カテゴリ:気管支鏡( 57 )

気管支内軟骨破裂の症例

 こんな症例、初めて読みました。まだまだ勉強が足りないと思っていたら、外傷性以外では世界で初めての報告のようです。これを機に頭に入れておきたいですね。

Dasa O, et al.
Endobronchial Cartilage Rupture: A Rare Cause of Lobar Collapse.
Case Rep Pulmonol. 2016;2016:8178129.


 気管支内軟骨破裂(Endobronchial cartilage rupture)は、まれな事象であり、重症の気腫肺がある患者が突然の呼吸困難感を訴える。われわれは突然の呼吸困難感を主訴に救急受診した62歳の男性の事例を報告する。胸部レントゲン写真では、肺の過膨張がみられた。胸部CTでは中葉が虚脱していた。気管支鏡を実施すると、中葉が無気肺になっており、気管支内に軟骨が破裂脱落していた。咳嗽によって惹起されたものと推察された。

※論文中に気管支内に突出した軟骨の写真があります。気管支鏡を普段扱う医師は、是非ご覧いただきたいと思います。


by otowelt | 2016-08-25 00:23 | 気管支鏡

気管支鏡の鎮静にフェンタニル+ミダゾラムは有用

e0156318_9511053.jpg ミダゾラムは広まっていますが、フェンタニルまで使っている施設は少ないでしょうね。是非とも併用したいと思いました。

Minami D, et al.
Safety and discomfort during bronchoscopy performed under sedation with fentanyl and midazolam: a prospective study.
Jpn. J. Clin. Oncol. first published online July 5, 2016 doi:10.1093/jjco/hyw083


背景:
 フェンタニルとミダゾラムは日本人の気管支鏡検査において安全かつ有用な鎮静法である。

目的:
 気管支鏡中のフェンタニルとミダゾラムによる鎮静はアメリカやヨーロッパで広く用いられているが、日本ではルーチンには実施されていない。本研究の目的は、フェンタニルとミダゾラムによる気管支鏡中の鎮静について評価することである。

方法:
 37人の患者が2014年11月から2015年7月まで岡山大学病院において登録された。フェンタニル20μgを検査前に投与し、その後フェンタニル10μgとミダゾラム1mgを必要時に追加した。検査後2時間に患者に対してアンケートを実施した。アンケートでは、満足度を調査した(VAS1点~5点:5点がもっとも不快)。また、「気管支鏡のことを覚えていますか?」といった追加の質問を実施した。検査時のバイタルサインも記録された。

結果:
 13人の男性、24人の女性が登録された。年齢中央値は67歳(31-87歳)だった。使用量中央値はそれぞれ45.4μg(30-100μg)、ミダゾラム2.56mg(1-10mg)で、70.2%の患者が「もう一度受けてもいい」と回答した。37.8%の患者だけが気管支鏡のことを覚えていた。重篤な合併症は観察されなかった。

結論:
 日本においても、気管支鏡中のフェンタニルとミダゾラムによる鎮静を推奨すべきである。


by otowelt | 2016-07-21 00:33 | 気管支鏡

気管支鏡による大量出血の予後予測因子

e0156318_9511053.jpg 気管支鏡の論文はあまり多くないので、参考になります。

Guo-Wu Zhou, et al.
Flexible bronchoscopy-induced massive bleeding: A 12-year multicentre retrospective cohort study
Respirology, DOI: 10.1111/resp.12784


背景および目的:
 大量出血は軟性気管支鏡による最も致命的な合併症であるが、気管支鏡による大量出血はまれであり、臨床的特徴と予後因子は不明である。

方法:
 これは2001年1月~2013年6月の間に、気管支鏡を受けたすべての患者の33施設共同後ろ向きコホート研究である。臨床的特徴とアウトカムが抽出された。

結果:
 520343人の気管支鏡を受けた患者のうち、194人が大量出血をきたした(0.037%)。平均出血量は378mLだった。気管支鏡を受けた全患者のうち死亡率は0.004%で、大量出血患者のうち10.8%だった。診断的気管支鏡よりも治療的気管支鏡の方が出血のリスクが有意に高かった(頻度0.059% vs 0.031%, P < 0.001; 出血者のうちの死亡率20% vs 8.4%, P = 0.068)。多変量解析によれば、65歳以上、気管出血、500mL以上の出血、ショックは予後不良の独立予測因子だった。緊急手術は予後良好の予測因子だった。再出血は6人(生存者のうち3.5%)にみられ、3人が1ヶ月以内に死亡した。

結論:
 気管支鏡による大量出血はまれであるが致死的である。年齢、出血部位、出血量、循環動態、緊急手術が予後規定因子である。


by otowelt | 2016-05-31 00:15 | 気管支鏡

EBUS-TBNAの技術的側面:CHESTガイドラインおよびエキスパートパネルレポート

 EBUS-TBNAの手技的な側面に関するサマリーです。

Momen M. Wahidi, et al.
Technical Aspects of Endobronchial Ultrasound Guided Transbronchial Needle Aspiration: CHEST Guideline and Expert Panel Report
Chest. 2015. doi:10.1378/chest.15-1216


推奨サマリーを以下に記載します。

1.EBUS-TBNAを受ける患者では、中等度ないし深い鎮静を行うことがすすめられる(Grade 2C)。
2.EBUS-TBNAを受ける患者では、超音波上の特徴によって悪性および良性の診断が予測できるが、診断のためには組織採取を行うべきである(Ungraded)。
3.EBUS-TBNAを受ける患者では、吸引を有無にかかわらず組織検体の採取をおこなってよいかもしれない(Ungraded)。
4.EBUS-TBNAを受ける患者では、21ないし22G針のいずれの使用もすすめられる(Grade 1C)。
5.肺癌を疑われた患者において迅速細胞診を行わずにEBUS-TBNAを実施する場合、検体採取部位ごとに少なくとも3回の穿刺を行うべきである(Ungraded)。
6.診断のためにEBUS-TBNAを受ける患者では、迅速細胞診の有無にかかわらず組織検体の採取をおこなってよいとすすめられる(Grade 1C)
7.診断のためあるいは肺癌の病期分類のためにEBUS-TBNAを受ける患者では、分子学的な評価のために追加で組織を採取することがすすめられる(Grade 1C)
8.EBUS-TBNAの手技を訓練する場合、低あるいは高信頼性のシミュレーション訓練を組み込むべきである(Grade 2C)。
9.EBUS-TBNAの手技を評価する場合、客観的指標としてEBUSスキルアセスメントテストを用いることがすすめられる(Ungaraded)。
10.縦隔または肺門リンパ節腫大を伴うサルコイドーシスを疑われた患者では、EBUS-TBNAを診断に用いることがすすめられる(Grade 1C)。
11.リンパ節検体を要する縦隔または肺門リンパ節腫大を伴う結核を疑われた患者では、EBUS-TBNAを診断に用いることがすすめられる(Grade 1C)。
12.悪性リンパ腫が疑われた患者では、EBUS-TBNAは最も低侵襲の初期診断手技としてすすめられる(Ungraded)。


by otowelt | 2015-11-04 00:54 | 気管支鏡

ミノサイクリンによる気管支変色

 気管支鏡中に気管支が黒く見えることを「Black bronchoscopy:黒色気管支鏡」なんて呼ぶことがあるとかないとか。私の知る限りは煤(すす)による変色と悪性黒色腫の転移くらいしかありません。

・Black bronchoscopy:黒色気管支鏡所見

 慶應義塾大学から、ミノサイクリンによる気管支変色の報告がありました。ふと疑問に思ったのですが、ACTHでも色素沈着するのでしょうか。

Takanori Asakura, et al.
Blue-black Trachea as a Result of Minocycline-induced Hyperpigmentation
Am J Respir Crit Care Med. First published online 01 Oct 2015 as DOI: 10.1164/rccm.201508-1527IM


概要:
 61歳の女性が皮膚、耳、爪の青黒色の変色を訴えて来院した。この色の変化は過去3年かけてゆっくり進行してきたものらしい。5年前、彼女はMycobacterium abscessusと診断され、長期にわたり抗菌薬を投与されてきた。それにはミノサイクリン(100mg1日2回)も含まれていた。
 上記所見以外にも、気管支鏡において気道内の変色がみられた。ミノサイクリンの投与を中止すると、6か月後には色素沈着は軽快していた。


by otowelt | 2015-11-02 00:31 | 気管支鏡

BeLieVeR-HIFi試験:気管支バルブによる肺容量減量術は気腫肺の呼吸機能を改善

e0156318_1825266.jpg 気管支鏡的肺容量減量術は、この先数十年かけてさらに進歩する治療法だと思っています。
 重症気腫肺の生存予後を改善し安全性が確立されれば、メインストリームに躍り出る可能性もあります。ただ、手間がかかるのは否めません。

Claire Davey, et al.
Bronchoscopic lung volume reduction with endobronchial valves for patients with heterogeneous emphysema and intact interlobar fi ssures (the BeLieVeR-HIFi study): a randomised controlled trial
Lancet. 2015 Jun 23. [Epub ahead of print]


背景:
 肺容量減量手術(Lung volume reduction surgery:LVRS)は、気腫のある患者の一部で生存を改善することがわかっており、気管支鏡的に減量術を行うことで同様の効果があるのではないかと期待されている。側副換気があれば葉の無気肺を予防できるという理由から、気管支バルブは有効とされている。

方法:
 単施設における二重盲検シャム対照試験をCOPD患者に対して実施した。胸部CTにおいて、規定された切片で不均一な気腫性病変があるものとした(いわゆるheterogeneous emphysema)。葉間裂に異常がみられる分葉不全ケースは除外している。COPDは安定期の外来症例のみとし、1秒量が予測値の50%未満で、過膨張(全肺気量>100%および残気量>150%)がみられ、運動耐容能の低下(6分間歩行距離が450m未満)、呼吸困難感があるもおの(MRCスコア3点以上)と規定した。気管支バルブはZephyrバルブを用いた。
 患者はランダムに1:1に、片側の葉を閉塞させる気管支バルブを留置する群と、シャムバルブを留置する群(コントロール群)にランダムに割り付けられた(ブロックランダム化)。患者および研究者は、どちらのバルブを留置したのかマスクされた。

結果:
 2012年3月1日から2013年9月30日までの間、50人の患者(62%が男性、平均BMI24.5±4.8、平均%1秒量31.7±10.2%、平均MRCスコア4±1、平均6分間歩行距離338±87m)が気管支バルブ群(25人)、コントロール群(25人)にランダムに割り付けられた。気管支バルブ群では、1秒量は中央値で8.77%増加(IQR 2.27–35.85)し、コントロール群の2.88% (IQR 0–8.51)よりも統計学的に有意であった(Mann-Whitney p=0.0326)。
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(文献より引用)

 %全肺気量(TLC)も有意に改善したが、残気量には影響はなかった。MRCスコアを改善することはできなかった。ただし、6分間歩行距離に関しては有意な改善がみられた(+25m vs. 3m, p=0.0119)。

結論:
 heterogeneous epmysemaを有するCOPD患者に対して、気管支バルブを用いた容量減量術は有意に呼吸機能の改善をもたらした。


by otowelt | 2015-07-16 00:14 | 気管支鏡

ATS2015:EBUS-TBNAに用いる針の比較:22G vs 25G

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P.A. Berger, et al.
A Comparison of the 22-Gauge Medi-Globe Sonotip II Transbronchial Aspiration Needle with the 25-Gauge Cook Echotip Ultra Transbronchial Aspiration Needle, and the 25-Gauge Cook Echotip Procore Core Biopsy Needle During Endobronchial Ultrasound-Guided Tran
ATS2015, B103, Poster Discussion Session


背景:
 EBUS-TBNAは安全で低侵襲で高い診断能を有する気管支鏡検査である。この研究では22GのEBUS-TBNAと25GのEBUS-TBNAと25Gのコアニードルを比較した。

方法:
 EBUS-TBNAを受けた患者をレトロスペクティブに登録した。針は以下のものを使用
・22G:Medi-Globe Sonotip II needle
・25G:Cook Echotip Ultra needle
・25G:Cook Echotip Procore core biopsy needles
 それぞれの針による診断能を比較した。組織診断が可能であったか、また血液混入の度合いについても調べた。

結果:
 22G群に24人、25G群に24人が登録され、後者については25Gコアニードルを併用した患者についても調査した。
 22G群では合計87の針生検がおこなわれた。51生検(57%)が細胞診が可能であった。そのうち36生検(41%)が組織診断可能であった。血液混入は無視できるほどであった。
 25G群では合計96の針生検がおこなわれた(コアニードル併用)。69生検(71%)が細胞診が可能であった。そのうち、36生検(52%)が組織診断可能であった。血液混入は1検体のみで有意にみられた。
 25Gコアニードルでは組織診断評価は困難であった。

結論:
 少ない患者数の研究ではあるが、EBUSで用いる針は大きいGの方が望ましい診断能であった。将来的に大規模な研究でこれらを比較検討したい。


by otowelt | 2015-05-19 07:51 | 気管支鏡

ATS2015:3Dプリント技術による気道ステントの作製

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 科学技術の進歩は素晴らしいですね。

G.Z. Cheng, et al.
Creating Personalized Airway Stents via 3D Printing
ATS 2015, B103, Poster Discussion Session


概要:
 現在の気道ステントはシリコン製、金属製、ハイブリッド素材が用いられているが、高価で合併症が多いため使用しにくい。もっとも主要な合併症はステントの移動と肉芽形成である。
 われわれは、解剖学的な解析に基づいた個人に合った気道ステントを作成した。3DCTに基づいた解剖学的精度の高いデータを作成し、3Dプリント技術を用いて個人に合った気道ステントを作製した。技術的には実用可能であり、今後の研究が期待される。
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(Abstractより引用:現在のYステントと3Dプリンターで作製した気道ステント)


by otowelt | 2015-05-19 04:10 | 気管支鏡

バーチャル気管支鏡画像作成における有用なCTスライス厚に関する検討

e0156318_9511053.jpg 当院はLung pointを使用しています。Lung pointは部位によっては誘導困難な症例があることが過去に報告されていますが、描出は簡便です。

村上靖ら
Bf-NAVI®を用いたバーチャル気管支鏡画像作成における有用なCTスライス厚に関する検討
気管支学:37(2),153─158,2015


背景:
 Bf-NAVI®は本邦で普及しつつあるバーチャル気管支鏡ナビゲーション(virtual bronchoscopic navigation:VBN)システムで,肺末梢病変の診断に有用である.Bf-NAVIに使用するCTスライス厚は1.0 mm以下が推奨されているが,VBNに最適なスライス厚はわかっていない.

対象と方法:
 2013年8月から10月までに当院でBf-NAVIによるVBNを併用し肺末梢病変の気管支鏡検査を行った30名を対象とし,CTからスライス厚0.5 mmと1.0 mmの2通りのDICOMデータを出力,Bf-NAVIで仮想画像を作成し比較検討を行った.

結果:
 対象病変の大きさ(中央値)は23.2 mm.仮想画像作成に要した時間(中央値)はスライス厚0.5 mm:13.0分,1.0 mm:8.3分で,1.0 mmの方が有意に短かった(p<0.01).自動描出できた気管支次数(中央値)は0.5 mm:5次,1.0 mm:4次(p=0.16)で,30名中20名(67%)において0.5 mmの方がより末梢の気管支まで描出できた.自動描出で病変までの全経路を描出できた症例は0.5 mm:11名(37%),1.0 mm:5名(17%)と0.5 mmに多くみられた(p<0.01).

結論:
 Bf-NAVIを用いたVBNにおいて,スライス厚0.5 mmのDICOMデータは,仮想画像作成に要する時間は長いが,より末梢の気管支まで描出可能であり有用と考えられた.


by otowelt | 2015-04-18 08:46 | 気管支鏡

気管支鏡による肺膿瘍

e0156318_9511053.jpg 過去の報告例とあわせて考えると、扁平上皮癌、CTの病変サイズが大きいもの(30mm超)、生検を実施したもの、が続発性肺膿瘍のリスクである可能性がありそうです。予防的抗菌薬をおこなうサブグループについてはまだ議論の余地がありますが、個人的にもこの気管支鏡と呼吸器感染症の関連については知りたいところです。

Ishida M, et al.
Case series of lung abscesses following flexible bronchoscopy
Respiratory Investigation, DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.resinv.2015.01.004


概要:
 このケースシリーズでは気管支鏡後の肺膿瘍を3例報告。それぞれ、81歳男性、65歳男性、56歳女性。282件中3件で、全体の頻度は1.06%であった。前2例が扁平上皮癌、後1例が小細胞癌という診断であった。全例に経気管支肺生検が実施された。全例で菌は同定できず、血液培養も陰性だった。男性の2例はアンピシリン/スルバクタム、ピペラシリン/タゾバクタムで治療され、女性例は膿胸に陥ったため抗菌薬と外科治療を併用された。


↓レジデントのための感染症診療マニュアルが改訂されました。私もさっそく購入しています。

by otowelt | 2015-03-25 00:48 | 気管支鏡