カテゴリ:びまん性肺疾患( 392 )

抗ARS抗体症候群における間質性肺疾患の再発予測因子

抗ARS抗体症候群における間質性肺疾患の再発予測因子_e0156318_15151144.png 公立陶生病院からの報告です。実臨床で抱く印象と同様だと思います。CHPの論文に続いて、すごいですね。

Takei R, et al.
Predictive factors for the recurrence of anti-aminoacyl-tRNA synthetase antibody-associated interstitial lung disease.
Respir Investig. 2019 Dec 5. pii: S2212-5345(19)30128-5.


背景:
 抗ARS抗体症候群は、アミノアシルtRNA合成酵素に対する抗体を有し、間質性肺疾患(ILD)をしばしば繰り返す。ステロイドとカルシニューリン阻害剤(CNI)による寛解導入の効果とILD再発の予測因子の間の関連を調べた。

方法:
 われわれは、後ろ向きに2006年~2017年にステロイドとCNIで治療された抗ARS抗体症候群-ILDの症例を抽出し、ロジスティック回帰分析を用いて再発の予測因子を評価した。

結果:
 研究には57人が登録され、54人(94.7%)が寛解導入療法による改善がみられた(改善までの中央期間:3ヶ月[IQR 1-4])。維持治療中に32人にILD再発が確認された。再発までの中央期間は27ヶ月だった。ILD再発例・非再発例のあいだにベースラインの患者特性の差はなかった。
 ILD再発群において、呼吸機能とSGRQスコアの経時的悪化がみられた。disease behaviorとともに血清KL-6も変化した。ベースラインの血清KL-6が500U/mL未満だったのは33人(62.2%)で1000U/mL未満だったのは48人(90.5%)。ILD再発群では、KL-6は中央値で1045U/mL(IQR 637-1653)に上昇したが、非再発群では最終観察のKL-6中央値は562U/mL(IQR 342-759)だった。
 多変量解析によると、寛解からの血清KL-6上昇(オッズ比3.21、95%信頼区間1.17-8.86、p=0.02)、CNI中断(オッズ比8.09、95%信頼区間1.39-47.09、p=0.02)は再発の独立リスク因子であった。ROC分析では、血清KL-6の妥当な上昇カットオフ値は2.0倍だった。寛解からの血清KL-6上昇が2倍を超える場合の陽性的中率は90.0%、CNI中断の陽性的中率は88.9%だった。CNI治療期間と再発には関連はなかった。
抗ARS抗体症候群における間質性肺疾患の再発予測因子_e0156318_15454072.png
(単変量・多変量解析:文献より引用)

結論:
 抗ARS抗体症候群のILD再発は、長期的な悪化に影響する。血清KL-6は、disease behaviorと再発予測に有用なバイオマーカーである。また、CNIの継続が重要であることが支持される。


by otowelt | 2020-01-12 00:00 | びまん性肺疾患

慢性過敏性肺炎に対するピルフェニドンの有効性

慢性過敏性肺炎に対するピルフェニドンの有効性_e0156318_16151865.png 現時点ではIPFと全身性強皮症にしか保険適用されませんが、抗線維化薬の適応は今後広がるものと予想されます。
 現在、IPF以外の間質性肺疾患に対するピルフェニドンの効果を検証するRELIEF試験(BMC Pulm Med. 2017 Sep 6;17(1):122.)が別のコホートで登録中です。

Mateos-Toledo H, et al.
An Open-label Study With Pirfenidone on Chronic Hypersensitivity Pneumonitis.
Arch Bronconeumol. 2019 Nov 26. pii: S0300-2896(19)30381-3. doi: 10.1016/j.arbres.2019.08.019.


背景:
 慢性過敏性肺炎(CHP)は、肺実質の破壊を伴う線維化をきたす、しばしば進行する重度の肺疾患である。この病気に対処する有効性が確認された承認治療法はない。

方法:
 われわれはCHP治療に対して免疫抑制剤にピルフェニドンを加えた効果と安全性を評価するオープンラベル試験を実施した。22人の患者を2群に分けた。グループ1:9人がプレドニゾロンとアザチオプリンの併用、グループ2:13人がプレドニゾロンとアザチオプリンとピルフェニドンの併用。2群において臨床的ベースライン特性には差はなかった。

結果:
 治療1年後、ピルフェニドンを加えた群でプライマリエンドポイントである努力性肺活量の改善は観察されなかった。ピルフェニドン群では統計学的に有意ではなかったがDLCOがやや改善する傾向にあった(p=0.06)。同様に、グループ2でSGRQ総スコアに有意な改善が見られ(p=0.02)、QOLに関連する他の2つの質問票に違いはなかった(ATAQ-IPFおよびEQ-5D-3L)。胸部HRCTでは線維性病変に変化はなかったがすりガラス陰影が軽減していた。

結論:
 CHP患者に対する抗炎症治療にピルフェニドンを加えることで、忍容性を保持しつつアウトカムを改善させる可能性がある。しかしながら、大規模コホートにおいて前向きランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施する必要がある。




by otowelt | 2020-01-08 00:58 | びまん性肺疾患

リアルワールドにおけるピルフェニドンとニンテダニブの有効性

リアルワールドにおけるピルフェニドンとニンテダニブの有効性_e0156318_1033185.png イタリアからの報告です。disease behaviorをみてから使いましょうという意見と、UIPパターンをみたら軽症例でもすぐに使いましょうという意見の2つがあります。

Cerri S, et al.
Real-life comparison of pirfenidone and nintedanib in patients with idiopathic pulmonary fibrosis: A 24-month assessment.
Respir Med. 2019 Oct 18;159:105803.


背景:
 IPF患者に対するピルフェニドンとニンテダニブの使用について、リアルワールドのデータは不足している。

方法:
 われわれは、ピルフェニドン(78人)あるいはニンテダニブ(28人)を24ヶ月にわたって使用されたIPF患者をイタリア2施設から登録した。これら治療を拒否した36人をコントロール群に設定した。全患者は1~3ヶ月ごとの定期受診を完遂した。プライマリアウトカムとしてFVC、DLCO、セカンダリアウトカムとして副作用、服薬遵守、死亡が記録された。

結果:
 治療群と比較するとコントロール群では、%FVCおよびDLCOの低下が有意に大きかった(それぞれp = 0.0053、p = 0.037)。ピルフェニドン群とニンテダニブ群の間にはこれらに有意差はなかった。
リアルワールドにおけるピルフェニドンとニンテダニブの有効性_e0156318_2334581.png
(%FVCの推移:文献より引用)

 薬剤内服の有無にかかわらず、進行が軽度である患者(GAPステージ1)と比較すると、GAPステージ2および3の患者は、有意にFVCとDLCOの減少が大きかった。
 薬剤の副作用は、ピルフェニドン群およびニンテダニブ群のいずれにおいても同等だった(それぞれ5%、7%)。死亡は3群とも同等だった。

結論:
 無治療と比較すると、24ヶ月におよぶピルフェニドン治療とニンテダニブ治療には、FVCおよびDLCOの減少を等しく抑制する効果がみられた。より進行したIPFの集団では、どの群も肺機能の減少が大きかった。





by otowelt | 2020-01-05 00:38 | びまん性肺疾患

IPF急性増悪に対する全身性ステロイドはアウトカムを改善しない

IPF急性増悪に対する全身性ステロイドはアウトカムを改善しない_e0156318_10574046.jpg なかなか衝撃的な報告です。

Farrand E, et al.
Corticosteroid use is not associated with improved outcomes in acute exacerbation of IPF.
Respirology. 2019 Dec 17. doi: 10.1111/resp.13753.


背景および目的:
 IPF急性増悪(AE-IPF)はIPFに関する全死亡の約半分に先行する予後不良イベントである。こうした臨床的意義があるにもかかわらず、治療決定に関するデータは限られている。全身性ステロイドは堅固なエビデンスがあるわけではなく、むしろ害悪をもたすかもしれないという疑念もあるが、治療の主体として用いられている。AE-IPF患者の院内死亡率に対する全身性ステロイド治療の影響を評価した。

方法:
 UCSF医療センターの2010年1月1日~2018年8月1日までの電子診療録からAE-IPF患者を後ろ向きに同定した。全身性ステロイド治療(メチルプレドニゾロンパルス療法500mg/日以上あるいは高用量プレドニゾロン0.5mg/kg以上を2日以上)と院内死亡の関連性を、Coxモデルと適応による交絡因子を補正した傾向スコアを用いて評価した。セカンダリアウトカムに、再入院率、全生存期間を設定した。

結果:
 合計82人のAE-IPF患者が同定され(平均年齢66.8±10歳)、37人(45%)が全身性ステロイド治療を受けていた。AE-IPF患者のうち、特にICUレベルの治療と人工呼吸管理を受けた症例にステロイド治療が適用されやすかった。
 17人のAE-IPF患者が入院中に死亡し、14人(82%)がステロイド治療群、3人(18%)が非治療群だった。ステロイド治療を受けた症例と受けなかった症例では、院内死亡率に有意差はなかった(時間依存性共変量として人工呼吸器とICU入室で補正:補正ハザード比1.52、95%信頼区間0.37-6.18、p=56、傾向スコア:補正ハザード比1.31、95%信頼区間0.26-6.55, p=0.74)。全生存期間は、全身性ステロイド治療を受けたAE-IPF患者のほうが短かった(ハザード比6.17、95%信頼区間1.35-28.14, p=0.019)。

※初回入院場所、ベースラインの酸素使用、入院時DNRオーダー、BMI、抗菌薬治療で補正したモデル。

 再入院率にも統計学な有意差はなかった(補正ハザード比1.81;95%信頼区間0.46–7.17;P= 0.40)。

結論:
 我々の研究では、IPF患者が急性増悪を起こして入院した場合に全身性ステロイド治療を用いてもアウトカムは改善しないことが示された。むしろ、全身性ステロイド使用は、急性増悪後の全生存期間を短縮するかもしれない。大規模なリアルワールドコホートを用いた観察研究により、全身性ステロイド治療とAE-IPFの短期アウトカムの関連を示す必要があるだろう。




by otowelt | 2019-12-23 07:30 | びまん性肺疾患

Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?

Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?_e0156318_1543237.jpg 公立陶生病院の武井玲生仁先生の論文です。Morissetらの診断基準は、2年前の「ポケット呼吸器診療2018」から掲載していますが、そもそもCHPの診断自体にコンセンサスがないので、どうしようもないなぁと思っています。50%とか70%とか、完全に主観ですし・・・。
 CHPの世界は、トートロジーにあふれています。
 そのため、「MDDによるCHP診断」というのがリファレンスとして妥当なのかどうか、議論が必要ではないでしょうか。

Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?_e0156318_1652254.jpg
(2017年Morissetらの提唱したCHP診断基準[ポケット呼吸器診療2019より])

Takei R, et al.
Usefulness of new diagnostic criteria for chronic hypersensitivity pneumonitis established on the basis of a Delphi survey: A Japanese cohort study
Respiratory Investigation, https://doi.org/10.1016/j.resinv.2019.10.001


背景:
 慢性過敏性肺炎(CHP)は、さまざまな有機分子に繰り返し曝露されて引き起こされる線維性間質性肺疾患(ILD)である。2017年11月に、ILD専門家による修正Delphiサーベイに基づいてMorissetらにより新たなCHP診断基準が提唱された。しかしながら、この基準がCHPの確診に有用化どうかはまだわかっていない。われわれは、新たに提唱されたこのCHP診断基準を評価した。

方法:
 われわれは2008~2015年に外科的肺生検を受けた日本人の連続患者に、後ろ向きにMorissetのCHP診断基準を適用した。全患者は気管支肺胞洗浄および肺機能検査を受けた。膠原病合併例や急性・亜急性過敏性肺炎例は除外された。

結果:
 251人の患者が登録された。多面的検討(MDD)に基づいてCHPと診断されたのは27人で、特発性肺線維症117人、分類不能型間質性肺炎65人、他疾患42人だった。27人のMDD-CHP患者のうち、14人が50%を超える信頼性でもってCHPと分類され、13人は分類されなかった(感度51.9%、特異度77.7%)。MorissetのCHP診断基準により、7人の患者がCHP診断のための外科的肺生検を回避することができた。50%を超える信頼性でもってCHPと分類されなかった13人のMDD-CHP患者の除外理由は、CHP特徴を有さないinconsistent with UIPパターンであった。
 CHPの特徴を有さないinconsistent with UIPパターンを組み込んだ“修正MorissetのCHP診断基準”を採用すると、感度92.6%、特異度64.7%まで上昇した。
Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?_e0156318_16172439.png
(修正MorissetのCHP診断基準)

結論:
 MDD-CHP患者の半分が、MorissetのCHP診断基準を用いてCHPと診断された。CHPの診断基準を改善させるためにさらなる研究が重要である。


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by otowelt | 2019-12-10 00:44 | びまん性肺疾患

IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用

IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用_e0156318_10574046.jpg 健康コントロールで検出されない、というのがミソかなと思います。
 S100Aはたくさんのアイソフォームがある二量体で、このうちA4は線維芽細胞で高率に発現していることが知られています。

Akiyama N, et al.
Clinical significance of serum S100 calcium-binding protein A4 in idiopathic pulmonary fibrosis.
Respirology. 2019 Oct 9. doi: 10.1111/resp.13707.


背景および目的:
 特発性肺線維症(IPF)、予後不良の進行性の間質性肺疾患である。IPFのアウトカムを予測する血清バイオマーカーは確立されていない。S100カルシウム結合タンパクA4(S100A4)は、線維芽細胞のマーカーと考えられているが、臨床応用についてはまだ不透明である。われわれは、IPF患者におけるS100A4の臨床的信頼性について評価した。

方法:
 95人IPFの連続患者と50人の健康コントロールにおいて、ELISAを用いて血清S100A4値を測定した。両群に年齢・性差はなかった。Kaplan-Meier法およびCoxハザード解析を用いて、免疫組織化学/免疫蛍光染色と疾患進行(肺機能の悪化あるいは死亡と定義)の関連を調べた。

結果:
 血清S100A4値は、健康コントロール患者全員で検出できず、IPF患者では26人(27.3%)に検出された。
IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用_e0156318_9354057.png
(ベースラインの血清S100A4値:文献より引用)

 IPF患者における肺組織の免疫染色では、線維芽細胞巣と線維化領域の周囲にS100A4発現細胞が多数観察された。カットオフ値を22.3ng/mLにすると(感度42.9%、特異度83.3%)、血清S100A4値が高いIPF患者は、低値の患者と比較して有意に予後不良であった(2年累積生存率41.7% vs 77.0%, P < 0.01)。
IPFにおける血清S100A4値は疾患進行のバイオマーカーとして有用_e0156318_9392428.png
(Kaplan-Meier曲線:文献より引用)

 多変量解析において、ベースラインの血清S100A4値が10ng/mL増えるごとに疾患進行リスク(オッズ比1.06、p=0.01)と死亡リスク(ハザード比1.18、p=0.03)が上昇した。

結論:
 血清S100A4は、IPFの疾患進行/死亡を良くするかもしれないバイオマーカーである。この知見は、IPFの治療戦略の手助けになるかもしれない。




by otowelt | 2019-12-09 00:27 | びまん性肺疾患

慢性夏型過敏性肺炎の診断基準提唱

慢性夏型過敏性肺炎の診断基準提唱_e0156318_1543237.jpg 姫路医療センターからの報告です。
 「Aを診断するためにはAに合致する所見を満たす必要がある」のように、CHPは極めてトートロジーの部分があります。また、「このUIPパターンは特発性ではない」という判断にはやはり医師の裁量がかかわってきます。
 まだまだ難しい分野だと思います。

Onishi Y, et al.
Clinical features of chronic summer-type hypersensitivity pneumonitis and proposition of diagnostic criteria.
Respir Investig. 2019 Oct 12. pii: S2212-5345(19)30150-9. doi: 10.1016/j.resinv.2019.09.003.


背景:
 Trichosporon asahii (T. asahii) は、慢性夏型過敏性肺炎(C-SHP)を起こすが、臨床的特徴についてはほとんどわかっていない。われわれは、C-SHPの臨床的特徴を解明し、血清T. asahii抗体(TaAb)の存在によってC-SHPの臨床診断基準を提唱することをこころみた。

方法:
 2010年1月から2017年5月までに、C-SHPおよび特発性肺線維症(IPF)と診断された患者を後ろ向きにレビューした。2群において臨床所見が比較された。有意な特徴にもとづいてC-SHPの基準を提唱し、developmentおよびvalidation cohortに適用した。
 2018ATS/ERS/JRS/ALAT基準にもとづいて、UIPパターンがあると診断された患者のうち特発性ではないと考えられた症例にVasakovaらの基準を用いてC-SHPと診断し、非UIPパターンと診断された患者のうちTaAb陽性例にVasakovaらの基準を用いてC-SHPと診断した。前者1例、後者30例の合計31例が登録された。
慢性夏型過敏性肺炎の診断基準提唱_e0156318_22321393.png
(Vasakovaらの基準[Am J Respir Crit Care Med. 2017 Sep 15;196(6):680-689.])

結果:
 31人のC-SHP患者および26人のTaAb陰性IPF患者が同定された。C-SHP患者は、木造建築の住宅に住んでいる頻度が高かった(94% vs 69%)。IPF患者のほうが男性が多かった。C-SHP患者では、KL-6とSP-DがIPF患者より有意に高かった(平均KL-6:1506 vs 914 U/mL、平均SP-D:235 vs 156 ng/mL)。C-SHP患者は、胸部HRCTにおいて、胸膜直下のコンソリデーション(39% vs 15%)、微細粒状影(77% vs 31%)、広範囲のすりガラス陰影(32% vs 0%)、モザイク灌流(48% vs 0%)がよくみられた。
 以下の3項目が高い診断能を有すると考えられた。

I)TaAb陽性
II)モザイク灌流、微細粒状影を含む、CHPに合致したHRCTパターン
III)血清バイオマーカー上昇(KL-6>1500 U/mL、SP-D>250 ng/mL)

 我々は、I)とII)を満たす症例を「probable C-SHP」と定義し、3項目を満たす症例を「confident clinical diagnosis of C-SHP」と定義した。development cohortおよびvalidation cohortでは、AUCがそれぞれ0.965、0.993だった。

結論:
 C-SHPを、IPFやその他ILDから鑑別する有用な臨床的特徴を示した。


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by otowelt | 2019-11-10 00:10 | びまん性肺疾患

COLDICE試験:クライオバイオプシーと外科的肺生検の診断一致率は良好

COLDICE試験:クライオバイオプシーと外科的肺生検の診断一致率は良好_e0156318_1543237.jpg 今年春にブルージャーナルをにぎわせた論文はκ=0.22でしたが、まったく逆の結果が報告されました。本文中にくだんの論文について批判コメントを寄せています。

(参考記事)
クライオバイオプシーと外科的肺生検の病理医による一致率は不良
AJRCCMでのやりとり:外科的肺生検とクライオバイオプシー

 人の手と目が介在している上、MDDによって主観(権威者の意見)も入ってしまうため、プロセスを統一しないと真実は分からないのかもしれません。

Myer JL, et al.
Diagnostic accuracy of transbronchial lung cryobiopsy for interstitial lung disease diagnosis (COLDICE): a prospective, comparative study
Lancet Respiratory Medicine, https://doi.org/10.1016/S2213-2600(19)30342-X

背景:
 経気管支肺クライオバイオプシー(TBLC)は、間質性肺疾患(ILD)診断において肺組織検体を採取する新しい技術である。この研究の目的は、外科的肺生検(SLB)と比較したTBLCの診断精度を確立することである。

方法:
 COLDICE試験は、前向きに多施設でおこなわれたTBLCとSLBの診断精度を比較する臨床研究で、オーストラリアの複数施設で実施された。ベースラインの評価ののち、診断のために組織病理学的評価を要する18~80歳のILD患者が登録された。MDDによるスクリーニングのあと、ILD患者はTBLCおよびSLBを受けた。検体には1から130の番号がふられ、病理医には情報がマスクされた。その後のMDDでは、匿名化された症例がTBLCまたはSLBのいずれかで2回、臨床的および放射線学的データとともにランダムに非連続的に議論された。複合プライマリエンドポイントは、definite UIPあるいはprobable UIPパターン、indeterminate for UIP、alternative diagnosisに対するTBLCとSLBの組織病理学的特徴の一致(κ値)とした。

結果:
 2016年3月15日~2019年4月15日までに、65人(31人が男性、34人が女性、平均年齢66.1±9.3歳)が登録された。平均%努力性肺活量は83.7±14.2%、平均%DLcoは63.4±12.8%だった。TBLC(平均7.1±1.9mm)、SLB(平均46.5±14.9mm)は、同側の肺葉から2つ採取された(65人→130検体)。
 TBLCとSLBの組織病理学区的一致は70.8%だった(重みつきκ値:0.70, 95%信頼区間0.55–0.86)。MDDにおける診断一致は76.9%だった(κ 0.62, 95%信頼区間0.47–0.78)。
 TBLCで高い・確実な診断信頼性があるとMDDで判断されたのは65人中39人(60%)で、37人(95%)はSLB診断と一致していた。65人中26人(40%)では低い信頼性あるいは分類不能型であるとTBLCで診断され、SLBで6人(23%)が高い信頼性・確実なMDD診断へ移行できた。
 TBLCの14人(22%)で軽度~中等度の気道出血がみられた。90日死亡率は、2%だった(65人中1人)。

結論:
 病理組織学的な解釈とMDD診断の両方について、TBLCとSLBの間で高いレベルの一致が示された。TBLC MDD診断は特に信頼性が高く、SLB MDD診断との優れた一致を示した。これらのデータは、間質性肺疾患診断アルゴリズムにおけるTBLCの臨床的有用性を支持するものである。

ディスカッション:Romagnoli らの研究に対する批判
 Our findings contradict the results of Romagnoli and colleagues,which showed poor agreement betweenTBLC and SLB in a smaller cohort of 21 patients. In their study, both TBLC and SLB were presented together at MDD to inform the discussion and final diagnosis. Due to their study design, the final MDD diagnosis was affected by the SLB data, introducing substantial bias into the process. The subsequent masked assessment of TBLC specimens by a single pathologist had limited agreement with MDD diagnosis. It is unlikely however, that this aspect of the study design would have affected the masked biopsy interpretation, with poor histopathological agreement potentially relating to additional factors.Given the smaller sample size and the limitations discussed, no firm conclusions regarding the diagnostic utility of TBLC could be made from the study by Romagnoli and colleagues.



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COLDICE試験:クライオバイオプシーと外科的肺生検の診断一致率は良好_e0156318_8184968.png

by otowelt | 2019-10-31 00:57 | びまん性肺疾患

PRAISE試験:IPFに対するパムレブルマブ

PRAISE試験:IPFに対するパムレブルマブ_e0156318_10574046.jpg IPFに対して、現在最も期待されている薬剤です。

Richeldi L, et al.
Pamrevlumab, an anti-connective tissue growth factor therapy, for idiopathic pulmonary fibrosis (PRAISE): a phase 2, randomised, double-blind, placebo-controlled trial.
Lancet Respir Med. 2019 Sep 27. pii: S2213-2600(19)30262-0. doi: 10.1016/S2213-2600(19)30262-0.


背景:
 結合組織増殖因子(CTGF)は、線維化にかかわる血管内皮細胞から分泌されるタンパクである。この研究は、CTGFに対する遺伝子組み換えヒト化モノクローナル抗体であるパムレブルマブ(FG-3019)のIPFに対する安全性、忍容性、効果を調べたものである。目的は、パムレブルマブIPFの進行を遅らせる・止める・逆行させることができるかどうかを調べることである。

方法:
 この第2相ランダム化二重盲検プラセボ対照比較試験(PRAISE試験)は、7ヶ国(オーストラリア、ブルガリア、カナダ、インド、ニュージーランド、南アフリカ、アメリカ)の39施設で実施された。予測努力性肺活量(FVC)が55%以上のIPF患者を、ランダムに1:1の割合で、パムレブルマブ30mg/kgあるいはプラセボを3週間ごと48週間(合計16回注射)のいずれかの群に割り付けた。プライマリ効果アウトカムは、48週時点での予測FVCの変化(%)とした。48週時点での病勢進行(予測FVCがベースラインから10%以上減少あるいは死亡)がセカンダリ効果アウトカムに設定された。少なくとも1回の注射を受けたパムレブルマブ群の全患者が安全性解析に組み込まれた。プラセボ群の2人の患者は、登録エラーのため効果解析のITT集団から除外された。

結果:
 2013年8月17日~2017年7月21日に、103人の患者がランダム化された(50人:パムレブルマブ群、53人:プラセボ群)。パムレブルマブは、48週時点で予測FVC減少をプラセボより60.3%減らした(ベースラインからの平均変化率:パムレブルマブ群-2.9%、プラセボ群-7.2%、差4.3%[95%信頼区間0.4-8.3%]、p=0.033)。
PRAISE試験:IPFに対するパムレブルマブ_e0156318_9263270.png
(文献より引用)

 48週時点で病勢進行がみられた患者の比率は、パムレブルマブ群の方が低かった(10.0% vs 31.4%、p=0.013)。パムレブルマブは十分な忍容性があり、プラセボと同等の安全性だった。治療による重篤な有害事象は、パムレブルマブ群12人(24%)、プラセボ群8人(15%)だった。前者3人、後者7人が治療中断となった。パムレブルマブ群で3人(6%)、プラセボ群で6人(11%)が死亡したが、治療に関連したと思われる患者はいなかった。

結論:
 パムレブルマブはIPFの進行を遅らせ、十分な忍容性がある。現在第3相試験がおこなわれており、パムレブルマブはIPFの治療において安全性の高い効果的な新薬となるだろう。


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PRAISE試験:IPFに対するパムレブルマブ_e0156318_8184968.png

by otowelt | 2019-10-21 00:43 | びまん性肺疾患

分類不能型ILDに対するピルフェニドン

分類不能型ILDに対するピルフェニドン_e0156318_1543237.jpg INBUILD試験でオフェブ一色ですが、ピレスパも負けていられない。
 おそらく将来的に、進行線維化を起こすILD全てに抗線維化薬が用いられる時代が来るでしょう。MDDしなくても・・・とかいう極論も出てきそうですが。

(参考記事)
INBUILD試験:進行線維化を伴う間質性肺疾患に対するニンテダニブ

※個人的には、PD-L1陽性肺癌に対する同阻害剤や、喘息に対するICSのような、ドラスティックな効果が出る印象は持っていません。

Maher TM, et al.
Pirfenidone in patients with unclassifiable progressive fibrosing interstitial lung disease: a double-blind, randomised, placebo-controlled, phase 2 trial
Lancet Respiratory Medicine, https://doi.org/10.1016/S2213-2600(19)30341-8


背景:
 現在まで、肺の進行線維化をきたす分類不能型間質性肺疾患(ILD)に有効な薬物治療は適応となっていない。われわれは、進行線維化をきたす分類不能型ILDに対するピルフェニドンの効果と安全性を検証した。

方法:
 われわれは、オーストラリア、ベルギー、カナダ、チェコ共和国、デンマーク、ドイツ、ギリシャ、アイルランド、イスラエル、イタリア、ポーランド、ポルトガル、スペイン、イギリスの70施設において多施設共同二重盲検試験を実施した。適格患者は、18~85歳の進行線維化をきたす分類不能型ILDで、%努力性肺活量(FVC)が45%以上、%DLcoが30%以上、胸部HRCTで線維化が10%を超えるものとした。患者はランダムに1:1の割合で、ピルフェニドン2403mg/日あるいはプラセボを内服する群に割り付けられ、併用ミコフェノール酸モフェチルやIPAFの有無によって層別化された。研究者は治療割り付けに関して盲検化された。プライマリエンドポイントは、24週時点でのベースラインからの平均FVC変化量とした(自宅でスパイロメトリー測定)。セカンダリエンドポイントは、施設でのFVC変化、%FVCがベースラインから5%あるいは10%を超えて減少した患者割合、施設におけるスパイロメトリーでの%FVCの相対的減少率、DLco変化(%)、6分間歩行距離、UCSD-SOBQスコア変化、LSQスコア変化、咳嗽VAS変化、SGRQスコア変化とした。さらに、追加的セカンダリエンドポイントとして、理由を問わず入院した患者の割合、急性増悪、無増悪生存期間を設定した。効果アウトカムはITT集団で解析され、安全性解析は試験薬を1回でも投与されたものを対象におこなわれた。

結果:
 2017年5月15日~2018年6月5日までの間、253人がランダムにピルフェニドン2430mg群(127人)、プラセボ群(126人)に割り付けられ、ITT解析に組み込まれた。それぞれ平均年齢70.0歳、69.0歳だった。
 プライマリエンドポイント解析は、家庭でおこなわれたスパイロメトリーの個人差によって影響を受け、事前に想定していた統計モデルの適用が妨げられた。
 24週を通して、自宅で測定された予測FVCの平均変化はピルフェニドン群-87.7mL(Q1–Q3 −338.1 to 148.6)で、プラセボ群-157.1mL(同−370.9 to 70.1)だった。施設で測定された場合も、ピルフェニドン群のほうが小さかった(治療差95.3 mL [95%信頼区間35.9 to 154.6], p=0.002)。プラセボ群と比較すると、ピルフェニドン群の患者は5%を超えるFVC減少を起こしにくかった(オッズ比0.42、95%信頼区間0.25-0.69、p=0.001)。10%を超えるFVC減少についても同様の結果だった(オッズ比0.44、95%信頼区間0.23-0.84、p=0.011)。24週時点で、ベース来からのDLco変化はピルフェニドン群-0.7±7.1%、プラセボ群-2.5±8.8%だった。
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(文献より引用)

 6分間歩行距離変化は、ピルフェニドン群-2.0±68.1m、プラセボ群-26.7±79.3mだった。UCSD-SOBQスコア、LCQスコア、咳嗽VAS変化、SGRQスコアは両群同等だった。急性増悪、入院、死亡までの期間はイベント発生数が少ないため解析不適とされた。無増悪生存期間に有意差はなかった。
 治療による有害事象は、ピルフェニドン群127人のうち120人(94%)、プラセボ群124人のうち101人(81%)にみられた。重篤な有害事象は、それぞれ18人(14%)、20人(16%)だった。もっともよくみられた有害事象イベントは、胃腸障害(ピルフェニドン群47% vs プラセボ群26%)、疲労感(同16% vs 10%)、皮疹(10% vs 7%)だった。

結論:
 プライマリエンドポイントに想定していた統計手法が適用できなかったが、進行線維化をきたす分類不能型ILDはおそらくピルフェニドン治療の恩恵を受けると考えられ、安全性・忍容性には問題ない。


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