カテゴリ:びまん性肺疾患( 361 )

LAM患者に対してCATは有用

e0156318_21492533.jpg CATは汎用性が高そうではありますが、臨床的に意義のある変化量が個々の疾患で確立されているともっと使いやすいですね。

Kato M, et al.
COPD assessment test as a possible tool for evaluating health-related quality of life in lymphangioleiomyomatosis
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.07.004


背景:
 リンパ脈管筋腫症(LAM)はCOPDに類似した閉塞性換気障害をきたす進行性の嚢胞性疾患であり、健康関連QOLが障害される。そこで、われわれはCOPDアセスメントテスト(CAT)をCOPD以外の慢性呼吸器疾患に広く使うことができるかどうか調べた。今回はLAMに対してCATの有用性を検証した。

方法:
 MLSTSに登録された順天堂大学病院に通院する25人(平均年齢41.20±6.76歳、BMI20.39±2.61)のLAM患者データを用いて、われわれは肺機能変化、健康関連QOLの反応性(CAT、SGRQスコア、EuroQOL-VAS、FPI)、24ヶ月のシロリムス治療期間中の肺機能と健康関連QOLの関連性について調べた。

結果:
 1秒量、努力性肺活量、CAT総スコアはシロリムス治療の24ヶ月を通じて改善がみられた(それぞれ5.33 ± 1.20 mL/ヶ月, 2.61 ± 1.16 mL/ヶ月, −0.127 ± 0.022点/ヶ月)。一方、SGRQ総スコア、EuroQOL-VAS、FPIスコアには有意な変化がみられなかった。
 1秒量、%1秒量、1秒率の変化は、CAT総スコア、CAT息切れスコア、SGRQ活動性と有意に相関していた。線形混合効果モデルにおけるステップワイズ多変量回帰では、CAT息切れスコア・自信スコアはベースラインからの1秒量変化と有意に関連する信頼性のある項目だった(p=0.0011, p=0.0441)。

※CAT息切れスコア:「坂や階段を上っても息切れがしない」の項目
※CAT自信スコア:「肺の状態を気にせずに外出できる」の項目
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(文献より引用)

結論:
 我々の研究によれば、シロリムス治療中のLAM患者の健康関連QOLの評価にCATは有用と考えられる。





by otowelt | 2018-09-06 00:46 | びまん性肺疾患

メタアナリシス:GERDとIPFの関連は喫煙に左右されている?

e0156318_7331272.jpg 私も、IPF自体の進行にGERDが影響を与えているようには感じていません。この議論をするときに、PPIが長期的に誤嚥のリスク因子としても報告されていることが頭をよぎります。

David Bédard Méthot, et al.
Meta-Analysis of Gastroesophageal Reflux Disease and Idiopathic Pulmonary Fibrosis
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.07.038


背景:
 胃食道逆流症(GERD)と特発性肺線維症(IPF)の関連については議論の余地がある。現在のガイドラインでは臨床医は定期的な制酸剤の内服を推奨しているが、2つの最近のメタアナリシスではIPFに対する制酸剤治療は結論が出ていないとしている。われわれの目的は、GERDとIPFの関連性に関するエビデンスを構築するため、システマティックレビューおよびメタアナリシスを行うことである。

方法:
 Medline, Ebbase, Ovid, Web of Scienceで全言語の原著論文を1966年~2018年5月まで検索した。GERDがIPFにもたらす関連性を算出するに足る場合、本メタアナリシスでは観察研究(コホートおよび症例対照研究)が選択された。

結果:
 18の症例対照研究(3206人のIPF患者、9358人のコントロール)がメタアナリシスの適格基準を満たした。メタアナリシスによれば、GERDはIPFと関連していた(オッズ比2.94、95%信頼区間1.95-4.42、p homogeneity < 0.0001)。データソースの種類(臨床研究 vs データベース)、コントロールの種類(健常ボランティア、間質性肺疾患以外の呼吸器疾患患者、非IPF-間質性肺疾患患者)によらず、結果は有意であった。メタ回帰では、喫煙歴で補正すると、GERDとIPFは関連していなかった。

結論:
 GERDとIPFは関連しているかもしれないが、特に喫煙歴などの交絡因子による影響が大きい。症例対照研究に限って言えば、おそらくGERDとIPFの関連は薄い。




by otowelt | 2018-09-03 00:42 | びまん性肺疾患

ヨーロッパにおけるIPF管理の変遷

e0156318_7331272.jpg Respiratory Researchに批判的な目を持っているわけではありませんが、データ収集にバラつきはあれどもう少し上のジャーナルを目指せたのではないのかと思います。

Guenther A, et al.
The European IPF registry (eurIPFreg): baseline characteristics and survival of patients with idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Research201819:141,https://doi.org/10.1186/s12931-018-0845-5


背景:
 2009年からヨーロッパのIPF患者はeurlIPFregに登録されており、ここから疫学的データやtranslational researchの生体材料が提供されている。

方法:
 レジストリーデータは、患者および主治医のベースライン・追跡時質問票に基づいており、1700のパラメータで構成されている。このレジストリの中期~長期的な目的は、IPFのフェノタイプ、トリガー因子、増悪条件、地域的・環境的特徴、疾患動態、マネジメントについて理解するための情報を提供することである。

結果:
 2009年11月から2016年10月までに合計2090人の患者がレジストリに登録されたが、1083人は間質性肺疾患疑いどまりであった。IPFと確定診断されたのは525人だった。IPF患者の平均年齢は68.1歳であり、進行性の呼吸困難(90.1%)、疲労(69.2%)、乾性咳嗽(53.2%)で受診することが多かった。cracklesは95.5%の患者に聴取され、ばち指は30.8%にみられた。IPF患者のうち、18.64%がIPFおよびびまん性肺疾患の家族歴を有していた。外科的肺生検は2009年に32%実施されていたが、2016年には8%にまで減少しており、これはおそらくクライオバイオプシーの普及による。気管支肺胞洗浄が行われた263人の所見は、好中球分画上昇(14±15.7%)、好酸球分画上(5.4±8.5%)、リンパ球分画正常(9.8±10.7%)、マクロファージ分画減少(71.2±20.1%)だった。
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(文献より引用:IPF患者の診断手技)

 eurlIPFregに登録された時点で、%努力性肺活量は68.4±22.6%であり、%DLCOは42.1±17.8%だった。135人のIPF患者が長期酸素療法を受け、平均流量は鼻カニューレ2L/分だった。135人のうち、18人が4L/分を超える流量だった。肺高血圧症は16.8%にみられた。6分間歩行距離のは平均388±122mだった。
 ステロイド、免疫抑制剤、N-アセチルシステインは2009年以降減少しており、かわりに抗線維化薬が用いられている。これにより生存が改善している(p = 0.001)。抗線維化薬を使用している患者では生存期間中央値は123.1ヶ月、使用していない患者は68.3ヶ月だった。
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(文献より引用:IPFの治療)
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(文献より引用:Kaplan-Meier曲線)

結論:
 ヨーロッパのIPF患者のベースライン特性、診断、マネジメントの変化、アウトカムについて報告した。



by otowelt | 2018-08-27 00:37 | びまん性肺疾患

WRAP-IPF試験:GER合併IPFに対する腹腔鏡下逆流防止術

e0156318_7331272.jpg 今年のATSで発表されたのでご存知の方も多いと思いますが、後ろ向き研究だった知見を前向きに再検討したものです。結果はポジティブとは言えませんが、もっと大規模にやりましょうという結論になっています。

Ganesh Raghu, et al.
Laparoscopic anti-reflux surgery for the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis (WRAP-IPF): a multicentre, randomised, controlled phase 2 trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30301-1


背景:
 胃食道逆流(GER)は、IPFの進行にかかわると考えられている。我々は、腹腔鏡によるGERに対する手術(腹腔鏡下逆流防止術)がIPF進行を抑制するかどうか調べた。

方法:
 このWRAP-IPF試験は、IPFでGERがみられる患者をアメリカ6施設から集めたランダム化比較試験である。われわれは、努力性肺活量が保たれているIPFで24時間pHモニタリングでDeMeesterスコア14.7点以上のGER患者を登録した。%努力性肺活量が50%以下の患者、1秒率65%以下の患者、過去12週間に急性呼吸器系疾患の既往がある患者、BMI35以上の患者、既知の重症肺高血圧症の患者は除外した。ニンテダニブやピルフェニドンの併用は許可した。プライマリエンドポイントは、ITT集団におけるランダム化から48週までの努力性肺活量の変化とした。

結果:
 2014年6月1日から2016年9月30日までに、72人の患者がスクリーニングされた。そのうち58人が外科手術群(29人)、非外科手術群(29人)にランダムに割り付けられた。外科手術群の27人、非外科手術群の20人が48週時に努力性肺活量の測定を受けた。抗線維化薬の使用で補正したITT解析において、48週までの努力性肺活量の変化は外科手術群-0.05L(95%信頼区間-0.15~0.05)、非外科手術群-0.13L(95%信頼区間-0.23~-0.02)だった(p=0.28)。IPF急性増悪、呼吸器疾患による入院、死亡は外科手術群のほうが多かったが統計学的な有意差にはいたらなかった。嚥下障害(28人中8人)、腹部膨満感(28人中4人)が外科手術後の合併症としてみられた。観察期間中、外科手術群で1人、非外科手術群で4人の死亡がみられた。
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(文献より引用:努力性肺活量の変化)

結論:
 IPFでGERがみられる患者の腹腔鏡下逆流防止術は安全で忍容性がある。大規模なランダム化比較試験が望まれる。




by otowelt | 2018-08-23 00:16 | びまん性肺疾患

CHESTガイドライン:間質性肺炎による咳嗽治療

e0156318_11335545.jpg わかりにくいですが、unexplained coughのことも、難治性咳嗽と翻訳しています。「説明できない咳嗽」という訳があまり好きになれず・・・。また、opiateはここではオピオイドと訳しています。

Surinder S. Birring, et al.
Treatment of Interstitial Lung Disease associated cough: CHEST guideline and expert panel report
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2018.06.038


背景:
 間質性肺疾患(ILD)における慢性咳嗽は、QOLに大きな影響を与える。ILDによる咳嗽に対する効果的な治療アプローチが望まれている。

疑問:
 ILDにおける咳嗽に対して臨床的に効果的な治療のエビデンスは存在するか?:18歳を超える8週間超の慢性咳嗽患者の研究が組み入れられ、質が評価された。システマティックレビューに基づいて、CHESTガイドライン推奨をおこなった。

結果:
 IPF患者、サルコイドーシス患者、強皮症関連ILD患者の8研究と2ケースシリーズ(患者10人超)が対象となった。研究の質は、8研究すべてにおいて高かった。サルコイドーシス患者に対する吸入ステロイド薬は支持されなかった。シクロホスファミドとミコフェノール酸についても強皮症関連ILDの咳嗽治療には支持されなかった。IPFに対するサリドマイドは、CHESTパネルの投票で推奨に到達しなかった。ILDにおける難治性咳嗽の治療オプションが不足しており、ガバペンチンや言語病療法的マネジメントなどの選択を提示している難治性咳嗽(unexplained cough)ガイドラインを推奨されたい。オピオイドは難治性咳嗽に対する患者に代替治療として支持されてもよいだろう。

結論:
 ILDの慢性咳嗽マネジメントについてはエビデンスが限られている。

推奨サマリー:
1.ILDで咳嗽に悩まされている患者に対して、基礎にあるILDが進行していないか、あるいは免疫抑制治療が悪影響(副作用、肺障害など)を及ぼしていないかを評価し、さらなる検索ならびに急性・亜急性・慢性咳嗽のガイドラインに基づいて治療をこころみるべきである。

2.IPF患者に対して、慢性咳嗽があり胃食道逆流が否定的ならば、プロトンポンプ阻害剤を使うべきでないと支持する。

3.肺サルコイドーシスの患者に対して、慢性咳嗽に対して吸入ステロイド薬をルーチンに処方すべきでないと支持する。

4.難治性咳嗽のILD患者に対して、CHEST難治性咳嗽(unexplained cough)ガイドライン基づく治療であるガバペンチンや言語療法、臨床試験への登録を推奨する。

5.ILDによる慢性咳嗽の患者に対して、代替治療が失敗し咳嗽がQOLに悪影響を与えるとき、症状コントロールのために緩和ケアとしてオピオイドを用い、1週間目に再評価をおこない、処方を継続する前に1ヶ月ごとにも再評価すべきである。









by otowelt | 2018-08-07 00:46 | びまん性肺疾患

IPF患者の結節に対するFDG-PET/CT検査は悪性の診断に有用

e0156318_7331272.jpg 日本では基本的に癌の診断がついてからPETを行うべきとされていますが、実際は・・・ゴニョゴニョ。

Lee SH, et al.
Is 18F-FDG PET/CT useful for the differential diagnosis of solitary pulmonary nodules in patients with idiopathic pulmonary fibrosis?
Ann Nucl Med. 2018 Jul 4. doi: 10.1007/s12149-018-1273-9.


目的:
 IPFは、肺癌の合併頻度の上昇と関連しているが、IPF患者はしばしば肺機能が低下しており、気胸合併の懸念から侵襲的検査が受けにくいという現状がある。そのため、肺内の結節に対してFDG-PETなどの非侵襲的な検査が有用かもしれない。しかしながら、IPFにおけるFDG-PETの有用性のデータは不足している。われわれは、FDG-PETがIPF患者の肺内の結節に対して鑑別診断に有用かどうか検証した。

方法:
 われわれの病院のIPFコホートから、8-30mmの結節(平均18.5±5.7mm)を有しFDG-PETを受けた患者を後ろ向きに55人(男性54人、女性1人、平均年齢67.8±7.6歳)登録した。病理学的にその後診断を受けたのは52人で、経過のみで診断されたのは3人である。

結果:
 最終診断で、41人(75%)の結節が悪性だった(21人が扁平上皮癌、9人が腺癌、5人が小細胞癌、4人が混合型、1人がLCNEC、1人が肉腫)。残りの14人(25%)は良性だった。PET/CTによる悪性診断は、感度98%、特異度86%、陽性的中率95%、陰性的中率92%だった。SUVmaxのカットオフ値を2.0に設定すると、感度95%、特異度93%、陽性的中率98%、陰性的中率87%だった。

結論:
 FDG-PET/CT検査は、IPF患者においても結節が悪性か否かを判断する検査として有用である。




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by otowelt | 2018-08-06 00:40 | びまん性肺疾患

日本のPPFE52人の臨床的検討

e0156318_10545513.png まとまった報告は珍しいですね。 

Ishii H, et al.
Pleuroparenchymal fibroelastosis diagnosed by multidisciplinary discussions in Japan
Respiratory Medicine, DOI: https://doi.org/10.1016/j.rmed.2018.06.022


背景:
 特発性間質性肺炎のうち、Pleuroparenchymal fibroelastosis (PPFE) はまれなサブセットである。PPFEに関する大規模な臨床研究は存在しない。この研究の目的は日本におけるPPFEの臨床的および生理学的特徴を同定することである。

方法:
 これは日本で行われた後ろ向きの多施設共同研究である。MDDにおいてPPFEと診断され52人を登録した。

結果:
 第6胸椎レベルでの胸郭の前後と横の比で定義されたFlat chest indexは、BMI(r = 0.340, p = 0.013)、%予測努力性肺活量(FVC)r = 0.355, p = 0.012)と有意に相関していた。また、残気量/全肺気量(RV/TLC)と逆相関していた(r = −0.312, p = 0.042)。RV/TLCはBMI(r = −0.746, p < 0.0001)および%予測FVC(r = −0.507, p = 0.0005)と逆相関し、年齢、GAPスコアを正の相関をしていた(r = 0.332, p = 0.030)。生存期間中央値は96ヶ月で、5年次での生存率は58%だった。KL-6が600U/mLを超える症例のほうが生存期間が有意に短かった(p < 0.001)。

結論:
 PPFEにおける低BMI、FVC減少、RV/TLC上昇は、胸郭扁平の進行と関連し、吸気を阻害して拡張機能障害に陥る可能性がある。KL-6高値は、PPFEの予後を不良にする。





by otowelt | 2018-07-31 00:13 | びまん性肺疾患

肺移植時におけるピルフェニドンによる創傷治癒遅延について

e0156318_10514140.png オフェブよりは安全性は高い印象です。

Mortensen A, et al.
Effect of pirfenidone on wound healing in lung transplant patients.
Multidiscip Respir Med. 2018 Jun 14;13:16.


背景:
 ピルフェニドンはIPFの進行を遅らせ死亡率を下げることがわかっている。TGF-βを阻害することで創傷治癒に影響を与える可能性がある。われわれは、肺移植までにピルフェニドンを内服することで、移植後の創傷治癒遅延のリスクを増加させるかどうか検証した。

方法:
 われわれは後ろ向きに肺線維症に対して肺移植をおこなわれた患者を登録した(2014年1月~2015年12月)。

結果:
 ピルフェニドンを移植前1ヶ月まで内服した18人を登録した。外科的な問題による胸骨離解があった1人を除いて、すべての患者で気道の離解はみられなかった。どの患者も少なくとも30日のピルフェニドンを内服しており、9人は90日以上内服していた。

結論:
 肺移植前までピルフェニドンを継続しても安全性に問題はない。






by otowelt | 2018-07-27 00:57 | びまん性肺疾患

IPF治療ガイドライン2018

e0156318_10505999.png 日本ではすでにガイドラインとして刊行されていますが、対外的な論文としてはこちらが正式なものになります。印象として、吸入NACを少し過剰評価しているように感じられます。もちろん有効であることが真実かもしれませんが、厳格な研究のみを抽出すべきではないでしょうか。

Honma S, et al.
Japanese guideline for the treatment of idiopathic pulmonary fibrosis
Respiratory Investigation, DOI: https://doi.org/10.1016/j.resinv.2018.03.003


クリニカルクエスチョン
1. IPF患者はステロイド単独治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者に対してステロイド単独治療をおこなわないよう強く推奨する。


2. IPF患者はステロイドと免疫抑制剤の併用治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者に対してステロイドと免疫抑制剤の併用治療をおこなわないよう強く推奨する。


 欧米でのエビデンスや、日本で行われた低用量ステロイドとシクロスポリンAの併用療法が無効であったという報告(Respir Investig 2015;53:288–95.)に基づいての推奨です。


3. IPF患者は吸入N-アセチルシステイン単独療法を受けるべきか?
 慢性期にあるほとんどのIPF患者に対して吸入N-アセチルシステイン単独療法をおこなわないことを支持するが、少数の患者では妥当な治療オプションかもしれない。


 NACは「推奨しない」とはなりませんでしたが、これに関しては日本独自の見解のように思います。当ガイドラインでは小規模な臨床試験しか紹介されていません。


4. IPF患者はピルフェニドン治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者はピルフェニドン治療を受けることを支持する。


5. IPF患者はニンテダニブ治療を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者はニンテダニブ治療を受けることを支持する。


6. IPF患者はピルフェニドンと吸入N-アセチルシステインの併用療法を受けるべきか?
 慢性期にあるほとんどのIPF患者に対してピルフェニドンと吸入N-アセチルシステインの併用療法をおこなわないことを支持するが、少数の患者では妥当な治療オプションかもしれない。 


 これについても単施設後ろ向き研究が根拠となっており、日本独自の見解のようにも見えます。


7. IPF患者はピルフェニドンとニンテダニブの併用療法を受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者に対するピルフェニドンとニンテダニブの併用療法は、現時点では推奨の判定を差し控える。


 まだ妥当なエビデンスはありません。忍容性についての検討(Am J Respir Crit Care Med. 2018 Feb 1;197(3):356-363.)は済んでいますので、前向き臨床試験の結果が待たれます。


8. 低酸素血症を有するIPF患者は酸素療法を受けるべきか?
 慢性期にある低酸素血症を有するIPF患者は酸素療法を受けることを推奨する。



9. IPF患者は呼吸リハビリテーションを受けるべきか?
 慢性期にあるIPF患者は呼吸リハビリテーションを受けることを支持する。



10. IPF急性増悪の患者はパルス療法を含むステロイド治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は、パルス療法を含むステロイド治療を受けるべきであることを支持する。


 ご存知の通り、これには妥当な臨床試験はないのが現状です。


11. IPF急性増悪の患者は免疫抑制剤治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は免疫抑制剤治療を受けるべきであることを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。


 有効とする後ろ向き研究(Intern Med 2011;50:189–95.、Eur Respir J 2011;38:1487–9.)がいくつかある程度で、有効なエビデンスはないと考えてよいでしょう。


12. IPF急性増悪の患者は好中球エラスターゼ治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は好中球エラスターゼ治療を受けるべきでないことを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。



13. IPF急性増悪の患者はPMX治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者はPMX治療を受けるべきでないことを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。



14. IPF急性増悪の患者は遺伝子組換えトロンボモジュリン治療を受けるべきか?
 IPF急性増悪の患者は遺伝子組換えトロンボモジュリン治療を受けるべきでないことを支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。



15. IPFおよび他の間質性肺炎に合併した肺癌に対して外科的治療は推奨されるか?
 IPFあるいは他の間質性肺炎に合併した肺癌に対する外科的治療を支持する。



16. IPFおよび他の間質性肺炎に合併した肺癌の術後急性増悪に対する予防投薬は推奨されるか?
 IPFあるいは他の間質性肺炎に合併した肺癌の術後急性増悪に対する予防投薬をおこなわないことを推奨する(抗線維化薬を除く)。


 ピルフェニドンについては術後の急性増悪を予防できる可能性がありますが(Ann Thorac Surg. 2016 ;102(6):1905-1910.)、やはりこれもエビデンス不足です。


17. IPFおよび他の間質性肺炎に合併した肺癌に対して化学療法をおこなうことは推奨されるか?
 IPFあるいは他の間質性肺炎に合併した肺癌に対して化学療法をおこなうべきであると支持するが、この治療は少数の患者において妥当な治療オプションかもしれない。






by otowelt | 2018-07-25 00:57 | びまん性肺疾患

血清CCL18はIPFの疾患進行を予測する強力なバイオマーカー

e0156318_1543237.jpg 有名臨床試験の事後解析です。

Margaret Neighbors, et al.
Prognostic and predictive biomarkers for patients with idiopathic pulmonary fibrosis treated with pirfenidone: post-hoc assessment of the CAPACITY and ASCEND trials
Lancet Respiratory Medicine, DOI: https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30185-1


背景:
 IPFの進行は個々にばらつきがある。過去の研究では、いくつかのタンパクバイオマーカーの末梢血濃度が予後予測因子となりうることが示されているが、複製コホート間で直接比較されたことはない。

方法:
 われわれはCAPACITY 004および006試験、ASCEND試験において、血清CCL13、CCL17, CCL18, CXCL13, CXCL14, COMP、インターロイキン13、MMP3、MMP7、オステオポンチン、ペリオスチン、YKL40のデータを集積し事後報告をこころみた。登録患者は40~80歳のIPF患者で、ベースラインのバイオマーカー未測定例は除外された。バイオマーカーが臨床アウトカムの予後予測と一致するかどうかをみるために、ベースラインのバイオマーカー濃度と努力性肺活量(%予測値)の絶対変化に相関性があるかどうかを検証した。

結果:
 いくつかのベースラインバイオマーカー(CCL13, CCL18, COMP, CXCL13, CXCL14, ペリオスチン, YKL40)はプラセボ群において疾患進行を予測できたが、CCL18のみが努力性肺活量(%予測値)の絶対変化に相関性がある予後予測バイオマーカーだった。ベースラインバイオマーカー濃度にかかわらず、ピルフェニドン治療は利益をもたらした。

結論:
 血清CCL18は、IPFコホートにおいて最も疾患進行を予測するバイオマーカーである。前向き研究においてこの妥当性を検証する必要があろう。





by otowelt | 2018-07-20 00:17 | びまん性肺疾患