カテゴリ:気管支鏡( 55 )

EBUS-TBNAにおける菌血症を含めた感染性合併症は問題ない範囲

EBUS-TBNAはリンパ節を刺すのだが、
肺動脈を刺さないかヒヤっとすることがしばしばある。
そんな背景もあってか、菌血症について調べた論文がERJから出た。
・・・・なんか、EBUS-TBNA関連の論文ってすぐにアクセプトされている気がする。

Incidence of bacteraemia following endobronchial ultrasound-guided transbronchial needle aspiration
Eur Respir J 2010; 36: 28–32


背景:
 EBUS-TBNAの手技に基づく感染性合併症についてはいくつか報告がある。
 EBUS-TBNAに関連した菌血症および感染性合併症の頻度について
 プロスペクティブに評価する。

方法:
 EBUS-TBNAを縦隔リンパ節および肺門リンパ節診断のために受けた患者を登録。
 血液培養がTBNA後60秒以内に行われた。
 TBNA針は生食で洗浄され、これも培養にかけられた。
 血液培養陽性患者はすぐさま解析され、またEBUS-TBNA1週間以内に
 すべての患者において解析された。

結果:
 43人の患者がEBUS-TBNAがおこなわれ、菌血症は7%に認められた。
 すべての細菌は、口腔咽頭の常在菌であった。
 TBNA針洗浄培養は、35%で陽性であった。
 菌血症に陥った患者は、臨床症状はみられず、その他の合併症も観察されなかった。

結論:
 EBUS-TBNAにおける菌血症は、通常の気管支鏡と変わりない。
 血液培養もTBNA針洗浄培養も、口腔咽頭の常在菌が検出されたが
 臨床的に感染症症状は認められなかった。

by otowelt | 2010-07-06 00:30 | 気管支鏡

気管支鏡の際の鎮静にプロポフォールは有用


気管支鏡の際の前投薬については
アトロピン使用がリスクが高いというCHESTの論文を読んだが、
(「気管支鏡時に前投薬としての抗コリン薬は不要かもしれない 」)
これは気管支鏡時の鎮静の話。
ERJより。
readiness-for-discharge scoreって何じゃらホイ。

Propofol versus combined sedation in flexible bronchoscopy: a randomised non-inferiority trial
Eur Respir J 2009; 34:1024-1030



背景:
 benzodiazepineと鎮痛薬を用いた方法は
 気管支鏡の際によく使われる。Propofolは効果・覚醒がはやいが
 呼吸不全のリスクをはらむ。

方法:
 連続した患者200人をランダムにmidazolam+hydrocodone
 あるいは静脈内propofolに割りつけた。プライマリエンドポイントは
 平均最低SpO2および処置後1時間のreadiness-for-discharge score。

結果:
 気管支鏡時の平均最低SpO2は、いずれもかわりなかった。(p = 0.422)
 readiness-for-discharge scoreの中央値はプロポフォールで有意に高かった。
 (8 (6–9) versus 7 (5–9); p = 0.035)
 プロポフォール群の方が、処置後の心拍数上昇も少なかった。
 Minor procedural complicationsは両群とも同等(p = 0.460)。

結論:
 プロポフォールは、気管支鏡を行う際の鎮静に
 効果的かつ安全である。もし処置後早期に退院させたい場合には
 よいオプションになるだろう。

by otowelt | 2009-11-05 22:21 | 気管支鏡

気管支鏡時に前投薬としての抗コリン薬は不要かもしれない


気管支鏡施行前に、アトロピンやジアゼパムなどを
用いることがあるが、これは気道分泌を減らしたり安心感を与えるため
と考えられている。
これによって本当に恩恵があるのかどうかを検討した論文がCHESTから出た。

グリコピロレートというのは、麻酔の分野では
アトロピンにかわって使われることもある抗コリン薬である。
特徴は、頻脈になりにくい、より強い分泌物抑制効果がある、
BBBを通過しないのでアトロピンよりも麻酔後の記憶障害が少ない。

Anticholinergic Premedication for Flexible Bronchoscopy
A Randomized, Double-Blind, Placebo-Controlled Study of Atropine and Glycopyrrolate
CHEST August 2009 vol. 136 no. 2 347-354


背景:
 抗コリン薬は、気管支鏡の前投薬としてよく使われているが
 潜在的リスクよりも利益が上回るかどうかはよくわかっていない。

方法:
 1000人の気管支鏡患者に対して、アトロピンとグリコピロレートの
 安全性を検討。
 339人の患者はアトロピン(0.01 mg/kg)、336人の患者はグリコピロレート
 (0.005 mg/kg)、325人の患者はプラセボ(2 mL of normal saline solution)を
 筋肉注射した。これらはランダム化された。
 施行者および被験者が感じた気道分泌、咳嗽、患者不快感、SpO2、施術時間、
 副作用頻度などが検討された。

結果:
 施行者の報告した気道分泌は、グリコピロレート(p = 0.02)および
 アトロピン(p = 0.064)で少なかった。しかしながら、
 患者の訴えた気道分泌の多さ、患者および施行者の報告した咳嗽・不快感とは
 いずれも関連性がなかった。また、いずれの薬剤もサチュレーション低下とは
 関連がなく、アトロピンは施行時間が長くなってしまう傾向にあった(p = 0.042)。
 心拍数や血圧上昇は抗コリン薬、特にアトロピンでよく認められた。

結論:
 抗コリン薬は気道分泌を減らすかもしれないが、
 咳や不快感やサチュレーションには関連がない。しかしながら、
 気管支鏡施行時間を長くしたり、循環動態を変動させる。
 ルーチンでの抗コリン薬は気管支鏡施行時には必要ないと考えられる。

by otowelt | 2009-08-17 09:20 | 気管支鏡

BALF中ヘモジデリン貪食マクロファージ20%以上は、DADの予後不良


Haemosiderin-laden macrophages in the bronchoalveolar lavage fluid of patients with diffuse alveolar damage
Eur Respir J 2009; 33:1361-1366


背景:
 BALFにおけるヘモジデリン貪食マクロファージは、びまん性肺胞出血の 
 診断に利用されるが、DADの評価には使われていない。
 この試験では、外科的肺生検で診断のついた21人のDAD患者からBALFを採取。

結果:
 21人の平均年齢は68歳。14人 (67%) が男性で12人 (57%)が免疫不全。
 BALFにおけるヘモジデリン貪食マクロファージは平均5%(0–90%)であるが、
 7人の患者では20%以上であった。これはびまん性肺胞出血の診断に使用される
 カットオフ値である。この20%以上のヘモジデリン貪食マクロファージが
 BALFでみられる患者は予後不良で死亡率が高かった。(p = 0.047)

結論:
 呼吸不全患者で20%以上のヘモジデリン貪食マクロファージがBALFでみられる
 場合、肺胞出血でなければDADの可能性もあり、この場合DADだと死亡率は高い。

by otowelt | 2009-06-24 14:22 | 気管支鏡

気管支鏡のリスクを詳しく説明することは不安リスク上昇

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そりゃそーだろ、という論文。
これはどういう意図で発表されたのか…?

Randomised controlled trial of the effect of standard and detailed risk disclosure prior to bronchoscopy on peri-procedure anxiety and satisfaction. Thorax 2009;64:224-227

背景:
 気管支鏡にはリスクがつきものだが、
 このリスクを詳しく説明した場合と、
 シンプルに説明した場合で
 不安や満足度に違いが出るかを研究する。

方法:
 100mm不安ビジュアルアナログスケール(VAS)および
 改訂アムステルダム術前不安スケール(APAIS)が主な評価ツールである。
 気管支鏡のあとには、さらに満足度のアンケートもおこなわれた。

結果:
 142人の患者のうち、122人(86%)がスタディを完遂した。
 (平均年齢57.8歳、53%が男性)
 よりリスクを詳しく説明された場合、シンプルな場合においてより不安度が増した。
 それはVASでもAPAISでも同様であった。
 VAS (平均14.0(95%CI 10.1-17.9) vs 平均2.5(95%CI 1.4-6.4), p<0.001)
 APAIS (1.73 (95%CI 1.19-2.26) vs 0.57 (95%CI 0.05-1.10), p<0.001)
 詳しくリスクを説明された患者は、詳しすぎる説明に
 気管支鏡に対する不安が強くなった。

結論: 
 より詳しい気管支鏡のリスクの説明によって、患者の不安が強くなる。

by otowelt | 2009-03-25 02:56 | 気管支鏡