カテゴリ:肺癌・その他腫瘍( 528 )

COMPASS試験:NSCLCに対するベバシズマブ+ペメトレキセド維持療法はベバシズマブ維持療法よりPFSを延長

COMPASS試験:NSCLCに対するベバシズマブ+ペメトレキセド維持療法はベバシズマブ維持療法よりPFSを延長_e0156318_23315230.png 昨年のASCOで発表された既知の内容です。

Seto T, et al.
Randomized Phase III Study of Continuation Maintenance Bevacizumab With or Without Pemetrexed in Advanced Nonsquamous Non-Small-Cell Lung Cancer: COMPASS (WJOG5610L).
J Clin Oncol. 2019 Dec 27:JCO1901494. doi: 10.1200/JCO.19.01494.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)患者は維持療法によって恩恵を受けてきた。COMPASS試験は、カルボプラチン+ペメトレキセド+ベバシズマブで導入した後、ベバシズマブにペメトレキセドを併用あるいは併用しない維持療法の効果と安全性を調べたものである。

方法:
 治療歴がない病期IIIB/IVの非扁平上皮NSCLCの患者で、EGFR野生型、EGFR変異(Del19またはL858R)がないあるいはは不明のものを対象に行われた。導入療法としてカルボプラチン(AUC 6)+ペメトレキセド(500mg/m2)+ベバシズマブ(15mg/kg)の治療を3週ごとに4サイクル行った。その後、1:1の割合でペメトレキセド+ベバシズマブあるいはベバシズマブのいずれかの維持療法を3週ごとに行う群にランダムに割り付けられた。維持療法は病勢進行あるいは毒性中止まで3週ごとに投与された。プライマリエンドポイントはランダム化からの全生存期間(OS)とした。セカンダリエンドポイントとして、無増悪生存期間(PFS)、1次登録(導入療法時点の登録)からのOS・PFS、安全性を設定した。

※導入療法中に増悪していない患者を対象とした維持療法として、当初ベバシズマブ、ペメトレキセド、ベバシズマブ+ペメトレキセドの3群を比較だったがベバシズマブ群とベバシズマブ+ペメトレキセド群の2群に変更された。

結果:
 2010年9月から2015年9月までに907人が登録された(1次登録)。治療を受けなかった患者や適格基準を満たさなかった患者を除外し、COMPASS試験の解析対象は856人となった。599人が2次登録しランダム化された。ベバシズマブ+ペメトレキセド群は298人、ベバシズマブ群は301人だった。
 1次登録患者の年齢中央値は65歳で、全体のうち男性が73%を占め、病期IVが85%、EGFR野生型が90%だった。治療サイクル数の中央値はベバシズマブ+ペメトレキセド群が6サイクル、ベバシズマブ群が4サイクルだった。
 OS中央値は、ベバシズマブ+ペメトレキセド群23.3ヶ月、ベバシズマブ群19.6ヶ月だった(ハザード比0.87、95%信頼区間0.73-1.05、片側層別化log-rank p=0.069)。PFS中央値は、ベバシズマブ+ペメトレキセド群5.7ヶ月、ベバシズマブ群4.0ヶ月だった(ハザード比0.67、95%信頼区間0.57-0.79、両側log-rank p<0.001)で、ベバシズマブ+ペメトレキセド群で有意に延長した。EGFR野生型のサブセット解析では、OSのハザード比は0.82(95%信頼区間0.68-0.99、片側非層別化log-rank p=0.020)だった。
 安全性は過去の臨床試験と一致していた。グレード3以上の好中球数減少がベバシズマブ群の1%、ベバシズマブ+ペメトレキセド群の14%にみられ、高血圧はそれぞれ16.6%と11.7%だった。
 後治療はベバシズマブ群90.8%、ベバシズマブ+ペメトレキセド群83.9%で適用された。最多レジメンはドセタキセルあるいはnab-パクリタキセルだった。

結論:
 プライマリエンドポイントは未達成であったが、ベバシズマブ維持療法にペメトレキセドを追加することで、全体におけるPFSおよびEGFR野生型サブセットにおけるOSは延長した。



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by otowelt | 2020-01-03 00:09 | 肺癌・その他腫瘍

BMIは免疫チェックポイント阻害剤の効果に影響を与える

BMIは免疫チェックポイント阻害剤の効果に影響を与える_e0156318_16432716.png これは初耳でした。ありがとうございます。

Ichihara E, et al.
The impact of body mass index on the efficacy of anti-PD-1/PD-L1 antibodies in patients with non-small cell lung cancer.
Lung Cancer. 2019 Nov 18;139:140-145.


目的:
 悪性黒色腫のような固形癌において、BMIは免疫チェックポイント阻害剤(ICI)の効果と関連していることが報告されている。しかしながら、PD-1/PD-L1阻害剤で治療された非小細胞肺癌(NSCLC)にこの関連があるのかどうか不明である。この研究の目的は、進行NSCLC患者においてBMIとICI治療の効果に関連があるかどうか調べることである。

患者および方法:
 2015年12月から2018年5月までに9施設においてPD-1/PD-L1抗体単独療法を受けたNSCLC患者の診療録を後ろ向きにレビューした。BMIの影響を2つのコホートで検証した。コホート1には、1次治療としてペムブロリズマブ投与を受けたPD-L1発現50%以上のNSCLC患者が組み入れられた。コホート2には、2次治療以降にニボルマブ/ペムブロリズマブ/アテゾリズマブで治療されたNSCLC患者が組み入れられた。

結果:
 9施設から513人が登録され、解析対象となった(コホート1:84人、コホート2:429人)。BMIカットオフ値を、国内で理想BMIとされている22kg/m2に設定した場合、コホート1では無増悪生存期間、全生存期間には差はみられなかったが、コホート2において、生存期間は高BMI群のほうが低BMI群よりも延長した(無増悪生存期間:3.7 vs 2.8ヶ月、p=0.036、全生存期間:15.4 vs 13.5ヶ月、p=0.021)。

結論:
 われわれのコホートでは、2次治療以降にPD-1/PD-L1阻害剤で治療されたNSCLC患者において、BMIとICIの効果に関連がみられた。





by otowelt | 2019-12-27 00:31 | 肺癌・その他腫瘍

IMpower133試験日本人サブグループ解析

IMpower133試験日本人サブグループ解析_e0156318_11251862.png 小細胞肺癌の歴史を変えたIMpower133試験の日本人サブグループ解析です。

・参考記事:IMpower133試験 :ED-SCLCに対する化学療法+アテゾリズマブは全生存期間を延長

Nishio M, et al.
Subgroup Analysis of Japanese Patients in a Phase III Study of Atezolizumab in Extensive-stage Small-cell Lung Cancer (IMpower133).
Clin Lung Cancer. 2019 Nov;20(6):469-476.e1.


背景:
 アテゾリズマブは進展型小細胞肺(ED-SCLC)患者に対して有効で忍容性のよい薬剤であるが、アジア人と白人では治療効果の差異が存在する。今回、IMpower133試験の日本人サブグループ解析結果を報告する。

患者および方法:
 今回の多施設共同二重盲検プラセボ対照ランダム化比較試験の主な適格基準は、18歳以上、組織診、細胞診でED-SCLCと確認されている者、RECIST判定が可能、ECOG PS0~1、ED-SCLCに対する投薬歴がない、である。
 患者はカルボプラチン(AUC 5)+エトポシド(100mg/m2)に、アテゾリズマブ1200mg/bodyあるいはプラセボを併用する治療を受けた。プライマリエンドポイントは、ITT集団における全生存期間(OS)および無増悪生存期間(PFS)である。403人がランダム化され、42人が日本の施設で組み入れられた。

結果:
 日本人サブグループにおけるITT解析では、アテゾリズマブ群(20人)のOS中央値は14.6ヶ月(95%信頼区間11.8-17.8ヶ月)で、プラセボ群(22人)の11.9ヶ月(95%信頼区間8.4-15.8ヶ月)より有意に長かった(ハザード比0.72、95%信頼区間0.31-1.67)。PFS中央値はアテゾリズマブ群4.5ヶ月(95%信頼区間4.2-8.1ヶ月)、プラセボ群4.0ヶ月(95%信頼区間2.9-5.6ヶ月)だった(ハザード比0.47、95%信頼区間0.23-0.96)。アテゾリズマブは全体的に忍容性が良好で、治療関連死はなかった。

結論:
 日本人ED-SCLCに対するカルボプラチン+エトポシド+アテゾリズマブ併用療法は有効かつ忍容性良好だった。この結果は、IMpower133試験全体の主要解析結果と一致していた。



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by otowelt | 2019-12-07 00:57 | 肺癌・その他腫瘍

HOT1302試験:間質性肺疾患合併進行NSCLCに対するカルボプラチン+nab-パクリタキセル

HOT1302試験:間質性肺疾患合併進行NSCLCに対するカルボプラチン+nab-パクリタキセル_e0156318_8124310.jpg 小規模ですが、そもそもエビデンスが少ない領域なので、参考になるデータですね。
 OSのKaplan-Meier曲線の最後は見たくないですが・・・。

Asahina H, et al.
A prospective phase II study of carboplatin and nab-paclitaxel in patients with advanced non-small cell lung cancer and concomitant interstitial lung disease (HOT1302).
Lung Cancer. 2019 Sep 30;138:65-71.


目的:
 非小細胞肺癌(NSCLC)と間質性肺疾患(ILD)を合併した患者は、ILD急性増悪のリスクから多くの抗癌剤治療が選択肢から外れる。この前向き研究において、ILD合併進行NSCLC患者におけるカルボプラチン+nab-パクリタキセルの効果と安全性を検証した。

患者および方法:
 登録患者は、ILDを合併した未治療進行NSCLCである。患者は、カルボプラチン(AUC6)とnab-パクリタキセル(100mg/m2)の治療を3週ごとに4~6サイクル受けた。プライマリエンドポントは客観的奏効率(ORR)とし、セカンダリエンドポイントに毒性、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)が含まれた。

結果:
 2014年4月から2017年9月までに、36人の患者が登録された。男性は26人(72.2%)だった。16人(44.4%)は腺癌、15人(41.7%)が扁平上皮癌、5人(13.9%)がその他の非小細胞肺癌だった。病期IVは半数の18人だった。
 抗癌剤投与サイクル中央値は4(範囲1-6)だった。ORRは55.6%(95%信頼区間39.6-70.5)だった。PFS中央値は5.3ヶ月(95%信頼区間3.9-8.2)、OS中央値は15.4ヶ月(95%信頼区間9.4-18.7)だった。扁平上皮癌の患者は非小細胞癌の患者よりもORR(66.7%[95%信頼区間41.7-84.8] vs. 47.6%[95%信頼区間28.3-67.6]、P = 0.254)、PFS中央値(8.2ヶ月[95%信頼区間4.0-10.2] vs. 4.1ヶ月[95%信頼区間3.3-5.4] 、ハザード比0.60 [95%信頼区間0.30-1.20]; P = 0.15)、OS中央値(16.8ヶ月[95%信頼区間9.8-未到達] vs. 11.9ヶ月[95%信頼区間7.3-17.4] 、ハザード比0.56 [95%信頼区間0.24-1.28]; P = 0.17)が良好だった。2人(5.6%)の患者がグレード2以上の肺臓炎を起こし、1人(2.8%)が死亡した。
HOT1302試験:間質性肺疾患合併進行NSCLCに対するカルボプラチン+nab-パクリタキセル_e0156318_16294049.png
(文献より引用:有効性)
HOT1302試験:間質性肺疾患合併進行NSCLCに対するカルボプラチン+nab-パクリタキセル_e0156318_16313339.png
(文献より引用:Kaplan-Meier曲線)

結論:
カルボプラチン+nab-パクリタキセルは、ILD合併進行NSCLCの患者に対して良好な効果と忍容性を有する。



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by otowelt | 2019-11-14 00:34 | 肺癌・その他腫瘍

オシメルチニブ投与患者にみられる耐性機構

オシメルチニブ投与患者にみられる耐性機構_e0156318_8124310.jpg 既知の知見です。FLAURA試験でもC797S変異とMET増幅が多かったと報告されています。

Mehlman C, et al.
Resistance mechanisms to osimertinib in EGFR-mutated advanced non-small-cell lung cancer: A multicentric retrospective French study.
Lung Cancer. 2019 Sep 28;137:149-156. doi: 10.1016/j.lungcan.2019.09.019.


目的:
 オシメルチニブに対する耐性に関連する組織分子メカニズムを知ることは、EGFR遺伝子変異陽性非小細胞肺癌(NSCLC)の最適な治療戦略を確立するために重要なステップである。

方法:
 EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者に対してオシメルチニブで治療された連続患者を登録した多施設共同後ろ向き研究を解析した。増悪時に血清および腫瘍から検体を採取した。次世代シークエンス(NGS)が全検体におこなわれた。最良の客観的奏効率(PRR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)、増悪後治療の有効性データが抽出された。

結果:
 2015年4月から2018年10月までの間、フランスにおける9の教育病院から226人の患者が登録された。オシメルチニブは、219人(97%)の患者で2次治療以降に適用された。最良ORRは52%で、中枢神経系のORRは56%だった。PFS中央値は9.5ヶ月(IQR 4.0-17.2)、OS中央値は24ヶ月(IQR 12.4-未到達)だった。解析時、150人(66%)の患者が病勢進行していた。73検体(56は腫瘍生検)が得られた。もっともよくみられたのはC797S変異(9人、13%)とMET増幅(8人、11%)だった。組織型変化は5人にみられた(腫瘍生検患者の9%)。T790MがあるNSCLC患者のうち、T790M lossがあったのは68%だった。病勢進行後の治療によるPFS中央値は6.0ヶ月(IQR2.0-10.4)、OS中央値は15.1ヶ月(IQR6.7-未到達)だった。

結論:
 EGFR遺伝子変異陽性進行NSCLC患者におけるオシメルチニブの効果を示した。増悪時に、もっともよくみられた原因はMET増幅とC797S変異だった。



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by otowelt | 2019-10-30 00:48 | 肺癌・その他腫瘍

BRIGALK試験:リアルワールドにおけるブリガチニブの有効性

BRIGALK試験:リアルワールドにおけるブリガチニブの有効性_e0156318_10535567.png アルンブリグが日本で承認されると、ザーコリ、アレセンサ、ジカディア、ローブレナに続いてALK阻害剤は5剤になります。

・参考記事:ALTA-1L試験:ALK阻害剤ナイーブALK陽性NSCLCに対するブリガチニブ

Descourt R, et al.
Brigatinib in patients with ALK-positive advanced non-small-cell lung cancer pretreated with sequential ALK inhibitors: A multicentric real-world study (BRIGALK study).
Lung Cancer. 2019 Aug 14;136:109-114.


目的:
 ブリガチニブは、クリゾチニブ既治療のALK陽性非小細胞肺癌(NSCLC)に対して開発された次世代ALK阻害剤である。

方法:
 この多施設共同後ろ向き研究には、クリゾチニブを含む少なくとも1つのTKIで治療されたことがあるALK陽性進行NSCLC患者が登録された。プライマリエンドポイントは、研究者によって評価された無増悪生存(PFS)である。

結果: 
 104人が登録された(平均年齢56.6歳、非喫煙者61.5%、腺癌98.1%、IV期88.5%)。ALKについて免疫組織化学染色で診断されたのは84%だった。患者は、少なくとも2つのALK阻害剤(主にクリゾチニブ→セリチニブ)を含め中央値3ラインの治療を受けていた。ブリガチニブ開始時、59.1%の患者がPS0-1で、51.9%が3部位以上の転移を有し、74.5%が中枢神経系への転移を有し、8.8%に癌性髄膜腫症がみられた(平均転移数は3.3±1.3部位)。ブリガチニブ治療期間中央値は6.7ヶ月(95%信頼区間0.06-20.7ヶ月)だった。
BRIGALK試験:リアルワールドにおけるブリガチニブの有効性_e0156318_8425567.png
(文献より引用:前治療)

 PFS中央値は6.6ヶ月(95%信頼区間4.8-9.9ヶ月)だった。ブリガチニブ前に、2ライン、3~4ライン、>4ラインの治療を受けていた患者のPFS中央値は、それぞれ4.3ヶ月(95%信頼区間2.5-8.9ヶ月), 10.4ヶ月 (95%信頼区間5.9-13.9ヶ月)、3.8ヶ月 (95%信頼区間0.8-7.4ヶ月)だった。91人の評価可能な患者のうち、疾患制御率は78.2%だった。
BRIGALK試験:リアルワールドにおけるブリガチニブの有効性_e0156318_8463976.png
(PFS:文献より引用)
BRIGALK試験:リアルワールドにおけるブリガチニブの有効性_e0156318_8493544.png
(治療ラインごとのPFS:文献より引用)

 ブリガチニブ開始からの全生存期間中央値は17.2ヶ月(95%信頼区間11.0ヶ月-未到達)だった。ブリガチニブ治療後に病勢進行がみられた患者68人のうち、中枢神経系に病変があったのは29.4%だった。NSCLC診断からの全生存期間中央値は75.3ヶ月(95%信頼区間38.2-174.6ヶ月)だった。

結論:
 複数ラインの既治療を受けたALK陽性進行NSCLC患者コホートにおいて、リアルワールドのブリガチニブの有効性を示した。



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by otowelt | 2019-10-24 00:14 | 肺癌・その他腫瘍

CASPIAN試験:進展型SCLCに対するシスプラチン+エトポシド+デュルバルマブ

CASPIAN試験:進展型SCLCに対するシスプラチン+エトポシド+デュルバルマブ_e0156318_10535567.png 小細胞肺癌においても、こうした併用治療が推奨されていく流れになりましたね。

Paz-Ares L, et al.
Durvalumab plus platinum-etoposide versus platinum-etoposide in first-line treatment of extensive-stage small-cell lung cancer (CASPIAN): a randomised, controlled, open-label, phase 3 trial.
Lancet. 2019 Oct 4. pii: S0140-6736(19)32222-6. doi: 10.1016/S0140-6736(19)32222-6.


背景:
 小細胞肺癌(SCLC)のほとんどの患者は、初診時に進展型(ED)であり、予後不良である。近年、ED-SCLCに対する免疫療法の有効性が示されている。CASPIAN試験は、ED-SCLCの一次治療を対象とした、多施設共同ランダム化非盲検比較試験である。

方法:
 本研究は、23ヶ国209施設で実施された第3相試験である。適格基準を満たすのは、未治療ED-SCLC患者で、WHO PS 0-1で、REICIST判定で病変が測定できるものとした。患者を、1:1:1の割合でデュルバルマブ+化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)、デュルバルマブ+トレメリムマブ(遺伝子組換え)+化学療法、化学療法単独の3群にランダムに割り付けた。すべて点滴静注で治療がおこなわれた。免疫チェックポイント阻害剤と化学療法の併用群における化学療法は4サイクル実施し、化学療法単独群においては最長6サイクルの化学療法および予防的頭蓋内照射(PCI)の実施が認められた。
 プライマリエンドポイントはITT集団における全生存期間(OS)とした。われわれは、中間解析において、デュルバルマブ+化学療法群と化学療法単独群の結果を報告する。

結果:
 患者は2017年3月27日~2018年5月29日までに登録され、268人がデュルバルマブ+化学療法群、269人が化学療法群に割り付けられた。デュルバルマブ+化学療法群はOSを有意に延長させた(ハザード比0.73、95%信頼区間0.59-0.91; p=0.0047)。OS中央値は、デュルバルマブ+化学療法群で13.0ヶ月(95%信頼区間9.3-11.2)、化学療法群10.3ヶ月(95%信頼区間9.3-11.2ヶ月)だった。18ヶ月時点での生存率は、それぞれ34%、25%だった。
CASPIAN試験:進展型SCLCに対するシスプラチン+エトポシド+デュルバルマブ_e0156318_1095818.png
(OS:文献より引用)

 グレード3-4の有害事象イベントは、デュルバルマブ+化学療法群の163人(62%)、化学療法群の166人(62%)にみられた。死亡にいたったのはそれぞれ5%、6%だった。

結論:
 ED-SCLCの患者において、デュルバルマブ+化学療法(エトポシドおよびシスプラチンまたはカルボプラチン)は、化学療法単独と比較してOSを有意に延長させる。安全性プロファイルは、個々の薬剤で報告されているものと矛盾しない。



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by otowelt | 2019-10-23 00:51 | 肺癌・その他腫瘍

RELAY試験:EGFR陽性NSCLCに対するエルロチニブ+ラムシルマブ

RELAY試験:EGFR陽性NSCLCに対するエルロチニブ+ラムシルマブ_e0156318_10535567.png RELAY試験の論文を読みました。

Nakagawa K, et al.
Ramucirumab plus erlotinib in patients with untreated, EGFR-mutated, advanced non-small-cell lung cancer (RELAY): a randomised, double-blind, placebo-controlled, phase 3 trial.
Lancet Oncol. 2019 Oct 4. pii: S1470-2045(19)30634-5. doi: 10.1016/S1470-2045(19)30634-5.


背景:
 EGFR遺伝子変異陽性転移性非小細胞肺癌(NSCLC)におけるEGFRおよびVEGF経路を両方阻害することは、臨床前および臨床データで支持されているが、まだ広く認識されていない。
 RELAY試験は、EGFR変異(Exon19deあるいはExon21 L858R)を有し、脳転移のない、未治療の進行NSCLC患者を対象とした、EGFR-TKIであるエルロチニブとVEGFR2アンタゴニストであるラムシルマブの併用を、エルロチニブ+プラセボと比較した第3相二重盲検ランダム化比較試験である。

方法:
 13ヶ国の100の病院・クリニック・医療センターから患者が登録された。適格基準は、登録時に18歳以上(日本と台湾は20歳以上)で、Ex19delあるいはL858Rが陽性の、ECOG PS0-1のNSCLC患者で、中枢神経系転移を有さないものとした。登録患者は1:1の割合で、エルロチニブ(150mg/日)+ラムシルマブ(10mg/kg、2週ごと投与)群と、エルロチニブ(150mg/日)+プラセボ群にランダムに割り付けられた。登録患者は性別、国地域、EGFR変異ステータス、EGFR遺伝子変異検査法で層別化された。
 プライマリエンドポイントは、治験医師の評価によるITT集団での無増悪生存期間(PFS)とした。セカンダリエンドポイントは、奏効率(ORR)、奏効持続期間、PFS2(ランダム化から2度目の病勢進行あるいは全死因死亡までの期間)、全生存期間(OS)、血漿T790M変異、安全性などとした。

結果:
 2016年1月28日~2018年2月1日までに、449人の患者がランダム化され、ラムシルマブ併用群224人、プラセボ群に225人が割り付けされた。女性は両群で63%、アジア人は両群で77%(日本人211人)、年齢中央値はそれぞれ65歳、64歳だった。EGFR遺伝子変異のうちEx19delはそれぞれ55%、54%だった。追跡期間中央値は20.7ヶ月(IQR15.8-27.2)だった。プライマリ解析では、PFSはラムシルマブ併用群のほうが有意に延長していた(19.4ヶ月 [95%信頼区間15.4-21.6] vs 12.4ヶ月[95%信頼区間11.0-13.5]、ハザード比0.59 (95%信頼区間0.46-0.76; p<0·0001)。EGFR変異のステータスで層別化しても、ラムシルマブ併用群でPFSが有意に延長していた(Ex19del:19.6ヶ月 vs 12.5ヶ月、ハザード比0.651、95%信頼区間0.469-0.903、L858R:19.4ヶ月 vs 11.2ヶ月、ハザード比0.618、95%信頼区間0.437-0.874)。1年PFS率は、ラムシルマブ併用群が71.9%、プラセボ群が50.7%だった。盲検下独立中央判定によるPFS評価でも、ハザード比0.671(95%信頼区間0.518-0.869、p=0.0022)と有意だった。
 セカンダリエンドポイントであるPFS2は、ラムシルマブ併用群においてプラセボ群より有意に延長していた。PFS2中央値は、併用群、プラセボ群ともに未到達で、ハザード比は0.690(95%信頼区間0.490-0.972)であった(p=0.03)。OSは未到達、ハザード比は0.832(95%信頼区間:0.532-1.303)(p=0.4209)。ベースライン時にT790M変異陽性の患者はいなかったが、病勢進行30日後の測定では、ラムシルマブ併用群43%、プラセボ群47%で発現がみられた(p=0.849)。
 グレード3-4の有害事象イベントは、ラムシルマブ併用群221人のうち159人(72%)、プラセボ群225人のうち121人(54%)にみられた。もっともよくみられたグレード3-4の有害事象は、ラムシルマブ併用群では、高血圧(52人[24%]、グレード3のみ)、ざ瘡様皮膚炎(33人[15%])で、プラセボ群では、ざ瘡様皮膚炎(20人[9%])、ALT上昇(17人[8%])だった。

結論:
 エルロチニブ+ラムシルマブは、エルロチニブ単剤と比較して、未治療EGFR遺伝子変異陽性転移性NSCLCに対してPFSを延長させる。安全性については、個々の薬剤の安全性プロファイルに矛盾しない結果であった。



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RELAY試験:EGFR陽性NSCLCに対するエルロチニブ+ラムシルマブ_e0156318_8184968.png

by otowelt | 2019-10-22 00:13 | 肺癌・その他腫瘍

PD-L1発現レベルが超高値のNSCLC患者ではペムブロリズマブによる治療効果が良好

PD-L1発現レベルが超高値のNSCLC患者ではペムブロリズマブによる治療効果が良好_e0156318_8124310.jpg ロジカルに理解できる内容ですね。 

Aguilar EJ, et al.
Outcomes to first-line pembrolizumab in patients with non-small cell lung cancer and very high PD-L1 expression.
Ann Oncol. 2019 Aug 21. pii: mdz288. doi: 10.1093/annonc/mdz288.


目的:
 PD-L1発現が50%以上の非小細胞肺癌(NSCLC)患者では、白金製剤を用いたレジメンと比較して、PD-L1阻害剤ペムブロリズマブによる1次治療は、生存を改善させることが示されている。PD-L1発現レベルが50~100%の間にあるNSCLC患者に対するペムブロリズマブの利益については、まだよく分かっていない。

患者および方法:
 多施設共同後ろ向き解析で、われわれは、PD-L1発現レベルが50%以上でEGFR遺伝子変異・ALK融合遺伝子陰性のNSCLCの1次治療としてペムブロリズマブの投与を受けた患者において、PD-L1発現レベルが、奏効率(ORR)、無増悪生存期間(PFS)中央値、全生存期間(OS)中央値に与える影響を調べた。

結果:
 187人が解析に組み込まれた。ORRは44.4%(95%信頼区間37.1-51.8%)、PFS中央値は6.5ヶ月(95%信頼区間4.5-8.5%)、OS中央値は未到達だった。ペムブロリズマブに効果がみられた患者のPD-L1発現レベル中央値はSDあるいはPDの患者よりも有意に高かった(90% vs 75%, P < 0.001)。PD-L1発現レベルが50~89%の患者(107人)と比較して、発現レベルが90~100%の患者(80人)のほうが有意にORRが高く(60.0% vs 32.7%, P < 0.001)、PFS中央値が長く(14.5 vs 4.1ヶ月, ハザード比0.50 [95%信頼区間0.33-0.74], P < 0.01)、OS中央値が長かった(未到達 vs 15.9ヶ月, ハザード比0.39 [95%信頼区間0.21-0.70], P = 0.002)。

結論:
 ペムブロリズマブによる1次治療を受けたPD-L1発現レベルが50%以上のNSCLC患者において、PD-L1発現レベルが90%以上の場合臨床アウトカムが有意に改善した。



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PD-L1発現レベルが超高値のNSCLC患者ではペムブロリズマブによる治療効果が良好_e0156318_8184968.png

by otowelt | 2019-10-16 00:16 | 肺癌・その他腫瘍

メタアナリシス:NSCLC1次治療に用いるカルボプラチンとシスプラチンの比較

メタアナリシス:NSCLC1次治療に用いるカルボプラチンとシスプラチンの比較_e0156318_8124310.jpg この試験数なら敢えてメタアナリシスせずともよかったかもしれません。にしても、やるならコクランでやってほしかったです。

Griesinger F, et al.
Efficacy and safety of first-line carboplatin-versus cisplatin-based chemotherapy for non-small cell lung cancer: A meta-analysis.
Lung Cancer. 2019 Sep;135:196-204.


背景:
 白金製剤ベースの化学療法は、進行性非小細胞肺癌(NSCLC)における1次治療として主に用いられる。この研究の目的は、カルボプラチンベースとシスプラチンベースのNSCLC1次治療の有効性、安全性、健康関連QOLを比較することである。

方法:
 2013年コクラングループのメタアナリシス(Cochrane Database Syst Rev. 2013 Aug 16;(8):CD009256.)をアップデートする形とした。電子データベースから、2013年~2018年の間に発表されたランダム化比較試験を抽出した。白金製剤と併用されたのは、ゲムシタビン、ビノレルビン、ドセタキセル、パクリタキセル、イリノテカン、ペメトレキセド。エンドポイントには全生存(OS)、1年OS、客観的奏効率(ORR)、グレード3/4の有害事象、健康関連QOLが含まれた。

結果: 
 12のランダム化比較試験(2048人)が登録され、メタアナリシスに4139人が組み込まれた。カルボプラチンベースとシスプラチンベースのレジメンにOS(ハザード比1.08, 95%信頼区間0.96-1.21)、1年OS(相対リスク0.97, 95%信頼区間0.89-1.07)の有意差はなかったORRについてはシスプラチンのほうがわずかによかった(相対リスク0.88; 95%信頼区間0.78-0.99)。
メタアナリシス:NSCLC1次治療に用いるカルボプラチンとシスプラチンの比較_e0156318_1214453.png
(OS:文献より引用)

 有害事象はいずれにも血小板減少、貧血、神経毒性、嘔気・嘔吐が観察されたが、サイクルベースでは貧血以外に有意差はなかった(貧血はカルボプラチンのほうがリスクが高かった:相対リスク3.94[95%信頼区間1.80-8.65])。患者ベースでは、嘔気・嘔吐はカルボプラチンのほうがリスクが低く、神経毒性はシスプラチンのほうがリスクが低くかった。健康関連QOLについては、両群に差はなかった。
メタアナリシス:NSCLC1次治療に用いるカルボプラチンとシスプラチンの比較_e0156318_1262897.png
(グレード3/4有害事象[サイクルベース]:文献より引用)
メタアナリシス:NSCLC1次治療に用いるカルボプラチンとシスプラチンの比較_e0156318_1214785.png
(グレード3/4有害事象[患者ベース]:文献より引用)

結論:
 カルボプラチンベースおよびシスプラチンベースのいずれのNSCLC1次治療にもOSの差はなかったが、ORRはシスプラチンベースのほうがわずかに良かった。治療選択の際、毒性プロファイルも考慮すべきである。



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by otowelt | 2019-09-24 00:37 | 肺癌・その他腫瘍