カテゴリ:呼吸器その他( 321 )

慢性肺アスペルギルス症に対する気管支動脈塞栓術後の再喀血の検討

e0156318_16563255.png 喀血診療のメッカ、国立病院機構東京病院からの報告です。当院でもBAEチームが稼働しております!

Ando T, et al.
Exacerbation of chronic pulmonary aspergillosis was associated with a high rebleeding rate after bronchial artery embolization
Respiratory Investigation, In Press, Corrected Proof, Available online 25 January 2019

背景:
 喀血は慢性肺アスペルギルス症(CPA)によくみられる症状である。外科手術は喀血に対する第一選択であるが、CPAは呼吸機不全や肺機能低下といった合併症を有しやすいため、外科手術はしばしば避けられる。気管支動脈塞栓術(BAE)は、このような患者の大量および遷延性喀血の治療選択肢の1つとして考慮されてもよいかもしれない。

方法:
 われわれは日本の東京にある国立病院機構東京病院において、2011年1月から2016年12月までに喀血で入院した323人の患者のうち、CPAだった62人を同定した。そのうち、当院で追跡しえなかった15人とBAE後に外科手術を受けた6人をのぞく、手術不能でBAEを受けた喀血合併CPA患者41人の患者診療録を後ろ向きに調べた。

結果:
 この研究に登録された41人(平均年齢64.6±11.9歳、男性78%、平均BMI18.4±3.3)のうち、出血時に少なくとも6ヶ月の抗真菌薬をすでに継続していたのは22人(53.7%)である。8人(19.5%)は喀血を契機に抗真菌薬治療が開始された。
 21人(51.2%)がBAE後、平均追跡期間24ヶ月以内に再出血を起こした。BAE後1ヶ月以内に出血がなかったのは92.7%であり、1年以内に出血がなかったのは65.8%、3年以内に出血がなかったのは47.9%だった。
 再出血を起こした患者は、起こさなかった患者と比較すると、非気管支動脈の体循環動脈が責任血管になっている数が有意に多かった(平均2.55本 vs 4.86本, p=0.011)。放射線学的所見が安定あるいは改善している患者は、悪化している患者よりも出血率が低かった(p<0.001)。再出血を起こさなかった患者は、再出血した患者よりも生存率が有意に高かった(5年:79.7% vs 39.9%、p=0.046)。
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(文献より引用:再喀血)

結論:
 BAEは、特に外科的切除ができないCPA患者の喀血をコントロールする上で効果的である。しかしながら、BAE後の再出血を予防して生存を改善させるためには、CPAの長期的疾患コントロールが重要である。
 








by otowelt | 2019-02-20 00:29 | 呼吸器その他

電子たばこのほうがニコチン置換療法より禁煙に有効

e0156318_1059273.png 「電子たばこなんてダメ!」と叫んでいた人たちは、どうするのでしょうね。意見をひっくり返すのか、そのままアンチ電子たばこの道を突き進むのか。ちなみに日本の加熱式たばことは別物なのでご留意を。タバコ葉が入っている加熱式たばこと液体ニコチンの電子たばこを比較してはダメです。

Hajek P, et al.
A Randomized Trial of E-Cigarettes versus Nicotine-Replacement Therapy.
N Engl J Med. 2019 Jan 30. doi: 10.1056/NEJMoa1808779.


背景:
 電子たばこは禁煙の試みとして一般的に用いられているが、禁煙治療として承認されているニコチン製品と比べると有効性に関するエビデンスは限られている。

方法:
 われわれはランダムにイギリス国民保健サービスの禁煙プログラムに参加している成人に対して、被験者の選択によるニコチン代替製品(パッチ、ガム、鼻スプレーなど)を最長3ヶ月提供、あるいはもう一方には、AspireのOne Kit電子たばこスターターパック(写真、第2世代詰め替え式電子タバコ、ニコチンリキッド1本あたり濃度18mg/mL)を提供し、好みのフレイバーと濃度のニコチンリキッドを自分で追加購入するよう許可した。
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(Aspire One Kit)

 禁煙治療には、いずれの群にも禁煙に対する行動支援を週1回、4週間以上にわたって介入した。プライマリアウトカムは、1年間の禁煙率(禁煙決断日から2週間で5本を超えないことが条件)で、1年後の最終診察時に生化学的検査で判定した(呼気中一酸化炭素濃度8ppm未満)。追跡不能例や生化学的検査ができなかった場合には、禁煙は達成されていないものと判定した。

結果:
 合計886人の参加者がランダム化された(439人が電子たばこ群、447人がニコチン置換療法群)。1年禁煙率は、電子たばこ群18.0%、ニコチン置換療法群9.9%だった(相対リスク1.83、95%信頼区間1.30-2.58、p<0.001)。これは禁煙に対するNNTが12であることを意味する(95%信頼区間8 -27)。いずれの禁煙治療も、通常の喫煙と比べると満足度が低かったが、電子たばこのほうが満足度は高く、「吸いたい」という動機は有意に低かった。
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(文献より引用:プライマリアウトカム)

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(文献より引用:喫煙衝動)

 1年後に禁煙ができていた参加者のうち、52週時点で当初割り付け群の電子たばこ、ニコチン代替製品を使い続けていたのはそれぞれ80%(79人中63人) 、9%(44人中4人)だった。総じて、咽頭あるいは口腔違和感は電子たばこ群により多くみられ(65.3% vs 51.2%)、悪心はニコチン置換療法に多かった(37.9% vs 31.3%)。電子たばこ群では、ベースラインから52週までの咳嗽と喀痰の頻度がニコチン置換療法よりも低かった(咳嗽:相対リスク0.8、95%信頼区間0.6-0.9、喀痰:相対リスク0.7、95%信頼区間0.6-0.9)。喘鳴や息切れの頻度は両群に差はなかった。

結論:
 行動支援が伴う場合、電子たばこはニコチン置換療法よりも禁煙効果が高い。



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by otowelt | 2019-02-08 00:22 | 呼吸器その他

呼吸器内科医として知っておきたい加熱式たばこラインナップ

e0156318_1329388.png 最近急激に加熱式たばこの製品ラインナップが変化しました。ある程度情報を知っておく必要があると思ったので、表にまとめてみました。スマホのごとく、新製品が出ると型落ちして過去のものになっていく感じですね。
 なお、呼吸器専門医はいかなる理由があっても喫煙してはいけませんのでご注意を。

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表:iQOS(アイコス)

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表:Ploom(プルーム)

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表:glo(グロー)





by otowelt | 2019-02-07 00:22 | 呼吸器その他

メタアナリシス:ピッグテールカテーテルによる気胸治療

e0156318_14441648.jpg 本文を読むと、出版バイアスはありそうですね。ほとんどが後ろ向き研究です。

Fang M, et al.
Does pigtail catheters relieve pneumothorax?: A PRISMA-compliant systematic review and meta-analysis.
Medicine (Baltimore). 2018 Nov;97(47):e13255.


背景:
 ピッグテールカテーテルによる胸腔ドレナージは、胸水や気胸の治療に通常適用される。われわれの目的は、気胸に対するピッグテールカテーテルの適用と効果について調べることである。

方法:
 後ろ向きあるいは前向き研究で気胸に対するピッグテールカテーテルの効果を調べた研究を抽出した。ピッグテールカテーテルによる胸腔ドレナージの成功率をプライマリアウトカムとし、ドレナージ期間および合併症の発生率をセカンダリアウトカムとして検討した。プールされたデータは、固定効果モデルまたは変量効果モデルを用いてメタアナリシスされた。異質性、感度、サブグループ解析がおこなわれた。
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(文献より引用:研究)

結果:
 メタアナリシスは16研究1067人のデータに基づいておこなわれた。われわれの解析によれば、プールされた成功率は0.77(95%信頼区間0.71-0.82)であり、ドレナージ期間は5.61日 (95%信頼区間3.99-7.23日)、合併症率は0.18 (95%信頼区間0.09-0.27)だった。気胸の原因および患者特性によるサブグループ解析でも、同様の結果だった。
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(文献より引用:成功率のforest plot)

結論:
 放射線学的ガイドによるピッグテールカテーテル挿入は、安全かつ効果的な気胸治療選択肢となりうるかもしれない。これらの知見を確かにするべく、さらに大規模な前向き研究を実施する必要がある。





by otowelt | 2019-01-05 00:40 | 呼吸器その他

自然気胸に対する1ポート胸腔鏡下手術

e0156318_14441648.jpg  胸腔鏡下手術は、胸腔鏡と手術操作器具を挿入するためのポートを通常3ポート入れます。

Nachira D, et al.
Uniportal vs. triportal video-assisted thoracic surgery in the treatment of primary pneumothorax-a propensity matched bicentric study.
J Thorac Dis. 2018 Nov;10(Suppl 31):S3712-S3719.

背景:
 3ポートを用いた胸腔鏡下手術(VATS)の役割は、原発性自然気胸(PSP)の治療に広く認識されている。この研究の目的は、3ポートのVATSと比較したPSP治療に対する1ポートのVATS(U-VATS)の潜在的なアトバンテージと有効性をアセスメントすることである。

方法:
 2つの大学病院において、104人が3ポート(39人)および1ポート(65人)のVATSをPSP治療に対して受けた。前向きに収集された術後アウトカムのデータを後ろ向きにレビューし、1:1の傾向スコアマッチング解析によって2つのVATSアプローチを比較した。

結果:
 術後に主要な有害事象はみられなかった。3ポートのVATSと比較すると、U-VATSは再発リスク(両群ともにゼロ)、術後合併症(p=1.000)、手術時間(66.04±16.92分 vs. 74.57±21.38分, P=0.141)という観点からは同様の効果だった。しかしながら、U-VATSのほうが、追加アクセスの必要性[0 vs. 7 (30.4%), P=0.004]、胸腔ドレーン留置期間(4.39±1.41日 vs. 6.32±0.94日, P<<0.001)、術後入院期間(4.78±1.31日 vs. 6.61±1.67日, P<<0.001), 24時間時点での疼痛VAS(3.45±1.41 vs. 6.44±2.45, P<0.001)、胸腔ドレーン抜去後の疼痛を訴えた患者数[1人(4.3%) vs. 16人(69.6%), P<0.001]、胸腔ドレーン抜去後の疼痛VAS (0.11±0.47 vs. 2.74±2.25, P<0.001)、術後疼痛期間(2.50±1.20日 vs. 14.82±37.41日, P<0.001)、陳地位補助薬内服期間(0.75±1.06日 vs. 7.53±3.96日, P=0.001)、慢性感覚異常(レベルスケール0~2: 0 vs. 0.52±0.66, P<0.001)、慢性神経痛(0 vs. 0.43±0.59, P<0.001)、美容面での懸念(レベルスケール0~3: 2.91±0.28 vs. 2.00±0.77, P<0.001)という観点では良好だった。

結論:
 PSPに対する3ポートのVATSと同様にU-VATSは良好で安全におこなえ、術後疼痛、感覚異常、入院期間、美容面での懸念の軽減という効果から、より低侵襲と言えるかもしれない。





by otowelt | 2018-12-27 00:48 | 呼吸器その他

TONES 3試験:閉塞性睡眠時無呼吸に有望な経口薬剤solriamfetol

e0156318_117241.png OSAに対する有望な内服錠剤があれば、臨床医も患者さんも助かりますね。同時期に、6週間の短期有効性が示された研究も発表されています(Chest. 2018 Nov 21. pii: S0012-3692(18)32732-6.)。

Schweitzer PK, et al.
Solriamfetol for Excessive Sleepiness in Obstructive Sleep Apnea (TONES 3): A Randomized Controlled Trial.
Am J Respir Crit Care Med. 2018 Dec 6. doi: 10.1164/rccm.201806-1100OC.


背景:
 閉塞性睡眠時無呼吸の初期治療によっても、アドヒランスがあるにもかかわらず過度な眠気が遷延することがある。さらに、睡眠時無呼吸の治療そのものも、アドフランスの観点からは十分な効果があるとは言えない。こうした集団に対して、現在使用できる薬剤治療オプションは限られている。

目的:
 閉塞性睡眠時無呼吸の被験者における過度な眠気に対する現行・既往治療に対して、覚醒促進効果がある選択的ドパミン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬solriamfetol(JZP-110)の効果と安全性を評価すること。

方法:
 二重盲検ランダム化プラセボ対照並行群間試験で、solriamfetol37.5mg、75mg、150mg、300mgとプラセボを比較した。

結果:
 476人の被験者のうち、459人が事前に規定した効果解析に組み込まれた。複合プライマリエンドポイント(覚醒維持テストの睡眠潜時およびエプワース睡眠スケールスコア)は、すべてのsolriamfetol用量で効果をもたらした(p<0.05)。1週時点で用量依存性の効果が確認され、試験期間中それが維持された。37.5mgを除く用量で、全般改善度(Patient Global Impression of Change)の改善を報告した患者頻度が高かった(キーセカンダリエンドポイント、p<0.05)。有害事象はプラセボ群の47.9%にみられ、solriamfetol治療群の67.9%にみられ、5人が重篤な有害事象を呈した(プラセボのうち2人[1.7%]、solriamfetol群のうち3人[0.8]%)が、いずれも試験薬に関連したとは考えられなかった。もっともよくみられたsolriamfetolの有害事象は、頭痛(10.1%)、悪心(7.9%)、食欲低下(7.6%)、不安(7.0%)、鼻咽頭炎(5.1%)だった。

結論:
 solriamfetolは、閉塞性睡眠時無呼吸で過度な眠気がある被験者に対して、有意に覚醒を改善し眠気を減少させた。ほとんどの有害事象は軽度あるいは中等度だった。





by otowelt | 2018-12-21 00:45 | 呼吸器その他

慢性血栓塞栓性肺高血圧症に対するトレプロスチニル

e0156318_9102283.jpg 出るべくして出たエビデンスですね。

Roela Sadushi-Kolici, et al.
Subcutaneous treprostinil for the treatment of severe non-operable chronic thromboembolic pulmonary hypertension (CTREPH): a double-blind, phase 3, randomised controlled trial
Lancet Respiratory Medicine, DOI:https://doi.org/10.1016/S2213-2600(18)30367-9


背景:
 プロスタサイクリンアナログであるトレプロスチニルは、肺動脈性肺高血圧症の治療に有効である。しかしながら、慢性血栓塞栓性肺高血圧症(CTEPH)に対するトレプロスチニルに関する情報は不足している。この研究の目的は、この状況におけるトレプロスチニル皮下注射の効果と安全性を調べることである。

方法:
 この24週間ランダム化二重盲検比較試験において、われわれはオーストリア、チェコ共和国、ドイツ、ポーランドの6専門施設からCTEPH患者を登録し、非外科手術群、肺動脈血栓内膜摘除術後に肺高血圧症が遷延あるいは再発する群に割り付けられた。WHO機能分類IIIあるいはIVで6分間歩行距離が150~400mの患者がランダムに1:1の割合で、トレプロスチニル高用量皮下注射(12週時の標的用量30ng/kg/分)あるいは同低用量皮下注射(12週時の標的用量3ng/kg/分)を投与する群に割り付けられた。プライマリエンドポイントは24週時点でのベースラインからの6分間歩行距離の変化とした。試験薬を1回でも投与された群は、ITT効果解析および有害事象アセスメントに基づくITT安全性解析に組み込まれた。

結果:
 2009年3月9日から2016年6月9日までに、105人の患者が登録され、53人(50%)が高用量トレプロスチニル群、52人(50%)が低用量トレプロスチニル群に割り付けられた。24週時点で、高用量群の6分間歩行距離は周辺平均で44.98m改善し(95%信頼区間27.52~62.45m)、低用量群で4.29m改善した(95%信頼区間-13.34~21.92m)(治療有効性40.69m、95%信頼区間15.86~65.53m、p=0.0016)。低用量群52人のうち10人(19%)に12の重篤な有害事象が報告され、高用量群53人のうち9人(17%)に16の重篤な有害事象が報告された。両群でもっともよくみられた有害事象は、注射部位疼痛および注射部位反応だった。

結論:
 重症CTEPH患者におけるトレプロスチニル皮下注射は安全で、運動耐容能を改善させた。トレプロスチニル皮下注射は、WHO機能分類IIIあるいはIVの患者や、他の治療や併用治療に忍容性のない患者に対する非経口治療オプションとして支持される。

資金提供
 SciPharm Sàrl





by otowelt | 2018-12-06 00:47 | 呼吸器その他

自然気胸に対するVATSに追加する胸膜癒着剤はポビドンヨードよりミノサイクリンのほうがよい

e0156318_14441648.jpg ポビドンヨードは50%ブドウ糖液の次の低侵襲癒着剤として候補になっていますが、個人的にはまだ使ったことはありません(さすがにIRB通すレベルでしょうか使いづらいですかね)。

Lee KH, et al.
Comparison of additional minocycline versus iodopovidone pleurodesis during video-assisted thoracoscopic bleb resection for primary spontaneous pneumothorax: a propensity score-matched analysis.
J Thorac Dis. 2018 Sep;10(9):5443-5448.


背景:
 原発性自然気胸(PSP)における胸腔鏡下手術(VATS)のブレブ切除に際して、妥当な化学物質を追加的胸膜癒着剤として加えることには議論の余地がある。われわれは、VATSによるブレブ切除に際して、追加の化学的胸膜癒着剤としてのポビドンヨードの効果と安全性をミノサイクリンと比較した。

方法:
 VATSでブレブ切除を受けた332人のうち、299人がPSPと診断された。追加的な胸膜癒着術を行う化学物質によって患者は2群に分けられた(ポビドンヨード vs ミノサイクリン)。手術前臨床パラメータに基づいて、傾向スコアマッチングがおこなわれた。術後合併症、胸腔ドレーン挿入期間、術後入院期間、再発率が2群で比較された。

結果:
 追跡期間中央値は14ヶ月だった(範囲1-94ヶ月)。傾向スコアマッチングにより、ポビドンヨード群の94人、ミノサイクリン群の94人が比較された。発熱、胸水持続、術後ベッドサイドでの胸膜癒着術実施、合併症による再入院を含む周術期アウトカムは2群で有意な差はなかった。しかしながら、術後2日間のドレナージ量、胸腔ドレーン挿入期間、入院期間についてはミノサイクリンのほうが短かった(P<0.001)。

結論:
 この研究では、追加的胸膜癒着剤としてミノサイクリンとポビドンヨードの安全性が示された。しかしながら、われわれは術後回復が早いことから胸膜癒着剤としてはポビドンヨードよりもミノサイクリンを慎重に推奨したい。





by otowelt | 2018-12-04 00:45 | 呼吸器その他

気胸におけるエアリーク量と治療アウトカムの関連

e0156318_14441648.jpg シンプルですが実臨床の印象とマッチする知見です。

Hallifax RJ, et al.
Predicting outcomes in primary spontaneous pneumothorax using air leak measurements
Thorax, http://dx.doi.org/10.1136/thoraxjnl-2018-212116


概要:
 原発性自然気胸(PSP)のエアリークについて調べた研究で、前向きに81人のPSP患者を登録した。胸腔ドレナージday1, day2のエアリークを観察し、その後の気胸治療アウトカムと関連しているかどうか調べた。
 気胸治療マネジメントに失敗した症例は、day1におけるエアリーク(360mL/分 vs 10mL/分、p=0.02)、day2におけるエアリーク(190mL/分 vs 10mL/分、p=0.03)が大きかった。
 day1, day2にエアリークが顕著だった症例は、入院期間も延長した(p=0.02)。
 day1でエアリークが100mL/分以上であった場合、マネジメント失敗のリスクは上昇(非補正オッズ比率5.2、95%信頼区間1.3-20.0、p=0.01)。
 気胸の虚脱率が大きいからといって、治療マネジメント失敗とは関連していなかった(オッズ比1.4、95%信頼区間0.4-4.3, p=0.60)。
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by otowelt | 2018-11-22 00:44 | 呼吸器その他

アレルギー性気管支肺アスペルギルス症の免疫学的検査を満たす慢性肺アスペルギルス症患者は多い

e0156318_16301050.jpg ここでいうABPAの必要基準とは、コレスポンディングオーサーのAgarwal教授が提唱している、ISHAM基準の2項目です。

Sehgal IS, et al.
Is There an Overlap in Immune Response Between Allergic Bronchopulmonary and Chronic Pulmonary Aspergillosis?
J Allergy Clin Immunol Pract. 2018 Sep 8. pii: S2213-2198(18)30571-3.


背景:
 慢性肺アスペルギルス症(CPA)およびアレルギー性気管支肺アスペルギルス症(ABPA)は、肺におけるアスペルギルス属に対する2表現型をあらわしていると推定されている。

目的:
 CPAと診断された症例において、ABPAの診断に用いられる免疫学的検査がオーバーラップしているかどうかを調査すること。

方法:
 CPAの連続患者において、われわれはABPAの診断に用いられる免疫学的検査(Aspergillus fumigatus特異IgE抗体>0.35kUA/L、総IgE≧500IU/mL、好酸球数≧500/μL)あるいは必要基準(A. fumigatus特異IgE抗体>0.35kUA/Lおよび総IgE≧500IU/mL)が陽性となった患者の頻度を算出した。

結果:
 合計269人のCPA患者(53.5%が男性、平均年齢44.3±14.7歳)が登録された。もっともよくみられた基礎疾患は、陳旧性肺結核だった(230人、85.5%)。93人(34.6%)の患者が総IgE≧500IU/mLであり、A. fumigatus特異IgE抗体>0.35kUA/Lとなったのは112人(41.6%)だった。13人(4.8%)がABPAの免疫学的基準をすべて満たし、59人(21.9%)が必要基準を満たした。必要基準を満たした患者は、満たさなかった患者と比べると、有意に好酸球数が高く(P ≤ 0.0001)、アスペルギルス抗原に対する即時型皮膚反応が大きく(必要基準を満たさないその他のCPA vs 必要基準を満たしたCPA:9.8 ± 13.9 vs 13.9 ± 14.9 mm, P= 0.048)、A. fumigatus特異IgG抗体が高く(99.3 ± 61.9 vs 122 ± 66.6 mgA/L, P = 0.015)、真菌球の数が多かった(0.9 ± 0.7 [範囲0-3] vs 1.1 ± 0.9 [範囲0-4], P = 0.026)。

結論:
 CPA患者の約5%がABPAの診断に用いられる免疫学的検査のすべてに陽性で、22%がABPAの必要基準を満たした。これらの患者が異なるマネジメントプロトコルを必要とするかどうかを判断するには、さらなる研究を要するだろう。





by otowelt | 2018-11-15 00:08 | 呼吸器その他