面倒なので、私はめぼしい検索式はすべてMy NCBIに登録しています。
e0156318_1328250.png


5.簡単な検索式を作ってみよう
 簡単なタグを使って、気胸の論文を探せるかどうか、試してみましょう。上述したように、気胸の論文はタイトルに必ず「pneumothorax」が入っています。そのため、「pneumothorax[title]」はまず決定です。そして、症例報告や画像レポートなど雑多な文献を除外するため、「AND hasabstract」を入れて、質を上げましょう。
 ではこの「pneumothorax[title] AND hasabstract」をPubMedで検索してみましょう。エイッ。どうでしょう、4200件くらいヒットしました。ザっと見た感じ、1ヶ月に15~20くらいの気胸に関する論文がアップデートされているようです。私はこのくらいなら、定期的スクリーニングの検索式として有効だと思います。
e0156318_13332321.png
 イヤイヤ、ランダム化比較試験しかスクリーニングしないぞ!というのであれば、検索結果を見てみましょう。全体で67件のヒット、年に1回更新されるかされないかの頻度になってしまいましたね。
e0156318_13375197.png
 質の高い文献のみをスクリーニングの条件に入れてもよいのですが、気胸やその他稀な呼吸器疾患は文献の質にこだわりすぎると論文の取りこぼしが多くなるので、実は[title]タグとhasabstractだけで結構絞れるのです。

 あなたも一度自分だけの検索式を作ってみてはいかがでしょうか。それを「Create alert」からどんどんMy NCBIの検索式倉庫に収納していってください。自分の好きな論文が自動通知される仕組みさえ作れば、あなたももう論文スクリーニングマスターです!

 次回は、抄読会などでゲリラ的に論文を探さないといけない場合にPubMedをどう使うか、紹介しましょう。










by otowelt | 2019-02-12 00:10 | レクチャー

さらば、難しいPubMedよ! その2

3.検索式を登録する
 前回の続きです。My NCBIに「検索式」を登録しなければ定期的スクリーニングの仕組みを構築できないのですが、そもそも「検索式」って何よってハナシです。たとえば、PubMedの検索欄に「COPD」と入力してください。おそらく8万件くらいの文献がヒットするはずです。これは、「COPD」というワードが、タイトルやアブストラクトなどに含まれている全文献をヒットさせているからです。では次に、「COPD asthma」と入力してみてください。グっとヒット件数が減ったはずです。これは、COPDとasthmaの両方の情報を含んでいる文献を検索しているからです。

 さて、PubMed検索結果の画面で右下のほうを見てください。なんかよくわからん英語がズラっと書かれているテーブルがありますね。この[ ]でくくられた部分がPubMedの「タグ」なのですが、こんなもん全部覚えなくてよい。

 ちなみにこの検索式は「("pulmonary disease, chronic obstructive"[MeSH Terms] OR ("pulmonary"[All Fields] AND "disease"[All Fields] AND "chronic"[All Fields] AND "obstructive"[All Fields]) OR "chronic obstructive pulmonary disease"[All Fields] OR "copd"[All Fields]) AND ("asthma"[MeSH Terms] OR "asthma"[All Fields])」です。なんのこっちゃ分かりませんよね。落語の『寿限無』みたいな。(笑)
 
 自分なりの検索式をイチから作るのが面倒ならば、少しパクればよいのです。病院でだれか必ず一人、こういうのをやっている人間がいますし、何ならこの記事からまずはパクればよい。というわけで、私の検索式の一部を紹介したいと思います。


■呼吸器全般
((Eur Respir J[jo]) OR (Chest[jo]) OR (Thorax[jo]) OR (Lancet Respir Med[jo]) OR (Am J Respir Crit Care Med[jo]) OR (Respirology[jo]) OR (Respiration[jo]) OR (“Respiratory Medicine”[jo])) AND hasabstract

■COPD
COPD AND ((Int J Chron Obstruct Pulmon Dis[jo]) OR (Eur Respir J[jo]) OR (Chest[jo]) OR (Respirology[jo]) OR (Respiration[jo]) OR ("Respiratory Medicine"[jo]) OR (Thorax[jo]) OR (Lancet Respir Med[jo]) OR (Int J Tuberc Lung Dis[jo]) OR (Am J Respir Crit Care Med[jo]) OR (N Engl J Med[jo]) OR ("Lancet"[jo]) OR (BMJ[jo]) OR (JAMA[jo]) OR (Ann Intern Med[jo]) OR (JAMA Intern Med[jo]) OR (CMAJ[jo])) AND hasabstract


 では、PubMedの検索欄のところに、上記「呼吸器全般」の検索式をコピーしてそのまま検索してみてください。私が呼吸器領域で普段から読んでいる論文が時系列で上から表示されます。この検索式はどういうことを書いてあるかというと、「ERJ、CHEST、Thorax、Lancet Respiratory Medicine、AJRCCM、Respirology、Respiration、Respiratory Medicineの医学雑誌に掲載された、アブストラクトがある論文すべて」という条件です。[jo]というのはジャーナルの名前という意味のタグです。雑誌名は、「(Lancet Respiratory Medicine[jo]) 」でも「(Lancet Respir Med[jo])」の短縮形でも検索できます。「AND hasabstract」というのは、アブストラクトが閲覧できる文献を必要条件に組み入れているのです。レターや症例報告のようにアブストラクトがない文献を、ハナっから除外したいからです。この検索式の欠点は、たとえばNew England Journal of Medicineに掲載された呼吸器系の原著論文がひっかからないことです。当然です。[jo]にその医学雑誌を組み入れていないのですから。

※最近CHEST誌は、症例報告にアブストラクトをつけてくるようになったので、厳密に原著論文だけを検索したいなら別の検索式を構築する必要があります。

 次にこのパクった検索式をそのままあなたのMy NCBIに登録してみましょう。「Create alert」をクリックしてください。

 「Name of saved search」を好きな名前(私は「呼吸器全般」)にして、リマインドメールを送ってもらうかどうか設定して登録します。

 こういう検索式をいくつも登録することで、My NCBIに自分だけの「検索式倉庫」が出来上がります。検索式をどのように工夫して登録するかはある程度慣れが必要ですが、まずはこういう仕組みがあることを知って、利用してみてください。

 次回は、検索式についてもう少し詳しく書いてみましょう。ただ、あまりアドバンスな内容にすると逆に使いにくくなってしまいますから、若手医師がおさえておくべき基本だけをお伝えしたいと思います。









by otowelt | 2019-02-10 00:49 | レクチャー

さらば、難しいPubMedよ! その1

・はじめに
 研修医や若手医師から、「PubMedの使い方が分からない」「どうやって英語論文を探せばよいのかわからない」と相談を受けることがあります。ここでは最大のシェアを誇るPubMedの簡単な使い方を紹介したいと思います。
 
 若手医師にとってPubMedが分かりにくいのは、指導医が難しいアドバンスな検索方法ばかり教えるからです。PubMedをそんな難しく考えないでください。テレビを見るときに、音質や画面の設定を細かく調整しますか?アンテナレベルがどのくらいあるか確認しますか?テレビが好きな人はそうすればよろしい。しかし、視聴さえできればよいと思っているなら、テレビの電源をオンするだけでよいのです。PubMedも同じなんです。電源のつけ方を知りたい人間に、テレビの仕組みを教えるのはナンセンスです。


1.PubMedを使う目的を明確にする
 私は毎日PubMedを見ます。この理由は、呼吸器内科領域のエビデンスを取りこぼしたくないからです。世界中の呼吸器内科医が知っているであろう第3相試験の概要を自分が知らない、ということに耐えられないのです。そのため、私は「ある程度の質が高い論文を定期的にスクリーニングする」という目的でPubMedを使っています。しかし、若手医師の中には「抄読会で発表するホットで面白い論文を調べる」という目的でPubMedを開く人もいるでしょう。

 実はこの2つ、まったくPubMedの使い方が異なるのです。どちらがカンタンかと問われれば、定期的スクリーニングです。そしてどちらが有益かと問われれば、やはり定期的スクリーニングなのです。

 抄読会で発表するネタを仕込むのは、月1回くらいの頻度でよいかもしれません。しかし、抄読会が終わればPubMedのことなんて忘れてしまう。さて、みなさんはそれでよいでしょうか?ゲリラ的に検索する技術だけ身につける意味なんてあるでしょうか?

※論文を書く際、身に付ける意味は大いにあります。それはまた別の話。

 あなたの医師人生において、興味ある分野の知見を継続的に積み上げていくには、定期的にスクリーニングする仕組みを構築するべきです。私が好きな言葉に「怠惰を求めて勤勉に行き着く」というものがあります。博奕打ちがイカサマを必死に練習している様子を見て、「楽して大金を稼ごうという人種なのに、やけに勤勉ね」と女性に呆れられるシーンで登場する言葉です。麻雀と医学を結びつけるのは不適切かもしれませんが、将来の仕事量の軽減に期待して先行投資するというのは私にとって優先度が高いことです。

 私は、慢性咳嗽の患者さんが来ても、いちいち問診項目を思い出したり調べたりすることはありません。電子カルテの自分のテンプレートに慢性咳嗽の問診票や鑑別すべき疾患を登録しているからです。同様に、いくつかの疾患の診断基準に関するスコアリングもテンンプテートとして登録しています。これは、患者さんが来院したとき、調べものや入力で時間を取られたくないからです。「事前に苦労を買って、将来の時間を買う」ということです。

 こういう行動を起こす条件は、現在苦労する時間よりも将来返ってくる時間リターンのほうが大きい場合です。前苦労の方が大きくて節約できる時間が少なければ、時間を先行投資する意味がありません。

 私がPubMedで定期的スクリーニングの仕組みを作る理由は、医師人生における論文検索の時間を節約するためです。海外のドクターの多くは、後述するMy NCBIを利用していますが、日本人のほとんどの医師はまだNCBIのアカウントを作っていないそうです(内部の人間に聞きました)。


2.My NCBIを使うだけでよい
 みなさんがPubMedを週1回・月1回でも定期的にチェックしたいと思うならば、「My NCBI」を愛用しましょう。メールアドレスとパスワードだけ登録すれば、何度もスクリーニングのために検索ボックスにワードを入力する作業から解放されます。

 PubMedの右上に「Sign into NCBI」というボタンがあるのでクリックしてみましょう。まだNCBIアカウントを作成していないのなら、「Register for an NCBI account」というところからメールアドレス・パスワードを設定してアカウントを作ってください。

 アカウントを作成すると、ログインしているときにマイアカウントが右上に表示されるようになります。以後、PubMedを使うときは、「My NCBI」を使うよう心がけて下さい。
e0156318_2241569.png
 
 さて、私のMy NCBIを見てみましょう。基本的に常に最新の呼吸器系論文をテーマ別に検索できるようになっています。「COPD」「喘息」というタイトルは私がつけたものですが、これは一定の条件で保存したスクリーニング検索式に関して、論文の更新があったものを「What's new」に数字で表示してくれる仕組みです。この数字をクリックすると、更新があった論文だけをチェックすることができます。
e0156318_10181641.png

 たとえば、私が保存している「COPD」というのは、「COPDに関して信頼性が高い医学雑誌のうち、アブストラクト情報が掲載されているCOPDの文献」という条件です。COPDの新しい論文がChestやERJで掲載されれば、通知がくるようになっているのです。

 これってすごくラクじゃないですか?日々更新されていく膨大な文献の中からCOPDの論文を探さなくても、ちゃんとMy NCBIに通知が来るんですから。指定のメールアドレスに通知を送るよう設定しておけば、メールで「新しい論文があるよ!」と教えてくれます。

 事前に少し時間をかけて準備するだけで、少なくともあなたが医師を続けている間、ホットな情報が届くのです。これはかなり効率的な時間投資だと思うので、特に若手医師のみなさんは普段からMy NCBIを使うクセをつけてください。

 さて、次回は具体的にどういう「検索式」をMy NCBIに保存しているか紹介したいと思います。




[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

Dr.倉原の 呼吸にまつわる数字のはなし ナース・研修医のための
価格:2160円(税込、送料無料) (2019/1/10時点)



by otowelt | 2019-02-09 00:47 | レクチャー

胸膜癒着術

※2019年1月31日改訂

●はじめに
 胸膜癒着術は、気胸や悪性胸水に適用されます。ただし、そのエビデンスは多くありません。この処置は、胸膜を癒着させ胸腔を閉鎖すれば気胸の再発を予防できるのではという発想のもと、1930年代に初めて用いられました1)。その頃からすでに、現在使われているタルクや自己血を胸腔内に注入していました。

 悪性胸水によく使用されるピシバニール®(Streptococcus pyogenes A3:OK432)は1980年代から使用され始めました。自然気胸の5年再発率を16%減少することができたという報告があります(25% vs 41%)2)。タルクによる胸膜癒着術では、自然気胸がほとんど再発しないという知見が広まり、欧米では自然気胸に対する胸膜癒着術はタルクが主流です。しかし、日本では2019年現在タルクは悪性胸水にしか保険適用されません。

 胸膜癒着術の全例が成功するわけではありません。肺の拡張が得られないようなケースではそもそも意味がありません。壁側胸膜と臓側胸膜の2つの胸膜が離れた状態では、それらがくっつく“糊”を入れても空振りに終わるからです。また胸膜播種が重度で粘液産生性の場合、何度やっても癒着できないケースもあります。その他、胸膜癒着術が成功しにくい要因があります3)。例えば胸水中pHが7.28以下のような場合、失敗する確率は上がります。他にも胸水中LDHが高いケース(600 U/L以上)、胸水糖が低下しているケース(60~70mg/dL以下)は胸膜癒着術失敗のリスク因子とされています。


●癒着剤
 癒着剤として何を胸腔内に注入するかですが、大きく分けると2種類あります。

起炎症性癒着剤タルク(ユニタルク®)、テトラサイクリン系抗菌薬、ピシバニール®(OK432)、抗癌剤、ポビドンヨード、(50%ブドウ糖液)
それ自体に接着作用がある癒着剤自己血、50%ブドウ糖液、フィブリン糊


(1)タルク(ユニタルク®)・・・悪性胸水と気胸に使用されているが日本では悪性胸水にしか保険適用がない
 2013年12月、悪性胸水の治療薬であるユニタルク®胸膜腔内注入用懸濁剤4gが発売されました。タルクは、滑石という鉱石を微粉砕した無機粉末です。癌性胸膜炎による悪性胸水に対して、胸膜癒着剤の第一選択とされています。メタアナリシスでは、タルクは最も胸膜癒着術の成績がよい癒着剤とされており、最低でも78%の成功率が維持できるというすぐれものです4)。胸膜が肥厚して癒着効果が得られにくい悪性胸膜中皮腫においても高い胸水コントロール率を誇ります5)

 ユニタルク®は1回4gを生食50mLとともに胸腔内に注入します。10gを超える使用では急性呼吸窮迫症候群(ARDS)などの重篤な副作用も報告されています。日本における後ろ向き検討6)では、ARDSを発症した患者は発症しなかった患者よりも高齢者が多く(年齢中央値80歳 vs 66歳、p=0.02)、胸部CTで既存の間質影がみられる頻度が高かった(4人中2人 vs 23人中1人、p<0.05)とされています。

 ユニタルクは生理食塩水で懸濁してから使用します。放っておくと沈殿してしまうため、溶液内にタルクをまんべんなく行き渡らせて注入するよう心がけましょう。

   
(2)ピシバニール®(OK432)…癌性胸膜炎に使用されている、時に気胸に使用されている
 もともと抗癌剤というカテゴリーに入る薬剤で、注射用製剤で0.2・0.5・1・5KE/バイアルがあります。1KEはStreptococcus pyogenes (A群3型)Su株ペニシリン処理凍結乾燥粉末2.8mg乾燥菌体として0.1mgに相当し、KEとはドイツ語で「Klinische einheit(臨床単位)」のことを指します。ベンジルペニシリンカリウムを含有していますので、ペニシリンアレルギー患者には禁忌です。また、心臓疾患、腎臓疾患患者には慎重投与となっています。1回あたり5~10KEを胸腔内に注入します。白金製剤の胸腔内投与は激烈な症状が出ることがあり、安全性やエビデンスが蓄積されているピシバニール®の方がまだ安心できます。

 シスプラチン単独、ピシバニール®単独、両者を併用する3群において、180日後の再発率が64.7%、52.9%、13.3%だったという報告7)があり、併用療法の有用性も指摘されています(ただしこの場合ドレーン留置期間は8.4日、5.5日、12.9日)。

 日本で行われたJCOG9515試験8)で、4週間の間の胸水無増悪生存率は、ピシバニール®(OK432)で75.8%、ブレオマイシン68.6%、シスプラチン+エトポシド70.6%で有意差はなかったものの()、ピシバニール®が良好な成績であったことから日本ではピシバニール®を含むメニューがよく使用されます。
e0156318_22523997.jpg
. 胸水無増悪生存(文献8)より引用)

 ピシバニール®は強い炎症を惹起できるので、気胸に用いられることもあります。間質性肺炎合併気胸に対するピシバニール®は、39人中4人がIP悪化をおこし2人が死亡するリスクはありますが、総じて有効性は高いため、難治性の気胸では選択肢として考慮してもよいかもしれません9)


(3)自己血・・・主に気胸に使用されている
 悪性胸水に対する自己血による胸膜癒着術の有効性も報告されていますが(テトラサイクリンとの比較10))、日本では主に気胸に対して用います。

 特にエアリークが止まりにくい難治性気胸に対して有効です。自己血による胸膜癒着術の原理は簡単で、傷口がふさがらない肺に“かさぶた”をつくって治療するというものです。自己血のよいところは、注入しても副作用がほぼ起こらないことです。自身の血液を採取して、それを胸腔内に注入するため安全です。間質性肺炎に対してもリスクなく使用できます11)

 10の後ろ向き研究を解析した報告12)によれば、遷延性気胸に対する自己血による胸膜癒着術の成功率は92.7%です。呼吸器内科で経験する難治性気胸に絞るともう少し成功率は低いと思いますが、気胸の胸膜癒着術の第一選択にしてもよいでしょう。

 25人の遷延性気胸における注入血液量を比べた報告13)がありますが、0mL、50mL、100mLで、エアリークが止まるまでの日数が6.3±3.7日、2.3±0.6日、1.5±0.6日でした。有意に100mL群でエアリークが止まるまでの日数が短かったとされています。そのため、100mL程度の注入が望ましいと考えられています。


(4)ブレオマイシン・・・悪性胸水に使用されている
 言わずと知れた抗癌剤です。1mg/kg、多いときで50~60mg/kgを注入します。日本では抗癌剤による胸膜癒着術としてはシスプラチンも使われることがありますが、骨髄抑制や腎障害などの副作用が50~80%見られ、他の抗癌剤に比べて強い傾向にあります。ピシバニール®の項にも記載しましたが、統計学的には4週間の胸水無増悪生存率は、ピシバニール®やシスプラチン+エトポシドと同等の成績です8)


(5)テトラサイクリン系抗菌薬・・・悪性胸水、気胸に使用されている
 海外の文献ではタルクに劣る報告がいくつかあるため、アメリカではあまり使用されません。日本ではまだ胸膜癒着剤の主役になっている施設もあります。ドキシサイクリン500mg、ミノサイクリン300mg程度を生食に溶解して注入する方法が主流です。とても胸膜痛が強く出る薬剤ですので、事前に1%キシロカインを注入しておくなどの対策が必要です。

 自然気胸に対しては、胸腔ドレナージ単独よりもミノサイクリンによる胸膜癒着術を併用したほうが再発抑制効果は高かったという報告があります(1年後の再発率:ミノサイクリン群29.2%、胸腔ドレナージ単独群49.1%、p=0.003)14)。とはいえ、合併症の観点から考えると、自己血より先んじてテトラサイクリンを用いることはなさそうです。


(6)フィブリン糊・・・悪性胸水、気胸に使用されている
 A液=フィブリノゲンをアプロチニンで溶解、B液=トロンビンを塩化カルシウムで溶解、この2種類を直前に混和して注入します。フィブリン生成過程を利用して組織の接着・閉鎖を行います。アプロチニンは牛肺を原料とするのでアレルギーに注意しなければなりません。最近はあまり臨床では目にしませんが、自己血による胸膜癒着術で成功しなかった気胸に効果があったという報告もあります15)


(7)50%ブドウ糖液・・・気胸に使用されている
 近年、国内では気胸に対する50%ブドウ糖液の胸腔内注入がトレンドです16)-18)。私は自己血をファーストラインで用いていましたが、2018年現在は自己血あるいは50%ブドウ糖のいずれかを選択しています。気胸の術中に50%ブドウ糖を50mL散布することで、術後の気胸再発を予防できるという報告19)もあります。

 ピシバニール®やテトラサイクリンよりも合併症が少ないため、特に間質性肺疾患の患者さんでは使いやすいです。ただ、副作用は少ないのは間違いありませんが、注入後の胸膜痛が多いように感じます。安価でありレセプトで悩むこともそうなさそうですから、気胸の術中にルーチンで50%ブドウ糖液を注入してもよさそうです。

 50%ブドウ糖は悪性胸水に対しても有効です。ただし、胸水中の糖が高いと胸膜癒着術が失敗しやすいようです20)。一般的には胸水糖が低すぎる胸水例で胸膜癒着術の成功率が低いと言われていますが、50%ブドウ糖の場合は胸水糖が高すぎることが失敗のリスクとされています。

 注入量については古典的には200mLがベストですが、多すぎると胸膜痛が強く出てしまうので、もしかすると100mLくらいでもよいかもしれません。血糖が一時的に上昇するので、糖尿病の患者さんでは高血糖に注意してください。


(8)その他
 その他、ポビドンヨードによる癌性胸膜炎や気胸の再発予防の報告もあります。タルクに遜色ないという結果も報告されており、今後期待されています。ブレオマイシンのような起炎症性の胸膜癒着剤と比較するとビドンヨードの胸膜癒着効果は同等に高いと報告されていますが21)、自己血や50%ブドウ糖と肩を並べる存在になるのかどうかは分かりません。また、その他の胸膜癒着剤として、テトラサイクリン系以外の抗菌薬であるエリスロマイシンが有望視されています22)



●実際の手順
 実際の手順についてです。使用する胸腔ドレーンは必ずしも20Fr以上の太径胸腔ドレーンを使用する必要はありません。疼痛の観点からも細径(10~14Fr程度)でよいとされています(23)。ただ、私は16Fr以上の胸腔ドレーンを使うことが多いです。ダブルルーメンでないとテクニカルに胸膜癒着しにくいため、院内に採用されている胸腔ドレーンを事前に調べておきましょう。
e0156318_1157441.png
. 胸膜癒着術における細径胸腔ドレーンと太径胸腔ドレーンの治療効果23)(文献より引用)

 ちなみに、施術は肺の拡張が完全に得られていることが前提条件です。悪性胸水については排液量が150mL/日くらいを下回れば、問題なく癒着術ができます。


1.全身ステロイドは事前にできるだけ減らしておくことが推奨されています24)

2.薬剤を胸腔に注入する前に1%キシロカインを20mL程胸腔内注入したり、解熱鎮痛薬を事前に内服してもらったりしてから治療を行います。これらによって胸膜痛を軽減することができます。NSAIDsを使用すると胸膜癒着剤の効果が減るという都市伝説がありましたが、現在はこの考えは否定されています25)

3.薬剤を入れた後、悪性胸水の場合は胸腔ドレーンをクランプします。気胸の場合はエアリークが続いているのでクランプの必要はありませんが、接続管は患者さんの体から40~60cm高い位置を経由させて、空気のみが排出されるよう工夫してください。癒着剤が垂れ流しだともったいないです。
 ・自己血50~100mL(採血係と胸腔注入係の2人が必要)
 ・50%ブドウ糖液200mL
 ・ピシバニール®5~10KE+生理食塩水50~100mL
 ・ユニタルク®4g+生理食塩水50mL (注入後生理食塩水50mLを追加)
 ・ミノマイシン®100~300mg+生理食塩水100mL


4.肺尖部分を中心に癒着剤が胸腔に広がるように体位変換することが重要とされています(例:仰臥位10~20分・右側臥位10~20分・左側臥位10~20分・腹臥位10~20分・坐位10~20分など)
 ※ただし、体位変換そのものや変換時間のエビデンスは現時点ではありません26)
 ※胸腔ドレーン側を下にすると当然痛いので、その体位はスキップします。


5.臓側胸膜と壁側胸膜を癒着する必要があるので、陰圧(たとえば-15~20cmH2Oなど)で持続吸引するのが望ましいという意見が多いです。
 ※陰圧のエビデンスは現時点ではほとんどありません。
 ※個人的には、ドレーンが閉塞しないように適宜ごく少量の生理食塩水や空気を注入して適宜開通を確認することもあります。胸膜癒着術では胸腔ドレーン閉塞が一番問題になります。


6.悪性胸水の場合、1日150mL以下の胸水排液で胸腔ドレーンを抜去しても問題ありません。それ以上の胸水排液が24時間以上続く場合は、再度胸膜癒着術を考慮します。3回目以降の胸膜癒着術にはエビデンスがありません。気胸の場合、エアリークが消失していたら、胸腔ドレーンが閉塞した気胸の傷口がふさがっているかのどちらかです。バイタルサインに問題がなければ翌日の胸部レントゲン写真で肺が全拡張しているかどうか確認します。
 ※肺が虚脱してエアリークがない場合、ドレーン閉塞が考えられます。翌日にこれを発見するのは嫌なので、上述したように陰圧をかけている間にドレーンが開通しているかどうか少量の生理食塩水や空気を注入して確認します(ただし推奨される医療行為ではない)。



●副作用
 胸膜癒着術の副作用としてよくみられるのは、発熱、疼痛です。特に発熱と疼痛は自己血以外ではほぼ必発です。重篤な副作用として呼吸不全、SIRS、膿胸などがありますが、呼吸器内科医としておさえておかなければならないのは、タルクによるARDSです。高齢者や間質性肺疾患のある患者さんではリスクが高いので要注意です6)

 SpO2が低下した場合、まれなARDSなどの合併症を疑うよりも、まず胸腔ドレーンの閉塞を疑ってください。とくに自己血の場合、胸腔ドレーン閉塞と気胸治癒の判断が難しいことがあるため、翌日の胸部レントゲン撮影は必須です。


(参考文献)
1) Bethune N. Pleural poudrage: new technique for the deliberate production of pleural adhesion as preliminary to lobectomy. J Thorac Surg 1935; 4:251.
2) Gyorik S et al. Long-term follow-up of thoracoscopic talc pleurodesis for primary spontaneous pneumothorax. Eur Respir J. 2007 Apr;29(4):757-60.
3) Heffner JE et al. Pleural fluid pH as a predictor of pleurodesis failure: analysis of primary data. Chest 2000 Jan;117(1):87-95.
4) Tan C, et al. The evidence on the effectiveness of management for malignant pleural effusion: a systematic review. Eur J Cardiothorac Surg. 2006;29(5):829.
5) Rena O, et al. Persistent lung expansion after pleural talc poudrage in non-surgically resected malignant pleural mesothelioma. Ann Thorac Surg. 2015; 99(4): 1177-83.
6) Shinno Y, et al. Old age and underlying interstitial abnormalities are risk factors for development of ARDS after pleurodesis using limited amount of large particle size talc. Respirology. 2018 Jan;23(1):55-59.
7) Ishida A, et al. Intrapleural cisplatin and OK432 therapy for malignant pleural effusion caused by non-small cell lung cancer. Respirology. 2006 Jan;11(1):90-7.
8) Yoshida K, et al. Randomized phase II trial of three intrapleural therapy regimens for the management of malignant pleural effusion in previously untreated non-small cell lung cancer: JCOG 9515. Lung Cancer. 2007 Dec;58(3):362-8.
9) Ogawa K, et al. OK-432 pleurodesis for the treatment of pneumothorax in patients with interstitial pneumonia. Respir Investig. 2018 Jun 11. pii: S2212-5345(18)30095-9.
10) Keeratichananont W, et al.Efficacy and safety profile of autologous blood versus tetracycline pleurodesis for malignant pleural effusion. Ther Adv Respir Dis. 2015 Apr;9(2):42-8.
11) Aihara K, et al. Efficacy of Blood-Patch Pleurodesis for Secondary Spontaneous Pneumothorax in Interstitial Lung Disease. Intern Med 50: 1157-1162, 2011.
12) Chambers A, et al. Is blood pleurodesis effective for determining the cessation of persistent air leak? Interact Cardiovasc Thorac Surg. 2010 Oct;11(4):468-72.
13) Andreetti C, et al. Pleurodesis with an autologous blood patch to prevent persistent air leaks after lobectomy. J Thorac Cardiovasc Surg 2007 Mar;133(3):759-62.
14) Chen JS, et al. Simple aspiration and drainage and intrapleural minocycline pleurodesis versus simple aspiration and drainage for the initial treatment of primary spontaneous pneumothorax: an open-label, parallel-group, prospective, randomised, controlled trial. Lancet. 2013 Apr 13;381(9874):1277-82.
15) Iyama S, et al. Successful treatment by fibrin glue sealant for pneumothorax with chronic GVHD resistant to autologous blood patch pleurodesis. Intern Med. 2012;51(15):2011-4.
16) Tsukioka T, et a. Pleurodesis with a 50% Glucose Solution in Patients with Spontaneous Pneumothorax in Whom an Operation is Contraindicated. Ann Thorac Cardiovasc Surg. 2013;19(5):358-63.
17) Tsukioka T, et al. Intraoperative mechanical and chemical pleurodesis with 50 % glucose solution for secondary spontaneous pneumothorax in patients with pulmonary emphysema. Surg Today. 2013 Aug;43(8):889-93.
18) Fujino K, et al. Novel approach to pleurodesis with 50 % glucose for air leakage after lung resection or pneumothorax. Surg Today. 2016 May;46(5):599-602.
19) Tsuboshima K, et al. Pleural Coating by 50% Glucose Solution Reduces Postoperative Recurrence of Spontaneous Pneumothorax. Ann Thorac Surg. 2018 Jul;106(1):184-191.
20) Pantazopoulos I, et al. Pleural fluid glucose: A predictor of unsuccessful pleurodesis in a preselected cohort of patients with malignant pleural effusion. J BUON. 2014 Oct-Dec;19(4):1018-23.
21) Bagheri R, et al. The effect of iodopovidone versus bleomycin in chemical pleurodesis. Asian Cardiovasc Thorac Ann. 2018 Jun;26(5):382-386.
22) Zhai CC, et al. Erythromycin poudrage versus erythromycin slurry in the treatment of refractory spontaneous pneumothorax. J Thorac Dis. 2018 Feb;10(2):757-765.
23) Thethi I, et al. Effect of chest tube size on pleurodesis efficacy in malignant pleural effusion: a meta-analysis of randomized controlled trials. J Thorac Dis. 2018 Jan;10(1):355-362.
24) Kennedy L et al. Pleurodesis using talc slurry. Chest 1994 Aug;106(2):342-6.
25) Rahman NM, et al. Effect of Opioids vs NSAIDs and Larger vs Smaller Chest Tube Size on Pain Control and Pleurodesis Efficacy Among Patients With Malignant Pleural Effusion: The TIME1 Randomized Clinical Trial. JAMA. 2015 Dec 22-29;314(24):2641-53.
26) Dryzer SR, et al. A comparison of rotation and nonrotation in tetracycline pleurodesis. Chest. 1993 Dec;104(6):1763-6.



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ポケット呼吸器診療(2018) [ 林清二 ]
価格:1944円(税込、送料無料) (2018/5/12時点)



by otowelt | 2019-01-31 00:15 | レクチャー

膿胸に対する胸腔ドレナージ/線維素溶解療法

 胸腔ドレナージは、「胸腔ドレーンは太ければ太いほどよい」みたいな慣習がありましたが、現在は細径でも太径でも臨床アウトカムに差がないことがわかっており1)、疼痛が少ないので細径の方がよいと考える人が増えてきました。ただ、たとえ小規模な研究でそう結論づけられても、粘稠度の高い膿がドレーン先端でフィブリンとともに固まってしまう事態は誰しも経験があるでしょう。そのため、極端に細い8Frのアスピレーションキットで治療する勇気は私にはなく、12~14Fr以上の径を選んでしまいます。昔は20Fr以上の胸腔ドレーンを積極的に選んでいたものですが・・・

※気胸の場合、COPDや肺の構造改変がある患者さんでは太めの胸腔ドレーンを入れた方がよいとという意見もあります。細径の場合に局所的なベルヌーイの定理(のようなもの)がはたらくからではないかと考えられています。

 イギリス呼吸器学会のガイドライン2)を読むと、定期的に生食をプッシュしてドレーンの閉塞を解除すれば、細径ドレーンでも管理できると考えられます。そのため、細径でもドレーン閉塞に注意しながらであれば管理は可能です。

 さて、膿胸に対する胸腔ドレナージの際、「線維素溶解療法」を適用するかどうかが1つの分かれ道になります。これは、ストレプトキナーゼ、ウロキナーゼなどを胸腔ドレーンから注入する治療法です。線維素溶解療法の目的は、フィブリン隔壁を溶解することでドレナージ効率を高めることです。日本ではもっぱらウロキナーゼが用いられていますが、基本的には保険適用されないので注意が必要です。私が研修医になった頃は、線維素溶解療法に関する大規模臨床試験3)やメタアナリシス4)がよく報告されており、いずれにおいても死亡・外科手術の必要性といったアウトカムを有意に改善する効果はありませんでした()。ただ、結構きわどい結果のものが多く、あといくつかの比較試験が集まれば「効果あり」と判定されなくもない位置付けでした。
e0156318_10125331.png

e0156318_1013172.png
. 胸腔内感染症に対する線維素溶解療法の5研究のメタアナリシス4)(文献より引用)

 その後、天下のコクランレビュー5)やCHEST誌のメタアナリシス6)で新しいデータを含めた解析がおこなわれました。死亡リスクを低下させる効果があるとは言えないものの、外科手術を回避しやすいことが分かりました()。また、「外科手術がよいか非外科手術がよいか」という別のテーマでコクランレビュー7)が報告されており、ここでは両治療の死亡リスクに差はないと書かれています。つまり、線維素溶解療法には死亡リスクを低減する効果はありませんが、侵襲性の高い外科手術を回避する効果はあると言えます。
e0156318_10145380.png
e0156318_1015570.png

. 胸腔内感染症に対する線維素溶解療法の7研究のメタアナリシス7)(文献より引用)

 ちなみにウロキナーゼは1回12万単位を生食100mLとともに注入し、2~3時間クランプしたあとに開放する処置を1日1回3日間行うことが一般的です。

 海外では、DNaseの投与がさかんのようです。DNaseはデオキシリボヌクレアーゼのことで、DNAおよびDNA-タンパク複合体に作用して、膿性滲出物の粘稠度を下げることができます。日本ではプルモザイム®という嚢胞性線維症に対するDNase吸入薬がありますが、胸腔内への注入用につくられておらず、日本ではDNaseを注入することは難しいでしょう。胸腔内感染に対する、t-PA+DNaseの胸腔内投与によって ドレナージ効果が改善し、手術コンサルテーションの
頻度が減り、入院期間が短縮します(8)。多くの臨床試験では1日2回3日間というt-PA+DNaseレジメンが適用されています。
e0156318_10162360.png

. t-PA+DNaseの効果8)(文献より引用)

 線維素溶解療法の際、胸部CT写真で2mm以上の胸膜肥厚があると、失敗するリスクが高いとされています9)。とはいえ、膿胸で胸膜肥厚2mm以上というのはよくみられる所見なので、失敗しやすくても「やるっきゃない」と思わずにいられません。

 線維素溶解療法を適用するか否かは別として、エキスパートオピニオンレベルでは膿胸腔の洗浄も非常に有効とされていますが、洗浄処置は昔と比べて減った印象です。どうでしょう、みなさんの施設では膿胸に対して洗浄を行っていますか?


(参考文献)
1) Rahman NM, et al. The relationship between chest tube size and clinical outcome in pleural infection. Chest. 2010 Mar;137(3):536-43.
<胸膜感染が疑われる患者(おそらく膿胸の症例以外も組み入れられている)に対するストレプトキナーゼ注入の研究において、胸腔ドレーンのサイズ(10Fr未満、10~14Fr、20Fr以上)と3ヶ月後の臨床アウトカムの関連を調べた研究。径の太細にかかわらず、臨床アウトカムは同等でした。>
2) Davies CW, et al. BTS guidelines for the management of pleural infection. Thorax. 2003 May;58 Suppl 2:ii18-28.
<イギリスの胸腔感染症に関するガイドライン。6時間ごとに生食でドレーン閉塞を解除するテクニックが紹介されています。>
3) Maskell NA, et al. Controlled trial of intrapleural streptokinase for pleural infection. N Engl J Med. 2005 Mar 3;352(9):865-74.U.K.
<ストレプトキナーゼ25万単位1日2回3日間の胸腔内注入療法の効果を検証したランダム化比較試験。死亡率や外科手術の必要性といったアウトカムに差はみられませんでした。>
4) Tokuda Y, et al. Intrapleural fibrinolytic agents for empyema and complicated parapneumonic effusions: a meta-analysis. Chest. 2006 Mar;129(3):783-90.
<5研究を集めた線維素溶解療法のメタアナリシス。有意ではないものの、線維素溶解療法が死亡と外科手術必要性を減らす可能性があるという含みが書かれています。リスク比0.55、95%信頼区間0.28~1.07。>
5) Cameron R, et al. Intra-pleural fibrinolytic therapy versus conservative management in the treatment of adult parapneumonic effusions and empyema. Cochrane Database Syst Rev. 2008 Apr 16;(2):CD002312.
<7研究を集めたの線維素溶解療法のメタアナリシス。死亡リスクを軽減する効果はないが、外科手術を回避する効果があると考察されている[これらのアウトカムに関しては6研究の解析に基づく]。>
6) Janda S, et al. Intrapleural fibrinolytic therapy for treatment of adult parapneumonic effusions and empyemas: a systematic review and meta-analysis. Chest. 2012 Aug;142(2):401-411.
<上記コクランレビューとは一部異なる7研究を集めた線維素溶解療法のメタアナリシス。外科手術の必要性を回避する効果が報告されています。>
7) Redden MD, et al. Surgical versus non-surgical management for pleural empyema. Cochrane Database Syst Rev. 2017 Mar 17;3:CD010651.
<膿胸の治療において、外科手術と非外科手術に死亡アウトカムの差がないことを示したコクランレビューです。>
8) Rahman NM, et al. Intrapleural use of tissue plasminogen activator and DNase in pleural infection. N Engl J Med. 2011 Aug 11;365(6):518-26.
<DNaseとt-PAの併用によって胸腔感染症の臨床アウトカムを改善したという大規模臨床試験です。>
9) Abu-Daff S, et al. Intrapleural fibrinolytic therapy (IPFT) in loculated pleural effusions--analysis of predictors for failure of therapy and bleeding: a cohort study. BMJ Open. 2013 Jan 31;3(2). pii: e001887.
<t-PAあるいはストレプトキナーゼによる線維素溶解療法の成功しにくい因子を調べた報告。胸部CTにおいて胸膜肥厚が2mmを超えると失敗しやすいことが示されました[オッズ比3.1、95%信頼区間1.46-6.57、p=0.0031]>





by otowelt | 2018-08-15 00:10 | レクチャー

気管支サーモプラスティにかかる費用

e0156318_9283725.png 気管支サーモプラスティは3週間の間隔をあけて合計3回、入院して実施する必要があります。合計3回の入院で約130万円の医療費がかかります。麻酔費用や入院費用もあわせると、3割負担の場合、50万円近くになります。

 1ヶ月に2回、翌月に1回といった感じで2ヶ月で計3回治療を受けるのがベストな選択です。収入が多い人の場合でも、高額療養費を使うことで上限は40万円くらいにおさまるはずです。もっとも適用例が多い18~69歳の患者における高額療養費制度を使った場合の自己負担額をに掲載します。

e0156318_9241267.png




[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

呼吸器内科実践NAVI “近中”の極意 [ 林 清二 ]
価格:4860円(税込、送料無料) (2018/5/22時点)



by otowelt | 2018-08-12 09:29 | レクチャー

喘息とマグネシウムの関連性

e0156318_10523354.png・喘息とマグネシウムの関連性
 体内では、総マグネシウムのうち、約70~80%がイオン化マグネシウムとして存在すると言われており、その生理活性はイオン化マグネシウムが持つとされています。さて、喘息とマグネシウムの関連について、よく知られているのは喘息発作の治療薬としてのマグネシウムです。

 喘息に対するマグネシウムの作用機序は、イオン化マグネシウムが細胞外でイオン化カルシウムのアンタゴニストとして作用し、イオン化カルシウムによる平滑筋収縮作用を抑制することが主です1),2)。これにより気管支平滑筋が弛緩されやすい状態になり、喘息発作を軽減させます。in vivoでは軽微な影響ではあるものの、抗炎症作用を持つことが知られています。喘息発作の治療薬として短時間作用性β2刺激薬が用いられますが、マグネシウムはこの受容体の親和性を亢進する作用も併せ持ちます。そのほか、頻脈を抑制するはたらきがあり、に示したように複数の作用によって喘息発作を緩和する方向にはたらきます。

e0156318_2312624.png

図. 喘息とマグネシウムの関連

・喘息に対するマグネシウムの有効性
 今から30年近く前の研究で、喘息診療医の間ではよく知られたランダム化比較試験3)があります。喘息発作の患者をプラセボ生理食塩水静注群と1.2gの硫酸マグネシウム静注群に割り付け、ピークフロー値や入院アウトカムの改善がみられるかどうか検証したものです。結果、マグネシウム投与群で有意なアウトカムの改善がみられました。一方、ネブライザー吸入のマグネシウム、静注マグネシウム、プラセボの効果を比較した近年の研究4)では、投与経路にかかわらずマグネシウムは入院アウトカムや呼吸困難のスケールに有意な効果をもたらしませんでした。

 その後、ネブライザー吸入と静注に分けてコクランが別々にレビューをしています。質の低い研究が多いものの、ネブライザーマグネシウムの投与はわずかながら肺機能や喘息発作による入院を改善させたことを報告しています。しかしエビデンスとしては弱く、その他の喘息発作治療に比べると極めて弱い効果であることが明記されています5)。静注に関しては、成人喘息に対するマグネシウム投与は入院の頻度を減らすとされています6)。100人の喘息発作にマグネシウムを静注することで、約7人の入院を減らすことができるようですが、個人的にはそこまでの発作軽減力はないように感じています。

 当然ながら、死亡率を低下させるほどの効果はありませんので7)、重症喘息治療に対する奥の手として用いたとしてもやはりパワー不足というのが実のところではないでしょうか。

関連記事:マグネシウムは気管支喘息発作に本当に効果があるのか?


(参考文献)
1) Gourgoulianis KI, Chatziparasidis G, Chatziefthimiou A, et al. Magnesium as a relaxing factor of airway smooth muscles. J Aerosol Med. 14:301-307, 2001.
2) Sinert R, Spektor M, Gorlin A, et al.Ionized magnesium levels and the ratio of ionized calcium to magnesium in asthma patients before and after treatment with magnesium. Scand J Clin Lab Invest. 65:659-670, 2005.
3) Skobeloff EM, Spivey WH, McNamara RM, et al. Intravenous magnesium sulfate for the treatment of acute asthma in the emergency department.JAMA. 262:1210-1203, 1989.
4) Goodacre S, Cohen J, Bradburn M ,et al. Intravenous or nebulised magnesium sulphate versus standard therapy for severe acute asthma (3Mg trial): a double-blind, randomised controlled trial. Lancet Respir Med. 1:293-300, 2013.
5) Knightly R, Milan SJ, Hughes R, et al :Inhaled magnesium sulfate in the treatment of acute asthma. Cochrane Database Syst Rev. 11:CD003898, 2017.
6) Kew KM, Kirtchuk L, Michell CI, et al. Intravenous magnesium sulfate for treating adults with acute asthma in the emergency department. Cochrane Database Syst Rev. 28;CD010909, 2014.
7) Hirashima J, et al. Effect of intravenous magnesium sulfate on mortality in patients with severe acute asthma. Respirology. 21(4):668-73, 2016.







by otowelt | 2018-08-08 00:10 | レクチャー