カテゴリ:内科一般( 88 )

重症貧血のある患者に術中輸血をすることは死亡率・罹患率のリスク

輸血をしないことの出血のリスクが当然あるので、
論文を読み違えないようにしたい。
慢性貧血の患者には手術といえど積極的に輸血をしない方がよいということだろうか。

Association between Intraoperative Blood Transfusion and Mortality and Morbidity in Patients Undergoing Noncardiac Surgery
Anesthesiology. 114(2):283-292, February 2011.


背景:
 貧血のある患者の非心臓手術における術中の赤血球輸血の
 アウトカムについてはよくわかっていない。このスタディの目的は
 重症貧血(Ht30未満)の患者の術中輸血(1ないし2単位)と、
 死亡率と罹患率の関連性を調べることである。

方法:
 これは、10100人の一般外科、血管、整形外科手術を受けた患者における
 輸血と30日死亡率・罹患率のレトロスペクティブ解析である。
 われわれは、30日死亡率・罹患率の多変量ロジスティック回帰モデルを推定した。

結果:
 術中の赤血球輸血は死亡リスクと関連していた(OR, 1.29; 95%CI, 1.03–1.62)。
 術中輸血を受けた患者は呼吸器、敗血症性、創部、血栓塞栓の合併症を
 より起こしやすかった。
 呼吸器合併症(OR, 1.76; 95% CI, 1.48 –2.09),
 敗血症性合併症(OR,1.43; 95% CI, 1.21–1.68),
 血栓塞栓性合併症(OR, 1.77; 95% CI, 1.32–2.38)、
 創部合併症(OR, 1.87; 95% CI, 1.47–2.37)。
重症貧血のある患者に術中輸血をすることは死亡率・罹患率のリスク_e0156318_9216.jpg
結論:
 重症貧血患者に一般外科手術中に赤血球輸血をおこなうことは、
 死亡・罹患リスクを高める。

by otowelt | 2011-01-27 07:04 | 内科一般

リバスチグミンはせん妄期間を短縮しないだけでなく、死亡率も増加させる

アリセプトとよく似た薬、エキセロンのスタディ。
せん妄に対する効果が期待されたが、効果は証明されなかった。

Effect of rivastigmine as an adjunct to usual care with haloperidol on duration of delirium and mortality in critically ill patients: a multicentre, double-blind, placebo-controlled randomised trial
The Lancet, Volume 376, Issue 9755, Pages 1829 - 1837, 27 November 2010


背景:
 重症患者においてせん妄はしばしば認められ、有害である。
 せん妄の発生に、アセチルコリン神経伝達の障害が重要であると考えられており、
 重症患者に発症したせん妄期間の長さに対するコリンエステラーゼ阻害薬である
 リバスチグミン(rivastigmine)の影響を評価した。

方法:
 登録されたオランダのICUでせん妄と診断された患者で、
 2008年11月~2010年1月まで治療。患者はランダム化され、
 リバスチグミン(1.5-6mg1日2回/day)あるいはプラセボが、
 低用量のハロペリドールに追加投与された。プライマリエンドポイントは
 入院中のせん妄期間。

結果:
 440例が登録予定だったが、104例目の患者が登録された後に、
 リバスチグミン投与群の死亡率(22%)がプラセボ群(8%)よりも
 高いために臨床試験は途中段階で中止された。
 この段階での解析において、リバスチグミン群のせん妄期間中央値は5日、
 プラセボ群では3日だった。

結論:
 リバスチグミンはせん妄期間を短縮しないだけでなく、死亡率も増加させる。
 重症患者のせん妄に対してリバスチグミンの使用は推奨されない。

by otowelt | 2010-11-29 06:53 | 内科一般

比較的徐脈の定義

●メモ:比較的徐脈の定義

○Cunhaによる定義
  体温  脈拍
 38.3℃  110以下
 38.9℃  120以下
 39.4℃  120以下
 40.1℃  130以下
 40.7℃  140以下
 41.1℃  150以下

上記の基準を満たすもののうち、以下を満たすものを”比較的徐脈”と定義する。
※ただし、不整脈やブロック、β遮断薬内服者は除外する。
1.13歳以上
2.体温は38.9℃以上
3.脈拍と体温上昇時に同時に測定されている
Cunha BA: Diagnostic significancer of relative bradycardia. Infect Dis Pract 21: 38-40, 1997.

○McGeeによる定義
 脈拍が、体温(℃)×10-323 を下回ること

by otowelt | 2010-10-19 13:24 | 内科一般

代替アウトカムの理由について妥当性のある論文は少ない

BMJから臨床試験に関する提言のような
論文が出たため、いろいろな医療サイトで話題になっている。

Inconsistent reporting of surrogate outcomes in randomised clinical trials: cohort study.
BMJ 2010 Aug 18;341:c3653. doi: 10.1136/bmj.c3653.


背景および目的:
 ランダム化臨床試験に関する論文の著者が、代替アウトカムの使用を
 言及しているか、その妥当性を考察しているかについて検討する
 コホート研究をおこなった。

方法:
 2005~2006年に発行された医学雑誌6誌である
 JAMA、New England Journal of Medicine、Lancet、BMJ、
 Annals of Internal Medicine、PLoS Medicineに掲載された
 ランダム化臨床試験のうち、プライマリアウトカムとして
 代替アウトカムを用いた試験を抽出。

結果:
 2年間に6誌に掲載されたランダム化臨床試験の論文の総数は626。
 うち、109(17%)がプライマリアウトカムとして代替アウトカムを使用。
 109のうち、代替アウトカムの使用を明確に記載していたのは62コ
 (57%、95%CI47~67%)であった。
 また、代替アウトカム使用の妥当性について考察を加えていたのは38コ
 (35%、95%信頼区間:26~45%)であった。

結論:
 代替アウトカムを用いたランダム化臨床試験は多いが、その使用について
 妥当性の考察とともに明記した試験は全体の1/3にすぎなかった。

by otowelt | 2010-09-05 18:49 | 内科一般

インクレチン関連薬

インクレチン関連薬を服用している患者さんが出始めたので
ステロイドを使用する頻度も多く、結核患者も多い呼吸器内科医は
勉強する必要があるだろう。

インクレチン関連薬_e0156318_21175492.jpg
インクレチンとは膵β細胞からのインスリン分泌を促すホルモンで、
現在確認されているものは
・小腸下部L細胞から分泌:グルカゴン様ペプチド(GLP-1)
・小腸上部K細胞から分泌:グルコース依存性インスリン分泌刺激ペプチド (GIP)

の2種類である。
しかし、これらのホルモンは放出されるとジペプチジルペプチダーゼ4(DPP-4)
によって2分で分解されてしまうため、インクレチン自体は治療薬にできなかった。
インクレチン関連薬_e0156318_21554218.jpg
                  Endocrinology 1999,140; 5356-5363
そのため、
1. GLP-1の分解を抑制し自分のGLP-1を働かせて血糖値を下げる(DPP-4阻害剤)
2. GLP-1の類似薬だがDPP4で分解されにくい(GLP-1アナログ製剤)

という2剤が現在のインクレチン関連薬の主流となった。

理論上は、既存の糖尿病治療薬と比較して、
・血糖値に応じてインスリンが分泌されるので、低血糖がおきにくい。
・体重が増えにくい
・β細胞の保護作用がある
   と考えられている。

1.ジペプチジルペプチターゼ‐4(DPP-4)阻害薬
 DPP-4はインクレチンの分解酵素である。
 SU薬との併用で重篤な低血糖症状が出現し、意識消失を来した症例も報告されている
 ので臨床医は低血糖に注意しなければならない。
 (DPP4阻害薬による低血糖は内服開始10日以内が多い)
 ・シタグリプチン(ジャヌビア、グラクティブ)
 ・ビルダグリプチン(エクア)
 ・ネシーナ(アログリプチン)

2.グルカゴン様ペプチド-1(GLP-1)アナログ
  メトホルミン+SUでも至適な血糖コントロールを得られない場合、
  もうピオグリタゾンを加えるのでないならインスリンを使用するしかない状況下で
  インスリン・グラルギン(ランタス)とほぼ同じだけの効果を示すとされている。

 ・リラグルチド(ビクトーザ)
  代表的なインクレチンであるヒトGLP-1(グルカゴン様ペプチド-1)のアナログ製剤。
  GLP-1は、小腸L細胞から分泌され、末梢では膵β細胞でのインスリン分泌を促進。
  膵α細胞でのグルカゴン分泌を抑制し、中枢では摂食抑制ホルモンとして作用する。
  ビクトーザはGLP-1の作用を、1日1回の皮下注射で補う薬剤。
  シタグリプチンよりも血糖降下作用が大きい。
                Lancet 2010;24;375(9724):1410-1412 
  エクセナチドの作用は投与後8時間でベースに戻るが、リラグルチドは
  24時間持続するという結果も報告されている
               ADA2009(Roasenstock et al.)

 ・エクセナチド(バイエッタ)
  エキセナチドは、1日2回投与で、経口糖尿病治療薬との併用で使用される。
  HbA1c値や血圧、LDL-コレステロールの低下作用および体重の減少作用が報告。
               ADA2009(Horton et al., Arnolds et al.)

by otowelt | 2010-08-28 20:54 | 内科一般

首吊り自殺未遂者は、再自殺に成功しやすい

救急で搬送される患者の自殺未遂はほとんどOD(オーバードーズ)か飛び降り
だった記憶がある。首吊り自殺は搬送されずに死亡確認されることが多いが、
救急車でそういった患者が搬送されて救命できた場合、
自殺完遂を防ぐ手立てを講じる必要があると考えられる。

Method of attempted suicide as predictor of subsequent successful suicide: national long term cohort study
BMJ 2010;340:c3222


背景:
 未遂の自殺方法とその後の自殺既遂リスクの関連を検討するため、
 21年~31年のフォローアップによる長期コホート研究を実施した。

方法:
 1973~1982年の入院患者のうち過去に自殺未遂歴のある48649人について、
 1973~2003年までの自殺既遂状況を調査。

結果:
 期間中に5740人(12%)が自殺。
 アウトカムが最も不良だったのは、以前未遂に終わった自殺の方法が
 首つり、絞首、窒息の自殺者であった。これらの群の男性:54%、女性:57%が
 その後の自殺に成功しており、そのうちの87%は自殺未遂後1年以内に目標を達成。
 (HR6.2, 95%CI 5.5 to 6.9)
首吊り自殺未遂者は、再自殺に成功しやすい_e0156318_0145914.jpg
結論:
 自殺成功者のほとんどが、未遂に終わった自殺の方法と同じ方法で死亡した。
 首つり、絞首、窒息の自殺者の次回自殺成功率は高い。

by otowelt | 2010-08-07 00:19 | 内科一般

グルコースセンサー付インスリンポンプは1型糖尿病に有用

特に1型糖尿病においては、持続的に血糖を測定する
こと(CGM)の有用性が明らかになってきている。
CGM関連のスタディはいくつかある。
1.GuardControl Trial:CGM VS 強化インスリン
2.STAR 1 Trial:CGM+インスリンポンプ VS インスリンポンプ
3.JDRF-Funded Studies:今回のスタディもJDRFの提供を受けている
4.REAL Trend Study:CGM VS MDI
5.EURYTHMICS Study:CGM VS MDI
6.ONSET Trial:発症時からCGM使用

Effectiveness of Sensor-Augmented Insulin-Pump Therapy in Type 1 Diabetes
N Engl J Med 2010; 363 : 311 - 20


背景:
 1型糖尿病のために近年開発された機械に、多くのインスリンポンプや
 グルコースセンサー搭載のインスリンポンプなどがある。

方法:
 多施設共同ランダム化対照試験において、コントロール不良1型糖尿病患者
 485例(成人:329例、小児:156 例)を対象とした。センサー付の
 インスリンポンプ療法と、1日に複数回注射するインスリンレジメンの有効性を比較。
 プライマリエンドポイントは、HbA1c値のベースラインからの変化。

結果:
 平均HbA1cは介入時ともに8.3%であったが、1年後
 ポンプ群では7.5%に、インスリン注射群では8.1%に低下した(P<0.001)。
 HbA1cが7%未満に達した患者は、ポンプ群のほうがインスリン注射群より
 高かった。重症低血糖は、ポンプ群(13.31件/100人年)とインスリン注射群
 (13.48件/100人年)で有意差はなし(P=0.58)。

結論:
 コントロール不良1型糖尿病患者は、グルコースセンサー付インスリンポンプの
 方がインスリン複数注射レジメン群よりもHbA1cが有意に改善。

by otowelt | 2010-07-22 16:12 | 内科一般

低IQの精神症状のない成人男性において自殺企図リスクは高い

スタディの人数がものすごい。

Psychosis alters association between IQ and future risk of attempted suicide: cohort study of 1 109 475 Swedish men
BMJ 2010;340:c2506


目的:
 成人におけるIQの測定と、その後の自殺企図の関連性を調べる。
 精神症状の役割を明らかにし、IQと自殺方法についての関連性を説明する。

デザイン:コホ-トスタディ

患者および方法:
 1109475人のスウェーデン人男性におけるIQ測定を成人早期に行い、
 平均24年間フォローした。 主要転帰項目は、自殺企図における入院。

結果:
 17736人(1.6%)が自殺企図によって最低でも1回入院した。
 年齢調整および社会的なステーテタスによる調整をおこなったところ、
 低いIQスコアは自殺企図のリスクを上昇させた。
 (HR per standard deviation decrease in IQ=1.57, 95%CI 1.54-1.60)
  すべてのIQにおいて段階的にリスクは増加 (P for trend<0.001)する。
 同様の経口がいかなる自殺方法においても認められた。
 個別解析で、IQと自殺企図の相関は、精神症状がない患者に限定されている。
 また、IQは精神症状がある患者では自殺企図に影響を与えないことがわかった。
低IQの精神症状のない成人男性において自殺企図リスクは高い_e0156318_23561457.jpg
結論:
 IQスコアが低い場合、精神症状のない成人男性において自殺企図リスクを上昇。

by otowelt | 2010-06-18 23:57 | 内科一般

劇症1型糖尿病

先日の救急のバイトで、劇症1型糖尿病かと思われる症例を
みかけたので、個人的にまとめてみる。
HbA1cが5.7なのに、血糖値1380という数字に度肝を抜いた。

●劇症1 型糖尿病とは
 非常に急速に進行し、インスリン分泌が短期間で枯渇する1型糖尿病。
 2000年に日本から発表された。
 急性発症1 型糖尿病の約20%にのぼり、臨床的特徴として
 ①高血糖に比しHbA1c が低値であること
 ②糖尿病関連自己抗体が陰性であること
 ③発症時に膵外分泌酵素が上昇しており、尿中Cペプチドが発症時にすでに低値
  でインスリン分泌が枯渇している
 という点である。
           Nat Clin Pract Endocrinol Metab. 2007; 3: 36-45.
劇症1型糖尿病_e0156318_23172693.jpg
●診断基準:2004 年に糖尿病学会
 ①発症一週間以内でケトーシスあるいはケトアシドーシスに陥る
  (初診時の尿中あるいは血中ケトン体陽性)
 ②初診時の血糖値が288mg/dl 以上でありHbA1c 値<8.5%
 ③発症時の尿中Cペプチド<10μg/ 日、または空腹時血清Cペプチド<0.3ng/ml
  かつグルカゴン負荷後(または食後2 時間)血清Cペプチド<0.5ng/ml
                糖尿病. 2005; 48 (Supple): A1-A13.

●病因
 劇症1型糖尿病患者では、約70 %の症例に発熱,上気道炎など風邪症状を伴う
 ことから、ウイルス感染は単なる随伴病ではなく糖尿病発症の原因であることが
 疑われている。
 ヒトの1 型糖尿病に関連するウイルスとしては、コクサッキーB群ウイルス、
 風疹ウイルス、ムンプスウイルス、サイトメガロウイルス、EBウイルス、
 水痘帯状ウイルス、ヒトヘルペスウイルス6(HHV6)、レトロウイルス、
 ロタウイルスなどが挙げられる。

●初診時症状
 口渇が90%にみられる。
 特徴的なのは、上気道炎症状(71.7%)や嘔吐・腹痛などの
 消化器症状(72.5%)がみられることである。
                 Diabetes Care. 2003;26: 2345-52.
 意識障害も45.2%の症例で認められるが、基本的に1型糖尿病では
 劇症型でないものに関しては5.3%にしかみられない。
劇症1型糖尿病_e0156318_2321998.jpg
●治療
 早期に診断され、大量輸液インスリンの補充が行われれば予後良好である。
 発見されたときに重篤な糖尿病性ケトアシドーシスを起こしている場合が
 あるので、発症して1両日以内の対応が重要である。

by otowelt | 2010-05-11 10:56 | 内科一般

DLSTは薬剤アレルギーに有用なのか?

呼吸器内科医はMTX肺炎(のような症例)に遭遇することが多いが、
MTX肺炎疑いに、MTXのDLSTを提出することは無意味である。
これはMTX-DLSTの陽性所見に意味がないという、
積み重ねてきたデータがあるためである
MTX服用RA患者のうち、何の有害事象もない患者の58%がDLST陽性)。
基本的に呼吸器学会も、DLST陽性は重要視していない。
あまりに偽陽性が多いため、誤診を招く可能性があるためだ。
薬剤性肺障害の評価,治療についてのガイドライン.第1 版.メディカルレビュー社,東京,2006.

そもそも、どの論文もガイドラインも、”DLST自体の解釈には注意を要する
というなんとも曖昧な指針を出しているのみで、
偽陽性という問題を孕んでいるような不完全な検査であれば
最初から”使うべきではない”とすべきである。
MTXのよう症例が集まればそれはそれでよいが、
1つ1つの薬剤にDLSTのエビデンスを作ることは不可能なので
DLSTそのものの有用性を中途半端な位置づけにしないでほしいものだ。

●薬剤性肺炎診断基準
①原因となる薬剤の摂取歴がある
②薬剤に起因する臨床病型の報告がある
③他の原因疾患が否定される
④薬剤の中止により病態が改善する
⑤再投与により増悪する
以上を満たすものとする。
薬剤性肺障害の評価,治療についてのガイドライン.第1 版.メディカルレビュー社,東京,2006.

●DLSTの依頼
ある検査会社の公開データでは、
3年間のDLST 依頼順位100位以内の薬物で
DLST 陽性率の高いベスト3は、
1.リウマトレックス®(77%)
2.TS-1®(75%)
3.ウコン(71%)
であった。
日本内科学会雑誌2007;96(9)

このうち、リウマトレックス®(MTX)では
DLSTの偽陽性が高率に起こることが報告されている。
Allergy Clin Immunol Int 2005; 17: 156―161

●関節リウマチとMTX肺炎
MTXを服用したことのない関節リウマチ患者10例
およびMTX を服用中であるが何の有害事象も認めない
関節リウマチ患者16例で、リウマトレックス®のDLSTを施行したところ
26 例中15 例(58%)で陽性であったとのことである。
DLSTは、患者リンパ球に薬物を添加してその芽球化を添加した
3H-チミジンの取り込みから判断する検査であるが、
MTX がチミジンのde novo 合成を阻害して細胞内のチミジンプールを
枯渇させるため、MTX を添加した細胞が外因性の3H-チミジンを
取り込んでしまうために、見かけ上DLST が陽性になるのかもしれない。
フルオロウラシルでも同様の機序でDLST の偽陽性がおこる。

●DLST陽性の解釈
DLST は一律にStimulation Index が180% 未満が陰性、
180~200% が偽陽性、200%以上を陽性としている。
DLST陽性であれば薬剤性肺炎の有用な根拠と”なりうる”(ただしMTXは上述のように
DLST陽性をその薬剤性肺炎の根拠とはしない)。
DLSTが重要視されているが、その解釈についてはなんともいえない。
結論としては、有用かどうかすら定かでないあやふやな検査と個人的に考えている。

by otowelt | 2010-03-02 00:04 | 内科一般