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COVID-19:死亡85例の臨床的検討

COVID-19:死亡85例の臨床的検討_e0156318_230117.png いくつか報告がありますが、好酸球低値・リンパ球低値はもしかすると予後予測因子かもしれませんね。

Du Y, et al.
Clinical Features of 85 Fatal Cases of COVID-19 from Wuhan: A Retrospective Observational Study.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Apr 3. doi: 10.1164/rccm.202003-0543OC.


背景:
 世界におけるCOVID-19の死亡は2万1000人を超えた(ちなみに2020年4月5日時点では6万4000人を超えている)。死亡のリスク因子は、高齢者と併存症とされているが、正確には定義されていない。

目的:
 武漢の2病院においてCOVID-19で致死的だった85人の臨床的特徴を報告すること。

方法:
 2020年1月9日~2月15日までにCOVID-19で死亡した85人の診療録をレビューした。既往歴、曝露歴、併存症、症状、検査所見、胸部CT所見、臨床マネジメントが収集された。

結果:
 年齢中央値は65.8歳で、72.9%が男性だった。よくみられた症状は発熱78人(91.8%)、息切れ50人(58.8%)、倦怠感50人(58.8%)、呼吸困難60人(70.6%)だった。高血圧、糖尿病、冠動脈疾患はもっともよくみられた併存症だった。特筆すべきこととして、81.2%が入院時好酸球数が極めて低かった。合併症としては呼吸不全80人(94.1%)、ショック69人(81.2%)、ARDS63人(74.1%)、不整脈51人(60%)がみられた。77人(90.6%)が抗菌薬治療を受けており、抗ウイルス薬は78人(91.8%)、ステロイドは65人(76.5%)が投与されていた。38人(44.7%)が免疫グロブリン静注、33人(38.8%)がインターフェロンα2b治療を受けていた。

結論:
 このCOVID-19の85例の検討では、致死的な症例のほとんどは50歳を超える男性で、慢性疾患を有していた。ほとんどの患者は多臓器不全で死亡していた。息切れの早期発症は、COVID-19増悪の検知に有用かもしれない。好酸球低値は予後不良と関連するかもしれない。


by otowelt | 2020-04-05 17:40 | 感染症全般

COVID-19:併存症が多いほどアウトカムは不良になる

COVID-19:併存症が多いほどアウトカムは不良になる_e0156318_230117.png 既知の知見ではありますが、ERJに掲載されたのは呼吸器内科医としてはなんとなく嬉しい。

Guan WJ, et al.
Comorbidity and its impact on 1590 patients with Covid-19 in China: A Nationwide Analysis.
Eur Respir J. 2020 Mar 26. pii: 2000547. doi: 10.1183/13993003.00547-2020.


背景:
 COVID-19のアウトブレイクは世界的に拡大している。

目的:
 併存症ステータスで層別化し、COVID-19患者の重篤な有害アウトカムのリスクを評価すること。

方法:
 われわれは、2019年12月11日~2020年1月31日まで、中国本土の31の省/自治区/地方自治体における、575病院のCOVID-19患者1590人のデータを解析した。ICU入室あるいは侵襲性人工呼吸管理あるいは死亡で構成される複合エンドポイントを設定した。複合エンドポイントのリスクを、併存症の存在や数によって比較した。

結果:
 平均年齢は48.9歳で、686人(42.7%)は女性だった。この集団の重症例は16.0%だった。131人(8.2%)の患者が複合エンドポイントを満たした。399人 (25.1%)が少なくとも1つの併存症を有していた。よくみられた併存症は、高血圧16.9%、糖尿病8.2%だった。COPD患者は1.5%だった。130人(8.2%)は2つ以上の併存症を有していた。
 2つ以上の併存症を有している患者は、重症例に多くみられた(重症例40.0% vs 非重症例29.4%)。2つ以上の併存症を有している患者は、高齢で(平均年齢66.2歳)、息切れを呈しやすかった(55.4%)。
 年齢と喫煙歴で補正すると、COPD(ハザード比2.681、95%信頼区間1.424-5.048)、糖尿病(ハザード比1.59、95%信頼区間1.03-2.45)、高血圧(ハザード比1.58、95%信頼区間1.07-2.32)、悪性腫瘍(ハザード比3.50、95%信頼区間1.60-7.64)は複合エンドポイントにいたるリスク因子だった。少なくとも1つの併存症を有している患者のハザード比は1.79(95%信頼区間1.16-2.77)、2つ以上の併存症を有している患者のハザード比は2.59(95%信頼区間1.61-4.17)だった。
COVID-19:併存症が多いほどアウトカムは不良になる_e0156318_21432786.png
(文献より引用)

結論:
 COVID-19患者において、併存症の存在は、併存症がない患者と比べて臨床アウトカムを悪化させた。併存症が多い患者では、さらに臨床アウトカムが不良だった。


by otowelt | 2020-04-03 21:44 | 感染症全般

COVID-19:ファビピラビルのほうがリトナビル/ロピナビルよりも有効

COVID-19:ファビピラビルのほうがリトナビル/ロピナビルよりも有効_e0156318_230117.png ランダム化比較試験ではありません。91人から45人を抽出した時点でバイアスが生じている気もしますが。どうでしょう、アビガン®に期待できるでしょうか。

Qingxian Cai, et al.
Experimental Treatment with Favipiravir for COVID-19: An Open-Label Control Study
Engineering (2020),https://doi.org/10.1016/j.eng.2020.03.007


背景:
 SARS-CoV-2感染症とそれによるCOVID-19のアウトブレイクは2019年12月以降中国で報告されてきた。16%を超える患者がARDSに陥り、致命率は1~2%である。特異的な治療法ない。そこで、われわれはCOVID-19に対するファビピラビルとリトナビル/ロピナビルの効果を深圳第三人民病院で調べた。

方法:
 RT-PCRでCOVID-19と確定した患者は、経口ファビピラビル(1日目:1600mg1日2回、2~14日目:600mg1日2回)+インターフェロンαエアロゾル吸入(500万単位1日2回)がファビピラビル群に、リトナビル/ロピナビル(1~14日目:400mg/100mg1日2回)+インターフェロンαエアロゾル吸入(500万単位1日2回)が対照群に設定された。胸部CT所見の変化、ウイルス除去、安全性が2群で比較された。
 対象患者は16-75歳で、酸素飽和度が93%未満であったりP/F比が300mmHg未満、あるいはショックなどの重症例は除外された。

結果:
 35人の患者がファビピラビル群、45人の患者が対照群となった(91人の対照群から抽出)。2群ともベースライン特性は同等であった。ウイルス除去までの時間は、ファビピラビル群のほうが対照群よりも短かった(中央値4日 [IQR2.5–9] vs 11日[IQR8–13], P < 0.001)。また、ファビピラビル群は対照群と比較して胸部画像所見を有意に軽快させた(91.43% vs 62.22%, p=0.004)。潜在的な交絡因子で補正しても、ファビピラビル群は胸部画像所見の軽快率が有意に高かった。多変量Cox回帰分析では、ファビピラビルはウイルス除去を促進させる独立因子だった。加えて、対照群よりもファビピラビル群のほうが副作用は少なかった。
COVID-19:ファビピラビルのほうがリトナビル/ロピナビルよりも有効_e0156318_22102576.png
(ウイルス除去:文献より引用)

COVID-19:ファビピラビルのほうがリトナビル/ロピナビルよりも有効_e0156318_6534155.png
(胸部CT所見:文献より引用)

結論:
 このオープンラベル非ランダム化比較試験において、ファビピラビルはCOVID-19における疾患進行とウイルス除去という観点から効果的であった。これらにもし因果関係があるなら、SARS-CoV-2感染症と対峙するための標準的治療ガイドラインを確立する上で重要な情報となるはずである。


by otowelt | 2020-03-20 22:01 | 感染症全般

COVID-19:ロピナビル/リトナビルの有効性

COVID-19:ロピナビル/リトナビルの有効性_e0156318_230117.png 中国の後ろ向きコホート研究でも効果がないと報告されていましたね。

・参考記事:COVID-19:ロピナビル/リトナビル、ウミフェノビルに症状軽減・ウイルス陰性化の効果みられず

Bin Cao, et al.
A Trial of Lopinavir–Ritonavir in Adults Hospitalized with Severe Covid-19
NEJM March 18, 2020,DOI: 10.1056/NEJMoa2001282


背景:
 SARS-CoV-2による重症疾患の治療に効果的な治療選択肢はいまだに確立されていない。

方法:
 われわれは、ランダム化比較オープンラベル試験において、COVID-19を引き起こすSARS-CoV-2感染がある確認された入院成人患者(動脈血酸素飽和度94%以下あるいはP/F比300mmHg未満)を登録した。患者はランダムに1:1の割合でロピナビル-リトナビル(400mg-100mg)1日2回14日間+通常ケアあるいは通常ケア単独に割り付けられた。プライマリエンドポイントは、臨床的改善までの期間(ランダム化から、0-7点尺度2ポイントの改善または退院のいずれか早い方までの期間と定義:0点が軽症で7点が死亡)とした。妊婦は除外された。

結果:
 SARS-CoV-2と確定された合計199人の患者がランダム化された。99人がロピナビル-リトナビル群、100人が通常ケア群に割り付けられた。年齢中央値は58歳だった(IQR 49-68歳)。60.3%が男性だった。
 ロピナビル-リトナビルの治療は、通常ケアと比較して臨床的改善までの期間の改善に寄与しなかった(ハザード比1.24、95%信頼区間0.90~1.72)。28日死亡率は、両群同等だった(19.2% vs. 25.0%; 差−5.8%; 95%信頼区間−17.3 ~5.7)。ロピナビル-リトナビル群の患者はICU入室期間が短かった(中央値6日 vs 11日、差5日、95%信頼区間-9~0日)。ランダム化から退院までの期間も短かった(中央値12日 vs 14日、差1日、95%信頼区間0~3日)。複数の時点において、ウイルスRNAが同定された頻度も同等だった。修正ITT解析では、ロピナビル-リトナビルは臨床的改善を通常ケアよりも中央値で1日早く改善させた(ハザード比1.39、95%信頼区間1.00~1.91)。
 消化器系の副作用イベントはロピナビル-リトナビル群で多くみられたが、重篤な副作用イベントは通常ケア群のほうが多かった。副作用イベントのためロピナビル-リトナビル治療が13人(13.8%)で早期中止された。
COVID-19:ロピナビル/リトナビルの有効性_e0156318_18141276.png
(累積改善率:文献より引用)

結論:
 COVID-19で入院した成人患者において、ロピナビル-リトナビルは通常群より医学的利益が観察されるわけではなかった。


by otowelt | 2020-03-20 18:09 | 感染症全般

重症成人患者におけるセフェピム関連神経毒性はまれ

重症成人患者におけるセフェピム関連神経毒性はまれ_e0156318_13434210.png せん妄との区別が難しそうですが・・・。

Khan A, et al.
Effect of Cefepime on Neurotoxicity Development in Critically Ill Adults with Renal Dysfunction.
Chest. 2020 Mar 5. pii: S0012-3692(20)30429-3. doi: 10.1016/j.chest.2020.01.051.


背景:
 セフェピムの投与を受けた重症成人患者における薬物動態および病理生理学的変化は、副作用イベントのリスクを上昇させるかもしれない。この研究は、腎機能障害がある重症成人患者におけるセフェピム曝露と神経毒性の影響を評価したものである。

方法:
 2014年1月から2018年7月31日までセフェピムを48時間以上投与された、クレアチニンクリアランス<60mL/分の重症成人患者において、セフェピム関連神経毒性(CAN)を評価した。
 中等度の腎機能障害(最初の48時間で8g以上 vs 8g未満)あるいは重症の腎機能障害(最初の48時間で4g以上 vs 4g未満)によって層別化された低用量および高用量セフェピム曝露群が比較された。無CAN生存期間が比較された。

結果:
 低用量群108人、高用量群92人が比較された。最初の48時間のセフェピム合計用量は、高用量セフェピム群のほうが多かった(3.7 ± 1.6 g vs. 7.7 ± 2.2 g, p<0.001)。CANは低用量群・高用量群のいずれにおいても低頻度だった(4% vs. 10%, オッズ比2.82, 95%信頼区間0.84-9.48, p=0.093)。中等度腎機能障害のあるサブグループにおけるCANの頻度も同等だった(5% vs. 7%, オッズ比1.42, 95%信頼区間0.34-5.92, p=0.72)。ただし、重症腎機能障害がある高用量群ではCANはやや多かった(0 vs. 16%, p=0.064)。CAN発症までの期間と寛解までの期間は、低用量群と高用量群のいずれも同等だった。無CAN生存期間は、低用量群と高用量群で同等だった。ほとんどのCAN患者は精神状態の変容だった(12人、92%)。

結論:
 重症成人患者におけるCANは多くない。重症腎機能障害がある患者が高用量セフェピムを投与されると、CANのリスクが高くなる可能性がある。


by otowelt | 2020-03-12 00:28 | 感染症全般

COVID-19:論文記事まとめページ

COVID-19:論文記事まとめページ_e0156318_1133039.png ブログ「呼吸器内科医」で書いたCOVID-19の論文記事をまとめたページです。

2020年3月11日時点66記事あります。中にはプレプリントの記事もありますでの解釈には注意いただきますようお願い申し上げます。
 

■臨床的検討:14文献
2019-nCoV肺炎138例の後ろ向き検討
2019-nCoV肺炎137例の後ろ向き検討(三次病院)
COVID-19:1099例の臨床的特徴
  → 2月28日 medRxivからNEJM掲載。
COVID-19:ChinaCDCによる72314人の解析
  → 2月24日 medRxivからJAMA掲載。
COVID-19:SARS-CoV-2肺炎のシステマティックレビュー
COVID-19:医療従事者30例の臨床的特徴
COVID-19:武漢のICU入室例52例の後ろ向き観察研究
COVID-19:ARDS 53例の検討
COVID-19:9研究50404人の解析
COVID-19:臨床・検査・画像所見のシステマティックレビュー
COVID-19:死亡例82例の臨床的検討
COVID-19:確定症例112例の記述疫学
COVID-19:肺炎が進行するリスク因子
COVID-19:医療スタッフ感染例41例の臨床的検討

■画像:10文献
COVID-19:肺炎の胸部CTの経時的所見
COVID-19:肺炎63例の胸部HRCT所見
COVID-19:初期診断において胸部CTはRT-PCRよりも感度がよい
COVID-19:94例の胸部CT所見の推移
COVID-19:81例の胸部CT所見の推移
COVID-19:80例の胸部CT所見と臨床所見との相関
COVID-19:50例の胸部CT所見の推移
COVID-19:胸部CTの誤診は少ない
COVID-19:42例の胸部CT所見の推移
COVID-19:小児例と成人例における胸部CT所見の違い

■検査:12文献
COVID-19:好酸球減少がSARS-CoV-2陽性診断に寄与?
COVID-19:SARS-CoV-2は病初期からTリンパ球が減少する
COVID-19:鼻腔・咽頭のウイルス量の推移
COVID-19:140例の解析からみたリンパ球と好酸球の関係
COVID-19:好中球/CD-8陽性T細胞比は重症の予測因子
COVID-19:患者の半数で便中SARS-CoV-2が陽性
COVID-19:PCR検査は喀痰検体と咽頭検体のどちらがよいか?
COVID-19:咽頭スワブと喀痰のウイルス量ピーク
COVID-19:便中SARS-CoV-2陽性は鼻咽頭スワブ検体よりも遷延する
COVID-19:SARS-CoV-2のPCR陰性化後陽転
COVID-19:ELISA法およびGICA法によるSARS-CoV-2 IgM抗体・IgG抗体の検出
COVID-19:院内の環境表面・空気中のSARS-CoV-2

■治療:5文献
COVID-19:主要薬剤のドッキング解析
COVID-19:ロピナビル/リトナビル、ウミフェノビルに症状軽減・ウイルス陰性化の効果みられず
COVID-19:ウミフェノビルはSARS-CoV-2曝露後予防効果がある
COVID-19:シクレソニド吸入が有効である可能性
COVID-19:気管支鏡ガイド下気管挿管をおこなった12例

■地域別:12文献
COVID-19:浙江省における62例の臨床的特徴
COVID-19:重慶における退院例51人の検討
COVID-19:武漢の死亡率が高い原因
COVID-19:武漢産科病棟における妊婦・新生児のSARS-CoV-2検査
COVID-19:北京における46例の臨床的検討
COVID-19:深圳における小児30例の臨床的検討
COVID-19:ダイヤモンドプリンセス号における基本再生産数
COVID-19:江蘇省における80例の臨床的検討
COVID-19:北京における262例の臨床的検討
COVID-19:ダイヤモンドプリンセス号の対策はベストだったか?
COVID-19:河南省における1079例の臨床的検討
COVID-19:シンガポールにおける18例の臨床的検討

■その他:12文献
COVID-19:癌患者のCOVID-19は重症イベントリスクが高い
COVID-19:濃厚接触者8274人の解析による共感染の存在
COVID-19:武漢と上海の不安・行動変容
COVID-19:家族内クラスターから考察した無症候性キャリアからのSARS-CoV-2伝播
COVID-19:親子3人の家族内クラスター
COVID-19:短期死亡を予測するインデックス
COVID-19:臓器傷害はサイトカインストームではなくウイルス感染そのものに起因
COVID-19:無症候性キャリア24例の臨床経過
 → 3月4日 medRxivからSci China Life Sci掲載。 
COVID-19:中国SNSにおけるアウトブレイクの予兆
COVID-19:南京の家族内クラスター11例
COVID-19:ドイツにおける無症候例からの伝播
COVID-19:湖北省外の症例における潜伏期間の推定





by otowelt | 2020-03-11 00:20 | 感染症全般

COVID-19:湖北省外の症例における潜伏期間の推定

COVID-19:湖北省外の症例における潜伏期間の推定_e0156318_230117.png 97.5パーセンタイルが11.5日、これまでと同じくらいの日数ですね。

Stephen A. Lauer, et al.
The Incubation Period of Coronavirus Disease 2019 (COVID-19) From Publicly Reported Confirmed Cases: Estimation and Application.
Ann Intern Med. 2020.DOI: 10.7326/M20-0504


背景:
 SARS-CoV-2は2019年中国武漢で同定された。サーベイランスや感染制御に重要な、COVID-19の潜伏期間を含めた疫学的特徴についての情報の多くは限られている。

目的:
 COVID-19の潜伏期間を推定し、その公衆衛生への影響を調べること。

デザイン:
 2020年1月4日~2月24日のCOVID-19の確定例のプール解析。

セッティング:
 中国湖北省武漢外の50県からのニュースレポートとプレスリリース。
 
参加者:
 中国湖北省外でSARS-CoV-2に感染した患者。

評価項目:
 患者背景、曝露・症状発現・発熱・入院日時。

結果:
 曝露と症状発現に関する情報がある181人の確定例の解析で、COVID-19の潜伏期間を類推した。潜伏期間中央値は5.1日だった(95%信頼区間4.5-5.8日)。11.5日(95%信頼区間8.2-15.6日)以内に97.5%の患者が症状を発症していた。これらの推定値は、保守的な想定の下で、10,000症例あたり101人(99パーセンタイル:482)が14日間の積極的監視または検疫後に症状を発症することを意味している。
COVID-19:湖北省外の症例における潜伏期間の推定_e0156318_2146662.png
(潜伏期間:文献より引用)

リミテーション:
 公に報告された症例は、重症例を過剰に組み入れている可能性があり、潜伏期間は軽症例とは異なる場合がある。

結論:
 この研究では、COVID-19の潜伏期間中央値は約5日で、SARSと同等だった。この結果は、SARS-CoV-2に暴露される可能性のある人の隔離期間または積極的監視についての現行指針を支持しているが、極端な症例にはより長い監視期間が正当化されるかもしれない。



by otowelt | 2020-03-10 21:46 | 感染症全般

COVID-19:小児例と成人例における胸部CT所見の違い

COVID-19:小児例と成人例における胸部CT所見の違い_e0156318_230117.png 小児COVID-19では、共感染が多いことも報告されていましたね。

Xia W, et al.
Clinical and CT features in pediatric patients with COVID-19 infection: Different points from adults.
Pediatr Pulmonol. 2020 Mar 5. doi: 10.1002/ppul.24718.


目的:
 臨床、検査、胸部CTデータの特徴の違いを小児と成人のCOVID-19患者で比較すること。

方法:
 2020年1月23日~2月8日にPCRで確定された20人の小児COVID-19患者から、臨床、検査、胸部CTデータを後ろ向きに収集した。臨床・検査情報は入院カルテから得た。全員胸部CT写真が撮影された。

結果:
 13人の小児(65%)が家族にCOVID-19と診断された者がいた。60%に発熱、65%に咳嗽がみられた。検査所見では、80%でプロカルシトニンが上昇しており、成人にはあまりみられない所見だった。小児では共感染が多かった(40%)。6人(30%)に片肺の陰影がみられ、10人(50%)に両肺の陰影がみられた(4人[20%]は胸部CTで異常所見なし)。10人(50%)にhalo signを伴う浸潤影観察され、小結節が3人(15%)にみられた。胸水貯留例はなかった。
COVID-19:小児例と成人例における胸部CT所見の違い_e0156318_901571.png
(胸部CT所見:文献より引用)

結論:
 成人とは異なり、小児のCOVID-19では、高プロカルシトニン値、halo signを伴う浸潤影がよくみられた。共感染があることも多かった。



by otowelt | 2020-03-07 09:03 | 感染症全般

COVID-19:42例の胸部CT所見の推移

COVID-19:42例の胸部CT所見の推移_e0156318_230117.png 陰影の変化というテーマでは、Pan先生が「回復例で重症度が一番高くなるのは10日目」という論文を出していますね。

参考記事:COVID-19:肺炎の胸部CTの経時的所見
参考記事:COVID-19:94例の胸部CT所見の推移
参考記事:COVID-19:81例の胸部CT所見の推移
参考記事:COVID-19:50例の胸部CT所見の推移

Xiong Y, et al.
Clinical and High-Resolution CT Features of the COVID-19 Infection: Comparison of the Initial and Follow-up Changes.
Invest Radiol. 2020 Mar 3. doi: 10.1097/RLI.0000000000000674.


目的:
 2019年12月末に中国武漢でアウトブレイクしたCOVID-19は、SARS-CoV-2と命名された新型コロナウイルスによる感染症である。われわれは、胸部HRCTにおける重症度を定量化し、臨床パラメータとの関連を調べた。

方法:
 2020年1月11日から2020年2月5日までに、武漢同済医院でCOVID-19と診断された42人の臨床データおよび胸部HRCT所見を収集した(26-75歳、25人が男性)。全患者は武漢の住民だった。発症から平均4.5日で初回、11.6日で追跡の胸部CTが撮影され、重症度や肺炎の進展を後ろ向きにアセスメントした。臨床パラメータとの相関、初期CTの特徴と進展した画像の特徴が評価・解析された。

結果:
 よくみられた症状は発熱86%、咳嗽64%、倦怠感33%だった。下痢は24%、呼吸困難は19%にみられた。白血球が正常だったのは70%だった。CRP上昇が84%、赤沈亢進が46%、LDH上昇が58%にみられた。
 35人(83%)が発症早期のあいだに肺炎に進展していた。追跡のCTでは進行性の陰影、浸潤影、間質性肥厚、線維性索状影、air bronchogrramが有意に多くみられた(p<0.05)。発症からの日数と陰影の合計スコアの間には、中程度の相関があった(R=0.68, p<0.01)。CRP、赤沈、LDHは初期CTの肺炎重症度と有意に挿管していた(R0.36-0.75, p<0.05)。最高体温と初期CTの陰影重症度は、追跡CTにおける陰影の進行と有意に関連していた(p=0.001-0.04)。
COVID-19:42例の胸部CT所見の推移_e0156318_8373957.png
(陰影の面積とdensity:文献より引用)
COVID-19:42例の胸部CT所見の推移_e0156318_8404876.png
(LDH:文献より引用)

結論:
 COVID-19患者は通常典型的なGGOやその他CT特徴を有するが、いくつかの臨床・検査パラメータと有意な相関がみられた。追跡CTで、しばしば発症早期のあいだに進行性の陰影が観察された。





by otowelt | 2020-03-07 08:42 | 感染症全般

COVID-19:気管支鏡ガイド下気管挿管をおこなった12例

COVID-19:気管支鏡ガイド下気管挿管をおこなった12例_e0156318_230117.png 原文を見ると、なかなか大変そうな格好で挿管しておられます。動きにくそう・・・。

Cai Shuijiang, et al.
Analysis of bronchoscope-guided tracheal intubation in 12 cases with COVID-19 under the personal protective equipment with positive pressure protective hood.


背景:
 気管挿管は、呼吸器感染症の独立した危険因子である。広州第八病院のICUで2020年1月20日から2月10日までに気管内挿管を受けたCOVID-19の12人について、後ろ向き研究を実施した。

方法:
 挿管手順、麻酔レジメン、合併症を収集して分析した。挿管に関与した9人の医療従事者(5人の医師、4人の看護師)は、ウイルス核酸検査と14日間の体温監視を受けた。

結果:
 12人の患者全員が、気管支鏡ガイド下で、合併症なく挿管に成功した。ミダゾラム、プロポフォール、モルヒネ、フェンタニルが鎮静・鎮痛に用いられ、患者が咳をしないように留意し処置をおこなった。9人の医療従事者は、保護フード付きのPPEを装着していた。中咽頭スワブにおけるSARS-CoV-2のPCR検査は9人全員で陰性だった。症状もなかった。

結論:
 COVID-19の患者に対して気管支鏡ガイド下気管挿管を行う場合、保護フード付きPPEが必要である。これにより、医療従事者をウイルス曝露から保護することが可能である。





by otowelt | 2020-03-06 21:21 | 感染症全般