カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 518 )

肺癌サバイバーは心血管系疾患リスクが高い

e0156318_10535567.png 以前から言われている知見の1つです。これはどの癌腫でも似た報告がありますね。

Yoon DW, et al.
Increased risk of coronary heart disease and stroke in lung cancer survivors: A Korean nationwide study of 20,458 patients.
Lung Cancer. 2019 Aug 24;136:115-121.


目的:
 肺癌治療の進歩により、肺癌サバイバーは増えた。心血管系疾患(CVD)は非癌死亡の主要な原因の1つとされており、CVDマネジメントは癌サバイバーシップケアの重要な点である。しかしながら、肺癌手術を受けた肺癌サバイバーにおける心血管系リスクのデータは不足している。われわれは、肺癌サバイバーと一般非癌集団の間のCVD発症を比較した。

方法:
 韓国国内健康保険サービスデータベースを用いて、2007年~2013年で20458人の肺癌手術を受けた患者を抽出した。アウトカム変数は、冠動脈性心疾患(CHD)、心筋梗塞(MI)、虚血性脳卒中(IS)、死亡とした。アウトカムは2016年まで追跡された。

結果:
 20458人の肺癌手術を受けた患者と、27321人の非癌コントロール患者を比較した。肺癌サバイバーは、すべての心血管系疾患リスク上昇(補正ハザード比1.27, 95%信頼区間1.19-1.36), CHDリスク上昇(補正ハザード比1.26, 95%信頼区間1.16-1.36)、ISリスク上昇(補正ハザード比1.22, 95%信頼区間1.07-1.39)と関連していた。
e0156318_13254634.png
(すべての心血管系疾患リスク:文献より引用)

e0156318_13281159.png
(CHDおよびISリスク:文献より引用)

 化学療法および放射線治療は心血管系イベントリスク上昇、CHDリスク上昇、MIリスク上昇と関連していた。1年間および3年間まで心血管系イベントがなかった肺癌サバイバーのいずれにおいても、非癌集団と比較すると心血管系イベントリスク上昇は高かった。

結論:
 一般非癌集団と比較すると、肺癌サバイバーはCHD、ISリスクが高かった。そのため、肺癌サバイバーにおいて、とりわけ化学療法や放射線治療を受ける場合には、心血管系リスクを注意深く評価する必要がある。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

肺がん化学療法副作用マネジメントプロのコツ [ 倉田宝保 ]
価格:4644円(税込、送料無料) (2019/8/6時点)



■「呼吸器内科医」はm3を応援しています!新規登録で3,000円相当ポイント進呈!
e0156318_8184968.png

by otowelt | 2019-09-15 00:41 | 肺癌・その他腫瘍

胸膜プラークは肺癌のリスクを上昇させない

e0156318_1553490.png トップジャーナルで塵肺の論文が出るとテンションが上がります。滅多にない出来事なので。

Brims FJ, et al.
Pleural Plaques and the Risk of Lung Cancer in Asbestos-exposed Subjects.
Am J Respir Crit Care Med. 2019 Aug 21. doi: 10.1164/rccm.201901-0096OC.


背景:
 石綿への曝露は、その曝露用量に依存して肺癌リスクを上昇させる。肺癌と胸膜プラークとの関連については議論の余地がある。

目的:
 胸膜プラークと肺癌リスクの関連を調べること。

方法:
 被験者は2コホートから集められた。①クロシドライト(青石綿)鉱山、製粉労働者、ウィッテヌーム住民、②混合石綿繊維、混合石綿従事職コホート。全被験者は1990年から毎年胸部レントゲン写真、低線量CT(LDCT)で評価され、国内がんおよび死亡レジストリとリンクされアウトカムを調べた。年齢で補正したCox回帰を用いて、性別、喫煙歴、石綿曝露、石綿肺および胸膜プラークの有無ごとに肺癌のハザード比を推定した。

※ウィッテヌームは石綿生産で有名な町だった。
e0156318_15575864.png

結果:
 4240人の追跡時平均年齢は65.4歳で、3486人(82.0%)が男性だった。1315人(31.0%)が胸膜プラークを有しており、1353人(32.0%)に放射線学的な石綿肺がみられた。3042人(71.7%)が既喫煙者で平均喫煙歴は33pack-yearsだった。
 200人に肺癌が発症した。肺癌のリスクは累積喫煙歴、石綿曝露歴が高いほど、また石綿肺があると高くなった。胸膜プラークは、肺癌のリスクを上昇させなかった(コホート①ハザード比1.03, 95%信頼区間0.64-1.67, p=0.89; コホート②ハザード比0.75, 95%信頼区間0.45-1.25, p=0.28)。

結論:
 胸部画像検査において胸膜プラークがあっても、それがその後の肺癌リスクを上昇させるわけではない。石綿曝露量や強度が異なる2コホートで同様の結論だった。





■「呼吸器内科医」はm3を応援しています!新規登録で3,000円相当ポイント進呈!
e0156318_8184968.png

by otowelt | 2019-09-12 00:24 | 肺癌・その他腫瘍

EGFR遺伝子陽性NSCLCに対するゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド

e0156318_8124310.jpg ASCO2019で報告された内容です。

Noronha V, et al.
Gefitinib Versus Gefitinib Plus Pemetrexed and Carboplatin Chemotherapy in EGFR-Mutated Lung Cancer.
J Clin Oncol. 2019 Aug 14:JCO1901154. doi: 10.1200/JCO.19.01154.


背景:
 EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)における標準的な一次治療は、EGFR-TKIである。ここにカルボプラチン+ペメトレキセドによる化学療法を加えることでアウトカム改善するかもしれない。

方法::
 これは、ECOG PS 0-2でEGFR感受性変異を有する未治療の18歳以上の進行NSCLC患者を対象に行われた第III相試験である。患者はランダムにゲフィチニブ単剤投与群(単剤群、1日1回ゲフィチニブ250mgを連日投与)とゲフィチニブ+化学療法群(併用群、ゲフィチニブ250mgを1日1回連日投与、化学療法は3週おきにペメトレキセド500mg/m2とカルボプラチンAUC 5を4サイクル投与、その後は維持療法として3週おきにペメトレキセド500mg/m2を投与)に1:1の割合で割り付けられた。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)であり、セカンダリエンドポイントとして全生存期間(OS)、奏効率、毒性が設定された。

結果:
 2016年8月から2018年8月までに350人の患者が単剤群(176)と併用群(174人)に割り付けられた。年齢中央値は併用群54歳、単剤群56歳で、男性は併用群51%、単剤群53%だった。喫煙歴については、併用群83%、単剤群85%だった。治療時から脳転移があったのは併用群17%、単剤群19%だった。
 追跡期間中央値は17ヶ月(7-30ヶ月)だった。放射線学的な奏効率は併用群75%、単剤群63%だった(p=0.01)。
e0156318_13472025.png
(waterfall plot:文献より引用)
e0156318_13472775.png
(waterfall plot:文献より引用)

 推定PFS中央値は、併用群のほうが有意に長かった(16ヶ月[95%信頼区間13.5-18.5ヶ月] vs 8ヶ月[95%信頼区間7.0-9.0ヶ月])(ハザード比0.51[95%信頼区間:0.39-0.66])。OS中央値は、併用群のほうが単剤群よりも有意に長かった(未到達 vs 17ヶ月[95%信頼区間0.31-0.65]、p<0.001)。奏効率は併用群が75.3%(95%信頼区間:68.3-81.1)、単剤群が62.5%(95%信頼区間:55.1-69.3)だった。
e0156318_13481642.png
(文献より引用)

 臨床的に確実性のあるグレード3以上の有害事象は、併用群の51%、単剤群の25%にみられた(p<0.001)。

結論:
 EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者に対するゲフィチニブに、カルボプラチン+ペメトレキセドを追加することでPFSとOSは延長するが、毒性が増加する。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

肺がん化学療法副作用マネジメントプロのコツ [ 倉田宝保 ]
価格:4644円(税込、送料無料) (2019/8/6時点)




■「呼吸器内科医」はm3を応援しています!新規登録で3,000円相当ポイント進呈!
e0156318_8184968.png

by otowelt | 2019-09-04 00:39 | 肺癌・その他腫瘍

非小細胞肺癌に対する抗癌剤治療開始30日以内の死亡リスク

e0156318_8124310.jpg 起死回生にかけて、という症例もあろうかとは思いますが。

Gibson AJW, et al.
Factors associated with early mortality in non-small cell lung cancer patients following systemic anti-cancer therapy: A 10 year population-based study.
Lung Cancer. 2019 Aug;134:141-146.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)患者の臨床的因子、背景因子、治療関連因子が、全身性抗癌療法(SACT)を受けた後の30日間の死亡リスクにどのように影響するかを調査し、治療決定の包括的レビューと、リアルワールドでの経験を集積した。

方法:
 2005年から2014年までにSACTを受けたNSCLC患者をレビューし、背景因子、臨床データ、病理学的データ、治療データ、転帰データを含んだGlans-Look Lung Cancer Databaseに記録した。SACT後30日の死亡率が算出され、最後の14日でのレジメン変更があったかどうかみ記録した。単変量および多変量ロジスティック回帰を用いて、背景、腫瘍、治療関連因子が死亡リスクと相関するかどうか調べた。

結果:
 2005年から2014年までに、1044人の患者が1コース以上のSACTを受けた。233人(22.3%)がSACTを受けて30日以内に死亡した。32人(13.7%)は、死亡前に新しいSACTレジメンを受けていた。30日死亡リスクと死亡前のレジメンの変更の関連性は、男性(オッズ比1.48、95%信頼区間1.12-1.95、p=0.005)、診断時進行期癌(オッズ比1.85、95%信頼区間1.99-2.88、p=0.006)、緩和治療(オッズ比6.75、95%信頼区間3.88-11.77、p<0.001)、EGFR-TKI使用(オッズ比率4.5、95%信頼区間3.27-6.18、p<0.001)で高かった。早期死亡リスクが低かったのは、非喫煙者(オッズ比0.62、95%信頼区間0.41-0.95、p=0.028)、より長い年数のSACT(オッズ比0.65、95%信頼区間0.45-0.86、p=0.002)だった。

結論:
 NSCLC患者がSACTを受けた後の早期死亡に関連するいくつかの因子を同定した。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

肺がん化学療法副作用マネジメントプロのコツ [ 倉田宝保 ]
価格:4644円(税込、送料無料) (2019/8/6時点)




■「呼吸器内科医」はm3を応援しています!新規登録で3,000円相当ポイント進呈!
e0156318_8184968.png

by otowelt | 2019-08-27 00:54 | 肺癌・その他腫瘍

KEAP1/NFE2L2/CUL3変異はEGFR-TKI耐性に関与

e0156318_8124310.jpg 耐性メカニズムにはいろいろな報告があります。

Hellyer JA, et al.
Impact of KEAP1/NFE2L2/CUL3 mutations on duration of response to EGFR tyrosine kinase inhibitors in EGFR mutated non-small cell lung cancer.
Lung Cancer. 2019 Aug;134:42-45.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)においてEGFR遺伝子変異のある患者に対する、EGFR-TKIは通常化学療法と比較してアウトカムを改善させる。しかしながら、これら薬剤に対する耐性が懸念されている。近年、KEAP1-NFE2L2経路がEGFR-TKI耐性の獲得に潜在的に関与することが示唆されている。

方法:
 われわれは、転移性NSCLCでEGFRおよびKEAP1/NFE2L2/CUL3に変異のある全患者を調べた。これらの患者は、性別、喫煙状態、年齢、人種に基づいて、EGFR変異がありKEAP1/NFE2L2/CUL3が野生型である対照コホートと比較された。EGFR-TKIによる治療奏効期間(TTF)と全生存期間が解析された。

結果:
 228人のEGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者のうち、17人(7%)がKEAP1/NFE2L2/CUL3変異陽性だった。9人の患者が一次治療でEGFR-TKIを受け、エルロチニブが8人、オシメルチニブが1人だった。その他は二次治療以降でEGFR-TKIを受けた。KEAP1/NFE2L2/CUL3変異群と野生型群におけるもっともよくみられた共通の変異はTP53であった。
 KEAP1/NFE2L2/CUL3変異コホートとコントロールコホートに、年齢、性別、喫煙歴、人種などの差はなかった。
 KEAP1/NFE2L2/CUL3変異のある患者は、EGFR-TKIによるTTFが有意に短かった(4.7ヶ月 vs 13.0ヶ月、p=0.0014)。全生存期間には差はなかった。
e0156318_9353637.png
(文献より引用:TTFおよびOS)

結論:
 EGFR遺伝子変異があるNSCLCにおいて、KEAP1/NFE2L2/CUL3にも変異があると、TTFが有意に短くなることが示された。これらの変異は内因性のTKI治療耐性メカニズムと関連していると考えられる。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

肺がん化学療法副作用マネジメントプロのコツ [ 倉田宝保 ]
価格:4644円(税込、送料無料) (2019/8/6時点)




■「呼吸器内科医」はm3を応援しています!新規登録で3,000円相当ポイント進呈!
e0156318_8184968.png

by otowelt | 2019-08-26 00:02 | 肺癌・その他腫瘍

軽度間質性肺炎を合併した非小細胞肺癌患者に対するニボルマブの有効性と安全性

e0156318_1622135.png 小規模ですが、貴重な報告だと思います。

Fujimoto D, et al.
Nivolumab for advanced non-small cell lung cancer patients with mild idiopathic interstitial pneumonia: A multicenter, open-label single-arm phase II trial
Lung Cancer. 2019 Jun 3. pii: S0169-5002(19)30494-5.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)に対するニボルマブの有効性が示されてきたが、ニボルマブに関連した薬剤性肺障害は比較的多く、致命的になりうる有害事象である。特発性間質性肺炎(IIP)を合併した患者は薬剤性肺障害を合併するリスクが高く、一般的に当該臨床試験の対象からは除外される。さらに加えて、現在にいたるまで、IIPを合併した既治療NSCLCに対する多施設共同前向き臨床試験は実施されていない。このアンメットニーズを解決するべく、軽度IIPを合併したNSCLC患者に対するニボルマブの有効性と安全性を評価するための多施設共同オープンラベルシングルアーム第II相試験を立案した。

対象と方法:
 既治療、手術不能(病期IIIあるいはIV)、軽度IIPを合併したNSCLC患者を対象とした。ECOG PS0-1、20歳以上を対象とした。
 軽度のIIPとは、予測肺活量が80%以上で、胸部HRCTにおいてpossible UIPパターン、もしくはinconsistent with UIPパターンが観察されるものとした。プライマリエンドポイントは6ヶ月無増悪生存(PFS)割合で、セカンダリエンドポイントは当該治療による安全性とした。

結果:
 18人の患者が登録された(男性17人、女性1人、年齢中央値71.5歳)。72%の患者が病期IVだった。予測肺活量中央値は92.2%だった。腺癌が12人(67%)、扁平上皮癌が4人(22%)だった。12人(67%)が二次治療だった。PD-L1発現が50%以上だったのは3人(17%)で、50%未満だったのは9人(50%)だった。
 6ヶ月PFS割合は56%で、奏効割合は39%、病勢コントロール割合は72%だった。2人が完全寛解だった。
e0156318_1674813.png
(PFS:文献より引用)

 治療関連死はなかった。薬剤性のGrade 3/4の非血液有害事象が1件(Grade 3末梢神経障害)があった。2人の患者がGrade 2の薬剤性肺障害を起こしたが、ステロイド治療で改善した。

結論:
 軽度IIPを合併したNSCLC患者においても、ニボルマブは有効な治療となる。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

肺がん化学療法副作用マネジメントプロのコツ [ 倉田宝保 ]
価格:4644円(税込、送料無料) (2019/8/6時点)



by otowelt | 2019-08-07 00:20 | 肺癌・その他腫瘍

オピオイド誘発性便秘の頻度は約5割

e0156318_9251047.png ESMO2018で発表された内容が論文化されました。筆頭著者は当院の緩和ケアチームの所医師です。

Tokoro A, et al.
Incidence of opioid-induced constipation in Japanese patients with cancer pain: A prospective observational cohort study.
Cancer Med. 2019 Jun 24. doi: 10.1002/cam4.2341.


背景:
 これは、日本人の癌患者においてオピオイド誘発性便秘(OIC)をアセスメントした多施設共同前向き観察研究である。

方法:
 適格患者は、安定期癌患者でECOG PS 0-2とした。OCIの発症は、Rome IV診断基準に基づき、オピオイド治療開始14日以内の日記記録によって規定された。OIC患者の頻度は、1週ごと、合計2週間で算出された。セカンダリ評価項目としてBowel Function Index (BFI)スコア、(医師による患者評価)、自発的排便回数/週(SBMs)(患者評価)、および医師診断によるOIC発症割合である。

結果:
 220人の患者が登録された。平均モルヒネ相当量は22mg/日だった。Rome IV基準によると、累積OIC発症割合は56%(95%信頼区間49.2-43.9%)で、1週目で48%(95%信頼区間40.8-54.6%)、2週目で37%(95%信頼区間30.1-43.9%)だった。累積OIC発症割合は、便秘予防薬を投与された患者のほうが低かった(48%[95%信頼区間38.1-57.5%] vs 65%[95%信頼区間55.0-74.2%])。BFIスコアによるOIC発症割合は、59%(95%信頼区間51.9-66.0%)、主治医評価によるOCI発症割合は61%(95%信頼区間54.3-68.1%)、SBMの頻度によるOIC発症割合は45%(95%信頼区間38.0-51.8%)だった。オピオイド開始前の自発的排便/週の頻度は、OIC発症にもっとも影響する因子だった。

結論:
 便秘症に対する予防薬の使用は、OIC発生率の減少に対して中等度効果があった。報告されたOICの発生率は、診断ツールに応じて変動した。



[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

ポケット呼吸器診療(2019) [ 林清二 ]
価格:1944円(税込、送料無料) (2019/5/1時点)



by otowelt | 2019-07-19 00:46 | 肺癌・その他腫瘍

ALK阻害剤による薬剤性肺炎の頻度

e0156318_8124310.jpg 日本人において有意に高いというのはEGFR-TKIも同様の結果ですね。

Suh CH, et al.
The incidence of ALK inhibitor-related pneumonitis in advanced non-small-cell lung cancer patients: A systematic review and meta-analysis.
Lung Cancer. 2019 Jun;132:79-86. doi: 10.1016/j.lungcan.2019.04.015.


背景:
 われわれは、進行非小細胞肺癌(NSCLC)患者におけるALK阻害剤の薬剤性肺炎の頻度を評価し、ALK阻害剤関連肺炎の予測因子を同定するために、異なるコホートと比較した。

方法:
 MEDLINE、EMBASEを用いて2018年1月30日までのデータを収集した。各ALKの名称を検索し、ALK阻害剤単独で治療されたNSCLC患者から構成される20コホート・2261人の患者が登録された。全グレードの肺炎データを集めた。

結果:
 薬剤性肺炎の頻度は全グレードで2.14%(95%信頼区間1.37-3.34)で、高グレードのものは1.33%(95%信頼区間0.80-2.21)だった。グレード5は0.22%(95%信頼区間0.09-0.52)だった。日本での研究のほうが、海外のものに比べて頻度が高かった(全グレード:6.25% vs 1.14%、p<0.001、高グレード3.31% vs 0.39%、p<0.001)。ALK阻害剤のタイプによって補正をおこなった多変量回帰分析においても、日本におけるコホートは薬剤性肺炎のオッズ比を上昇させた(オッズ比4.329、95%信頼区間1.918-9.770, p<0.001)。
e0156318_13424556.png
(文献より引用)

結論:
 進行NSCLCにおける薬剤性肺炎の頻度は2.14%だった。日本のコホート患者ではALK阻害剤による肺炎が多く、日本人患者に対して治療を行う場合には注意が必要である。





by otowelt | 2019-06-26 00:45 | 肺癌・その他腫瘍

IMpower130試験:非扁平上皮非小細胞肺癌に対する化学療法+アテゾリズマブ

e0156318_10535567.png ベバシズマブはどうからんでくるのでしょうか。国際的に活躍されている専門家の議論を横目で勉強させていただいています。

West H, et al.
Atezolizumab in combination with carboplatin plus nab-paclitaxel chemotherapy compared with chemotherapy alone as first-line treatment for metastatic non-squamous non-small-cell lung cancer (IMpower130): a multicentre, randomised, open-label, phase 3 trial.
Lancet Oncol. 2019 May 20. pii: S1470-2045(19)30167-6. doi: 10.1016/S1470-2045(19)30167-6.


背景:
 アテゾリズマブ(PD-L1モノクローナル抗体)は既治療非小細胞肺癌における全生存を改善し、1次治療において化学療法と併用することで臨床的な利益をもたらすことが示されている。IMpower130試験は、非扁平上皮非小細胞肺癌の1次治療として、化学療法+アテゾリズマブを化学療法単独と比較し、効果と安全性を評価したものである。

方法:
 IMpower130試験はランダム化オープンラベル第3相試験で、8ヶ国(アメリカ、カナダ、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イスラエル)の131施設でおこなわれた。適格基準は、18歳以上で、組織学的あるいは細胞診で病期IVの非扁平上皮非小細胞肺癌と診断され、ECOG PSが0-1で、過去に化学療法を受けていない患者とした。患者はランダムに2:1の割合で、カルボプラチン+ナブパクリタキセル+アテゾリズマブあるいはカルボプラチン+ナブパクリタキセルのいずれかの群に割り付けられた。4-6サイクルの後、維持療法へ移行した。性別、ベースラインの肝転移、PD-L1発現によって層別化された。複合プライマリエンドポイントとして、ドライバー遺伝子野生型のITT集団における無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を設定した。安全性解析は少なくとも1回以上治療薬が投与された場合に評価された。

結果:
 2015年4月16日から2017年2月13日までの間に、724人の患者がランダムに割り付けられ、化学療法+アテゾリズマブ群483人(うち451人が野生型集団)、化学療法群240人(うち228人が野生型集団)となった。ITT野生型集団における追跡期間中央期間は両群同等だった(化学療法+アテゾリズマブ群18.5ヶ月 vs 化学療法群19.2ヶ月)。
 ITT野生型集団において、OS中央値は有意に化学療法+アテゾリズマブ群のほうが長かった(18.6ヶ月 vs 13.9ヶ月、層別化ハザード比0.79[95%信頼区間0.64-0.98]、p=0.033)。
e0156318_1150456.png
(文献より引用:OS)

 またPFS中央値も延長した(7.0ヶ月 vs 5.5ヶ月、層別化ハザード比0.64[95%信頼区間0.54-0.77]、p<0.0001)。
e0156318_11502967.png
(文献より引用:PFS)

 よくみられたグレード3以上の治療関連有害事象は好中球減少症(32% vs 28%)、貧血(29% vs 20%)、好中球減少(12% vs 8%)だった。重篤な治療関連有害事象はそれぞれ24%、13%だった。治療関連死亡は、それぞれ8人、1人だった。

結論:
 病期IVの非扁平上皮非小細胞肺癌において、EGFR/ALK変異のない患者に対する1次治療では、化学療法単独と比べてアテゾリズマブを併用したほうが、OSおよびPFSは臨床的に意義のある延長を示した。





 

by otowelt | 2019-06-09 00:16 | 肺癌・その他腫瘍

KEYNOTE-001試験:ペムブロリズマブ単剤治療5年の効果と安全性

e0156318_10535567.png 長く効くほど、有効であることが示されています。

Garon EB, et al.
Five-Year Overall Survival for Patients With Advanced Non‒Small-Cell Lung Cancer Treated With Pembrolizumab: Results From the Phase I KEYNOTE-001 Study.
J Clin Oncol. 2019 Jun 2:JCO1900934. doi: 10.1200/JCO.19.00934.


背景:
 ペムブロリズマブ単独治療は、進行PD-L1陽性非小細胞肺癌において持続的な抗腫瘍活性を有する。われわれは第Ib相試験であるKEYNOTE-001試験の5年アウトカムを報告する。このデータは、ペムブロリズマブで治療されたNSCLC患者における効果と安全性を最も長く評価したものである。

方法:
 22C3抗体を用いてPD-L1を免疫組織化学的に評価された局所進行/転移性NSCLC患者がKEYNOTE-001試験に登録された。患者はペムブロリズマブ2mg/kgを3週ごとあるいは10mg/kgを2週または3週ごとに投与され、病勢進行、容認できない毒性発現、治験担当医による中止判断、同意の撤回があるまで継続された。プライマリ効果エンドポイントは、客観的奏効率である。セカンダリエンドポイントとして全生存期間(OS)が評価された。

結果:
 合計101人の未治療NSCLC患者、449人の既治療NSCLC患者が登録された。追跡期間中央値は60.6ヶ月(51.8-77.9ヶ月)だった。2018年11月5日のカットオフデータで、450人(82%)の患者が死亡していた。
 客観的奏効率は、未治療患者で42%(95%信頼区間31.9-51.8%)、既治療患者で22.9%(95%信頼区間19.1-27.1%)だった。未治療例での完全奏効は3.0%、病勢コントロール率は83.2%で、既治療例ではそれぞれ1.1%、58.6%だった。奏効期間中央値は、未治療患者で16.8ヶ月(95%信頼区間2.1-55.7ヶ月)、既治療患者で38.9ヶ月(95%信頼区間1.0-71.8ヶ月)だった。
 未治療患者のOS中央値は22.3ヶ月(95%信頼区間17.1-32.3ヶ月)、既治療患者のOSは10.5ヶ月(95%信頼区間8.6-13.2ヶ月)だった。推定5年全生存は未治療患者の23.2%、既治療患者の15.5%だった。PD-L1発現が50%以上の患者では、推定5年全生存はそれぞれ29.6%、25.0%だった。
e0156318_11314638.png
(文献より引用:OS)

e0156318_11362234.png
(文献より引用:OS[PD-L1発現層別化])

 3年時点での解析と比較しても、5年時点での免疫関連有害事象は同等だった。多く観察された副作用は甲状腺機能低下症で、最も重篤な副作用は肺炎だった。

結論:
 未治療・既治療進行NSCLCにおいて、ペムブロリズマブ単独治療は持続的な抗腫瘍活性を有し、高い5年生存率をもたらす。PD-L1発現が50%を超える症例では5年全生存率は25%を超えた。ペムブロリズマブは長期的に効果があり、安全性についても遅発性の懸念はなかった。






 

by otowelt | 2019-06-08 00:49 | 肺癌・その他腫瘍