カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 478 )

KL-6と放射線性肺臓炎の関連性

e0156318_10202562.jpg KL-6が高いOPは予後がよくないことが知られてます(気管支学 36(4), 348-352, 2014)。

猪又峰ら
KL-6値と放射線性肺臓炎発症の危険性との関係に関する解析
肺癌 58 (1):19─23,2018


背景:
 局所進行肺癌に対する放射線治療の合併症として放射線性肺臓炎が挙がる.我々はKL-6値と放射線性肺臓炎発症割合との関係を解析することを目的として後ろ向き観察研究を行った.

方法:
 2004年から2015年の間に定位照射を除く胸部放射線治療を受けた肺癌症例を対象とした.X線ならびにCT所見から既存の線維化病変を評価し,血清KL-6値500 U/mlをカットオフ値とし2群に分類した.

結果:
 69例を解析した.単変量解析において線維化を伴わない症例ではKL-6上昇群と非上昇群との間で放射線性肺臓炎発症割合に差は認められなかったが,線維化を伴う症例ではKL-6上昇群において放射線性肺臓炎の発症割合が高い結果が得られた(P = 0.029,Fisherの正確検定).線維化の有無,V20,KL-6を独立変数とした多変量解析では,KL-6の100 U/ml上昇による放射線性肺臓炎発症に対するオッズ比(95%信頼区間)は1.0(0.7~1.2)であった.

結語:
 肺の線維化を有する症例においてKL-6が放射線性肺臓炎発症に関係している可能性が示唆された.





by otowelt | 2018-05-11 00:06 | 肺癌・その他腫瘍

KEYNOTE-189試験:ペメトレキセド+プラチナ+ペムブロリズマブは化学療法単独よりOS・PFSを延長

e0156318_8124310.jpg 肺癌のマイルストーンとなるべき研究ですね。

Leena Gandhi, et al.
Pembrolizumab plus Chemotherapy in Metastatic Non–Small-Cell Lung Cancer
NEJM DOI: 10.1056/NEJMoa1801005


背景:
 本研究(KEYNOTE-189)は、転移性の非扁平上皮非小細胞肺癌(NSCLC)で、EGFR遺伝子変異あるいはALK遺伝子転座が陰性で、未治療のPS0-1の患者を対象に行われたものである。PD-L1の発現状況を評価したものの、値にかかわらず登録可能とした。

方法:
 日本を含む16ヶ国118施設で登録されたNSCLC患者616人を、化学療法+ペムブロリズマブ群(410人)と化学療法+プラセボ群(206人)に2:1でランダムに割り付けた。プライマリアウトカムを全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)とした。化学療法レジメンは、ペメトレキセド+プラチナ製剤とした。ペムブロリズマブ併用群では、ペムブロリズマブ200mg+ペメトレキセド500mg/m2(ビタミン併用)+シスプラチン75mg/m2あるいはカルボプラチン(AUC5)を3週間ごとに4回投与後、ペムブロリズマブ200mg+ペメトレキセド500mg/m2を3週ごとに投与し、病勢進行(PD)が観察されるまで継続した。プラセボ群でPDとなった場合、ペムブロリズマブ単剤投与へのクロスオーバーが認められた。

結果:
 患者背景は、ペムブロリズマブ併用群で男性がやや多かった(62.0% vs. 52.9%、P=0.04)以外は同様。ペムブロリズマブ併用群、プラセボ群でそれぞれ年齢中央値は65.0歳(34.0-84.0歳)、63.5歳(34.0-84.0歳)だった。喫煙歴のあるものはそれぞれ88.3%、87.9%だった。PD-L1の発現レベルは、1%以上は63.4%、62.1%、50%以上は32.2%、34.0%だった。プラチナ製剤については72.2%がカルボプラチンを選択されていた。
 2017年11月8日のデータカットオフ時点で、治療継続中の患者はペムブロリズマブ併用群が33.8%、プラセボ群が17.8%だった。プラセボ群でのペムブロリズマブ単剤投与へのクロスオーバー率は32.5%だった。
 10.5ヶ月(中央値)の追跡の結果、12ヶ月時点の全生存率はプラセボ群49.4%(95%信頼区間42.1-56.2%)、ペムブロリズマブ併用群69.2%(95%信頼区間64.1-73.8%)だった。OS中央値は、プラセボ群11.3ヶ月(95%信頼区間8.7-15.1ヶ月)、ペムブロリズマブ併用群は未到達。死亡リスクは51%と有意な減少がみられた(死亡ハザード比0.49、95%信頼区間0.38-0.64、P<0.001)。ペムブロリズマブ併用群の優越性は、PD-L1の発現率にかかわらず認められた。
 PFS中央値はプラセボ群4.9ヶ月(95%信頼区間4.7-5.5ヶ月)、ペムブロリズマブ併用群8.8ヶ月(95%信頼区間7.6-9.2ヶ月)と約2倍の延長が観察された(ハザード比0.52、95%信頼区間0.43-0.64、P<0.001)。
 グレード3以上の有害事象は、ペムブロリズマブ併用群で67.2%、プラセボ群で65.8%だった。有害事象による中止はそれぞれ13.8%、7.9%だった。最も多くみられたものは悪心、貧血、疲労など。免疫関連の有害事象はペムブロリズマブ併用群の22.7%で観察され、そのうちグレード3以上は8.9%、死亡は3人で全例が間質性肺炎によるものだった。

結論:
 未治療の転移性非扁平上皮NSCLCでEGFRまたはALK陰性の患者では、ペメトレキセド+プラチナ製剤による標準化学療法にペムブロリズマブを併用することで、化学療法単独に比べてOS、PFSの有意な延長が示された。


by otowelt | 2018-04-21 00:15 | 肺癌・その他腫瘍

ATLANTIC試験:サードライン以降におけるデュルバルマブの有効性

e0156318_8124310.jpg このラインでの免疫チェックポイント阻害剤研究をよくぞ立案されたなと思います。

Garassino MC, et al.
Durvalumab as third-line or later treatment for advanced non-small-cell lung cancer (ATLANTIC): an open-label, single-arm, phase 2 study.
Lancet Oncol. 2018 Mar 12. pii: S1470-2045(18)30144-X. doi: 10.1016/S1470-2045(18)30144-X. [Epub ahead of print]


背景:
 免疫チェックポイント阻害薬はEGFRやALKの遺伝子変異がみられない進行非小細胞肺癌(NSCLC)の新しい標準治療であるが、EGFRやALKに変異が診られる場合の臨床的効果は明らかでない。EGFR/ALK変異の状態や腫瘍PD-L1発現によって定義されたNSCLCの3コホートからデュルバルマブ(抗PD-L1抗体)の効果を評価した。

方法:
 ATLANTIC試験は第2相オープンラベルシングルアーム試験で、アジア、ヨーロッパ、北アメリカの139施設で行われた。適格患者は、少なくとも過去にプラチナ併用化学療法(あるいは適応があればTKI)を含む2レジメンで病勢進行となったNSCLC患者で、18歳以上のPS0-1でRECIST判定ができるものを対象とした。混合型小細胞癌例、過去に抗PD-1抗体・PD-L1抗体で治療された場合、過去に免疫治療薬によるグレード3以上の有害事象があったものは除外された。
 コホート1の患者群は腫瘍細胞PD-L1発現が少なくとも25%あるいは25%未満でEGFR遺伝子変異陽性あるいはALK遺伝子転座陽性のNSCLCとした。コホート2,3の患者群はいずれもEGFR遺伝子変異陰性あるいはALK遺伝子転座陰性のNSCLCで、コホート2はPD-L1発現が少なくとも25%あるいは25%未満の患者を含み、コホート3にはPD-L1発現が少なくとも90%の患者が含まれた。2週ごとにデュルバルマブ10m g/kgが12ヶ月まで投与された。12ヶ月完遂後の病勢増悪でも臨床的利益がありそうな患者群は再投与が許可された。
 プライマリエンドポイントは、PD-L1の発現のある(コホート1,2では25%以上、コホート3では90%以上)患者群での奏効割合とした。安全性は少なくともデュルバルマブが1回投与された患者で評価された。

結果:
 2014年2月から2015年12月まで444人の患者が登録されデュルバルマブが投与された。111人がコホート1、265人がコホート2、68人がコホート3に登録された。PD-L1発現が少なくとも25%以上ある患者群で、奏効率はコホート1で74人中9人(12.2%、95%信頼区間5.7-21.8)、コホート2で146人中24人(16.4%、95%信頼区間10.8-23.5)、コホート3では68人中21人(30.9%、95%信頼区間20.2-43.3)だった。グレード3/4の治療関連有害事象は全444人中40人(9%)にみられ、コホート1で5%、コホート2で8 %、コホート3で18%だった。最も頻度の高いグレード3/4の治療関連有害事象は肺臓炎(4人:1%)、γGTP上昇(4人)、下痢(3人)など。最も頻度の高い重大な有害事象は肺臓炎(5人:1%)、倦怠感(3人)、infusion reaction(3人)など。標準治療ガイドラインにより免疫関連有害事象は管理可能だった。

結論:
 進行NSCLCで複数の治療歴のある患者群において、デュルバルマブの臨床的効果や安全性プロファイルは他の抗PD-1/PD-L1抗体と同等だった。本研究の全コホートにおいて奏効が観察され、EGFR/ALK陰性(コホート2,3)のNSCLCの奏効率がEGFR/ALK陽性(コホート1)のNSCLCよりも高かった。腫瘍細胞のPD-L1発現が25%以上みられるEGFR陽性NSCLCに対してデュルバルマブの臨床的効果が期待されるが、EGFRならびにALK陽性非NSCLCでのデュルバルマブの更なる研究が望まれる。


by otowelt | 2018-03-30 00:53 | 肺癌・その他腫瘍

メタアナリシス:ED-SCLCに対するPCI

e0156318_8124310.jpg 日本の肺癌診療ガイドラインでは、ED-SCLCに対するPCIの意義は乏しいと結論づけられています。

Maeng CH, et al.
The Role of Prophylactic Cranial Irradiation in Patients with Extensive Stage Small Cell Lung Cancer: A Systematic Review and Meta-Analysis.
J Thorac Oncol. 2018 Mar 8. pii: S1556-0864(18)30180-1. doi: 10.1016/j.jtho.2018.02.024. [Epub ahead of print]


背景:
 進展型小細胞肺癌(ED-SCLC)に対する予防的全脳照射(PCI)の役割は、まだ議論の余地がある。この研究の目的はED-SCLC患者におけるPCIの影響を調べることである。

方法:
 システマティックレビューおよびメタアナリシスをおこなった。電子データベースから研究を抽出し、全生存期間(OS)をプライマリアウトカムとした。

結果:
 984人の患者が登録され、448人がPCI群、536人が非PCI群だった。PCIはOSを改善しなかった(ハザード比0.82; 95%信頼区間0.60 to 1.11; I2 = 77%; p = 0.19)。しかしながら、PCIによって1年生存率は上昇した(37.1% vs. 27.1%; リスク比0.87; 95%信頼区間0.80 to 0.95; I2 = 47%; p = 0.002)。また無増悪生存期間(PFS)もPCI群のほうが良好であった(ハザード比0.83、95%信頼区間0.80-0.98、I2 = 22%; p=0.03)。

結論:
 ED-SCLCにおけるPCIは1年生存およびPFSの観点からは有用と言える。しかし、OSのアドバンテージは有意ではない。


by otowelt | 2018-03-27 00:29 | 肺癌・その他腫瘍

ジオトリフ®投与患者におけるミノサイクリンの有効性

e0156318_1164629.jpg ジオトリフ®ではあまり検討されていませんでしたから、貴重な報告ですね。

Goto A, et al
Clinical impact of minocycline on afatinib-related rash in patients with non-small cell lung cancer harboring epidermal growth factor receptor mutations
Respiratory Investigation, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.resinv.2017.11.009


背景:
 アファチニブ治療において皮膚障害のマネジメントが重要であるが、テトラサイクリン系抗菌薬の役割はよく分かっていない。

方法:
 われわれは、EGFR遺伝子陽性非小細胞肺癌の治療にアファチニブが用いられた患者の診療録を後ろ向きに調べた(2014年10月~2016年11月)。アファチニブ関連皮膚障害のマネジメントにテトラサイクリン系抗菌薬が用いられた25人が登録された。

結果:
 登録患者にはミノサイクリンが経口投与された。アファチニブ関連障害である皮疹、下痢、爪周囲炎はそれぞれ92%、92%、40%にみられた。下痢の24%、爪周囲炎の4%の患者はグレード3以上であったが、重篤な症例は観察されなかった。アファチニブ減量を余儀なくされた18人のうち、14人(78%)が下痢、3人(17%)が爪周囲炎、1人(6%)が胃炎に起因するものだった。皮疹で減量を強いられた患者はいなかった。ミノサイクリン治療を開始したとき、21人(84%)がグレード1以下、3人がグレード2以上の皮疹だった。アファチニブの効果は18人(72%)にみられ、投与期間中央値は501日だった。ミノサイクリンによる副作用はグレード1の悪心が1人にみられたのみだった。

結論:
 大部分が、グレード2の皮疹到達前にミノサイクリンを開始した患者だった。アファチニブ関連皮膚障害の重症度は過去の報告よりも低かった。経口テトラサイクリン系抗菌薬はとりわけ早期に開始すると医学的利益が大きい。


by otowelt | 2018-01-10 00:10 | 肺癌・その他腫瘍

タグリッソ®の新適応症早期承認要望書提出

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 昨日付けで、日本肺癌学会が厚生労働大臣宛に「EGFR変異陽性の手術不能又は再発非小細胞肺癌に対するタグリッソ®の新適応症の早期承認」の要望書を提出したそうです。
 ファーストラインでタグリッソ®が使われるとなると、T790Mの測定の位置付けはどうなるのでしょうね。


by otowelt | 2017-12-29 00:26 | 肺癌・その他腫瘍

肺癌手術前に発見される同時性重複癌

e0156318_11464016.jpg 重複癌は当院でもしばしば経験します。

野島 雄史ら.
原発性肺癌に対するFDG-PET/CTにて発見された同時性重複癌の検討
日本呼吸器外科学会雑誌 Vol. 31 (2017) No. 7 p. 836-841


方法:
 2007年1月から2014年12月までに当院で切除を行った非小細胞肺癌症例426例のうち,術前にFDG-PET/CT検査で原発巣・肺門縦隔リンパ節以外にFDG集積を認めた57症例を検討した.

結果:
 12例(2.8%)が同時性重複癌と診断され,重複癌の発生部位は甲状腺癌4例(I期:2例,III期:1例,IV期:1例).食道癌1例(III期),胃癌1例(I期),肝細胞癌1例(III期),腎細胞癌1例(I期),大腸癌1例(II期),前立腺癌1例(III期),乳癌2例(I期:1例,II期:1例)であった.

結論:
 術前のFDG-PET/CTは手術適応のための病期診断に有用なだけでなく,同時性重複癌を発見しうる頻度が約3%あることを念頭に,転移好発部位以外に異常集積を認める場合は精査を行う必要があると思われる.


by otowelt | 2017-11-28 00:43 | 肺癌・その他腫瘍

FLAURA試験:EGFR遺伝子変異陽性NSCLCの一次治療におけるオシメルチニブ

e0156318_1164629.jpg 内容はすでに知られていますが、肺癌の歴史が変わる臨床試験ですね。

Jean-Charles Soria, et al.
Osimertinib in Untreated EGFR-Mutated Advanced Non–Small-Cell Lung Cancer
NEJM November 18, 2017DOI: 10.1056/NEJMoa1713137


概要:
 2014年12月から2016年3月の間に29ヶ国132施設で実施されたFLAURA試験は、治療歴のないEGFR変異陽性NSCLCの初治療としてオシメルチニブと標準EGFR-TKI治療を比較したものである。556人のうち、オシメルチニブ群は279人、標準治療群(エルロチニブまたはゲフィチニブ)は277人だった。
 EGFR変異はexon19欠失がオシメルチニブ群、標準治療群でそれぞれ57%、56%、L858R変異が35%、32%だった。両群ともに患者背景に差はみられず、年齢中央値は両群64歳、男性患者の割合はそれぞれ36%、38%、白人患者の割合はともに36%、アジア人患者の割合はともに62%だった。
 PFS中央値はオシメルチニブ群で有意に延長した(18.9ヶ月 vs 10.2ヶ月)。増悪・死亡リスクは54%低下した(p<0.001、ハザード比0.46)。年齢、性別、人種、EGFR変異のタイプなどの患者背景別のサブ解析でもオシメルチニブ群の増悪・死亡リスクは標準治療群より低下した(リスク低下率42%~66%)。客観的奏効率に有意差はなかったが、奏効の持続期間中央値はオシメルチニブ群で2倍延長した(17.2ヶ月 vs 8.5ヶ月)。OSは中央値特定にはいたっていない。


●ケアネット記事:日本の肺がん患者さんを一人でも多く助けたい【肺がんインタビュー】
「OSデータの取得はイベントの蓄積状況によりますので、今のところ時期は定かではありませんが、2019年中に発表できることを期待しています。FLAURAは1次治療の試験ですので、PD後の治療がOSデータに大きなインパクトを与えます。後治療への適格患者さんは非常に多くおり、幸いにもオシメルチニブ群の患者さんは長期生存する方が多くみられます。一方で、この有効性がOS到達するまでの期間を長くしています。」(アストラゼネカ・グローバル医薬品開発担当エグゼクティブバイスプレジデント兼チーフメディカルオフィサー Sean Bohen氏)
http://www.carenet.com/series/lcspecial/cg001988_09.html


by otowelt | 2017-11-25 00:17 | 肺癌・その他腫瘍

CheckMate017試験・057試験:ニボルマブとドセタキセルの長期比較

e0156318_8501268.jpg ドセタキセルは長期には投与できませんからね。

Horn L, et al.
Nivolumab Versus Docetaxel in Previously Treated Patients With Advanced Non-Small-Cell Lung Cancer: Two-Year Outcomes From Two Randomized, Open-Label, Phase III Trials (CheckMate 017 and CheckMate 057).
J Clin Oncol. 2017 Oct 12:JCO2017743062. doi: 10.1200/JCO.2017.74.3062.


目的:
 PD-1阻害剤であるニボルマブは治療歴のある非小細胞肺癌(NSCLC)における独立した2つの第3相試験(CheckMate 017; ClinicalTrials.gov identifier: NCT01642004、CheckMate 057; ClinicalTrials.gov identifier: NCT01673867)でドセタキセルと比較して全生存期間を延長させた。その後の追跡結果を今回報告し、2研究のプール解析をおこなった。

方法:
 プラチナ併用化学療法中または治療後に病勢進行した病期IIIB/IVの扁平上皮NSCLC患者(272人)または非扁平上皮NSCLC患者(582人)を1:1でランダムにニボルマブ(3 mg/kg 2週ごと)とドセタキセル(75 mg/m2 3週ごと)に割り当てた。生存観察のための最小観察期間は24.2ヶ月。

結果:
 2年全生存率は扁平上皮NSCLC患者でニボルマブで23%(95%信頼区間16-30%)、ドセタキセルで8%(95%信頼区間4-13%)、非扁平上皮NSCLC患者でニボルマブで29%(95%信頼区間24-34%)、ドセタキセルで16%(95%信頼区間12-20%)だった。ニボルマブによる死亡リスクの相対的な減少は一次解析で報告されたものと同様。持続的効果が確認された扁平上皮NSCLC患者27人中10人(37%)、非扁平上皮NSCLC患者56人中19人で、少なくとも2年の観察後にも効果が持続していた。ドセタキセルでは持続的効果がみられなかった。プール解析では、ドセタキセルに対するニボルマブの死亡リスクの相対的減少は28%(ハザード比0.72、95%信頼区間0.62-0.84)だった。治療関連有害事象は、ニボルマブの方がドセタキセルよりも少なかった(全グレード:68% vs 88%、グレード3-4:10% vs 55%)。
e0156318_17181341.jpg
(文献より引用)

結論:
 既治療の進行NSCLCにおいて、ニボルマブはドセタキセルと比べ長期の臨床的利益をもたらし、忍容性プロファイルは良好であった。


by otowelt | 2017-11-09 00:06 | 肺癌・その他腫瘍

腺癌から小細胞癌へ形質転換するメカニズムにRB1とTP53がカギに

e0156318_1164629.jpg  私も壮絶な1例を経験しているので、形質転換についてはかなり興味があります。

Lee JK et al.
Clonal History and Genetic Predictors of Transformation Into Small-Cell Carcinomas From Lung Adenocarcinomas.
J Clin Oncol. 2017 Sep 10;35(26):3065-3074.


目的:
 EGFR遺伝子変異陽性の肺腺癌が小細胞肺癌へ形質転換することがあり、EGFR-TKIによる耐性化の主な機序の一つと考えられてきた。しかしながらこの分子病理学的機序についてはよく分かっていない。

方法:
 本研究では、21人のEGFR-TKIに耐性化し小細胞肺癌へと変化したものを登録した。これらから、時期を変えた9腫瘍の全ゲノムシークエンスを行い、クローン進化プロセスを再構成し、小細胞肺癌に到達する遺伝学的な予測因子を同定した。さらに得られた結果を合計210の肺癌組織で確認した。

結果:
 EGFR-TKI耐性の肺腺癌と小細胞肺癌では、共通のクローン原生と進化分岐を有していた。肺腺癌からの小細胞肺癌への先駆細胞のクローン多様性はTKI投与以前より存在し、早期の肺腺癌の時点でRB1とTP53の完全な不活性化を示していた。TKIを投与された75人の早期肺腺癌の組織で免疫染色をおこない、さらなる検討を行った。その結果。Rbとp53の不活性化は、小細胞肺癌に変化した群とそうでない群とでは有意に異なるプロパティだった(82% vs 3%、オッズ比131[19.9-859])。EGFR変異を持つ肺腺癌で、完全にRbとp53が不活性化されていた場合、小細胞肺癌に形質転換するリスクは43倍だった。

結論:
 EGFR-TKI抵抗性小細胞肺癌は肺腺癌のクローンから早期から枝分かれし、RB1とTP53の完全な不活性化を伴っていることがわかった。RB1とTP53の発現を調べることが、肺腺癌の小細胞肺癌への形質転換を予測する情報になるかもしれない。


by otowelt | 2017-10-20 00:06 | 肺癌・その他腫瘍