カテゴリ:呼吸器その他( 348 )

月経随伴性気胸患者における血中循環子宮内膜細胞の同定

e0156318_9192466.png 横隔膜還流が時計回り(患者さんからみた場合は反時計回り)で、右横隔膜下に・・という理論を見たことがありますが、循環子宮内膜細胞の説についても検証されています。

Kiss I, et al.
Circulating Endometrial Cells in Women with Spontaneous Pneumothorax
CHEST, DOI: https://doi.org/10.1016/j.chest.2019.09.008


背景
 月経随伴性気胸の発症はまれであり、臨床医がこの診断に気づくことも困難である。月経随伴性気胸は、骨盤内子宮内膜症と強く相関しており、胸腔内子宮内膜症症候群のもっともよくみられる型でもある。循環子宮内膜細胞(CEC)は、骨盤内子宮内膜症患者で過去に同定されたことがある。CECは、気胸マネジメントに新たな知見をもたらすだろうか?

方法:
 この研究は、月経と関連していることが強く疑われる自然気胸の女性患者20人において、CEC検出の頻度とその特徴を調べることである。CECは細胞の大きさから分離濃縮された(MetaCell®)。細胞形態に加えて、採取細胞において24の子宮内膜症関連遺伝子発現プロファイリングをおこなった。
 コントロール群として、気胸のない子宮内膜症患者を18人設定した。

結果:
 CECは20人全員にみられた。濃縮CECは、上皮性、幹細胞様、間質細胞様、腺細胞様の4つの特徴を有していた。しかしながら、全サンプルにおいてこのすべての特徴があるわけではなかった。遺伝子発現プロファイルでは、月経随伴性気胸患者のCECに2つのフェノタイプが同定された。そのうちの1つは横隔膜開口症候群、2つ目は子宮内膜胸膜移植である。
 気胸のある患者のCECを、骨盤内子宮内膜症で気胸のない患者のCECと比較したところ、気胸例でHER2発現が高かった。

結論:
 女性の気胸患者でCECを同定することができた。気胸患者でCECがあれば、子宮内膜症の進展が示唆されるため、早期に産婦人科コンサルトをおこない治療すべきである。


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by otowelt | 2019-10-18 00:34 | 呼吸器その他

徐放性モルヒネは慢性の息切れに無効

e0156318_1110586.jpg なかなかインパクトの大きな臨床試験です。
 呼吸不全を合併して酸素療法が導入されている安定期COPDという集団を想定したとき、モルヒネの定期使用は医学的意義がないという結果になりました。

David Currow, et al.
Regular, sustained-release morphine for chronic breathlessness: a multicentre, double-blind, randomised, placebo-controlled trial
Thorax, http://dx.doi.org/10.1136/thoraxjnl-2019-213681


背景:
 モルヒネが慢性の息切れを軽減するかどうか、大規模なランダム化比較試験では示されてない。これは、定期的な低用量徐放性モルヒネ製剤の効果と安全性をみた、初めての大規模並行群間試験である。

方法:
 多施設(オーストラリアにおける14の外来・入院・緩和ケアサービス)において、並行群間二重盲検ランダム化比較試験を実施した。慢性の息切れ(mMRC≧2以上)を有する成人を、徐放性モルヒネ製剤20mg/日+緩下剤(介入群)あるいはプラセボ+プラセボ緩下剤(コントロール群)のいずれかに7日間割り付けた。両群ともに、必要時2.5mg6回まで短時間作用性モルヒネ(24時間で15mgまで)を許可した。
 慢性の息切れについては、少なくとも2回適切な基礎疾患マネジメントをおこなったことを条件とした。
 プライマリエンドポイントは、ベースラインからの息切れの変化(VAS 0-100mm、日誌により1日2回記録)とした。セカンダリエンドポイントは、息切れの最悪時・最良時・平均、現在の息切れの不快感、疲労、QOLなどとした。

結果:
 ITT解析に組み込まれたのは、284人で、モルヒネ介入群145人、プラセボ群139人だった。平均年齢はモルヒネ介入群74.0±9.6歳、プラセボ群74.5±9.1歳だった。ベースラインのmMRCは1がそれぞれ18人(14.1%)、12人(10.3%)、2が22人(17.2%)、25人(21.6%)、3が33人(25.8%) 、33人(28.4%) 、4が55人(43.0%)、46人(39.7%)だった。平均SpO2は、それぞれ92.60±4.17%、92.96±4.46%だった。基礎疾患は、それぞれCOPDが82人(56.6%)、82人 (59.0%)と半数以上を占めた。次点は、悪性腫瘍である。登録時に在宅酸素療法を使っている患者は、それぞれ87人(60.0%)、75人(54.0%)だった。
 プライマリエンドポイントの息切れについて、両群で有意差はみられなかった(平均差−0.15 mm、95%信頼区間−4.59 to 4.29; p=0.95)。セカンダリエンドポイントにも差は観察されなかった。
 プラセボ群は、治療期間、経口モルヒネのレスキューをより多く使用していた(1日平均8.7回 vs 5.8回; p=0.001)。モルヒネ介入群は、プラセボ群より便秘、悪心・嘔吐が多かった。呼吸抑制や意識障害は1例もなかった。

結論:
 慢性の息切れに対する徐放性モルヒネ製剤の定期的内服は、プラセボと比較して息切れを軽減させない。プラセボ群のほうが、レスキューモルヒネの使用が多かった。






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by otowelt | 2019-10-17 00:41 | 呼吸器その他

ERS慢性咳嗽の診断と治療ガイドライン

e0156318_8413789.png 筆頭著者はもちろんMorice先生です。サマリークエスチョンだけ翻訳しました。強く推奨されているのは低用量モルヒネだけで、これもMorice先生のランダム化比較試験に基づくものです。

Morice AH, et al.
ERS guidelines on the diagnosis and treatment of chronic cough in adults and children.
Eur Respir J. 2019 Sep 12. pii: 1901136. doi: 10.1183/13993003.01136-2019.


■クエスチョン1:胸部レントゲンや身体所見が正常な慢性咳嗽患者に胸部CTをおこなうべきか?
胸部レントゲンや身体所見が正常な慢性咳嗽患者に、ルーチンに胸部CTを行うことは支持しない(条件付き推奨、きわめて低い質のエビデンス)。

■クエスチョン2:慢性咳嗽に対してステロイド/ロイコトリエン受容体拮抗薬の反応性を予測する上でFeNO/血中好酸球は測定すべきか?
慢性咳嗽患者の抗炎症治療の反応性を予測するために有用かつ実用的な検査が必要である。しかし、それについての質の高いエビデンスは不足している。

■クエスチョン3:喘息治療薬(抗炎症あるいは気管支拡張治療)は慢性咳嗽患者に用いられるべきか?
成人の慢性咳嗽患者における短期吸入ステロイド(2~4週間)をためすことは支持される(条件付き推奨、低い質のエビデンス)。

■クエスチョン4:慢性咳嗽患者に対して制酸剤治療(PPIおよびH2ブロッカー)はおこなうべきか?
成人の慢性咳嗽患者に対する制酸剤治療をルーチンにおこなわないことを支持する(条件付き推奨、低い質のエビデンス)。

■クエスチョン5:慢性咳嗽患者に線毛運動改善薬は用いられるべきか?
慢性咳嗽においてマクロライドのルーチン使用を推奨するエビデンスは不足している。ほかの治療に抵抗性の慢性気管支炎による咳嗽に対して1ヶ月のマクロライド使用は考慮してもよいが、地域の抗菌薬適正使用ガイドラインなどに基づくべきである(条件付き推奨、低い質のエビデンス)。

■クエスチョン6:慢性咳嗽の患者に対して咳嗽神経調節性治療薬(プレガバリン、ガバペンチン、三環系抗うつ薬、オピオイド)は用いられるべきか?
成人の慢性難治性咳嗽に対する低用量徐放性モルヒネ(5~10mg1日2回)の試行を推奨する(対用推奨、中程度の質のエビデンス)。

■クエスチョン7:慢性咳嗽患者に対して非薬物治療(咳嗽コントロール療法)は用いられるべきか?
成人の慢性咳嗽患者に対する咳嗽コントロール療法を支持する(条件付き推奨、中等度の質のエビデンス)。
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by otowelt | 2019-10-08 00:39 | 呼吸器その他

胸腔内感染に対するウロキナーゼとt-PA/DNAseの比較

e0156318_1142077.png 日本ではウロキナーゼしか使えませんので、この報告は安心しますね。

Benoît Bédat, et al.
Comparison of intrapleural use of urokinase and tissue plasminogen activator/DNAse in pleural infection.
ERJ Open Research 2019 5: 00084-2019; DOI: 10.1183/23120541.00084-2019


背景:
 線維素溶解療法は、胸腔感染症における膿ドレナージを改善させうる。胸腔ドレーンを介したウロキナーゼあるいはDNAse併用t-PAによる治療は、外科手術の必要性を低下させる。この研究は、この2治療を比較した初めての臨床試験である。

方法:
 われわれは単施設(Geneva大学病院)において前向きコホート研究を実施した。胸腔感染症の患者は2014年1月から2017年12月までに入院し、抗菌薬治療と胸腔ドレナージ治療を要したものとした。初回の線維素溶解療法から行われた追加処置(追加胸腔ドレナージあるいは外科手術)、合併症、コスト、放射線学的および生理学的アウトカムが解析された。

結果:
 93人が試験に登録され、初回の線維素溶解療法以降、34%が追加的処置を要した(21%:追加胸腔ドレーン、13%:胸腔鏡手術)。追加的処置は、多胞化したケースに多く(p=0.01)、太径ドレーンの使用と関連していた(p=0.01)。ウロキナーゼとt-PA/DNAseの治療成功率に差はなかった(p=0.35)。また、胸腔ドレナージ期間、入院期間にも差はなかった(ぞれぞれ、p=0.05、p=0.12)。t-PA/DNAseは安価(p=0.04)だったが、血胸が多かった(p=0.002)。

結論:
 ウロキナーゼは、t-PA/DNAseによる線維素溶解療法と同様に安全かつ効果的であった。






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by otowelt | 2019-10-03 00:22 | 呼吸器その他

ニコチン含有電子たばこ併用ニコチンパッチ禁煙治療は有用

e0156318_1003223.png NEJMの電子たばこ死亡例の報告があってから、すべての電子たばこと加熱式たばこが批判されています。呼吸器内科医としては「余計なものは吸うな」という認識ですが、くだんの報告でもってすべての新型たばこを叩く行為はサイエンティフィックには誤りだと思います。
 また、禁煙補助としての電子たばこは、嗜好品のそれとは別で考えるべきです。
 そして、呼吸器内科医であれば、電子たばこと加熱式たばこの違いくらいはおさえておきたいところです。

Natalie Walke, et al.
Nicotine patches used in combination with e-cigarettes (with and without nicotine) for smoking cessation: a pragmatic, randomised trial
Lancet Respiratory Medicine, Available online 9 September 2019


背景:
 ニコチン置換療法は禁煙に有用である。われわれは、6ヶ月の禁煙治療において電子たばこ(ニコチン含有・非含有)にニコチンパッチを併用する効果を検証した。

方法:
 われわれは、ニュージーランドにおいて、電子たばこを吸ったことがなく禁煙の意思がある成人喫煙者を3群並行群間試験に登録した。国内メディア広告から、被験者を募った。被験者は、ランダムに1:4:4の割合で、14週間(禁煙日前2週間から)の21mg24時間のニコチンパッチ、ニコチンパッチ+18mg/Lニコチン含有電子たばこ、ニコチンパッチ+ニコチン非含有電子たばこの3群に割り付けられた。われわれは、毎日1枚のニコチンパッチを用いるよう促し、電子たばこ割り付け群は、必要時あるいは希望時に吸入してもらうようにした。被験者と研究者は、液体ニコチンが含有されているかどうかは盲検化された。電話ベースでの行動サポート介入も行った。
 プライマリアウトカムは、CO濃度に基づく6ヶ月持続禁煙率とした。解析はITT集団でおこない、感度解析はper protocol、治療アドヒアランス、COカットオフ値ごとにおこなった。

結果:
 2016年2月17日から2017年11月30日までに、1124人の被験者が登録された。ニコチンパッチ群(125人)、ニコチンパッチ+ニコチン含有電子たばこ群(500人)、ニコチンパッチ+ニコチン非含有電子たばこ群(499人)の3群で解析をおこなった。ニコチンパッチ群の125人中62人(50%)、ニコチンパッチ+ニコチン含有電子たばこ群500人中161人(32%)、ニコチンパッチ+ニコチン非含有電子たばこ群499人中162人(33%)が、6ヶ月時点に脱落あるいは追跡不能となっていた。ニコチンパッチ+ニコチン含有電子たばこ群におけるCO濃度に基づいた6ヶ月時持続禁煙率は7%で、ニコチンパッチ+ニコチン非含有電子たばこ群よりも高かった(vs 4%、リスク差2.99、95%信頼区間0.17-5.81)。ニコチンパッチ群での持続禁煙率は2%と低かった(リスク差4.60、95%信頼区間1.11–8.09)。
 自己申告の場合、ニコチンパッチ+ニコチン含有電子たばこ群の6ヶ月持続禁煙率は18%、ニコチンパッチ+ニコチン非含有電子たばこ群11%、ニコチンパッチ群8%だった。
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(文献より引用)
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(文献より引用)

 ニコチンパッチ+ニコチン含有電子たばこ群の16人で18の重篤な有害事象があった(非含有電子たばこ群では22人・27イベント)。有害事象については統計学的な有意差はなかった。

結論:
 ニコチンパッチにニコチン含有電子たばこを併用するニコチン減量戦略は、ニコチン非含有電子たばこを使用したりニコチンパッチ単独で治療したりするよりも効果的であった。






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by otowelt | 2019-10-02 00:08 | 呼吸器その他

エアリーク量が1日100mL以上だと気胸に対する胸腔ドレーンの治療失敗リスクが高い

e0156318_14441648.jpg これは呼吸器科医ならば誰しもが体感しているものでしょうが、ちょっと1~2日目だけで有意差があるのがハテナマークですね。

Hallifax RJ, et al.
Predicting outcomes in primary spontaneous pneumothorax using air leak measurements.
Thorax. 2019 Apr;74(4):410-412.


概要:
 原発性自然気胸(PSP)は、初期治療レジメンは基本的に一般化されており、個別化されておらず、多くの場合、空気漏れが止まるまで長期間待つ必要がある。胸腔ドレーン挿入が必要になった81人のPSP患者の前向き研究において、エアリーク量と治療失敗の関連を調べた。
 1日目あるいは2日目に高度のエアリークがある場合、入院期間が延長した。エアリーク量が1日目で100mL/日以上の場合、治療失敗のオッズ比は5.2(95%信頼区間1.2-22.6、p=0.03)となり、早期の肉眼的エアリーク量観察は治療失敗を予測できることが分かった。

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(文献より引用:単変量解析および多変量解析)



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by otowelt | 2019-09-22 00:56 | 呼吸器その他

電子たばこはプロテアーゼ・アンチプロテアーゼ均衡を崩す

e0156318_1059273.png 釈迦に説法ですが、加熱式たばこではなく、電子たばこです。

Ghosh A, et al.
Chronic E-Cigarette Use Increases Neutrophil Elastase and Matrix Metalloprotease Levels in the Lung.
Am J Respir Crit Care Med. 2019 Aug 7. doi: 10.1164/rccm.201903-0615OC.


背景:
 タンパク質分解は、肺の自然免疫系の重要な側面である。 好中球エラスターゼおよびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を含むプロテアーゼは、標的タンパク質を切断することで、細胞シグナル伝達、炎症、組織リモデリングおよび白血球の動員を調節する。 過剰なタンパク質分解が起こり、気管支拡張症や気腫の原因となる。しかしながら、タンパク質分解に対する電子たばこの効果は不明である。

目的:
 肺に対する電子たばこの影響のバイオマーカーとして、プロテアーゼレベルを用いた。

方法:
 健康な非喫煙者、喫煙者、電子たばこ使用者に対して気管支鏡検査をおこない、気管支肺胞洗浄(BAL)液中のプロテアーゼレベルを決定した。また並行して、ヒトの血中好中球およびBAL由来マクロファージの分泌プロテアーゼに対する電子たばこの影響を調べた。 また、誘発喀痰とBALのニコチン濃度も計測した。

結果:
 好中球エラスターゼ、MMP-2、MMP-9の活性/タンパク質レベルは、非喫煙者と比較して電子たばこ使用者と喫煙者の両群のBALで上昇した。対照的に、アンチプロテアーゼのレベルは変わらなかった。また、好中球およびマクロファージのニコチンへの曝露によって、プロテアーゼ放出が用量依存的に増加されることがわかった。電子たばこによって、測定可能なニコチンがBALで検出された。これは免疫細胞でみられるプロテアーゼ放出のEC50に相当した。

結論:
 電子たばこによって肺免疫細胞からニコチン依存性プロテアーゼの放出が誘導される。ゆえに、慢性的に電子たばこを吸うことで、肺でののタンパク質分解が増加し、慢性肺疾患を発症する危険性があり、プロテアーゼとアンチプロテアーゼの均衡が崩れる。これらのデータは、電子たばこを吸うことは通常タバコを喫煙するより安全とは言えないことを示している。



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by otowelt | 2019-09-19 00:10 | 呼吸器その他

呼吸器疾患があると鍼治療後の気胸リスクが高くなる

e0156318_1627308.png 思ったより頻度が低いですね。ものすごく稀です。
 当院にもまれに、鍼治療後の気胸患者さんが来院されます。問い合わせても「鍼治療とは関係ありません」と言われることが多いのが残念です。

Lin SK, et al.
Incidence of iatrogenic pneumothorax following acupuncture treatments in Taiwan.
Acupunct Med. 2019 Aug 21:acupmed2018011697.

背景:
 気胸は鍼治療におけるまれな合併症であるが、そのリスク因子はよくわかっていない。

目的:
 この研究は、台湾における国内健康保険研究データベースにおける100万人のサンプルコホートを用いて、鍼治療後に入院を要する気胸を起こした頻度を調べたものである。

方法:
 1997年から2012年の間に当該コホートを用いて調べた。患者は、性別、保険金額、合併症、居住地域、鍼治療を受けた数によって層別化された。ロジスティック回帰分析によって気胸リスクを推定した。

結果:
 鍼治療後7日後までの情報が得られた、41万1734人における540万7378回の鍼治療がコホートから同定された。医原性気胸の発生は100万回の鍼治療あたり0.87で、解剖学的にリスクが高い部位の鍼治療では100万回の鍼治療あたり1.75だった。多変量ロジスティック回帰分析によれば、呼吸器手術歴(補正オッズ比7.85、95%信頼区間3.49-9.25)、慢性気管支炎(補正オッズ比2.61、95%信頼区間1.03-6.87)、気腫(補正オッズ比4.87、95%信頼区間1.03-7.96)、肺炎(補正オッズ比2.09、95%信頼区間1.44-2.72)、結核(補正オッズ比3.65、95%信頼区間1.39-9.56)、肺癌(補正オッズ比3.85、95%信頼区間1.53-9.73)が鍼治療後の気胸リスクを上昇させた。女性よりも男性のほうが気胸リスクは高かった(補正オッズ比3.41、95%信頼区間1.36-8.57)。治療回数は気胸リスク上昇とは関連していなかった。

結論:
 慢性気管支炎、気腫、結核、肺癌、肺炎、呼吸器手術既往などの呼吸器疾患の病歴がある患者は鍼治療後の気胸リスクが上昇した。



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by otowelt | 2019-09-13 00:11 | 呼吸器その他

顎矯正手術後の気胸の頻度

e0156318_9114535.png めちゃくちゃまれですね。個人的には、歯科口腔外科領域の処置後に縦隔気腫を発症した症例を診たことがあります。

Liu K, et al.
Incidence of Pneumothorax Experienced After Orthognathic Surgery.
J Craniofac Surg. 2019 Jul 24. doi: 10.1097/SCS.0000000000005759.


目的:
 本研究の目的は、顎矯正手術後の気胸の頻度を評価し、その臨床像を記すことである。

方法:
 2007年1月から2018年9月にかけて顎矯正手術を受けた連続患者の術前臨床評価、臨床検査所見、胸部X線検査を単施設院内データベースで後ろ向きに調べた。

結果:
 5229人の連続患者のうち、2人(0.038%)が呼吸困難と胸痛を訴え術後気胸と診断された。それぞれ20歳男性と32歳女性だった。局所麻酔のもと胸腔ドレナージが適用され、すみやかに処置された。

結論:
 本研究によれば、顎矯正手術は頭蓋顔面異常を有する患者に安全に実施できるが、まれではあるが気胸の合併症が起こる可能性があることを示した。術後に呼吸困難および胸痛を訴える患者では気胸に注意が必要である。



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by otowelt | 2019-08-05 00:45 | 呼吸器その他

自然気胸の30日再入院率は13.6%

e0156318_14441648.jpg 下記のWalkerらのシステマティックレビューでは、1年再発率は29%と報告されています。自然気胸の再発の多くが初回治療後早期に発症していることが予想されます。

参考記事:システマティックレビュー:自然気胸の再発率は32.1%

 論文を読んでいて驚いたのは、1週間足らずの入院で1万ドル以上かかっている点でした。うわー・・・オソロシイ・・・。

 過去の報告に基づいて近似曲線を描いてみると、自然気胸の再発率は図のようになります。
e0156318_22285966.png
(自然気胸再発率の推移)

Mukhtar O, et al.
Characteristics of 30-day readmission in spontaneous pneumothorax in the United States: a nationwide retrospective study.
J Community Hosp Intern Med Perspect. 2019 Jun 19;9(3):215-220.


目的:
 われわれの研究は、自然気胸患者における30日全原因再入院率の全国推定値を同定し、死亡率、入院期間、入院費用に関して、これら再入院の負担を調査することを目的とした。

方法:
 2013~2014年の国内再入院データベースを用いて、成人自然気胸患者を同定した。研究コホートの患者レベルおよび病院レベルの変数を分析した。プライマリアウトカムは、再入院の理由を含めた30日間の再入院率である。セカンダリアウトカムには、全死因死亡率、医療ソース利用、再入院の予測因子が含まれた。

※この解析では、18歳未満の症例は除外された。

結果:
 合計47108人の自然気胸患者が同定された。30日再入院率は13.6%だった。もっともよくみられた再入院理由は、気胸再発だった。再入院患者の院内死亡率は3.1%だった。気胸による再入院は死亡率が高かった(4.6%、p<0.001)。年齢が45~64歳(ハザード比1.31、95%信頼区間1.15-1.49、p<0.001)、癌の病歴(ハザード比1.34、95%信頼区間1.17-1.53、p<0.001)は30日再入院の予測因子だった。
e0156318_2212313.png
(年齢別再入院:文献より引用)

 30日歳入院のリスクを減少させたのは、非保険自費診療(ハザード比0.73、95%信頼区間0.61-0.82、p<0.001)、初回入院での胸膜癒着術(ハザード比0.632、95%信頼区間0.57-0.70、p<0.001)などだった。

結論:
 自然気胸患者の30日再入院率は13.6%であり、気胸再発が最たる原因だった。30日再入院は、高い死亡率と高額な入院費用に関連していた。中年および癌の病歴は30日再入院のリスクを上昇させた。


by otowelt | 2019-07-30 00:45 | 呼吸器その他