カテゴリ:びまん性肺疾患( 397 )

メタアナリシス:UIP・NSIPの放射線学的・臨床的特徴

メタアナリシス:UIP・NSIPの放射線学的・臨床的特徴_e0156318_22381567.png 患者背景はともかくとして、画像パターンについては事前に規定しているので「そりゃそうなるわ」と思ってしまうのですが・・・。

Ebner L, et al.
Meta-analysis of the radiological and clinical features of Usual Interstitial Pneumonia (UIP) and Nonspecific Interstitial Pneumonia (NSIP).
PLoS One. 2020 Jan 13;15(1):e0226084.


目的:
 NSIPとUIPを鑑別する、特異的なCTパターンと臨床的特徴を同定するためのメタアナリシスを実施すること。

方法:
 PubMed/Medline、EmbaseデータベースでUIPおよびNSIPの胸部CTパターンを報告している研究を抽出した。組織学的に確認された診断と間質性肺疾患(ILD)ボードによるコンセンサス診断を含む研究のみが本解析に含まれた。放射線学的パターンと患者背景が抽出された。ランダム効果メタアナリシスにより、オッズ比と連続データの平均差を調べた。

結果:
 794の研究結果のうち、33文献2318人の患者が適格基準を満たした。これらの研究のうち12がNSIP(338人)およびUIP(447人)を含んでいた。
 UIP患者と比較して、NSIP患者は有意に若く(NSIP:年齢中央値54.8歳、UIP:年齢中央値59.7歳、平均差-4.4、p=0.001、95%信頼区間-6.97~-1.77)、男性に少なく(NSIP:中央値52.8%、UIP:中央値73.6%、オッズ比0.32、p<0.001、95%信頼区間0.17-0.60)、喫煙者に少なかった(NSIP:中央値55.1%, UIP:中央値73.9%; オッズ比0.42; p = 0.005; 95%信頼区間0.23-0.77)。
 UIP患者と比較して、NSIP患者の胸部CT所見は、蜂巣肺パターンが少なく(NSIP:中央値28.9%、UIP:中央値73.4%、オッズ比0.07、p<0.001、95%信頼区間0.02-0.30)、末梢優位でなく(NSIP:中央値41.8%, UIP:中央値83.3%; オッズ比 0.21; p<0.001; 95%信頼区間0.11-0.38)、胸膜直下がよりスペアされていた(NSIP:中央値40.7%, UIP:中央値4.3%; オッズ比16.3; p = 0.005; 95%信頼区間2.28-117)。
メタアナリシス:UIP・NSIPの放射線学的・臨床的特徴_e0156318_22423347.png
(胸膜直下スペア:文献より引用)

結論:
 末梢優位の蜂巣肺は、UIP診断と有意に関連していた。NSIPパターンは、UIPパターンより胸膜直下がスペアされていた。UIPパターンは高齢男性、喫煙者に多く、NSIPは若年集団に多かった。





by otowelt | 2020-04-03 00:20 | びまん性肺疾患

細菌負荷とIPFの病態生理

細菌負荷とIPFの病態生理_e0156318_22381567.png bacterial burdenって細菌負荷と訳してよいのですかね?すいません、詳しくなくて・・・。

Rachele Invernizzi, et al.
Bacterial burden in the lower airways predicts disease progression in idiopathic pulmonary fibrosis and is independent of radiological disease extent
European Respiratory Journal 2020; DOI: 10.1183/13993003.01519-2019


背景:
 特発性肺線維症(IPF)患者の下気道における細菌負荷(bacterial burden)の増大は、疾患の進行や死亡のリスクを上昇させるとされている。しかしながら、細菌負荷の増加が直接線維化の進行に影響を与えているのか、あるいは単に基礎疾患の重症度を反映しているのかは不明である。

方法:
 われわれは、気管支鏡検査を受けMDDでIPFと診断された193人の患者を前向きに登録した。気管支肺胞洗浄における総細菌負荷の定量は、16S rRNA遺伝子のqPCRで測定された。画像は、2人の読影者によって独立して評価され、病変の広がり、重症度などの特徴と細菌量の関係を調べた。

結果:
 細菌負荷の増加は、疾患進行と関連していた(ハザード比2.1、95%信頼区間1.287-3.474、p=0.0028)。多変量ステップワイズ回帰では、細菌負荷と放射線学的特徴あるいは疾患の広がりに関連はなかった。definiteあるいはprobable UIPの患者にしぼって考えると、細菌負荷に両群の差はなかった。PPFEと臨床的感染との間には想定される関連があるにもかかわらず、PPFE自体やその程度と細菌負荷との間に関連はみられなかった。

結論:
 下気道の細菌負荷は、IPFにみられる肺実質の基本的な構造破壊に単に二次的に起こるものではない。この関連の独立した性質は、根底にある病態メカニズムの関係を明らかにする上で有用な知見となるだろう。




by otowelt | 2020-03-27 00:36 | びまん性肺疾患

IPFにおいて男性の性別は生存期間短縮と関連

IPFにおいて男性の性別は生存期間短縮と関連_e0156318_22381567.png 既知の知見ではありますが。
 
Zama T, et al.
Differences in clinical characteristics and outcomes between men and women with idiopathic pulmonary fibrosis: a multicenter retrospective cohort study.
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2020.02.009


背景:
 IPFは男性優位の疾患である。過去のデータでは、男性は疾患進行や生存期間と関連していることが示されている。この性差の根拠は不明である。

リサーチクエスチョン:
 IPFにおける男性と女性の間の臨床的特徴とアウトカムに差はあるか?

試験デザインと方法:
 2つの三次ケアセンターにおけるIPFコホートで、肺移植あるいは死亡までの期間のアウトカムについて性差を調べた。アウトカム予測因子として、年齢、%努力性肺活量、%DLCO、BMI、喫煙歴、咳嗽・喀痰などの呼吸器症状、酸素療法の必要性を組み込んで解析した。これらの因子と死亡の関連を性別ごとに推定した。

結果:
 追跡データが得られたコホートに、1263人が登録された。約71%が男性だった。年齢、%FVC、%DLCOで補正したところ、男性は死亡あるいは肺移植のリスクが高かった(男性:ハザード比1.4、95%信頼区間1.2-1.7、p<0.001)。高齢、低%DLCO、咳嗽・喀痰の存在は、男性において無移植生存期間と負の関連がみられたが、女性ではみられなかった。咳嗽の関連のみが性別ごとに異なっていた(相互作用:p = 0.007)。

結論:
 男性はIPFにおける無移植生存期間の悪化と関連していた。本コホートにおいて、咳嗽は性別特異的な予測因子かもしれない。




by otowelt | 2020-03-17 00:27 | びまん性肺疾患

IPF急性増悪に対するトロンボモジュリンアルファは生存アウトカムを改善しない?

IPF急性増悪に対するトロンボモジュリンアルファは生存アウトカムを改善しない?_e0156318_10574046.jpg IPF急性増悪に対するリコモジュリン🄬についての報告です。27施設で77人なので、施設間バイアスが強い点がlimitationになります。1人か2人、追加で生存があったら有意差が出たことになると思います。

・参考記事:IPF急性増悪に対する遺伝子組換えトロンボモジュリンは生存率を改善する

 日本のガイドラインでは、少数の選択患者には有効である点が明記されています。

Kondoh Y, et al.
Thrombomodulin alfa for Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis: A Randomized, Double-blind, Placebo-controlled Trial.
Am J Respir Crit Care Med. 2020 Jan 9. doi: 10.1164/rccm.201909-1818OC.


背景:
 特発性肺線維症(IPF)の経過中の急性増悪は予後不良である。凝固異常と上皮傷害が、病態生理に含まれる。遺伝子組み換えヒト可溶性トロンボモジュリンである、トロンボモジュリンアルファは抗凝固・抗炎症作用がある。複数の臨床試験で、トロンボモジュリンアルファが急性増悪の生存を改善することが示されている。

目的:
 IPF急性増悪におけるトロンボモジュリンアルファの効果と安全性をプラセボと比較すること。
 
方法:
 これは日本の27施設でおこなわれた、IPF急性増悪患者に対するランダム化二重盲検プラセボ対照第3相試験である。患者は、1:1の割合でプラセボあるいはトロンボモジュリンアルファ(380U/kg/日)の14日間治療にランダム化された。全患者は高用量ステロイド治療を受けた。プライマリエンドポイントは90日時点での生存率とした。

結果:
 82人がランダム化され、77人が試験を完遂し解析に組み込まれた(トロンボモジュリンアルファ40人、プラセボ37人)。90日時点での生存率は、トロンボモジュリンアルファ72.5%(40人中29人)、プラセボ群89.2%(37人中33人)だった(差-16.7%、95%信頼区間-33.8%~0.4%, p=0.0863)。安全性を検証した80人では、出血の副作用イベントがトロンボモジュリンアルファ群で23.8%(42人中10人)、プラセボ群10.5%(38人中4人)にみられた。

結論:
 トロンボモジュリンアルファは、90日生存率を改善しなかった。本研究からはIPF急性増悪に対するトロンボモジュリンアルファの使用は推奨されないと結論づけられた。




by otowelt | 2020-02-04 15:17 | びまん性肺疾患

肺胞微石症におけるSLC34A2の新規対立遺伝子多型

肺胞微石症におけるSLC34A2の新規対立遺伝子多型_e0156318_1722786.png 14年目の呼吸器内科医ですが、これまで1人しか目にしたことがありません。
 遺伝子変異により、肺胞内のリンイオンの除去が阻害され、肺胞内でカルシウムが沈着することがこの疾患の本態です。

Jönsson ÅLM, et al.
Eight novel variants in the SLC34A2 gene in pulmonary alveolar microlithiasis.
Eur Respir J. 2019 Dec 12. pii: 1900806. doi: 10.1183/13993003.00806-2019.


背景:
 肺胞微石症(PAM)は、II型肺胞上皮細胞に発現するリンの運搬タンパクをコードするSLC34A2遺伝子の変異によって起こる疾患である。PAMは肺胞にリン酸カルシウム結石が沈着することを特徴としており、肺の機能異常をもたらす。SLC34A2遺伝子変異スペクトラムはまだあまり検証されておらず、ジェノタイプ-フェノタイプの相関があるのかどうかも分かっていない。

方法:
 われわれは14人のPAM患者および4人の近親者からDNAを採取し、SLC34A2のコード領域を直接DNAシーケンスで分析した。表現型の特徴を同定すべく、臨床データが収集され、タンパク内の型・局在に基づいて、各変異の重症度スコアが作成された。

結果:
 われわれはPAM患者14人において、SLC34A2の新しい対立遺伝子変異多型を8つ同定した。これらのうち4つがナンセンス変異で、3つがミスセンス変異で、1つはスプライス部位変異だった。1人の患者は2つの異なる変異に対してヘテロ接合型で、他の患者はすべてホモ接合型だった。4人は無症状で、10人が有症状だった。疾患重症度は、変異重症度と関連していた。
肺胞微石症におけるSLC34A2の新規対立遺伝子多型_e0156318_1762573.png
(文献より引用:疾患重症度と変異重症度)

結論:
 PAMにおけるSLC34A2の重要な役割を提示した。これは、PAMの多様な疾患スペクトラムをあらわす。SLC34A2変異は全患者で同定され、8つの新しいい対立遺伝子変異多型が発見された。疾患重症度と変異重症度には関連があったが、さらに多くの患者において検証する必要がある。




by otowelt | 2020-01-30 00:31 | びまん性肺疾患

抗ARS抗体症候群における間質性肺疾患の再発予測因子

抗ARS抗体症候群における間質性肺疾患の再発予測因子_e0156318_15151144.png 公立陶生病院からの報告です。実臨床で抱く印象と同様だと思います。CHPの論文に続いて、すごいですね。

Takei R, et al.
Predictive factors for the recurrence of anti-aminoacyl-tRNA synthetase antibody-associated interstitial lung disease.
Respir Investig. 2019 Dec 5. pii: S2212-5345(19)30128-5.


背景:
 抗ARS抗体症候群は、アミノアシルtRNA合成酵素に対する抗体を有し、間質性肺疾患(ILD)をしばしば繰り返す。ステロイドとカルシニューリン阻害剤(CNI)による寛解導入の効果とILD再発の予測因子の間の関連を調べた。

方法:
 われわれは、後ろ向きに2006年~2017年にステロイドとCNIで治療された抗ARS抗体症候群-ILDの症例を抽出し、ロジスティック回帰分析を用いて再発の予測因子を評価した。

結果:
 研究には57人が登録され、54人(94.7%)が寛解導入療法による改善がみられた(改善までの中央期間:3ヶ月[IQR 1-4])。維持治療中に32人にILD再発が確認された。再発までの中央期間は27ヶ月だった。ILD再発例・非再発例のあいだにベースラインの患者特性の差はなかった。
 ILD再発群において、呼吸機能とSGRQスコアの経時的悪化がみられた。disease behaviorとともに血清KL-6も変化した。ベースラインの血清KL-6が500U/mL未満だったのは33人(62.2%)で1000U/mL未満だったのは48人(90.5%)。ILD再発群では、KL-6は中央値で1045U/mL(IQR 637-1653)に上昇したが、非再発群では最終観察のKL-6中央値は562U/mL(IQR 342-759)だった。
 多変量解析によると、寛解からの血清KL-6上昇(オッズ比3.21、95%信頼区間1.17-8.86、p=0.02)、CNI中断(オッズ比8.09、95%信頼区間1.39-47.09、p=0.02)は再発の独立リスク因子であった。ROC分析では、血清KL-6の妥当な上昇カットオフ値は2.0倍だった。寛解からの血清KL-6上昇が2倍を超える場合の陽性的中率は90.0%、CNI中断の陽性的中率は88.9%だった。CNI治療期間と再発には関連はなかった。
抗ARS抗体症候群における間質性肺疾患の再発予測因子_e0156318_15454072.png
(単変量・多変量解析:文献より引用)

結論:
 抗ARS抗体症候群のILD再発は、長期的な悪化に影響する。血清KL-6は、disease behaviorと再発予測に有用なバイオマーカーである。また、CNIの継続が重要であることが支持される。


by otowelt | 2020-01-12 00:00 | びまん性肺疾患

慢性過敏性肺炎に対するピルフェニドンの有効性

慢性過敏性肺炎に対するピルフェニドンの有効性_e0156318_16151865.png 現時点ではIPFと全身性強皮症にしか保険適用されませんが、抗線維化薬の適応は今後広がるものと予想されます。
 現在、IPF以外の間質性肺疾患に対するピルフェニドンの効果を検証するRELIEF試験(BMC Pulm Med. 2017 Sep 6;17(1):122.)が別のコホートで登録中です。

Mateos-Toledo H, et al.
An Open-label Study With Pirfenidone on Chronic Hypersensitivity Pneumonitis.
Arch Bronconeumol. 2019 Nov 26. pii: S0300-2896(19)30381-3. doi: 10.1016/j.arbres.2019.08.019.


背景:
 慢性過敏性肺炎(CHP)は、肺実質の破壊を伴う線維化をきたす、しばしば進行する重度の肺疾患である。この病気に対処する有効性が確認された承認治療法はない。

方法:
 われわれはCHP治療に対して免疫抑制剤にピルフェニドンを加えた効果と安全性を評価するオープンラベル試験を実施した。22人の患者を2群に分けた。グループ1:9人がプレドニゾロンとアザチオプリンの併用、グループ2:13人がプレドニゾロンとアザチオプリンとピルフェニドンの併用。2群において臨床的ベースライン特性には差はなかった。

結果:
 治療1年後、ピルフェニドンを加えた群でプライマリエンドポイントである努力性肺活量の改善は観察されなかった。ピルフェニドン群では統計学的に有意ではなかったがDLCOがやや改善する傾向にあった(p=0.06)。同様に、グループ2でSGRQ総スコアに有意な改善が見られ(p=0.02)、QOLに関連する他の2つの質問票に違いはなかった(ATAQ-IPFおよびEQ-5D-3L)。胸部HRCTでは線維性病変に変化はなかったがすりガラス陰影が軽減していた。

結論:
 CHP患者に対する抗炎症治療にピルフェニドンを加えることで、忍容性を保持しつつアウトカムを改善させる可能性がある。しかしながら、大規模コホートにおいて前向きランダム化二重盲検プラセボ対照試験を実施する必要がある。




by otowelt | 2020-01-08 00:58 | びまん性肺疾患

リアルワールドにおけるピルフェニドンとニンテダニブの有効性

リアルワールドにおけるピルフェニドンとニンテダニブの有効性_e0156318_1033185.png イタリアからの報告です。disease behaviorをみてから使いましょうという意見と、UIPパターンをみたら軽症例でもすぐに使いましょうという意見の2つがあります。

Cerri S, et al.
Real-life comparison of pirfenidone and nintedanib in patients with idiopathic pulmonary fibrosis: A 24-month assessment.
Respir Med. 2019 Oct 18;159:105803.


背景:
 IPF患者に対するピルフェニドンとニンテダニブの使用について、リアルワールドのデータは不足している。

方法:
 われわれは、ピルフェニドン(78人)あるいはニンテダニブ(28人)を24ヶ月にわたって使用されたIPF患者をイタリア2施設から登録した。これら治療を拒否した36人をコントロール群に設定した。全患者は1~3ヶ月ごとの定期受診を完遂した。プライマリアウトカムとしてFVC、DLCO、セカンダリアウトカムとして副作用、服薬遵守、死亡が記録された。

結果:
 治療群と比較するとコントロール群では、%FVCおよびDLCOの低下が有意に大きかった(それぞれp = 0.0053、p = 0.037)。ピルフェニドン群とニンテダニブ群の間にはこれらに有意差はなかった。
リアルワールドにおけるピルフェニドンとニンテダニブの有効性_e0156318_2334581.png
(%FVCの推移:文献より引用)

 薬剤内服の有無にかかわらず、進行が軽度である患者(GAPステージ1)と比較すると、GAPステージ2および3の患者は、有意にFVCとDLCOの減少が大きかった。
 薬剤の副作用は、ピルフェニドン群およびニンテダニブ群のいずれにおいても同等だった(それぞれ5%、7%)。死亡は3群とも同等だった。

結論:
 無治療と比較すると、24ヶ月におよぶピルフェニドン治療とニンテダニブ治療には、FVCおよびDLCOの減少を等しく抑制する効果がみられた。より進行したIPFの集団では、どの群も肺機能の減少が大きかった。





by otowelt | 2020-01-05 00:38 | びまん性肺疾患

IPF急性増悪に対する全身性ステロイドはアウトカムを改善しない

IPF急性増悪に対する全身性ステロイドはアウトカムを改善しない_e0156318_10574046.jpg なかなか衝撃的な報告です。

Farrand E, et al.
Corticosteroid use is not associated with improved outcomes in acute exacerbation of IPF.
Respirology. 2019 Dec 17. doi: 10.1111/resp.13753.


背景および目的:
 IPF急性増悪(AE-IPF)はIPFに関する全死亡の約半分に先行する予後不良イベントである。こうした臨床的意義があるにもかかわらず、治療決定に関するデータは限られている。全身性ステロイドは堅固なエビデンスがあるわけではなく、むしろ害悪をもたすかもしれないという疑念もあるが、治療の主体として用いられている。AE-IPF患者の院内死亡率に対する全身性ステロイド治療の影響を評価した。

方法:
 UCSF医療センターの2010年1月1日~2018年8月1日までの電子診療録からAE-IPF患者を後ろ向きに同定した。全身性ステロイド治療(メチルプレドニゾロンパルス療法500mg/日以上あるいは高用量プレドニゾロン0.5mg/kg以上を2日以上)と院内死亡の関連性を、Coxモデルと適応による交絡因子を補正した傾向スコアを用いて評価した。セカンダリアウトカムに、再入院率、全生存期間を設定した。

結果:
 合計82人のAE-IPF患者が同定され(平均年齢66.8±10歳)、37人(45%)が全身性ステロイド治療を受けていた。AE-IPF患者のうち、特にICUレベルの治療と人工呼吸管理を受けた症例にステロイド治療が適用されやすかった。
 17人のAE-IPF患者が入院中に死亡し、14人(82%)がステロイド治療群、3人(18%)が非治療群だった。ステロイド治療を受けた症例と受けなかった症例では、院内死亡率に有意差はなかった(時間依存性共変量として人工呼吸器とICU入室で補正:補正ハザード比1.52、95%信頼区間0.37-6.18、p=56、傾向スコア:補正ハザード比1.31、95%信頼区間0.26-6.55, p=0.74)。全生存期間は、全身性ステロイド治療を受けたAE-IPF患者のほうが短かった(ハザード比6.17、95%信頼区間1.35-28.14, p=0.019)。

※初回入院場所、ベースラインの酸素使用、入院時DNRオーダー、BMI、抗菌薬治療で補正したモデル。

 再入院率にも統計学な有意差はなかった(補正ハザード比1.81;95%信頼区間0.46–7.17;P= 0.40)。

結論:
 我々の研究では、IPF患者が急性増悪を起こして入院した場合に全身性ステロイド治療を用いてもアウトカムは改善しないことが示された。むしろ、全身性ステロイド使用は、急性増悪後の全生存期間を短縮するかもしれない。大規模なリアルワールドコホートを用いた観察研究により、全身性ステロイド治療とAE-IPFの短期アウトカムの関連を示す必要があるだろう。




by otowelt | 2019-12-23 07:30 | びまん性肺疾患

Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?

Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?_e0156318_1543237.jpg 公立陶生病院の武井玲生仁先生の論文です。Morissetらの診断基準は、2年前の「ポケット呼吸器診療2018」から掲載していますが、そもそもCHPの診断自体にコンセンサスがないので、どうしようもないなぁと思っています。50%とか70%とか、完全に主観ですし・・・。
 CHPの世界は、トートロジーにあふれています。
 そのため、「MDDによるCHP診断」というのがリファレンスとして妥当なのかどうか、議論が必要ではないでしょうか。

Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?_e0156318_1652254.jpg
(2017年Morissetらの提唱したCHP診断基準[ポケット呼吸器診療2019より])

Takei R, et al.
Usefulness of new diagnostic criteria for chronic hypersensitivity pneumonitis established on the basis of a Delphi survey: A Japanese cohort study
Respiratory Investigation, https://doi.org/10.1016/j.resinv.2019.10.001


背景:
 慢性過敏性肺炎(CHP)は、さまざまな有機分子に繰り返し曝露されて引き起こされる線維性間質性肺疾患(ILD)である。2017年11月に、ILD専門家による修正Delphiサーベイに基づいてMorissetらにより新たなCHP診断基準が提唱された。しかしながら、この基準がCHPの確診に有用化どうかはまだわかっていない。われわれは、新たに提唱されたこのCHP診断基準を評価した。

方法:
 われわれは2008~2015年に外科的肺生検を受けた日本人の連続患者に、後ろ向きにMorissetのCHP診断基準を適用した。全患者は気管支肺胞洗浄および肺機能検査を受けた。膠原病合併例や急性・亜急性過敏性肺炎例は除外された。

結果:
 251人の患者が登録された。多面的検討(MDD)に基づいてCHPと診断されたのは27人で、特発性肺線維症117人、分類不能型間質性肺炎65人、他疾患42人だった。27人のMDD-CHP患者のうち、14人が50%を超える信頼性でもってCHPと分類され、13人は分類されなかった(感度51.9%、特異度77.7%)。MorissetのCHP診断基準により、7人の患者がCHP診断のための外科的肺生検を回避することができた。50%を超える信頼性でもってCHPと分類されなかった13人のMDD-CHP患者の除外理由は、CHP特徴を有さないinconsistent with UIPパターンであった。
 CHPの特徴を有さないinconsistent with UIPパターンを組み込んだ“修正MorissetのCHP診断基準”を採用すると、感度92.6%、特異度64.7%まで上昇した。
Morissetの慢性過敏性肺炎の診断基準は妥当か?_e0156318_16172439.png
(修正MorissetのCHP診断基準)

結論:
 MDD-CHP患者の半分が、MorissetのCHP診断基準を用いてCHPと診断された。CHPの診断基準を改善させるためにさらなる研究が重要である。


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by otowelt | 2019-12-10 00:44 | びまん性肺疾患