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出版のお知らせ:その呼吸器診療 本当に必要ですか?

 2019年1月21日に「その呼吸器診療 本当に必要ですか?: あるのかないのかエビデンス」という本を医学書院から出版します。若手の内科医あるいは呼吸器科医の層を意識して書きました。

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発売日:2019年1月21日
単行本 : 336ページ
価格 : 4,200円 (税別)
出版社 : 医学書院
著者 : 倉原 優 (国立病院機構近畿中央呼吸器センター内科)

e0156318_13141310.jpgAmazonから予約/購入する 

 私は、EBM黎明期に研修医をしていたので、エキスパートオピニオンがまだ臨床に半分くらい根付いている中で育ちました。難治性の喘息発作に対して「喘鳴とれないならラシックス®かませとけ!」と指示されたこともあります。

 そのため「エビデンスはありつつもエキスパートとしてはこう考える」という見解にはそれなりに寛容だと自覚しています。しかし、今の若手医師は、なかなか首を縦に振ってくれません。ここ最近、「それって何かエビデンスがあるんですか?」と若手医師から曇りなき眼(まなこ)で問われることが増えました。

 臨床試験の結論とエキスパートの意見が共存する呼吸器診療のテーマを1つずつ挙げていき、私なりに1つの回答を提示してみました。決して誤解しないでいただきたいのは、私は他者の診療を批判するつもりは毛頭なく、あくまで私自身の中で自問自答していることを文章化しただけにすぎないということです。満点の回答など存在しないテーマばかりです。見る人が見たら、私なんて赤点かもしれません。

 10年以上がむしゃらに呼吸器内科医をやってきて、教科書に書かれてあったりネットで入手できたりする知見を書くのではなく、Pros/Consのあるテーマに突撃するフェーズと腹をくくりました。

 装丁のデザインは、中学・高校6年間をともに学んだクラスメイトであり、世界を舞台に活躍するテキスタイルデザイナー・アーティストの谷川幸さん(下写真:C.a.w Design Studio代表)にお願いしました。彼女にデザインしてもらうのは、私の書籍では3冊目になります。
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by otowelt | 2019-01-17 00:41 | その他

クリスマスBMJ2018:パラシュート装着・非装着で飛行機からジャンプするランダム化比較試験

e0156318_938222.png 世界で初めての研究だそうです。スベっている感は否めない。

Robert W Yeh, et al.
Parachute use to prevent death and major trauma when jumping from aircraft: randomized controlled trial
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k5094


目的:
 航空機からジャンプしたとき、パラシュートの装着が死亡や主要外傷を予防することができるか調べた。
 
デザイン:
 ランダム化比較試験。

セッティング:
 2017年9月から2018年8月までのプライベートあるいは民間航空機。

参加者:
 18歳以上の92人の航空機乗客が参加スクリーニングを受けた。23人が同意し、ランダム化された。

介入:
 航空機(飛行機あるいはヘリコプター)からジャンプし、パラシュートあるいは空っぽのバッグを背負ってもらう(非盲検)。

主要アウトカム:
 着陸直後に地面に衝突したときに観察された、死亡あるいは主要外傷(外傷重症度スコア15点以上と定義)の複合アウトカム。

結果:
 パラシュートは死亡あるいは主要外傷を減らさなかった(パラシュート群:0% vs コントロール群:0%; P>0.9)。複数のサブグループ解析でも同様の結果だった。スクリーニングされた個人で本研究に登録されていない人と比べると、参加者は低い位置からジャンプしており(登録者平均0.6m vs 非登録者平均9146m、P<0.001)、また飛行速度も低かった(登録者平均0 km/h v 非登録者平均800 km/h; P<0.001)。
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(文献より引用:作る意味のないTable)

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(文献より引用:低すぎるやろ!)

結論:
 この初めてのランダム化比較試験において、飛行機からジャンプする際、パラシュートは死亡あるいは主要外傷を減らさなかった。しかしながら、この研究では地上の小さな固定式航空機にしか被験者は参加しておらず、高度からのジャンプについては慎重に解釈する必要がある。





by otowelt | 2018-12-14 11:41 | その他

クリスマスBMJ2018:クリスマスと夏季休暇の心筋梗塞リスクは高い

e0156318_938222.png クリスマスイブの夜にみられるリスク上昇については、言葉を濁しているようです。

Moman A Mohammad, et al.
Christmas, national holidays, sport events, and time factors as triggers of acute myocardial infarction: SWEDEHEART observational study 1998-2013
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4811


目的:
 心筋梗塞のトリガーとして、概日リズムの側面、祝日、および主要なスポーツイベントを調査すること。

デザイン:
 国内CCUレジストリであるSWEDEHEARTを用いた後ろ向き観察研究。

セッティング:
 スウェーデン。

参加者:
 1998年~2013年のSWEDEHEARTコホートで報告された心筋梗塞283014例。全例で症状発現日が記録され、88%は分単位でデータが得られた。

介入:
 クリスマス/新年、イースター、夏期休暇における心筋梗塞の発症を同定した。同様に、FIFAワールドカップ、UEFAヨーロッパ選手権、冬季・夏季オリンピックにおける発症も同定した。休日の前後2週間をコントロール期間とし、スポーツイベントに関してはトーナメントの1年前・1年後の同じ日をコントロール期間とした。日内および週内リズムの解析は日曜日の24時におこない、これをその他の日時と比較する対照とした。カウント回帰モデルを用いて心筋梗塞の罹患率比を算出した。

主要アウトカム:
 日ごとの心筋梗塞の発症。

結果:
 クリスマスと夏季休暇は心筋梗塞の高いリスクと関連していた(クリスマス:罹患率比1.15、95%信頼区間1.12-1.19, P<0.001, 夏季休暇:罹患率比1.12、95%信頼区間1.07-1.18, P<0.001)。最も高いリスクと関連していたのはクリスマスイブだった(罹患率比1.37, 95%信頼区間1.29-1.46, P<0.001)。クリスマスイブの1日をみてみると、早朝や午後2時頃のリスクは高くなかったが、午後7時以降に急速に高くなり、午後10時頃にリスクのピークがみられた。イースターやスポーツイベントにおいてリスク上昇は観察されなかった。心筋梗塞には週内および日内変動が観察され、早朝と月曜日のリスクが高かった。結果は、75歳以上の患者、糖尿病や冠状動脈疾患の病歴を有する患者において顕著だった。
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(文献より引用:罹患率比)

結論:
 分単位で心筋梗塞の症状発現を記録した16年の同入院をカバーする国内のリアルワールド研究において、クリスマスと夏季休暇は心筋梗塞の高いリスクと関連していた。特に高齢者や疾患を持つ患者で顕著であり、脆弱な個人における外的トリガーの役割を持つことがわかった。





by otowelt | 2018-12-13 16:38 | その他

クリスマスBMJ2018:レストランの食事のカロリーはヤバイ

e0156318_938222.png サンプル抽出のlimitationはありますが、中国がこの中で一番肥満が少ないのは事実です(N Engl J Med 2017;377:13-27.)。

Moman A Mohammad, et al.
Measured energy content of frequently purchased restaurant meals: multi-country cross sectional study
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4864


背景:
 5ヶ国におけるフルサービスとファストフードレストランから頻繁に注文される食事のエネルギー量を測定し、アメリカのデータと比較する。

デザイン:
 横断研究。

セッティング:
 ブラジル、中国、フィンランド、ガーナ、インドの人気レストランからランダムに選択されたフルサービスおよびファストフードを提供する111店から、223の食事を選出。フィンランドでは、5つの社員食堂からの10メニューも調査された。観察単位は、レストランにおける食事のオーダー回数。

主要アウトカム:
 ボンベ熱量計による食事のエネルギー量

結果:
 アメリカと比較して、レストランメニューのエネルギーの加重平均は中国のみが低かった(719kcal [95%信頼区間646-799] vs 1088kcal [95%信頼区間1002-1181]; P<0.001)。分散モデルの解析では、ファストフードはフルサービスの食事と比べて33%エネルギー量が少なかった(P<0.001)。フィンランドでは、社員食堂ではフルサービスやファストフードのレストランよりも25%エネルギー量が少ない食事を提供していた(平均880±156kcal vs 1166±298kcal; P=0.009)。分散分析において、国、レストラン形態、品目数、食事重量は食事エネルギーを予測した(R2=0.62, P<0.001)。フルサービスレストランの食事の94%およびファストフードの食事の72%が少なくとも600kcalを含有していた。中国以外では、フルサービスとファストフードの食事を毎日摂取することは、追加の食事、飲み物、お菓子、前菜、デザートを用いずに、デスクワークの女性(sedentary woman)のエネルギー消費量の70~120%を供給していることになる。
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結論:
 フルサービスレストランとファストフードレストランの両方にみられる非常に高いエネルギー量は、おそらく世界的な肥満を助長しており、介入目標とされるべき現象である。





by otowelt | 2018-12-13 15:55 | その他

クリスマスBMJ2018:12月の休暇期間に退院すると危険?

e0156318_938222.png クリスマス前後は病院がお休みになることが多く、医療アクセスが悪くなります。日本の場合、年末年始に家で過ごしたい人が多いですが、正月明けに再入院というケースも少なくありません。

Lauren Lapointe-Shaw, et al.
Death and readmissions after hospital discharge during the December holiday period: cohort study
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4481


目的:
 12月の休暇期間のあいだに退院した患者が、他の期間に退院した患者と比較して、少ない外来受診になるのか高い死亡・再入院になるのかを明らかにすること。

デザイン:
 集団ベース後ろ向きコホート研究。

セッティング:
 カナダオンタリオ州の急性ケア病院、2002年4月~2016年1月。

被験者:
 緊急入院後に、12月の休暇期間2週間のあいだに自宅退院となった217305人の小児と成人を、他のコントロール期間である11月下旬および1月に退院となった453641人を比較した。

主要アウトカム:
 プライマリアウトカムは、死亡あるいは再入院(30日以内の救急部受診あるいは緊急再入院)とした。セカンダリアウトカムは、退院後7日および14日以内の、死亡あるいは再入院、および外来受診とした。患者特性、入院、病院施設間の補正のために一般化推定方程式による多変量ロジスティック回帰を用いた。

結果:
 休暇期間に退院した217305人(32.4%)の患者、コントロール期間に退院した453641人(67.6%)が同様のベースライン特性と過去の医療機関利用歴を有していた。休暇期間に退院した患者は、退院後7日以内(36.3% vs 47.8%、補正オッズ比0.61、95%信頼区間0.60-0.62)および14日以内(59.5% vs 68.7%、補正オッズ比0.65、95%信頼区間0.64-0.66)に外来受診しにくかった。また、休暇期間に退院した患者は、30日死亡あるいは再入院のリスクが高かった(25.9% v 24.7%, 補正オッズ比1.09, 95%信頼区間1.07-1.10)。この相対的なリスク上昇は7日(13.2% v 11.7%, 補正オッズ比1.16, 95%信頼区間1.14-1.18)および14日(18.6% v 17.0%, 補正オッズ比1.14, 95%信頼区間1.12-1.15)でもみられた。
 サブグループ解析では、心不全で入院した患者は、休暇期間に退院した場合、7日以内(36.5% v 50.6%, 補正オッズ比0.55, 95%信頼区間0.51-0.58) および14日以内(60.7% v 72.2%, 補正オッズ比0.58, 95%信頼区間0.54-0.61)の外来受診を受けにくかった。30日死亡リスクも上昇した(31.9% v 30.9%, 補正オッズ比1.06, 95%信頼区間1.01-1.12)。COPD患者では退院後7日以内、14日以内の受診は少なかったが、死亡あるいは再入院に関しては有意なリスク上昇とはならなかった(ただし7日、14日の短期のリスクは上昇)。
 患者10万人あたり、退院後14日以内外来予約受診が2999人少なくなり、過剰死亡が26人に起こり、過剰再入院が188人に起こり、休暇期間退院に起因する救急過剰受診が483人に起こる。
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(文献より引用:クリスマスを0としたときの前後の外来受診および死亡あるいは再入院)

結論:
 12月の休暇期間に病院を退院した患者は、外来の迅速なフォローアップを受けにくく、30日以内の死亡あるいは再入院のリスクが高い。





by otowelt | 2018-12-12 00:57 | その他

クリスマスBMJ2018:アメリカの男性医師はゴルフにご執心?

e0156318_938222.png ちなみに私は腰椎椎間板ヘルニアもちなのでゴルフをやったこともやるつもりもありません。

Gal Koplewitz, et al.
Golf habits among physicians and surgeons: observational cohort study
BMJ 2018; 363 doi: https://doi.org/10.1136/bmj.k4859


目的:
 医師の間でのゴルフの活動パターン(普段からゴルフをしている、専門家間におけるゴルフプラクティスの違い、最良のゴルファーだった専門家、男女医師におけるゴルフプラクティスの差)を調べること。

デザイン:
 観察研究。

セッティング:
 アメリカの包括医師データベースと、アメリカゴルフ協会のアマチュアゴルファーデータベースをリンクさせた。

被験者:
 2018年8月1日時点でのアメリカゴルフ協会データベースにおける、積極的にラウンドした41692人のアメリカ人医師。

アウトカム:
 ゴルフプレイをする医師の頻度、ゴルフのパフォーマンス(ゴルフハンディキャップインデックスを用いた)、ゴルフの頻度(過去6ヶ月でのプレイ数)。

結果:
 1029088人の医師のうち、41962人(4.1%)が積極的にアメリカゴルフ協会の「アマチュアゴルファーデータベースでゴルフスコアを記録していた。男性は医師ゴルファーの89.5%にのぼった。男性医師のうち、5.5%(37309人/683297人)がゴルフをおこない、女性医師の1.3%(4383人/345489人)よりも多かった。専門分野によってゴルフの頻度に差がみられた。もっともよくゴルフをしているのは整形外科(8.8%)、泌尿器科(8.1%)、形成外科(7.5%)、耳鼻咽喉科(7.1%)で、頻度が低かったのは内科および感染症科(<3.0%)だった。胸部外科、血管外科、整形外科の医師は、内分泌科医、皮膚科医、腫瘍科医の専門家よりも約15%優れたゴルフのパフォーマンスを発揮するベストゴルファーだった。
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(文献より引用)

結論:
 特に外科領域において、アメリカの男性医師の間ではゴルフは定着している。ゴルフと患者アウトカム、ケアコスト、医師の幸福との関連性は不明である。





by otowelt | 2018-12-11 12:20 | その他

本の紹介:The GENECIALIST Manifesto ジェネシャリスト宣言

 献本ありがとうございます。日本医学界新聞で毎回楽しみにしていた連載が、満を持して書籍化されました。加筆されており、より奥深い味わいに仕上がっています。若手医師にとっては、おそらく自分と向き合える一冊になるでしょう。おすすめです。

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発売日:2018年11月29日
単行本 : 228ページ
価格 : 2,000円 (税別)
出版社 : 中外医学社
著者: 岩田 健太郎 先生

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する

 私は大人数で議論するときに、「A or B」という二元論を前提に話が進んでいくのが好きではありません。さらに、ヘテロジーニアスに見るべきことがホモジーニアスに議論されていると、興ざめすらしてしまいます。こういう構造に対して、真正面から議論したり噛み砕いて執筆したりできる岩田先生のことを尊敬しています。

 この本の導入部と随所に、二元論について述べられています。とはいえ、私が書いたようにミクロな視点での二元論ではなく、もう少し広い意味での二元論について。臨床医学と基礎医学。男と女。大学病院と市中病院。家庭医と専門医。ジェネとシャリ。ジェネシャリスト論に入る前にも、そしてその議論の途中においても、二元論の脆弱な部分を指摘しておられます。
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 ジェネシャリストの三角形というのが登場するのですが、実はその何ページか前に「こういう三角形でね」という説明が登場しているので、自分なりにこうかな?と描いていました。オッ、まぁまぁいい線!

 本の最後のほうに書かれていますが、この三角形は人によって違いますし、またセッティング(状況)によっても異なります。また、成長とともにこの三角形は大きくなるかもしれないし、トレードオフのようにシュリンクするところもある。

 私はどちらかといえばシャリ寄りにいると自覚していますが、ジェネの未熟さがとても恋しくなるときがあり、総合診療の本を何週間も読みふけることがあります。それでどうにかして、シャリながらもジェネな部分を持とうと足掻いているのかもしれません。多くの若手医師は、その三角形をどうにかそれらしい形にしようともがいている。

 この本が面白いところは、とても自己回顧的であるところです。今までの医師人生に基づいて、今後の医師人生をどう考えるかという起爆剤になります。

 それにしても、いろいろなタイプの書籍を執筆できるし、絵も上手だし、ワインのエキスパートだし、いろいろな言語に精通しているし、ファイナンシャルプランナーだし、オシャレでカッコイイし・・・。岩田先生こそが、もはや医学の垣根を超えたジェネシャリストなんじゃないのかと思わずにいられません。




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ジェネシャリスト宣言 The GENECIALIST Manifesto [ 岩田健太郎 ]
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by otowelt | 2018-12-08 00:38 | その他

本の紹介:シュロスバーグの臨床感染症学

 呼吸器科ではたくさん感染症を診るのですが(どこの科でもそうですが)、聖書マンデルで調べるとなかなか骨が折れます。そこで紹介したいのがこのシュロスバーグ。原著はたくさんの執筆者がいますが、翻訳はわずか15人で仕上げておられます。すごい翻訳力ですね。
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発売日:2018年9月28日
単行本 : 1,248ページ
価格 : 20,000円 (税別)
出版社 : メディカルサイエンスインターナショナル
著者: David Schlossberg先生
監訳 : 岩田健太郎先生

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 さすがに通読してレビューすることが難しい厚さだったので、めぼしいところを読ませていただいた感想を。

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 前半600ページあまりは臓器ごとの感染症について細かく記載されており、後半は微生物ごとにまとめられている構成です。
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 シュロスバーグという名前は、2年前に同社から翻訳版が出ている『結核と非結核性抗酸菌症』で知りました。抗酸菌感染症をここまで細かくまとめた書籍を見たことがなかったので、私はすでにファンになっていました。ちなみに本書の非結核性抗酸菌のところはやはりグリフィス先生が書かれており、近年のトピックであるM. massilienseのことにも触れられていました。この章はわずか8ページだったのですが、余白を余すことなくビッシリ記載されています。詳しく知りたい人は、ぜひ『結核と非結核性抗酸菌症』も買いましょう。

 市中肺炎は、非定型肺炎と合わせてざっくり13ページにまとめられています。国内外でよく使われる抗菌薬に違うところがあるかもしれませんが、「筆者の推奨」とことわりを入れて書かれてある点は好感が持てます。

 呼吸器内科でよく遭遇する感染症だけでもこれほどスマートにまとめられているのに、全部で1,200ページ以上あるなんて、ワクワクしませんか?上に書いたように、マンデルほどガッツリ調べたいわけじゃないけど、サラっと辞書的に参照したいとき、この本をまず手に取るとよいでしょう。





by otowelt | 2018-10-13 00:24 | その他

近畿中央胸部疾患センターから近畿中央呼吸器センターへ

 独立行政法人 国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター(所在地:大阪府堺市、院長:林 清二)は、2018年9月1日(土)に、病院名称を「近畿中央呼吸器センター」に変更いたします。また名称変更に伴い、かねてより建設中でした新病棟が完成しましたので、2018年9月15日(土)より稼働することになりました。
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【名称変更の経緯】
 当センターは国内でも数少ない呼吸器疾患に特化した高度専門施設ですが、その旨をよりわかりやすく伝えるために、病院名称を「近畿中央呼吸器センター」に変更することといたしました。以前より地域住民の方々に親しまれてきた「近畿中央」という名称は、全国的、世界的にもネームバリューとなっているため残しつつ、これまでの歴史を引継ぎながら、今まで利用されていた患者様、また新たに利用される患者様にも受け入れられる名称にいたしました。


【新病棟について】
 建設中でした新病棟が竣工いたしましたので、2018年9月15日(土)より稼働いたします。


■新病棟概要
フロア数:地上7階建て
病床数 :311床
     一般病棟  …250床
     結核病棟  …40床
     緩和ケア病棟…21床(全個室)


【緩和ケア病棟を開設】
 当センターでは肺がん、縦隔腫瘍、悪性胸膜中皮腫などの胸部悪性疾患(がん)を対象に診療を行っていますが、新病棟内にて緩和ケアを専門とする病棟を新設いたします。呼吸器疾患分野の高度専門医療施設としての診療経験を生かし、患者様・ご家族の“からだ”や“こころ”のつらさを和らげ、自分らしさを大切にして過ごせるようチームで支えてまいります。
 緩和ケア病棟は、がんの進行に伴うからだの苦痛や気持ちのつらさがあり、手術、抗がん剤治療などの積極的治療が困難であったり、希望されない方を対象とした入院施設になります。病床数は21床(有料個室…10床、無料個室…11床)で、まずは当院で治療を受けられている患者さんを対象としますが、胸部悪性疾患と診断され、他院で治療を受けられている地域の患者様にも対象を徐々に広げていく予定です。
 患者様・ご家族の希望にそうよう、地域のかかりつけ医や訪問看護師、ケアマネージャーと連携し、病状が落ち着いている場合は、退院して自宅療養していただくことも可能です。


■緩和ケア病棟概要
配置フロア:新病棟7階
設備   :リフト浴設備あり
備考   :季節の行事や音楽を楽しんだり、面会の方とくつろぐことができるデイルームあり


【近畿中央胸部疾患センターについて】
 旧国立療養所として堺市の現在地に移転して60年を迎える当センターは、国立病院機構 政策医療ネットワークの呼吸器疾患分野の高度専門医療施設として位置づけられています。肺がん、結核、難治性呼吸器疾患等の診療において中心的な役割をもち、併設されている臨床研究センターでは、難治性稀少肺疾患、抗酸菌症研究、肺がん研究などで高い評価を受けています。
 当センターは肺腫瘍の内科・外科診療、抗酸菌症を含む呼吸器感染症、呼吸不全に対する集中治療、慢性閉塞性肺疾患、間質性肺炎、じん肺、稀少肺疾患、呼吸器疾患に合併した循環器疾患など、呼吸器のあらゆる領域に対応可能な人員と器材を備えています。
 現況では、入院患者すべてが呼吸器疾患患者(合併症を含む)であり、毎年の初診患者受付数は4,500名を超え、新入院患者数も5,672名(平成29年度実績)に達しています。
 特に、放射線診断機器や内視鏡機器の充実、および専門医師スタッフが放射線科医師・病理医を含めて充実しているため、呼吸器疾患診療の基本である正確かつ迅速な診断が、稀な疾患を含めて自施設内で完結できる病院です。


■施設概要
名称  : 独立行政法人 国立病院機構 近畿中央胸部疾患センター
      ※2018年9月1日に近畿中央呼吸器センターへ名称変更
代表者 : 院長 林 清二
所在地 : 〒591-8555 大阪府堺市北区長曽根町1180番地
アクセス: JR阪和線堺市駅下車、徒歩15分
      地下鉄御堂筋線新金岡駅下車、バスで12分
      南海電鉄高野線・JR阪和線三国ケ丘駅下車、バスで6分
URL   : http://www.hosp.go.jp/~kch/
環境  : 大阪市に隣接する堺市(人口83.2万人(平成30年6月1日現在))の北部に位置し、金岡団地・泉北ニュータウンを有する地域にあります。堺市金岡公園・大阪管区警察学校・堺市立長尾中学校等の公園文教施設に囲まれ、東方には金剛生駒連山を望み、西方約4Kmには堺・泉北臨海工業地帯が広がっています。また、南方1Kmには世界一と言われる前方後円墳の仁徳天皇陵があります。



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by otowelt | 2018-08-31 00:04 | その他

本の紹介:京都ERポケットブック

 結論を先に書きます。一内科医の私が書いても説得力がないかもしれませんが、これほど優れた救急マニュアルを見たことがありません。感動に値する一冊です。
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発売日:2018年6月11日
単行本 : 408ページ
価格 : 3,500円 (税別)
出版社 : 医学書院
編集 : 洛和会音羽病院救命救急センター・京都ER

e0156318_13141310.jpgAmazonから購入する

 私は10年ちょっと前、このマニュアルの舞台である洛和会音羽病院の研修医をしていました。徳洲会系列ほどではありませんでしたが、毎日たくさんの救急車が搬送されてくる救急部で、数日に1回当直をしていました。救急診療の合間に、本棚の後ろにあるソファに座って、先人たちが作った珠玉のパワーポイントをパソコンで見るのが楽しかった。Gram染色をする場所が救急部の端っこにあり、研修医たちはいつもそこで染色していました。あの救急部は、常に研修医たちの居場所でした。

 私は医師になったばかりの頃、実は救急医を目指していました。しかし、手術を要するほどの重度の腰椎椎間板ヘルニアを患っていたため、救急や外科を避けたという情けない過去があります。もう少し体が強ければ、私も今頃救急の書籍を執筆していたかもしれません。どうでもいい、たらればですが。

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 さて、本書はポケットに入るほど小さいです。それでいて厚さは400ページあり、なんとフルカラーです。フルカラーで3,500円というのは、出版社にとってコスト的にキツイ出版のはずです。大手の医学書院だから実現できたのかもしれませんね。
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 主要徴候の全てに登場する「アタマの中」がとてもよい。救急医はこう考えているというのがよく分かるし、救急に携わっていない私でもちょっとデキそうな気にさせてくれます。現場でバリバリ使える実用的な側面と、アカデミックで辞書的な側面というのは相互排他的な関係にあることが多いのですが、この本は見事にそれらをニコイチに完成させている。病棟の対応にもそのまま使えます。
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 このマニュアルの恐ろしいところは異常なまでの実用性の高さにあります。救急対応に必要なことがほぼ網羅されており、余白も余すことなくビッシリとカラフルな文字と図表が埋められています。ステロイドの外用薬も写真入りで掲載されているし、トラブル患者の救急対応までも書かれています。

 研修医時代になぜこの本が無かったのか、と嫉妬せずにはいられない。外来・病棟・救急を受け持つすべての医師は、これを買わずして、一体何を買うのか。





by otowelt | 2018-07-28 00:00 | その他