カテゴリ:呼吸器その他( 353 )

ニコチン含有電子たばこ併用ニコチンパッチ禁煙治療は有用

e0156318_1003223.png NEJMの電子たばこ死亡例の報告があってから、すべての電子たばこと加熱式たばこが批判されています。呼吸器内科医としては「余計なものは吸うな」という認識ですが、くだんの報告でもってすべての新型たばこを叩く行為はサイエンティフィックには誤りだと思います。
 また、禁煙補助としての電子たばこは、嗜好品のそれとは別で考えるべきです。
 そして、呼吸器内科医であれば、電子たばこと加熱式たばこの違いくらいはおさえておきたいところです。

Natalie Walke, et al.
Nicotine patches used in combination with e-cigarettes (with and without nicotine) for smoking cessation: a pragmatic, randomised trial
Lancet Respiratory Medicine, Available online 9 September 2019


背景:
 ニコチン置換療法は禁煙に有用である。われわれは、6ヶ月の禁煙治療において電子たばこ(ニコチン含有・非含有)にニコチンパッチを併用する効果を検証した。

方法:
 われわれは、ニュージーランドにおいて、電子たばこを吸ったことがなく禁煙の意思がある成人喫煙者を3群並行群間試験に登録した。国内メディア広告から、被験者を募った。被験者は、ランダムに1:4:4の割合で、14週間(禁煙日前2週間から)の21mg24時間のニコチンパッチ、ニコチンパッチ+18mg/Lニコチン含有電子たばこ、ニコチンパッチ+ニコチン非含有電子たばこの3群に割り付けられた。われわれは、毎日1枚のニコチンパッチを用いるよう促し、電子たばこ割り付け群は、必要時あるいは希望時に吸入してもらうようにした。被験者と研究者は、液体ニコチンが含有されているかどうかは盲検化された。電話ベースでの行動サポート介入も行った。
 プライマリアウトカムは、CO濃度に基づく6ヶ月持続禁煙率とした。解析はITT集団でおこない、感度解析はper protocol、治療アドヒアランス、COカットオフ値ごとにおこなった。

結果:
 2016年2月17日から2017年11月30日までに、1124人の被験者が登録された。ニコチンパッチ群(125人)、ニコチンパッチ+ニコチン含有電子たばこ群(500人)、ニコチンパッチ+ニコチン非含有電子たばこ群(499人)の3群で解析をおこなった。ニコチンパッチ群の125人中62人(50%)、ニコチンパッチ+ニコチン含有電子たばこ群500人中161人(32%)、ニコチンパッチ+ニコチン非含有電子たばこ群499人中162人(33%)が、6ヶ月時点に脱落あるいは追跡不能となっていた。ニコチンパッチ+ニコチン含有電子たばこ群におけるCO濃度に基づいた6ヶ月時持続禁煙率は7%で、ニコチンパッチ+ニコチン非含有電子たばこ群よりも高かった(vs 4%、リスク差2.99、95%信頼区間0.17-5.81)。ニコチンパッチ群での持続禁煙率は2%と低かった(リスク差4.60、95%信頼区間1.11–8.09)。
 自己申告の場合、ニコチンパッチ+ニコチン含有電子たばこ群の6ヶ月持続禁煙率は18%、ニコチンパッチ+ニコチン非含有電子たばこ群11%、ニコチンパッチ群8%だった。
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(文献より引用)
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(文献より引用)

 ニコチンパッチ+ニコチン含有電子たばこ群の16人で18の重篤な有害事象があった(非含有電子たばこ群では22人・27イベント)。有害事象については統計学的な有意差はなかった。

結論:
 ニコチンパッチにニコチン含有電子たばこを併用するニコチン減量戦略は、ニコチン非含有電子たばこを使用したりニコチンパッチ単独で治療したりするよりも効果的であった。






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by otowelt | 2019-10-02 00:08 | 呼吸器その他

エアリーク量が1日100mL以上だと気胸に対する胸腔ドレーンの治療失敗リスクが高い

e0156318_14441648.jpg これは呼吸器科医ならば誰しもが体感しているものでしょうが、ちょっと1~2日目だけで有意差があるのがハテナマークですね。

Hallifax RJ, et al.
Predicting outcomes in primary spontaneous pneumothorax using air leak measurements.
Thorax. 2019 Apr;74(4):410-412.


概要:
 原発性自然気胸(PSP)は、初期治療レジメンは基本的に一般化されており、個別化されておらず、多くの場合、空気漏れが止まるまで長期間待つ必要がある。胸腔ドレーン挿入が必要になった81人のPSP患者の前向き研究において、エアリーク量と治療失敗の関連を調べた。
 1日目あるいは2日目に高度のエアリークがある場合、入院期間が延長した。エアリーク量が1日目で100mL/日以上の場合、治療失敗のオッズ比は5.2(95%信頼区間1.2-22.6、p=0.03)となり、早期の肉眼的エアリーク量観察は治療失敗を予測できることが分かった。

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(文献より引用:単変量解析および多変量解析)



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by otowelt | 2019-09-22 00:56 | 呼吸器その他

電子たばこはプロテアーゼ・アンチプロテアーゼ均衡を崩す

e0156318_1059273.png 釈迦に説法ですが、加熱式たばこではなく、電子たばこです。

Ghosh A, et al.
Chronic E-Cigarette Use Increases Neutrophil Elastase and Matrix Metalloprotease Levels in the Lung.
Am J Respir Crit Care Med. 2019 Aug 7. doi: 10.1164/rccm.201903-0615OC.


背景:
 タンパク質分解は、肺の自然免疫系の重要な側面である。 好中球エラスターゼおよびマトリックスメタロプロテアーゼ(MMP)を含むプロテアーゼは、標的タンパク質を切断することで、細胞シグナル伝達、炎症、組織リモデリングおよび白血球の動員を調節する。 過剰なタンパク質分解が起こり、気管支拡張症や気腫の原因となる。しかしながら、タンパク質分解に対する電子たばこの効果は不明である。

目的:
 肺に対する電子たばこの影響のバイオマーカーとして、プロテアーゼレベルを用いた。

方法:
 健康な非喫煙者、喫煙者、電子たばこ使用者に対して気管支鏡検査をおこない、気管支肺胞洗浄(BAL)液中のプロテアーゼレベルを決定した。また並行して、ヒトの血中好中球およびBAL由来マクロファージの分泌プロテアーゼに対する電子たばこの影響を調べた。 また、誘発喀痰とBALのニコチン濃度も計測した。

結果:
 好中球エラスターゼ、MMP-2、MMP-9の活性/タンパク質レベルは、非喫煙者と比較して電子たばこ使用者と喫煙者の両群のBALで上昇した。対照的に、アンチプロテアーゼのレベルは変わらなかった。また、好中球およびマクロファージのニコチンへの曝露によって、プロテアーゼ放出が用量依存的に増加されることがわかった。電子たばこによって、測定可能なニコチンがBALで検出された。これは免疫細胞でみられるプロテアーゼ放出のEC50に相当した。

結論:
 電子たばこによって肺免疫細胞からニコチン依存性プロテアーゼの放出が誘導される。ゆえに、慢性的に電子たばこを吸うことで、肺でののタンパク質分解が増加し、慢性肺疾患を発症する危険性があり、プロテアーゼとアンチプロテアーゼの均衡が崩れる。これらのデータは、電子たばこを吸うことは通常タバコを喫煙するより安全とは言えないことを示している。



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by otowelt | 2019-09-19 00:10 | 呼吸器その他

呼吸器疾患があると鍼治療後の気胸リスクが高くなる

e0156318_1627308.png 思ったより頻度が低いですね。ものすごく稀です。
 当院にもまれに、鍼治療後の気胸患者さんが来院されます。問い合わせても「鍼治療とは関係ありません」と言われることが多いのが残念です。

Lin SK, et al.
Incidence of iatrogenic pneumothorax following acupuncture treatments in Taiwan.
Acupunct Med. 2019 Aug 21:acupmed2018011697.

背景:
 気胸は鍼治療におけるまれな合併症であるが、そのリスク因子はよくわかっていない。

目的:
 この研究は、台湾における国内健康保険研究データベースにおける100万人のサンプルコホートを用いて、鍼治療後に入院を要する気胸を起こした頻度を調べたものである。

方法:
 1997年から2012年の間に当該コホートを用いて調べた。患者は、性別、保険金額、合併症、居住地域、鍼治療を受けた数によって層別化された。ロジスティック回帰分析によって気胸リスクを推定した。

結果:
 鍼治療後7日後までの情報が得られた、41万1734人における540万7378回の鍼治療がコホートから同定された。医原性気胸の発生は100万回の鍼治療あたり0.87で、解剖学的にリスクが高い部位の鍼治療では100万回の鍼治療あたり1.75だった。多変量ロジスティック回帰分析によれば、呼吸器手術歴(補正オッズ比7.85、95%信頼区間3.49-9.25)、慢性気管支炎(補正オッズ比2.61、95%信頼区間1.03-6.87)、気腫(補正オッズ比4.87、95%信頼区間1.03-7.96)、肺炎(補正オッズ比2.09、95%信頼区間1.44-2.72)、結核(補正オッズ比3.65、95%信頼区間1.39-9.56)、肺癌(補正オッズ比3.85、95%信頼区間1.53-9.73)が鍼治療後の気胸リスクを上昇させた。女性よりも男性のほうが気胸リスクは高かった(補正オッズ比3.41、95%信頼区間1.36-8.57)。治療回数は気胸リスク上昇とは関連していなかった。

結論:
 慢性気管支炎、気腫、結核、肺癌、肺炎、呼吸器手術既往などの呼吸器疾患の病歴がある患者は鍼治療後の気胸リスクが上昇した。



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by otowelt | 2019-09-13 00:11 | 呼吸器その他

顎矯正手術後の気胸の頻度

e0156318_9114535.png めちゃくちゃまれですね。個人的には、歯科口腔外科領域の処置後に縦隔気腫を発症した症例を診たことがあります。

Liu K, et al.
Incidence of Pneumothorax Experienced After Orthognathic Surgery.
J Craniofac Surg. 2019 Jul 24. doi: 10.1097/SCS.0000000000005759.


目的:
 本研究の目的は、顎矯正手術後の気胸の頻度を評価し、その臨床像を記すことである。

方法:
 2007年1月から2018年9月にかけて顎矯正手術を受けた連続患者の術前臨床評価、臨床検査所見、胸部X線検査を単施設院内データベースで後ろ向きに調べた。

結果:
 5229人の連続患者のうち、2人(0.038%)が呼吸困難と胸痛を訴え術後気胸と診断された。それぞれ20歳男性と32歳女性だった。局所麻酔のもと胸腔ドレナージが適用され、すみやかに処置された。

結論:
 本研究によれば、顎矯正手術は頭蓋顔面異常を有する患者に安全に実施できるが、まれではあるが気胸の合併症が起こる可能性があることを示した。術後に呼吸困難および胸痛を訴える患者では気胸に注意が必要である。



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by otowelt | 2019-08-05 00:45 | 呼吸器その他

自然気胸の30日再入院率は13.6%

e0156318_14441648.jpg 下記のWalkerらのシステマティックレビューでは、1年再発率は29%と報告されています。自然気胸の再発の多くが初回治療後早期に発症していることが予想されます。

参考記事:システマティックレビュー:自然気胸の再発率は32.1%

 論文を読んでいて驚いたのは、1週間足らずの入院で1万ドル以上かかっている点でした。うわー・・・オソロシイ・・・。

 過去の報告に基づいて近似曲線を描いてみると、自然気胸の再発率は図のようになります。
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(自然気胸再発率の推移)

Mukhtar O, et al.
Characteristics of 30-day readmission in spontaneous pneumothorax in the United States: a nationwide retrospective study.
J Community Hosp Intern Med Perspect. 2019 Jun 19;9(3):215-220.


目的:
 われわれの研究は、自然気胸患者における30日全原因再入院率の全国推定値を同定し、死亡率、入院期間、入院費用に関して、これら再入院の負担を調査することを目的とした。

方法:
 2013~2014年の国内再入院データベースを用いて、成人自然気胸患者を同定した。研究コホートの患者レベルおよび病院レベルの変数を分析した。プライマリアウトカムは、再入院の理由を含めた30日間の再入院率である。セカンダリアウトカムには、全死因死亡率、医療ソース利用、再入院の予測因子が含まれた。

※この解析では、18歳未満の症例は除外された。

結果:
 合計47108人の自然気胸患者が同定された。30日再入院率は13.6%だった。もっともよくみられた再入院理由は、気胸再発だった。再入院患者の院内死亡率は3.1%だった。気胸による再入院は死亡率が高かった(4.6%、p<0.001)。年齢が45~64歳(ハザード比1.31、95%信頼区間1.15-1.49、p<0.001)、癌の病歴(ハザード比1.34、95%信頼区間1.17-1.53、p<0.001)は30日再入院の予測因子だった。
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(年齢別再入院:文献より引用)

 30日歳入院のリスクを減少させたのは、非保険自費診療(ハザード比0.73、95%信頼区間0.61-0.82、p<0.001)、初回入院での胸膜癒着術(ハザード比0.632、95%信頼区間0.57-0.70、p<0.001)などだった。

結論:
 自然気胸患者の30日再入院率は13.6%であり、気胸再発が最たる原因だった。30日再入院は、高い死亡率と高額な入院費用に関連していた。中年および癌の病歴は30日再入院のリスクを上昇させた。


by otowelt | 2019-07-30 00:45 | 呼吸器その他

この20年で受動喫煙はどうなったか?

e0156318_23175684.jpg 世界的にはやはり減っているようです。

Pelkonen MK, et al.
The relation of environmental tobacco smoke (ETS) to chronic bronchitis and mortality over two decades.
Respir Med. 2019 Jun 10;154:34-39.


背景:
 我々の目的は、受動喫煙(ETS)に曝露された人が、フィンランドにおいて1992年から2012年の間にどのように有病率が変化したかを記述することである。われわれは、ETSと慢性気管支炎の関連性、疾患特異的死亡および総脂肪について調べた。

方法:
 1992年~2012年の間に、25~74歳の38494人が国内FINRISK研究に登録された。各サーベイにおいてETS曝露に対する標準化質問票、慢性気管支炎症状、喫煙嗜好、その他リスク因子、研究施設における臨床測定データが得られた。死亡データは、国内死因登録データから得た。

結果:
 2012年では、5%の患者がETSに曝露され、1992年の25%と比べると少なかった。1992年と比較した2012年のETS曝露の補正オッズ比は0.27だった(p<0.001)。ETS曝露は、女性のほうがより多く、また喫煙者のほうが非喫煙者よりも多かった。ETS曝露は、慢性気管支炎と関連しており(オッズ比率1.63、95%信頼区間1.49-1.78)、職場(オッズ比1.36)と自宅(オッズ比1.69)でも認められた。ETS曝露者は、総死亡リスク(ハザード比1.15、95%信頼区間1.05-1.26)、心血管系死亡リスク(ハザード比1.26、95%信頼区間1.07-1.47)が有意に高かった。しかしながら、喫煙歴で層別化すると、ETSは喫煙者においてのみ総死亡リスクと関連していた(ハザード比1.31、95%信頼区間1.15-1.48)。
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(文献より引用:累積生存率)

結論:
 研究期間を通じてETS曝露者の比率は減少したが、ETS曝露は慢性気管支炎と関連しており、総死亡および心血管系死亡リスクを上昇させた。



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by otowelt | 2019-07-16 00:59 | 呼吸器その他

4m歩行速度は慢性呼吸器疾患患者の活動レベルと相関

e0156318_10445780.jpg こういう研究、ものすごく好きです。個人的に。
 ERJで2013年に報告があるので、そちらの記事も参考にしてください。

・COPDにおける4m歩行速度の有用性

Yoshida C, et al.
Four-meter gait speed predicts daily physical activity in patients with chronic respiratory diseases.
Respir Investig. 2019 May 13. pii: S2212-5345(18)30221-1.


背景:
 身体活動性指標は、進行性の慢性呼吸器疾患のアセスメントに対して有用である。4m歩行速度(4MGS)は高齢者の機能アセスメントとして確立されている。しかしながら、慢性呼吸器疾患の患者における4MGSと日常活動の関連性は完全に理解されていない。本研究は、慢性呼吸器疾患の患者において、4MGSが身体活動レベル(PAL)を含む日常活動を予測できるかどうか調べることを目的とした。

方法:
 間質性肺疾患やCOPDを含む慢性呼吸器疾患患者57人が登録され(20歳以上、安静時酸素飽和度が90%以上)、4MGSとさまざまな臨床パラメータ(肺機能、6分間歩行試験[6MWT]、加速度計を用いた日常活動)の相関性を評価した。線形回帰分析を用いて日常活動の有意な予測因子を同定した。
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結果:
 57人の平均年齢は68.1 ± 11.3歳で、男性が44人、平均BMIは22.6 ± 3.4だった。間質性肺疾患が37人、COPDが16人、その他が4人という内訳だった。修正MRC息切れスケールは30人が1で、平均%1秒量は71.8 ± 22.3%、平均6MWDは405.6 ± 86.2mだった。
 4MGSは、1日歩数、PAL、6分間歩行距離と有意な相関がみられた(それぞれr = 0.477, p < 0.001; r = 0.433, p = 0.001; r = 0.593, p < 0.001)。
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(4MGSと6MWDの相関[文献より引用])

 多変量線形回帰分析において、4MGSは%1秒量を予測し、BMIはPALの独立予測因子であることが示された。ROC解析では、4MGS<1.07m/秒は非活動的PALを予測するて適切なカットオフだった (AUC 0.728; 95%信頼区間0.589–0.866、陽性的中率55.6%、陰性的中率80.0%)。
e0156318_1219558.png
(ROC解析[文献より引用])

 修正MRC息切れスケールや酸素化プロファイルが同等であるにもかかわらず、4MGSが遅い患者(30人)は、速い患者(27人)と比べて有意に6MWD、1日歩数、PALが低かった。

結論:
 4MGSは、簡便におこなえる検査であり、慢性呼吸器疾患患者における日常活動の悪化を予測する有用な指標である。





by otowelt | 2019-07-05 00:54 | 呼吸器その他

最近発症した咳嗽が遷延化するリスク因子

e0156318_8413789.png 個人的には咳嗽の遷延化は、圧倒的に女性に多いなと思っておりますし、実際外来でもほとんどが女性です。
 家族歴については遺伝的なものの可能性と、居住に関連するものの可能性の2つがありますが、どちらが原因なのかはよく分かっていません。個人的には前者だと思っています。

Lätti AM, et al.
Predictors of prolongation in recent-onset cough.
ERJ Open Res. 2019 May 28;5(2). pii: 00238-2018. doi: 10.1183/23120541.00238-2018.


背景:
 慢性咳嗽は、QOLを著しく障害し、しばしば治療抵抗性となる。早期の段階での介入によって、咳嗽が慢性化することを防ぐことができる。これを達成するために、咳嗽が遷延化しやすい患者を同定することが必要になる。この研究では、直近で咳嗽を発症した患者において、12ヶ月時点で咳嗽が存在する予測する因子を検証した。

方法:
 これは、生産年齢で構成された地域ベースの集団における前向き観察追跡研究である。初回e-mailサーベイが2017年に実施され、現在の咳嗽とそのリスク因子について包括的な質問がなされた。直近(8週間以内)に発症した咳嗽を報告した259人に対して、12ヶ月後に追跡質問票を送った。

結果:
 回答率は72.6%(188人)だった。女性が84%を占めた。平均年齢は50.1±10.4歳だった。2018年には99人(52.7%)が咳嗽を有していた。多変量解析において以下の因子が12ヶ月後の咳嗽を予測していた:喘鳴(補正オッズ比2.80、95%信頼区間1.3-5.27)、犬を飼っている(補正オッズ比2.56、95%信頼区間1.21-5.44)、咳嗽が3週間を超えて持続(補正オッズ比2.29、95%信頼区間1.11-4.76)、慢性咳嗽の家族歴(補正オッズ比2.20、95%信頼区間1.13-4.30)、BMI>25(補正オッズ比2.06、95%信頼区間1.02-4.15)、身体症状の頻度が高い(補正オッズ比1.36、95%信頼区間1.13-1.64)。29人(15.4%)が持続性咳嗽であり、66人(35.1%)が再発性咳嗽であった。リスク因子は再発性と持続性の間ではまったく異なるものであった。
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(文献より引用:多変量解析)

 喫煙歴が変わったのは全体の0.5%であり、当該解析結果には影響を与えなかった。

結論:
 最近発症した咳嗽の患者において、咳嗽が長期化するリスク因子を特定することは可能かもしれない。早期介入はこの種の患者を対象とするべきである。





by otowelt | 2019-07-03 00:04 | 呼吸器その他

中等症OSAを有する高齢者にCPAP治療は有効

e0156318_117241.png 高齢者に対するエビデンスって少なかったですよね。非肥満例が多いので、日本人に対してはそのあたりが気になります。

Ponce S, et al.
The role of CPAP treatment in elderly patients with moderate obstructive sleep apnea. A Multicenter Randomised Controlled Trial.
Eur Respir J. 2019 Jun 4. pii: 1900518. doi: 10.1183/13993003.00518-2019.


背景:
 非重症閉塞性睡眠時無呼吸(OSA)のある高齢患者におけるCPAP治療の効果については議論の余地がある。

目的:
 この研究の目的は、中等症OSAを有する高齢患者における、臨床的、QOL、神経認知的側面に対するCPAP治療の効果を検証することである。

方法:
 オープンラベルのランダム化多施設共同臨床試験において、中等症OSA(無呼吸低呼吸指数が15~29.9イベント/時間)のある70歳以上の高齢患者143人が、ランダムにCPAP治療群(73人)、非CPAP治療群(72人)に3ヶ月間割り付けられた。プライマリエンドポイントはエプワース睡眠スケール(ESS)で、セカンダリエンドポイントにはQOL(ケベック睡眠質問票[QSQ])、睡眠関連症状、不安/抑うつの存在、外来血圧、いくつかの神経認知テストが含まれた。解析はITT集団で行われた。

結果:
 平均年齢は74.9±4.6歳だった。CPA治療群は、ESSを有意に改善した(補正差2.6[95%信頼区間3.6-1.6]、効果量:1)。またいくつかの睡眠関連症状とQSQ質問票を改善した(夜間症状:0.7、95%信頼区間0.3-1、p<0.001、感情面:0.4、95%信頼区間0.1-0.7、p=0.023)。しかしながら、神経認知テスト(不安と抑うつを含む)あるいは血圧に対する効果は観察されなかった。CPAPの効果とESSおよびQOLドメインの改善には正の相関がみられた。

結論:
 中等症OSAのある高齢患者に対するCPAP治療は、日中の傾眠症状、いくつかの睡眠関連症状やQOLドメインを有意に改善させた。





by otowelt | 2019-06-24 00:06 | 呼吸器その他