カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 510 )

IMpower130試験:非扁平上皮非小細胞肺癌に対する化学療法+アテゾリズマブ

e0156318_10535567.png ベバシズマブはどうからんでくるのでしょうか。国際的に活躍されている専門家の議論を横目で勉強させていただいています。

West H, et al.
Atezolizumab in combination with carboplatin plus nab-paclitaxel chemotherapy compared with chemotherapy alone as first-line treatment for metastatic non-squamous non-small-cell lung cancer (IMpower130): a multicentre, randomised, open-label, phase 3 trial.
Lancet Oncol. 2019 May 20. pii: S1470-2045(19)30167-6. doi: 10.1016/S1470-2045(19)30167-6.


背景:
 アテゾリズマブ(PD-L1モノクローナル抗体)は既治療非小細胞肺癌における全生存を改善し、1次治療において化学療法と併用することで臨床的な利益をもたらすことが示されている。IMpower130試験は、非扁平上皮非小細胞肺癌の1次治療として、化学療法+アテゾリズマブを化学療法単独と比較し、効果と安全性を評価したものである。

方法:
 IMpower130試験はランダム化オープンラベル第3相試験で、8ヶ国(アメリカ、カナダ、ベルギー、フランス、ドイツ、イタリア、スペイン、イスラエル)の131施設でおこなわれた。適格基準は、18歳以上で、組織学的あるいは細胞診で病期IVの非扁平上皮非小細胞肺癌と診断され、ECOG PSが0-1で、過去に化学療法を受けていない患者とした。患者はランダムに2:1の割合で、カルボプラチン+ナブパクリタキセル+アテゾリズマブあるいはカルボプラチン+ナブパクリタキセルのいずれかの群に割り付けられた。4-6サイクルの後、維持療法へ移行した。性別、ベースラインの肝転移、PD-L1発現によって層別化された。複合プライマリエンドポイントとして、ドライバー遺伝子野生型のITT集団における無増悪生存期間(PFS)および全生存期間(OS)を設定した。安全性解析は少なくとも1回以上治療薬が投与された場合に評価された。

結果:
 2015年4月16日から2017年2月13日までの間に、724人の患者がランダムに割り付けられ、化学療法+アテゾリズマブ群483人(うち451人が野生型集団)、化学療法群240人(うち228人が野生型集団)となった。ITT野生型集団における追跡期間中央期間は両群同等だった(化学療法+アテゾリズマブ群18.5ヶ月 vs 化学療法群19.2ヶ月)。
 ITT野生型集団において、OS中央値は有意に化学療法+アテゾリズマブ群のほうが長かった(18.6ヶ月 vs 13.9ヶ月、層別化ハザード比0.79[95%信頼区間0.64-0.98]、p=0.033)。
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(文献より引用:OS)

 またPFS中央値も延長した(7.0ヶ月 vs 5.5ヶ月、層別化ハザード比0.64[95%信頼区間0.54-0.77]、p<0.0001)。
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(文献より引用:PFS)

 よくみられたグレード3以上の治療関連有害事象は好中球減少症(32% vs 28%)、貧血(29% vs 20%)、好中球減少(12% vs 8%)だった。重篤な治療関連有害事象はそれぞれ24%、13%だった。治療関連死亡は、それぞれ8人、1人だった。

結論:
 病期IVの非扁平上皮非小細胞肺癌において、EGFR/ALK変異のない患者に対する1次治療では、化学療法単独と比べてアテゾリズマブを併用したほうが、OSおよびPFSは臨床的に意義のある延長を示した。





 

by otowelt | 2019-06-09 00:16 | 肺癌・その他腫瘍

KEYNOTE-001試験:ペムブロリズマブ単剤治療5年の効果と安全性

e0156318_10535567.png 長く効くほど、有効であることが示されています。

Garon EB, et al.
Five-Year Overall Survival for Patients With Advanced Non‒Small-Cell Lung Cancer Treated With Pembrolizumab: Results From the Phase I KEYNOTE-001 Study.
J Clin Oncol. 2019 Jun 2:JCO1900934. doi: 10.1200/JCO.19.00934.


背景:
 ペムブロリズマブ単独治療は、進行PD-L1陽性非小細胞肺癌において持続的な抗腫瘍活性を有する。われわれは第Ib相試験であるKEYNOTE-001試験の5年アウトカムを報告する。このデータは、ペムブロリズマブで治療されたNSCLC患者における効果と安全性を最も長く評価したものである。

方法:
 22C3抗体を用いてPD-L1を免疫組織化学的に評価された局所進行/転移性NSCLC患者がKEYNOTE-001試験に登録された。患者はペムブロリズマブ2mg/kgを3週ごとあるいは10mg/kgを2週または3週ごとに投与され、病勢進行、容認できない毒性発現、治験担当医による中止判断、同意の撤回があるまで継続された。プライマリ効果エンドポイントは、客観的奏効率である。セカンダリエンドポイントとして全生存期間(OS)が評価された。

結果:
 合計101人の未治療NSCLC患者、449人の既治療NSCLC患者が登録された。追跡期間中央値は60.6ヶ月(51.8-77.9ヶ月)だった。2018年11月5日のカットオフデータで、450人(82%)の患者が死亡していた。
 客観的奏効率は、未治療患者で42%(95%信頼区間31.9-51.8%)、既治療患者で22.9%(95%信頼区間19.1-27.1%)だった。未治療例での完全奏効は3.0%、病勢コントロール率は83.2%で、既治療例ではそれぞれ1.1%、58.6%だった。奏効期間中央値は、未治療患者で16.8ヶ月(95%信頼区間2.1-55.7ヶ月)、既治療患者で38.9ヶ月(95%信頼区間1.0-71.8ヶ月)だった。
 未治療患者のOS中央値は22.3ヶ月(95%信頼区間17.1-32.3ヶ月)、既治療患者のOSは10.5ヶ月(95%信頼区間8.6-13.2ヶ月)だった。推定5年全生存は未治療患者の23.2%、既治療患者の15.5%だった。PD-L1発現が50%以上の患者では、推定5年全生存はそれぞれ29.6%、25.0%だった。
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(文献より引用:OS)

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(文献より引用:OS[PD-L1発現層別化])

 3年時点での解析と比較しても、5年時点での免疫関連有害事象は同等だった。多く観察された副作用は甲状腺機能低下症で、最も重篤な副作用は肺炎だった。

結論:
 未治療・既治療進行NSCLCにおいて、ペムブロリズマブ単独治療は持続的な抗腫瘍活性を有し、高い5年生存率をもたらす。PD-L1発現が50%を超える症例では5年全生存率は25%を超えた。ペムブロリズマブは長期的に効果があり、安全性についても遅発性の懸念はなかった。






 

by otowelt | 2019-06-08 00:49 | 肺癌・その他腫瘍

この20年、肺癌の生存期間はどうなったか?

e0156318_10535567.png EGFR陽性NSCLCやALK陽性NSCLCはこれ以上開発されても、OSがプラトーに達する可能性がありますが、Best is bestには違いないはず。

Takano N, et al.
Improvement in the survival of patients with stage IV non-small-cell lung cancer: Experience in a single institutional 1995-2017.
Lung Cancer. 2019 May;131:69-77. doi: 10.1016/j.lungcan.2019.03.008.


目的:
 過去20年のあいだに、進行非小細胞肺癌(NSCLC)の治療に対して適用されるようになった抗癌剤がいくつか登場し、患者マネジメントは大きく変革した。しかしながら、臨床プラクティスにおける患者の生存的恩恵についての情報は限られている。

方法:
 公益財団法人がん研究会(JFCR)における病期IVのNSCLC患者の生存期間を1995年1月1日から2017年3月1日まで解析した。合計1547人の連続患者がこのケースシリーズに組み入れられた。この解析では、5つの診断時期を評価した:1995~1999年(ピリオドA)、2000~2004年(ピリオドB)、2005年~2009年(ピリオドC)、2010年~2014年(ピリオドD)、2015年~2017年(ピリオドE)。ピリオドごとの全生存期間(OS)を傾向スコアマッチ前後で比較し、またEGFR遺伝子変異、ALK融合遺伝子、その他のドライバー遺伝子の有無によっても比較した。

結果:
 過去20年、病期IVのNSCLC患者のOSは改善した。OS中央値は、ピリオドA:9.0ヶ月、ピリオドB:11.0ヶ月、ピリオドC:13.7ヶ月、ピリオドD:17.9ヶ月だった。ピリオドEは未到達だった。ベースラインの既知の特性について傾向スコアマッチした後でも、OSは同様に改善の傾向を示した。しかしながら、日本でいくつかのチロシンキナーゼ阻害剤が使用できるようになったものの、EGFR遺伝子変異あるいはALK融合遺伝子の患者のOSはこの期間には改善しなかった。ドライバー遺伝子変異がない患者のOSはピリオドEの期間わずかに延長する傾向にあった。

結論:
 病期IVのNSCLCに対する新しいクラスの抗癌剤は、患者の生存期間を有意に延長してきた。しかしながら、同系統の薬物の承認は、生存期間のさらなる改善とは関連しないかもしれない。





by otowelt | 2019-06-06 00:50 | 肺癌・その他腫瘍

LUME-Meso試験:悪性胸膜中皮腫のシスプラチン+ペメトレキセドにニンテダニブを上乗せしてもPFSは延長せず

e0156318_1214596.jpg 第2相試験では有効とされていた試験でした。

Giorgio V Scagliotti, et al.
Nintedanib in combination with pemetrexed and cisplatin for chemotherapy-naive patients with advanced malignant pleural mesothelioma (LUME-Meso): a double-blind, randomised, placebo-controlled phase 3 trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(19)30139-0


背景:
 ニンテダニブは悪性胸膜中皮腫の発症に関連するVEGF、FGF、PGFおよびSrc、Ablのシグナル伝達に関わる受容体を標的としている。そこで、われわれは切除不能悪性胸膜中皮腫に対してシスプラチン+ペメトレキセドにニンテダニブを上乗せした場合の効果と安全性をLUME-Meso試験の最終報告を提示する。

方法:
 これは、世界27ヶ国、120施設で実施された二重盲検第3相試験である。18歳以上の切除不能上皮型悪性胸膜中皮腫で、ECOG PSが0-1である未治療患者をランダムに1:1の割合で、21日サイクル6コースのシスプラチン(day1)+ペメトレキセド(day1)+ニンテダニブ(200mg1日2回、day2-21)あるいはシスプラチン+ペメトレキセド+プラセボのいずれかの群に割り付けられた。6コース後に進行がなかった患者はそのままニンテダニブあるいはプラセボの維持療法を続けた。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)だった。安全性は試験薬を1回でも投与された患者で評価した。

結果:
 2016年4月14日~2018年1月5日のあいだに、541人の患者がスクリーニングされ、458人がランダムにニンテダニブ上乗せ群(229人)、プラセボ群(229人)に割り付けられた。ニンテダニブ群の治療期間中央値は5.3ヶ月(IQR2.8-7.3ヶ月)で、プラセボ群は5.1ヶ月(IQR2.7-7.8ヶ月だった)。PFSに群間差はみられなかった(ニンテダニブ群6.8ヶ月 vs プラセボ群7.0ヶ月、ハザード比1.01[95%信頼区間0.79-1.30]、p=0.91)。もっともよくみられたグレード3以上の有害事象は、好中球減少(ニンテダニブ群32% vs プラセボ群24%)だった。重篤な有害事象はニンテダニブ群の44%、プラセボ群の39%にみられた。

結論:
 LUME-Meso試験において第2相試験でみられた効果はPFSの観点からは達成されなかった。



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by otowelt | 2019-05-18 00:20 | 肺癌・その他腫瘍

低BMIは切除可能肺癌の予後不良因子である

e0156318_10535567.png 先日のCRPに引き続き、これもきわめて実臨床的な研究と思います。


Takada K, et al.
Association of Low Body Mass Index With Poor Clinical Outcomes After Resection of Non-small Cell Lung Cancer.
Anticancer Res. 2019 Apr;39(4):1987-1996.


背景:
 EGFR-TKIやALK-TKI、PD-1/PD-L1阻害剤のような免疫チェックポイント阻害剤といった分子標的薬はNSCLC患者の臨床経過を良好にするが、世界的に肺癌は癌関連死亡の主要原因である。病期I~IIIAのNSCLCの患者においても、外科的切除をおこなっても臨床経過は満足いくものではない。そのため、切除可能NSCLC患者における有用・簡便・安価な予後予測マーカーが重要である。

目的:
 この研究は、切除された非小細胞肺癌(NSCLC)においてBMIが無病生存(DFS)および全生存(OS)に影響を与えるかどうか評価したものである。

患者および方法:
 全体で病期I~IIIまでの外科的切除されたNSCLC患者780人のうち546人(70%)がランダムに抽出された。患者は3群に分けられた。すなわち、低BMI群(<18.5 kg/m2)、正常BMI群(18.5~25.0 kg/m2)、高BMI群(≧25 kg/m2)である。Cox比例ハザード回帰分析によって、生存に関連する因子を同定した。

結果:
 全患者において、低BMIはDFSおよびOSの独立予測因子であった(それぞれp=0.0175、 p=0.0134)。病期Iの患者において、低BMIはDFSおよびOSの独立予測因子だった(それぞれp=0.0066、p<0.0001)。

結論:
 低BMIは、外科的に切除された病期IのNSCLC患者における独立予後予測因子だった。





by otowelt | 2019-05-14 00:05 | 肺癌・その他腫瘍

術後6週のCRPは肺癌の予後予測バイオマーカーとなりうる

e0156318_10535567.png 術後のCRPが予後予測バイオマーカーになりうるという報告です。

Shinohara S, et al.
Postoperative C-reactive Protein Is a Predictive Biomarker for Survival After Non-small Cell Lung Cancer Resection.
Anticancer Res. 2019 Apr;39(4):2193-2198.


背景:
 本研究では、肺切除を受けた非小細胞肺癌(NSCLC)患者において、術後CRP値が予後に与える影響を調べた。

患者および方法:
 われわれは肺切除を受けたNSCLC患者336人を後ろ向きにレビューした。CRP値は基本的に術後6週に測定した(CRP6w:術後4~8週間であれば許可)。患者はCRP6wの平均値(5.0mg/L)に基づいて高値群と低値群の2群に分けられた。両群で5年全生存(OS)と無再発生存(RFS)が評価された。

結果:
 5年OSおよびRFSは、高CRP6w群のほうが低CRP6w群よりも不良だった (それぞれ62.9% vs. 82.9%; p<0.001, 48.4% vs. 76.1%; p<0.001)。サブグループ解析でも、高CRP6w群の病理病期IおよびII以上でOS不良であることが示された。多変量解析では、高CRP6wとOS不良に関連がみられた(ハザード比2.23、p<0.001)。

結論:
切除されたNSCLC患者において、CRP6wは予後予測バイオマーカーになるかもしれない。





by otowelt | 2019-05-02 00:58 | 肺癌・その他腫瘍

免疫チェックポイント阻害剤投与後のhyperprogressive disease (HPD)

e0156318_1424077.png 話題のHPDについてです。

Kim CG, et al.
Hyperprogressive disease during PD-1/PD-L1 blockade in patients with non-small-cell lung cancer.
Ann Oncol. 2019 Apr 12. pii: mdz123. doi: 10.1093/annonc/mdz123.


背景:
 PD-1/PD-L1阻害剤による免疫チェックポイント阻害は、さまざまな悪性腫瘍に効果的であり、非小細胞肺癌(NSCLC)の患者の標準治療モダリティに位置づけられている。しかしながら、PD-1/PD-L1阻害剤がhyperprogressive disease (HPD)、すなわち予後不良に直結するフレアアップを起こしうることが示されている。

患者および方法:
 2014年4月~2018年11月までにPD-1/PD-L1阻害剤によって治療された再発性・転移性NSCLCの患者を登録した。同治療を受けたNSCLC患者において、臨床病理学的因子、腫瘍増大の過程、治療アウトカムが解析された。HPDは、腫瘍増大速度(TGK)、腫瘍増大率(TGR)、治療打ち切りまでの期間(TTF)によって定義された。HPDの潜在的予測バイオマーカーを探索するため、末梢血CD8陽性Tリンパ球の免疫フェノタイピングが実施された。

結果:
 合計263人の患者が解析された。HPDは、TGK、TGR、TTFの定義では55人(20.9%)、54人(20.5%)、98人(37.3%)が該当した。TGKおよびTGR基準を満たしたHPDは、HPDのなかった病勢進行と比較して無増悪生存の悪化(ハザード比4.619、95%信頼区間2.868-7.440)、全生存の悪化(ハザード比率5.079、95%信頼区間3.136-8.226)と関連していた。臨床病理学的因子とHPDに明らかな関連はなかった。末梢血CD8陽性Tリンパ球を用いた探索的バイオマーカー解析では、エフェクター/メモリーサブセット(CD8陽性T細胞のうちのCCR7陰性・CD45RA陰性T細胞)およびT細胞の高度"疲弊(exhausted)"がある集団(PD-1陽性・CD8陽性T細胞のうちのTIGIT陽性T細胞)はHPDおよび生存率低下と関連していた。

結論:
 HPDはPD-1/PD-L1阻害剤で治療されたNSCLC患者でよくみられる。合理的に設定された分析によるバイオマーカーを用いることで、HPDと転帰不良をうまく予測できるかもしれないため、さらなるHPDの研究が望まれる。





by otowelt | 2019-04-30 00:15 | 肺癌・その他腫瘍

抗PD-(L)1抗体の後にオシメルチニブを投与すると免疫関連有害事象が多くなる

e0156318_1424077.png よく知られた現象ですが、ちゃんと論文化されましたね。

Schoenfeld AJ, et al.
Severe immune related adverse events are common with sequential PD-(L)1 blockade and osimertinib.
Ann Oncol. 2019 Mar 7. pii: mdz077. doi: 10.1093/annonc/mdz077.


背景:
 EGFR陽性非小細胞肺癌(NSCLC)における、抗PD-(L)1抗体とオシメルチニブの併用は、重篤な免疫関連有害事象(irAE)イベントと関連している。抗PD-(L)1抗体は1次治療のアジュバントとしてルーチンに用いられるが、オシメルチニブに引き続いて同薬を用いることで、有害事象の頻度がより高くなったり、予期せぬ重大な毒性を起こしたりするかもしれない。

方法:
 われわれは、薬剤名や遂次投与であるかどうかにかかわらず、抗PD-(L)1抗体とEGFR-TKIの治療を受けたEGFR陽性NSCLC患者を同定した(合計126人)。重篤(グレード3~4)の毒性を同定するために患者診療録がレビューされた。

結果:
 全患者の15%(41人中6人、95%信頼区間7-29%)が抗PD-(L)1抗体のあとにオシメルチニブを遂次投与され、重篤なirAEをきたした。重篤なirAEは、抗PD-(L)1抗体投与3ヶ月以内にオシメルチニブを開始した患者でもっともよくみられた(21人中5人、95%信頼区間10-45%)。抗PD-(L)1抗体投与3~12ヶ月(8人中1人、13%、95%信頼区間0-50%)、12ヶ月以降(12人中0人、0%、95%信頼区間0-28%)よりも多かった。それに反して、オシメルチニブのあとに抗PD-(L)1抗体を投与された患者では重篤なirAEは観察されなかった(29人中0人、95%信頼区間0-14%)。また、他のEGFR-TKIのあとに抗PD-(L)1抗体を投与された患者においても重篤なirAEは観察されなかった(27人中0人、95%信頼区間0-15%)。irAEはオシメルチニブ投与から中央値20日で発症した(範囲14-167日)。irAEを起こした全患者はステロイドを要し、ほとんどが入院を必要とした。

結論:
 抗PD-(L)1抗体のあとにオシメルチニブを投与することは重篤なirAEと関連しており、直近に抗PD-(L)1抗体を投与された患者でよくみられた。オシメルチニブあるいは他のEGFR-TKののあとに抗PD-(L)1抗体を投与してもirAEは観察されなかった。この関連性はオシメルチニブに特異的であり、重篤なirAEは他のEGFR-TKIではみられなかった。





by otowelt | 2019-04-08 00:05 | 肺癌・その他腫瘍

悪性胸膜中皮腫と診断されたあと早期緩和ケア介入を紹介する意義は乏しい

e0156318_10535567.png 意外な結果でした。

Brims F, et al.
Early specialist palliative care on quality of life for malignant pleural mesothelioma: a randomised controlled trial.
Thorax. 2019 Jan 19. pii: thoraxjnl-2018-212380. doi: 10.1136/thoraxjnl-2018-212380.


目的:
 悪性胸膜中皮腫(MPM)は症状がひどく生存率が低い。他の癌種のエビデンスによれば、早期の専門家による緩和ケア(SPC)はオンコロジーサービスと組み合わせることで健康関連QOL(HRQoL)にいくらか利益があるとされているが、確たるエビデンスが不足している。

方法:
 われわれは多施設共同ランダム化並行群間試験において、早期SPC紹介と通常ケアをイギリス19施設および西オーストリアの大規模1施設で比較した。MPMと新規に診断された参加者と、その後主な介護者が追加で登録された。

介入:
 割り付けの3週間以内にSPCのレビューを受け、試験期間中4週ごとに受診した。HRQoLはベースラインおよび4週ごとにヨーロッパ癌研究機関(EORTC)QOL質問票コア30(C30)を用いて評価された。

プライマリアウトカム:
 ランダム化から12週時点でのEORTC C30のGlobal health status変化。

結果:
 2014年4月から2016年10月まで、174人の参加者がランダム化された。観察期間中央値は41.1週だった。12週時点でのHRQoLスコアには両群の有意差はなかった(平均差1.8、95%信頼区間―4.9~8.5、p=0.59)。24週時点でのHRQoLも群間差はなかった(平均差-2.0、95%信頼区間-8.6~4.6、p=0.54)。12週あるいは24週時点での抑うつ/不安スコアにも差はなかった。介護者においても、12週あるいは24週時点でのHRQoLあるいは気分には差はみられなかったが、介入群を支持するようなケアに対する一貫した好みはあった。
e0156318_1635675.png


結論:
 必要に応じてSPCへのアクセスが良好な施設に通院しているMPM患者において、診断がつけられてからすぐにルーチンにSPCを紹介する意義はない。



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by otowelt | 2019-03-07 00:38 | 肺癌・その他腫瘍

イギリス単施設における早期肺癌に対する外科手術と定位放射線治療の比較

e0156318_10535567.png 耐術能との綱引きになるので、一概に比較する意義があるかどうか、ですが・・・。

Spencer KL, et al.
Surgery or radiotherapy for stage I lung cancer? An intention to treat analysis.
Eur Respir J. 2019 Jan 11. pii: 1801568. doi: 10.1183/13993003.01568-2018.


背景:
 外科手術は早期肺癌に対する標準的ケアであり、定位放射線治療(SABR)は生理学的予備能が限られている患者に対する代替選択肢である。これらの治療選択肢間の転帰の比較は、併存症および治療前の病理学的情報の違いによって規定される。この研究では、病期Iが想定される肺癌の全生存率と癌特異的生存率の両方を、治療意図に基づいて評価することによって、当該問題に対処することを目的とした。

方法:
 これは、イギリスの単施設で実施された、病期Iが想定される肺癌に対する後ろ向きITT解析である。Cox比例ハザード回帰およびFineとGrayの競合リスクモデルによって交絡因子を補正し、全生存期間(OS)および癌特異的生存期間(CSS)および両混合治療関連生存期間(CTRS)が解析された。

結果:
 468人の患者(316人が外科手術群、99人がSABR群)が組み入れられた。外科手術と比較してSABRは、多変量CoxモデルではOS短縮と関連していたが(ハザード比1.84、95%信頼区間1.32-2.57)、CSSおよびCTRSでは有意差はなかった(ハザード比1.47、95%信頼区間0.80-2.69、ハザード比1.27、95%信頼区間0.74-2.17)。FineとGrayの競合リスク多変量モデルでは癌および治療関連死亡に群間差はなかった(ハザード比1.03、95%信頼区間0.59-1.81)。癌に関連しない死亡は外科手術よりSABRのほうが有意に高かった(ハザード比2.16、95%信頼区間1.41-3.32)。

結論:
 この解析では、SABRと外科手術の間には癌特異的生存期間に有意差はなかった。治療転帰の予測因子を定義し、治療法を決定するためにさらなる検証が必要である。



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by otowelt | 2019-02-22 00:33 | 肺癌・その他腫瘍