カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 525 )

HOT1302試験:間質性肺疾患合併進行NSCLCに対するカルボプラチン+nab-パクリタキセル

e0156318_8124310.jpg 小規模ですが、そもそもエビデンスが少ない領域なので、参考になるデータですね。
 OSのKaplan-Meier曲線の最後は見たくないですが・・・。

Asahina H, et al.
A prospective phase II study of carboplatin and nab-paclitaxel in patients with advanced non-small cell lung cancer and concomitant interstitial lung disease (HOT1302).
Lung Cancer. 2019 Sep 30;138:65-71.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)と間質性肺疾患(ILD)を合併した患者は、ILD急性増悪のリスクから多くの抗癌剤治療が選択肢から外れる。この前向き研究において、ILD合併進行NSCLC患者におけるカルボプラチン+nab-パクリタキセルの効果と安全性を検証した。

患者および方法:
 登録患者は、ILDを合併した未治療進行NSCLCである。患者は、カルボプラチン(AUC6)とnab-パクリタキセル(100mg/m2)の治療を3週ごとに4~6サイクル受けた。プライマリエンドポントは客観的奏効率(ORR)とし、セカンダリエンドポイントに毒性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が含まれた。

結果:
 2014年4月から2017年9月までに、36人の患者が登録された。男性は26人(72.2%)だった。16人(44.4%)は腺癌、15人(41.7%)が扁平上皮癌、5人(13.9%)がその他の非小細胞肺癌だった。病期IVは半数の18人だった。
 抗癌剤投与サイクル中央値は4(範囲1-6)だった。ORRは55.6%(95%信頼区間39.6-70.5)だった。PFS中央値は5.3ヶ月(95%信頼区間3.9-8.2)、OS中央値は15.4ヶ月(95%信頼区間9.4-18.7)だった。扁平上皮癌の患者は非小細胞癌の患者よりもORR(66.7%[95%信頼区間41.7-84.8] vs. 47.6%[95%信頼区間28.3-67.6]、P = 0.254)、PFS中央値(8.2ヶ月[95%信頼区間4.0-10.2] vs. 4.1ヶ月[95%信頼区間3.3-5.4] 、ハザード比0.60 [95%信頼区間0.30-1.20]; P = 0.15)、OS中央値(16.8ヶ月[95%信頼区間9.8-未到達] vs. 11.9ヶ月[95%信頼区間7.3-17.4] 、ハザード比0.56 [95%信頼区間0.24-1.28]; P = 0.17)が良好だった。2人(5.6%)の患者がグレード2以上の肺臓炎を起こし、1人(2.8%)が死亡した。
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(文献より引用:有効性)
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(文献より引用:Kaplan-Meier曲線)

結論:
カルボプラチン+nab-パクリタキセルは、ILD合併進行NSCLCの患者に対して良好な効果と忍容性を有する。



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by otowelt | 2019-11-14 00:34 | 肺癌・その他腫瘍

オシメルチニブ投与患者にみられる耐性機構

e0156318_8124310.jpg 既知の知見です。FLAURA試験でもC797S変異とMET増幅が多かったと報告されています。

Mehlman C, et al.
Resistance mechanisms to osimertinib in EGFR-mutated advanced non-small-cell lung cancer: A multicentric retrospective French study.
Lung Cancer. 2019 Sep 28;137:149-156. doi: 10.1016/j.lungcan.2019.09.019.


目的:
 オシメルチニブに対する耐性に関連する組織分子メカニズムを知ることは、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)の最適な治療戦略を確立するために重要なステップである。

方法:
 EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者に対してオシメルチニブで治療された連続患者を登録した多施設共同後ろ向き研究を解析した。増悪時に血清および腫瘍から検体を採取した。次世代シークエンス(NGS)が全検体におこなわれた。最良の客観的奏効率(PRR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、増悪後治療の有効性データが抽出された。

結果:
 2015年4月から2018年10月までの間、フランスにおける9の教育病院から226人の患者が登録された。オシメルチニブは、219人(97%)の患者で2次治療以降に適用された。最良ORRは52%で、中枢神経系のORRは56%だった。PFS中央値は9.5ヶ月(IQR 4.0-17.2)、OS中央値は24ヶ月(IQR 12.4-未到達)だった。解析時、150人(66%)の患者が病勢進行していた。73検体(56は腫瘍生検)が得られた。もっともよくみられたのはC797S変異(9人、13%)とMET増幅(8人、11%)だった。組織型変化は5人にみられた(腫瘍生検患者の9%)。T790MがあるNSCLC患者のうち、T790M lossがあったのは68%だった。病勢進行後の治療によるPFS中央値は6.0ヶ月(IQR2.0-10.4)、OS中央値は15.1ヶ月(IQR6.7-未到達)だった。

結論:
 EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者におけるオシメルチニブの効果を示した。増悪時に、もっともよくみられた原因はMET増幅とC797S変異だった。



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by otowelt | 2019-10-30 00:48 | 肺癌・その他腫瘍

BRIGALK試験:リアルワールドにおけるブリガチニブの有効性

e0156318_10535567.png アルンブリグが日本で承認されると、ザーコリ、アレセンサ、ジカディア、ローブレナに続いてALK阻害剤は5剤になります。

・参考記事:ALTA-1L試験:ALK阻害剤ナイーブALK陽性NSCLCに対するブリガチニブ

Descourt R, et al.
Brigatinib in patients with ALK-positive advanced non-small-cell lung cancer pretreated with sequential ALK inhibitors: A multicentric real-world study (BRIGALK study).
Lung Cancer. 2019 Aug 14;136:109-114.


目的:
 ブリガチニブは、クリゾチニブ既治療のALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対して開発された次世代ALK阻害剤である。

方法:
 この多施設共同後ろ向き研究には、クリゾチニブを含む少なくとも1つのTKIで治療されたことがあるALK陽性進行NSCLC患者が登録された。プライマリエンドポイントは、研究者によって評価された無増悪生存(PFS)である。

結果: 
 104人が登録された(平均年齢56.6歳、非喫煙者61.5%、腺癌98.1%、IV期88.5%)。ALKについて免疫組織化学染色で診断されたのは84%だった。患者は、少なくとも2つのALK阻害剤(主にクリゾチニブ→セリチニブ)を含め中央値3ラインの治療を受けていた。ブリガチニブ開始時、59.1%の患者がPS0-1で、51.9%が3部位以上の転移を有し、74.5%が中枢神経系への転移を有し、8.8%に癌性髄膜腫症がみられた(平均転移数は3.3±1.3部位)。ブリガチニブ治療期間中央値は6.7ヶ月(95%信頼区間0.06-20.7ヶ月)だった。
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(文献より引用:前治療)

 PFS中央値は6.6ヶ月(95%信頼区間4.8-9.9ヶ月)だった。ブリガチニブ前に、2ライン、3~4ライン、>4ラインの治療を受けていた患者のPFS中央値は、それぞれ4.3ヶ月(95%信頼区間2.5-8.9ヶ月), 10.4ヶ月 (95%信頼区間5.9-13.9ヶ月)、3.8ヶ月 (95%信頼区間0.8-7.4ヶ月)だった。91人の評価可能な患者のうち、疾患制御率は78.2%だった。
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(PFS:文献より引用)
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(治療ラインごとのPFS:文献より引用)

 ブリガチニブ開始からの全生存期間中央値は17.2ヶ月(95%信頼区間11.0ヶ月-未到達)だった。ブリガチニブ治療後に病勢進行がみられた患者68人のうち、中枢神経系に病変があったのは29.4%だった。NSCLC診断からの全生存期間中央値は75.3ヶ月(95%信頼区間38.2-174.6ヶ月)だった。

結論:
 複数ラインの既治療を受けたALK陽性進行NSCLC患者コホートにおいて、リアルワールドのブリガチニブの有効性を示した。



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by otowelt | 2019-10-24 00:14 | 肺癌・その他腫瘍

CASPIAN試験:進展型SCLCに対するシスプラチン+エトポシド+デュルバルマブ

e0156318_10535567.png 小細胞肺癌においても、こうした併用治療が推奨されていく流れになりましたね。

Paz-Ares L, et al.
Durvalumab plus platinum-etoposide versus platinum-etoposide in first-line treatment of extensive-stage small-cell lung cancer (CASPIAN): a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial.
Lancet. 2019 Oct 4. pii: S0140-6736(19)32222-6. doi: 10.1016/S0140-6736(19)32222-6.


背景:
 小細胞肺癌(SCLC)のほとんどの患者は、初診時に進展型(ED)であり、予後不良である。近年、ED-SCLCに対する免疫療法の有効性が示されている。CASPIAN試験は、ED-SCLCの一次治療を対象とした、多施設共同ランダム化非盲検比較試験である。

方法:
 本研究は、23ヶ国209施設で実施された第3相試験である。適格基準を満たすのは、未治療ED-SCLC患者で、WHO PS 0-1で、REICIST判定で病変が測定できるものとした。患者を、1:1:1の割合でデュルバルマブ+化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)、デュルバルマブ+トレメリムマブ(遺伝子組換え)+化学療法、化学療法単独の3群にランダムに割り付けた。すべて点滴静注で治療がおこなわれた。免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用群における化学療法は4サイクル実施し、化学療法単独群においては最長6サイクルの化学療法および予防的頭蓋内照射(PCI)の実施が認められた。
 プライマリエンドポイントはITT集団における全生存期間(OS)とした。われわれは、中間解析において、デュルバルマブ+化学療法群と化学療法単独群の結果を報告する。

結果:
 患者は2017年3月27日~2018年5月29日までに登録され、268人がデュルバルマブ+化学療法群、269人が化学療法群に割り付けられた。デュルバルマブ+化学療法群はOSを有意に延長させた(ハザード比0.73、95%信頼区間0.59-0.91; p=0.0047)。OS中央値は、デュルバルマブ+化学療法群で13.0ヶ月(95%信頼区間9.3-11.2)、化学療法群10.3ヶ月(95%信頼区間9.3-11.2ヶ月)だった。18ヶ月時点での生存率は、それぞれ34%、25%だった。
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(OS:文献より引用)

 グレード3-4の有害事象イベントは、デュルバルマブ+化学療法群の163人(62%)、化学療法群の166人(62%)にみられた。死亡にいたったのはそれぞれ5%、6%だった。

結論:
 ED-SCLCの患者において、デュルバルマブ+化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)は、化学療法単独と比較してOSを有意に延長させる。安全性プロファイルは、個々の薬剤で報告されているものと矛盾しない。



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by otowelt | 2019-10-23 00:51 | 肺癌・その他腫瘍

RELAY試験:EGFR陽性NSCLCに対するエルロチニブ+ラムシルマブ

e0156318_10535567.png RELAY試験の論文を読みました。

Nakagawa K, et al.
Ramucirumab plus erlotinib in patients with untreated, EGFR-mutated, advanced non-small-cell lung cancer (RELAY): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial.
Lancet Oncol. 2019 Oct 4. pii: S1470-2045(19)30634-5. doi: 10.1016/S1470-2045(19)30634-5.


背景:
 EGFR遺伝子変異陽性転移性非小細胞肺癌(NSCLC)におけるEGFRおよびVEGF経路を両方阻害することは、臨床前および臨床データで支持されているが、まだ広く認識されていない。
 RELAY試験は、EGFR変異(Exon19deあるいはExon21 L858R)を有し、脳転移のない、未治療の進行NSCLC患者を対象とした、EGFR-TKIであるエルロチニブとVEGFR2アンタゴニストであるラムシルマブの併用を、エルロチニブ+プラセボと比較した第3相二重盲検ランダム化比較試験である。

方法:
 13ヶ国の100の病院・クリニック・医療センターから患者が登録された。適格基準は、登録時に18歳以上(日本と台湾は20歳以上)で、Ex19delあるいはL858Rが陽性の、ECOG PS0-1のNSCLC患者で、中枢神経系転移を有さないものとした。登録患者は1:1の割合で、エルロチニブ(150mg/日)+ラムシルマブ(10mg/kg、2週ごと投与)群と、エルロチニブ(150mg/日)+プラセボ群にランダムに割り付けられた。登録患者は性別、国地域、EGFR変異ステータス、EGFR遺伝子変異検査法で層別化された。
 プライマリエンドポイントは、治験医師の評価によるITT集団での無増悪生存期間(PFS)とした。セカンダリエンドポイントは、奏効率(ORR)、奏効持続期間、PFS2(ランダム化から2度目の病勢進行あるいは全死因死亡までの期間)、全生存期間(OS)、血漿T790M変異、安全性などとした。

結果:
 2016年1月28日~2018年2月1日までに、449人の患者がランダム化され、ラムシルマブ併用群224人、プラセボ群に225人が割り付けされた。女性は両群で63%、アジア人は両群で77%(日本人211人)、年齢中央値はそれぞれ65歳、64歳だった。EGFR遺伝子変異のうちEx19delはそれぞれ55%、54%だった。追跡期間中央値は20.7ヶ月(IQR15.8-27.2)だった。プライマリ解析では、PFSはラムシルマブ併用群のほうが有意に延長していた(19.4ヶ月 [95%信頼区間15.4-21.6] vs 12.4ヶ月[95%信頼区間11.0-13.5]、ハザード比0.59 (95%信頼区間0.46-0.76; p<0·0001)。EGFR変異のステータスで層別化しても、ラムシルマブ併用群でPFSが有意に延長していた(Ex19del:19.6ヶ月 vs 12.5ヶ月、ハザード比0.651、95%信頼区間0.469-0.903、L858R:19.4ヶ月 vs 11.2ヶ月、ハザード比0.618、95%信頼区間0.437-0.874)。1年PFS率は、ラムシルマブ併用群が71.9%、プラセボ群が50.7%だった。盲検下独立中央判定によるPFS評価でも、ハザード比0.671(95%信頼区間0.518-0.869、p=0.0022)と有意だった。
 セカンダリエンドポイントであるPFS2は、ラムシルマブ併用群においてプラセボ群より有意に延長していた。PFS2中央値は、併用群、プラセボ群ともに未到達で、ハザード比は0.690(95%信頼区間0.490-0.972)であった(p=0.03)。OSは未到達、ハザード比は0.832(95%信頼区間:0.532-1.303)(p=0.4209)。ベースライン時にT790M変異陽性の患者はいなかったが、病勢進行30日後の測定では、ラムシルマブ併用群43%、プラセボ群47%で発現がみられた(p=0.849)。
 グレード3-4の有害事象イベントは、ラムシルマブ併用群221人のうち159人(72%)、プラセボ群225人のうち121人(54%)にみられた。もっともよくみられたグレード3-4の有害事象は、ラムシルマブ併用群では、高血圧(52人[24%]、グレード3のみ)、ざ瘡様皮膚炎(33人[15%])で、プラセボ群では、ざ瘡様皮膚炎(20人[9%])、ALT上昇(17人[8%])だった。

結論:
 エルロチニブ+ラムシルマブは、エルロチニブ単剤と比較して、未治療EGFR遺伝子変異陽性転移性NSCLCに対してPFSを延長させる。安全性については、個々の薬剤の安全性プロファイルに矛盾しない結果であった。



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by otowelt | 2019-10-22 00:13 | 肺癌・その他腫瘍

PD-L1発現レベルが超高値のNSCLC患者ではペムブロリズマブによる治療効果が良好

e0156318_8124310.jpg ロジカルに理解できる内容ですね。 

Aguilar EJ, et al.
Outcomes to first-line pembrolizumab in patients with non-small cell lung cancer and very high PD-L1 expression.
Ann Oncol. 2019 Aug 21. pii: mdz288. doi: 10.1093/annonc/mdz288.


目的:
 PD-L1発現が50%以上の非小細胞肺癌(NSCLC)患者では、白金製剤を用いたレジメンと比較して、PD-L1阻害剤ペムブロリズマブによる1次治療は、生存を改善させることが示されている。PD-L1発現レベルが50~100%の間にあるNSCLC患者に対するペムブロリズマブの利益については、まだよく分かっていない。

患者および方法:
 多施設共同後ろ向き解析で、われわれは、PD-L1発現レベルが50%以上でEGFR遺伝子変異・ALK融合遺伝子陰性のNSCLCの1次治療としてペムブロリズマブの投与を受けた患者において、PD-L1発現レベルが、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)中央値、全生存期間(OS)中央値に与える影響を調べた。

結果:
 187人が解析に組み込まれた。ORRは44.4%(95%信頼区間37.1-51.8%)、PFS中央値は6.5ヶ月(95%信頼区間4.5-8.5%)、OS中央値は未到達だった。ペムブロリズマブに効果がみられた患者のPD-L1発現レベル中央値はSDあるいはPDの患者よりも有意に高かった(90% vs 75%, P < 0.001)。PD-L1発現レベルが50~89%の患者(107人)と比較して、発現レベルが90~100%の患者(80人)のほうが有意にORRが高く(60.0% vs 32.7%, P < 0.001)、PFS中央値が長く(14.5 vs 4.1ヶ月, ハザード比0.50 [95%信頼区間0.33-0.74], P < 0.01)、OS中央値が長かった(未到達 vs 15.9ヶ月, ハザード比0.39 [95%信頼区間0.21-0.70], P = 0.002)。

結論:
 ペムブロリズマブによる1次治療を受けたPD-L1発現レベルが50%以上のNSCLC患者において、PD-L1発現レベルが90%以上の場合臨床アウトカムが有意に改善した。



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by otowelt | 2019-10-16 00:16 | 肺癌・その他腫瘍

メタアナリシス:NSCLC1次治療に用いるカルボプラチンとシスプラチンの比較

e0156318_8124310.jpg この試験数なら敢えてメタアナリシスせずともよかったかもしれません。にしても、やるならコクランでやってほしかったです。

Griesinger F, et al.
Efficacy and safety of first-line carboplatin-versus cisplatin-based chemotherapy for non-small cell lung cancer: A meta-analysis.
Lung Cancer. 2019 Sep;135:196-204.


背景:
 白金製剤ベースの化学療法は、進行性非小細胞肺癌(NSCLC)における1次治療として主に用いられる。この研究の目的は、カルボプラチンベースとシスプラチンベースのNSCLC1次治療の有効性、安全性、健康関連QOLを比較することである。

方法:
 2013年コクラングループのメタアナリシス(Cochrane Database Syst Rev. 2013 Aug 16;(8):CD009256.)をアップデートする形とした。電子データベースから、2013年~2018年の間に発表されたランダム化比較試験を抽出した。白金製剤と併用されたのは、ゲムシタビン、ビノレルビン、ドセタキセル、パクリタキセル、イリノテカン、ペメトレキセド。エンドポイントには全生存(OS)、1年OS、客観的奏効率(ORR)、グレード3/4の有害事象、健康関連QOLが含まれた。

結果: 
 12のランダム化比較試験(2048人)が登録され、メタアナリシスに4139人が組み込まれた。カルボプラチンベースとシスプラチンベースのレジメンにOS(ハザード比1.08, 95%信頼区間0.96-1.21)、1年OS(相対リスク0.97, 95%信頼区間0.89-1.07)の有意差はなかったORRについてはシスプラチンのほうがわずかによかった(相対リスク0.88; 95%信頼区間0.78-0.99)。
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(OS:文献より引用)

 有害事象はいずれにも血小板減少、貧血、神経毒性、嘔気・嘔吐が観察されたが、サイクルベースでは貧血以外に有意差はなかった(貧血はカルボプラチンのほうがリスクが高かった:相対リスク3.94[95%信頼区間1.80-8.65])。患者ベースでは、嘔気・嘔吐はカルボプラチンのほうがリスクが低く、神経毒性はシスプラチンのほうがリスクが低くかった。健康関連QOLについては、両群に差はなかった。
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(グレード3/4有害事象[サイクルベース]:文献より引用)
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(グレード3/4有害事象[患者ベース]:文献より引用)

結論:
 カルボプラチンベースおよびシスプラチンベースのいずれのNSCLC1次治療にもOSの差はなかったが、ORRはシスプラチンベースのほうがわずかに良かった。治療選択の際、毒性プロファイルも考慮すべきである。



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by otowelt | 2019-09-24 00:37 | 肺癌・その他腫瘍

肺癌サバイバーは心血管系疾患リスクが高い

e0156318_10535567.png 以前から言われている知見の1つです。これはどの癌腫でも似た報告がありますね。

Yoon DW, et al.
Increased risk of coronary heart disease and stroke in lung cancer survivors: A Korean nationwide study of 20,458 patients.
Lung Cancer. 2019 Aug 24;136:115-121.


目的:
 肺癌治療の進歩により、肺癌サバイバーは増えた。心血管系疾患(CVD)は非癌死亡の主要な原因の1つとされており、CVDマネジメントは癌サバイバーシップケアの重要な点である。しかしながら、肺癌手術を受けた肺癌サバイバーにおける心血管系リスクのデータは不足している。われわれは、肺癌サバイバーと一般非癌集団の間のCVD発症を比較した。

方法:
 韓国国内健康保険サービスデータベースを用いて、2007年~2013年で20458人の肺癌手術を受けた患者を抽出した。アウトカム変数は、冠動脈性心疾患(CHD)、心筋梗塞(MI)、虚血性脳卒中(IS)、死亡とした。アウトカムは2016年まで追跡された。

結果:
 20458人の肺癌手術を受けた患者と、27321人の非癌コントロール患者を比較した。肺癌サバイバーは、すべての心血管系疾患リスク上昇(補正ハザード比1.27, 95%信頼区間1.19-1.36), CHDリスク上昇(補正ハザード比1.26, 95%信頼区間1.16-1.36)、ISリスク上昇(補正ハザード比1.22, 95%信頼区間1.07-1.39)と関連していた。
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(すべての心血管系疾患リスク:文献より引用)

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(CHDおよびISリスク:文献より引用)

 化学療法および放射線治療は心血管系イベントリスク上昇、CHDリスク上昇、MIリスク上昇と関連していた。1年間および3年間まで心血管系イベントがなかった肺癌サバイバーのいずれにおいても、非癌集団と比較すると心血管系イベントリスク上昇は高かった。

結論:
 一般非癌集団と比較すると、肺癌サバイバーはCHD、ISリスクが高かった。そのため、肺癌サバイバーにおいて、とりわけ化学療法や放射線治療を受ける場合には、心血管系リスクを注意深く評価する必要がある。



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by otowelt | 2019-09-15 00:41 | 肺癌・その他腫瘍

胸膜プラークは肺癌のリスクを上昇させない

e0156318_1553490.png トップジャーナルで塵肺の論文が出るとテンションが上がります。滅多にない出来事なので。

Brims FJ, et al.
Pleural Plaques and the Risk of Lung Cancer in Asbestos-exposed Subjects.
Am J Respir Crit Care Med. 2019 Aug 21. doi: 10.1164/rccm.201901-0096OC.


背景:
 石綿への曝露は、その曝露用量に依存して肺癌リスクを上昇させる。肺癌と胸膜プラークとの関連については議論の余地がある。

目的:
 胸膜プラークと肺癌リスクの関連を調べること。

方法:
 被験者は2コホートから集められた。①クロシドライト(青石綿)鉱山、製粉労働者、ウィッテヌーム住民、②混合石綿繊維、混合石綿従事職コホート。全被験者は1990年から毎年胸部レントゲン写真、低線量CT(LDCT)で評価され、国内がんおよび死亡レジストリとリンクされアウトカムを調べた。年齢で補正したCox回帰を用いて、性別、喫煙歴、石綿曝露、石綿肺および胸膜プラークの有無ごとに肺癌のハザード比を推定した。

※ウィッテヌームは石綿生産で有名な町だった。
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結果:
 4240人の追跡時平均年齢は65.4歳で、3486人(82.0%)が男性だった。1315人(31.0%)が胸膜プラークを有しており、1353人(32.0%)に放射線学的な石綿肺がみられた。3042人(71.7%)が既喫煙者で平均喫煙歴は33pack-yearsだった。
 200人に肺癌が発症した。肺癌のリスクは累積喫煙歴、石綿曝露歴が高いほど、また石綿肺があると高くなった。胸膜プラークは、肺癌のリスクを上昇させなかった(コホート①ハザード比1.03, 95%信頼区間0.64-1.67, p=0.89; コホート②ハザード比0.75, 95%信頼区間0.45-1.25, p=0.28)。

結論:
 胸部画像検査において胸膜プラークがあっても、それがその後の肺癌リスクを上昇させるわけではない。石綿曝露量や強度が異なる2コホートで同様の結論だった。





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by otowelt | 2019-09-12 00:24 | 肺癌・その他腫瘍

EGFR遺伝子陽性NSCLCに対するゲフィチニブ+カルボプラチン+ペメトレキセド

e0156318_8124310.jpg ASCO2019で報告された内容です。

Noronha V, et al.
Gefitinib Versus Gefitinib Plus Pemetrexed and Carboplatin Chemotherapy in EGFR-Mutated Lung Cancer.
J Clin Oncol. 2019 Aug 14:JCO1901154. doi: 10.1200/JCO.19.01154.


背景:
 EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)における標準的な一次治療は、EGFR-TKIである。ここにカルボプラチン+ペメトレキセドによる化学療法を加えることでアウトカム改善するかもしれない。

方法::
 これは、ECOG PS 0-2でEGFR感受性変異を有する未治療の18歳以上の進行NSCLC患者を対象に行われた第III相試験である。患者はランダムにゲフィチニブ単剤投与群(単剤群、1日1回ゲフィチニブ250mgを連日投与)とゲフィチニブ+化学療法群(併用群、ゲフィチニブ250mgを1日1回連日投与、化学療法は3週おきにペメトレキセド500mg/m2とカルボプラチンAUC 5を4サイクル投与、その後は維持療法として3週おきにペメトレキセド500mg/m2を投与)に1:1の割合で割り付けられた。プライマリエンドポイントは無増悪生存期間(PFS)であり、セカンダリエンドポイントとして全生存期間(OS)、奏効率、毒性が設定された。

結果:
 2016年8月から2018年8月までに350人の患者が単剤群(176)と併用群(174人)に割り付けられた。年齢中央値は併用群54歳、単剤群56歳で、男性は併用群51%、単剤群53%だった。喫煙歴については、併用群83%、単剤群85%だった。治療時から脳転移があったのは併用群17%、単剤群19%だった。
 追跡期間中央値は17ヶ月(7-30ヶ月)だった。放射線学的な奏効率は併用群75%、単剤群63%だった(p=0.01)。
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(waterfall plot:文献より引用)
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(waterfall plot:文献より引用)

 推定PFS中央値は、併用群のほうが有意に長かった(16ヶ月[95%信頼区間13.5-18.5ヶ月] vs 8ヶ月[95%信頼区間7.0-9.0ヶ月])(ハザード比0.51[95%信頼区間:0.39-0.66])。OS中央値は、併用群のほうが単剤群よりも有意に長かった(未到達 vs 17ヶ月[95%信頼区間0.31-0.65]、p<0.001)。奏効率は併用群が75.3%(95%信頼区間:68.3-81.1)、単剤群が62.5%(95%信頼区間:55.1-69.3)だった。
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(文献より引用)

 臨床的に確実性のあるグレード3以上の有害事象は、併用群の51%、単剤群の25%にみられた(p<0.001)。

結論:
 EGFR遺伝子変異陽性NSCLC患者に対するゲフィチニブに、カルボプラチン+ペメトレキセドを追加することでPFSとOSは延長するが、毒性が増加する。



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by otowelt | 2019-09-04 00:39 | 肺癌・その他腫瘍