カテゴリ:びまん性肺疾患( 310 )

嚢胞性線維症におけるivacaftorの効果

CFにおけるCTFR活性の話。

B.W. Ramsey, et al.
A CFTR Potentiator in Patients with Cystic Fibrosis and the G551D Mutation
N Engl J Med 2011; 365 : 1663-72


背景:
 嚢胞性線維症で、機能欠損を反映する
 嚢胞性線維症膜コンダクタンス制御因子(CFTR)蛋白活性を
 高めることが、将来的に治療法となるかもしれない。

方法:
 嚢胞性線維症で、G551D-CFTRの変異を1つ以上もつ
 12 歳以上の患者を対象としたランダム化二重盲検プラセボ対照
 臨床試験で、CFTR 増強薬であるivacaftor:VX-770を評価。
 患者をivacaftor150mgを12時間ごとに投与する群84人と
 プラセボ群83人にランダム割り付け、48週間投与した。
 プライマリエンドポイントは、%FEV1のベースラインから
 24週までの平均変化量の推定。

結果:
 %FEV1 のベースラインから24 週までの変化量は
 ivacaftor群のほうがプラセボ群より10.6%point大きかった
 (P<0.001)。肺機能に対する効果は2週までにみられ、
 有意な治療効果は投与後48週まで維持可能であった。
 ivacaftor群はプラセボ群よりも、肺疾患増悪リスクが
 投与後48週時点で55%低かった(P<0.001)。
 また、ivacaftor群ではプラセボ群と比べて
 質問票(改訂版)における呼吸器症状分野のスコアが、48週時
 8.6ポイント高かった(P<0.001)。体重は、ivacaftor群で
 平均2.7kg多く増加(P<0.001)。ivacaftor群で、
 CFTR 活性の指標である汗中の塩化物濃度の48週までの変化量は
 プラセボ群と比較して-48.1mmol/L だった(P<0.001)。
 有害事象は同等であった。

結論:
 嚢胞性線維症におけるivacaftorの投与は
 呼吸機能検査、疾患増悪リスク、呼吸器症状、
 汗中塩化物濃度に改善がみられた。

by otowelt | 2011-11-06 18:22 | びまん性肺疾患

自己免疫異常の特徴を有する間質性肺疾患はUIPパターンが多く予後不良

いわゆる、肺野先行型の膠原病肺というのも
このAIF-ILDの範疇に含めているのだろう。
実臨床においても、膠原病らしい印象はあっても
診断基準を満たさないILDの患者さんは少なくない。

Rekha Vij , et al.
Autoimmune-Featured Interstitial Lung Disease
A Distinct Entity
CHEST 2011; 140(5):1292–1299


背景:
 間質性肺疾患(ILD)を有する患者は、膠原病の診断基準を満たさないものの
 自己免疫異常の特徴がみられるかもしれない。われわれは
 自己免疫異常の特徴を有するILD(AIF-ILD)の頻度と特徴を
 特発性肺線維症(IPF)や膠原病がわかっているILD(CTD-ILD)と比べた。

方法:
 ILD患者で膠原病の診断基準をみたさなかったもので
 膠原病を示唆する症状や自己免疫プロセスを反映すると思われる血清テストから
 そうであると判断されるような場合、AIF-ILDと定義した。
 臨床的特徴、HRCT、肺生検についてIPFとCTD-ILDと比較した。
 生存はKaplan-Meier曲線を用いて解析した。

結果:
 ILD200人について質問票と血清テストを施行した。
 AIF-ILDは32%、IPF29%、CTD-ILD19%であった。
 年齢、性別、人種について差はみられた( P<.01)。AIF-ILDの
 62%においてUIPパターンがCTで観察された。AIF-ILDの31人において
 肺生検組織は81%がUIPパターンであり、6%がNSIPであった。
 AIF-ILDとIPF患者は生存は同等であり、CTD-ILDよりも悪かった( P<.01)。
 抗核抗体(ANA)のタイターが1:1280より上回るAIF-ILDは
 生存期間が長かった( P=.02)。
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結論:
 ILDにおける全身的な症状と血清検査でAIF-ILDは同定できるが
 AIF-ILDはCT・病理でUIPパターンがみられやすい。
 AIF-ILDの予後は不良であり、抗核抗体が1:1280より高ければ
 生存期間は長くなる。

by otowelt | 2011-11-02 11:37 | びまん性肺疾患

IPFに対するステロイド・免疫抑制剤・NAC併用は死亡率上昇の可能性?

PANTHER-IPF (Prednisone, Azathioprine, and N-acetylcysteine: A Study that Evaluates Response in Idiopathic Pulmonary Fibrosis)

IPFに対するプレドニゾロン、アザチオプリン、N-アセチルシステインの
3治療併用試験がアウトカム不良(死亡率増加など)により中止になった。

というか、世界的にこの併用は
なされている治療法なのだが、プラセボ対照で
アウトカムが悪化したとなると、この先どうしたらいいのか・・・。

論文化を待つ。

by otowelt | 2011-10-24 11:43 | びまん性肺疾患

アスベストによる孤立性胸膜プラークは拘束性障害を起こす傾向にある

アスベスト曝露と拘束性障害の話。
確かにプラークごときで臨床的に差がでるとは思わないが
肺内に多数の陰影を呈する石綿肺は、ほかの塵肺と
同じように結構呼吸困難感を呈することが多いように思う。

Benedicte Clin, et al.
Do asbestos-related pleural plaques on HRCT scans cause restrictive impairment in the absence of pulmonary fibrosis?
Thorax 2011;66:985-991


背景:
 孤立性胸膜プラークは機能障害を
 起こすかどうかよくわかっていない。

目的:
 CTにおいて同定された孤立性胸膜プラークと
 アスベストに職業上曝露された人の呼吸機能との
 関連性を解析する。

方法:
 2743人の肺間質にHRCT上異常がみられない人を
 登録した。累積アスベスト曝露インデックス(CEI)
 からアスベスト曝露が評価された。登録した人は
 呼吸機能検査とHRCTを受けた。年齢や喫煙、BMIで
 補正をおこない、アスベストCEIと呼吸機能検査が
 解析された。

結果:
 全呼吸機能パラーメータは胸膜プラークが
 みられた人とみられなかった人において
 いずれも正常範囲であった。
 しかしながら、孤立性胸膜プラークがみられた人において
 みられなかった人と比較すると、以下のごとく
 減少がみられた。total lung capacity (TLC)は
 (98.1% predicted vs 101.2% p=0.0494)。
 forced vital capacity (FVC) (96.6% vs 100.4%, p<0.001)
 FEV1 (97.9% vs 101.9%, p=0.0032)。
 FEV1/FVC ratio, forced expiratory flow at 25-75% FVC、
 residual volumeは差がみられなかった。

結論:
 孤立性の胸膜プラークは拘束性障害パターンの傾向を
 呈するが、現実的に臨床的な低下を起こすほどの
 減少ではないと考えられる。

by otowelt | 2011-10-16 22:19 | びまん性肺疾患

IPF患者の初期評価の遅れは死亡のリスクを上昇させる

IPFのoverall survivalを改善する薬剤がない現状では
下記の結果にはやや懐疑心が残る。
全文を読めないので、詳しくはわからないが・・・。

Daniela J. Lamas, et al. Delayed Access and Survival in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
American Journal of Respiratory and Critical Care Medicine Vol 184. pp. 842-847, (2011)


背景:
 特発性肺線維症は、しばしば初期診断を誤られる。
 専門ケアへのアクセスの遅れは、IPFのアウトカムを悪くするかもしれない。

目的:
 専門ケアへのアクセスが遅れることと、IPFの生存期間との関連を検証する。

方法:
 われわれは、129人のATS診断基準に合致したIPF患者にたいして
 プロスペクティブコホート試験をおこなった。
 ”遅れ”というのは、呼吸困難がはじまってから紹介施設での初期評価までの
 期間と定義する。

結果:
 平均年齢は63歳で、76%が男性であった。
 ”遅れ”の中央値は2,2年(interquartile range 1.0–3.8 yr)で、
 フォローアップ期間中央値は1.1年であった。年齢と肺機能検査は
 この”遅れ”に影響しなかった。長期の遅れがあるほど、
 死亡のリスクを上昇させた(補正HR1.3, 95%CI 1.03 to 1.6)。
 また上記の遅れは、肺移植の比率を下げるといったこととは関連なかった。

結論:
 専門施設への紹介の遅れは、IPFの死亡リスクを上昇させる。
 早期に紹介することが肝要である。

by otowelt | 2011-10-03 05:56 | びまん性肺疾患

特発性肺線維症に対するBIBF 1120 の有用性

呼吸器内科医の間では有名な話である。

L. Richeldi, et al. Efficacy of a Tyrosine Kinase Inhibitor in Idiopathic Pulmonary Fibrosis
N Engl J Med 2011; 365 : 1079 - 87


背景:
 特発性肺線維症は死亡率の高い進行性肺疾患である。
 複数のチロシンキナーゼ受容体によって活性化される
 シグナル伝達経路と肺線維症の関連があり、この受容体の
 阻害によって特発性肺線維症の進行を遅らせることが
 できるかもしれない。

方法:
 12ヶ月におよぶの第2相試験において、特発性肺線維症患者
 にチロシンキナーゼ阻害薬であるBIBF1120の4通りの用量の
 経口投与をプラセボと比較し有効性と安全性を評価した。
 プライマリエンドポイントは、努力肺活量(FVC)の年間低下率。
 セカンダリエンドポイントは、急性増悪、QOL(SGRQ評価)、
 全肺気量など。

結果:
 合計432例を、BIBF1120の4通りの用量
 1.50 mg 1日1回
 2.50 mg 1日2回
 3.100 mg 1日2回
 4.150 mg 1日2回
 のいずれかを投与する群と、プラセボを投与する群に
 ランダムに割り付け。FVC低下率は、BIBF1120を
 150 mg 1日2回群で0.06 L/年であったのに対して
 プラセボ群では 0.19 L/年であり、BIBF 1120 により
 68.4%抑制された。急性増悪発生率も、150 mg 1日2回群で
 プラセボ群よりも低下した(P=0.02)。
 SGRQ スコアは、150 mg 1日2回群でわずかに低下したが
 プラセボ群では上昇(-0.66 vs 5.46,P=0.007)。
 150 mg 1日2回群では、消化器症状、
 肝アミノトランスフェラーゼ上昇の頻度が高かった。

結論:
 特発性肺線維症に対するBIBF 1120 150mg 1日2回投与は
 プラセボと比較して肺機能低下が抑制される傾向にあり、
 急性増悪は減少し、またQOLは保たれた。

by otowelt | 2011-09-23 20:23 | びまん性肺疾患

GSTT1欠失はアスベスト肺の線維化のリスクを上昇させる可能性

じん肺患者さんには、線維化がhoneycombingのように進む患者さんや
肺内の塵肺結節だけで終わるような患者さんがおられ
その規定因子を遺伝子学的な観点から考察した論文。

Genetic susceptibility to asbestos-related fibrotic pleuropulmonary changes
Eur Respir J 2011; 38: 672–678


1008人のアスベスト曝露のある労働者に
6遺伝子(EPHX1, GSTM1, GSTM3, GSTP1, GSTT1 、NAT2)のうち
9つのポリモルフィズムをジェノタイピング。
このデータを肺の線維化や胸膜肥厚、肺容積やDLCOなどと照らし合わせた。

GSTT1 deletionのポリモルフィズムが
線維化(p=0.003)、DLCO低下(p=0.02)、DLCO/VA低下(p=0.002)と
関連しており、GSTM1 deletionのポリモルフィズムは胸膜プラークの
肥厚と関連していた(p=0.009)。
GSTT1 null genotypeは、線維化の重症変化のリスクを3倍増加
(OR 3.12,95% CI 1.51–6.43)、DLCO低下も2倍近くのリスク上昇
(OR 1.77, 95% CI 1.06–2.95) 、DLCO/VAは
OR 2.37, 95% CI 1.33–4.23であった。
GSTM1 null genotypeは、胸膜肥厚のリスクを上昇
(OR 1.36, 95% CI 1.03–1.80)させた。
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by otowelt | 2011-09-01 12:17 | びまん性肺疾患

iNSIPの50%が自己免疫疾患に関連

ERJ、NSIPの論文。
カルテからの情報をレビューしたもので
seronegativeなものをiNSIPとしているようだ。

Idiopathic nonspecific interstitial pneumonia: an interstitial lung disease associated with autoimmune disorders?
Eur Respir J 2011; 38: 384–391


背景:
 近年、特発性NSIP(iNSIP)は、他の特発性間質性肺炎の間では
 臨床的に明白に実証される疾患であり、あるデータによれば
 病理学的に自己免疫の役割によって起こっている可能性が示唆されている。
 このスタディの目的は、iNSIPが早期の肺にみられた場合にそれが
 自己免疫疾患の表現であるかどうかを評価したものである。

方法:
 診療録データベースから、NSIP(563人)のキーワードによる
 初期症例レビューから、37人のiNSIP症例が同定された。
 
結果:
 iNISPのうち27人が登録された。平均±SD年齢は54.2±8歳で
 70%が女性、59%が非喫煙者であった。
 フォローアップ(平均±SD59.7±29 months, range 12–138 months)
 において、自己免疫疾患は14人(52%)の患者に起こり
 7人(26%)は自己免疫甲状腺炎、6人(22%)はUCTD、3人(11%)は
 膠原病を発症した。自己免疫疾患を発症した患者は、
 より高齢であり、またより非喫煙者女性である傾向にあった。
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結論:
 iNSIPと診断されたうちの50%が、2年以内に
 自己免疫性疾患にいたる。
 これはiNSIPと自己免疫機能との関連を示唆するものである。

by otowelt | 2011-08-01 19:34 | びまん性肺疾患

BUILD-3試験:IPFに対するボセンタンはIPF悪化までの時間に寄与しない

BUILD-3: A Randomized, Controlled Trial of Bosentan in
Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Am J Respir Crit Care Med Vol 184. pp 92–99, 2011


昨年ATSで発表された、IPFの有名な試験の1つである。
少し難しい試験なので、日本語訳ではなく概要にする。

BUILD-3試験はネガティブスタディなので
そこまで詳細を覚えておく必要はないが、
IPFに対するボセンタンを検証したこの試験において
生存の改善がみられなかったという事実は
呼吸器内科医にとって重要である。

ボセンタンは、第II/III相試験のBUILD-1試験で
IPF悪化または死亡までの時間が延長し、QOLでの改善が示されていた。
BUILD-3試験では、外科肺生検で証明されATS/ERS statementに基づく
IPFの診断を受けた患者を登録してプラセボと比較した。

616人の患者が登録され、ボセンタン407人、プラセボ209人に
ランダムに割り付けられた。
プライマリエンドポイントであるIPF悪化までの時間
(a confirmed decrease from baseline in FVC > 10%
and DLCO>15%, or acute exacerbation of IPF)
について改善がみられなかった(HR 0.85;95%CI0.66–1.10; P=0.2110)。
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forest plotは、なんとなくボセンタン寄りな気もする…。
もし、出版バイアスがあるならメタアナリシスで
差が出るかもしれないが…。
その差があったとしても、いずれにしても
微々たる効果なのだろうと思うところはある。

by otowelt | 2011-07-11 14:47 | びまん性肺疾患

IPF急性増悪の少数例にウイルス感染が関与する可能性

TTウイルスとは懐かしい…。

Viral Infection in Acute Exacerbation of Idiopathic Pulmonary Fibrosis
Am J Respir Crit Care Med Vol 183. pp 1698–1702, 2011


背景:
 特発性肺線維症(IPF)は、進行性の一様な致死的肺疾患である。
 IPF急性増悪は、特定の疫学的原因の同定がなく急性呼吸不全を
 きたすエピソードである。
 偶発的なウイルス感染が、この原因になっている可能性が示唆される。
 
目的:
 unbiased genomics-based discovery methodsを用いて
 IPF急性増悪にウイルスが関与するかどうかを調べる。

方法:
 IPF急性増悪をきたした患者、安定した病態の患者、
 ALIに至った患者において、BALおよび血清を採取し
 ウイルス核酸PCR、汎ウイルスマイクロアッセイ等で
 ウイルス学的検索をおこなった。

結果:
 45人のIPF急性増悪をきたした患者のうち4人に
 一般的な気道ウイルス感染の同定がなされた
 (parainfluenza [n=1], rhinovirus[n=2], coronavirus [n=1])。
 安定した患者においてはBALでは何も検出されなかった。
 汎ウイルスマイクロアッセイでは、IPF急性増悪患者において
 さらにウイルス感染の根拠を明らかにした
 (herpes simplex virus[n=1], Epstein-Barr virus [n=2],
 torque teno virus [TTV] [n=12])。
 TTV感染症は急性増悪患者において有意に多くみられた(P=0.0003)が、
 ALIコントロール群とは同等であった。
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結論:
 IPF急性増悪において多くの場合ウイルス感染は同定されなかった。
 少数例ではあるがTTV感染は比較的有意にみられ、ALI患者でも
 この傾向があった。

by otowelt | 2011-06-23 05:54 | びまん性肺疾患