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CDIに対する静注メトロニダゾール+経口バンコマイシン

e0156318_9404474.jpg 黒田浩一先生のSNSをみて、この論文を知り、読んでみました。ありがとうございます。私の周辺はまだクロストリジウムのままで、誰もクロストリディオイデスって呼んでいないです。カリニがようやく死語になったくらい。(笑)

Ying Wang, et al.
Dose addition of intravenous metronidazole to oral vancomycin improve outcomes in Clostridioides difficile infection?
Clinical Infectious Diseases, ciz1115, https://doi.org/10.1093/cid/ciz1115


背景:
 ガイドラインでは、劇症型Clostridioides difficile感染症(CDI)に対して、経口バンコマイシンに静注メトロニダゾールを加えることが推奨されている。これは、静注メトロニダゾールと経口バンコマイシンとバンコマイシン単独治療を比較した研究である。非劇症型および劇症型CDIにおける併用療法の使用頻度・有効性をアセスメントした。

方法:
 2010年~2018年に実施された、2施設の後ろ向き研究である。成人の入院患者で下痢便においてC. difficile PCRが陽性となり、経口バンコマイシンを検査前後2日以内に開始された者を対象とした。同時期に静注メトロニダゾールを投与された患者を併用療法群とし、バンコマイシン単独療法群と比較した。プライマリアウトカムは、90日以内の死亡あるいは大腸切除とした。ロジスティック回帰モデルを用いて、CDI重症度とその他CDIアウトカム予測因子を調整した。セカンダリアウトカムとして、CDIの再発を設定した。

結果:
 研究には2114人の患者が含まれた(併用療法群993人、単剤治療群1121人)。このうち、23%がプライマリアウトカムを満たした。併用療法群のほうがバイタルサイン異常や血液検査異常が多かった。加えて、併用療法群のほうが巨大結腸症に陥りやすく、ICUに入室しやすく、劇症型CDIであることが多かった(p<0.01)。併用療法群のほうがプライマリアウトカムを満たした頻度が高かった(28% vs 18%, p<0.01)。
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(文献より引用)

 非重症あるいは重症CDIと比較すると劇症型CDIは死亡リスク上昇と関連していた(χ2 p<.01)。
 SHEA/IDSA疾患重症度およびその他CDIアウトカム予測因子で補正すると、併用療法とプライマリアウトカムの間に関連はなかった(補正オッズ比1.07、95%信頼区間0.79-1.45)。劇症型CDIの症例にしぼっても、この結果は同様だった(補正オッズ比1.17、95%信頼区間0.65-2.10)。また、併用療法とCDI再発の間にも関連はなかった。

結論:
 非劇症型および劇症型CDIに対する静注メトロニダゾールと経口バンコマイシンの併用療法はよくおこなわれているが、バンコマイシン単独と比べてアウトカム改善と関連していなかった。


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by otowelt | 2019-11-15 11:05 | 感染症全般

ATS/IDSA成人市中肺炎ガイドライン2019

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 全文が長いので、16のQ&Aサマリーを翻訳しました。

感想:
 ①Gram染色はルーチンにやるものと教わって育ったので違和感があるのですが・・・。
 ②フォローアップレントゲンなんて要りませんというのは以前から知られた知見ですが、呼吸器内科医としては「改善したことを患者さんに分かりやすく認識してもらう」「改善時のレントゲン写真を残しておく」という意義があるように思います。ダメでしょうか。
 ③世界的にレスピラトリーキノロンが流行っているのですね。

Metlay JP, et al.
Diagnosis and Treatment of Adults with Community-acquired Pneumonia. An Official Clinical Practice Guideline of the American Thoracic Society and Infectious Diseases Society of America
Am J Respir Crit Care Med. 2019 Oct 1;200(7):e45-e67.


クエスチョン1:市中肺炎(CAP)の成人において、診断時に下気道分泌物のGram染色と培養をおこなうべきか?
 外来の成人CAPマネジメントでは、喀痰のGram染色と培養をルーチンにおこなわないことを推奨する(強い推奨)。入院の成人CAPマネジメントでは、治療前に喀痰のGram染色と培養をおこなうことを推奨する。対象となるのは、①重症CAP(特に挿管中の患者では強く推奨)、②MRSAや緑膿菌を標的とすべき患者(強く推奨)、また過去に同菌に罹患したことがある患者(特に呼吸器感染症)(条件付き推奨)、また90日以内に外来・入院を問わず抗菌薬点滴を受けたことがある入院患者(条件付き推奨)。

クエスチョン2:CAPの成人において、診断時に血液培養を採取すべきか?
 外来の成人CAPマネジメントでは、血液培養をおこなわないことを推奨する(強く推奨)。入院中の成人CAPマネジメントでは、血液培養をルーチンにおこなわないことを支持する(条件付き推奨)。入院中の成人CAPマネジメントでは、血液培養を推奨する対象は、①重症CAP(強く推奨)、②MRSAや緑膿菌を標的とすべき患者(強く推奨)、また過去に同菌に罹患したことがある患者(特に呼吸器感染症)(条件付き推奨)、また90日以内に外来・入院を問わず抗菌薬点滴を受けたことがある入院患者(条件付き推奨)。

クエスチョン3:CAPの成人において、レジオネラと肺炎球菌の尿中抗原テストは診断時におこなうべきか?
 外来の成人CAPマネジメントでは、レジオネラと肺炎球菌の尿中抗原テストをルーチンにおこなわないことを支持する(条件付き推奨)。ただし、重症CAPを除く(条件付き推奨)。
 成人CAPマネジメントでは、レジオネラと肺炎球菌の尿中抗原テストをルーチンにおこなわないことを支持するが、以下の場合を除く。①レジオネラのアウトブレイクや直近の旅行などと関連した疫学的因子がある場合(条件付き推奨)、②重症CAP(条件付き推奨)。
 成人重症CAPの場合、レジオネラ尿中抗原テスト、下気道分泌物のレジオネラ選択培地を用いた培養、レジオネラ拡散増幅検査を支持する(条件付き推奨)。

クエスチョン4:CAPの成人において、診断時にインフルエンザウイルスの検査を気道検体でおこなうべきか?
 地域にインフルエンザウイルスが流行している場合、迅速インフルエンザ分子アッセイ(拡散増幅検査など)をおこなうことを推奨する。これは、迅速インフルエンザ診断検査(抗原テストなど)よりも好ましい(強く推奨)。

クエスチョン5:CAPの成人において、治療開始を差し控えるために、血清プロカルシトニンと臨床判断の併用あるいは臨床判断単独は適用すべきか?
 初回血清プロカルシトニンの値にかかわらず、臨床的・放射線学的にCAPが疑われる成人に対して、経験的抗菌薬治療を開始するよう推奨する(強い推奨)。

クエスチョン6:CAPの成人において、外来または入院で治療開始すべきか決定するために、臨床予後予測指標と臨床判断の併用または臨床判断単独のいずれを適用すべきか?
 CAPの成人患者を入院治療するかどうか決定する上で、医師は、臨床判断に加えて、妥当性のある臨床予後予測指標を用いることを推奨する(条件付き推奨)。PSI(強く推奨)のほうがCURB-65(条件付き推奨)よりも好ましい。

クエスチョン7:CAPの成人において、一般病棟あるいはさらに高度な入院(ICU、step-down、telemetry unit)で治療を開始するかどうか決定するために、臨床予後予測指標と臨床判断の併用または臨床判断単独のいずれを適用すべきか?
 血管作動薬を要する低血圧あるいは人工呼吸器を要する呼吸不全がある患者は直接ICUへ入院することが望ましい(強く推奨)。
 血管作動薬や人工呼吸器の必要がない患者は、IDSA/ATS2007マイナー重症度基準と臨床判断を併用し、高度な入院治療が必要かどうか決定する(条件付き推奨)。

クエスチョン8:CAPの成人において、外来ではどの抗菌薬が経験的治療として推奨されるか?
 ①併存症(慢性の心疾患・肺疾患・肝疾患・腎疾患、糖尿病、アルコール中毒、悪性疾患、無脾症)あるいは抗菌薬耐性のリスク因子がない外来の健康な成人では、
 ■アモキシシリン1g1日3回(強く推奨) あるいは
 ■ドキシサイクリン100mg1日2回(条件付き推奨) あるいは
 ■マクロライド(アジスロマイシン500mg初日→250mg1日1回、あるいはクラリスロマイシン500mg1日2回、あるいはクラリスロマイシン[extended release]1000mg1日1回):ただしマクロライド耐性肺炎球菌が25%未満の地域に限る
 ②上記併存症がある患者では、
 ■併用療法
  ・アモキシシリン/クラブラン酸500mg/125mg1日3回、あるいはアモキシリン/クラブラン酸875mg/125mg1日2回、あるいはアモキシシリン/クラブラン酸2000mg/125mg1日2回、あるいはセファロスポリン(セフポドキシム200mg1日2回、あるいはセフロキシム500mg1日2回)
   +
  ・マクロライド(アジスロマイシン500mg初日→250mg1日1回、あるいはクラリスロマイシン500mg1日2回、あるいはクラリスロマイシン[extended release]1000mg1日1回)(強く推奨)あるいはドキシサイクリン100mg1日2回(条件付き推奨)
   または
 ■単独療法
  ・レスピラトリーキノロン(レボフロキサシン750mg1日1回、モキシフロキサシン400mg1日1回、ゲミフロキサシン320mg1日1回)(強く推奨)

クエスチョン9:MRSAや緑膿菌のリスク因子がないCAPの成人入院患者において、どの抗菌薬が経験的治療として推奨されるか?
 推奨9-1:MRSAや緑膿菌のリスク因子がない非重症CAPの成人入院患者において、以下の経験的治療レジメンを推奨する(優先順位なし)。
  ・β-ラクタム(アンピシリン+スルバクタム1.5~3g6時間ごと、セフォタキシム1~2g1日1回、セフトラリン600mg12時間ごと)+マクロライド(アジスロマイシン500mg1日1回あるいはクラリスロマイシン500mg1日2回)(強く推奨)
  ・レスピラトリーキノロン単剤(レボフロキサシン750mg1日1回、モキシフロキサシン400mg1日1回)(強く推奨)
 マクロライドやフルオロキノロンが禁忌であるCAPの成人に対しては、
  ・β-ラクタム(アンピシリン+スルバクタム1.5~3g6時間ごと、セフォタキシム1~2g1日1回、セフタロリン600mg12時間ごと)+ドキシサイクリン100mg1日2回(条件付き推奨)

 推奨9-2:MRSAや緑膿菌のリスク因子がない重症CAPの成人入院患者において、以下の経験的治療レジメンを推奨する。
  ・β-ラクタム(アンピシリン+スルバクタム1.5~3g6時間ごと、セフォタキシム1~2g1日1回、セフトラリン600mg12時間ごと)+マクロライド(アジスロマイシン500mg1日1回あるいはクラリスロマイシン500mg1日2回)(強く推奨)
  ・β-ラクタム(アンピシリン+スルバクタム1.5~3g6時間ごと、セフォタキシム1~2g1日1回、セフトラリン600mg12時間ごと)+レスピラトリーキノロン(レボフロキサシン750mg1日1回、モキシフロキサシン400mg1日1回)(強く推奨)

クエスチョン10:誤嚥性肺炎が疑われる成人の入院患者において、通常の経験的治療に加えて嫌気性菌をカバーすべきか?
 肺化膿症や膿胸が疑われる状況でなければ、誤嚥性肺炎を疑う場合であっても嫌気性菌カバーをルーチンに加えないことを支持する(条件付き推奨)。

※誤嚥性肺炎の多くに嫌気性菌が関与していないことがいくつかの研究で示されており(Am J Respir Crit Care Med. 2003 Jun 15;167(12):1650-4.、Chest. 1999 Jan;115(1):178-83.、Intensive Care Med. 1993;19(5):279-84.)、クリンダマイシンやβラクタム/βラクタマーゼ阻害薬といった嫌気性菌カバーの抗菌薬は、Clostridioides difficile感染症のリスクとなりうる。

クエスチョン11:MRSAや緑膿菌のリスク因子あるCAPの成人において、入院では通常のCAPレジメンよりスペクトラムを広くすべきか?
 CAPの成人に対する抗菌薬カバー範囲を選択する上で、前分類である医療関連肺炎(HCAP)を使用しないよう推奨する(強く推奨)。
 MRSAや緑膿菌の地域レベルでのリスク因子が存在する場合にのみ、CAPの成人に対してMRSAや緑膿菌を経験的にカバーすることを推奨する(強く推奨)。MRSAに対する経験的治療オプションには、バンコマイシン(15mg/kg12時間ごと、TDM要)、リネゾリド(600mg12時間ごと)が含まれる。緑膿菌に対する経験的治療オプションには、ピペラシリン-タゾバクタム(4.5g6時間ごと)、セフェピム(2g8時間ごと)、セフタジジム(2g8時間ごと)、アズトレオナム(2g8時間ごと)、メロペネム(1g8時間ごと)、イミペネム(500mg6時間ごと)が含まれる。
 臨床医がCAPの成人に対して、臨床的リスク因子に基づいているものの地域疫学データがない状況でMRSAや緑膿菌をカバーしている場合、経験的治療の初期数日後にこれら病原体の治療継続を妥当化するために、病原体が存在するかどうかを調べるため培養データを得つつ経験的カバーを継続することを推奨する(強く推奨)。

クエスチョン12:入院患者において、CAPの成人にはステロイド治療をすべきか?
 非重症CAPの成人において、ステロイドをルーチンに使わないことを推奨する(強く推奨)。
 重症CAPの成人において、ステロイドをルーチンに使わないことを支持する(条件付き推奨)。
 重症インフルエンザ肺炎の成人において、ステロイドをルーチンに使わないことを支持する(条件付き推奨)。
 CAPおよび難治性敗血症性ショックの患者におけるステロイドの使用は、Surviving Sepsis Campaignの推奨事項を支持する。

※いくつかの重症CAPの研究において、ステロイドが死亡率を下げるとされているが、重症の定義がまちまちであり、一貫性がない。

クエスチョン13:インフルエンザ検査が陽性のCAPの成人において、抗ウイルス薬を含めた治療レジメンを行うべきか?
 入院を要するCAP患者でインフルエンザ検査が陽性の場合、診断前の症状の期間に関係なく、オセルタミビルなどの抗インフルエンザ治療を処方することを推奨する(強く推奨)。
 外来CAP患者でインフルエンザ検査が陽性の場合、診断前の症状の期間に関係なく、抗インフルエンザ治療を処方することを支持する(条件付き推奨)。
 
クエスチョン14:インフルエンザ検査が陽性のCAPの成人において、抗菌薬を含めた治療レジメンを行うべきか?
 外来でも入院でも、臨床的・放射線学的にCAPの根拠がある成人患者でインフルエンザ検査が陽性となった場合、通常の抗菌薬を用いた初期治療を推奨する(強く推奨)。

※2009H1N1インフルエンザで死亡した患者の剖検例のうち30%に細菌感染症を合併していた(Am J Pathol. 2010 Jul;177(1):166-75.)。黄色ブドウ球菌、肺炎球菌、インフルエンザ桿菌の順に多い。

クエスチョン15:入院・外来で改善しているCAPの成人において、抗菌薬の治療期間はどのくらいが適切か?
 抗菌薬の治療期間は、妥当性のある臨床的安定性(バイタルサインの異常[心拍数、呼吸数、血圧、酸素飽和度、体温]、摂食可能かどうか、正常な精神状態)に基づくべきであり、患者がこれを達成するまで継続する必要があるが、合計5日間以上とする(強く推奨)。

※5日未満の治療期間を支持するデータは不足しており、たとえ5日以内に症状が軽快しても本ガイドラインでは推奨するに至らない。
※MRSAや緑膿菌のCAPは5日ではなく7日でよい。


クエスチョン16:改善しているCAPの成人において、フォローアップの胸部画像検査は必要か?
 5~7日以内に症状が改善したCAPの成人に対して、フォローアップの胸部画像検査をルーチンに再検しないことを支持する(条件付き推奨)。

※本ガイドラインでは、肺癌を合併している患者が肺炎を起こしている場合、後日肺癌が見つかることもあるが・・・という論調で話が進んでいるが、論点は果たしてそこだろうか?


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by otowelt | 2019-10-04 00:43 | 感染症全般

polymicrobialの膿胸は死亡のリスク

e0156318_10322082.jpg BUN、年齢、膿性・非膿性、院内感染、栄養(アルブミン)が膿胸の予後予測因子として知られており、これらをRAPIDスコアを呼びます(Chest. 2014 Apr;145(4):848-855)。実臨床で毎回つけているわけではありませんが、呼吸器科医はこれらの因子が予後予測因子になるのは体感的にわかるはずです。

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(RAPIDスコア)

 そんな手探りの膿胸疫学の分野において、倉敷中央病院から貴重な報告がありました。個人的には半数に歯科疾患を合併していたのが興味深かったです。

Yamazaki A, et al.
Polymicrobial etiology as a prognostic factor for empyema in addition to the renal, age, purulence, infection source, and dietary factors score
Respiratory Investigation, https://doi.org/10.1016/j.resinv.2019.06.008


背景:
 膿胸は、世界的に高い死亡率を有する重要な疾患である。しかしながら、微生物学的所見と予後予測因子についてはほとんど検討されておらず、これら因子に関するデータは不足している。

方法:
 われわれ倉敷中央病院に2007年5月から2015年9月までに入院した16歳以上の膿胸患者について、後ろ向きに解析し、前向きにデータを収集した。
 膿胸の診断基準は、①膿性胸水であること、②胸水培養が陽性であること、③胸水Gram染色が陽性であること、とした。
 胸水から微生物学的所見(培養所見)が得られた患者のみを登録した。患者背景、微生物学的所見、治療、アウトカムについてデータを集め、院内死亡の予測因子をアセスメントした。

結果:
 71人の患者が登録された(男性が47人、年齢中央値74歳)。8人(11%)が膿胸治療中に死亡にいたった。全体の51%が歯科疾患を合併しており、肝疾患・悪性疾患では死亡例が多かった。
 もっともよくみられた細菌は、Streptococcus anginosusグループ(S. constellatus, S. intermedius, 菌種同定にいたらなかったS. anginosusグループ) (37%)で、嫌気性菌(Fusobacterium nucleatum、Parvimonas micraなど)(30%)がそれにつづいた。院内死亡率は11%だった。多変量解析において、polymicrobialの膿胸(オッズ比8.25、95%信頼区間1.08-62.90)、RAPIDスコア(オッズ比6.89、95%信頼区間1.73-27.40)は有意な院内死亡予測因子だった。polymicrobialの膿胸において、もっともよくみられた細菌の組み合わせは、S. anginosusグループと嫌気性菌であったが、菌の組み合わせとアウトカムの間には関連性は観察されなかった。生存群と非生存群の間に治療の有意な差はなかったが、外科手術を受けた患者全員が生存していた。

結論:
 S. anginosusグループと嫌気性菌は膿胸の病原菌としてよくみられ、RAPIDスコアだけでなく、polymicrobialの膿胸も死亡の独立予測因子だった。外科手術は死亡を防ぐ治療オプションになるかもしれない。



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by otowelt | 2019-09-05 00:33 | 感染症全般

胸腔内感染症のシステマティックレビュー

e0156318_10322082.jpg 海外では医療費はやはり高い傾向にあるようで、低収入地域の研究が偏って少ないみたいですね。

Tamsin N. Cargill, et al.
A systematic review of comorbidities and outcomes of adult patients with pleural infection
European Respiratory Journal 2019; DOI: 10.1183/13993003.00541-2019


背景:
 胸腔内感染症は、死亡の重要な原因の1つである。この研究は、胸腔内感染症患者の併存症や臨床アウトカムの世界的なパターンを調べることを目的とした。

方法:
 2000年から2017年までの、成人胸腔内感染症患者を電子データベースから登録した。結核性、真菌性、肺手術後感染症の症例は除外された。2人のレビュアーが独自に抽出をこころみた。

結果:
 211研究が適格基準を満たした。134文献(22万7898人、平均年齢52.8歳)が併存症やアウトカムデータを有していた。ほとんどの研究が後ろ向き観察研究(104研究、78%)であり、東アジアが多かった(33研究、24%)。続いて北米が多かった(27研究、20%)。5研究(5万756人)が併存症について報告していた。併存症を有する頻度は72%(IQR58-83%)で、呼吸器疾患(20%、IQR16-32%)、心疾患(19%、IQR15-27%)が多かった。
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(合併症その1:文献より引用)
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(合併症その2:文献より引用)

 125研究(19万2298人)がアウトカムデータを有していた。入院期間中央値は19日(IQR 13-27日)で、院内あるいは30日死亡率の中央値は4%(IQR1-11%)だった。高収入地域(100研究、74%)の患者は、高齢(平均56.5歳 vvs 42.5歳, p<0.0001)の人が多かったが、併存症や入院アウトカムについては有意差はなかった。

結論:
 胸腔内感染症の患者は、併存症頻度が高く、入院期間が長い。ほとんどの報告は、高収入地域における研究結果によるものだった。低収入地域におけるデータを調べることで、地域傾向や適切なリソース提供についての情報が得られるだろう。



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by otowelt | 2019-08-30 00:39 | 感染症全般

ニューモシスチス肺炎に対するエキノキャンディン

e0156318_1210331.jpg ええっと・・・、アトバコンは・・・?

Huang YS, et al.
Echinocandins as alternative treatment for HIV-infected patients with Pneumocystis pneumonia.
AIDS. 2019 Mar 19. doi: 10.1097/QAD.0000000000002207.


目的:
 ニューモシスチス肺炎(PCP)に対するST合剤治療は副作用としばしば関連している。エキノキャンディンは、Pneumocystis jiroveciiの嚢子を阻害することで、PCPの代替治療になるかもしれない。しかしながら、HIV感染患者に対するPCP治療におけるエキノキャンディンの臨床経験は、まだ限られている。

方法:
 2013年8月から2018年4月までのあいだ、PCPと確定診断されたHIV感染患者のうち、ST合剤に忍容性・反応性がなかった際エキノキャンディンを投与されたもののデータを後ろ向きにレビューし、エキノキャンディン単剤あるいはその他薬剤との併用に関する効果と安全性を調べた。

結果:
 合計34人の患者が組み込まれ、CD4陽性細胞の中央値は27/mm3(IQR 20-93)だった。24人(70.6%)の患者が中等症~重症のPCPだった。もっともよくみられたST合剤中止の有害事象は、肝障害(29.4%)、消化器系の不調(23.5%)、皮疹(17.6%)だった。9人(26.5%)の患者が、ST合剤治療失敗の後エキノキャンディンにスイッチした。ST合剤からエキノキャンディンへスイッチするまでの間隔の中央値は9.0日(IQR 5.0-14.0日)だった。エキノキャンディンを代替治療として投与された患者の総死亡率およびPCP関連院内死亡率は、それぞれ20.6%(34人中7人)、14.7%(34人中5人)だった。軽症PCPの院内総死亡率は0%で、中等症~重症PCPは29%(24人中7人)だった。ファーストラインのST合剤治療に反応しなかった患者は、ST合剤治療が失敗しなかった患者と比べると院内死亡率が高い傾向にあった (44.4% vs 12.0%, p = 0.06)。

結論:
 ST合剤に忍容性がなかったHIV感染PCP患者に対して、エキノキャンディン治療は代替治療オプションになりうる。





by otowelt | 2019-05-10 00:02 | 感染症全般

crazy paving GGOを呈するニューモシスチス肺炎は予後不良

e0156318_1210331.jpg ただのすりガラス陰影と比べて、crazy paving patternの場合、確かに予後が悪いように思います。

Kumagai S, et al.
Prognostic significance of crazy paving ground grass opacities in non-HIV Pneumocystis jirovecii pneumonia: an observational cohort study.
BMC Pulm Med. 2019 Feb 21;19(1):47. doi: 10.1186/s12890-019-0813-y.


背景:
 非HIV患者におけるPneumocystis jirovecii肺炎(PjP)では、CTですりガラス陰影(GGO)を示す。過去の報告では、非HIV PjPの患者の一部はcrazy pavingを伴うGGOを呈することが示されている。しかしながら、crazy paving GGOと非HIV PjPのあいだの臨床アウトカムの関連については研究がない。そこで、非HIV PjPと診断された時点で、われわれはGGOのタイプを同定すべく胸部高分解能CT(HRCT)を撮影し、非HIV PjP免疫不全患者の臨床アウトカムに対してcrazy paving GGOが予後に与える影響を調べた。

方法:
 2006年から2015年の間に、5施設において非HIV PjPと診断された患者の胸部HRCTを含む臨床情報を後ろ向きにレビューした。GGOタイプはcrazy pavingを含むものとそうでないものに分類した。Cox回帰モデルを用いて、胸部HRCT所見のような臨床所見と院内死亡率の関連を調べた。
 PjPの診断は①PjP発症に関連する免疫不全がベースにある、②臨床症状は下気道感染症を示唆する(咳嗽、呼吸困難など)、③HRCTで新たな浸潤影がある、④気管支肺胞洗浄液あるいは喀痰検体におけるP. jirovecii PCR陽性(検鏡での陽性・陰性は問わない)、⑤β-Dグルカンの有意な上昇。

結果:
 61人の患者が組み入れられた。年齢中央値は69歳、女性が54.1%だった。ST合剤の予防がなされていたのはわずか3.3%だった。β-Dグルカン中央値は135.7pg/mLだった。19人の患者が院内で死亡した。全患者は非HIV PjPと診断された時点でHRCTでGGOを呈していた。
 crazy paving GGOは29人(47.5%)、コンソリデーションは23人(37.7%)、気管支拡張症は14人(23.0%)、小葉中心性結節は30人(49.2%)にみられた。嚢胞も何人かにみられた。多変量解析では、crazy paving GGOおよび血清アルブミン値低値は死亡の独立リスク因子だった。
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(生存曲線:文献より引用)

結論:
 非HIV PjPの診断時に、crazy paving GGOがHRCTでみられた患者および血清アルブミン値が低い患者は予後不良かもしれない。





by otowelt | 2019-04-26 00:24 | 感染症全般

メトホルミンは慢性下気道疾患による死亡リスクを減少させる

e0156318_11491810.png 最近、メトホルミンが呼吸器系の論文で流行っていますね。ぶっちゃけ、こういうのにはトレンドがあります。

Mendy A, et al.
Reduced mortality from lower respiratory tract disease in adult diabetic patients treated with metformin.
Respirology. 2019 Feb 13. doi: 10.1111/resp.13486. [Epub ahead of print]


背景および目的:
 慢性下気道疾患(CLRD)は2型糖尿病のリスクを増加させ、ひいてはそれが肺機能を悪化させるかもしれない。メトホルミンは抗炎症および抗酸化作用を有するよく用いられる糖尿病治療薬で、呼吸器系アウトカムを改善するかもしれない。そこで、われわれはメトホルミン使用とCLRDの死亡リスクの関連を調べた。

方法:
 われわれは、糖尿病に罹患し、2011年までの死亡率の追跡調査を受けた40歳以上の参加者について、1988-1994年および1999-2010年の国民健康栄養調査のデータを分析した。ベースラインで処方薬に関する情報を収集し、追跡調査中のCLRD関連死亡率をICD-10を用いて定義した。Cox比例ハザードモデルを用いて、信頼性のある共変量で補正したメトホルミン使用関連死亡ハザード比(HR)を同定した。

結果:
 中央値6.1年追跡された合計5266人の参加者が登録された。半数が女性で、HbA1c中央値は6.77%だった。メトホルミン使用者は1680人(31.9%)で、全体の1869人が追跡中に死亡し、そのうちCLRDによる死亡は72人だった(CLRD死亡率1.8% vs 0.6%:NNT83.3)。メトホルミン使用者のほうがわずかに若かったが(中央値:59.9歳 vs 61.8歳)、統計学的は患者背景の差はなかった。
 年齢、性別、人種、喫煙、BMI、喘息およびCOPDの罹患、インスリンおよびその他の糖尿病治療、グリコヘモグロビンで補正したCox比例回帰分析において、メトホルミンは全体のCLRD死亡リスクの減少と関連していた(HR0.39、95%信頼区間0.15-0.99)。また、ベースラインにCLRDがある参加者においても同疾患による死亡リスクを減少させた(HR0.30、95%信頼区間0.10-0.93)。その他の糖尿病治療薬とCLRD死亡には関連はみられなかった。
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(文献より引用)


結論:
 アメリカの人口を代表する当該サンプルにおいて、​​メトホルミンは糖尿病を有する成人のCLRD死亡率低減と関連していた。






by otowelt | 2019-03-08 00:23 | 感染症全般

オピオイドと市中肺炎リスク

e0156318_12595793.png 海外では日本より処方閾値が低いですからね。

Edelman EJ, et al.
Association of Prescribed Opioids With Increased Risk of Community-Acquired Pneumonia Among Patients With and Without HIV.
JAMA Intern Med. 2019 Jan 7. doi: 10.1001/jamainternmed.2018.6101.


背景:
 いくつかのオピオイドには免疫抑制作用があることが知られているが、オピオイド処方と臨床的に妥当性のある免疫関連アウトカムの関連性は、特にHIV感染者の間ではよくわかっていない。

目的:
 処方されたオピオイドと市中肺炎(CAP)の関連をオピオイドの性質とHIVの状態によって評価すること。

デザイン、セッティング、参加者:
 これは、2000年1月1日から2012年12月31日までに退役軍人コホート研究(VACS)の患者データを使用したコホート内症例対照研究である。VACSの参加者には、全米の退役軍人健康管理局(VA)医療センターで治療を受けている、HIVの有無に関わらず生存中の患者が含まれた。入院が必要なCAP患者(4246人)が、年齢、性別、人種、観察機関、HIVステータスによって1:5の割合でCAPのないコントロール患者(21146人)とマッチされた。データは2017年3月15日から2018年8月8日まで解析された。

暴露:
 発症日前12ヶ月のオピオイド処方について、処方タイミング(処方なし、過去処方、現在処方)、用量別:低用量(1日平均モルヒネ相当で20mg未満)、中用量(20~50mg)、高用量(50mgを超える)、オピオイド免疫抑制の性質(あり vs 不明あるいはなし)ごとに調べた。

主要アウトカム:
 VAにおける入院を要するCAP。

結果:
 26392人のVACS被験者のうち(98.9%が男性、平均年齢50±10歳)、現在中用量オピオイドを使用している免疫抑制状態が不明あるいはない患者(補正オッズ比1.35、95%信頼区間1.13-1.62)、免疫抑制状態にある患者(補正オッズ比2.07、95%信頼区間1.50-2.86)、現在高用量オピオイドを使用している免疫抑制状態が不明あるいはない患者(補正オッズ比2.07、95%信頼区間1.50-2.86)、免疫抑制状態にある患者(補正オッズ比3.18、95%信頼区間2.44-4.14)は、オピオイドを現在処方されていないあるいは過去に処方されたことがある免疫抑制のない患者と比べてCAPリスクが上昇した。層別化解析では、CAPリスクは現在オピオイドを処方されているHIV患者で大きく上昇し、特に免疫抑制オピオイドの際に顕著だった。

結論:
 高用量で免疫抑制のあるオピオイドを処方されていると、HIVステータスを問わずCAPリスクが上昇した。





by otowelt | 2019-02-21 00:07 | 感染症全般

ORBIT-3, 4試験:慢性緑膿菌感染症を有する非嚢胞性線維症気管支拡張症に対する吸入シプロフロキサシン

e0156318_10322082.jpg 6割以上が女性の気管支拡張症であり、患者背景の不均一性はさほど大きくないように思うのですが、良好な結果が出なかったくやしさが論文を読んでいて滲み出ています。

Charles S Haworth, et al.
Inhaled liposomal ciprofloxacin in patients with non-cystic fibrosis bronchiectasis and chronic lung infection with Pseudomonas aeruginosa (ORBIT-3 and ORBIT-4): two phase 3, randomised controlled trials
Lancet Respiratory Medicine, https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30427-2


背景:
 非嚢胞性線維症気管支拡張症の患者において、緑膿菌の肺感染症は頻回の呼吸器系増悪と治療が必要な入院と関連しており、QOLを低下させ、死亡を増加させる。吸入抗菌薬は、頻回の増悪を起こす非嚢胞性線維症気管支拡張症の長期マネジメントとしてこれまで推奨されているが、承認された治療はない。われわれは、2つの第3相試験において吸入リポソームシプロフロキサシン(ARD-3150)の安全性と有効性を検証した。

方法:
 ORBIT-3試験およびORBIT-4試験は、国際ランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験で同じ地域でおこなわれている。適格患者は非嚢胞性線維症気管支拡張症の患者で、過去12ヶ月に少なくとも2回の抗菌薬治療を要する呼吸器系増悪を経験し、緑膿菌の肺感染症の既往があるものとした。患者はランダムに2;1にARD-3150あるいはプラセボに割り付けられた。ARD-3150(リポソーム封入シプロフロキサシン135mg/3mL+フリーシプロフロキサシン54mg/3mL)あるいは6mLプラセボ(空リポソーム希釈混合3mL+生理食塩水3mL)を1日1回、合計6コースの56日治療サイクル、計48週間続けた。
 プライマリエンドポイントはランダム化から48週における初回呼吸器系増悪までの期間とした。私たちは、少なくとも1回の投与量の治験薬を投与されたすべてのランダム化された患者を含む全解析集団について、プライマリおよびセカンダリ有効性、安全性、および微生物学解析を行った。

結果:
 2014年3月31日から2015年8月19日までの間、われわれはORBIT-3試験において514人の患者を、ORBIT-4試験で533人の患者を登録した。全解析集団は、ORBIT-3試験で278人(少なくとも1回のARD-3150を投与された183人およびプラセボを投与された95人)、ORBIT-4試験で304人(少なくとも1回のARD-3150を投与された206人およびプラセボを投与された98人)が含まれた。
 ORBIT-4試験において、初回呼吸器系増悪までの期間の中央値はARD-3150群で230日、プラセボ群で158日であり、統計学的に有意な72日の差が観察された(ハザード比0.72、95%信頼区間0.53-0.97、p=0.032)。ORBIT-3試験において、初回呼吸器系増悪までの期間の中央値はARD-3150群で214日、プラセボ群で136日であったが、差の78日は統計学的に有意な差ではなかった(ハザード比0.99、95%信頼区間0.71-1.38、p=0.97)。
 ORBIT-3試験およびORBIT-4試験のデータをプール解析すると、初回呼吸器系増悪までの期間の中央値はARD-3150群で222日、プラセボ群で157日であったが、差の65日は統計学的に有意な差ではなかった(ハザード比0.82、95%信頼区間0.65-1.02、p=0.074)。副作用イベントの数および重篤な副作用イベントはORBIT-3試験およびORBIT-4試験における両群で同等だった。
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(文献より引用)

結論:
 非嚢胞性線維症気管支拡張症で過去1年に抗菌薬を要する慢性緑膿菌肺感染症を有する患者に対するARD-3150は、ORBIT-4試験ではプラセボと比較して初回呼吸器系増悪までの期間中央値を有意に延長させたが、ORBIT-3試験あるいはプール解析では有意ではなかった。試験間の不一致性は、非嚢胞性線維症気管支拡張症の不均一性および吸入抗菌薬の適切なアウトカム尺度を考慮したうえでさらなる研究が必要であることを支持するものである。

資金提供:
 Aradigm Corporation



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by otowelt | 2019-02-05 00:29 | 感染症全般

院内肺炎に対する抗MRSA薬のde-escalation

e0156318_10322082.jpg 特別な理由がない限り、基本的には経験的にカバーしない病原微生物だと思いますが・・・。

Maren C. Cowley, et al.
Outcomes associated with de-escalating anti-MRSA therapy in culture-negative nosocomial pneumonia
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.10.014


背景:
 培養陽性の院内肺炎において、広域の経験的抗菌薬治療から狭域のそれにde-escalationすることは、患者アウトカムに妥協することなく広域抗菌薬使用を減らすという知見が示されている。しかしながら、培養陰性の院内肺炎において抗MRSA薬のde-escalationの安全性は不透明である。この研究は、培養陰性の院内肺炎に対する抗MRSA薬のde-escalationが、28日死亡率および院内死亡率、ICU在室期間および入院期間、治療失敗、安全性に影響を与えるかどうか調べることを目的とした。

方法:
 この単施設後ろ向きコホート研究には、呼吸器検体の培養が陰性の院内肺炎で2012年~2017年に入院していた成人患者を登録した。de-escalationは、開始4日以内の抗MRSA薬中断と定義された。セカンダリアウトカムには院内死亡率、ICU在室期間および入院期間、治療失敗、急性腎傷害(AKI)の発生が設定された。

結果:
 279人の患者が登録され、187人がde-escalation(DE)群、92人が非de-escalation(NDE)群だった。de-escalationされていない患者はde-escalationされた患者よりもMRSAカバーが5日長かったものの、28日死亡率には差はなかった(NDE群28% vs DE群23%; 差 -5.5%[95%信頼区間-16.1~6.5])。de-escalationされた患者は開始日からの入院期間(DE群15日 vs NDE群20日; 差3.2日[95%信頼区間0.1~6.4])、ICU在室期間(DE群10日 vs NDE群13日; 差2.2日[95%信頼区間-0.3~4.9])が短かった。AKIの頻度は、de-escalationされていない患者のほうが高かった(DE群36% vs NDE群50%;差-13.8%[95%信頼区間-26.9~-0.4])。

結論:
 培養陰性の院内肺炎における抗MRSA薬のde-escalationは28日死亡率には影響を与えなかったが、入院期間の短縮やAKIの頻度の低下と関連していた。





by otowelt | 2018-11-07 00:07 | 感染症全般