カテゴリ:びまん性肺疾患( 342 )

致死的な急性好酸球性肺炎では牽引性気管支拡張がみられる

e0156318_1872356.jpg AEPは数えるほどしか診たことがないので、勉強になります。

Takei R, et al.
Traction bronchiectasis on high-resolution computed tomography may predict fatal acute eosinophilic pneumonia
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.09.005

背景:
 急性好酸球性肺炎(AEP)のほとんどの患者は、急速に改善する。しかしながら、AEPのいくつかの例は致死的になる。この研究の目的は、AEPが致死的アウトカムになる臨床的、放射線学的、病理学的特な特徴を決定し、予後不良因子を同定することである。

方法:
 日本にあるわれわれの施設で、2005年7月から2013年7月までにAEPと診断された全患者の診療録を後ろ向きに同定した。

結果:
 試験期間中にAEPと診断された41人のうち4人が死亡した。死亡した患者は全員男性で、3人が特発性、1人が薬剤関連だった。気管支肺胞洗浄中の好酸球分画の中央値は59%だった。薬剤関連AEPだった患者で剖検がおこなわれ、病理学的に好酸球浸潤を伴うびまん性肺胞傷害がみられた。致死的AEPとなった4人において、胸部高分解能CTでびまん性のすりガラス吸収域および牽引性気管支拡張(TBE)が同定された。TBEは6人(特発性AEPの5人、薬剤関連AEPの1人)に観察され、これらの患者の67%が死亡している。喫煙関連AEPの患者は誰もTBEを有していなかった。これらの患者は治療反応性がよく、生存していた。

結論:
 治療に反応しなかった致死的AEP患者の特徴を観察した。致死例では全例にTBEが観察され、予後不良と関連していた。



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by otowelt | 2018-11-14 00:47 | びまん性肺疾患

MUC5B遺伝子プロモーター多型は関節リウマチ関連間質性肺疾患と関連

e0156318_1023364.jpg 強皮症なんかでは、ILD合併例でもこのMUC5Bの変異とは有意に関連していないと言われています(PLoS One 2013; 8(8): e70621.)。関節リウマチでは、MUC5B遺伝子という窓を通じてIPFとつながっている部分があるようです。

Juge PA, et al.
MUC5B Promoter Variant and Rheumatoid Arthritis with Interstitial Lung Disease.
N Engl J Med. 2018 Oct 20. doi: 10.1056/NEJMoa1801562.


背景:
 関節リウマチ関連間質性肺疾患(RA-ILD)と特発性肺線維症(IPF)の間には同様の遺伝子フェノタイプがみられ、われわれはIPFの発展の強力なリスク因子である、MUC5B遺伝子プロモーター多型であるrs35705950が、RA患者のILDリスクに寄与しているのではないかと仮説を立てた。

方法:
 discovery populationおよび複数のvalidation populationを用いて、われわれはMUC5B遺伝子プロモーター多型rs35705950をRA-ILD620人、RA-非ILD614人、影響のないコントロール者5448人で調べた。

結果:
 discovery populationの解析では、RA-ILD群とコントロール群を比較すると、MUC5B遺伝子プロモーター多型のマイナーアレルとRA-ILD群には関連がみられた(補正オッズ比3.8; 95%信頼区間2.8-5.2; P=9.7×10-17)。MUC5B遺伝子プロモーター多型はまた、コントロール群と比較するとRA-ILD群では過剰発現が、多民族ケースシリーズ(補正オッズ比5.5; 95%信頼区間4.2-7.3; P=4.7×10-35)、discovery populationと多民族ケースシリーズの統合(補正オッズ比4.7; 95%信頼区間3.9-5.8; P=1.3×10-49)で有意に観察された。加えて、MUC5B遺伝子プロモーター多型は、RA患者でILDのリスク上昇と関連していた(統合解析の補正オッズ比3.1; 95%信頼区間1.8-5.4; P=7.4×10-5)。とりわけ、胸部HRCTでUIPパターンがみられた患者では顕著だった(統合解析の補正オッズ比6.1; 95%信頼区間2.9-13.1; P=2.5×10-6)。しかしながら、MUC5B遺伝子プロモーター多型はRA単独診断とは関連性がみられなかった。
e0156318_22521690.jpg
(文献より引用)

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(文献より引用)

結論:
 MUC5B遺伝子プロモーター多型は、RA-ILDと関連していることがわかった。とくに、胸部画像でUIPパターンがみられた場合に顕著であった。



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by otowelt | 2018-11-05 00:21 | びまん性肺疾患

DRI11772試験:IPFに対するSAR156597の有効性見い出せず

e0156318_10574046.jpg 期待されていた薬剤の1つでした。

Ganesh Raghu, et al.
SAR156597 in idiopathic pulmonary fibrosis: a phase 2, placebo-controlled study (DRI11772)
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.01130-2018


背景:
 IPFに対して、プラセボと比較したSAR156597(インターロイキン4およびインターロイキン13に特異的なモノクローナル抗体)の有効性を評価した52週間の第2b相試験が実施された。

方法:
 DRI11772試験は、多施設共同二重盲検プラセボ対照第2b相試験である。40歳を超えるIPF患者がSAR156597 200mg週1回、SAR156597 200mg週2回、プラセボのいずれかに52週間割り付けられた。プライマリ効果エンドポイントは、52週時点でのベースラインからの努力性肺活量の絶対変化とした。

結果:
 327人がランダム化され、325人が治療を受けた。109人がプラセボ群、108人がSAR156597 200mg週2回群、108人がSAR156597 200mg週1回に割り付けられた。52週時点での努力性肺活量の平均変化は、それぞれ-5.8%、-5.2%、-6.3%だった(SAR156597 200mg週回2Q群とプラセボの比較:p=0.59; SAR156597 200mg週1回とプラセボの比較:p=0.63)。安全性プロファイルは3群同等であったが、SAR156597 200mg週1回で重篤な有害事象が多かった。

結論:
 DRI11772試験では、IPFに対するSAR156597の有効性を示せなかった。





by otowelt | 2018-11-01 00:36 | びまん性肺疾患

間質性肺疾患に対するベンゾジアゼピンおよびオピオイドの影響

e0156318_1543237.jpg 意外にも安全のようですが、ベンゾジアゼピンはどの状況でももはや推奨されなくなりつつある流れですね。

Bajwah S, et al.
Safety of benzodiazepines and opioids in interstitial lung disease: A national prospective study
European Respiratory Journal 2018; DOI: 10.1183/13993003.01278-2018


背景:
 安全性の懸念から、ベンゾジアゼピン(BDZ)やオピオイドを間質性肺疾患(ILD)に対して処方しにくい。そこでわれわれは、BDZやオピオイドが、入院や死亡のリスクに関連しているかどうか調べた。

方法:
 われわれは、2005年~2014年に、スウェーデンにおける長期酸素療法を要する線維性ILD患者を対象とした、集団ベース縦断的コホート研究を実施した。BDZやオピオイドが入院率や死亡率に与える影響を、潜在的な交絡因子で補正した後Fine-GrayおよびCox回帰を用いて解析された。

結果:
 1603人の患者が登録された(61%が女性)。BDZは196人(12%)で使用され、オピオイドは254人(15%)で使用されていた。BDZと入院の増加には関連性はなかった。高用量BDZは低用量BDZと比較して、死亡率の上昇に関連していた(部分分布ハザード比1.46、95%信頼区間1.08-1.98 vs 部分分布ハザード比1.13、95%信頼区間0.92-1.38)。オピオイド使用と入院の増加には関連性はなかった。低用量(モルヒネ換算で<30mg/日)(部分分布ハザード比1.18、95%信頼区間0.96-1.45)でも高用量(モルヒネ換算で>30mg/日)(部分分布ハザード比1.11、95%信頼区間0.89-1.39)でも死亡率の上昇とは関連していなかった。

結論:
 ILDに対するBDZとオピオイドの使用と有害性の関連性を調べた初めての研究によれば、呼吸障害のある重度の患者にオピオイドと低用量BDZを使用できることが支持される。





by otowelt | 2018-10-26 00:47 | びまん性肺疾患

肺Langerhans細胞組織球症における気胸の特徴

e0156318_8515525.png 2004年のCHESTの報告では、気胸の頻度は16%と報告されています(Chest. 2004 Mar;125(3):1028-32.)。

Radzikowska E,et al.
Pneumothorax in Patients with Pulmonary Langerhans Cell Histiocytosis.
Lung. 2018 Sep 5. doi: 10.1007/s00408-018-0155-1. [Epub ahead of print]


背景:
 気胸は肺Langerhans細胞組織球症(PLCH)においてしばしばみられるが、一部の患者は診断までに長期を要する。

目的:
 この研究は、PLCHにおける気胸の頻度をアセスメントし、迅速な診断のための胸部CTの役割を解析することである。

患者および方法:
 90人のPLCH患者が2000年から2015年の間に登録された。29人(32%)が初期所見として気胸を呈していた。この群では、18人(62%)の患者が1ヶ月以内にPLCHと診断された一方、11人(38%)の患者では診断の遅延が生じた(4~120ヶ月)。

結果:
 PLCHで初期所見として気胸を呈していた患者は、若年(平均年齢27.7±7.92歳 vs 39.9±13.21歳、p=0.0001)、男性(69% vs 43%、p=0.028)が多く、喫煙歴が少なく(平均喫煙歴8.4±6.85pack-years vs 19±17.16、p=0.003)、平均努力性肺活量(%予測値:77.96±19.62 vs 89.47±21.86%、p=0.015)、1秒量(%予測値:68.6 ± 19.93 vs. 79.4 ± 21.48%、p=0.03)が気胸を呈していない患者より低かった。再発性気胸は、診断遅延がみられた群でより頻繁にみられた(82% vs 39%、p=0.02)。胸部CTは診断が迅速におこなえた患者全員で実施されていたが、診断の遅延がみられた患者では誰も受けていなかった。

結論:
 PLCHの初期所見として気胸を呈した患者は、気胸を呈していない患者と比べて、若年や男性に多く、呼吸機能障害が大きかった。胸部CTはこの疾患を正しく診断するのに有用である。





by otowelt | 2018-10-22 00:55 | びまん性肺疾患

血清KL-6の推移は間質性肺疾患の疾患進行と関連

e0156318_9151917.jpg こういうシンプルな研究って意外に少ないですよね。

Jiang Y, et al.
Sequential changes of serum KL-6 predict the progression of interstitial lung disease.
J Thorac Dis. 2018 Aug;10(8):4705-4714.


背景:
 間質性肺疾患(ILD)はさまざまな臨床経過や予後不良の転帰をたどる緩徐に進行する致死的線維性肺疾患である。臨床医および患者は、至極効率的で精度の高いILDの予測因子があれば、利益が得られるはずである。この研究の目的は、血液バイオマーカーがILD進行を予測することができるかどうか評価することであった。

方法:
 この研究には、Guangzhou Institute of Respiratory HealthにおいてILDがあると診断された85人の患者が参加した。その中には特発性肺線維症(IPF)患者が20人含まれていた。平均追跡期間は12ヶ月であり、全患者はこの施設に4回あるいは5回受診して検査された。ベースライン、1ヶ月後、2ヶ月後、6ヶ月後、12ヶ月後の血清検体が採取され、KL-6濃度が調べられた。ILDの進行を反映しているかどうかみるため、ロジスティック回帰モデルを用いてこのバイオマーカー濃度の動的変動が検証された。

結果:
 ILD患者におけるベースラインのKL-6は、健常コントロールよりも有意に上昇していた。血清KL-6レベルは、疾患進行がみられた患者で有意に上昇していた(1,985.2±1,497.8 vs. 1,387.6±1,313.1 µg/mL; P<0.001)。ロジスティック回帰において、KL-6の連続的変化は、次回の追跡時のILD進行の有意な予測因子であった(オッズ比2.569; 95%信頼区間2.260-2.880; P=0.001)。また、KL-6の連続的変化はIPF患者においても疾患進行の有意な予測因子であった(オッズ比3.611; 95%信頼区間1.048-12.442; P<0.01)。ベースラインの濃度は、ILDやIPFの予測因子とはならなかった。単変量Cox分析では、他の因子に加えてKL-6は有意に生存とも関連していた(相対リスク1.901; 95%信頼区間1.294-2.793; P<0.001)。

結論:
 重度の呼吸機能障害がない場合と比べると、重度の呼吸機能障害があるILD患者の血清KL-6は上昇していた。予後不良および死亡にいたる頻度は、バイオマーカーの濃度上昇と関連していた。バイオマーカーの連続的測定は、臨床マネジメントにおいて疾患モニタリングや評価に価値があるかもしれない。





by otowelt | 2018-10-12 00:12 | びまん性肺疾患

慢性過敏性肺炎のフェノタイプごとの生存期間

e0156318_23192417.jpg 誰もが認めるCHPの診断基準がないので、前提から結論までの流れが恣意的になるリスクがあります。ただ、そのリミテーションを差し引いても、蜂巣肺例には侵襲的診断は不要というのがSalisburyらの見解です。抗線維化薬の使用に関する社会的側面を除けば、私も10年前から彼女らと同じ意見です。

Margaret L. Salisbury, et al.
Hypersensitivity Pneumonitis: Radiologic Phenotypes are Associated with Distinct Survival Time and Pulmonary Function Trajectory
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.08.1076


背景:
 過敏性肺炎(HP)は、特発性肺線維症(IPF)と比較して予後良好な間質性肺疾患である。われわれは、放射線学的フェノタイプ別のHPとIPFの生存期間、肺機能の推移を比較した。

方法:
 117人のHP患者は、外科的/経気管支肺生検、気管支肺胞洗浄、曝露歴に基づいて診断した。161人のIPF患者は、臨床的および組織病理学的に診断した。全患者のベースライン胸部HRCTと%努力性肺活量が検査された。3人の胸部放射線科医が放射線学的特徴を分類した。ベースラインの胸部HRCT撮影から死亡あるいは肺移植までのイベントフリー生存期間をみた。Cox比例ハザードモデルを用いて、イベントフリー生存期間に関連する因子を同定した。線形混合モデルにより胸部HRCT後の%努力性肺活量の推移を比較した。

結果:
 臨床的に診断された患者は、3つの相互排他的な放射線学的フェノタイプに分類された。すなわち、蜂巣肺が存在するタイプ、蜂巣肺はないが線維化(牽引性気管支拡張および網状影)が存在するタイプ、線維化が存在しないタイプである。線維化がみられないHPは、もっともイベントフリー生存期間が長く(>14.73年)、%努力性肺活量が改善した(+1.92%、95%信頼区間0.49~3.35、p=0.009)。蜂巣肺がないが線維化が存在するHPは、イベントフリー生存期間がIPFより長かったが(>7.95年 vs 5.20年)、%努力性肺活量の減少は同等だった。蜂巣肺があるHPおよびIPF患者は生存期間がもっとも短く(それぞれ2.76年、2.81年)、%努力性肺活量の減少も大きかった。

結論:
 HPにおける3つの放射線学的フェノタイプを同定した。蜂巣肺はないが線維化がみられる患者におけるHP診断は重要である。もし蜂巣肺があれば、いずれにしても予後不良であるため確定診断を得るための侵襲的診断処置は限定されるべきかもしれない。



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by otowelt | 2018-10-02 00:54 | びまん性肺疾患

possible/inconsistent with UIPパターンの一部はUIPパターンへ移行する

e0156318_10574046.jpg NSIPパターンからUIPパターンへ移行するかどうか、というのは専門家の間でも意見が分かれています。日本では、どちらかというと後に出てきたUIPパターンは蜂巣肺ではなく、細気管支拡張の集簇ではないかと考える放射線科医が多いです。
 果たしてpossible UIPとinconsistent with UIPはどうでしょうか。

De Giacomi F, et al.
Evolution of diagnostic UIP computed tomography patterns in idiopathic pulmonary fibrosis: Disease spectrum and implications for survival.
Respir Med. 2018 Sep;142:53-59


背景:
 特発性肺線維症(IPF)における、現在の胸部CTパターンは、臨床的フェノタイプや同様の放射線学的所見の経時的進展を反映しているかどうかはよく分かっていない。われわれは、IPF患者の胸部CTでpossibleあるいはinconsistentのUIPパターンを呈したものを登録し、それがconsistentに経時的に変化するかどうか、またそれが生存に与える影響を調べた。

方法:
 2005年1月1日~2013年12月31日までにわれわれの施設でIPF患者を登録した。連続的なCT画像が2人の放射線医によって評価された。ベースラインおよび中途の臨床データを集めた。

結果:
 91人の患者(平均年齢67.4歳、59%が男性)がpossibeおよびinconsistentのUIPパターンを呈しており、それぞれ58人(64%)、33人(36%)だった。
 29人(32%)が中央値57ヶ月(IQR 33-78ヶ月)でconsistentへ移行した。肺機能の減少は経時的にどのパターンでも有意にみられたが、そのパターン間では差は観察されなかった。consistentへの移行は、診断からの生存期間の悪化とは関連していなかった。

結論:
 長期間観察すると、一部のIPF患者はpossibleあるいはinconsistentからconsistentへ移行する。それにもかかわらず、死亡に関しては全パターン有意な差はみられなかった。





by otowelt | 2018-09-25 00:55 | びまん性肺疾患

IPFにおけるCPFEの定義は気腫のひろがりを10%以上に

e0156318_16573847.png CPFEの定義についての提案です。

Hee‐Young Yoon, et al.
Effects of emphysema on physiological and prognostic characteristics of lung function in idiopathic pulmonary fibrosis
Respirology, First published: 23 August 2018,https://doi.org/10.1111/resp.13387


背景および目的:
 CPFE(combined pulmonary fibrosis and emphysema)は、肺容量を保持するものの肺機能が減少していくことで特徴づけられる。しかしながら、気腫性病変の広がりが特発性肺線維症(IPF)の呼吸生理学や予後的特徴にどの程度影響を与えるのかは分かっていない。われわれは、IPF患者においてCPFEがあると定義する際用いられる、気腫のひろがりについて解析した。

方法:
 209人のIPF患者において、胸部高分解能CT(HRCT)において気腫のひろがりをテクスチャ解析による自動定量システムを用いて観察した。肺機能パラメータの年間減少率と予後予測に対する気腫のひろがりが与える影響を解析した。

結果:
 気腫が5%以上みられたのは53人(25%)、10%以上みられたのは23人(11%)、15%以上みられたのは12人(6%)だった。気腫のひろがりが5%以上みられた患者は、男性、既喫煙者の頻度が高かった。これらの患者は肺容量が保持時されており、努力性肺活量の減少率は気腫がほとんどみられない患者よりも緩やかであった。努力性肺活量減少率は、気腫がほとんどみられない患者(ハザード比0.933, P < 0.001)、気腫が5%以上にみられる患者(ハザード比0.906, P < 0.001)において有意な死亡リスク因子だった。しかしながら、拡散能(DLCO)は気腫が10%以上にみられた患者(ハザード比0.972, P = 0.040)、15%以上にみられた患者(ハザード比0.942, P = 0.023)において最も予後予測にすぐれた因子だった。気腫のひろがりのカットオフ値を10%に設定すると、IPF患者において努力性肺活量減少率がもっとも有意差がついた。

結論:
 IPF患者では、気腫のひろがりが10%以上あると、努力性肺活量の年間減少率や予後に影響を与える。これをCPFEの定義として用いることが可能である。



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by otowelt | 2018-09-21 00:08 | びまん性肺疾患

IPFに対するリゾホスファチジン酸受容体1アンタゴニストは努力性肺活量減少率を緩和

e0156318_10574046.jpg 肝障害がネックになりそうですね。努力性肺活量に対するインパクトは26週間で90mLとやや期待ができますが。
 ただ、1日2回投与群の登録患者さんのばらつきが大きそうで、患者特性で肺機能の中央は同水準にありますが、低肺機能の方がおおく1日2回投与群に組み入れられている印象です。

Scott M. Palmer, et al.
A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled, Phase 2 Trial of BMS-986020, a Lysophosphatidic Acid Receptor Antagonist for the Treatment of Idiopathic Pulmonary Fibrosis
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.08.1058


背景:
特発性肺線維症(IPF)は、不可逆的な肺機能の減少をきたす。リゾホスファチジン酸受容体1(LPA1)経路は、IPFの疫学に関与している。IPF患者に対して、高親和性LPA1アンタゴニストBMS-986020の安全性と有効性をプラセボと比較する第2相試験を解析した。

方法:
 IM136003試験は第2相他施設共同並行群間プラセボ対象ランダム化比較試験である。IPFの成人(%努力性肺活量:45-90%、%DLCO:30-80%)が登録され、ランダムにプラセボあるいはBMS-986020(1日1回あるいは1日2回)に26週間割り付けられた。プライマリエンドポイントは、ベースラインから26週目までの努力性肺活量の変化率とした。

結果:
 143人がランダム化され、108人が26週間の用量相を完遂した。35人が完遂できずに治療を中断した。ベースラインの患者特性は両群ともに同等だった(プラセボ群47人、600mg1日1回群48人、600mg1日2回群48人)。BMS-986020を1日2回投与された患者は、プラセボよりも有意に努力性肺活量の減少率が低かった(−0.042 L [95%信頼区間−0.106 ~ −0.022] vs (−0.134 L [95%信頼区間−0.201 ~ −0.068]; P=.049)。用量に関連した肝酵素の上昇がBMS-986020の2群両方にみられた。非盲検化になったあとにBMS-096020群で胆嚢炎が3例みられたために、本試験は早期中止となった。
e0156318_1145299.png
(文献より引用:努力性肺活量)

結論:
 BMS-986020 600mg1日2回26週間の治療はプラセボと比較して努力性肺活量の減少率を有意に緩和させた。BMS-986020は2用量群のいずれにおいても肝酵素の上昇と関連していた。





by otowelt | 2018-09-19 00:36 | びまん性肺疾患