カテゴリ:感染症全般( 377 )

メトホルミンは慢性下気道疾患による死亡リスクを減少させる

e0156318_11491810.png 最近、メトホルミンが呼吸器系の論文で流行っていますね。ぶっちゃけ、こういうのにはトレンドがあります。

Mendy A, et al.
Reduced mortality from lower respiratory tract disease in adult diabetic patients treated with metformin.
Respirology. 2019 Feb 13. doi: 10.1111/resp.13486. [Epub ahead of print]


背景および目的:
 慢性下気道疾患(CLRD)は2型糖尿病のリスクを増加させ、ひいてはそれが肺機能を悪化させるかもしれない。メトホルミンは抗炎症および抗酸化作用を有するよく用いられる糖尿病治療薬で、呼吸器系アウトカムを改善するかもしれない。そこで、われわれはメトホルミン使用とCLRDの死亡リスクの関連を調べた。

方法:
 われわれは、糖尿病に罹患し、2011年までの死亡率の追跡調査を受けた40歳以上の参加者について、1988-1994年および1999-2010年の国民健康栄養調査のデータを分析した。ベースラインで処方薬に関する情報を収集し、追跡調査中のCLRD関連死亡率をICD-10を用いて定義した。Cox比例ハザードモデルを用いて、信頼性のある共変量で補正したメトホルミン使用関連死亡ハザード比(HR)を同定した。

結果:
 中央値6.1年追跡された合計5266人の参加者が登録された。半数が女性で、HbA1c中央値は6.77%だった。メトホルミン使用者は1680人(31.9%)で、全体の1869人が追跡中に死亡し、そのうちCLRDによる死亡は72人だった(CLRD死亡率1.8% vs 0.6%:NNT83.3)。メトホルミン使用者のほうがわずかに若かったが(中央値:59.9歳 vs 61.8歳)、統計学的は患者背景の差はなかった。
 年齢、性別、人種、喫煙、BMI、喘息およびCOPDの罹患、インスリンおよびその他の糖尿病治療、グリコヘモグロビンで補正したCox比例回帰分析において、メトホルミンは全体のCLRD死亡リスクの減少と関連していた(HR0.39、95%信頼区間0.15-0.99)。また、ベースラインにCLRDがある参加者においても同疾患による死亡リスクを減少させた(HR0.30、95%信頼区間0.10-0.93)。その他の糖尿病治療薬とCLRD死亡には関連はみられなかった。
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(文献より引用)


結論:
 アメリカの人口を代表する当該サンプルにおいて、​​メトホルミンは糖尿病を有する成人のCLRD死亡率低減と関連していた。






by otowelt | 2019-03-08 00:23 | 感染症全般

オピオイドと市中肺炎リスク

e0156318_12595793.png 海外では日本より処方閾値が低いですからね。

Edelman EJ, et al.
Association of Prescribed Opioids With Increased Risk of Community-Acquired Pneumonia Among Patients With and Without HIV.
JAMA Intern Med. 2019 Jan 7. doi: 10.1001/jamainternmed.2018.6101.


背景:
 いくつかのオピオイドには免疫抑制作用があることが知られているが、オピオイド処方と臨床的に妥当性のある免疫関連アウトカムの関連性は、特にHIV感染者の間ではよくわかっていない。

目的:
 処方されたオピオイドと市中肺炎(CAP)の関連をオピオイドの性質とHIVの状態によって評価すること。

デザイン、セッティング、参加者:
 これは、2000年1月1日から2012年12月31日までに退役軍人コホート研究(VACS)の患者データを使用したコホート内症例対照研究である。VACSの参加者には、全米の退役軍人健康管理局(VA)医療センターで治療を受けている、HIVの有無に関わらず生存中の患者が含まれた。入院が必要なCAP患者(4246人)が、年齢、性別、人種、観察機関、HIVステータスによって1:5の割合でCAPのないコントロール患者(21146人)とマッチされた。データは2017年3月15日から2018年8月8日まで解析された。

暴露:
 発症日前12ヶ月のオピオイド処方について、処方タイミング(処方なし、過去処方、現在処方)、用量別:低用量(1日平均モルヒネ相当で20mg未満)、中用量(20~50mg)、高用量(50mgを超える)、オピオイド免疫抑制の性質(あり vs 不明あるいはなし)ごとに調べた。

主要アウトカム:
 VAにおける入院を要するCAP。

結果:
 26392人のVACS被験者のうち(98.9%が男性、平均年齢50±10歳)、現在中用量オピオイドを使用している免疫抑制状態が不明あるいはない患者(補正オッズ比1.35、95%信頼区間1.13-1.62)、免疫抑制状態にある患者(補正オッズ比2.07、95%信頼区間1.50-2.86)、現在高用量オピオイドを使用している免疫抑制状態が不明あるいはない患者(補正オッズ比2.07、95%信頼区間1.50-2.86)、免疫抑制状態にある患者(補正オッズ比3.18、95%信頼区間2.44-4.14)は、オピオイドを現在処方されていないあるいは過去に処方されたことがある免疫抑制のない患者と比べてCAPリスクが上昇した。層別化解析では、CAPリスクは現在オピオイドを処方されているHIV患者で大きく上昇し、特に免疫抑制オピオイドの際に顕著だった。

結論:
 高用量で免疫抑制のあるオピオイドを処方されていると、HIVステータスを問わずCAPリスクが上昇した。





by otowelt | 2019-02-21 00:07 | 感染症全般

ORBIT-3, 4試験:慢性緑膿菌感染症を有する非嚢胞性線維症気管支拡張症に対する吸入シプロフロキサシン

e0156318_10322082.jpg 6割以上が女性の気管支拡張症であり、患者背景の不均一性はさほど大きくないように思うのですが、良好な結果が出なかったくやしさが論文を読んでいて滲み出ています。

Charles S Haworth, et al.
Inhaled liposomal ciprofloxacin in patients with non-cystic fibrosis bronchiectasis and chronic lung infection with Pseudomonas aeruginosa (ORBIT-3 and ORBIT-4): two phase 3, randomised controlled trials
Lancet Respiratory Medicine, https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30427-2


背景:
 非嚢胞性線維症気管支拡張症の患者において、緑膿菌の肺感染症は頻回の呼吸器系増悪と治療が必要な入院と関連しており、QOLを低下させ、死亡を増加させる。吸入抗菌薬は、頻回の増悪を起こす非嚢胞性線維症気管支拡張症の長期マネジメントとしてこれまで推奨されているが、承認された治療はない。われわれは、2つの第3相試験において吸入リポソームシプロフロキサシン(ARD-3150)の安全性と有効性を検証した。

方法:
 ORBIT-3試験およびORBIT-4試験は、国際ランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験で同じ地域でおこなわれている。適格患者は非嚢胞性線維症気管支拡張症の患者で、過去12ヶ月に少なくとも2回の抗菌薬治療を要する呼吸器系増悪を経験し、緑膿菌の肺感染症の既往があるものとした。患者はランダムに2;1にARD-3150あるいはプラセボに割り付けられた。ARD-3150(リポソーム封入シプロフロキサシン135mg/3mL+フリーシプロフロキサシン54mg/3mL)あるいは6mLプラセボ(空リポソーム希釈混合3mL+生理食塩水3mL)を1日1回、合計6コースの56日治療サイクル、計48週間続けた。
 プライマリエンドポイントはランダム化から48週における初回呼吸器系増悪までの期間とした。私たちは、少なくとも1回の投与量の治験薬を投与されたすべてのランダム化された患者を含む全解析集団について、プライマリおよびセカンダリ有効性、安全性、および微生物学解析を行った。

結果:
 2014年3月31日から2015年8月19日までの間、われわれはORBIT-3試験において514人の患者を、ORBIT-4試験で533人の患者を登録した。全解析集団は、ORBIT-3試験で278人(少なくとも1回のARD-3150を投与された183人およびプラセボを投与された95人)、ORBIT-4試験で304人(少なくとも1回のARD-3150を投与された206人およびプラセボを投与された98人)が含まれた。
 ORBIT-4試験において、初回呼吸器系増悪までの期間の中央値はARD-3150群で230日、プラセボ群で158日であり、統計学的に有意な72日の差が観察された(ハザード比0.72、95%信頼区間0.53-0.97、p=0.032)。ORBIT-3試験において、初回呼吸器系増悪までの期間の中央値はARD-3150群で214日、プラセボ群で136日であったが、差の78日は統計学的に有意な差ではなかった(ハザード比0.99、95%信頼区間0.71-1.38、p=0.97)。
 ORBIT-3試験およびORBIT-4試験のデータをプール解析すると、初回呼吸器系増悪までの期間の中央値はARD-3150群で222日、プラセボ群で157日であったが、差の65日は統計学的に有意な差ではなかった(ハザード比0.82、95%信頼区間0.65-1.02、p=0.074)。副作用イベントの数および重篤な副作用イベントはORBIT-3試験およびORBIT-4試験における両群で同等だった。
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(文献より引用)

結論:
 非嚢胞性線維症気管支拡張症で過去1年に抗菌薬を要する慢性緑膿菌肺感染症を有する患者に対するARD-3150は、ORBIT-4試験ではプラセボと比較して初回呼吸器系増悪までの期間中央値を有意に延長させたが、ORBIT-3試験あるいはプール解析では有意ではなかった。試験間の不一致性は、非嚢胞性線維症気管支拡張症の不均一性および吸入抗菌薬の適切なアウトカム尺度を考慮したうえでさらなる研究が必要であることを支持するものである。

資金提供:
 Aradigm Corporation



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by otowelt | 2019-02-05 00:29 | 感染症全般

院内肺炎に対する抗MRSA薬のde-escalation

e0156318_10322082.jpg 特別な理由がない限り、基本的には経験的にカバーしない病原微生物だと思いますが・・・。

Maren C. Cowley, et al.
Outcomes associated with de-escalating anti-MRSA therapy in culture-negative nosocomial pneumonia
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.10.014


背景:
 培養陽性の院内肺炎において、広域の経験的抗菌薬治療から狭域のそれにde-escalationすることは、患者アウトカムに妥協することなく広域抗菌薬使用を減らすという知見が示されている。しかしながら、培養陰性の院内肺炎において抗MRSA薬のde-escalationの安全性は不透明である。この研究は、培養陰性の院内肺炎に対する抗MRSA薬のde-escalationが、28日死亡率および院内死亡率、ICU在室期間および入院期間、治療失敗、安全性に影響を与えるかどうか調べることを目的とした。

方法:
 この単施設後ろ向きコホート研究には、呼吸器検体の培養が陰性の院内肺炎で2012年~2017年に入院していた成人患者を登録した。de-escalationは、開始4日以内の抗MRSA薬中断と定義された。セカンダリアウトカムには院内死亡率、ICU在室期間および入院期間、治療失敗、急性腎傷害(AKI)の発生が設定された。

結果:
 279人の患者が登録され、187人がde-escalation(DE)群、92人が非de-escalation(NDE)群だった。de-escalationされていない患者はde-escalationされた患者よりもMRSAカバーが5日長かったものの、28日死亡率には差はなかった(NDE群28% vs DE群23%; 差 -5.5%[95%信頼区間-16.1~6.5])。de-escalationされた患者は開始日からの入院期間(DE群15日 vs NDE群20日; 差3.2日[95%信頼区間0.1~6.4])、ICU在室期間(DE群10日 vs NDE群13日; 差2.2日[95%信頼区間-0.3~4.9])が短かった。AKIの頻度は、de-escalationされていない患者のほうが高かった(DE群36% vs NDE群50%;差-13.8%[95%信頼区間-26.9~-0.4])。

結論:
 培養陰性の院内肺炎における抗MRSA薬のde-escalationは28日死亡率には影響を与えなかったが、入院期間の短縮やAKIの頻度の低下と関連していた。





by otowelt | 2018-11-07 00:07 | 感染症全般

レジオネラ肺炎にステロイドは有効か?

e0156318_10322082.jpg 感染症に対するステロイドは、介入方法やエンドポイントの設定で議論がまちまちです。

徳安宏和ら.
レジオネラ肺炎に対する急性期ステロイド使用効果の検討
日呼吸誌, 7(5): 281-287, 2018


背景・方法:
 市中発症レジオネラ肺炎治療における急性期ステロイド使用の有効性について,過去の症例報告を後方視的に検討した.医学中央雑誌で,2000年1月より2016年12月の期間で検索した市中発症レジオネラ肺炎の症例報告で,肺炎重症度と転帰と在院日数の確認が可能であった81例を対象とした.

結果:
 死亡群と生存群の比較でステロイド使用率に差はなく,在院日数長期群は短期群に比べてステロイド使用が多く,ロジスティック回帰分析によって在院日数に関連する因子としてステロイド使用とCRP高値が規定された.

結論:
 レジオネラ肺炎治療に急性期ステロイド使用は有効ではなかった.



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by otowelt | 2018-10-19 00:43 | 感染症全般

血液悪性腫瘍患者のPCP予測スコア

e0156318_16562622.png じわりじわりと悪くなるすりガラス陰影がPCPらしいと言えますね。

Azoulay E, et al.
A Multivariable Prediction Model for Pneumocystis jirovecii Pneumonia in Hematology Patients with Acute Respiratory Failure.
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Jul 11. doi: 10.1164/rccm.201712-2452OC. [Epub ahead of print]


背景:
 ニューモシスチス肺炎(PCP)の罹患率は増えている。治療までの期間が長いことが死亡につながる。

目的:
 PCPの多変量リスク予測モデルを構築すること。

方法:
 前向きの多施設共同研究である。血液悪性腫瘍で呼吸不全を有しているICU患者を登録し、PCPの同定につながる因子を調べた。リスク予測モデルは、前向き多施設コホートとは独立して評価された。ROC曲線下面積(AUC)による判別能、Hosmer-Lemeshow検定による適合度を調べた。

スコア:
年齢
 50歳未満
 50~70歳
 70歳超

 0点
-1.5点
-2.5点
リンパ増殖性疾患がある+2.0点
PCPの予防をしていない+1.0点
呼吸器症状出現からICU入室までの日数
 3日未満
 3日超

 0点
+3.0点
ICU入室時ショック-1.5点
胸部レントゲン画像で非肺胞性陰影+2.5点
胸水がある-2.0点


結果:
 1330人の患者のうち、解析群(derivation cohort 群)1092人中134人(12.3%)、検証群(validation cohort 群)238人中15人(6.3%)がPCPと診断された。モデルには年齢、リンパ増殖性疾患、PCP予防、呼吸器症状の期間、ショックの有無、胸部レントゲン写真パターン、胸水の有無が組み込まれた。スコア中央値は解析群で3.5(IQR 1.5-5.0)、検証群で1.0(IQR0-2.0)だった。もっとも診断精度が高いスコア閾値は3点であり、これを上回るものはPCP診断において感度86.7%、特異度67.7%、陽性的中率は23.0%、陰性的中率は97.9%だった(PCP有病率10%想定)。スコアはHosmer-Lemeshow検定においてgood fitであり、判別能も良好だった(解析群平均AUC0.80[95%信頼区間0.74-0.84]、検証群平均AUC0.83[95%信頼区間0.72-0.93])。

結論:
 血液悪性腫瘍患者の呼吸不全におけるPCPスコアは入室時に計算されるべきである。





by otowelt | 2018-08-30 00:57 | 感染症全般

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の急性期治療の比較:プレドニゾロン vs ボリコナゾール

e0156318_16301050.jpg Agarwal教授、ブイフェンド®も調べていた!リサーチレターでのアクセプトでした。

参考記事:アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の急性期治療の比較:プレドニゾロン vs イトラコナゾール

Ritesh Agarwal, et al.
A randomized trial of voriconazole and prednisolone monotherapy in acute-stage ABPA complicating asthma
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.01159-2018


背景:
 われわれは単施設非盲検下ランダム化比較試験を2014年1月から2015年7月に実施し、ABPAに対するボリコナゾールと全身性ステロイドを比較した。

方法:
 連続したABPA患者を登録し、喘息あり、アスペルギルス抗原に対する即時型皮膚反応陽性、血清IgE>1000IU/mL、A. fumigatus特異IgE>0.35kUA/Lのすべてを満たし、なおかつ血清A. fumigatus抗原に対する沈降抗体陽性、固定あるいは移動する肺の陰影、末梢血好酸球数>1000/μL、CTにおける気管支拡張症の存在、のうちいずれか2つを満たすものを組み入れた。全身性ステロイドやアゾール投与歴がある患者、オマリズマブ治療歴がある患者などは除外された。
 患者は1:1にボリコナゾールあるいは全身性ステロイドにランダムに割り付けられた。

・全身性ステロイド:経口プレドニゾロン0.5mg/kg/dayを4週間、0.25mg/kg/dayを4週間、0.125mg/kg/dayを4週間、その後5mg/2週間で漸減し合計4ヶ月

・ボリコナゾール:経口ボリコナゾール200mg1日2回食間を4ヶ月


 治療に際して、吸入ステロイド、吸入長時間作用性β2刺激薬(ホルモテロール)、モンテルカストは許可された。

 治療反応性は、血清IgEが25%以上減少し、少なくとも胸部画像検査で50%以上の改善がみられた状態での咳嗽および呼吸困難の改善(ベースラインから75%以上)と定義された。

結果:
 50人の患者が25人ずつランダム化された。ベースラインの患者拝啓は両群同等だった。患者は平均77±32ヶ月フォローされた。治療開始6週後および3ヶ月後の治療反応率は両群同等でほぼ全員が治療効果ありと判断された(プレドニゾロン群25人全員 vs ボリコナゾール群24人[96%], p=0.31)。
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(文献より引用)

 ボリコナゾールのトラフ値は1mg/L超が19人、0.5~1mg/Lが3人、0.5mg/L未満が3人だった。増悪を起こした患者数も両群同等だった(治療開始12ヶ月時:プレドニゾロン群2人[8%] vs ボリコナゾール群3人[12%]、治療開始24ヶ月時:プレドニゾロン群3人[12%] vs ボリコナゾール群5人[20%])。有害事象についても群間差はなかった。ボリコナゾール群の8人(32%)で肝機能の一時的な乱れがあった。ボリコナゾール群の3人で視覚障害、光線過敏症がみられた。6週間後の血清IgE値および肺機能の変化は両群同等だった。6週間後のSGRQスコアの減少についても群ともに良好だった。初回増悪までの平均日数も両群に差はなかった(プレドニゾロン群339日 vs ボリコナゾール群248日)。

結論:
 急性期ABPAに対してボリコナゾールは全身性ステロイドと同等の効果がある。





by otowelt | 2018-08-10 00:36 | 感染症全般

アスペルギルス症に対する内服薬の薬価

 イトラコナゾール内用液の後発医薬品が発売されたため、現時点での薬価をまとめてみました。
 ブイフェンドの後発医薬品は、3割負担だと2~3万円で済みます。イトラコナゾールに関しては、後発医薬品の100mg錠がもっとも安価のようです。色分けは、赤色が高価格帯、黄色が低価格帯です。
 イトラコナゾール200mg/dayバージョンと400mg/dayバージョンの2種類作りました。

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by otowelt | 2018-08-01 00:39 | 感染症全般

一般診療所における百日咳の臨床的特徴

e0156318_10114661.jpg ものすごい数の検討です。ここまでしっかりデータを取っておられるので、驚きました。

雨宮徳直ら
遷延性咳嗽にて一般診療所を受診したPT-IgG抗体価高値成人百日咳の臨床的特徴
日呼吸誌, 7(3): 125-130, 2018


方法:
 2015 年5 月1 日から2017 年5 月31 日までの期間,3 週間以上8 週間までの遷延性咳嗽を主訴にあめみや内科を受診した成人患者のうち,胸部単純X線写真にて明らかな他疾患であることが判明した場合,病歴や聴診上明らかに気管支喘息による咳嗽と診断した場合,採血検査によるPT-IgG 抗体価検査を希望されない場合を除いて,PT-IgG抗体価を測定した.PT-IgG抗体価100 EU/mL以上を呈した症例を対象としてその臨床的特徴を検討した.

結果:
当該期間内に遷延性咳嗽にて来院した症例は926 例(男性392例,女性534 例)であった.PT-IgG検査を施行した症例は530例(男性201例,女性329 例),PT-IgG≧100 EU/mL 以上の陽性症例は52 例(5.6%)[男性18 例(4.6%),女性34例(6.4%)]であった。陽性例の年齢中央値42歳(23~73歳),咳嗽持続期間中央値4週(最小値3週,最大値8 週).百日咳に特徴的な症状については,「発作性咳き込み」を31 例(59.6%),「吸気性笛声」を9 例(17.3%),「咳き込み後の嘔吐」を15例(28.8%)に認めた.一方,百日咳に特徴的な症状をすべて伴わない症例を15例(28.8%)に認めた。



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by otowelt | 2018-07-11 00:14 | 感染症全般

HIV非合併ニューモシスチス肺炎に対して早期ステロイド導入は必要か?

e0156318_20444355.jpg 後ろ向き研究ですが、ステロイドを早期に用いるプラクティスに一石を投じそうです。

Patrick M. Wieruszewski, et al.
Early corticosteroids for Pneumocystis pneumonia in adults without HIV are not associated with better outcome.
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.04.026


背景:
 HIVを合併していない成人におけるニューモシスチス肺炎(PCP)の治療では、全身性ステロイドの併用を支持するエビデンスは限られており議論の余地がある。

方法:
 これは後ろ向きコホート研究で、HIVを合併していないPCPのメイヨークリニックの入院患者を2006~2016年まで登録した。ベースラインから5日時点のSOFArespスコアの変化を、早期ステロイド導入群(48時間以内)および非導入群で比較した。

結果:
 323人のPCP患者の内訳は、早期ステロイド導入群258人、非導入群65人だった。年齢中央値は65歳(IQR 53-78歳)であり、63%が男性で、92%が白人だった。重症度補正回帰および傾向スコアマッチ解析では、早期ステロイド導入群は5日目のSOFArespスコア改善が非導入群と比べて少なかった(それぞれ、p = 0.001、p = 0.017)。5日時点での1点以上のSOFArespスコア改善がみられたオッズ比については両群に差はなかった(補正オッズ比0.76、95%新リア区間0.24-2.28、p=0.61)。30日死亡率は、22.9%だった(95%信頼区間18.2-27.4%)。死亡率、入院期間、ICU入室、人工呼吸器装着の必要性は、早期ステロイド導入群と非導入群に差はなかった。

結論:
 HIV感染症のない患者において抗ニューモシスチス治療に対する早期ステロイドの導入は、呼吸器系のアウトカムの改善とは関連していなかった。





by otowelt | 2018-05-14 00:21 | 感染症全般