カテゴリ:びまん性肺疾患( 310 )

重症IPFに対するニンテダニブは拡散能低下を抑制

e0156318_16214955.jpg そこまで大きな期待はできないかな、という印象です。

Harari S, et al.
A Real-Life Multicenter National Study on Nintedanib in Severe Idiopathic Pulmonary Fibrosis.
Respiration. 2018 Mar 27. doi: 10.1159/000487711. [Epub ahead of print]

背景:
 軽症から中等症のIPF患者には、現在ピルフェニドンとニンテダニブという2つの治療オプションが有用である。より重症な患者に対するこれら2治療の効果は不足している。

目的:
 国内の多施設共同後ろ向き研究をおこない、重症IPF患者の治療におけるニンテダニブの影響を調べた。

方法:
 登録患者は重症IPF患者で、ニンテダニブ開始前後少なくとも6ヶ月データが追跡できたものを対象とした。この研究の目的は、治療前後の肺機能の減少を比較することである。ニンテダニブ治療6ヶ月後の生存を調べた。

結果:
 ニンテダニブ開始時の%努力性肺活量が50%以下で%DLCOが35%以下の41人のIPF患者が登録された。6ヶ月時点で、DLCOの減少(絶対値、%予測値ともに)は治療前と比べて有意に軽減していた(DLCO絶対値:6ヶ月前5.48 mmol/min/kPa、治療開始時4.50 mmol/min/kPa、6ヶ月後5.03 mmol/min/kPa, p = 0.03; %DLCO:6ヶ月前32.73%, 治療開始時26.54%, 6ヶ月後29.23%, respectively, p = 0.04)。他の機能的パラメータでは、有意な利益的効果は観察されなかった。

結論:
 重症IPF患者に対するニンテダニブの使用は、DLCOの絶対値および%予測値の減少を軽減するが、努力性肺活量や他の肺機能パラメータには影響を与えなかった。


by otowelt | 2018-04-18 00:14 | びまん性肺疾患

線維性間質性肺炎におけるIPAFの存在は予後良好を予測

e0156318_16214955.jpg 実臨床にマッチした印象です。何をもってidiopathicというのかが哲学的に問われる部分だとは思いますが。

Yoshimura K, et al.
Distinctive characteristics and prognostic significance of interstitial pneumonia with autoimmune features in patients with chronic fibrosing interstitial pneumonia.
Respir Med. 2018 Apr;137:167-175.


背景:
 間質性肺疾患はheterogeneousであり、慢性線維性間質性肺炎(CFIP)にはしばしば臨床的、血清学的、形態的特徴が膠原病に似るが診断にいたらないものがある。近年、IPAFの概念が提唱されている。しかしながら、累積急性増悪率を含め、IPAFの概念に予後予測の役割がどの程度あるのかは分かっていない。この研究の目的は、IPAFの臨床的特徴と予後予測の重要性を明らかにすることである。

方法:
 後ろ向きにCFIP患者194人(163人がIPF,31人がNSIP)を調べ、その臨床的特徴とIPAF診断の予後信頼性を調べた。

結果:
 CFIP患者の16%(IPFの8%、NSIPの61%)がIPAFの基準を満たした。IPAFの年齢層は、有意に若かった。また、女性の占める割合は高く、非喫煙者に多かった。形態的ドメインがIPAF患者にもっともよくみられ(97%)、血清学的ドメイン(72%)、臨床的ドメイン(53%)と続いた。IPAFのあるCFIP患者は、IPAFがない場合と比べて全生存期間および急性増悪に関して良好なアウトカムであった(p<0.001、p=0.029)。サブグループ解析では、IPAFのあるNSIP患者はIPAFがない場合と比べて生存期間が有意に長かった(P = 0.031)。また、IPAFのあるIPF患者はIPAFがない場合と比べて全生存期間が長い傾向にあった(P = 0.092)。しかしながら、急性増悪に関してはIPFもNSIPの両群ともにIPAFの有無で差はみられなかった。IPAF基準を満たすことは、全生存期間(ハザード比0.127、95%信頼区間0.017-0.952、p=0.045)および急性増悪の頻度(ハザード比0.225、95%信頼区間0.054-0.937、p=0.040)の独立予測因子であった。

結論:
 IPAFの診断は、CFIP患者において良好な予後を予測し、急性増悪のリスクの低減を予測する因子になるかもしれない。


by otowelt | 2018-04-16 00:36 | びまん性肺疾患

原発性Sjögren症候群患者の肺病変のリスク因子に関する後ろ向き検討

e0156318_17272630.jpg 九州からの報告です。
 
Kakugawa T, et al.
Lymphocytic focus score is positively related to airway and interstitial lung diseases in primary Sjögren's syndrome.
Respir Med. 2018 Apr;137:95-102.


背景:
 胸部HRCTは、肺の微細な形態学的変化の特徴をみるのに有用だが、Sjögren症候群患者の胸部HRCTで肺病変が同定されるリスク因子については研究がない。

目的:
 この研究の目的は、胸部HRCTで同定された原発性Sjögren症候群患者の肺病変のリスク因子を調べることである。

方法:
 後ろ向きに原発性Sjögren症候群患者登録し、胸部HRCTで同定された肺病変のリスク因子を調べた。胸部HRCTが撮影された合計101人の原発性Sjögren症候群を登録した。

結果:
 多変量解析では、高齢(オッズ比1.064、95%信頼区間1.026-1.102)、口渇(オッズ比8.795、95%信頼区間2.317-33.378)、口唇腺生検 focus score4点以上(オッズ比3.261、95%信頼区間1.100-9.675)は、気道疾患のリスク因子だった。また、高齢(オッズ比1.078、95%信頼区間1.032-1.127)、男性(オッズ比12.178、95%信頼区間1.121-132.307)、口唇腺生検 focus score4点以上(オッズ比3.954、95%信頼区間1.423-10.987)は間質性肺疾患のリスク因子だった。HTLV-1抗体は、気道疾患患者において有意に多く観察された。

結論:
 この研究では、口唇腺生検 focus scoreおよび口渇は、原発性Sjögren症候群患者の肺病変と関連していた。口渇とfocus scoreは、原発性Sjögren症候群患者の肺においてリンパ球増殖活性を反映しているのかもしれない。


by otowelt | 2018-04-13 00:36 | びまん性肺疾患

システマティックレビュー:IPFに対するGER治療の有効性

e0156318_7331272.jpg 現時点で、妥当なランダム化比較試験が1つもないようです。

Lee Fidle, et al.
Treatment of Gastroesophageal Reflux in Patients with Idiopathic Pulmonary Fibrosis: a Systematic Review and Meta-Analysis
CHEST https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.03.008


背景:
 胃食道逆流(GER)は、IPF患者でよくみられる現象であり、IPFの進行と増悪に関与することが示されてきた。GERに対する治療が、IPF患者のアウトカムを改善するかはまだよく分かっていない。この研究の目的は、IPFに対するGER治療の効果と安全性を調べることである。

方法:
 電子データベースを用いて、2017年9月までの文献を抽出しシステマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。言語規定はもうけず、薬物治療あるいは非薬物治療を検証したランダム化比較試験および観察研究を登録した。プライマリアウトカムはIPF関連死亡と総死亡である。

結果:
 13の観察研究が同定され、8研究がメタアナリシスに組み込まれた。GERに対する薬物治療は、IPF関連死亡リスクを減少させた(非補正ハザード比0.60, 95%信頼区間0.38-0.97, p=0.04, I2 = 0%, 3研究, N=2033; 補正ハザード比0.45, 95%信頼区間0.24-0.84, p=0.01, I2 = 0%, 3研究, N=2033)。しかし、総死亡リスクには有意な影響を与えなかった(非補正ハザード比0.73, 95%信頼区間0.45-1.2, p=0.22, I2 = 46%, 3研究, N=1316; 補正ハザード比0.76, 95%信頼区間0.31-1.84, p=0.54, I2 = 89%, 4研究, N=1585)。これらアウトカムのエビデンスの質は低かった。
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(文献より引用:IPF関連死亡)

結論:
 低いエビデンスの質の研究のメタアナリシスでは、GERに対する薬物治療はIF関連死亡リスクを減少させたが、総死亡リスクは減少させなかった。ランダム化比較試験が必要である。


by otowelt | 2018-04-10 00:41 | びまん性肺疾患

DETECT研究:全身性強皮症における肺高血圧症の進展

e0156318_1521417.jpg このコホートでは、3年で25%という結果でした。

Coghlan G, et al.
Incidence of pulmonary hypertension and determining factors in patients with systemic sclerosis.
Eur Respir J. 2018 Mar 21. pii: 1701197. doi: 10.1183/13993003.01197-2017. [Epub ahead of print]


目的:
 DLCOが60%未満の全身性強皮症(SSc)患者における肺高血圧症(PH)の頻度を調べること。

方法:
 前向きコホート研究において、SSc患者に3年後に右心カテーテルを含む臨床的検討をおこなった。PHの進展にいたった因子を単変量・多変量解析を用いて検討した。

結果:
 ベースラインにおける平均肺動脈圧(mPAP)<25mmHgの96人の患者が2.95±0.7年追跡された(中央値3年)。81人が女性で、75%が限局性SSc、66%がWHO機能分類II以上だった。
 71人が2回目の右心カテーテルを受け、そのうち18人(25.3%)にPH(mPAP 25mmHg以上)がみられた。100人年あたり6.11例の罹患率だった95%信頼区間(3.67-9.5)。5人が左室系に由来するPH、8人が肺疾患に由来するPH、5人(7%:95%信頼区間2.3%-15.7%)がSSc関連肺動脈性PHだった。ベースラインmPAPが21~24mmHgの患者は、それ未満の患者と比べるとPHに進展する頻度が高かった(p=0.026)。ベースラインの肺血管抵抗、三尖弁逆流速度、拡散能 、下大静脈径はPH進展の独立予測因子であった。
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(文献より引用)

結論:
 DLCOが60%未満の選択的SScコホートでは、肺動脈圧は経時的に上昇していく。経時的な右心カテーテルはSSc-PHの同定に有用かもしれない。


by otowelt | 2018-04-04 00:01 | びまん性肺疾患

薬剤性好酸球性肺炎はダプトマイシンによるものが多く、急性・慢性の両病型をとりうる

e0156318_1872356.jpg ダプトマイシンによるEPは呼吸器内科医としておさえておきたいですね。

・ダプトマイシンによる好酸球性肺炎

Bartal C, et al.
Drug-induced eosinophilic pneumonia: A review of 196 case reports.
Medicine (Baltimore). 2018 Jan;97(4):e9688.


背景および目的:
 好酸球性肺炎(EP)は肺浸潤影と好酸球増多を伴う患者の重要な疾患である。EPは慢性経過か否かと薬剤によるものかどうかで分類ができる。1990年以降の症例報告を集め、薬剤に関連するEPならびに急性EP(AEP)と慢性EP(CEP)の差異について調べた。

方法:
 電子データベースで薬剤性EPあるいはPIE症候群と診断された報告を抽出した。

結果:
 196人の薬剤性EPの患者が同定された。主な原因はダプトマイシンによるEPだった。AEPは若年患者にみられ、性差はなかった。診断時の末梢血好酸球増多はCEPによくみられた(CEP:80%、AEP:20%)。放射線学的な異常はAEP・CEPともに同等だった。EP患者の多くがステロイド治療を受け、CEPでは再発が多くみられていた。

結論:
 薬剤性EPはAEP・CEPのいずれの病型もとりうる。両疾患がオーバーラップしていることもあり、同経路の機序が想定される。最も多い薬剤はダプトマイシンだった。


by otowelt | 2018-03-16 00:49 | びまん性肺疾患

IPF患者における重喫煙歴と気腫合併は肺癌発生のリスク

e0156318_7331272.jpg 思ったよりも頻度が高いですね。胸部レントゲン写真ではなかなか早期発見が難しいので、どのくらいの頻度で胸部CTを撮影するべきでしょうか。

Kato E, et al.
Incidence and predictive factors of lung cancer in patients with idiopathic pulmonary fibrosis.
ERJ Open Res. 2018 Feb 2;4(1). pii: 00111-2016.


背景および方法:
 IPFの患者の肺癌の頻度とリスク因子はまだよくわかっていない。われわれは、632人のIPF患者を後ろ向きに調べ、肺癌の発生とリスク因子を調べた。

結果:
 70人の患者が追跡期間中央値3.8年のうちに肺癌を発症した。1000人年あたり25.2症例の頻度であった。もっともよくみられたのは扁平上皮癌(30%)であり、82.9%は肺末梢に発生し、75.7%はUIP病変に隣接して発生した。多変量Cox回帰ハザードモデルでは、喫煙歴35pack-years以上、気腫合併例は肺癌の発生に関連していた。肺癌診断後の1年、3年、5年死亡率は、それぞれ53.5%、78.6%、92.9%だった。
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(肺癌発症のKaplan-Meier曲線:文献より引用)

結論:
 IPF患者における肺癌は頻度が高く、喫煙歴が多く、気腫合併例において顕著だった。ほとんどの肺癌はUIPに隣接して発生した。


by otowelt | 2018-02-26 00:09 | びまん性肺疾患

IPFに対するオフェブ®の実地臨床レベルの安全性

e0156318_7331272.jpg 後ろ向き研究なので参考程度です。

Tzouvelekis A, et al.
Safety and efficacy of nintedanib in idiopathic pulmonary fibrosis: A real-life observational study.
Pulm Pharmacol Ther. 2018 Jan 20. pii: S1094-5539(17)30243-2. doi: 10.1016/j.pupt.2018.01.006. [Epub ahead of print]


背景:
 ニンテダニブはIPFの進行を緩和させる抗線維化薬である。

目的:
 実地臨床レベルのIPF患者のニンテダニブの安全性・有効性を調べること。

方法:
 2014年10月~2016年10月に実施された多施設共同後ろ向き観察研究である。

結果:
 94人のニンテダニブ内服IPF患者が登録された(72人が男性、平均年齢73.8±7.5歳、平均%努力性肺活量68.1±18.3%、平均%DLCO44.4±14.5%)。下痢がもっともよくみられた副作用だった(55.3%)。20人(21.2%)の患者は副作用のためニンテダニブを中断せざるを得なかった。死亡や脱落例を除外すると、6ヶ月の経過において%努力性肺活量および%DLCOの減少中央値はそれぞれ1.36(95%信頼区間0-2.97)、4.00(95%信頼区間2.01-6.20)だった。360日の経過中、17人(18.1%)が死亡した。

結論:
 観察研究においても、ニンテダニブは忍容性があり効果的と考えられる。実臨床レベルの安全性と効果を検証する前向き研究が望まれる。


by otowelt | 2018-02-15 00:40 | びまん性肺疾患

SSc-ILDにミコフェノール酸モフェチルを!

 有益な薬剤があるのに保険適用がない、というジレンマはどの疾患でもあります。 その理由の1つに、外国人のデータが日本人にあてがえないという愚かな理論です。

Takahiro Ueda, et al.
Mycophenolate mofetil as a therapeutic agent for interstitial lung diseases in systemic sclerosis
Respiratory Investigation, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.resinv.2017.11.004


概要:
 全身性強皮症(SSc)は多臓器をおかす難治性の線維性疾患である。約40%の患者が間質性肺疾患(ILD)を有している。SScとILDの患者の3分の1、すなわち全体の15%の患者が肺疾患を罹患しており、ゆるやかに進行しステロイドやその他の治療に抵抗性を示す。
 アメリカで実施された、SSc-ILDに対するシクロホスファミドのランダム化比較試験では、有意だがわずかな肺機能・呼吸困難感・皮膚硬化・QOLに対する効果しか認められなかった。しかしながら、ほとんどの有効性は経口シクロホスファミドを中止してから約1年で薄れて行った。シクロホスファミドとミコフェノール酸モフェチル(MMF)がSSc-ILD患者142人に投与された。これによれば、MMF2年あるいはシクロホスファミド1年のSSc-ILD治療は、いずれも肺機能を2年にわたり改善させた。
 MMFの投与を受けた患者の方が、シクロホスファミドを受けた患者よりも白血球減少・血小板減少が少なかった。
 MMFは現在日本でSSc-ILDに対して保険適用がない。MMFもシクロホスファミドも有効ではあるが、忍容性の観点から、SScにMMFが有用であることは明白である。承認されれば、MMFがSSc-ILDの初期治療として推奨されよう。
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(症例対照研究:文献より引用)
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(レビュー:文献より引用)


by otowelt | 2018-01-26 00:11 | びまん性肺疾患

possilbe IPFに対するステロイドはすすめられない

e0156318_7331272.jpg そもそもメリットがないよ、ということでしょう。UIPがらみでなくとも、多くの線維性間質性肺疾患では有害性の方が大きいと考えられます。

Wiertz IA, et al.
Unfavourable outcome of glucocorticoid treatment in suspected idiopathic pulmonary fibrosis.
Respirology. 2017 Dec 5. doi: 10.1111/resp.13230. [Epub ahead of print]


背景および目的:
 possible IPFは、放射線学的にinconsistent with UIPパターンが胸部HRCTで確認され外科的肺生検でUIPパターンが検出されることで分類される(組み入れ基準:IIP with an inconsistent UIP pattern on HRCT scan and a histological UIP pattern in surgi-cal lung biopsy (SLB))。この群における治療エビデンスは不足しており、観察か免疫調節薬・抗線維化薬治療の間を選択しなければならない。

方法:
 多施設における59人のpossible IPF患者に対するプレドニゾン治療のアウトカムを評価すること。プレドニゾンは、0.5mg/kg/dayから開始し、6ヶ月かけて0.15mg/day/kgまで漸減された。アウトカムには努力性肺活量、重篤な有害事象(死亡あるいは入院)が含まれた。

結果:
 治療を受けたpossible IPFの患者は、68%がノンレスポンダーだった(ベースラインから6ヶ月までの努力性肺活量減少率>5%あるいは死亡)。蜂巣肺のある患者の90%がノンレスポンダーだった。反面、5年よりも前に禁煙している、外科的肺生検で局所的DIP様の反応がみられた7人中6人の患者はプレドニゾンに反応した(努力性肺活量減少率5%未満)。プレドニゾン開始から3ヶ月以内の重篤な有害事象が12人にみられ、5人が死亡した。

結論:
 possible IPF患者では努力性肺活量の減少が顕著であり、ステロイド治療によって相当数の有害事象を被る。


by otowelt | 2017-12-22 00:49 | びまん性肺疾患